JPH05138041A - 排気ガス浄化装置用の触媒担体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 第１に、排気ガスと触媒物質との接触が活発
化すると共に増加し、触媒効率が向上し、第２に、セル
の数は増加せず圧力損失が小さく、第３に、担体容積も
増加せずセットする場所が制約されず、第４に、このよ
うにセルの数や担体容積を増加させないので、重量面お
よびコスト面にも優れた、排気ガス浄化装置用の触媒担
体を提案する。 【構成】 この触媒担体は、波板５と平板６が交互に位
置するように多層に組み付けられ、全体がロール状，積
層ブロック状等をなすと共にハニカム構造をなす。そし
て、そのセル壁３を形成する波板５，平板６には、所定
の渦発生小片９が多数突設されている。排気ガスＡはそ
の各セル４を通過し、セル壁３の触媒物質と反応して清
浄化されるが、その際排気ガスＡは渦流となって通過す
るので、触媒物質との接触が活発化すると共に増加し反
応が促進される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排気ガス浄化装置用の
触媒担体に関する。すなわち、例えば自動車エンジン等
の排気ガスを清浄化する触媒コンバータに用いられ、担
持母体として触媒物質が付着される触媒担体に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】図５はこの種従来例の要部を示し、その
波板１および平板２の斜視図である。さて、従来の排気
ガス浄化装置用の触媒担体は、一般に、波形の凹凸が所
定ピッチで連続的に折曲形成され帯状をなす金属製の波
板１と、平坦な帯状をなす金属製の平板２とが、交互に
位置するように多層にろう材にて接合され、もってこれ
らが、セル壁３を形成しセル４が集合したハニカム構造
をなすと共に（後述の図２，図３，図４の各（２）図参
照）、全体がロール状，積層ブロック状等の所定形状を
なしていた。ところで、このような触媒担体に用いられ
る波板１および平板２は、図示のごとく従来、一般にそ
の表面がプレート状をなし表面に小片等は突設されてい
なかった。そしてこのような触媒担体が、例えば自動車
エンジン等の排気ガスを清浄化する触媒コンバータに用
いられ、担持母体として、そのセル壁３を形成する波板
１および平板２の表面に、触媒物質が被覆・付着せしめ
られていた。もって自動車運転時等の使用時において、
自動車エンジンからの有害物質を含む排気ガスが、従来
は層流となってそのハニカム構造を通過し、触媒物質と
反応し清浄化されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。第１
に、排気ガスは、触媒担体のハニカム構造の各セルを層
流となって通過するので、触媒効率が悪いという問題が
あった。すなわち、まず排気ガスの流速がセル４の中心
付近に比しセル壁３付近で減速される現象が生じ、特に
これは下流側ほど激しく、排気ガスとセル壁３の触媒物
質との接触が弱く不活発となると共に、排気ガスがセル
４内をストレートに直線的に通り抜けて行くので、排気
ガスとセル壁３の触媒物質との接触が比較的少なく、も
ってこれらにより、質的かつ量的に触媒効率が悪いとい
う問題があった。

【０００４】第２に、そこで触媒効率を向上させるた
め、従来まず、触媒担体のセル４の数を増加させること
が考えられたが、圧力損失が大きくなるという問題があ
った。すなわち、セル４の径をより小さくしてセル４の
数を増加させ、もって、排気ガスとセル壁３の触媒物質
との接触面積を増やすことが考えられたが、圧力損失が
大きくなり、エンジン等の出力ダウンにつながるという
問題があった。第３に、触媒効率を向上させるため、従
来、触媒担体の容積を増加させることも考えられたが、
場所的制約を受けるという問題があった。すなわち、セ
ル４の径は変化させず担体容積を増加させ全体的に大き
く、もって、排気ガスとセル壁３の触媒物質との接触面
積を増やすことが考えられたが、この触媒担体は大きい
ので、セットする場所が制約されるという問題があっ
た。第４に、上述の第２，第３で述べた触媒担体は、更
に、重量面およびコスト面にも問題があった。すなわ
ち、セル４の数を増加させたり担体容積を増加させたり
すると、重量が重くなると共にコストも高くなるという
問題があった。

【０００５】本発明は、このような実情に鑑み上記従来
例の問題点を解決すべくなされたものであって、波板，
平板に渦発生小片を多数設けたことにより、第１に触媒
効率が向上し、第２に圧力損失は小さく、第３に場所的
制約も受けず、第４に重量面およびコスト面にも優れ
た、排気ガス浄化装置用の触媒担体を提案することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明の技術的手段は、次のとおりである。この排気ガス浄
化装置用の触媒担体は、波形の凹凸が連続的に折曲形成
された金属製の波板と、平坦な金属製の平板とが、交互
に位置するように多層に組み付けられ、全体が所定形状
をなすと共にハニカム構造をなす。そして、該波板およ
び該平板のうち少なくともいずれか一方には、表面に渦
発生小片が多数突設され、該渦発生小片は、相互間に所
定の間隔を存し、通過する排気ガスに渦流を発生させ
る。

【０００７】

【作用】本発明は、このような手段よりなるので次のよ
うに作用する。使用時において排気ガスは、触媒担体を
通過し、そのセル壁に被覆・付着せしめられた触媒物質
と反応して、清浄化される。そしてこの触媒担体では、
そのセル壁たる波板，平板に渦発生小片を多数設けてな
る。そこで第１に、排気ガスは渦流となって通過するの
で、セル壁付近での減速が解消されると共にストレート
に通り抜けるようなこともなくなり、もって、排気ガス
と触媒物質との接触が活発化すると共に増加し、両者の
反応が促進される。第２に、この第１の点は、セルにつ
いて径を小さくし数を増加させることなく達成されるの
で、圧力損失は大きくならない。第３に、又この第１の
点は、担体容積を増加させ全体的に大きくすることなく
達成されるので、セットする場所は特に制約されない。
第４に、セルの数や担体容積を増加させないので、その
分、重量が軽くコストも安い。

【０００８】

【実施例】以下本発明を、図面に示すその実施例に基づ
いて詳細に説明する。図１は本発明の実施例の要部を示
し、（１）図はその波板５および平板６の斜視図、
（２）図はその作動説明のための断面図である。図２，
図３，図４は同実施例の説明に供し、図２は、全体の断
面形状が真円のロール状をなす触媒担体７の斜視図であ
り、（１）図は成形途中のものを、（２）図は成形され
たものを示す。図３は、積層ブロック状をなす触媒担体
７の斜視図であり、（１）図は成形途中のものを、
（２）図は成形されたものを示す。図４は、全体の断面
形状が略楕円のロール状をなす触媒担体７の斜視図であ
り、（１）図は成形途中のものを、（２）図は成形され
たものを示す。

【０００９】まず、この排気ガス浄化装置用の触媒担体
７は、波形の凹凸が所定ピッチで連続的に折曲形成され
た金属製の波板５と、平坦な金属製の平板６とが、交互
に位置するように多層に組み付けられて接合され、全体
が図２，図３，図４のような各種形状をなすと共に、ハ
ニカム構造をなす。これらについて詳述すると、まず波
板５は、帯状をなすステンレス箔等の金属箔をコルゲー
ト加工，プレス加工等することにより、所定ピッチと高
さの直線的な波形の凹凸つまり山と谷が、平行かつ連続
的に多数折曲形成されてなる。平板６は、帯状をなすス
テンレス箔等の金属箔がそのまま用いられる。

【００１０】図２に示した触媒担体７は、このような波
板５と平板６とが、一定中心点から交互に位置するよう
に重ねて巻き付けられると共に、両者の当接部分の全部
又は一部がろう材にて接合され、もって、全体の断面形
状が真円のロール状をなしている。なお図示例では、波
板５と平板６が各１枚ずつ用いられているが、重ねられ
た各１枚ずつの波板５と平板６をそれぞれ一組とし、こ
れら複数組の波板５と平板６を同時に重ねて巻き付ける
ことも考えられる。又、図３に示した触媒担体７は、所
定長さ毎にそろえられプレート状をなす複数枚の波板５
と平板６が、順次交互に位置するように上下多層に重ね
られると共に接合され、もって、全体が積層ブロック状
をなしている。更に、図４に示した触媒担体７は、波板
５と平板６が中空の中心部から交互に重ねられ、一旦略
真円のロール状に巻き付けられた後、中空の中心部を潰
すように上下から押圧されると共に接合され、もって、
全体の断面形状が略楕円でトラックフィールド的なロー
ル状をなしている。

【００１１】そしてこの触媒担体７は、ハニカム構造を
なす。すなわち、波板５と平板６がセル壁３を形成し、
略三角形，略四角形，略台形，略半六角形，その他各種
形状の多数の中空柱状のセル４の平面的集合体たる、ハ
ニカム構造をなす。もってこの触媒担体７は、重量比強
度に優れ軽量性とともに高い剛性・強度を備え、又流体
の整流効果にも優れ、かつ成形が容易でコスト面にも優
れる、等々の特性が知られている。そして更に単位容積
当りの表面積が大、つまりセル壁３たる波板５と平板６
の表面積が大である等により、例えば、自動車エンジン
等の排気ガスＡ（図１の（２）図参照）を清浄化する触
媒コンバータに用いられ、担持母体としてセル壁３たる
波板５と平板６の表面に触媒物質、つまり排気ガスＡ中
の有害物質を反応除去する酸化還元用の触媒活性物質
（図示せず）が、被覆・付着せしめられる。図中８はケ
ースであり、この外筒たるケース８は、真円，楕円，そ
の他の筒状をなし内部に触媒担体７が収納保持され、両
者はろう材にて接合される。

【００１２】さてこの触媒担体７では、波板５および平
板６のうち少なくともいずれか一方の表面に、渦発生小
片９が多数突設され、ボルテックスジェネレーターであ
るこの渦発生小片９は、相互間に所定の間隔を存し、通
過する排気ガスＡに渦流を発生させる。図示例の渦発生
小片９は、所定の形状，位置，傾斜，間隔等で規則的に
設けられており、具体的には、略ハ字状に対をなすもの
が横並びで長手方向に２列に設けられているが、その他
各種の形状，位置，傾斜，間隔等のものが考えられる。
又、図示例の渦発生小片９は波板５と平板６の双方に設
けられているが、これによらず、波板５又は平板６のい
ずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。

【００１３】本発明に係る排気ガス浄化装置用の触媒担
体７は、以上説明したごとく構成されている。そこで以
下のようになる。この排気ガス浄化装置用の触媒担体７
は、例えば、自動車エンジン等の排気ガスＡを清浄化す
る触媒コンバータに用いられ、自動車運転時等の使用時
において、自動車エンジンからの有害物質を含む排気ガ
スＡが、そのハニカム構造の各セル４を通過し、そのセ
ル壁３に被覆・付着せしめられた触媒物質と反応して、
清浄化される。そしてこの触媒担体７では、そのセル壁
３たる波板５，平板６に渦発生小片９を多数設けてな
る。

【００１４】そこでこの触媒担体６は、次の第１，第
２，第３，第４のようになる。第１に、渦発生小片９を
備えた波板５，平板６がセル壁３を形成しているので、
排気ガスＡはセル４内を、この種従来例のように層流で
はなく渦流となって通過する。つまり排気ガスＡは直線
的には流れず、波板５，平板６の渦発生小片９にて規制
され、乱流状態の一種である渦流となり拡散されつつ流
れる（図１の（２）図参照）。そこで、この触媒担体７
ではまず、排気ガスＡの流速は、セル４の上流部，中央
部，下流部を問わず、セル４の中心付近での流速とセル
壁３付近での流速が常に等速度分布となり、この種従来
例のごとくセル壁３付近での減速は解消され、もって、
排気ガスＡとセル壁３の触媒物質との接触が質的に良く
なって活発化し、両者の反応が促進される。これと共に
この触媒担体７では、排気ガスＡとセル壁３の触媒物質
との接触が、この種従来例のように直線的で少ない事態
も解消され、量的により多くなって増加し、この面から
も両者の反応が促進される。

【００１５】第２に、この第１の点は、セル４について
径をより小さくし数を増加させることなく達成されるの
で、圧力損失が大きくなることはない。つまりこの触媒
担体７は、この種従来例のようにセル４の数を増加させ
るようなことはなく、圧力損失は小さい。第３に、又こ
の第１の点は、担体容積を増加させ全体的に大きくする
ことなく達成されるので、セットする場所が特に制約さ
れるようなこともない。つまりこの触媒担体７は、この
種従来例のように担体容積を増加させるようなことはな
く、セットする場所の制約はない。第４に、このように
セル４の数を増加させたり担体容積を増加させたりしな
いので、その分、重量が軽くコストも安い。つまりこの
触媒担体７は、セル４の数，担体容積等を増加させない
ので、重量が重くなることはなくコストが高くなること
もない。

【００１６】

【発明の効果】本発明に係る排気ガス浄化装置用の触媒
担体は、以上説明したごとく、波板，平板に渦発生小片
を多数設けたことにより、次の効果を発揮する。まず第
１に、触媒効率が向上する。すなわちこの触媒担体で
は、排気ガスのセル壁付近での減速がないと共に、排気
ガスがセル内をストレートに通り抜けるようなこともな
く、もって、排気ガスとセル壁の触媒物質との接触が質
的に活発化すると共に量的に増加し、触媒効率つまり排
気ガスの浄化性能が向上する。

【００１７】第２に、圧力損失は小さい。すなわちこの
触媒担体は、セルについて径を小さくし数を増加させる
ことなく、触媒効率を向上させることができるので、圧
力損失は大きくならず、エンジン等の出力ダウンは回避
される。第３に、場所的制約も受けない。すなわちこの
触媒担体は、担体容積を増加させ全体的に大きくするこ
となく、触媒効率を向上させることができるので、セッ
トする場所が特に制約されることもない。第４に、重量
面およびコスト面にも優れている。すなわちこの触媒担
体は、セル数を増加させたり担体容積を増加させたりし
ないので、その分、重量が軽くコストも安い。このよう
に、この種従来例に存した問題点が一挙にすべて一掃さ
れる等、本発明の発揮する効果は顕著にして大なるもの
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る排気ガス浄化装置用の触媒担体の
実施例の要部を示し、（１）図はその波板および平板の
斜視図、（２）図はその作動説明のための断面図であ
る。

【図２】同実施例の説明に供し、全体の断面形状が真円
のロール状をなす触媒担体の斜視図であり、（１）図は
成形途中の段階のものを、（２）図は成形されたものを
示す。

【図３】同実施例の説明に供し、積層ブロック状をなす
触媒担体の斜視図であり、（１）図は成形途中の段階の
ものを、（２）図は成形されたものを示す。

【図４】同実施例の説明に供し、全体の断面形状が略楕
円のロール状をなす触媒担体の斜視図であり、（１）図
は成形途中の段階のものを、（２）図は成形されたもの
を示す。

【図５】従来例の要部を示し、その波板および平板の斜
視図である。

【符号の説明】

１ 波板（従来のもの） ２ 平板（従来のもの） ３ セル壁 ４ セル ５ 波板（本発明のもの） ６ 平板（本発明のもの） ７ 触媒担体 ８ ケース ９ 渦発生小片 Ａ 排気ガス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 波形の凹凸が連続的に折曲形成された金
   属製の波板と、平坦な金属製の平板とが、交互に位置す
   るように多層に組み付けられ、全体が所定形状をなすと
   共にハニカム構造をなす、排気ガス浄化装置用の触媒担
   体であって、該波板および該平板のうち少なくともいず
   れか一方には、表面に渦発生小片が多数突設され、該渦
   発生小片は、相互間に所定の間隔を存し、通過する排気
   ガスに渦流を発生させること、を特徴とする排気ガス浄
   化装置用の触媒担体。