JPH0426648Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係る金属製触媒担体は、自動車エン
ジンの排気中に含まれる窒素酸化物等の有害物質
を無害化処理するため、排気管の途中に設けられ
る触媒コンバータに組込まれ、表面に上記有害物
質処理用の触媒物質を付着させるのに利用する。

（従来の技術） 自動車エンジンの排気中には窒素酸化物
（NOx）の他、一酸化炭素（CO）や炭化水素
（HC）のような有害物質が含まれており、これ
らの有害物質をそのまま大気中に放散すると大気
汚染の原因となつてしまう。

このため、排気管の途中に触媒コンバータを設
け、この触媒コンバータにより前記有害物質を無
害化処理することが広く行なわれている。触媒コ
ンバータに組込む触媒としては、白金等が広く使
用されているが、この触媒を多数のペレツトの表
面に付着させる他、セラミツクや金属板をハニカ
ム状に形成して成る触媒担体の表面に触媒物質を
付着させることも広く行なわれている。

このうち、金属板をハニカム状に形成した金属
製触媒担体としては、特公昭47−48109号公報そ
の他に開示されたものが知られている。この従来
の金属製触媒担体は、第５図に示すように、平坦
な第一の帯状金属板１と、波形の第二の帯状金属
板２とを重ね合わせた状態で両金属板１，２を螺
旋状に巻回したもので、両金属板１，２の間に
は、断面積の小さな多数の空気通路３，３が軸方
向に形成されている。この金属製触媒担体を触媒
コンバータに組込んだ状態に於いて、排気はこの
空気通路３，３内を流通し第一，第二の帯状金属
板１，２の一方又は双方の表面に付着させた触媒
物質と接触する。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上述のように構成され使用される金
属製触媒担体は、従来は平坦な第一の帯状金属板
１と、波形の第二の帯状金属板２とを重ね合わ
せ、両金属板１，２を螺旋状に巻回して造つてい
たため、空気通路３の内面形状が単純になり、こ
の空気通路３内を流通する空気の流れが乱れるこ
とが少ないため、空気通路３の断面積を大きくす
ると、いずれの金属板１，２にも接触することな
くこの空気通路３を素通りする排気が多く生じる
ことになり、排気を浄化する性能が悪化してしま
う。

このような浄化性能の悪化を防止するために
は、第二の帯状金属板２の波形のピツチを細かく
して、各空気通路３，３の断面積を小さくし、空
気通路３，３内を流れる排気と第一、第二の帯状
金属板１，２とが接触する機会を多くする必要が
ある。ところが、このように各空気通路３，３の
断面積を小さくした場合、エンジンの背圧が著し
く上昇する。この過大な背圧上昇を防止するため
に十分な流路面積を確保しようとすると、第一、
第二の両帯状金属板１，２を長くして、空気通路
３，３の数を多くしなければならず、材料費が嵩
むだけでなく、触媒コンバータの重量増大の原因
となるため、好ましくない。

本考案の金属製触媒担体は、上述のような不都
合を解消するものである。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案の金属製触媒担体は、波形に形成され、
隣合う波形の頂部の互いに対向する位置に凹部を
形成した金属板と、この凹部に係合して安定に位
置する複数本の針金とを交互に重ね合せ、隣合う
金属板同士の間に針金が横切る空気通路を有する
ハニカム状に形成することで構成されている。

第一，第二の２枚の帯状金属板を螺旋状に巻き
回した実施例を示す図面を参照しつつ更に詳しく
説明すると、第１図は本考案の金属製触媒担体を
構成する第一の帯状金属板４（第二の帯状金属板
５も同形状）を示している。この帯状金属板４は
波形に形成されている。このような波形の第一の
帯状金属板４には、表裏両面の各波形の頂部に位
置する部分に、各頂部毎に複数個（図示の例では
２個）の断面が半円形の凹部６，６が形成されて
いる。

このように各頂部毎に複数個の凹部６，６が形
成された第一の帯状金属板４と、同形状の第二の
帯状金属板５とは、第２〜３図に示すように、両
帯状金属板４，５の互いに対向する凹部６，６の
間で針金７，７を挟持するようにして互いに重ね
合せ、更に一方の（図示の例では第一の）帯状金
属板４の反対面の凹部６，６にも針金７，７を嵌
合させて、第一、第二の両帯状金属板４，５と４
本以上の針金７，７とを組み合せる。

本考案の金属製触媒担体は、上述のように組み
合された第一、第二の両帯状金属板４，５と、針
金７，７とを、第４図に示すように螺旋状に巻回
すことで構成される。

このように、それぞれ波形に形成された２枚の
帯状金属板４，５を螺旋状に巻回した場合、放射
方向に亘つて第一の帯状金属板４と第二の帯状金
属板５とが交互に存在するようになるが、両帯状
金属板４，５の間にはそれぞれ複数本の針金７，
７が存在するため、両帯状金属板４，５の波形同
士が互いに噛合して、両帯状金属板４，５が密接
することはなく、両帯状金属板４，５の間には金
属製触媒担体を軸方向に貫通する多数の空気通路
８，８が形成される。

第一、第二の両帯状金属板４，５の間に挟持さ
れた複数の針金７，７は、上記多数の空気通路
８，８の中央部を横切る状態となつて、各空気通
路８，８中での排気の流れを乱す役目を果す。

又、各針金７，７は、第一、第二の両帯状金属
板４，５の波形頂部の凹部６，６に嵌合している
ため、上記両帯状金属板４，５が幅方向に亘つて
互いにずれ動くことを防止し、両帯状金属板と針
金とを螺旋状に巻回す作業を容易にし、完成後の
金属製触媒担体の端面形状が整ように機能する。

（作用） 上述のように、複数の針金７，７を介して互い
に重ねられた２枚の帯状金属板４，５を螺旋状に
巻回することにより構成された本考案の金属製触
媒担体は、従来の金属製触媒担体の場合と同様
に、第一、第二の両帯状金属板４，５の表面にセ
ラミツクをコーテイングし、このセラミツク被膜
の表面に白金等の触媒物質を付着させたものを触
媒コンバータのケース内に収納し、上記２枚の帯
状金属板４，５の間の多数の空気通路内に排気を
流通させる。

波形に形成した２枚の帯状金属板４，５によつ
て囲まれた上記空気通路８，８の中央には、上述
の通り針金７，７が存在するため、各空気通路を
流通する排気は流れを乱されて両帯状金属板４，
５と良好に接触するようになる。

尚、排気の流れを乱して、排気と各帯状金属板
４，５との接触がより効率良く行なわれるように
するためには、第一、第二の両帯状金属板４，５
に形成する波形を、排気の流れる各帯状金属板
４，５の幅方向に対して傾斜させ、この傾斜方向
を第一の帯状金属板４と第二の帯状金属板５とで
互いに逆方向とすることもできる。

又、図示の様な螺旋構造の金属製触媒担体を構
成する場合、必ずしも２枚の帯状金属板を用いる
必要は無く、１枚の帯状金属板と、複数本の針金
とを組合せて螺旋状に巻き回すことでも構成する
事が出来る。

更に、本考案の金属製触媒担体は、このような
螺旋構造に限定されず、他にもプレート状の金属
板と複数本の針金とを交互に重ね合せる事でも構
成できる。

ｃ 考案の効果 本考案の金属製触媒担体は以上に述べた通り構
成され作用するが、空気通路中の排気の流れを乱
して、この排気と空気通路の周囲壁面に付着した
触媒との接触が良好に行なわれるようにするた
め、各金属板の波形の高さを大きくしたり、或は
ピツチを粗くして空気通路の断面積を大きくして
も、十分な浄化性能を発揮することができる。

このため、金属製触媒担体に使用する金属板の
長さを従来よりも短くすることができ、材料費の
低減と重量の軽減とを図ることができる。

また、金属板の波形の高さやピツチの粗さを従
来通りとした場合は、金属板の排気流通方向に亘
る幅を短くしても、金属板と排気との接触を十分
に行つて、十分な排気の浄化性能を得る事ができ
る。この場合、金属板の幅を短くする事で、排気
に対する抵抗の増大を防止すると同時に、触媒担
体の軽量化を図る事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の金属製触媒担体を構成するた
めの帯状金属板を示す斜視図、第２図はこれを重
ねた状態を示す断面図、第３図は第２図の側方か
ら見た図、第４図はこれを巻回した本考案の金属
製触媒担体の端面図、第５図は従来の金属製触媒
担体を示す端面図である。 １……第一の帯状金属板、２……第二の帯状金
属板、３……空気通路、４……第一の帯状金属
板、５……第二の帯状金属板、６……凹部、７…
…針金、８……空気通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 波形に形成され、隣合う波形の頂部の互いに対
   向する位置に凹部を形成した金属板とこの凹部に
   係合する複数本の針金とを交互に重ね合せ、隣合
   う金属板同士の間に針金が横切る空気通路を有す
   るハニカム状に形成して成る金属製触媒担体。