JPH051362A - 連続通板する鋼板の振動および板反り防止方法 - Google Patents
連続通板する鋼板の振動および板反り防止方法Info
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- JPH051362A JPH051362A JP18041991A JP18041991A JPH051362A JP H051362 A JPH051362 A JP H051362A JP 18041991 A JP18041991 A JP 18041991A JP 18041991 A JP18041991 A JP 18041991A JP H051362 A JPH051362 A JP H051362A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 比較的簡易な装置と方法により、連続通板す
る鋼板の板反りと振動を非接触でしかも効果的に抑制す
ることができる方法を提供することにある。 【構成】 連続通板する鋼板の前面側および後面側に、
鋼板を挾んで略対向するようにして鋼板面に平行な高周
波電流導通路を鋼板面に近接して配置するとともに、該
高周波電流導通路近傍における鋼板幅方向の両側外方
に、鋼板幅方向を挾んで略対向するようにして磁石のN
極およびS極を配置し、該磁石により鋼板を磁気的に十
分飽和させた状態で、鋼板前面側および後面側の前記高
周波電流導通路に同位相の高周波電流を通電して鋼板に
逆位相の高周波電流を誘導させ、この誘導電流と前記各
高周波電流導通路の高周波電流との相互作用により鋼板
面に働く磁気圧力を発生させ、鋼板両面に作用する磁気
圧力により鋼板の幅方向での板反りと振動を抑制するよ
うにした。
る鋼板の板反りと振動を非接触でしかも効果的に抑制す
ることができる方法を提供することにある。 【構成】 連続通板する鋼板の前面側および後面側に、
鋼板を挾んで略対向するようにして鋼板面に平行な高周
波電流導通路を鋼板面に近接して配置するとともに、該
高周波電流導通路近傍における鋼板幅方向の両側外方
に、鋼板幅方向を挾んで略対向するようにして磁石のN
極およびS極を配置し、該磁石により鋼板を磁気的に十
分飽和させた状態で、鋼板前面側および後面側の前記高
周波電流導通路に同位相の高周波電流を通電して鋼板に
逆位相の高周波電流を誘導させ、この誘導電流と前記各
高周波電流導通路の高周波電流との相互作用により鋼板
面に働く磁気圧力を発生させ、鋼板両面に作用する磁気
圧力により鋼板の幅方向での板反りと振動を抑制するよ
うにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続通板する鋼板の振
動や板幅方向での板反り(所謂、C反り変形)を防止す
るための方法に関するものである。
動や板幅方向での板反り(所謂、C反り変形)を防止す
るための方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】連続焼鈍炉のガスジェット冷却帯では、鋼
板はロ−ルで搬送されながら冷却されるが、ロ−ルには
高速の冷却ガスが吹付けられるため鋼板にフラッタリン
グによる振動が発生する。鋼板にこのような振動が生じ
ると、鋼板が冷却ガス吹出ノズルと接触し、鋼板面に傷
が生じるという問題がある。したがって、これを避ける
ために、冷却ガス吹出ノズルと鋼板の距離を大きく取る
必要があり、この結果、鋼板の冷却効率が低下し、さら
には、冷却の不均一化による熱座屈の発生等の問題も生
じる。また、その他にも、例えば電気めっきラインや溶
融めっきラインでは鋼板の板反りや振動に起因してめっ
き厚の不均一が生じる等、鋼板の連続通板ラインでは板
の振動や板反りに起因した様々な問題がある。
板はロ−ルで搬送されながら冷却されるが、ロ−ルには
高速の冷却ガスが吹付けられるため鋼板にフラッタリン
グによる振動が発生する。鋼板にこのような振動が生じ
ると、鋼板が冷却ガス吹出ノズルと接触し、鋼板面に傷
が生じるという問題がある。したがって、これを避ける
ために、冷却ガス吹出ノズルと鋼板の距離を大きく取る
必要があり、この結果、鋼板の冷却効率が低下し、さら
には、冷却の不均一化による熱座屈の発生等の問題も生
じる。また、その他にも、例えば電気めっきラインや溶
融めっきラインでは鋼板の板反りや振動に起因してめっ
き厚の不均一が生じる等、鋼板の連続通板ラインでは板
の振動や板反りに起因した様々な問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような各種連続通
板ラインにおける鋼板の振動や板反りという問題に対
し、例えば、めっき浴中に磁性ロ−ルを設け、鋼板を磁
気力により吸引して平坦化しすることにより板反りを矯
正する方法(特開昭52−111839号)や、鋼板の
幅方向両側に磁石を置き振動を防止する方法(特開昭5
7−5853号)等も提案されているが、いずれの方法
も板反りの矯正と振動の防止を同時に達成できるような
技術ではない。
板ラインにおける鋼板の振動や板反りという問題に対
し、例えば、めっき浴中に磁性ロ−ルを設け、鋼板を磁
気力により吸引して平坦化しすることにより板反りを矯
正する方法(特開昭52−111839号)や、鋼板の
幅方向両側に磁石を置き振動を防止する方法(特開昭5
7−5853号)等も提案されているが、いずれの方法
も板反りの矯正と振動の防止を同時に達成できるような
技術ではない。
【0004】また、特公平2−16375号では、ガス
ジェット冷却ノズルの前後で鋼板を押えロ−ルで押える
ことにより振動を抑制する方法が提案されているが、こ
の方法では振動を完全に抑制できないばかりでなく、押
えロ−ルとの接触によって鋼板に表面傷が発生するとい
う問題もある。
ジェット冷却ノズルの前後で鋼板を押えロ−ルで押える
ことにより振動を抑制する方法が提案されているが、こ
の方法では振動を完全に抑制できないばかりでなく、押
えロ−ルとの接触によって鋼板に表面傷が発生するとい
う問題もある。
【0005】また、特公昭44−7444号には、溶融
めっきの絞りを目的として、めっき浴から出た鋼板を高
周波電流が流されたコイル間で通板させることにより高
周波磁場を印加する方法が提案され、その中でコイル間
を通過する鋼板は磁気的な反発力でコイル間中心にセン
タリングされるという、鋼板の振動抑制効果が期待し得
るような内容が示されている。しかし、単に鋼板に高周
波磁場を印加した場合、強磁性体である鋼板には磁気的
吸引力が強く作用するため、通板する鋼板がコイル方向
に吸引される等、到って不安定な状態が引き起こされ、
振動の抑制等は全く期待できない。このように従来、通
板する鋼板の振動や板反りを非接触で効果的に抑制でき
る方法は知られていない。
めっきの絞りを目的として、めっき浴から出た鋼板を高
周波電流が流されたコイル間で通板させることにより高
周波磁場を印加する方法が提案され、その中でコイル間
を通過する鋼板は磁気的な反発力でコイル間中心にセン
タリングされるという、鋼板の振動抑制効果が期待し得
るような内容が示されている。しかし、単に鋼板に高周
波磁場を印加した場合、強磁性体である鋼板には磁気的
吸引力が強く作用するため、通板する鋼板がコイル方向
に吸引される等、到って不安定な状態が引き起こされ、
振動の抑制等は全く期待できない。このように従来、通
板する鋼板の振動や板反りを非接触で効果的に抑制でき
る方法は知られていない。
【0006】本発明はこのような従来の問題に鑑み、比
較的簡易な装置と方法により、連続通板する鋼板の板反
りと振動を非接触でしかも効果的に抑制することができ
る方法を提供しようとするものである。
較的簡易な装置と方法により、連続通板する鋼板の板反
りと振動を非接触でしかも効果的に抑制することができ
る方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】鋼板のような強磁性体に
単に磁場を印加し、鋼板の制振等を行おうとしても、鋼
板に磁気吸引力が作用し、振動等の面で鋼板がより不安
定な状態におかれることは、上述した通りである。この
ような問題に対し本発明者らは、図12のB〜H曲線に
示されるように鋼板の強磁性を示す領域が非飽和域に限
られ、飽和域では強磁性でなくなることに着目し、鋼板
を十分に飽和させた状態で高周波磁場を印加すれば、磁
気吸引力よりも高周波電流路を流れる電流と鋼板中の誘
導電流間に生じる反発力の方が強くなり、上記磁気吸引
力に伴う不安定性が解消されることを見出し、本発明を
完成させたものである。
単に磁場を印加し、鋼板の制振等を行おうとしても、鋼
板に磁気吸引力が作用し、振動等の面で鋼板がより不安
定な状態におかれることは、上述した通りである。この
ような問題に対し本発明者らは、図12のB〜H曲線に
示されるように鋼板の強磁性を示す領域が非飽和域に限
られ、飽和域では強磁性でなくなることに着目し、鋼板
を十分に飽和させた状態で高周波磁場を印加すれば、磁
気吸引力よりも高周波電流路を流れる電流と鋼板中の誘
導電流間に生じる反発力の方が強くなり、上記磁気吸引
力に伴う不安定性が解消されることを見出し、本発明を
完成させたものである。
【0008】すなわち本発明は、連続通板する鋼板の前
面側および後面側に、鋼板を挾んで略対向するようにし
て鋼板面に平行な高周波電流導通路を鋼板面に近接して
配置するとともに、該高周波電流導通路近傍における鋼
板幅方向の両側外方に、鋼板幅方向を挾んで略対向する
ようにして磁石のN極およびS極を配置し、該磁石によ
り鋼板を磁気的に十分飽和させた状態で、鋼板前面側お
よび後面側の前記高周波電流導通路に同位相の高周波電
流を通電して鋼板に逆位相の高周波電流を誘導させ、こ
の誘導電流と前記各高周波電流導通路の高周波電流との
相互作用により鋼板面に働く磁気圧力を発生させ、鋼板
両面に作用する磁気圧力により鋼板の幅方向での板反り
と振動を抑制するようにしたものである。
面側および後面側に、鋼板を挾んで略対向するようにし
て鋼板面に平行な高周波電流導通路を鋼板面に近接して
配置するとともに、該高周波電流導通路近傍における鋼
板幅方向の両側外方に、鋼板幅方向を挾んで略対向する
ようにして磁石のN極およびS極を配置し、該磁石によ
り鋼板を磁気的に十分飽和させた状態で、鋼板前面側お
よび後面側の前記高周波電流導通路に同位相の高周波電
流を通電して鋼板に逆位相の高周波電流を誘導させ、こ
の誘導電流と前記各高周波電流導通路の高周波電流との
相互作用により鋼板面に働く磁気圧力を発生させ、鋼板
両面に作用する磁気圧力により鋼板の幅方向での板反り
と振動を抑制するようにしたものである。
【0009】このような本発明において、高周波電流導
通路は鋼板通板方向で間隔をおいて2以上設けることが
できる。また、鋼板幅方向を挾んで対向するようにして
配置される磁石は、電磁石および永久磁石のいずれを用
いてもよく、また、この磁石も鋼板通板方向において2
箇所以上の位置に配置することができる。
通路は鋼板通板方向で間隔をおいて2以上設けることが
できる。また、鋼板幅方向を挾んで対向するようにして
配置される磁石は、電磁石および永久磁石のいずれを用
いてもよく、また、この磁石も鋼板通板方向において2
箇所以上の位置に配置することができる。
【0010】高周波電流導通路は、鋼板幅方向に亘って
設ける必要があるが、必ずしも板幅方向と平行に設ける
必要はなく、高周波電流導通路全長に板幅方向に対して
傾きをもたせ、或いは高周波電流導通路の一部に板幅方
向に対して傾きをもたせるような構成とすることができ
る。鋼板エッジ部では、高周波電流導通路を流れる電流
に対して鋼板中を流れる電流の方向が90°の関係にな
るため、このエッジ部近傍で磁気圧力が弱まる傾向があ
り、このような問題に対しては、上記のように高周波電
流導通路全長に板幅方向に対して傾きをもたせ、或いは
電流導通路の鋼板エッジ部近傍に面した部分に板幅方向
に対して傾きをもたせた構成とするのが有効である。
設ける必要があるが、必ずしも板幅方向と平行に設ける
必要はなく、高周波電流導通路全長に板幅方向に対して
傾きをもたせ、或いは高周波電流導通路の一部に板幅方
向に対して傾きをもたせるような構成とすることができ
る。鋼板エッジ部では、高周波電流導通路を流れる電流
に対して鋼板中を流れる電流の方向が90°の関係にな
るため、このエッジ部近傍で磁気圧力が弱まる傾向があ
り、このような問題に対しては、上記のように高周波電
流導通路全長に板幅方向に対して傾きをもたせ、或いは
電流導通路の鋼板エッジ部近傍に面した部分に板幅方向
に対して傾きをもたせた構成とするのが有効である。
【0011】
【作用】本発明法の作用を、強磁性体である鋼板の磁気
特性を示す図12(磁束密度と磁界の強さの関係図)と
本発明の一実施例である図1および図2に基づき説明す
る。図1は実施状況を示す側面図、図2は同じく正面図
である。
特性を示す図12(磁束密度と磁界の強さの関係図)と
本発明の一実施例である図1および図2に基づき説明す
る。図1は実施状況を示す側面図、図2は同じく正面図
である。
【0012】本発明法では、連続通板する鋼板1の前面
側および後面側に、鋼板を挾んで略対向するようにし
て、鋼板面に平行な高周波電流導通路2a、2bを鋼板
1に近接して配置するとともに、鋼板1の幅方向の両側
外方に、鋼板幅方向を挾んで略対向するようにして永久
磁石または電磁石からなる磁石3のN極およびS極を配
置する。この例では、鋼板両側の高周波電流導通路2
a、2bは上下2段に配され、上部の高周波電流導通路
2a、2bの上方近傍位置と下部の高周波電流導通路2
a、2bの下方近傍位置に、それぞれ磁石3が配されて
いる。
側および後面側に、鋼板を挾んで略対向するようにし
て、鋼板面に平行な高周波電流導通路2a、2bを鋼板
1に近接して配置するとともに、鋼板1の幅方向の両側
外方に、鋼板幅方向を挾んで略対向するようにして永久
磁石または電磁石からなる磁石3のN極およびS極を配
置する。この例では、鋼板両側の高周波電流導通路2
a、2bは上下2段に配され、上部の高周波電流導通路
2a、2bの上方近傍位置と下部の高周波電流導通路2
a、2bの下方近傍位置に、それぞれ磁石3が配されて
いる。
【0013】鋼板1を挾んで対向する高周波電流導通路
2a、2bに同位相の高周波電流を流すと、鋼板1には
これと逆位相の電流が流れる。この鋼板1を流れる電流
は前記高周波電流導通路2a、2bの電流とは方向が逆
となるため、磁気的な反発作用すなわち磁気圧力が鋼板
表面に作用する。しかしながら、鋼板のような強磁性体
では透磁率が高いため、上述したように単に電流が流れ
ただけでは、磁気的吸引力が反発力を上回り、不安定な
系となってしまう。鋼板両端に配置した磁石3はこのよ
うな不安定性を除去するため、鋼板を磁気的に飽和させ
る作用をする。すなわち、この磁石の作用により鋼板中
の磁場は図12に示す磁気的な飽和域に存在することに
なり、高周波電流によって発生する磁場変動の範囲も図
12で示す磁気飽和域の中に存在することになる。この
ように強磁性体を磁気的に飽和させ常磁性化することに
より、磁気的吸引力による不安定性を解消でき、鋼板は
高周波電流導通路からの反発力のみを受けることにな
る。すなわち、この作用は図13に示すような非接触の
バネと同じような作用であり、これにより鋼板の振動が
抑制され、また、板反りも矯正される。
2a、2bに同位相の高周波電流を流すと、鋼板1には
これと逆位相の電流が流れる。この鋼板1を流れる電流
は前記高周波電流導通路2a、2bの電流とは方向が逆
となるため、磁気的な反発作用すなわち磁気圧力が鋼板
表面に作用する。しかしながら、鋼板のような強磁性体
では透磁率が高いため、上述したように単に電流が流れ
ただけでは、磁気的吸引力が反発力を上回り、不安定な
系となってしまう。鋼板両端に配置した磁石3はこのよ
うな不安定性を除去するため、鋼板を磁気的に飽和させ
る作用をする。すなわち、この磁石の作用により鋼板中
の磁場は図12に示す磁気的な飽和域に存在することに
なり、高周波電流によって発生する磁場変動の範囲も図
12で示す磁気飽和域の中に存在することになる。この
ように強磁性体を磁気的に飽和させ常磁性化することに
より、磁気的吸引力による不安定性を解消でき、鋼板は
高周波電流導通路からの反発力のみを受けることにな
る。すなわち、この作用は図13に示すような非接触の
バネと同じような作用であり、これにより鋼板の振動が
抑制され、また、板反りも矯正される。
【0014】
【実施例】図1ないし図11に本発明の実施例を示す。
このうち図1および図2は、上述したように鋼板1を挾
んで対向するようにして鋼板面に平行な高周波電流導通
路2a、2bを上下方向で2組配し、これら2組の高周
波電流導通路の上部近傍位置および下部近傍位置に、鋼
板幅方向を挟むようにしてそれぞれ磁石3(永久磁石)
のN極、S極を配したものである。鋼板1を挟んで対向
する高周波電流導通路2a、2bには、同位相の高周波
電流が流される。なお、この例では上下の高周波電流導
通路の電流の位相は反対となっているが、同位相でもよ
い。
このうち図1および図2は、上述したように鋼板1を挾
んで対向するようにして鋼板面に平行な高周波電流導通
路2a、2bを上下方向で2組配し、これら2組の高周
波電流導通路の上部近傍位置および下部近傍位置に、鋼
板幅方向を挟むようにしてそれぞれ磁石3(永久磁石)
のN極、S極を配したものである。鋼板1を挟んで対向
する高周波電流導通路2a、2bには、同位相の高周波
電流が流される。なお、この例では上下の高周波電流導
通路の電流の位相は反対となっているが、同位相でもよ
い。
【0015】図3および図4は、上下2組の高周波電流
導通路2a、2bの間に磁石3のN極、S極を配したも
のであり、上下の高周波電流導通路に流す電流について
は上記実施例と同様である。図5および図6は、図1お
よび図2に示されると同様の高周波電流導通路および磁
石配置構成において、磁石3を電磁石で構成したもので
あり、4は電磁石を構成するヨ−ク、5は同じくコイル
である。
導通路2a、2bの間に磁石3のN極、S極を配したも
のであり、上下の高周波電流導通路に流す電流について
は上記実施例と同様である。図5および図6は、図1お
よび図2に示されると同様の高周波電流導通路および磁
石配置構成において、磁石3を電磁石で構成したもので
あり、4は電磁石を構成するヨ−ク、5は同じくコイル
である。
【0016】図7および図8は、それぞれ鋼板の端部に
特に強い磁気圧力をかけるため、各高周波電流導通路2
の鋼板エッジ部近傍と対向する部分に、鋼板通板方向に
沿った屈曲部21を形成したものである。この実施例で
も高周波電流導通路は上下2組設けられ、磁石3はこの
上下の高周波電流導通路間に配されている。このような
構成は上述した各実施例に適用可能である。
特に強い磁気圧力をかけるため、各高周波電流導通路2
の鋼板エッジ部近傍と対向する部分に、鋼板通板方向に
沿った屈曲部21を形成したものである。この実施例で
も高周波電流導通路は上下2組設けられ、磁石3はこの
上下の高周波電流導通路間に配されている。このような
構成は上述した各実施例に適用可能である。
【0017】また、鋼板エッジ部では、高周波電流導通
路を流れる電流に対して鋼板中を流れる電流の方向が9
0°の関係になるため、このエッジ部近傍で磁気圧力が
弱まる傾向があり、このような問題に対しては、高周波
電流導通路全長を板幅方向に対して傾け、或いは電流導
通路の鋼板エッジ部近傍と対向する部分に板幅方向に対
し傾きをもたせる方法が有効である。図9および図10
は前者の場合の電流導通路の配置例を示すもので、鋼板
両側の高周波電流導通路2a,2bの全長に板幅方向に
対して適当な傾きをもたせたものである。また、図11
は鋼板エッジ部近傍に面した高周波電流導通路2a,2
bの部分22に板幅方向に対する傾きをもたせたもので
ある。以上のような構成は上記各実施例に適用可能であ
る。
路を流れる電流に対して鋼板中を流れる電流の方向が9
0°の関係になるため、このエッジ部近傍で磁気圧力が
弱まる傾向があり、このような問題に対しては、高周波
電流導通路全長を板幅方向に対して傾け、或いは電流導
通路の鋼板エッジ部近傍と対向する部分に板幅方向に対
し傾きをもたせる方法が有効である。図9および図10
は前者の場合の電流導通路の配置例を示すもので、鋼板
両側の高周波電流導通路2a,2bの全長に板幅方向に
対して適当な傾きをもたせたものである。また、図11
は鋼板エッジ部近傍に面した高周波電流導通路2a,2
bの部分22に板幅方向に対する傾きをもたせたもので
ある。以上のような構成は上記各実施例に適用可能であ
る。
【0018】本発明者らは、本発明の効果を検証するた
め以下のようなシュミレ−ション解析を行った。この解
析では、まず第1に電磁石により鋼板が磁気的に飽和す
ることを確認するため、図5および図6に示すような装
置構成における電磁石と鋼板の静磁場解析を行った。図
14に解析モデルを示すが、ここでは対称性を考慮し、
1/2のモデルで解析を行った。その解析条件は以下の
通りである。 鉄芯比透磁率:1000 コイル電流 :2.6×105AT 鋼板寸法 :幅1800mm×板厚2.3mm
め以下のようなシュミレ−ション解析を行った。この解
析では、まず第1に電磁石により鋼板が磁気的に飽和す
ることを確認するため、図5および図6に示すような装
置構成における電磁石と鋼板の静磁場解析を行った。図
14に解析モデルを示すが、ここでは対称性を考慮し、
1/2のモデルで解析を行った。その解析条件は以下の
通りである。 鉄芯比透磁率:1000 コイル電流 :2.6×105AT 鋼板寸法 :幅1800mm×板厚2.3mm
【0019】図15に解析で得られた磁界の分布を示
す。ここで得られた磁性体中の磁界の強さは1.6×1
05A/m以上を示しており、鋼板が磁気的に十分に飽
和していること、つまり、鋼板が図12の飽和域にある
ことを示している。
す。ここで得られた磁性体中の磁界の強さは1.6×1
05A/m以上を示しており、鋼板が磁気的に十分に飽
和していること、つまり、鋼板が図12の飽和域にある
ことを示している。
【0020】次に、高周波電流導通路によって鋼板に及
ぼされる磁気圧力を算定するためのシュミレ−ションを
行った。図16に解析したモデルを示す。各高周波電流
導通路には図5に示すような位相の電流が流れると想定
し、対称性を考慮し1/2のモデルで解析を行った。そ
の解析条件は以下の通りである。鋼板は磁気的に飽和し
ているため鋼板の比透磁率は1とした。 コイル断面寸法:30×50mm コイル電流 :3×104A 周波数 :3000Hz 鋼板厚 :2.3mm 鋼板比透磁率 :1
ぼされる磁気圧力を算定するためのシュミレ−ションを
行った。図16に解析したモデルを示す。各高周波電流
導通路には図5に示すような位相の電流が流れると想定
し、対称性を考慮し1/2のモデルで解析を行った。そ
の解析条件は以下の通りである。鋼板は磁気的に飽和し
ているため鋼板の比透磁率は1とした。 コイル断面寸法:30×50mm コイル電流 :3×104A 周波数 :3000Hz 鋼板厚 :2.3mm 鋼板比透磁率 :1
【0021】この解析では鋼板が対向する高周波電流導
通路間で振動することを考え、図16に示すように鋼板
が両電流導通路のセンタ位置にある場合と、このセンタ
位置からそれぞれ5mm、10mmずつずれた場合の3
水準について解析を行った。図17は鋼板が両電流導通
路のセンタ位置にある場合、また、図18および図19
は鋼板がセンタ位置よりそれぞれ5mm、10mmずれ
た場合の各磁気圧力の分布を示している。これによれ
ば、鋼板がセンタ位置からずれた場合、全体としてセン
タ位置へ押しやろうとする磁気圧力が働くことが示され
ている。この磁気圧力は高周波電流導通路に鋼板が近づ
くにしたがって大きくなるため、鋼板のセンタリング作
用に有効に働き、振動防止に効果がある。また、Cぞり
の矯正力としても有効で、ト−タルのCぞり量を0.5
mm以内に押えられることが判る。
通路間で振動することを考え、図16に示すように鋼板
が両電流導通路のセンタ位置にある場合と、このセンタ
位置からそれぞれ5mm、10mmずつずれた場合の3
水準について解析を行った。図17は鋼板が両電流導通
路のセンタ位置にある場合、また、図18および図19
は鋼板がセンタ位置よりそれぞれ5mm、10mmずれ
た場合の各磁気圧力の分布を示している。これによれ
ば、鋼板がセンタ位置からずれた場合、全体としてセン
タ位置へ押しやろうとする磁気圧力が働くことが示され
ている。この磁気圧力は高周波電流導通路に鋼板が近づ
くにしたがって大きくなるため、鋼板のセンタリング作
用に有効に働き、振動防止に効果がある。また、Cぞり
の矯正力としても有効で、ト−タルのCぞり量を0.5
mm以内に押えられることが判る。
【0022】これらの結果を踏まえ、図5および図6に
示す装置を約2mの間隔で3基電気めっきラインに設置
し、実機試験を行った。この試験での寸法、電流等の条
件は上記シュミレ−ションで採用した条件と同一とし
た。この試験によれば、従来約7mm程度生じていた板
幅方向のC反りは約0.5mm程度まで減少し、また板
の振動もほぼ完全に抑えることができた。このため、め
っきの板幅方向での付着量分布は、従来±50%程度で
あったものを±7%以内まで改善することができた。
示す装置を約2mの間隔で3基電気めっきラインに設置
し、実機試験を行った。この試験での寸法、電流等の条
件は上記シュミレ−ションで採用した条件と同一とし
た。この試験によれば、従来約7mm程度生じていた板
幅方向のC反りは約0.5mm程度まで減少し、また板
の振動もほぼ完全に抑えることができた。このため、め
っきの板幅方向での付着量分布は、従来±50%程度で
あったものを±7%以内まで改善することができた。
【0023】以上のような本発明法は、あらゆる種類の
鋼板連続通板ラインに適用でき、特に、従来問題となっ
ている連続焼鈍炉のガスジェット冷却帯における鋼板の
振動防止、溶融めっき設備におけるガスワイピング位置
での鋼板の振動および板反り防止、さらには電気めっき
ラインにおける鋼板の板反り防止等に極めて有用なもの
である。
鋼板連続通板ラインに適用でき、特に、従来問題となっ
ている連続焼鈍炉のガスジェット冷却帯における鋼板の
振動防止、溶融めっき設備におけるガスワイピング位置
での鋼板の振動および板反り防止、さらには電気めっき
ラインにおける鋼板の板反り防止等に極めて有用なもの
である。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、比較
的簡易な装置と方法によって、連続通板する鋼板の板反
りと振動を非接触でしかも効果的に抑制することがで
き、しかも、あらゆる種類の連続通板ラインに適用でき
るという汎用性を有している。
的簡易な装置と方法によって、連続通板する鋼板の板反
りと振動を非接触でしかも効果的に抑制することがで
き、しかも、あらゆる種類の連続通板ラインに適用でき
るという汎用性を有している。
【図1】本発明の一実施例を示す側面図
【図2】図1に示す実施例の正面図
【図3】本発明の他の実施例を示す側面図
【図4】図3に示す実施例の正面図
【図5】本発明の他の実施例を示す側面図
【図6】図5に示す実施例の正面図
【図7】本発明の他の実施例を示す側面図
【図8】図7に示す実施例の正面図
【図9】本発明の他の実施例を示す正面図
【図10】図9に示す実施例の側面図
【図11】本発明の他の実施例を示す正面図
【図12】鋼板の磁束密度と磁界の強さの関係図
【図13】本発明の効果を模式的に示す説明図
【図14】磁石により鋼板が磁気的に飽和することを確
認するためのシュミレ−ションにおける解析モデルを示
す説明図
認するためのシュミレ−ションにおける解析モデルを示
す説明図
【図15】図14の解析で得られた磁界の分布を示す説
明図
明図
【図16】高周波電流導通路によって鋼板に及ぼされる
磁気圧力を算定するためのシュミレ−ションにおける解
析モデルを示す説明図
磁気圧力を算定するためのシュミレ−ションにおける解
析モデルを示す説明図
【図17】図16の解析において、鋼板がセンタ位置に
ある場合の磁気圧力を示すグラフ
ある場合の磁気圧力を示すグラフ
【図18】図16の解析において、鋼板がセンタ位置よ
り5mmずれた場合の磁気圧力の分布を示すグラフ
り5mmずれた場合の磁気圧力の分布を示すグラフ
【図19】図16の解析モデルにおいて、鋼板がセンタ
位置より10mmずれた場合の磁気圧力の分布を示すグ
ラフ
位置より10mmずれた場合の磁気圧力の分布を示すグ
ラフ
1…鋼板、2a、2b…高周波電流導通路、3…磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢田 明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 連続通板する鋼板の前面側および後面側
に、鋼板を挾んで略対向するようにして鋼板面に平行な
高周波電流導通路を鋼板面に近接して配置するととも
に、該高周波電流導通路近傍における鋼板幅方向の両側
外方に、鋼板幅方向を挾んで略対向するようにして磁石
のN極およびS極を配置し、該磁石により鋼板を磁気的
に十分飽和させた状態で、鋼板前面側および後面側の前
記高周波電流導通路に同位相の高周波電流を通電して鋼
板に逆位相の高周波電流を誘導させ、この誘導電流と前
記各高周波電流導通路の高周波電流との相互作用により
鋼板面に働く磁気圧力を発生させ、鋼板両面に作用する
磁気圧力により鋼板の幅方向での板反りと振動を抑制す
ることを特徴とする連続通板する鋼板の振動および板反
り防止方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3180419A JP2570924B2 (ja) | 1991-06-25 | 1991-06-25 | 連続通板する鋼板の振動および板反り防止方法 |
CA002072200A CA2072200C (en) | 1991-06-25 | 1992-06-24 | Method for controlling coating weight on a hot-dipping steel strip |
CA002072210A CA2072210A1 (en) | 1991-06-25 | 1992-06-24 | Method for continuously moving a steel strip |
KR1019920011047A KR930000171A (ko) | 1991-06-25 | 1992-06-24 | 강대의 연속 이동방법 |
EP92110667A EP0521385A1 (en) | 1991-06-25 | 1992-06-25 | Method for damping vibration of a continuously moved steel strip |
US08/150,759 US5384166A (en) | 1991-06-25 | 1993-11-10 | Method for controlling coating weight on a hot-dipped steel strip |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3180419A JP2570924B2 (ja) | 1991-06-25 | 1991-06-25 | 連続通板する鋼板の振動および板反り防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH051362A true JPH051362A (ja) | 1993-01-08 |
JP2570924B2 JP2570924B2 (ja) | 1997-01-16 |
Family
ID=16082933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3180419A Expired - Lifetime JP2570924B2 (ja) | 1991-06-25 | 1991-06-25 | 連続通板する鋼板の振動および板反り防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2570924B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1728888A1 (fr) | 2005-06-02 | 2006-12-06 | CENTRE DE RECHERCHES METALLURGIQUES a.s.b.l., CENTRUM VOOR RESEARCH IN DE METALLURGIE v.z.w. | Dispositif pour la stabilisation pneumatique d'une bande métallique en défilement continu |
US10550459B2 (en) | 2016-01-29 | 2020-02-04 | Centre De Recherches Metallurgiques Asbl-Centrum Voor Research In De Metallurgie Vzw | Device for hydrodynamic stabilization of a continuously travelling metal strip |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6181808A (ja) * | 1984-09-09 | 1986-04-25 | Kayaba Ind Co Ltd | 車高調整方法 |
-
1991
- 1991-06-25 JP JP3180419A patent/JP2570924B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6181808A (ja) * | 1984-09-09 | 1986-04-25 | Kayaba Ind Co Ltd | 車高調整方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1728888A1 (fr) | 2005-06-02 | 2006-12-06 | CENTRE DE RECHERCHES METALLURGIQUES a.s.b.l., CENTRUM VOOR RESEARCH IN DE METALLURGIE v.z.w. | Dispositif pour la stabilisation pneumatique d'une bande métallique en défilement continu |
US10550459B2 (en) | 2016-01-29 | 2020-02-04 | Centre De Recherches Metallurgiques Asbl-Centrum Voor Research In De Metallurgie Vzw | Device for hydrodynamic stabilization of a continuously travelling metal strip |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2570924B2 (ja) | 1997-01-16 |
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