JPH05134740A - 故障診断方法および装置 - Google Patents

故障診断方法および装置

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JPH05134740A
JPH05134740A JP3319753A JP31975391A JPH05134740A JP H05134740 A JPH05134740 A JP H05134740A JP 3319753 A JP3319753 A JP 3319753A JP 31975391 A JP31975391 A JP 31975391A JP H05134740 A JPH05134740 A JP H05134740A
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Hajime Nishidai
元 西台
Susumu Ishiguro
進 石黒
Maki Arao
真樹 荒尾
Atsushi Irie
篤 入江
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誤診断を生じることなく常に正しく異常を検
知でき,しかも異常が検知されたときには迅速に異常部
位を特定できるようにする。 【構成】 出力信号の状態,その遷移の順序および遷移
のために許される時間を含む異常判定用基準データと,
この基準データにおける出力信号の各状態に対応して,
期待される入力信号の状態を表わした異常箇所検知用基
準データとをあらかじめ作成しておく。制御装置の実際
の出力信号の状態,その遷移の順序および遷移時間を上
記異常判定用基準データと比較し,出力信号における異
常を検知する。異常を検知すると,次に,制御装置の実
際の入力信号の状態と上記異常箇所検知用基準データに
おける入力期待信号の状態とを比較することにより異常
が発生した箇所を入力信号に関連して特定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は故障診断方法および装置に関
し,とくにプログラマブル・ロジック・コントローラ
(以下,単にPLCという)に内的または外的に付加さ
れ,PLCが制御するシステム(機器を含む)の故障を
診断するために好適な方法および装置に関する。
【0002】
【背景技術とその問題点】PLCによって制御されるシ
ステムの動作の異常を早期に発見するために,PLCの
プログラム中に異常検知(故障診断)機能を含ませる,
または故障診断ユニットをPLCに付加することが要求
され,その要請は日々強くなってきている。
【0003】これに対処するために,PLCによって制
御されるシステムの正常な動作状態をあらかじめ観察
し,その結果を記憶しておく。そして,システムの実際
の動作をモニタし,これをあらかじめ記憶してある正常
な動作状態と照合することにより,システムの異常を実
時間で検知する方法が提案されてきている。
【0004】正常な動作状態を表わす指標として,PL
Cの入,出力信号のオン,オフ状態,この状態が遷移す
る順序,および状態遷移に要する時間(標準値と許容幅
または最小値と最大値)等が考えられている。
【0005】しかしながら,各動作状態ごとの入力信号
と出力信号の両方の状態を一緒に判定基準として作成し
ておくと,次のような場合に誤診断が生じる。
【0006】たとえば3台の油圧(または空圧)シリン
ダのロッドが進出端に至ったことをそれぞれ検知する3
個のリミット・スイッチSW1,SW2,SW3が設け
られているとする。これらの3個のリミット・スイッチ
SW1〜SW3のすべてがオンとなるという条件(AN
D条件)で機器の次の動作が起動されるようにプログラ
ムされている。このような場合に,3個のリミット・ス
イッチSW1〜SW3がオンとなる順序が一定していれ
ば問題はない。しかし,シリンダの動作のばらつき,そ
の他の原因で一定していない場合には3個のリミット・
スイッチSW1〜SW3がオンとなるすべての順序の組
合せを監視しなければならない。もし,入力信号の動作
状態として,リミット・スイッチSW1,SW3,SW
2の順にオンとなるという状態遷移のみを判定基準とし
て登録していたとすると,これらのリミット・スイッチ
がSW3,SW2,SW1の順にオンとなった場合には
異常ありと誤検知してしまう。
【0007】このようにPLCの入力信号の状態遷移の
監視は誤診断の危険性を内包している。したがって,監
視対象から入力信号の状態遷移を外し,PLCの出力信
号の状態遷移のみを監視対象に限定せざるを得ないとい
う問題がある。
【0008】しかしながら実際のシステムの故障の原因
には,入力センサの故障,信号線の断線,機器の動作が
不充分なためにリミット・スイッチ等がこれを検出でき
ない場合等,PLCの入力信号の異常に基づくものが多
く含まれている。
【0009】このため,PLCの出力信号の状態遷移の
みの監視を行っていた場合には,異常が発生したとき
に,どこに異常が発生したのかという異常部位の特定が
煩雑ないしは困難となる。すなわち,異常が検知された
ときに,そのときの入出力信号の状態とPLCのプログ
ラム・リストとを順次照合しながら異常箇所をつきとめ
ていくという作業が必要となる。
【0010】実際のPLC制御では,図11に示すラダー
図のように,入力信号を補助リレーを何段も中継して出
力を制御しているため,プログラム・リスト中に散在す
る関連する記述を順次さぐっていかなければならない。
図11において,出力1において異常が検知された場合
に,矢印で示すように,補助リレーB,Aに異常(N
G)があることを特定しながら(他の接点は正常:OK
である),故障原因であるリミット・スイッチSWまで
たどりつくための作業が必要である。
【0011】このために,異常検出したのちに行われる
故障の修理,システムの立上げに長い時間を要する。
【0012】
【発明の概要】この発明は誤診断を生じることなく常に
正しく異常を検知でき,しかも異常が検知されたときに
は迅速に異常部位を特定できる故障診断方法および装置
を提供するものである。
【0013】この発明による故障診断方法では,制御装
置の出力基準パターンの遷移に関する異常判定用基準デ
ータと,この異常判定用基準データにおける各出力基準
パターンに対応する上記制御装置の入力期待パターンを
含む異常箇所検知用基準データとをあらかじめ作成して
記憶しておく。そして,上記制御装置の動作中におい
て,上記制御装置の出力パターンの遷移を上記異常判定
用基準データと照合することにより,上記制御装置によ
って制御されるシステムの異常の有無を判定する。異常
有と判定したときには,そのときの上記制御装置の入力
パターンを,対応する入力期待パターンと照合すること
により,異常を生じた部位を特定するものである。
【0014】この発明による故障診断装置は,制御装置
の出力基準パターンの遷移に関する異常判定用基準デー
タをあらかじめ記憶する第1の記憶手段,上記異常判定
用基準データにおける各出力基準パターンに対応する上
記制御装置の入力期待パターンを含む異常箇所検知用基
準データをあらかじめ記憶する第2の記憶手段,上記制
御装置の動作中において,上記制御装置の出力パターン
の遷移を上記異常判定用基準データと照合することによ
り,上記制御装置によって制御されるシステムの異常の
有無を判定する手段,および異常有と判定したときに
は,そのときの上記制御装置の入力パターンを,対応す
る入力期待パターンと照合することにより,異常を生じ
た部位を特定する手段を備えている。
【0015】上記制御装置はたとえばプログラマブル・
ロジック・コントローラ(PLC)である。
【0016】この発明の一実施態様においては,異常有
と判定したときにその旨が出力装置(表示装置,プリン
タ等)から可視的に出力される。
【0017】異常発生部位が特定されたときにはその部
位もまた出力装置から可視的に出力される。
【0018】この発明の他の実施態様においては,上記
制御装置の出力パターンが所定時間以内に遷移したかど
うか,および遷移した場合には遷移後の出力パターンが
それに対応する上記出力基準パターンと一致するかどう
かによって異常の有無が判定される。
【0019】この場合には,上記異常判定用基準データ
は,上記出力基準パターンとその順序を表わすデータ,
および出力基準パターンの遷移時間に関するデータを含
むことになる。
【0020】上記異常箇所検知用基準データにおける入
力期待パターンとしては,正常動作状態において上記制
御装置の出力基準パターンが遷移したときの入力パター
ンをあらかじめ登録しておけば充分である。
【0021】この発明によると異常検知(故障診断)の
ための監視対象を制御装置が被制御システムを制御する
ために出力する信号に絞っている。これは被制御システ
ムから制御装置に入力する信号を監視対象とすることを
排除する趣旨ではないが,出力信号のみを監視すれば異
常検知の目的のためには充分であることを意味してい
る。
【0022】この発明によると,制御装置の出力信号を
監視対象としているから,制御装置の動作時の実際の出
力信号のパターンを出力基準パターンの遷移に関する異
常判定用基準データと照合すればよいので,処理装置
(とくにCPU)の負担を軽減することができる。
【0023】また,この発明によると出力パターンの監
視によって異常を検知したときにはじめて入力信号に関
する入力期待パターンを含む異常箇所検知用基準データ
を参照している。
【0024】この発明は原則的には1つの出力基準パタ
ーンには1つの入力期待パターンが対応することを前提
としている。異常箇所検知用基準データにおいては各出
力基準パターンに対応して入力期待パターンが登録され
ている。したがって,実際の出力パターンと出力基準パ
ターンとの照合により異常の発生が検知されると,その
ときの実際の入力パターンと入力期待パターンとを照合
することにより,異常の発生した部位を特定することが
できる。上述のように異常は,入力センサの故障,信号
線の断線,機器の動作不充分に起因するセンサによる検
知の失敗等に原因があることが多く,これらの原因は入
力信号の状態に反映される。実際の入力パターンと入力
期待パターンとの照合により迅速に異常発生箇所の特定
を行うことができるようになる。
【0025】異常発生箇所が迅速にかつ自動的に抽出さ
れ,出力(表示)されるので,保守,復旧作業に要する
時間を短縮することが可能となる。
【0026】もっともこの発明は1つの基準パターンに
複数の入力期待パターンが対応することを排除するもの
ではない。2つ以上の入力信号のOR条件によって何ら
かの動作を起動または制御するための出力信号が発生す
ることがある。このような条件は制御プログラムの作成
時点であらかじめ分っていることが多いので,異常箇所
検知用基準データには,1つの出力基準パターンに対応
して複数の入力期待パターンをあらかじめ登録しておけ
ばよい。
【0027】異常箇所検知用基準データは異常が検知さ
れた場合にのみ参照すればよいから,そのデータにアク
セスするための時間が多少かかってもよい。これに対し
て,異常判定用基準データは制御装置の動作中にリアル
・タイムで参照する必要がある。
【0028】したがって,異常判定用基準データを内部
メモリに格納し,異常箇所検知用基準データを,サポー
ト・ツールのメモリ,メモリ・カード等の外部メモリに
格納しておくという運用が可能となる。これによって,
制御装置の動作実行中に参照するメモリの記憶容量を削
減することが可能となる。
【0029】この発明はさらに上述した異常箇所検知用
基準データを作成するための方法を提案している。
【0030】この方法は,被制御システムとその動作を
制御する制御装置とを正常に動作させておき,上記シス
テムを制御するための上記制御装置の出力信号の状態が
変化したときに,そのときの上記制御装置の入力信号の
状態を入力期待パターンとして取込み,この入力期待パ
ターンを用いて異常箇所検知用基準データを作成するも
のである。
【0031】上記制御装置がPLCの場合には,この発
明による異常箇所検知用基準データ作成方法は次のよう
に表現することができる。
【0032】すなわち,この方法は,入出力信号の状態
を記憶する入出力テーブルを有し,あらかじめ定められ
たプログラムにしたがって上記システムを制御するPL
Cを用い,上記PLCに上記プログラムにしたがう上記
システムの正常な制御動作を行わせておき,上記入出力
テーブルに記憶されている入出力信号の状態を所定のサ
ンプル周期ごとに読出し,読出した状態データにおい
て,出力信号の状態が変化したときの入力信号の状態を
入力期待パターンとして異常箇所検知用基準データを作
成するものである。
【0033】この発明によると,作業員の負担を軽くし
て異常箇所検知用基準データを作成することができる。
【0034】
【実施例の説明】
(1) 故障診断装置の構成例 図1は故障診断装置の概略構成を示すものである。
【0035】この故障診断装置はプログラマブル・ロジ
ック・コントローラ(PLC)の本体部分と一体的に構
成されている。すなわち,PLC本体に故障診断機能が
付加された構成となっている。もちろん,故障診断装置
をPLC本体とは別ユニットとして構成することができ
るのはいうまでもない。
【0036】故障診断機能をもつPLC10はCPU11,
ROM12,RAM13,14,タイマ15,I/O(入出力)
ユニット(インターフェイス)16,および操作部I/F
(インターフェイス)17から構成されている。
【0037】ROM12にはラダー制御システム・プログ
ラムと故障診断プログラムとが格納されている。
【0038】RAM13には,ユーザが被制御システムの
制御のために作成したユーザ・プログラム(ラダー・プ
ログラム)を格納するエリア,および異常判定用基準デ
ータを格納するエリアが設けられている。RAM14は作
業(ワーク)用であり,PLCの実際の入出力信号の状
態を保持するI/Oテーブルや故障診断処理において用
いるサンプルされた入出力信号を記憶するために用いら
れる。
【0039】CPU11はROM12に格納されているシス
テム・プログラムおよびRAM13に格納されているユー
ザ・プログラムにしたがって被制御システムを制御する
とともに,ROM12に格納されている故障診断プログラ
ムにしたがってRAM13に格納されている異常判定用基
準データを用いて故障診断処理を行う。
【0040】タイマ15は故障診断において出力パターン
の遷移に要した時間の計時等のためのものである。
【0041】I/Oユニット16はPLCI/Oデータ・
バスを介して被制御システムと入,出力信号の送受を行
うものである。
【0042】PLC10は操作部I/F17を介してコンソ
ール20と接続されている。コンソール20にはコンピュー
タ本体(いわゆるパーソナル・コンピュータ等),キー
ボード等の入力装置,表示装置やプリンタ等の出力装
置,ハードディスクやフロッピィ・ディスクを含む記憶
装置等が含まれる。この記憶装置に異常箇所検知用基準
データが格納される。PLC10のCPU11は異常を検知
したときにこの異常箇所検知用基準データを参照して異
常箇所を特定する処理を行う。もっとも,この異常箇所
検知用基準データは異常判定用基準データとともにRA
M13に格納するようにしてもよい。
【0043】コンソール20の入力装置はPLC10に設定
すべきユーザ・プログラムの設定,上述した基準データ
をPLC10に作成させる指令の入力等の操作入力を入力
するために用いられる。コンソール20の出力装置(表示
装置またはプリンタ)は異常が発生した旨の報知,発見
した故障箇所の報知等の出力のために用いられる。
【0044】故障診断装置がPLCと別体のユニットと
して構成された場合には,この装置は故障診断処理を実
行するCPU,故障診断プログラムを格納したROM,
タイマ,異常判定用基準データを格納するRAM,およ
び異常箇所検知用基準データを格納するRAMまたは他
の記憶装置によって構成されるであろう。この故障診断
装置はPLCのI/Oテーブルを一定周期でアクセスす
ることにより実際の出力パターンを取込むことになるで
あろう。
【0045】(2) 被制御システムの構成およびその制御
の例 図2は被制御システムの一例を示している。
【0046】ワークWは搬送コンベア91によって搬送さ
れる。この搬送コンベア91は第1のモータ(M1)72に
よって駆動される。搬送コンベア91の途上において,ワ
ークWの存在の検出およびワークWに付いているバリの
検出が自動的に行われる。そのために第1のワーク検出
器55およびバリ検出器56が配置されている。ワークWに
バリが付いていることまたは所定量よりも大きいバリが
あることが検知された場合には,そのワークWは不良排
除空圧シリンダ73によってコンベア91上から排除され
る。このシリンダ73の動作中はモータ72の回転が停止さ
れ,コンベア91は止る。
【0047】搬送コンベア91によってその終端まで搬送
されたワークWは搬送台92上に移される。コンベア91の
終端付近まで搬送されたワークWを検出するための滞留
検出器57が設けられている。滞留検出器57がワークWを
検知している状態が一定時間以上連続した場合には,操
作盤90の異常ランプ71が点灯する。
【0048】搬送コンベア91から搬送台92上に移送され
たワークWを検出するために第2のワーク検出器58が設
けられている。このワーク検出器58によってワークWが
検知されると,投入空圧シリンダ75が駆動され,この投
入シリンダ75のロッドによって,ワークWは搬送台92上
を加工台93に向って押出される。加工台93上に移された
ワークWは第3のワーク検出器61によって検知される。
【0049】ワークWが加工台93上に移されると,その
ワークWを固定する治具77がワークWを締付ける方向に
駆動される。また,第2のモータ(M2)78が回転駆動
され,モータ78の回転軸に固定されたドリル79がモータ
78とともに下降して,ワークWに穴があけられる。穴あ
け作業ののち,ドリル79がモータ78とともに上昇し,モ
ータ78の回転が停止する。穴加工されたワークは最後に
排出空圧シリンダ81によって加工台93から排出される。
【0050】操作盤90には運転スイッチ50,停止スイッ
チ51,解除スイッチ52,運転中ランプ70および異常ラン
プ71が設けられている。運転スイッチ50がオンとされる
ことにより,モータ72の起動から始まる上述した一連の
工程が開始されるとともに運転中ランプ70が点灯する。
また,停止スイッチ51がオンとされると,上記工程の動
作が停止するとともに運転中ランプ70が消灯する。上述
したように,滞留検出器57の検出信号が一定時間以上連
続すると異常ランプ71が点灯し,運転中ランプ70が消灯
する。この状態において解除スイッチ52がオンとされる
と異常ランプ71が消灯する。
【0051】不良排出シリンダ73にはそのロッドが進出
(前進)してその前進端に至ったことを検知する不良前
端検出器,およびロッドが後退してその後退端に至った
ことを検出する不良後端検出器(いずれも図示略)が設
けられている。同じように投入シリンダ75には投入前端
検出器および投入後端検出器が,排出シリンダ81には排
出前端検出器および排出後端検出器(いずれも図示略)
がそれぞれ設けられている。さらにドリル79(およびそ
れが取付けられたモータ78)が上昇してその上昇端に至
ったことを検出するドリル上端検出器,および下降して
その下降端に至ったことを検出するドリル下端検出器
(いずれも図示略)が設けられている。
【0052】この被制御システムからPLC10へ入力す
る信号には次のものがある。先頭の(000)〜(01
5)は入力信号の番号である。また,末尾の( )内は
省略表現である。
【0053】(000)運転スイッチ50のオン/オフ信
号(運転SW) (001)停止スイッチ51のオン/オフ信号(停止S
W) (002)解除スイッチ52のオン/オフ信号(解除S
W) (003)不良前端検出器の検出信号(不良前端) (004)不良後端検出器の検出信号(不良後端) (005)第1のワーク検出器55のワーク検出信号(検
出1) (006)バリ検出器56のバリ検出信号(バリ検出) (007)滞留検出器57の検出信号(滞留検出) (008)第2のワーク検出器58のワーク検出信号(検
出2) (009)投入前端検出器の検出信号(投入前端) (010)投入後端検出器の検出信号(投入後端) (011)第3のワーク検出器61のワーク検出信号(検
出3) (012)ドリル上端検出器の検出信号(ドリル上端) (013)ドリル下端検出器の検出信号(ドリル下端) (014)排出前端検出器の検出信号(排出前端) (015)排出後端検出器の検出信号(排出後端)
【0054】PLC10からこの被制御システムに出力さ
れる信号には次のものがある。先頭の(100)〜(1
12)は出力信号の番号である。また末尾の( )内は
省略表現である。
【0055】(100)運転中ランプ70のオン/オフ制
御信号(運転中L) (101)異常ランプ71のオン/オフ制御信号(異常
L) (102)第1のモータ72の回転駆動制御信号(M1回
転) (103)不良排除シリンダ73の前進駆動制御信号(不
良前進) (104)不良排除シリンダ73の後退駆動制御信号(不
良後退) (105)投入シリンダ75の前進駆動制御信号(投入前
進) (106)投入シリンダ75の後退駆動制御信号(投入後
退) (107)固定治具77の締付け駆動制御信号(治具締
め) (108)第2のモータ78の回転駆動制御信号(M2回
転) (109)ドリル79の上昇駆動制御信号(ドリル上昇) (110)ドリル79の下降駆動制御信号(ドリル下降) (111)排出シリンダ81の前進駆動制御信号(排出前
進) (112)排出シリンダ81の後退駆動制御信号(排出後
退)
【0056】図3は上述した被制御システムを制御する
PLC10に設定されたプログラム(ユーザ・プログラ
ム)の一部を示すものである。このプログラムは入力信
号によりオン,オフされる接点,出力信号を発生するリ
レー,このリレーによってオン,オフされる接点,なら
びに内部補助リレーおよびその接点を用いて表現されて
いる。
【0057】図3に示された内部補助リレーおよびその
接点の意味は次の通りである。セット中は,穴あけ加工
全体の開始を表わし,穴あけ加工,ワークの排出が終了
するまでオンとされる。セット完は,ワークの加工台へ
のセットが終了したことを表わす。加工完は,ワークの
加工台からの排出が終了したことを表わす。投入記憶
は,ワークを加工台へ投入したことを表わし,加工,排
出が終了するまでオンとされる。
【0058】図4は穴あけ加工全体(投入シリンダ75に
よるワークWの搬送台92から加工台93への搬送,治具77
によるワークWの固定,モータ78とドリル79によるワー
クWの穴あけ,排出シリンダ81による穴あけ加工済ワー
クの加工台93からの排出)の動作を示すものである。P
LC10への入力信号とPLC10からの出力信号が示され
ている。また,時間の推移にしたがって出力信号の状態
(出力パターン)が遷移する様子が示されている。遷移
する出力信号の各状態(破線が引かれた位置における信
号の状態)に[1]〜[7]の番号が割当てられてい
る。これらの各状態を以下ではステートと呼ぶことにす
る。
【0059】入力信号「検出2」の立上りをトリガとし
て,後述するステート[7]からステート[1]に移る
(トリガとなる入力信号と出力信号との関連を鎖線と矢
印で示す)。このステートの遷移は図3に示すアドレス
00039のプログラムによって実行される。第2ワー
ク検出器58がワークWを検知すると投入シリンダ75のロ
ッドが進出し,ワークWを加工台93の方向に押し出す。
【0060】次に,投入シリンダ75のロッドがその前進
端に至ったことが投入前端検出器によって検知されると
(入力信号「投入前端」オン),ステート[1]からス
テート[2]に遷移し,投入シリンダ75のロッドは前進
動作を停止して後退動作を開始し,治具77が加工台93に
送られてきたワークの固定を開始し,さらにモータ78が
回転駆動される。これは図3に示すアドレス00052
等のプログラムにしたがって実行される。
【0061】投入シリンダ75のロッドが後退端に至った
ことが投入後端検出器によって検知されると(入力信号
「投入後端」オフ),ステート[2]からステート
[3]に遷移し,投入シリンダ75の後退動作が停止し,
ドリル79が下降を開始する。これにより,ドリル79によ
ってワークWに穴があけられていく。
【0062】ドリル下端検出器によってドリル79が下降
端に達したことが検知されると(入力信号「ドリル下
端」オン),ステート[3]からステート[4]に遷移
し,ドリル79の下降が停止してドリル79は上昇を開始す
る。
【0063】ドリル上端検出器によってドリル79が上昇
端に達したことが検知されると(入力信号「ドリル上
端」オン),ステート[4]からステート[5]に遷移
し,治具77がワークを離し,モータ78の回転が停止し,
ドリル79の上昇が停止し,排出シリンダ81のロッドが前
進を開始する。排出シリンダ81のロッドの前進により,
穴あけ加工されたワークWは加工台93から排出されるこ
とになる。
【0064】排出前端検出器によって排出シリンダ81の
ロッドが前進端に至ったことが検知されると(入力信号
「排出前端」オン),ステート[5]からステート
[6]に遷移し,排出シリンダ81の前進が停止し,後退
を開始する。
【0065】排出後端検出器によって排出シリンダ81の
ロッドが後退端に達したことが検知されると(入力信号
「排出後端」オン),ステート[6]からステート
[7]に遷移する。以上で,1回の穴あけ工程が終了す
る。
【0066】(3) 故障診断処理 図2に示す被制御システムにおて,バリ検出に基づく不
良排除シリンダ73による不良品排除の制御と,上述した
穴あけ加工制御とは相互に殆ど関連性がない。したがっ
て,不良品排除動作の故障診断と穴あけ加工動作の故障
診断とは別個独立に行うことが可能である。以下では穴
あけ加工動作の故障診断に限って説明することとする。
それによってもこの発明の本質を完全に理解でき,かつ
当業者がこの発明を実施することができるからである。
【0067】図5は異常検知のための異常判定用基準デ
ータの一部を示している。異常判定用基準データはステ
ートごとに設けられており,そのステートの出力パター
ン・データ,前ステートからの平均遷移時間および遷移
時間の変動許容幅から構成されている。
【0068】出力パターン・データは監視の対象となる
すべての出力信号の状態を表わしたデータの集まりであ
る。各出力信号の状態は1ビットで表現され,この実施
例ではオン状態が1で,オフ状態が0でそれぞれ表わさ
れている。
【0069】図6は,上述した7つのステート[1]〜
[7]の出力パターン・データを異常判定用基準データ
から抽出してまとめたものであり,図4に示す8種類の
出力信号の状態を表わしている。図4に示すタイミング
・チャートと図6のテーブルとを比較することによりそ
の対応関係が容易に理解できるであろう。
【0070】このような出力パターン・データは被制御
システムをPLC10の制御の下で実際に稼動し,それが
正常に動作したときの出力信号の状態を,それが変化し
たときに抽出することにより作成することができる。最
も一般的にはPLC10のRAM14に設けられているI/
Oテーブルを一定周期でサンプリングし,これを加工す
ることにより作成することができる。詳細については異
常箇所検知用基準データの作成の説明において述べる。
【0071】前ステートからの平均遷移時間は,前ステ
ートから当該ステートに移るのに要する平均的な時間で
ある。これは被制御システムをPLC10の制御の下で繰
返し稼動し,正常に動作したときの遷移時間の平均値を
算出することにより求めることができる。もちろん,タ
イマの設定時間のようにあらかじめ分っている場合,理
論的に容易に求めることができる場合にはユーザが入力
してもよい。
【0072】遷移時間の変動許容幅は,実際の遷移時間
の上記平均遷移時間からのずれの許容範囲を表わすもの
で,一般にはユーザによって入力されるであろう。もっ
とも,すべての許容幅を平均遷移時間に比例する値とし
て,この比例定数を一律に定めるようにしてもよい。
【0073】遷移時間に関するデータとしては,上述し
た平均値と許容幅の組合せ以外に,たとえば基準値と下
側許容幅と上側許容幅との組合せ,最大値と最小値の組
合せなどを用いることもできる。
【0074】異常箇所検知用基準データは上述した各ス
テートの異常判定用基準データごとにそれに対応する入
力信号の期待状態(入力期待パターン)を表わすデータ
によって構成される。すなわち,異常箇所検知用基準デ
ータはステートごとにあらかじめ設定された入力期待パ
ターンからなる。
【0075】異常箇所検知用基準データは上述した異常
判定用基準データを用いた異常検知処理において異常が
検知されたときにその検知された異常の原因となる箇所
ないしは部位を特定するために用いられる。したがっ
て,原則的には,監視の対象となっている出力信号に直
接または間接に影響を及ぼす入力信号のすべてが選択さ
れる。しかしながら,異常箇所特定処理から漏れても問
題のない部位に関する入力信号を意識的に外すこともで
きる。監視の対象となっている出力信号に関連性のない
入力信号は選択する必要はない。たとえば,図2に示す
穴あけ加工工程と不良ワーク排除工程とは関連性が無い
ので,穴あけ加工工程に関する異常判定用基準データに
関連させてワーク排除工程に関する入力信号を異常箇所
検知用基準データ中に含まれる必要はない。
【0076】場合によっては1つの出力基準パターンに
対応して複数の入力期待パターンが存在しうることがあ
る。複数の入力信号のOR条件によって次のステートに
進むような場合である。このような場合には,1ステー
トの異常判定用基準データに対応させて複数の入力期待
パターンをあらかじめ登録しておく。
【0077】図7は異常箇所検知用基準データの一例を
示すものであり,図6に示す各ステートに対応する入力
期待パターンから構成されている。この入力期待パター
ンにおいても各入力信号の期待状態は1ビットで表現さ
れ,オンが1,オフが0によってそれぞれ表わされてい
る。図4に示す入力信号のタイミング・チャートと図7
のテーブルを比較することにより,それらの対応関係が
容易に理解できるであろう。
【0078】このような入力期待パターンを含む異常箇
所検知用基準データは,被制御システムをPLC10の制
御の下に稼動させておき,被制御システムが正常に動作
している場合において,出力信号の状態が変化したとき
の入力信号の状態を読取り,出力信号の状態遷移に関す
る異常判定用基準データに対応して読取った入力信号の
状態を記憶することにより作成することができる。
【0079】とくにPLC10による被制御システムの制
御においては,PLC10のRAM14にI/Oテーブルが
設けられているので,このI/Oテーブルを利用して,
図6に示す出力基準パターンと図7に示す入力期待パタ
ーンとを次のようにして作成することができる。
【0080】PLC10の制御の下に被制御システムを稼
動する。被制御システムが正常に動作しているときの入
出力信号の状態を記憶しているRAM14内のI/Oテー
ブルのデータを一定のサンプリング時間ごとに読出す。
読出した入,出力信号の状態のうちで出力信号の状態に
変化があったかどうかを調べる。出力信号の状態に変化
があったときには,変化後の出力信号の状態を出力基準
パターンとしてステート番号に対応して記憶し,異常判
定用基準データの一部を作成する。また出力信号の状態
が変化した直後の入力信号の状態を入力期待パターンと
して上記ステート番号に対応させて記憶することにより
異常箇所検知用基準データを作成する。
【0081】上述したように異常検知処理において常時
参照するのは異常判定用基準データである。このためこ
の異常判定用基準データについてはCPU11によって迅
速にアクセス可能なRAM13に格納しておくことが好ま
しい。これに対して異常箇所検知用基準データは異常が
検知されたときにはじめて参照されるものであるから,
必ずしも高速性が要求されずコンソール20の記憶装置
(ハードディスク,フロッピィ・ディスク等)に格納す
ることができる。もちろん,異常箇所検知用基準データ
をRAM13に格納しておいてもよいのはいうまでもな
い。
【0082】図8はPLC10のCPU11によって実行さ
れる故障診断処理のアルゴリズムを示すものである。
【0083】PLC10の機能の一部として故障診断機能
が付加されている場合にはそのCPU11は,故障診断処
理の他に,PLC本来の処理すなわち図3にその一部を
示すユーザ・プログラムにしたがう被制御システムの制
御処理を実行する。CPU11は一定周期(サイクル)で
一連の処理を繰返しており,各サイクルの前半部分で被
制御システムの制御処理を,後半部で故障診断処理をそ
れぞれ実行する。したがって,図8に示す故障診断処理
は一定周期で繰返される。
【0084】図8に示す故障診断処理は異常検知処理と
異常箇所特定処理とから構成されている。異常検知処理
は異常判定用基準データを参照して行われる。異常判定
用基準データは上述のように出力信号の状態にのみ関係
している。このように,出力信号の状態のみを監視して
も充分に異常の発生を検知することが可能である。異常
検知処理はリアル・タイムで実行しなければならない。
異常検知処理において出力信号状態のみを監視するよう
にすることにより,処理の迅速化を図ることができ,C
PU11の負担が軽減する。図8に示すこの実施例の異常
検知処理では,ステートの遷移の順序と遷移時間のチェ
ックとが行われる。異常検知処理において異常が検知さ
れたときにはじめて異常箇所検知用基準データを参照し
た異常箇所の特定処理に進む。
【0085】RAM14のI/Oテーブルから出力信号の
状態(出力パターン)が読取られる(サンプルする)
(ステップ101 )。RAM14の所定エリアには前回サン
プルした出力パターンが記憶されているので,前回のサ
ンプル・パターンと今回のサンプル・パターンとが比較
される(ステップ102 )。
【0086】タイマ15は前ステートから現ステートに遷
移したときに起動され,現ステートに遷移した時点から
の時間を計時している。
【0087】ステップ102 において前回のサンプル・パ
ターンと今回のサンプル・パターンとが同一であると判
定された場合には,現ステートから次のステートに遷移
するのに許される時間の範囲内かどうかがチェックされ
る(ステップ106 )。
【0088】すなわち,現ステートをステート[i]と
する。次のステートはステート[i+1]である。タイ
マ15は前ステート[i−1]から現ステート[i]に遷
移した時点からの時間を計時している。現ステート
[i]から次ステート[i+1]に遷移するのに許され
る時間は,次ステート[i+1]の基準データ中の「前
ステートからの平均遷移時間」と「遷移時間の変動許容
幅」によって求められる。タイマ15の計時時間が次ステ
ート[i+1]の基準データから求められた遷移許容時
間の範囲内かどうかがステップ106 で判定される。
【0089】経過時間が許容範囲内であれば,今回のサ
ンプル・パターンをRAM14の上記エリアに記憶してス
テップ101 に戻ることになる(ステップ107 )。
【0090】タイマ15によって計時されている経過時間
が遷移許容時間を超えていれば,ステートが遷移するた
めに許された時間が経過しても次のステートに遷移して
いないということであるから,何らかの異常が生じたも
のと判定され,コンソール20の表示装置に異常が検知さ
れた旨および異常の生じている出力信号が表示され(ス
テップ108 ),ステップ109 から始まる異常箇所の検知
処理に進む。異常の生じている出力信号は,今回のサン
プル・パターンと次ステート[i+1]の出力パターン
との比較において,不一致の箇所として特定することが
できる。
【0091】ステップ102 において,前回サンプル・パ
ターンと今回サンプル・パターンとが異なる場合には,
出力信号の状態,すなわちステートが遷移したと判定さ
れる。この場合には,タイマ15の計時時間がステート
[i]からステート[i+1]への実際の遷移時間とし
て読取られる(ステップ103 )。また,今回のサンプル
・パターンと遷移後のステート[i+1]の基準データ
に含まれる出力パターンとが比較される(ステップ104
)。
【0092】今回のサンプル・パターンと基準出力パタ
ーンとが一致していれば(ステップ105 ),次のステッ
プ106 の遷移時間のチェックに進む。今回のサンプル・
パターンと基準出力パターンとが不一致の場合には,異
常と判定され,異常検知の旨および異常の生じている出
力信号が表示装置に表示され(ステップ108 ),ステッ
プ109 から始まる異常箇所の特定処理に進む。今回のサ
ンプル・パターンと基準出力パターンとの比較におい
て,不一致の箇所が異常出力信号に相当する。
【0093】ステート[i]からステート[i+1]に
遷移したときの遷移時間のチェックにおいても,タイマ
15から得られる実際の遷移時間が,ステート[i+1]
の基準データとして記憶されている「前ステートからの
平均遷移時間」と「遷移時間の変動許容幅」に関するデ
ータから求められる遷移許容時間の範囲内かどうかが判
定される。実際の遷移時間が遷移許容時間内であれば,
今回のサンプル・パターンがRAM14に記憶され(ステ
ップ107 ),ステップ101 に戻る。実際の遷移時間が遷
移許容時間外である場合には,異常が生じた旨および異
常出力信号がコンソール20の表示装置に表示され(ステ
ップ108 ),ステップ109 以降の異常箇所特定処理に進
む。
【0094】遷移のために要する時間の計時はタイマ15
を用いずにRAM14の所定のエリアを用いて行うことも
できるのはいうまでもない。
【0095】異常箇所の特定処理においてはまず,異常
が検知された時点における入力信号の状態(入力パター
ン)がI/Oテーブルから読出され,このサンプル入力
パターンが一時的にRAM104 に記憶される(ステップ
109)。
【0096】続いて,異常箇所検知用基準データからス
テート[i+1](遷移許容時間が経過しても現ステー
トから次ステートに遷移しない場合には該次ステートに
相当し,現ステートから次ステートに遷移はしているが
遷移に要する時間が許容時間をオーバしてしまった場合
には該次ステートに相当する:すなわちいずれの場合に
も現ステートを[i]とすれば次ステート[i+1])
における入力期待パターンが読出され,一時記憶されて
いるサンプル入力パターンと比較される(ステップ110
)。
【0097】この入力期待パターンとサンプル入力パタ
ーンとの比較において一致していない入力信号の状態が
あれば,その入力信号が異常箇所としてコンソール20の
表示装置に表示される(ステップ111 )。
【0098】ステップ108 〜111 の処理はコンソール20
内のCPUによって実行するようにしてもよい。この場
合には,PLC10のCPU11から,異常検知に関するデ
ータ(異常出力信号やステート番号)がコンソール20の
CPUに通知されよう。
【0099】一例として,遷移許容時間が経過してもス
テート[1]における出力信号「投入前進」のビットが
1にならなかった場合を想定する。
【0100】図4に示すタイミング・チャートから出力
信号「投入前進」は入力信号「検出2」をトリガとして
オンとなる。しかしながら,図3に示すラダー・プログ
ラム(アドレス00039)をみると,出力信号「投入
前進」は,入力信号「検出2」のオンのみならず,入力
信号「投入後端」がオンとなっていることも条件として
オンとなる。また,出力信号「投入前進」がオンとなる
ためには入力信号「検出3」,「投入前端」,出力信号
「投入後退」および「セット完」がオンであることも条
件である。
【0101】図9に,ステート[1]における入力期待
パターンと異常検知があったときにサンプルされたサン
プル入力パターン(異常パターン)とが並べて示されて
いる。これらのパターンを比較することにより,入力信
号「投入後端」,すなわち投入シリンダ75の投入後端検
出器に異常があることが特定される。
【0102】入力期待パターンに,出力信号に直接関係
のあるもののみならず,セット完等の補助リレーを介し
て間接的に関係のある入力信号までを含めておけば,入
力期待パターンとサンプル入力パターンとの照合によ
り,プログラム・リストをチェックする作業を行うこと
なく,故障が発生している部位を即座に特定することが
できるようになる。
【0103】図10は異常が検知されたときにコンソール
20の表示装置に表示される表示例を示している。異常が
検知されたときにまず上段の「出力:『投入前進』がオ
ンしない」という異常の発生と異常な出力信号とが表示
される(ステップ108 )。続いて異常箇所特定処理が行
われ,この処理で判明した入力信号および点検のための
ガイダンスが「『投入後端』が基準と不一致。上記信号
のセンサ/配線を点検して下さい。」と表示される(ス
テップ111 )。
【図面の簡単な説明】
【図1】故障診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】被制御システムの一例を示す構成図である。
【図3】ユーザ・プログラムの一部を示すラダー図であ
る。
【図4】被制御システムの制御動作を示すタイミング・
チャートである。
【図5】異常判定用基準データの一例を示す。
【図6】出力基準パターンの一例を示す。
【図7】異常箇所検知用基準データ(入力期待パター
ン)の一例を示す。
【図8】故障診断処理手順を示すフロー・チャートであ
る。
【図9】入力期待パターンとサンプル入力パターン(異
常パターン)とを照合する様子を示す。
【図10】異常発生時の表示例を示す。
【図11】従来の故障診断の問題点を説明するためのラ
ダー図である。
【符号の説明】
10 PLC(プログラマブル・ロジック・コントロー
ラ) 11 CPU 12 ROM 13 RAM 14 RAM 15 タイマ 20 コンソール
フロントページの続き (72)発明者 入江 篤 京都市右京区花園土堂町10番地 オムロン 株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御装置の出力基準パターンの遷移に関
    する異常判定用基準データをあらかじめ作成して記憶し
    ておき,上記異常判定用基準データにおける各出力基準
    パターンに対応する上記制御装置の入力期待パターンを
    含む異常箇所検知用基準データをあらかじめ作成して記
    憶しておき,上記制御装置の動作中において,上記制御
    装置の出力パターンの遷移を上記異常判定用基準データ
    と照合することにより,上記制御装置によって制御され
    るシステムの異常の有無を判定し,異常有と判定したと
    きには,そのときの上記制御装置の入力パターンを,対
    応する入力期待パターンと照合することにより,異常を
    生じた部位を特定する,故障診断方法。
  2. 【請求項2】 特定した異常発生部位を可視的に出力す
    る,請求項1に記載の故障診断方法。
  3. 【請求項3】 異常有と判定したときにその旨を可視的
    に出力する,請求項1に記載の故障診断方法。
  4. 【請求項4】 上記異常判定用基準データが,上記出力
    基準パターンとその順序を表わすデータ,および出力基
    準パターンの遷移時間に関するデータを含む,請求項1
    に記載の故障診断方法。
  5. 【請求項5】 上記の異常の有無の判定が,上記制御装
    置の出力パターンが所定時間以内に遷移したかどうかの
    判定,および遷移した場合には遷移後の出力パターンが
    それに対応する上記出力基準パターンと一致するかどう
    かの判定を含む,請求項4に記載の故障診断方法。
  6. 【請求項6】 被制御システムの正常な動作状態におい
    て,上記制御装置の出力基準パターンが遷移したときの
    入力パターンを入力期待パターンとして異常箇所検知用
    基準データを作成する,請求項1に記載の故障診断方
    法。
  7. 【請求項7】 異常箇所検知用基準データを,異常判定
    用基準データを記憶するメモリとは別個の外部メモリに
    記憶する,請求項1に記載の故障診断方法。
  8. 【請求項8】 上記制御装置がプログラマブル・ロジッ
    ク・コントローラである,請求項1に記載の故障診断方
    法。
  9. 【請求項9】 制御装置の出力基準パターンの遷移に関
    する異常判定用基準データをあらかじめ記憶する第1の
    記憶手段,上記異常判定用基準データにおける各出力基
    準パターンに対応する上記制御装置の入力期待パターン
    を含む異常箇所検知用基準データをあらかじめ記憶する
    第2の記憶手段,上記制御装置の動作中において,上記
    制御装置の出力パターンの遷移を上記異常判定用基準デ
    ータと照合することにより,上記制御装置によって制御
    されるシステムの異常の有無を判定する手段,および異
    常有と判定したときには,そのときの上記制御装置の入
    力パターンを,対応する入力期待パターンと照合するこ
    とにより,異常を生じた部位を特定する手段,を備えた
    故障診断装置。
  10. 【請求項10】 特定された異常発生部位を可視的に出
    力する出力手段をさらに備えた請求項9に記載の故障診
    断装置。
  11. 【請求項11】 上記第1の記憶手段と第2の記憶手段
    が別個の記憶装置である請求項9に記載の故障診断装
    置。
  12. 【請求項12】 システムとその動作を制御する制御装
    置とを正常に動作させておき,上記システムを制御する
    ための上記制御装置の出力信号の状態が変化したとき
    に,そのときの上記制御装置の入力信号の状態を入力期
    待パターンとして取込み,この入力期待パターンを用い
    て異常箇所検知用基準データを作成する,故障診断方
    法。
  13. 【請求項13】 入出力信号の状態を記憶する入出力テ
    ーブルを有し,あらかじめ定められたプログラムにした
    がってシステムを制御するプログラマブル・ロジック・
    コントローラを用い,上記プログラマブル・ロジック・
    コントローラに上記プログラムにしたがう上記システム
    の制御動作を正常に行わせておき,上記入出力テーブル
    に記憶されている入出力信号の状態を所定のサンプル周
    期ごとに読出し,読出した状態データにおいて,出力信
    号の状態が変化したときの入力信号の状態を入力期待パ
    ターンとして異常箇所検知用基準データを作成する,故
    障診断方法。
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