JPH05134402A - ドライエツチング用レジストマスク並びにそのレジストマスク樹脂組成物とそのレジストマスクを用いたドライエツチングによる微細加工方法 - Google Patents

ドライエツチング用レジストマスク並びにそのレジストマスク樹脂組成物とそのレジストマスクを用いたドライエツチングによる微細加工方法

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JPH05134402A
JPH05134402A JP3030837A JP3083791A JPH05134402A JP H05134402 A JPH05134402 A JP H05134402A JP 3030837 A JP3030837 A JP 3030837A JP 3083791 A JP3083791 A JP 3083791A JP H05134402 A JPH05134402 A JP H05134402A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】難加工性材料をドライエッチング加工する際、
マスク材のエッチング耐性を高めることにより、被エッ
チング材に対する選択比を向上させ、高精度微細加工を
可能とするレジストマスクと、このマスクを形成する樹
脂組成物と、このマスクを使用したドライエッチングに
よる微細加工方法を得ることにある。 【構成】ドライエッチング用レジストマスク樹脂組成物
2は、分子内(主鎖又は側鎖)に芳香族基を有するマト
リックスポリマーに、炭素系充填材を混合したものを主
成分とする樹脂組成物とし、これをドライエッチング耐
性の高いレジストマスク材とする。炭素系充填材を含有
したレジストマスクは、アルゴン、キセノン等の希ガス
イオンのドライエッチングに対する耐性が格段に向上
し、高精度のドライエッチング微細加工を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難加工性材料の高精度
ドライエッチング加工に用いるドライエッチング用レジ
ストマスクにかかわり、特に、磁気記憶装置に用いられ
る磁気ヘッドの精密微細加工、例えばトラック幅加工、
ヘッドスライダーレール加工に好適なドライエッチング
用レジストマスクと、それを形成するための樹脂組成物
およびそれを用いたドライエッチングによる微細加工方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ドライエッチングによる
微細加工は、高精度の加工を必要とする各種の分野で利
用されている。以下、磁気記憶装置の中で磁気デスク装
置の例を代表例として説明する。近年、磁気ディスク装
置に於いては、情報量の増大と共に、高記録密度化が要
求され、これに伴い記録媒体(磁気ディスク)への記録
ならびに記録媒体からの再生を行なう磁気ヘッドでは、
薄膜磁気ヘッドが使用されつつあり、この磁気ヘッドの
スライダーでは浮上量の低減化が要求され、浮上するス
ライダーと回転する磁気ディスク面との間隔が極めて狭
くなり、スライダー加工の微細化、高精度化が急務とな
っている。
【0003】従来から薄膜磁気ヘッドスライダーの加工
は、機械加工によって行なわれてきたが、微細化や曲面
を含む形状等の観点から最早、加工精度に限界があり新
たな加工方法の開発が望まれていた。そこで、これらの
課題に対処するため、ドライエッチングによりヘッドス
ライダーの精密パターンを形成する方法が提案されてい
る。この方法は、機械加工に較べて精度よく無歪に加工
できる点で優れているが、ドライエッチングのマスクと
して、金属薄膜パターンを用いているため、通常、磁性
材料等の難加工性材料の加工の際に一般的に用いられる
アルゴンのイオンエッチングに対し耐性が低く、0.1
μm以下の浮上量を達成出来るほどの加工精度を得るの
は困難であった。なお、この種のドライエッチングに関
するものとしては、例えば、特開昭62−124684
号公報を挙げることができる。
【0004】また、最近では、例えば、バキューム、1
988年、第38巻、第11号、第1007ページ〔V
acuum Vol.38, Number11,Pag
es1007〜1009(1988)〕や、米国特許第
4,878,290号明細書に述べられているように、
アルゴンイオンエッチングに耐性のある有機高分子材料
をマスク材に用いる検討が進められている。しかしなが
ら、この場合もアルゴンイオンのスパッタリング収率に
対する入射角依存性が大きく、このためにレジストマス
クが必然的に厚くなり加工精度がでない。これらのレジ
ストマスクとして、最近ではポリスチレン系、フェノー
ルノボラック系など分子内に芳香族基(ベンゼン核)を
有する炭化水素系マスク材等が一般的に用いられるよう
になってきた。しかし、これらのレジストマスクのアル
ゴンイオンエッチング耐性はまだ不十分でありスライダ
ー等を加工する際の加工深さが大きい場合、加工深さに
応じてマスクレジストをかなり厚く付ける必要があり、
上述のように加工精度がでない。
【0005】一方、アルゴンイオン耐性の優れたマスク
材として、カーボン膜をマスクとして用いる例がある。
緻密なカーボン膜は他のマスク材に較べてアルゴンイオ
ンに対するスパッタ収率が小さく、優れたエッチングマ
スク材となり得る。ところが、通常、緻密なカーボン膜
を形成する場合のカーボン膜の成膜速度は、静止対向型
スパッタリング装置で高速に成膜しても1時間当り1μ
m以下と非常に遅く、例えば薄膜磁気ヘッドスライダー
加工のように加工深さが20μmもある場合にはカ−ボ
ン膜の成膜に数十時間もかかってしまうという問題があ
る。また、成膜方法も真空中で行なうことからスループ
ットが問題となり、製造コスト低減のネックとなる。さ
らに、カ−ボン膜では感光性の付与が不可能なためリソ
グラフィによるパターン化が困難で、将来的なプロセス
合理化の可能性がない等の問題がある。なお、この種の
カーボンマスクに関連するものとしては、例えば特開昭
63−168810号公報が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は上記従来技術の欠点を解消することにあり、その
第1の目的は、優れたドライエッチング耐性を有するド
ライエッチング用レジストマスクを、第2の目的はこの
マスクを得るための樹脂組成物を、そして第3の目的は
このマスクを用いたドライエッチングによる微細加工方
法を、それぞれ提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ドライエ
ッチングする際に、アルゴンイオンのスパッタ収率の最
も小さい元素として炭素に注目し、これを利用した高精
度低コストドライエッチング加工プロセスの実験、検討
を進めてきた。その結果、分子内(主鎖および/または
側鎖)に、例えばベンゼン、ナフタリン、アントラセン
等のベンゼン核を有する、即ち芳香族基を有するマトリ
ックスポリマーを主成分とするドライエッチングレジス
トマスク材中に、炭素系充填材を分散、混入させたとこ
ろ、アルゴンイオン耐性を大幅に向上できることを見出
した。即ち、マトリックスポリマー中に所定量の炭素系
充填材を分散、混入させることによりドライエッチング
時の被エッチング材に対するマスクの選択比を大幅に向
上できることがわかった。
【0008】本発明は、かかる知見に基づいて為された
ものであり、上記課題を解決するための手段につき以
下、順次具体的に説明する。アルゴンイオンを用いたド
ライエッチング法は、例えば、磁気ヘッドスライダーの
レール加工や、磁気ヘッドトラック幅加工など、難加工
性材料の高精度ドライエッチ加工の際に用いられる。こ
の場合、難加工性材料とは、例えばアルミナチタンカー
バイドや酸化チタン、酸化ジルコニウム、パーマロイ等
をさす。これらの材料を加工する場合は、通常はこれら
の基板上にマスク材をリソグラフィ技術によりパターニ
ングしておき、アルゴンイオンに代表される希ガスイオ
ンや、これに四フッ化炭素など化学的にエッチングを助
長するガスを加えて、基板をドライエッチング加工す
る。この時、マスク材のエッチング耐性が小さい場合、
上記難加工性材料に対するエッチングマスク材の選択比
が小さい為、マスク表面がエッチングされる度合いを考
慮して予めマスク材の膜厚を厚くしておく必要が有る。
ところが、マスク材の膜厚が厚いと、加工時の寸法精度
が低下してしまうという問題が有る。通常はエッチング
耐性を高める為、マスク材として、分子中に芳香族基を
多く有するポリマーを用いる。
【0009】しかしながら、これらの材料では、アルゴ
ンイオンの被エッチング材への入射角が垂直からずれて
くるとドライエッチング耐性の入射角依存性が大きくな
り、被エッチング材に対する選択比が大きく低下する。
アルゴンイオンビームの入射角は、被エッチング材とマ
スク材との選択比やエッチングレート、エッチング時の
再付着現象に大きく影響する。たとえば、垂直入射では
エッチング時の再付着などの問題があり、入射角を最適
化する必要がある。通常は基板に立てた垂線から15度
から60度の範囲で用いることが好ましいが、入射角依
存性の大きいレジストではエッチング耐性が低下し、こ
の最適化の際のマ−ジンがとれない。エッチング時のマ
ージンを上げる為には、入射角依存性の小さい材料をマ
スクにする必要が有る。さらにマスク材のパタ−ン断面
は垂直でなく必ずテ−パ−角がついているため、たとえ
アルゴンイオンビ−ムを垂直入射させてもエッチング中
にテ−パ−角が変化し入射角依存性が大きくでるように
なる。
【0010】そこで、本発明では、安価に、しかも入射
角依存性の少ない高選択比の条件で高精度に難加工性材
料を加工する為、レジストマスク材中に、アルゴンイオ
ンに対するスパッタ収率の小さい炭素粉を分散、含有さ
せるものである。
【0011】すなわち、上記本発明の第1の目的は、所
定の被エッチング材となる基板上にマスクとして形成さ
れた分子内(主鎖または側鎖)に芳香族基を有するマト
リックスポリマーを主成分とするレジストマスクであっ
て、前記マトリックスポリマー中に炭素系充填剤を分
散、含有せしめて成るドライエッチング用レジストマス
クにより、達成される。耐ドライエッチング性の向上効
果としては、材料の組合せにより異なるが、最低でもド
ライエッチング用レジストマスクに対し、被エッチング
材のエッチング速度比を0.8以上にすることが可能で
ある。
【0012】そして、この炭素充填剤を含むレジストマ
スクを被エッチング基板上に形成するための樹脂組成物
を得る第2の目的は、分子内に芳香族基を有するマトリ
ックスポリマーおよびこれを溶解する溶媒を主成分とす
る樹脂組成物であって、前記樹脂組成物中に炭素系充填
剤を分散、含有せしめて成るドライエッチング用レジス
トマスク樹脂組成物により、達成される。すなわち、上
記第1の目的は、第2の目的を達成する樹脂組成物を作
成し、これを基板上に塗布するか、あるいはこの樹脂組
成物で形成しフィルムを基板にラミネートすればよい。
【0013】なお、樹脂組成物を調製する際に用いる溶
媒としては、マトリックスポリマーの種類によって異な
るが、基本的には樹脂成分を溶解し得るものであればよ
く、上記樹脂成分の溶解性、炭素系充填剤の分散性、塗
布時の成膜性等を考慮して最適化する必要が有る。一般
には、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブ
アセテート、プロピレングリコールアセテート、シクロ
ヘキサノン乳酸エチル等のエステル系溶媒が好ましい。
また、上記炭素系充填剤を凝集させずに均一に樹脂組成
物中に分散させる為には、ポリエチレングリコール系界
面活性剤等の分散剤を加えることが望ましい。
【0014】上記炭素系充填剤としては、マトリックス
ポリマーを溶解した樹脂溶液に対し分散性が良好な炭素
微粉であれば、無定形でも、結晶形でもよい。添加する
炭素微粉の粒子径は、分散性を考慮してなるべく小さい
ほうが好ましい。実用上好ましいものとしては、例えば
平均粒子径0.1μm以下のカーボンブラック、平均粒
子径0.15μm以下のダイヤモンド微粉等を挙げるこ
とができる。
【0015】また、これら炭素系充填剤の分散、混入量
としては、上記マトリックスポリマーに対し重量比で少
なくとも5%以上が好ましく、その上限は樹脂の種類に
もよるがマトリックスポリマー樹脂溶液に分散させ得る
限度とマスクとして成膜可能な範囲まで有効であるが、
実用的には200%程度迄である。下限については、わ
ずかでも添加すればそれなりの効果は認められるが、5
%より少ないとドライエッチングに対するマスクの耐性
改善が十分でない。
【0016】したがって、好ましい分散混入量は5〜2
00%であり、より好ましくは50〜100%である。
混入濃度を増加するとドライエッチングに対するマスク
の耐性は向上するが、限度を超えると樹脂組成物中での
分散性が悪くなり、被エッチング材上に均一に塗布しに
くくなる。それ故、好ましい炭素系充填剤の分散、混入
量は、マスクのエッチング耐性改善効果と、樹脂組成物
中での分散性およびマスクとしての成膜性とを考慮して
決定することが重要である。
【0017】上記樹脂組成物中のマトリックスポリマー
について詳述すると、芳香族ポリアミド酸、芳香族ポリ
イミド、フェノールノボラック、クレゾールノボラッ
ク、ピロガロール系樹脂、ポリヒドロキシスチレンなど
のスチレンポリマ−など分子内に芳香族基を有するポリ
マーが可能である。
【0018】また、上記樹脂組成物は、必要に応じて感
光性を付与することが可能である。例えば、アルカリ可
溶型ポジ型レジストとして用いる場合は、上記マトリッ
クスポリマーとして、アルカリ可溶性のフェノール性水
酸基をもつフェノールノボラック樹脂等を用い、これに
感光性溶解阻害剤を加えることで上記樹脂組成物はアル
カリ現像タイプのポジ型レジストとなる。ただし、この
場合、分散させる炭素系充填剤の光透過率を考慮する必
要がある。すなわち、g線、i線に感度を有する感光性
溶解阻害剤を含む樹脂組成物の場合、カーボンブラック
のような紫外線透過率の低い材料を用いることは好まし
くない。このような場合は、炭素系充填剤として、紫外
領域で透過率の高いダイヤモンド構造の微粉を用いれば
よい。
【0019】この時の感光性溶解阻害剤としては、例え
ば、1,2−ナフトキノンジアジド類が有効である。
1,2−ナフトキノンジアジド類としては例えばトリヒ
ドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェ
ノンのナフトキノンジアジドエステル等が挙げられる。
【0020】また、上記樹脂組成物の被エッチング材へ
の塗布方法としては、スピンナー塗布、スプレー法、デ
ィップ法、ロールコーター印刷法、スクリーン印刷法等
が可能である。また、塗布に限らずこの樹脂組成物でフ
ィルムを形成し、これを被エッチング材表面にラミネー
トしてもよい。さらにまた、上記レジストマスクの形成
に際し、上記樹脂組成物に感光性が付与されている場合
には、通常のリソグラフィにより直接マスクフィルムを
選択露光、現像してマスクパターンを形成することがで
きる。感光性が付与されていない場合には、工程数は増
すが炭素系充填剤を含有するレジストマスク材のパター
ン化のために、周知のホトレジストをその上に形成して
それをマスクとして選択エッチすれば容易に目的とする
ドライエッチング用レジストマスクパターンを形成する
ことができる。つまりこの場合には2層レジストマスク
の構成となる。
【0021】また、上記本発明の第3の目的は、所定の
被エッチング基板上に、所定形状のレジストマスクパタ
ーンを形成せしめ、前記基板をドライエッチングにより
微細加工するに際し、前記レジストマスクパターンを上
述のレジストマスクで構成し希ガスイオンによる物理的
エッチングで前記被エッチング基板をドライエッチング
する工程を有して成るドライエッチングによる微細加工
方法により、達成される。そして、エッチングに際して
は、上記被エッチング基板とレジストマスクの材質の選
択に配慮し、この被エッチング基板のレジストマスクに
対するエッチング速度比が0.8以上となる条件下でド
ライエッチングすることが望ましい。
【0022】微細加工方法の具体例としては、例えば上
記被エッチング基板を磁気ヘッドスライダーとし、スラ
イダー摺動面に相当する位置に上記レジストマスクパタ
ーンを形成して、ドライエッチングにより前記基板を選
択的にエッチングしてスライダーレール部を形成すれ
ば、優れた精度で磁気ヘッドスライダーを微細加工する
ことができる。また、上記被エッチング基板をその表面
に磁性金属膜の形成された磁気ヘッド基板とし、磁気ヘ
ッドのトラック幅に相当する位置に上記レジストマスク
パターンを形成して、ドライエッチングにより前記磁性
金属膜を選択的にエッチングすれば、磁気ヘッドのトラ
ック幅を優れた精度で微細加工することができる。そし
てまた、上記ドライエッチングにおいては、アルゴンイ
オンに限らずキセノン、クリプトン等の希ガスイオン一
般による物理的エッチングで微細加工することができ
る。しかし、このレジストマスクの場合には希ガスイオ
ンの中でも特にアルゴンイオン、キセノンイオンが好適
である。
【0023】また、本発明のドライエッチングによる微
細加工は、希ガスイオンによる物理的エッチングを主体
とするが、被エッチング材の種類によっては前述のよう
に、例えば四フッ化炭素のごとき化学的にエッチングを
助長する反応性ガスをも副次的に導入して、加工速度を
促進させることもできる。
【0024】
【作用】本発明のドライエッチング用レジストマスク
は、分子内に芳香族基を有するマトリックスポリマー中
に炭素系充填剤を含んでいるため、これらの組成がドラ
イエッチングに際し、希ガスイオンによる物理的エッチ
ングに対してマスクの耐性を著しく向上させる作用を有
する。それ故、被エッチング材に対してエッチング選択
比の大きなマスクとなり得る。
【0025】
【実施例】以下、実施例1〜5では、本発明を薄膜磁気
ヘッドスライダーの摺動部を構成するレール加工に適用
した場合の例を、実施例6では磁気ヘッドのトラック幅
加工に適用した場合の例を、それぞれ示し具体的に説明
する。 〈実施例1〉図1は加工工程図を示したもので、これに
したがって説明する。同図(a)において、1は被エッ
チング材となるスライダー基板であり、アルミナチタン
カーバイドを用いた。この基板上に同図(b)に示すよ
うにドライエッチング用レジストマスク樹脂組成物2と
して以下の組成から成る感光性のない樹脂組成物を作成
し、これを塗布した。
【0026】〔樹脂組成物2の作成〕:炭素系充填剤と
してカーボンブラック30重量%、マトリックスポリマ
ーとしてポリヒドロキシスチレン(丸善石油製の商品名
マルカレジン−Mを使用)30重量%、分散剤としてポ
リエチレングリコール系分散剤9重量%、溶媒としてプ
ロピレングリコールメチルアセテート31重量%を、そ
れぞれ秤量して混合、撹拌し、樹脂組成物とした。
【0027】なお、塗布はスピンコーティング法で行な
い、回転数1500rpm、60秒で約35μmの膜が形
成できた。これを150℃で30分ベークし、ドライエ
ッチング用マスク材とした。この上に同図(c)に示す
ようにフォトレジスト3としてポジ型シリコン系レジス
ト(日立化成工業製の商品名RU1600Pを使用)を
スピンコーティング法により2μm形成し、90℃で、
30分プリベークした後、同図(d)に示すように所定
のレール加工パターンの描かれたマスクを介し露光、現
像した。露光は、波長365nmの紫外線で照射量80
mJ/cm2の条件で行ない、現像は有機アミン系の専
用現像液AH112(日立化成工業製、商品名)を使用
した。
【0028】こうしてパターニングされたフォトレジス
ト4を形成した後、同図(e)に示すように酸素のリア
クティブイオンエッチング法によりドライエッチング用
レジストマスク材5をパターニングした。このドライエ
ッチング用レジストマスク5をマスクとして、同図
(f)に示すようにヘッドスライダー基板1をアルゴン
イオンエッチングによるドライエッチング法を用いて加
工し、スライダーレール部6を形成した。なお、この時
のドライエッチング条件は、加速電圧700V、減速電
圧200V、アーク電圧80V、Ar流量毎分15m
l、イオン入射角60度の条件で行なった。加工深さは
約20μmであり、この時のレール幅の加工精度は転写
精度で±3μmと良好な結果を得た。マスク5は5´で
示すように膜厚が減少したもののマスクとしての機能を
十分に果たすことができた。
【0029】また、この時用いたドライエッチング用レ
ジストマスク5のアルゴンイオンエッチング時における
エッチング速度とアルゴンイオンビーム入射角依存性と
の関係を測定したところ、図3に示すような結果を得
た。なお、同図には比較例としてカーボンブラックを分
散させないレジストマスクの例、及びアルミナチタンカ
ーバイドとスパッタカーボンの例をもそれぞれ示した。
この図からも明らかのように、アルゴンイオンの入射角
が0度から80度まで変化しても本実施例で用いたレジ
ストマスク5のエッチング速度はアルミナチタンカーバ
イドと同等以上の特性を有し、ドライエッチング用レジ
ストマスクとして大きな入射角マージンを持ち優れた特
性を示していることがわかる。
【0030】〈実施例2〉図2は他の実施例の加工工程
図を示したもので、以下これにしたがって説明する。同
図(a)において、1はスライダー基板となる被エッチ
ング材で、酸化ジルコニウム基板を用いた。この基板上
に、同図(b)に示すようにドライエッチングマスク用
樹脂組成物2としてオルソジアゾナフトキノン系のポジ
型感光性樹脂組成物からなる塗膜を形成した。塗膜形成
の塗布液としては、以下の樹脂組成物を調製して使用し
た。
【0031】〔樹脂組成物2の作成〕:マトリックスポ
リマーとしてアルカリ可溶性のピロガロール樹脂(群栄
化学製の商品名XPS−4005B”を使用)25重量
%、溶解阻害型感光剤としてトリヒドロキシベンゾフェ
ノンのナフトキノンジアジドエステル6重量%、炭素系
充填剤として平均粒子径0.08μmのダイヤモンド微
粉30重量%、分散剤としてポリエチレングリコール系
分散剤9重量%、溶媒としてエチルセロソルブアセテー
ト30重量%を、それぞれ秤量して混合、撹拌し、感光
性樹脂組成物として作成した。
【0032】この感光性樹脂組成物を、上記基板上に塗
布した。塗布はスピンコーティング法で行ない、回転数
1500rpm 60秒で約30μmの膜が形成できた。こ
れを90℃30分プリベークし、ドライエッチング用レ
ジストマスク材2とした。これを同図(c)に示すよう
にコンタクトアライナを用いて所定のレール加工パター
ンの描かれたマスクを介し、波長365nmの紫外線を
用いて照射量6000mJ/cm2 の露光を行い、現像
液として2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水
溶液(東京応化工業製の商品名NMD−3を使用)を用
いて現像した。
【0033】こうしてパターニングされたドライエッチ
ング用レジストマスク5を形成した後、同図(d)に示
すようにアルゴンイオンエッチング法を用いて加工し、
スライダーレール部6を形成した。なお、この時のドラ
イエッチング条件は、加速電圧700V、減速電圧20
0V、アーク電圧80V、Ar流量毎分15ml、イオ
ン入射角0度の条件で行なった。加工深さは約15μm
で、この時のスライダーレール幅の加工精度は転写精度
で±3.6μmと良好な結果を得た。マスク5は5´で
示すように膜厚が減少したもののマスクとしての機能を
十分に果たすことができた。また、この時のレジストマ
スク5のエッチングレートは、アルゴンイオンビーム入
射角10度から170度の範囲で被エッチング材である
酸化ジルコニウム基板1に対し1.1倍から0.8倍の
値であり、ドライエッチング用レジストマスクとして優
れた特性を有することがわかった。
【0034】〈実施例3〉実施例2の図2に示した加工
工程と略同様な手順で、被エッチング材をドライエッチ
ング加工した例を以下に述べる。図2(a)に示す実施
例2の酸化ジルコニウム基板1の代わりに酸化チタン基
板を用い、この上に図2(b)と同様の手順でドライエ
ッチングマスク用樹脂組成物として感光性を有するビス
アジド系ネガ型樹脂組成物を用い、塗膜2を形成した。
この塗膜の形成は、組成としてポリ(4−ヒドロキシス
チレン)22重量%、ビスアジド系感光剤として4−メ
チル−2,6−ジ(4’−アジドベンジリデン)−シク
ロヘキサン−1−オン4重量%、平均粒子径0.08μ
mのダイヤモンド微粉40重量%、ポリエチレングリコ
ール系分散剤8重量%、溶媒としてエチルセロソルブア
セテート26重量%から成る感光性樹脂組成物を作成
し、これの所定量を基板1上に移し回転塗布することに
より行った。
【0035】塗布条件は、スピンコーティング法で行な
い、回転数1500rpm、60秒で厚さ約35μmの膜
が形成できた。これを90℃で30分プリベークし、ド
ライエッチング用マスク材2とした。これを同図(c)
と同様の手順でコンタクトアライナを用いて所定のレー
ル加工パターンの描かれたマスクを介し、波長365n
mの紫外線を用いて照射量3500mJ/cm2 の露光
を行い、現像液として2.38%水酸化テトラメチルア
ンモニウム水溶液(東京応化工業製の商品名NMD−3
を使用)を用いて現像した。こうしてパターニングされ
たドライエッチング用レジストマスク5を形成した後、
同図(d)と同様の手順によりアルゴンイオンエッチン
グ法を用いて加工しスライダーレール部6を形成した。
【0036】なお、この時のドライエッチング条件は、
加速電圧700V、減速電圧200V、アーク電圧80
V、Ar流量毎分15ml、イオン入射角40度の条件
で行なった。加工深さは約15μmで、この時のスライ
ダーレール幅の加工精度は転写精度で±3.8μmと良
好な結果を得た。また、この時のレジストマスク5のエ
ッチングレートはアルゴンイオンビーム入射角10度か
ら170度の範囲で被エッチング材である酸化チタン基
板1に対し0.9倍から0.7倍の値であり、ドライエ
ッチング用マスク材として優れた特性を有することがわ
かった。
【0037】〈実施例4〉実施例1の図1に示した加工
工程と略同様な手順で、被エッチング材をドライエッチ
ング加工した例を以下に述べる。図1(a)に示す被エ
ッチング材1としては実施例1と同様にアルミナチタン
カーバイド基板を用いた。この基板上に図1(b)と同
様の手順でドライエッチング用レジストマスク材2とし
て、平均粒子径0.1μmのカーボンブラックを35重
量%分散させた膜厚30μmの芳香族ポリイミドフィル
ムを用い、これを基板上にラミネートし、これをドライ
エッチング用レジストマスク材とした。このレジストマ
スク材2上に同図(c)と同様の手順でフォトレジスト
3としてポジ型シリコン系レジスト(日立化成工業製の
商品名RU1600Pを使用)をスピンコーティング法
により2μm塗布形成し、90℃で30分間プリベーク
した後、同図(d)と同様の手順により所定のレール加
工パターンの描かれたマスクを介し露光、現像した。
【0038】露光は、波長365nmの紫外線で照射量
80mJ/cm2 の条件で行ない、現像は有機アミン系
の専用現像液AH112(日立化成工業製、商品名)を
使用した。こうしてパターニングされたフォトレジスト
4を形成した後、同図(e)と同様の手順より酸素のリ
アクティブイオンエッチング法によりドライエッチング
用レジストマスク材5をパターニングした。このドライ
エッチング用レジストマスク5をマスクとして、同図
(f)に示すようにヘッドスライダー基板1をアルゴン
イオンエッチングによるドライエッチング法を用いて加
工し、スライダーレール部6を形成した。
【0039】なお、この時のドライエッチング条件は、
加速電圧700V、減速電圧200V、アーク電圧80
V、Ar流量毎分15ml、イオン入射角60度の条件
で行なった。加工深さは約20μmで、この時のスライ
ダーレール幅の加工精度は転写精度で±3.4μmと良
好な結果を得た。また、この時用いたドライエッチング
用レジストマスク5のアルゴンイオンエッチング時にお
けるエッチング速度とアルゴンイオンビーム入射角依存
性との関係を測定した結果、入射角が0度から80度ま
で変化しても本実施例で用いたレジストマスクのエッチ
ング速度は、アルミナチタンカーバイド基板と同等以上
であり、レジストマスクとして大きな入射角マージンを
持ち優れたな特性を示していることがわかる。
【0040】〈比較例1〉実施例2の図2に示したと同
様の加工手順でドライエッチングによるスライダー基板
のレール加工の比較例について説明する。図2(a)の
被エッチング材1となるスライダー基板としては、酸化
ジルコニウムの代わりにアルミナチタンカーバイドを用
いた。この上に図2(b)と同様の手順でドライエッチ
ングマスク用樹脂組成物2として従来から一般的に有機
マスク材として用いられているA社製のポジ型フォトレ
ジスト(炭素系充填材を含まず)を用い、90℃で、3
0分プリベークした後、図2(c)と同様の手順で露
光、現像した。
【0041】これを同図(c)と同様の手順でコンタク
トアライナを用いて所定のレール加工パターンの描かれ
たマスクを介し、波長365nmの紫外線を用いて、照
射量6000mJ/cm2の露光を行い、現像液として
市販の2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶
液を用いて現像した。こうしてパターニングされたドラ
イエッチング用レジストマスク5を形成した後、同図
(d)と同様の手順でアルゴンイオンエッチング法を用
いて加工し、スライダーレール部6を形成した。
【0042】なお、この時のドライエッチング条件は、
加速電圧700V、減速電圧200V、アーク電圧80
V、Ar流量毎分15ml、イオン入射角60度の条件
で行なった。加工深さは約20μmで、この時のスライ
ダーレール幅の加工精度は転写精度で±5.5μmであ
り、上記何れの実施例に示した結果よりも加工精度が劣
ることがわかった。
【0043】また、この時用いたドライエッチング用レ
ジストマスク5のアルゴンイオンエッチング時における
エッチング速度とアルゴンイオンビーム入射角依存性と
の関係を測定した結果を図3中に比較例としてに示し
た。このようにアルゴンイオンの入射角が0度から80
度まで変化すると入射角60度の時に最大エッチング速
度が被エッチング材1の2.7倍まで大きくなり、エッ
チング時の選択比が小さくなる。この場合レジストマス
ク5を厚くする必要があると共に、エッチング時のマス
クの形状変化が大きいため、加工精度が低下するものと
思われる。このように炭素系充填材のない場合、アルゴ
ンイオンエッチングの際のレジストマスク材として適さ
ないことがわかる。
【0044】〈比較例2〉エッチング速度のアルゴンイ
オン入射角依存性をカ−ボン膜の場合についても測定し
た。その結果を図3中に示した。カ−ボン膜はスパッタ
リング法により形成したものを用いた。0度から40度
まではスパッタカ−ボン膜のエッチングレ−トはアルミ
ナチタンカ−バイドや実施例1で用いたレジストマスク
材よりも小さく良好な結果を示すが、実施例1の場合と
カ−ボン膜の場合の差は、比較例1の場合との差に比べ
れば変化は小さく、実施例1のレジストマスク材がスパ
ッタカ−ボンに近いエッチング耐性を有することがわか
る。ただし、このスパッタカ−ボンは、成膜速度が1時
間当り0.2μm以下と極めて遅く、マスクとして必要
とされる実用的な膜厚(10μm程度)に形成するには
あまりにも時間がかかりすぎ、また、マスクとしてパタ
ーン化することが難しいことを考慮すると実用に供し得
ない。
【0045】〈実施例5〉薄膜ヘッド素子を形成したウ
ェハを切断して、ヘッドブロックとした後、各ヘッドブ
ロックを上記実施例1〜4の方法で加工し、回転浮上形
の薄膜磁気ヘッドを製造した。薄膜ヘッド素子の形成
は、周知の成膜技術によった。このようにして得られた
回転浮上形の薄膜磁気ヘッドを、複数枚の磁気ディスク
と、それに対応して複数個配設された磁気ヘッドとを備
えた周知の磁気ディスク装置に設置して性能特性を測定
したところ、ヘッドの浮上量が少ない高密度磁気ディス
ク装置において優れた特性を得ることができた。
【0046】上記実施例では、磁気ヘッドスライダーの
加工を主体に説明したが、本発明はその他、例えばパー
マロイの微細加工等ドライエッチングを必要とする一般
の微細加工に利用し得ることは云うまでもない。次ぎの
実施例6では磁気ヘッドのトラック幅加工による薄膜磁
気ヘッドの製造例について説明する。
【0047】〈実施例6〉以下、図4乃至図7を用いて
本発明のドライエッチング微細加工を薄膜磁気ヘッドの
トラック幅加工に適用した製造例について説明する。図
4は薄膜磁気ヘッドの素子の製造工程図を示した断面図
であり、図5は図4の製造工程中に非磁性基板41上に
現れる第1のフォトレジストパターン3を、図6は同じ
く第2のフォトレジストパターン48を、それぞれ模式
的に図示した平面図であり、図7は本発明によって形成
された上部コア層49を中心と下薄膜磁気ヘッド素子4
0の平面図を示す。
【0048】図4に示すように、上部コア層49を基板
41全面にわたって形成する工程までは従来の薄膜磁気
ヘッドの製造工程と同様である。すなわち、縦断側面図
となる図4(a)に示すように非磁性基板41上に磁性
膜をスパッタしフォトエッチング技術によって下部コア
層42とする。次ぎに絶縁膜をスパッタ法により形成
し、フォトエッチング技術を用いてギャップ層43とす
る。続いて有機樹脂を回転塗布し、次いで加熱硬化し、
フォトエッチング技術によりパターン化して絶縁膜44
とする。さらに導体膜をスパッタし、フォトエッチング
技術を用いて螺旋上にパターン化し、コイル45とす
る。このコイル45上に有機樹脂を上記と同様に形成
し、パターン化して絶縁膜46とする。そして磁性膜を
基板全面にスパッタして一様な上部磁性体層47を形成
する。
【0049】このようにして形成した上部磁性体層47
を、ドライエッチングにより上部コア層49にパターン
化するための加工工程は、以下の(1)〜(8)に示す
手順で行った。 (1)上部コア用磁性膜47が形成された基板上に、ド
ライエッチング用レジストマスク2を形成するために実
施例1で用いた組成のレジストマスク用樹脂組成物を用
い、スピン塗布法により成膜する。 (2)上記レジストマスク2の上に珪素を含有するフォ
トレジスト(例えば日立化成工業製、商品名RU−16
00P)を塗布、ベークして形成し、トラック幅Wを一
辺とするする矩形状のパターンを有するフォトマスク
(図示せず)を用いて図5に示した第1のフォトレジス
トパターン3を形成する。この状態を図4(a)の縦断
側面図および同図(b)の正面図(ヘッドギャップ側)
に示す。
【0050】(3)次ぎに上記第1のフォトレジスト3
をマスクとして酸素を用いたリアクティブイオンエッチ
ング法により、ドライエッチング用レジストマスク2を
パターニングする。
【0051】(4)次ぎに上記第1のフォトレジスト3
を剥離する。 (5)上記ドライエッチング用レジストマスク2のパタ
ーの一部と重なり合う第2のフォトレジスト48(図6
に図示)を形成する。この状態を図4(c)の縦断側面
図および同図(d)の正面図(ヘッドギャップ側)に示
す。 (6)上記ドライエッチング用レジストマスク2及び第
2のフォトレジスト48とをマスクにして磁性膜47を
ドライエッチング(アルゴンイオン)する。これが、本
発明のドライエッチングによる微細加工工程となる。
【0052】(7)上記第2のフォトレジスト48を剥
離する。この状態を図4(e)の縦断側面図および同図
(f)の正面図(ヘッドギャップ側)に示す。 (8)上記ドライエッチング用レジストマスク2を剥離
する。この状態を図4(g)の縦断側面図および同図
(h)の正面図(ヘッドギャップ側)に示す。このよう
にして磁性膜47が選択的にドライエッチングされ、図
7に示した上部コア49が得られる。上部コア49の先
端部がトラック幅Wとなり、薄膜磁気ヘッド40が得ら
れる。かくして形成したトラック幅Wのバラツキは±1
0%以内に収めることができる。
【0053】次ぎに具体的な実施例を挙げ、再度先の図
4にしたがって説明する。先ず直径3インチの非磁性基
板41上に以下に述べる手順で基板面内で300素子の
薄膜磁気ヘッドを作成した。パーマロイを1.5ミクロ
ンの厚さで基板41全面にスパッタし、フォトエッチン
グ技術によってパターン化し、下部コア層42とする。
次ぎにアルミナをスパッタ法により0.5ミクロンの厚
さに形成し、フォトエッチング技術を用いてギャップ層
43とする。つづいてポリイミド系樹脂を回転塗布、次
いで加熱硬化しフォトエッチング技術によりパターン化
して厚さ2ミクロンの絶縁層44とする。さらにCuを
1.5ミクロンの厚さにスパッタしフォトエッチング技
術を用いて螺旋状にパターン化しコイル45とする。こ
のコイル45上にポリイミド系樹脂を再度2.5ミクロ
ンの厚さに形成、パターン化し絶縁層46とする。そし
てパーマロイをスパッタし一様な上部磁性体膜47を形
成する。このようにして得られたパターンを持つ基板状
に、実施例1で用いた組成のマスク用樹脂組成物を用
い、ドライエッチング用レジストマスク2を3ミクロン
の厚さにスピン塗布形成した。
【0054】ドライエッチング用レジストマスク2のパ
ターン化は、以下のようにして行った。すなわち、有機
珪素系フォトレジスト(日立化成工業製、商品名RU−
1600P)を4ミクロンの厚さに塗布、乾燥し8ミク
ロン×40ミクロンの長方形のパターンのマスクを用い
て露光、現像し第1のフォトレジスト3を得た。次ぎ
に、露出部のドライエッチング用レジストマスク2を酸
素を用いた反応性イオンエッチングで除去し、残存して
いるフォトレジストを剥離液で剥離する。かくして目的
とするトラック幅加工用のレジストマスク2のパターン
を得た。
【0055】次ぎに上記基板に、上記ドライエッチング
用レジストマスク2のパターンと一部が重なり合う第2
のフォトレジスト48を形成した(図6に示した形状の
マスクパターン48)。この第2のフォトレジスト48
の形成は、東京応化工業製の商品名OFPR−800を
用いて塗布、乾燥し、厚さ10ミクロンの膜とし、図示
しないマスクを介し、露光、現像により行った。このフ
ォトレジスト48と上記ドライエッチング用レジストマ
スク2とをマスクにしてパーマロイ膜(上部磁性体層)
47の露出部分をアルゴンのイオンエッチングによって
除去する。そして第2のフォトレジスト48を剥離液で
除去する。最後に矩形状に残ったドライエッチング用レ
ジストマスク2を剥離液で除去する。剥離液としては、
市販のアルカリ性剥離液を用いた。
【0056】このようにして得られた磁気ヘッド素子の
トラック幅Wの基板面内のバラツキは7.8±0.75ミ
クロンであり、優れた加工精度を示した。また、この素
子を用いて製造した薄膜磁気ヘッドの書き込み、読み出
し性能は実用上満足すべきものであった。なお、上記実
施例ではドライエッチング用希ガスイオンとして、アル
ゴンイオンを代表例として説明したが、キセノンイオン
でも程度の差こそあれ同様に微細加工が可能であり、そ
の他の希ガスも使用可能である。
【0057】
【発明の効果】本発明のレジストマスクによれば、アル
ゴンに代表される希ガスイオンビームを用いたドライエ
ッチング加工の際に、被エッチング材に対する選択比が
大きくとれるので、レジストマスク材を従来よりも薄く
することができ、加工精度を大幅に向上することが可能
である。したがって、磁気ヘッドの精密加工は勿論のこ
と、その他ドライエッチングで微細加工を必要とする種
々の分野に利用可能であり、工業的に貢献できるところ
多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる微細加工の工程図であ
り、感光性をもたないドライエッチング用レジストマス
クを用いたヘッドスライダーの精密加工工程図である。
【図2】本発明の他の実施例となる微細加工の工程図で
あり、感光性を付与されたドライエッチング用レジスト
マスクを用いたヘッドスライダーの精密加工工程図であ
る。
【図3】ドライエッチングにおける被エッチング材とレ
ジストマスクとの選択比及びアルゴンイオン入射角依存
性との関係を測定した特性曲線図である。
【図4】本発明の一実施例となる薄膜磁気ヘッドの製造
工程図である。
【図5】薄膜磁気ヘッドの製造工程における第1のフォ
トレジストパターンの平面図を模式的に図示したもので
ある。
【図6】同じく薄膜磁気ヘッドの製造工程における第2
のフォトレジストパターンの平面図を模式的に図示した
ものである。
【図7】薄膜磁気ヘッド素子の平面図を模式的に図示し
たものである。
【符号の説明】
1…被エッチング材(ヘッドスライダー基板) 2…ドライエッチング用レジストマスク(樹脂組成物) 3…フォトレジスト(第1のフォトレジスト) 4…パターニングされたフォトレジスト 5…パターニングされたドライエッチング用レジストマ
スク 5´…ドライエッチングされたレジストマスク 6…ドライエッチング加工されたヘッドスライダー材 40…薄膜磁気ヘッド素子 41…非磁性基板 42…下部磁性体層 43…絶縁膜(ギャップ層) 44、46…有機絶縁層 45…コイルパターン 47…上部磁性体層(パーマロイ) 48…第2のフォトレジスト 49…上部コア W…トラック幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水島 明子 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 鈴木 三郎 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 石崎 浩 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 池田 宏 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の基板上にマスクとして形成された分
    子内に芳香族基を有するマトリックスポリマーを主成分
    とするレジストマスクであって、前記マトリックスポリ
    マー中に炭素系充填剤を分散、含有せしめて成るドライ
    エッチング用レジストマスク。
  2. 【請求項2】上記レジストマスク中に分散する炭素系充
    填剤の含有量を、上記マトリックスポリマーに対し重量
    比で少なくとも5%として成る請求項1記載のドライエ
    ッチング用レジストマスク。
  3. 【請求項3】分子内に芳香族基を有するマトリックスポ
    リマーおよびこれを溶解する溶媒を主成分とする樹脂組
    成物であって、前記樹脂組成物中に炭素系充填剤を分
    散、含有せしめて成るドライエッチング用レジストマス
    ク樹脂組成物。
  4. 【請求項4】上記樹脂組成物中に分散する炭素系充填剤
    の含有量を、上記マトリックスポリマーに対し重量比で
    少なくとも5%とし、分散剤と共に含有せしめて成る請
    求項3記載のドライエッチング用レジストマスク樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】上記マトリックスポリマーが、ポリアミド
    酸、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂およびポリスチレ
    ン系ポリマーの群から選択される少なくとも1種の樹脂
    から成る請求項3記載のドライエッチング用レジストマ
    スク樹脂組成物。
  6. 【請求項6】上記炭素系充填剤が、平均粒子径0.1μ
    m以下のカーボンブラックから成る請求項3記載のドラ
    イエッチング用レジストマスク樹脂組成物。
  7. 【請求項7】上記炭素系充填剤が、平均粒子径0.15
    μm以下のダイヤモンド微粉から成る請求項3記載のド
    ライエッチング用レジストマスク樹脂組成物。
  8. 【請求項8】上記樹脂組成物が感光性を有して成る請求
    項3記載のドライエッチング用レジストマスク樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】所定の被エッチング基板上に、所定形状の
    レジストマスクパターンを形成せしめ、前記基板をドラ
    イエッチングにより微細加工するに際し、前記レジスト
    マスクパターンを請求項1もしくは2何れか記載のレジ
    ストマスクで構成し、希ガスイオンによる物理的エッチ
    ングで前記被エッチング基板をドライエッチングする工
    程を有して成るドライエッチングによる微細加工方法。
  10. 【請求項10】上記被エッチング基板のレジストマスク
    に対するエッチング速度比が0.8以上となる条件下で
    ドライエッチングする工程を有して成る請求項9記載の
    ドライエッチングによる微細加工方法。
  11. 【請求項11】上記被エッチング基板を磁気ヘッドスラ
    イダーとし、スライダー摺動面に相当する位置に上記レ
    ジストマスクパターンを形成して、ドライエッチングに
    より前記基板を選択的にエッチングしてスライダーレー
    ル部を形成する磁気ヘッドスライダーの加工工程を有し
    て成る請求項9記載のドライエッチングによる微細加工
    方法。
  12. 【請求項12】上記被エッチング基板をその表面に磁性
    金属膜の形成された磁気ヘッド基板とし、磁気ヘッドの
    トラック幅に相当する位置に上記レジストマスクパター
    ンを形成して、ドライエッチングにより前記磁性金属膜
    を選択的にエッチングして、磁気ヘッドのトラック幅を
    加工する工程を有して成る請求項9記載のドライエッチ
    ングによる微細加工方法。
  13. 【請求項13】上記ドライエッチングは、アルゴンイオ
    ンによる物理的エッチングで上記被エッチング基板をエ
    ッチングする工程を有して成る請求項9乃至11何れか
    記載のドライエッチングによる微細加工方法。
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