JPH05132590A - α−オレフイン系共重合体からなるシートまたはフイルム - Google Patents

α−オレフイン系共重合体からなるシートまたはフイルム

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JPH05132590A
JPH05132590A JP10844492A JP10844492A JPH05132590A JP H05132590 A JPH05132590 A JP H05132590A JP 10844492 A JP10844492 A JP 10844492A JP 10844492 A JP10844492 A JP 10844492A JP H05132590 A JPH05132590 A JP H05132590A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 αーオレフィン成分と、環状オレフィン成分
とを共重合して得られる共重合体であって、ガラス転移
温度(Tg)が30℃以下であるαーオレフィン系共重
合体からなるシートまたはフィルム。 【効果】 本発明のシートまたはフィルムは、特に弾性
回復率が優れている上に、適度の弾性率を維持してお
り、物性のバランスがよく、しかも、透明性,耐水性に
も優れているため、包装分野、建築分野、医療分野、農
業分野など種々の分野で極めて有効に用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は弾性回復性に優れてお
り、かつ、適度の弾性率を持つなど、物性バランスのよ
いポリオレフィン系共重合体からなるシートまたはフィ
ルムに関するものであって、包装材料、防振材、医療用
フィルムまたはシート、透明導電性フィルムまたはシー
ト、防湿用フィルムまたはシート、粘着フィルムまたは
シート、伸縮性フィルムまたはシート、シーラントある
いは農業用フィルム等として有効に用いることができ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ポリオレフィン系のフィルムまたはシートとして、ポリ
エチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリブテ
ンあるいはエチレン−プロピレンラバー(EPR),エ
チレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などを押出成形
したフィルムまたはシートがあり、包装用材料やテープ
として検討されている。しかしながら、これらは弾性回
復性が不充分であり、従って、たるみやすく、また、弾
性率が高いため、包装時に多大のエネルギーを要すると
いう欠点があった。
【0003】また、特開平2−180976号公報,特
開平2−196832号公報,特開平2−289637
号公報などには、環状オレフィン系共重合体からなるシ
ートやフィルムが開示されているが、ここで用いられて
いる共重合体はガラス転移温度が50〜230℃と高
く、得られるシートやフィルムは高剛性で、弾性回復性
は極めて低いものである。従って、特に弾性回復性に優
れ、しかも適度の弾性率を持つなど、物性バランスに優
れたポリオレフィン系フィルムまたはシートの開発が望
まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来の問題点を解消すべく鋭意研究を重ねた。その結果、
特定のガラス転移温度(Tg)を有する特定構造のαー
オレフィン系共重合体をシート成形材料として用いた場
合、上記の目的が達成されることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに到った。すなわち本発明
は、αーオレフィン成分と、環状オレフィン成分とを共
重合して得られる共重合体であって、ガラス転移温度
(Tg)が30℃以下であるαーオレフィン系共重合体
からなるシートまたはフィルムを提供するものである。
【0005】本発明で用いるα−オレフィン系共重合体
は、Tgが低く、通常の温度領域(室温)において、優
れた弾性回復性を示す。また、本発明で用いるα−オレ
フィン系共重合体は、成形が容易であるとともに不飽和
結合を含まないため耐候性に優れ、かつ、透明性が良好
なものである。
【0006】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のシートまたはフィルムは、α−オレフィン成分
と環状オレフィン成分とを共重合して得られるα−オレ
フィン系共重合体からなるものであり、αーオレフィン
に由来する繰り返し単位と、環状オレフィンに由来する
繰り返し単位とを有するαーオレフィン系共重合体から
なるものである。ここで、上記α−オレフィン成分とし
ては、特に限定されないが、例えば下記一般式〔I〕
【化3】 で表される繰り返し単位を有するものが好適に用いられ
る。上記一般式〔I〕で示される繰り返し単位におい
て、R1 は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基
を示している。
【0007】ここで、炭素数1〜20の炭化水素基とし
て、具体的には、例えばメチル基,エチル基,イソプロ
ピル基,n−プロピル基,イソブチル基,n−ブチル
基,n−ヘキシル基,n−オクチル基,n−オクタデシ
ル基等を挙げることができる。また、一般式〔I〕で示
される繰り返し単位を与えるα−オレフィンの具体例と
しては、例えば、エチレン,プロピレン,1−ブテン,
3−メチル−1−ブテン,4−メチル−1−ペンテン,
1−ヘキセン,1−オクテン,1−デセン,1−エイコ
セン等を挙げることができる。これらの炭化水素基のう
ち、炭素数2〜8のαーオレフィン成分が、特に好まし
い。
【0008】さらに、前記環状オレフィン成分として
は、種々のものがあり、特に単環環状オレフィン,置換
単環環状オレフィンおよび下記一般式〔II〕
【化4】 で表される繰返し単位を有する環状オレフィンよりなる
群から選ばれたものが好適に用いられる。
【0009】ここで環状オレフィン成分の一をなす単環
環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シク
ロペンテン、シクロヘキセンなどが挙げられる。また、
環状オレフィン成分の一をなす置換単環環状オレフィン
としては、例えば、3−メチルシクロペンテン、3−メ
チルシクロヘキセンなどが挙げられる。
【0010】さらに、環状オレフィン成分の一をなすの
は前記一般式〔II〕で表される繰返し単位を有する環状
オレフィンであるが、この一般式〔II〕中において、R
2 〜R13は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化
水素基、またはハロゲン原子,酸素原子あるいは窒素原
子を含む置換基を示し、nは0以上の整数を示す。な
お、R10またはR11と、R12またはR13とは互いに環を
形成してもよい。また、R2 〜R13は、それぞれ互いに
同一でも異なっていてもよい。
【0011】ここで、炭素数1〜20の炭化水素基とし
て、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n−プロ
ピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル
基,t−ブチル基,ヘキシル基等の炭素数1〜20のア
ルキル基、フェニル基,トリル基,ベンジル基等の炭素
数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくは
アリールアルキル基、メチリデン基,エチリデン基,プ
ロピリデン基等の炭素数1〜20のアルキリデン基、ビ
ニル基,アリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基等
を挙げることができる。但し、前記一般式〔II〕中のR
2,R3,R6,R7 はアルキリデン基を除く。なお、R4,R
5,R8 〜R13のいずれかがアルキリデン基の場合、それ
が結合している炭素原子は他の置換基を有さない。
【0012】また、ハロゲン原子を含む置換基として具
体的には、例えば、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハ
ロゲン基、クロロメチル基,ブロモメチル基,クロロエ
チル基等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基等
を挙げることができる。さらに、酸素原子を含む置換基
として具体的には、例えば、メトキシ基,エトキシ基,
プロポキシ基,フェノキシ基等の炭素数1〜20のアル
コキシ基、メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル
基等の炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙
げることができる。また、窒素原子を含む置換基として
具体的には、例えば、ジメチルアミノ基,ジエチルアミ
ノ基等の炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基
等を挙げることができる。
【0013】上記一般式〔II〕で示される繰り返し単位
を有する環状オレフィンの具体例としては、例えば、ノ
ルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノル
ボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチ
ルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチル
ノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、
5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネ
ン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボル
ネン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−ク
ロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5
−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−
6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチ
ルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−
ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジ
メチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネンな
どのノルボルネンまたはその誘導体をはじめ、1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデ
ン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フル
オロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−
ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2
−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレン等を挙げることができる。環状オレフィン成
分としては、これらの中でも、前記したノルボルネンま
たはその誘導体を用いることが好ましい。
【0014】本発明で用いるα−オレフィン系共重合体
は、基本的には、上述したようなα−オレフィン成分と
環状オレフィン成分とを共重合してなるものであるが、
本発明の目的を損なわない範囲で、これら必須の2成分
の他に、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成
分を用いていてもよい。このような任意に共重合されて
もよい不飽和単量体として、具体的には、前記したα
−オレフィン成分のうち、先に使用されていないもの、
前記した環状オレフィン成分のうち、先に使用されて
いないもの、ジシクロペンタジエン,ノルボルナジエ
ン等の環状ジエン類、ブタジエン,イソプレン,1,
5−ヘキサジエン等の鎖状ジエン類等が挙げられる。
【0015】さらに、本発明のα−オレフィン系共重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が、30℃以下であるこ
とが必要である。このような共重合体を用いれば、室温
で優れた弾性回復率を示す。より好ましいガラス転移温
度(Tg)は、−30〜25℃、特に−30〜20℃で
ある。この場合、本発明で用いるα−オレフィン系共重
合体は、目的とする用途、使用される温度等に応じて、
単量体の種類、組成を変更することにより、ガラス転移
温度(Tg)を任意に制御することができる。
【0016】さらに、α−オレフィン系共重合体は、D
SCによる融点が90℃以下、特に10〜85℃、なか
でも20〜80℃であること、あるいは明確な融点を示
さないものが好ましい。DSCによるシャープな融解ピ
ークが90℃を越える共重合体は、α−オレフィン成分
と環状オレフィン成分との共重合の均一性が不充分であ
り、シートまたはフィルムに成形したときに、充分な弾
性回復性,透明性が得られないことがある。DSC測定
において、本発明で用いるα−オレフィン系共重合体の
融点(融解ピーク)はシャープにはみられず、特に低結
晶化度のものにあっては、通常のポリエチレンの測定条
件レベルでは殆どピークがでない。
【0017】また、本発明で用いるα−オレフィン系共
重合体において、α−オレフィン成分に由来する繰り返
し単位の含有率〔x〕と、環状オレフィン成分に由来す
る繰り返し単位の含有率〔y〕の割合(〔x〕:
〔y〕)は、α−オレフィン成分、環状オレフィン成分
の種類及び組合わせにより異なり、一般的に規定するこ
とは必ずしもできないが、通常は82〜99.9モル
%:18〜0.1モル%、好ましくは85〜99.5モ
ル%:15〜0.5モル%、特に好ましくは90〜98
モル%:10〜2モル%である。ここで環状オレフィン
成分に由来する繰り返し単位の含有率〔y〕が18モル
%を超える場合は、Tgが30℃より高くなることがあ
り、高剛性で、弾性回復性が不充分なものとなってしま
う。一方、0.1モル%未満である場合には、共重合体
が結晶性となり、弾性回復性、透明性が低下することが
ある。
【0018】また、α−オレフィン系共重合体として
は、α−オレフィン成分に由来する繰り返し単位と環状
オレフィン成分に由来する繰り返し単位とが、ランダム
に配列した実質上線状の共重合体であり、ゲル状架橋構
造を有さないものであることが好ましい。ゲル状架橋構
造を有さないことは、該共重合体が135℃のデカリン
中に完全に溶解することによって確認することができ
る。
【0019】さらに、本発明のα−オレフィン系共重合
体は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕
が0.01〜20dl/gであることが好ましい。極限
粘度〔η〕が0.01dl/g未満であると、シートま
たはフィルムの機械的強度が低下することがあり、一
方、20dl/gを超えると、シートまたはフィルムへ
の成形性が悪くなることがある。より好ましい極限粘度
〔η〕は0.05〜10dl/gである。
【0020】また、本発明のα−オレフィン系共重合体
の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミ
エイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定
した重量平均分子量(Mw)が1,000 〜2,000,000、特
に5,000 〜1,000,000 、数平均分子量(Mn)が500 〜
1,000,000 、特に2 、000 〜800,000 であり、分子量分
布(Mw/Mn)が1.3〜4、特に1.4〜3であること
が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4より大きく
なると、低分子量体の含有量が多くなり、シートまたは
フィルムに成形したときに表面のべたつきの原因となる
ことがある。
【0021】また、本発明のα−オレフィン系共重合体
は、X線回折法により測定した結晶化度が0〜40%で
あることが好ましい。結晶化度が40%を超えると透明
性が低下し、弾性回復性も低下することがある。より好
ましい結晶化度は0〜30%、特に0〜25%である。
さらに、本発明のα−オレフィン系共重合体は、次の数
式で示される弾性回復率の測定において、150%引張
後の弾性回復率が10%以上であることが好ましく、よ
り好ましくは30%以上、特に好ましくは60%以上の
ものである。弾性回復率が10%未満であると、例えば
フィルムで物品を包装した場合に、たるみが生じやすく
なる。
【数1】
【0022】また、本発明で用いるα−オレフィン系共
重合体は、引張弾性率が3,000kg /cm2 以下であること
が好ましい。引張弾性率が3 ,000kg/cm2 を超えると、
シートまたはフィルムとして用いた場合に柔軟性が不充
分となることがある。より好ましい引張弾性率は、50〜
2,000kg /cm2 、特に100 〜1,500kg /cm2 である。
【0023】本発明で用いるα−オレフィン系共重合体
としては、上述した範囲の物性を有するもののみからな
る共重合体であってもよく、この場合に、ガラス転移温
度(Tg)が30℃以下である、異なるTgを有する共
重合体の混合物であってもよい。また、本発明において
は、上記範囲外の物性を有する共重合体が一部含まれて
いるものであってもよい。後者の場合には、全体の物性
値が上記範囲に含まれていればよい。
【0024】次に、本発明で用いるα−オレフィン系共
重合体の製造方法に特に限定は無いが、例えば以下に示
す方法により、効率よく製造することができる。すなわ
ち、(A)遷移金属化合物および(B)前記遷移金属化
合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物とを主
成分とする触媒、または上記(A)成分,(B)成分に
加えて、さらに(C)有機アルミニウム化合物を主成分
とする触媒を用いて、前記した如きα−オレフィン成分
と環状オレフィン成分との共重合を行なうことにより、
本発明で用いるα−オレフィン系共重合体を効率的に製
造することができる。
【0025】ここで触媒の(A)遷移金属化合物成分と
しては、周期律表のIVB族, VB族,VIB族, VIIB
族,VIII族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物を使
用することができる。上記遷移金属として、具体的に
は、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、
マンガン、ニッケル、パラジウム、白金等が好ましく、
中でもジルコニウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、
パラジウムが好ましい。
【0026】このような遷移金属化合物(A)としては
種々のものが挙げられるが、特にIVB族、VIII族の遷移
金属を含む化合物、中でも周期律表のIVB族から選ばれ
る遷移金属、すなわちチタニウム(Ti)、ジルコニウ
ム(Zr)またはハフニウム(Hf)を含有する化合物
を好適に使用することができる。これらの中でも特に下
記の一般式〔III 〕,〔IV〕または〔V〕で示されるシ
クロペンタジエニル化合物、またはこれらの誘導体、あ
るいは下記の一般式〔VI〕で示される化合物またはこれ
らの誘導体が好適である。
【0027】すなわち、一般式〔III 〕は次の通りであ
る。
【化5】 また、一般式〔IV〕は次の通りである。
【化6】 さらに、一般式〔V〕は次の通りである。
【化7】 次に、一般式〔VI〕は以下の通りである。
【化8】
【0028】上記〔III 〕〜〔VI〕式中において、M1
は周期律表のIVB族から選ばれる遷移金属、すなわちT
i,ZrまたはHf原子を示している。また、Cpはシ
クロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,
インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデ
ニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル
基または置換フルオレニル基等の環状不飽和炭化水素
基、または鎖状不飽和炭化水素基を示す。さらに、
14,R15,R16およびR17は、それぞれσ結合性の配
位子、キレート性の配位子、ルイス塩基等の配位子を示
し、σ結合性の配位子としては、具体的に水素原子,酸
素原子,ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基,
炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリ
ール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル
基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換
アリル基,けい素原子を含む置換基等を例示でき、また
キレート性の配位子としてはアセチルアセトナート基,
置換アセチルアセトナート基等を例示できる。Aは共有
結合による架橋を示す。なお、a,b,cおよびdは、
それぞれ0〜4の整数、eは0〜6の整数を示す。
14,R15,R16及びR17は、その2以上が互いに結合
して環を形成していてもよい。上記Cpが置換基を有す
る場合には、当該置換基は炭素数1〜20のアルキル基
が好ましい。さらに、上記〔IV〕式および〔V〕式にお
いて、2つのCpは同一のものであってもよく、互いに
異なるものであってもよい。
【0029】また、上記〔III 〕〜〔V〕式における置
換シクロペンタジエニル基としては、例えば、メチルシ
クロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル
基,イソプロピルシクロペンタジエニル基,1,2−ジ
メチルシクロペンタジエニル基,テトラメチルシクロペ
ンタジエニル基,1,3−ジメチルシクロペンタジエニ
ル基,1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル
基,1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基,
ペンタメチルシクロペンタジエニル基,トリメチルシリ
ルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。
【0030】次に、上記〔III 〕〜〔VI〕式におけるR
14〜R17の具体例としては、例えば、ハロゲン原子とし
てフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子;炭素
数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n
−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,オ
クチル基,2−エチルヘキシル基;炭素数1〜20のア
ルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,プロポキシ
基,ブトキシ基,フェノキシ基;炭素数6〜20のアリ
ール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル
基としてフェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル
基;炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシ
ルカルボニルオキシ基;けい素原子を含む置換基として
トリメチルシリル基,(トリメチルシリル)メチル基:
ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジエチルエーテ
ル,テトラヒドロフラン等のエーテル類、テトラヒドロ
チオフェン等のチオエーテル類、エチルベンゾエート等
のエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリル等のニ
トリル類、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ
ブチルアミン,N,N−ジメチルアニリン,ピリジン,
2,2’−ビピリジン,フェナントロリン等のアミン
類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン等
のホスフィン類;鎖状不飽和炭化水素としてエチレン,
ブタジエン,1−ペンテン,イソプレン,ペンタジエ
ン,1−ヘキセン及びこれらの誘導体;環状不飽和炭化
水素としてベンゼン,トルエン,キシレン,シクロヘプ
タトリエン,シクロオクタジエン,シクロオクタトリエ
ン,シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体等が挙
げられる。
【0031】また、上記〔V〕式におけるAの共有結合
による架橋としては、例えばメチレン架橋,ジメチルメ
チレン架橋,エチレン架橋,1,1’−シクロヘキシレ
ン架橋,ジメチルシリレン架橋,ジメチルゲルミレン架
橋,ジメチルスタニレン架橋等が挙げられる。
【0032】このような化合物として、例えば下記のジ
ルコニウム化合物及びこれら化合物のジルコニウムを、
チタニウム又はハフニウムで置換した化合物が挙げられ
る。すなわち、このような化合物として、例えばジルコ
ニウム化合物を例にとると、まず上記〔III 〕式の化合
物としては、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ト
リメチルジルコニウム、(ペンタメチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム、(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、(ペ
ンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニ
ウム、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメト
キシジルコニウム、(シクロペンタジエニル)トリメチ
ルジルコニウム、(シクロペンタジエニル)トリフェニ
ルジルコニウム、(シクロペンタジエニル)トリベンジ
ルジルコニウム、(シクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム、(シクロペンタジエニル)トリメトキシ
ジルコニウム、(シクロペンタジエニル)ジメチル(メ
トキシ)ジルコニウム、(メチルシクロペンタジエニ
ル)トリメチルジルコニウム、(メチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム、(メチルシクロペ
ンタジエニル)トリベンジルジルコニウム、(メチルシ
クロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム、(メチ
ルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコ
ニウム、(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム、(トリメチルシクロペンタジエニル)ト
リクロロジルコニウム、(トリメチルシリルシクロペン
タジエニル)トリメチルジルコニウム、(テトラメチル
シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウムなどが
挙げられる。
【0033】また、このような化合物として、例えばジ
ルコニウム化合物を例にとると、まず上記〔IV〕式の化
合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチル
ジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニ
ルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジエチ
ルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベン
ジルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジメ
トキシジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジ
クロロジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジ
ヒドリドジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)
モノクロロモノヒドリドジルコニウム、ビス(メチルシ
クロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(メ
チルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ビ
ス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニ
ウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメ
チルジルコニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジ
エニル)ジクロロジルコニウム、ビス(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジ
ルコニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニ
ル)ヒドリドメチルジルコニウム、(シクロペンタジエ
ニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロ
ジルコニウムなどが挙げられる。
【0034】さらに、このような化合物として、例えば
ジルコニウム化合物を例にとると、まず上記〔V〕式の
化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチル
ジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジクロロジ
ルコニウム、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)
ジメチルジルコニウム、エチレンビス(テトラヒドロイ
ンデニル)ジクロロジルコニウム、ジメチルシリレンビ
ス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ジ
メチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジクロロ
ジルコニウム、イソプロピリデン(シクロペンタジエニ
ル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム、イソ
プロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレ
ニル)ジクロロジルコニウム、〔フェニル(メチル)メ
チレン〕(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニ
ル)ジメチルジルコニウム、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジル
コニウム、エチレン(9−フルオレニル)(シクロペン
タジエニル)ジメチルジルコニウム、シクロヘキシリデ
ン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメ
チルジルコニウム、シクロペンチリデン(9−フルオレ
ニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウ
ム、シクロブチリデン(9−フルオレニル)(シクロペ
ンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ジメチルシリレ
ン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメ
チルジルコニウム、ジメチルシリレンビス(2,3,5
−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニ
ウム、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチル
シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ジメチ
ルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウムな
どが挙げられる。
【0035】上記一般式〔III 〕,〔IV〕,〔V〕で示
されるシクロペンタジエニル化合物以外の化合物の例と
しては、前記〔VI〕式の化合物が挙げられ、例えば下記
の化合物あるいはこれらのジルコニウムを、ハフニウム
またはチタニウムに置き換えた化合物等のアルキル基、
アルコキシ基及びハロゲン原子の1種又は2種以上を持
つジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、チタニウム
化合物が挙げられる。
【0036】すなわち、前記〔VI〕式の化合物としてジ
ルコニウム化合物を例にとると、テトラメチルジルコニ
ウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラメトキシジ
ルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブト
キシジルコニウム、テトラクロロジルコニウム、テトラ
ブロモジルコニウム、ブトキシトリクロロジルコニウ
ム、ジブトキシジクロロジルコニウム、ビス(2,5−
ジ−t−ブチルフェノキシ)ジメチルジルコニウム、ビ
ス(2,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジ クロロジ
ルコニウム、ジルコニウムビス(アセチルアセトナー
ト)などが挙げられる。
【0037】また、上記したIVB族以外の遷移金属、す
なわち VB〜VIII族の遷移金属を含む遷移金属化合物と
しては、特に制限はないが、例えば以下の化合物が挙げ
られる。まずクロム化合物の具体例として、例えば、テ
トラメチルクロム、テトラ(t−ブトキシ)クロム、ビ
ス(シクロペンタジエニル)クロム、ヒドリドカルボニ
ル(シクロペンタジエニル)クロム、ヘキサカルボニル
(シクロペンタジエニル)クロム、ビス(ベンゼン)ク
ロム、トリカルボニルトリス(ホスホン酸トリフェニ
ル)クロム、トリス(アリル)クロム、トリフェニルト
リス(テトラヒドロフラン)クロム、クロムトリス(ア
セチルアセトナート)等が挙げられる。
【0038】さらに、マンガン化合物の具体例として
は、例えば、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)
マンガン、ペンタカルボニルメチルマンガン、ビス(シ
クロペンタジエニル)マンガン、マンガンビス(アセチ
ルアセトナート)等が挙げられる。
【0039】また、ニッケル化合物の具体例としては、
例えば、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)
ニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニ
ッケル、二窒素ビス(ビス(トリシクロヘキシルホスフ
ィン)ニッケル)、クロロヒドリドビス(トリシクロヘ
キシルホスフィンニッケル、クロロ(フェニル)ビス
(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジメチルビス
(トリメチルホスフィン)ニッケル、ジエチル(2,
2’−ビピリジル)ニッケル、ビス(アリル)ニッケ
ル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(メ
チルシクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(ペンタメ
チルシクロペンタジエニル)ニッケル、アリル(シクロ
ペンタジエニル)ニッケル、(シクロペンタジエニル)
(シクロオクタジエン)ニッケルテトラフルオロ硼酸
塩、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ニッケルビ
スアセチルアセトナート、アリルニッケルクロライド、
テトラキス(トリフェニルフォスフィン)ニッケル、塩
化ニッケル、(C6H5)Ni{OC(C6H5)CH=P(C6H5)2}{P(C6
H5)3}、(C6H5)Ni{OC(C6H5)C(SO3Na)=P(C6H5)2}{P
(C6H5)3}等が挙げられる。
【0040】さらに、パラジウム化合物の具体例として
は、例えば、ジクロロビス(ベンゾニトリルパラジウ
ム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジ
ウム、ビス(イソシアン化t−ブチル)パラジウム、パ
ラジウムビス(アセチルアセトナート)、ジクロロ(テ
トラフェニルシクロブタジエン)パラジウム、ジクロロ
(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、アリル
(シクロペンタジエニル)パラジウム、ビス(アリル)
パラジウム、アリル(1,5−シクロオクタジエン)パ
ラジウムテトラフルオロ硼酸塩、(アセチルアセトナー
ト)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラ
フルオロ硼酸塩、テトラキス(アセトニトリル)パラジ
ウム二テトラフルオロ硼酸塩等が挙げられる。
【0041】次に、化合物成分(B)としては、上記遷
移金属化合物(A)と反応して、イオン性の錯体を形成
する化合物であれば、いずれのものでも使用することが
できるが、カチオンと複数の基が元素に結合したアニオ
ンとからなる化合物、特にカチオンと複数の基が元素に
結合したアニオンとからなる配位錯化合物を好適に使用
することができる。このようなカチオンと複数の基が元
素に結合したアニオンとからなる化合物としては、下記
式〔VII 〕或いは式〔VIII〕で表わされる化合物を好適
に使用することができる。
【0042】すなわち、一般式〔VII 〕
【化9】 或いは一般式〔VIII〕
【化10】 で表わされる化合物を好適に使用することができる。
【0043】ここで上記式〔VII 〕,〔VIII〕中におい
て、L1 はルイス塩基であり、M2 及びM3 は、それぞ
れ周期律表の第VB族,VIB族,VII B族,VIII族,I
B族,IIB族,III A族,IVA族及びVA族から選ばれ
る元素であり、好ましくはIII A族,IVA族及びVA族
から選ばれる元素である。但し、L2 はM4 ,R1920
5 ,( R213 CまたはR225 である。さらに、M
4 及びM5 は、それぞれ周期律表のIII B族,IVB族,
VB族,VIB族,VII B族,VIII族,IA族,IB族,
IIA族,IIB族及びVII A族から選ばれる元素である。
また、Z1 〜Zn は、それぞれ水素原子,ジアルキルア
ミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜2
0のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,
炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,ア
リールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化
水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロ
イド基又はハロゲン原子を示す。Z1 〜Zn は、その2
以上が互いに結合して環を形成していてもよい。次に、
18は、水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素
数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリ
ールアルキル基を示す。また、R19及びR20は、それぞ
れシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル
基,インデニル基又はフルオレニル基を示し、R21は、
炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルア
リール基又はアリールアルキル基を示す。R22は、テト
ラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配
位子を示す。さらに、mはM2 ,M3 の原子価で1〜7
の整数を示し、nは2〜8の整数を示す。また、kは
〔L1 −R18〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜7の整数
を示し、pは1以上の整数であり、qは(p×k)/
(n−m)である。
【0044】上記ルイス塩基の具体例としては、アンモ
ニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエ
チルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,
トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチ
ルアミン,N,N−ジメチルアニリン,メチルジフェニ
ルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルア
ニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のア
ミン類、トリエチルフォスフィン,トリフェニルフォス
フィン,ジフェニルフォスフィン等のフォスフィン類、
ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフ
ラン,ジオキサン等のエーテル類、ジエチルチオエーテ
ル,テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、エチ
ルベンゾエート等のエステル類等が挙げられる。また、
2 及びM3 の具体例としては、B,Al,Si,P,
As,Sb等が挙げられ、好ましくはB又はPである。
さらに、M4 の具体例としては、Li,Na,Ag,C
u,Br,I,I3 等が挙げられ、M5 の具体例として
は、Mn,Fe,Co,Ni,Zn等が挙げられる。
【0045】Z1 〜Zn の具体例としては、例えば、ジ
アルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルア
ミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ
基,エトキシ基,n−ブトキシ基、炭素数6〜20のア
リールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチル
フェノキシ基,ナフチルオキシ基、炭素数1〜20のア
ルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,
iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オクチル基,
2−エチルヘキシル基、炭素数6〜20のアリール基,
アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基として
フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−ターシャ
リーブチルフェニル基,2,6−ジメチルフェニル基,
3,5−ジメチルフェニル基,2,4−ジメチルフェニ
ル基,2,3−ジメチルフェニル基、炭素数1〜20の
ハロゲン置換炭化水素基としてp−フルオロフェニル
基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェ
ニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタ
フルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフルオロメチ
ル)フェニル基、ハロゲン原子としてF,Cl,Br,
I、炭素数1〜20のアシルオキシ基としてアセトキシ
基,ヘプタデシルカルボニルオキシ基、有機メタロイド
基として五メチルアンチモン基,トリメチルシリル基,
トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシク
ロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素基が挙げられ
る。
【0046】R18,R21の具体例としては、先に挙げた
ものと同様のものが挙げられる。また、R19及びR20
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチル
シクロペンタジエニル基,ブチルシクロペンタジエニル
基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアルキル
基で置換されたものが挙げられる。ここでアルキル基
は、通常、炭素数が1〜6であり、置換されたアルキル
基の数は1〜5の整数で選ぶことができる。式〔VII
〕、〔VIII〕で示される化合物の中では、M2 ,M3
が硼素であるものが好ましい。
【0047】本発明において用いる(B)成分として
は、以上の如き一般式〔VII 〕或いは一般式〔VIII〕で
表わされる化合物の中で、具体的には、下記のものを特
に好適に使用することができる。まず、一般式〔VII〕
で表わされる化合物としては、例えば、テトラフェニル
硼酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリ
(n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸トリ
メチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸テトラエチル
アンモニウム、テトラフェニル硼酸メチルトリ(n−ブ
チル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸ベンジルトリ
(n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸ジメ
チルジフェニルアンモニウム、テトラフェニル硼酸メチ
ルトリフェニルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリ
メチルアニリウム、テトラフェニル硼酸メチルピリジニ
ウム、テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム、テト
ラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テ
トラフェニル硼酸トリメチルスルホニウム、テトラフェ
ニル硼酸ベンジルメチルスルホニウムを挙げることがで
きる。
【0048】また、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフ
ェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸テトラブチルアンモニウム、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸(テトラエチルアンモニウ
ム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(メ
チルトリ(n−ブチル)アンモニウム)、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(ベンジルトリ(n−
ブチル)アンモニウム)、テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリフェニ
ルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニリニウム、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチ
ルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸ジメチル(m−ニトロアニリニ
ウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジ
メチル(p−ブロモアニリニウム)を挙げることができ
る。
【0049】さらに、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸ピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸(p−シアノピリジニウム)、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(N−メチルピリジ
ニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(N−ベンジルピリジニウム)、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸(o−シアノ−N−メチルピリジ
ニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノ−N−メチルピリジニウム)、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−ベ
ンジルピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸トリメチルスルホニウム、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルメチルスルホニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ
フェニルホスホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム、テトラキス
(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメチ
ルアニリニウム、ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアン
モニウム等を挙げることができる。
【0050】次に、一般式〔VIII〕で表わされる化合物
としては、例えばテトラフェニル硼酸フェロセニウム、
テトラフェニル硼酸銀、テトラフェニル硼酸トリチル、
テトラフェニル硼酸(テトラフェニルポルフィリンマン
ガン)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フ
ェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)
硼酸(1,1' −ジメチルフェロセニウム)、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセ
ニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ア
セチルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)硼酸ホルミルフェロセニウム、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸シアノフェロセニウム、テ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム、テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニル
ポルフィリンマンガン)、テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリン鉄クロラ
イド)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(テトラフェニルポルフィリン亜鉛)、テトラフルオロ
硼酸銀、テトラフルオロ砒素酸銀、ヘキサフルオロアン
チモン酸銀等を挙げることができる。
【0051】また、本発明において用いる(B) 成分と
しては、以上の如き一般式〔VII 〕或いは一般式〔VII
I〕で表わされる化合物以外の化合物、例えばトリ(ペ
ンタフルオロフェニル)硼素、トリ(3,5−ジ(トリ
フルオロメチル)フェニル)硼素、トリフェニル硼素等
も使用可能である。さらに、本発明のαーオレフィン系
共重合体の製造に好適な方法において、上記(A)成
分,(B)成分に、必要に応じて加えて用いられる
(C)成分は、前記の如く有機アルミニウム化合物であ
る。ここで(C)成分として用いられる有機アルミニウ
ム化合物として具体的には、次の一般式〔IX〕,〔X〕
または〔XI〕で表わされるものが挙げられる。
【0052】すなわち、(C)成分としては、まず一般
式〔IX〕
【化11】 で表わされる有機アルミニウム化合物が用いられる。上
記式中、R23は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の
アルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアル
キル基等の炭化水素基を示す。また、Qは水素原子,ハ
ロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。
さらに、rは1≦r≦3の数である。
【0053】上記一般式〔IX〕で表わされる有機アルミ
ニウム化合物として具体的には、例えばトリメチルアル
ミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピル
アルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチル
アルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリ
ド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウ
ムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイ
ソブチルアルミニウムハイドライド,ジエチルアルミニ
ウムハイドライド,エチルアルミニウムセスキクロリド
等を挙げることができる。
【0054】次に、(C)成分としては、一般式〔X〕
【化12】 で表される鎖状アルミノキサンが用いられる。上記式
中、R23は上記一般式〔IX〕中におけるR23と同じもの
を示す。また、sは重合度を示し、通常、3〜50、好
ましくは7〜40である。
【0055】さらに、(C)成分としては、一般式〔X
I〕
【化13】 で表わされる繰り返し単位を有する環状アルミノキサン
が用いられる。上記式中、R23は上記一般式〔IX〕中に
おけるR23と同じものを示す。また、sは重合度を示
し、通常、3〜50、好ましくは7〜40である。
【0056】上記した如き一般式〔IX〕,〔X〕または
〔XI 〕で表わされる化合物の中でも、好ましいのは炭
素数3以上のアルキル基、なかでも分岐アルキル基を少
なくとも1個以上有するアルキル基含有アルミニウム化
合物又はアルミノキサンである。特に好ましいのはトリ
イソブチルアルミニウム又は重合度7以上のアルミノキ
サンである。このトリイソブチルアルミニウム又は重合
度7以上のアルミノキサン、或いはこれらの混合物を用
いた場合には、高い活性を得ることができる。
【0057】なお、上記アルミノキサンの製造法として
は、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させ
る方法が挙げられるが、その手段に特に限定はなく、公
知の方法に準じて反応させればよい。例えば、有機ア
ルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水
と接触させる方法、重合時に当初、有機アルミニウム
化合物を加えておき、後に水を添加する方法、金属塩
等に含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水
を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、テトラ
アルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウム
を反応させ、さらに水を反応させる方法、アルミノキ
サンに活性水素基含有化合物をさらに反応させ変性アル
ミノキサンを得る方法などがある。
【0058】本発明で用いる触媒は、上記の如く、
(A)成分と、(B)成分とを主成分とするもの、或い
は(A)成分と(B)成分と(C)成分とを主成分とす
るものである。この場合、(A)成分と(B)成分の使
用条件は特に限定されないが、(A)成分:(B)成分
の比(モル比)を、1:0.01〜1:100 、特に1:0.5
〜1:10、なかでも1:1〜1:5とすることが好まし
い。また、温度は−100℃〜250℃の範囲とするこ
とができ、圧力,時間は任意に設定することができる。
【0059】また、本発明における(C)成分の使用量
としては、(A)成分1モルに対し、通常、0〜200
0モル、好ましくは5〜1000モル、特に好ましくは
10〜500モルである。(C)成分を用いると、重合
活性の向上を図ることができるが、あまり多いと、有機
アルミニウム化合物が共重合体中に多量に残留し、好ま
しくない。なお、触媒の使用態様には制限はなく、例え
ば(A)成分と(B)成分を予め接触させ、接触生成物
を分離,洗浄して使用してもよく、或いは重合系内で接
触させて使用してもよい。また、(C)成分は、予め
(A)成分、(B)成分或いは(A)成分と(B)成分
との接触生成物と接触させて用いてもよい。接触は、予
め接触させてもよく、或いは重合系内で接触させてもよ
い。さらに、触媒成分は、モノマー、重合溶媒に予め加
えたり、重合系内に加えることもできる。また、触媒成
分は、必要により無機或いは有機の担体に担持して用い
ることもできる。
【0060】重合方法としては、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、気相重合等のいずれの方法を用いてもよい。
また、バッチ法でも連続法でもよい。重合条件に関して
は、重合温度は−100℃〜+250℃、特に−50℃
〜+200℃とすることが好ましい。また、反応原料に
対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分
(モル比)、或いは原料モノマー/上記(B)成分(モル
比)が、1〜109 、特に100〜107 となることが
好ましい。さらに、重合時間は、通常、1分間〜10時
間、反応圧力は常圧〜100kg/cm2 G、好ましく
は常圧〜50kg/cm2 Gである。さらに、得られる
ノルボルネン系共重合体の分子量を調節するには、各触
媒成分の使用量,重合温度を目的に応じて選択したり、
さらには水素の存在下で重合反応を行なうことにより行
なうことができる。このようにして、135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜20dl/gで
あるノルボルネン系共重合体を製造することができる。
【0061】重合溶媒を用いる場合、例えばベンゼン,
トルエン,キシレン,エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘ
キサン等の脂環族炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプ
タン,オクタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジ
クロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることが
できる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2
種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフ
ィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。また、本
発明のαーオレフィン系重合体には、必要に応じて他の
エラストマーや、各種添加剤、例えば酸化某資材,紫外
線防止剤,光安定剤,耐熱安定剤等の安定剤,帯電某資
材,抗ブロッキング剤,滑剤,スリップ剤防曇剤,発泡
剤,難燃化剤,無機充剤,有機充填剤,染料,含量など
を添加することができる。
【0062】本発明のシートまたはフィルムは、このよ
うにして得られるαーオレフィン系重合体からなるもの
である。ここで、このようにして得られるαーオレフィ
ン系重合体から、目的とするシートまたはフィルムを成
形するには、Tダイ法,インフレーション法などの一般
的なシートまたはフィルム成形法が採用でき、その他に
溶剤キャスト法などを用いることもできる。また、この
ようにして得られたシートまたはフィルムは、さらに延
伸することにより、延伸シートまたはフィルムを作成す
ることもできる。なお、シートまたはフィルム厚さは特
に制限はないが、通常、1μm〜10mm、好ましくは
2μm〜5mmである。このようにして得られる本発明
のシートまたはフィルムは、極めて透明性が高い上に、
耐水性,柔軟性に優れたものである。
【0063】
【実施例】次に本発明を実施例により詳しく説明する。 実施例1 (1)触媒の(B)成分の合成 (Jolly,W.L.The Synthesis and Characterization of
Inorganic Compounds;Prentice-Hall:Englewood Cliff
s,NJ,1970,P487 により合成) フェロセン(Cp2 Fe)(3.7 g,20.0mmol)
と、濃硫酸40ミリリットル(ml)とを室温で1時間
反応させると、濃紺溶液が得られた。この濃紺溶液を1
リットルの水に投入して撹拌し、得られた深青色の水溶
液をテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム
(Li[B(C6 5 4 )(13.7g,20.0mmol:
J.Organometal .Chem., 第2巻(1964), P245に記載され
た方法により合成)の水溶液500mlに加えた。落ち
てきた淡青色沈澱を濾取し、水500mlを用いて5回
洗浄した後、減圧乾燥したところ、目的とした生成物
(テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウ
ム)([Cp2 Fe][B(C6 5 4 ])14.7gが
得られた。
【0064】(2)重合 20リットル容のオートクレーブに、乾燥トルエン8リ
ットル、触媒の(C)成分として、トリイソブチルアル
ミニウム12mmol、触媒の(B)成分として、上記
(1)で得られたテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
酸フェロセニウム0.6 mmol、触媒の(A)成分とし
て、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル0.
6 mmol、及び反応原料として、ノルボルネン4mo
lを装填し、50℃、エチレン圧5kg/cm2 Gで1
時間重合した後、メタノールで重合を停止した。これを
濾取乾燥すると、2.4 kgの重合体が得られた。重合条
件を下記の第1表に示す。
【0065】重合活性は、44kg/g・Zrであっ
た。また、13C−NMRの30ppm付近に現れるエチ
レンに基づくピークとノルボルネンの5及び6位のメチ
レンに基づくピークの和と32.5ppm付近に現れるノル
ボルネンの7位のメチレン基に基づくピークとの比から
求めたノルボルネン含量は、6モル%であった。さら
に、135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕は
2.10dl/gであり、X線回折により求めた結晶化度は
16%であった。この共重合体は、結晶化度が低く、か
つ、透明性の高いことから、ランダム構造を有している
ことが判る。なお、ガラス転移温度(Tg)は、東洋ボ
ールディング社製バイブロンII−EA型を用い、巾4m
m,長さ40mmの測定片を昇温速度3℃/分で測定し
た。また、分子量分布(Mw/Mn)は、ウオーターズ
社製ALC/GPC150Cを用い、1,2,4−トリ
クロルベンゼン溶媒,135℃で、ポリエチレン換算で
測定した。
【0066】(3)シートの成形 上記(2)で得られた共重合体を直径20mmの押出機
を用いて、スクリュウ回転速度30rpm、リップ温度
205℃、リップ開度0.5 mmの条件にて、Tダイ成形
して、肉厚0.2 mmのシートを作成した。得られたシー
トの光学特性、弾性率、弾性回復率などの物性を測定し
た結果を下記の第2表に示す。
【0067】なお、光学特性の評価における全光線透過
率の測定は、ディジタルヘイズコンピューター(DIGITA
L HAZE COMPUTER )(スガ試験機械株式会社製)を用い
た。また、弾性率の測定はオートグラフを用いてJIS
−K7113に従って求めた。さらに、弾性回復率の測
定はオートグラフを用い、引張速度62mm/分で、巾
6mm、クランプ間50mm(L0 )の測定片を、15
0%伸ばして引張り、5分間そのままの状態を保った
後、はね返させることなく急に収縮させ、1分後にクラ
ンプ間のシートの長さ(L1 )を測定し、 前記の数式
1により求めた。
【0068】実施例2〜7 第1表に示す条件で、実施例1と同様の重合方法を用い
て、ノルボルネン含量の異なる共重合体を種々合成し、
Tダイ法にて、肉厚0.2 mmのシートを作成した。ただ
し、実施例7の重合時間は他と異なり、110分であっ
た。得られたシートの物性を測定した結果を下記の第2
表に示す。なお、これらの共重合体は、結晶化速度が低
く、かつ、透明性が高いことからランダム構造を有して
いることが判る。
【0069】比較例1 第1表に示す条件で、極限粘度〔η〕が1.82 dl/
g、ノルボルネン含量が18.5モル%のエチレンとノルボ
ルネンの共重合体を合成した。この共重合体から作成し
た肉厚0.2mmのシートについて弾性回復率を測定し
たところ、150%伸長以前に破断してしまい、弾性回
復率は得られなかった。得られたシートの物性を測定し
た結果を下記の第2表に示す。
【0070】比較例2 市販の高密度ポリエチレン(出光640UF,出光石油
化学株式会社製)から作成した肉厚0.2mmのシート
の弾性回復率は、−50%であった。得られたシートの
物性を測定した結果を下記の第2表に示す。
【0071】比較例3 エチレンとα−オレフィンの共重合体(モアテック01
68N,出光石油化学株式会社製)から作成した肉厚0.
2 mmのシートの弾性回復率は、−15%であった。得
られたシートの物性を測定した結果を下記の第2表に示
す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】本発明のα−オレフィン系共重合体から
なるシートまたはフィルムは、特に弾性回復率が優れて
いる上に、適度の弾性率を維持しており、物性のバラン
スがよく、しかも透明性,耐水性にも優れているため、
包装分野、建築分野、医療分野、農業分野など種々の分
野で極めて有効に用いることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 αーオレフィン成分と、環状オレフィン
    成分とを共重合して得られる共重合体であって、ガラス
    転移温度(Tg)が30℃以下であるαーオレフィン系
    共重合体からなるシートまたはフィルム。
  2. 【請求項2】 αーオレフィン系共重合体が、一般式
    〔I〕 【化1】 (式〔I〕中、R1 は水素原子または炭素数1〜20の
    炭化水素基を示す。)で表される繰り返し単位を有する
    αーオレフィン成分と、単環環状オレフィン,置換単環
    環状オレフィンおよび一般式〔II〕 【化2】 (式〔II〕中、R2 〜R13は、それぞれ水素原子、炭素
    数1〜20の炭化水素基、またはハロゲン原子,酸素原
    子あるいは窒素原子を含む置換基を示し、nは0以上の
    整数を示す。なお、R10またはR11と、R12またはR
    13 とは互いに環を形成してもよい。また、R2 〜R13
    は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)で
    表される繰り返し単位を有する環状オレフィンよりなる
    群から選ばれた環状オレフィン成分とを共重合して得ら
    れるものである請求項1記載のシートまたはフィルム。
  3. 【請求項3】 αーオレフィン系共重合体が、αーオレ
    フィン成分に由来する繰返し単位が82〜99.9モル
    %の範囲および環状オレフィン成分に由来する繰返し単
    位が18〜0.1モル%の範囲にあり、かつ、135℃
    のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕が0.01〜2
    0 dl/g である請求項2記載のシートまたはフィルム。
  4. 【請求項4】 環状オレフィンとして、一般式〔II〕中
    のnが0であるものを用いてなる請求項3記載のシート
    またはフィルム。
  5. 【請求項5】 弾性回復率が、10%以上であることを
    特徴とする請求項1〜4記載のシートまたはフィルム。
  6. 【請求項6】 α−オレフィン成分がエチレンであり、
    環状オレフィン成分がノルボルネンであり、かつ、エチ
    レンに由来する繰返し単位が90〜98モル%およびノ
    ルボルネンに由来する繰返し単位が10〜2モル%であ
    る請求項1〜5記載のシートまたはフィルム。
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