JPH05131434A

JPH05131434A - 自然石の地肌面加工方法

Info

Publication number: JPH05131434A
Application number: JP32128791A
Authority: JP
Inventors: Tadafumi Sugawara; 忠文菅原
Original assignee: AUTO KIDEN KK
Current assignee: AUTO KIDEN KK
Priority date: 1991-11-07
Filing date: 1991-11-07
Publication date: 1993-05-28

Abstract

(57)【要約】【目的】大理石の自然石を建築材料等として加工する
場合において、自然石を切断した素材の表面に自然のま
まの地肌を能率的に露出させる自然石の地肌面加工方法
を提供する。【構成】自然石からなる素材１の表面に、その表面層
を削る圧力の高圧水をノズル５より噴出させるととも
に、素材１の表面に面してノズル５を相対的に少なくと
も二次元に移動させる。主として、この移動条件によ
り、平坦、凹凸等の自由な態様の地肌加工面が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主に大理石やテラゾ等
の自然石からなる素材の表面に自然の地肌を露出させる
面加工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】自然石をタイル、壁材等の建築材料とし
て使用するには、採掘された原石を所定の形状に切断す
るが、そのままでは切断跡や切断粉の残存で商品的に表
面が未完成であり、また、建築材料としての使用目的や
設計やデザインとの適合性の追及から美的に処理するた
めに、その表面に面加工が施されている。

【０００３】従来の面加工方法としては、研磨加工、割
り肌加工、バーナー加工などが挙げられる。そのうち、
研磨加工は、砥石により表面を滑らかに磨き上げるもの
で、仕上げ砥石においては蝋で艶付けがなされることが
多く、時には奢侈的に焼入れや着色も施される。

【０００４】研磨加工は、このように念入りな仕上げが
なされることから、コスト高となることは避けられな
く、また、自然の地肌が失われ、自然石としての温かみ
や落着きに欠け、床材としては歩行者が滑る危険があ
る。加えて、建築の様式が、昔のように数奇を凝らして
豪華を競うという傾向から脱却して、実用価値尊重の時
代に入り単純化されていることもあって、自然石の建築
材料も自然の地肌が感じられる面加工のものが好まれる
傾向にある。

【０００５】地肌面加工の最たるものは、割り肌加工で
あって、これによれば、石材を刃で両側から割り、その
割り面をほとんどそのまま仕上げ面として使用するた
め、加工態様としては地肌が凹凸に露骨に表出される。

【０００６】バーナー加工は、自然石素材の切断面をバ
ーナーで焼き、熱膨張により表面層を吹き飛ばすことに
より、切断跡を消失させるもので、これも不完全ながら
地肌面加工に属し、平坦な態様の仕上げ面を得る場合に
用いられている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来の地肌面加工のう
ち、割り肌加工によるときは、偶然性があって期待通り
の割れ面が得られ難く、歩留りが不良である。しかも、
その加工後において全体の整形をなすことになるため、
量産に適しないことはもとより、割る力に耐える厚み強
度を要することから、製品が分厚くなる結果、近代的な
建築材料としての実用性に欠けるばかりか、どうしても
コスト高となるという欠点がある。

【０００８】バーナー加工は、表面の僅かの厚みを消失
させるだけであるので、製品に近い形の素材、例えばタ
イルであると、四角形の素材に加工を施し、形状の変化
がほとんどないため、割り肌加工に比べて歩留りも良く
量産に適するが、加熱による変質があり、また、加熱時
に飛散する微細な粉や不純物が加工面に沈着し、色調が
本来の地肌から掛け離れて不自然となり、品質的に問題
があるばかりか、粉や不純物を消失させるために、加工
後に洗い出し作業を要し、別途に手間が掛かるため、作
業能率的に問題があった。

【０００９】本発明は、上記のような実情に鑑みて、自
然石の素材の表面に自然のままの地肌を能率的に露出さ
せることができ、しかも、加工態様に自由性があり、歩
留りも良好である自然石の地肌面加工方法を提供するこ
とを目的とした。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、種々実験と研究を重ねた結果、自然石の素材の表
面に高圧水を当てると、その表面層のみを削ることがで
きることを見出だし、本発明を完成するに至った。

【００１１】すなわち、本発明による自然石の地肌面加
工方法は、自然石からなる素材の表面に、その表面層を
削る圧力の高圧水をノズルより噴出させると共に、素材
の表面に面してノズルを相対的に少なくとも二次元に移
動させることを特徴とする。

【００１２】

【作用】素材の表面にノズルより高圧水を当てると、そ
の表面層が削られ切断粉が吹き飛び切断跡が消失して自
然の地肌が表出する。このとき、自然石の種類によって
は、構成物質のうち、例えば、石英や長石等よりは比較
的硬度の小さい雲母等の削りが多少ながら多くなり、そ
の部分に僅かに凹みが見られるが、自然石の地肌はその
ような形態で存在しているので、却って自然な仕上げ面
が得られる。

【００１３】素材の表面層を削る高圧水の圧力適正につ
いては、素材の材質や厚み、ノズルとの距離、加工形態
等の種々の条件により異なるので限定はできないが、例
示すれば、３〜６ｃｍの厚みの大理石のタイル素材の表
面に、４〜７ｃｍ程度のノズルの高さから、平坦な地肌
を表出するときには、５００〜１５００気圧程度の圧力
が適当である。このような近距離で１５００気圧を越え
ると、素材が割れる現象が生じるが、例えば１００００
気圧のような超高圧の場合であると、他の条件にもよる
が、却って割れなくなることが想定される。

【００１４】素材の表面に面するノズルの二次元移動と
は、その表面に面するＸ軸方向とＹ軸方向との平面移動
を意味するものとする。この二次元の移動により素材表
面の全体的な加工が可能であり、また、後記実施例にお
いて説明するように、条件設定により平坦、凹凸等の加
工態様を自由に選択できる。

【００１５】二次元移動が相対的であるので、その両移
動をノズル側と素材側のいずれかに負わせる場合と、Ｘ
軸方向とＹ軸方向とに分担させる場合とがあることにな
る。しかし、分担させると加工装置の構造が簡単となる
ので、三次元移動、つまり、ノズルの高さが変化する装
置構造を取りやすくなる。ノズルの三次元移動を伴う高
圧水の噴射によれば、自然な凹凸態様の地肌面加工がさ
らにしやすくなる。

【００１６】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１７】図１は、自然石の地肌面加工方法を実施す
る装置の一例における要部を示し、この図示によれば、
大理石の原石を切断したタイル素材１の表面を、ノズル
５から噴出する高圧水により面加工している。

【００１８】装置の概略を説明すると、素材１を載せる
加工台２を跨ぐようにして本体フレーム４（全体図示省
略）が設けられ、その本体フレーム４に、ノズルホルダ
ー３の支持装置６がＸ軸方向つまり横方向に移動可能に
装着される。また、加工台２には素材１をＹ軸方向に移
動できるようにローラコンベアが用いられ、図示しない
駆動装置により素材１がＹ軸方向に往復運動される。

【００１９】ノズル５は、このＸ軸、Ｙ軸の相対的な二
次元移動により、素材１の表面を全面的に走査すること
ができるが、さらに、支持装置６において、ノズル５の
高さが調整可能になっている。この高さ調整機構につい
ては、基部盤８に対して、先部盤１０が油圧シリンダー
１２の力により上下動するようになっている。なお、基
部盤８は、本体フレーム４に備えられるＸ軸方向のガイ
ドレールに掛かっている。また、基部盤８には、ノズル
ホルダー３を上下振動させる油圧シリンダーによるフロ
ーティング駆動装置１３が装備されている。これは、素
材１の表面に凹凸を形成するときに主に作動される。

【００２０】この支持装置６によれば、平面的にはノズ
ル５がＸ軸方向にのみ移動する。これはローラー１４に
対する平行移動であって、加工台２との関係では、その
ローラー１４とローラー１４との間の空隙１８の位置に
ノズル５が常時保持されるように構成される。従って、
素材１が高圧水から外れても、高圧水が空隙１８から下
へ抜けるので、高圧水によりローラー１４を損傷するお
それがない。

【００２１】ノズルホルダー３には、ノズル５がＸ軸方
向に等間隔に一列に配列されており（図２）、その間隔
ｗを１ピッチとする。このノズル５の配列において、タ
イル素材１の加工手順および加工態様を説明する。

【００２２】加工台２の上において、タイル素材１がＹ
軸方向に移動することにより、ノズルホルダー３がタイ
ル素材１の上をＹ軸方向に走査し、一定の巾Ｗにおい
て、平坦な地肌面２０が露出する面加工がＹ軸方向全長
に施される。その最端に達すると、ノズルホルダー３が
Ｘ軸方向に移動することにより、走査巾Ｗが横に移り、
今度は、タイル素材１がＹ軸方向の移動を逆方向に転換
し、この往復運動を繰り返すことによって、タイル素材
１の表面の全面が面加工される。

【００２３】図２は、平坦な面加工をするためのノズル
５の移動条件を説明するもので、この平坦面の加工態様
では、ノズルホルダー３が走査中に１ピッチｗだけＸ軸
方向に揺動的に往復運動される。この千鳥足的な走査に
より高圧水が素材１の表面に均等に噴射される。図示説
明の場合とは違って、１ピッチの間隔ｗの往復移動距離
に過不足があると、加工面にはＸ軸方向に進行する形状
の波が形成される。また、不規則的にＸ軸方向に運動さ
せると凹凸が生じ（図５参照）、割れ肌加工と同様の加
工がなされ得る。そして、この際にフローティング駆動
装置１３を作動させると、凹凸が自然に近い形態に浮き
彫りにされる。

【００２４】ノズル５の走査速度については、１０００
気圧の高圧水をタイル素材１に６ｃｍの高さから噴射し
て平坦な加工面を得るときには、分速２ｍが適当であっ
た。これは、バーナー加工と比べると、少なくとも１．
５倍の作業能率となる。

【００２５】図３は、ノズルホルダー３に対するノズル
５の他の配置例を示したもので、面加工の態様に応じて
様々な配置が考えられる。面加工の態様の確定について
は、計算に基づく推定と、実験結果およびそのデータに
基づく解析処理等の手法がある。確定された数値は、コ
ンピュータに入力され、ＩＣ制御により装置が自動的に
運転される。これにより製品にばらつきがなくなり、ま
た、端が欠ける等の不良品の発生を未然に防止できる。

【００２６】図４は、額縁と称される面加工の形態を示
したもので、鏡面１９の周囲に地肌面２０が形成され
る。この場合は、全面に研磨加工を施したタイル素材１
を使用し、その周縁部に地肌面加工を施す。

【００２７】額縁の形成については、従来バーナー加工
が不能であることから、砥石車により周囲を粗削りして
いたので、砥石の摩耗の進行により、加工の始めと終わ
りとでは、鏡面１９に対して地肌面２０に見苦しく高低
差が生じる難点があったが、本発明によれば、地肌面２
０を能率的に均一に形成できる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような優れた効果がある。

【００２９】１）自然石からなる素材の表面に、その表
面層を削る圧力の高圧水をノズルより噴出させることに
よって、地肌を表出させ一挙に素材の切断跡を消失させ
ることができ、後に全体的な整形や地肌面の洗い出し作
業が不要であるため、自然石の地肌面加工の作業が極め
て能率的となる。

【００３０】２）高圧水の噴射により、石の切断粉が吹
き飛び自然の地肌がそのまま奇麗に表出し、その際に熱
変質や不純物の沈着も全くないため、加工面の品質が非
常に良くなり、商品価値を格段に高めることができる。
また、バーナー加工に比べて加工面が滑り難い粗面とな
るので、浴室向きの安全な床材の提供に適する。

【００３１】３）素材の表面に面して、ノズルを相対的
に少なくとも二次元に移動させるので、高圧水の圧力と
ノズルの移動との条件設定により、自然石の表面を所望
の形状に形成でき、平坦な加工はもとより、割り肌加工
と同じ態様の加工をもなし得る等表面が様々な態様の製
品を安価に提供でき、少量多品種生産にも適する。加え
て、彫刻のように模様を描く特殊な面加工も可能であ
る。

【００３２】４）割り肌加工に比べて偶然性がなく、条
件設定を予め実験により確かめておくことができ、その
確定に基づく作業条件により、製品にばらつきがなくな
り、歩留まりが良好となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を説明する装置の要部を示す斜視図
である。

【図２】ノズルホルダーに対するノズルの配列と移動範
囲を示す説明図である。

【図３】ノズルホルダーに対するノズルの配列の他の例
を示す説明図である。

【図４】額縁態様の面加工を示すタイルの斜視図であ
る。

【図５】割り肌加工態様のタイルの斜視図である。

【符号の説明】

１素材５ノズル２０地肌面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】自然石からなる素材（１）の表面に、そ
の表面層を削る圧力の高圧水をノズル（５）より噴出さ
せるとともに、素材（１）の表面に面してノズル（５）
を相対的に少なくとも二次元に移動させることを特徴と
する自然石の地肌面加工方法。