JPH05127169A - 液晶表示パネルのスペーサー散布装置 - Google Patents

液晶表示パネルのスペーサー散布装置

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JPH05127169A
JPH05127169A JP3286399A JP28639991A JPH05127169A JP H05127169 A JPH05127169 A JP H05127169A JP 3286399 A JP3286399 A JP 3286399A JP 28639991 A JP28639991 A JP 28639991A JP H05127169 A JPH05127169 A JP H05127169A
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茂 植村
Norio Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基板1の上面側にスペーサーを形成するため
に、散布管9内に導入された微小粉体7からなるスペー
サー材が、空気供給源8から供給される除湿空気により
散布管9内を搬送され、散布管9の散布口5から散布さ
れる液晶表示パネルのスペーサー散布装置において、散
布管9は、管内径が2〜4mmφの範囲内で、かつ管長
さが1,000mm以上に形成される一方、空気供給源
8は、管内流速が20m/min以上となるようにして
気体を供給する。 【効果】 散布管9内でのスペーサー材の凝集塊におけ
る衝突による分散が促進される。このため、基板1の上
面側に形成されるスペーサー材の凝集を減少することが
でき、これによって液晶表示パネルの品質や製造歩留り
の低下を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示パネルの上下
2枚の基板の間隔を保持するスペーサーを形成するため
に、粉体からなるスペーサー材を基板の上面側に散布す
る液晶表示パネルのスペーサー散布装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】液晶表示パネルの製造工程においては、
液晶表示パネルの上下2枚の基板の間隔を保持するスペ
ーサーを形成する作業が行われる。
【0003】スペーサーを基板の上面側に形成するため
の従来の方法には、特定の粒径分布を有する粉体からな
るスペーサー材を、例えばダイフロン、トリクロルエタ
ン、水等の各種液体に分散させ、この混合液を基板の上
面側に噴霧する方法がある。
【0004】この方法では、混合液の噴霧後の分散媒と
しての液体は、自然に揮発するか又は水の場合には強制
的に蒸発させるか等により取り除かれる。
【0005】上記混合液を使用する方法にて散布された
スペーサー材は、複数の粉体粒子が基板の上面側に相互
に接触して塊状となった状態で分布する傾向がある。こ
のようにスペーサー材が相互に接触して塊状となるいわ
ゆる凝集は、液晶表示パネルの品質を確保する上で問題
となる。すなわち、液晶表示パネルの品質を確保してス
ペーサーを形成するためには、基板の上面側に極力均一
にスペーサー材を分布させることが重要であり、相互に
接触している粉体粒子が1箇所もないのが良く、理想的
には粉体粒子相互間の距離が略同じであるのが良い。そ
こで、スペーサー材が含まれる混合液を基板に噴霧する
直前に、その混合液を超音波等にて分散させ、スペーサ
ー材の凝集を少なくするようなことも行われている。
【0006】ところが、上記の方法は、分散媒として液
体を使用していることにより以下のような問題を有して
いる。
【0007】すなわち、この方法は、液体が揮発又は蒸
発した跡にできるシミの発生や、イオン性不純物の混合
液への混入により液晶に対する電圧保持率低下を誘発す
るので、液晶表示不良が発生して液晶表示パネルの品質
の低下を招来する。
【0008】また、最近では混合液に使用する液体の処
理の問題により、この混合液に使用する方法の採用が困
難になっている。つまり、例えば、オゾン層破壊という
公害を防止するためのフロン規制によりダイフロンが使
用できなくなる傾向にある。
【0009】さらに、液体としてダイフロンを使用して
いなくても、スペーサー材を含んだ混合廃液の垂れ流し
は公害となるので、何らかの無公害化処理を施さなけれ
ばならず、この無公害化処理の煩雑さ、及びそれに伴う
処理コストの増大等の問題がある。
【0010】そこで最近は、分散媒として液体の代わり
に気体を使用する方法が用いられるようになってきた。
【0011】従来のこの種の液晶表示パネルのスペーサ
ー散布装置は、図6に示すように、散布対象となる基板
52が吸着盤53の上側に載置される。そして、この基
板52及び吸着盤53を下面開口の散布箱51を用いて
覆うようになっている。この状態で散布箱51の上部に
設けられている散布管54の入口側から微小粉体が導入
され、微小粉体が、空気により散布管54内を搬送さ
れ、その後出口から微小粉体を散布箱51内に噴出させ
て散布することによって、対象となる基板52の上面側
に微小粉体を付着させ、スペーサーを形成するようにな
っている。
【0012】ここで、微小粉体からなるスペーサー材の
粒子の形状、大きさは例えば、 (1)球状 : 直径3〜20μmφ (2)細長い棒状 : 直径3〜20μmφ、長さ15
〜70μm であり、また、上記散布管54は、管内径が10mm
φ、管長さが500mmに形成されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スペー
サー材の分散媒として気体を用いる上記従来の液晶表示
パネルのスペーサー散布装置においては、スペーサー材
としての微小粉体が散布管への導入の際に吸湿したりす
ることによって、スペーサー材が凝集して粒子塊を形成
する。このため、やはり基板52の上面側に凝集塊を含
んだ状態でスペーサーが形成されるので、液晶表示パネ
ルの品質や製造歩留りの低下を招来するという問題点を
有している。
【0014】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、スペーサー材の凝集を極
力減少させ、これによって液晶表示パネルの品質や製造
歩留りの低下を防止し得る液晶表示パネルのスペーサー
散布装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の液
晶表示パネルのスペーサー散布装置は、上記の課題を解
決すべく、基板の上面側にスペーサーを形成するため
に、散布管内に導入された粉体からなるスペーサー材
が、気体供給源から供給される気体により散布管内を搬
送され、散布管の散布口から散布される液晶表示パネル
のスペーサー散布装置において、上記散布管は、管内径
が2〜4mmの範囲内で、かつ管長さが1,000mm
以上に形成される一方、気体供給源は、管内流速が20
m/min以上となるようにして気体を供給することを
特徴としている。
【0016】請求項2記載の発明の液晶表示パネルのス
ペーサー散布装置は、上記の課題を解決すべく、基板の
上面側にスペーサーを形成するために、基板の上面側に
スペーサーを形成するために、散布管内に導入された粉
体からなるスペーサー材が、気体供給源から供給される
気体により散布管内を搬送され、散布管の散布口から散
布される液晶表示パネルのスペーサー散布装置におい
て、上記散布管内に格子からなるフィルタを設けたこと
を特徴としている。
【0017】請求項3記載の発明の液晶表示パネルのス
ペーサー散布装置は、上記の課題を解決すべく、散布箱
を備え、この散布箱内に設けられた基板の上面側にスペ
ーサーを形成するために、散布管内に導入された粉体か
らなるスペーサー材が、気体供給源から供給される気体
により散布管内を搬送され、散布管の散布口から散布さ
れる液晶表示パネルのスペーサー散布装置において、上
記散布箱における基板の下面側には上記散布口から散布
されたスペーサー材を排出させる排出口が形成され、こ
の排出口には、スペーサー材が散布口から排気口への層
流となるように吸引する排気手段が接続されていること
を特徴としている。
【0018】
【作用】請求項1の構成によれば、散布管は、管内径が
2〜4mmの範囲内で、かつ管長さが1,000mm以
上に形成される一方、気体供給源は、管内流速が20m
/min以上となるようにして気体を供給するので、基
板の上面側に付着するスペーサー材の凝集が減少する。
すなわち、吸湿等して凝集したスペーサー材の凝集塊
は、気体により散布管内を搬送される際に、散布管の管
壁面に衝突したり、あるいは凝集塊同士が衝突したりす
る頻度が多くなる。そして、衝突時に働く物理的衝撃に
よる分散、あるいは衝突によって凝集塊が摩擦されて同
一の極性に帯電し、凝集塊の各粒子同士が電気的に反発
し合うことによる分散により、散布管の下流側では凝集
塊が少なくなる。このとき、散布管が上記の形状を有す
ると共に、管内流速が上記の値となっているので、散布
管内での凝集塊の分散が促進される。このことは実験に
より確認できた。
【0019】また、請求項2の構成によれば、散布管内
に格子からなるフィルタを設けているので、吸湿等した
凝集塊が、このフィルタを通過する際に、格子に衝突し
て分散された後散布箱内に散布される。このため、基板
の上面側に付着するスペーサー材の凝集が減少する。
【0020】また、請求項3の構成によれば、散布箱に
おける基板の下面側には上記散布口から散布されたスペ
ーサー材を排出させる排出口が形成され、この排出口に
は、スペーサー材が散布口から排気口への層流となるよ
うに吸引する排気手段が接続されているので、基板の上
方では気流の乱れが発生しない。このため、基板の上面
側に粉体粒子が略均一に分布して付着する。したがっ
て、基板の上面側に付着するスペーサー材の凝集が減少
する。
【0021】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の一実施例について図1ないし図3
に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0022】本実施例の液晶表示パネルのスペーサー散
布装置は、大型の電極基板を用いて液晶表示素子を一括
形成する製造(マルチセル製造方法)や、高精細のパタ
ーン形成を必要とするアクティブ型液晶表示素子の製造
や、大型高精細ドットマトリクス等の液晶表示素子の製
造に適している。
【0023】本スペーサー散布装置は、図1に示すよう
に、液晶表示パネルに使用される、例えばガラスやフィ
ルム等の基板1を吸着して固定する吸着盤2を備えてい
る。
【0024】上記基板1の大きさは、例えば、縦(m
m)×横(mm)×厚さ(mm)が、200×200×
0.7、300×300×0.7、300×400×
1.1、500×500×2.0等であり、縦、横、厚
さは各種の組み合わせが可能である。
【0025】上記基板1の上面側には、蒸着法等により
形成された透明導電性被膜3が積層されており、この透
明導電性被膜3には、写真蝕刻法等により所定の電極パ
ターンが形成されている。
【0026】一方、上記基板1及び吸着盤2は、下面開
口となっている直方体形状の散布箱4によって覆われて
いる。この散布箱4は、例えばアクリル等の樹脂からな
っている。
【0027】また、上記散布箱4の上壁部中央には、上
壁部を貫通する貫通孔5が形成されており、この貫通孔
5には、散布管9の一端が嵌入されている。この散布管
9の他端には、図示しない粉体定量装置を内蔵した粉体
供給装置6を介して、例えばコンプレッサ等の気体供給
源としての空気供給源8が接続されている。この空気供
給源8は、供給された微小粉体7をクリーン度の高い除
湿空気を上記粉体供給装置6に供給して微小粉体7を散
布管9内に導入させると共に、この散布管9内に導入さ
れた微小粉体7を管内流速20m/minで除湿空気に
より搬送させるようになっている。。
【0028】上記スペーサー材としての微小粉体7の粒
子の形状、大きさは、例えば、 (1)球状 : 直径3〜20μmφ (2)細長い棒状(円柱状): 直径3〜20μmφ、
長さ15〜70μm である。また、スペーサー材は、例えば各種プラスチッ
ク、ガラス等の各種の材料によって形成されている。ま
た、微小粉体7を搬送する気体としては上記除湿空気の
他、例えば、N2 ガスや除湿していない空気等が一般的
に使用される。
【0029】上記散布管9は略直状に形成されており、
その管内径は2〜4mmφとなっていると共に、管外径
は適切な径になっている。また、散布管9の管長さは、
1,000〜2,000mmである。なお、これ以上の
長さにすることも可能であり、後述の実験式により、凝
集した微小粉体7を同様に分散させることができる。
【0030】また、散布管9の材質は、ポリウレタン樹
脂であり、その他の樹脂及びグラスファィバー等も使用
可能である。
【0031】上記の構成において、液晶表示パネルのス
ペーサー散布装置の動作を説明する。まず、図1に示す
ように、吸着盤2の上側に基板1が載置された後、散布
箱4によりこれら吸着盤2及び基板1を覆う。次いで、
粉体供給部6にスペーサー材としての微小粉体7を定量
供給する。このとき既に、微小粉体7は、空気中の水分
を吸湿したりすること等により、各粉体粒子が凝集して
凝集塊を形成している。この状態で粉体供給部6の微小
粉体7は、除湿空気により、散布管9内に導入され散布
管9内を搬送される。
【0032】上記凝集塊を含む微小粉体7は、散布管9
の内壁面での衝突、あるいは凝集塊同士での衝突を繰り
返す。このため、散布管9の下流側では凝集塊が分散さ
れて少なくなる。つまり、散布管9の下流側では、スペ
ーサー材における凝集塊の構成粒子数(凝集した1つの
凝集塊における粒子の個数)が少なくなる。この結果、
散布管9の出口においては凝集塊の少ない微小粉体7が
散布箱4内に散布される。
【0033】上記のスペーサー材における凝集塊の管壁
面への衝突や凝集塊同士の衝突によって、凝集塊が分散
する理由としては、下記2点がある。 (1)物理的な力によるもの 衝突時に働く物理的衝撃により凝集塊が分散する。 (2)電気的な力によるもの 衝突によって各凝集塊が摩擦され、この摩擦により凝集
塊に静電気が発生し、凝集塊の各粒子が同一の極性に帯
電する。このため、同一の極性に帯電した凝集塊の各粒
子同士の電気的反発が生じて、凝集塊が分散する。
【0034】なお、微小粉体7における管壁面への衝突
回数については、下記の実験式を得ている。 衝突回数 = r×管長さL×管内流速V/(管内半径
R) (rは管内の流れの状態及び管の種類等に依存する係数
である。)したがって、衝突回数は、管長さLが長い
程、また管内流速Vが大きい程多くなり、かつ管内半径
が減少するほど多くなることがわかる。
【0035】ここで、本実施例の散布管9は、管内径が
2〜4mmφの範囲内で、かつ管長さが1,000〜
2,000mmに形成される一方、空気供給源8は、管
内流速が20m/min以上となるようにして除湿気体
を供給するようになっているので、散布管9内での凝集
塊の分散が促進される。
【0036】上記の効果を実験により確認したので以下
に示す。実験は、本実施例の散布管9を使用した場合に
ついて、基板1上に散在する凝集塊の個数を調査し、そ
の結果を実施例1〜実施例4として表1に示した。ま
た、本実施例の散布管9と比較するため、他の散布管を
使用した場合について、同一条件で調査した結果を比較
例1〜比較例4として表2に、比較例5〜比較例7とし
て表3に示すと共に、表2、表3をプロットしたものを
図2、図3に示した。
【0037】なお、調査条件として、スペーサー材の粒
子径、除湿空気の管内流速、基板1の大きさ、効果の判
定方法を下記のように設定した。
【0038】 スペーサー材の粒子径 : 直径3〜20μmφ 除湿空気の管内流速 : 20m/min 基板の大きさ : 300mm×400mm×
1.1mm 効果の判定方法 : 上記基板に散在する凝集塊
の直径が30μmφ以上であるものの個数(凝集個数)
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】以上の表1の調査結果から明らかなよう
に、実施例1〜実施例4に示す管内径2〜4mmφかつ
管長さ1000〜2000mmの範囲内、及び管内流速
20m/minでは、凝集塊の直径が、液晶表示パネル
において問題となる30μmφ以上であるものの個数
(凝集個数)が0〜1個であることが判明した。また、
表2及び図2の比較例1〜比較例4は、管内径を10m
mφに固定した場合における凝集個数の管長さ依存性を
示しており、凝集個数は、管長さの縮小に伴い直線的に
増加し、管長さ500mmのとき6個であることが判明
した。また、表3及び図3の比較例5〜比較例7は、管
長さを500mmにした場合における凝集個数の管内径
依存性を示しており、凝集個数は、管内径の増大に伴っ
て増加し、管内径10mmφにおいて6個であることが
判明した。
【0043】この結果、散布管9の形状及び管内流速を
本実施例のようにしたことにより、凝集個数を0〜1個
にまで減少できるので、散布管9内での凝集塊の分散が
促進されることを確認した。
【0044】なお、上記の実験結果において、管内径2
mmφ未満のデータを開示しなかったのは、管内径を2
mmφ未満にすると、微小粉体7が散布管9内で閉塞す
る傾向があるからである。またこれを回避するために
は、管内流速を極端に増大しなければならず、基板1の
上面側への散布速度として不適となるからである。ま
た、管内流速を20m/min以上としたのは、微小粉
体7が閉塞する傾向があるので、最低この値以上の管内
流速を必要とするからである。
【0045】以上のように、本実施例の液晶表示パネル
のスペーサー散布装置は、散布管9は、管内径が2〜4
mmφの範囲内で、かつ管長さが1,000〜2,00
0mmに形成される一方、空気供給源8は、管内流速が
20m/minとなるようにして除湿空気を供給するよ
うになっている。このため、吸湿等して凝集したスペー
サー材の凝集塊が、除湿空気により散布管9内を搬送さ
れる際に、凝集塊が散布管9の内壁面での衝突や、凝集
塊同士で衝突を繰り返す。したがって、散布管9の下流
側では凝集塊が分散されて少なくなり、この状態で散布
箱4内に散布される。また、散布管9における上記の形
状、及び管内流速における上記の条件により、散布管9
内での凝集塊の分散が促進される。
【0046】この結果、液晶表示パネルにおいて問題と
なる凝集塊による液晶表示パネルの輝点不良を無くする
ことが可能となり、これによって製造歩留りの向上及び
液晶表示パネルの品質の低下を防止をすることができ
る。
【0047】なお、本実施例において散布管9は、略直
状に形成されているが、必ずしもこれに限定されず、例
えば、図4に示すように、螺線状に形成した散布管10
とすることも可能である。このように散布管10を螺線
状に形成した場合には、散布管10の管長さが長くても
コンパクトになるというメリットがある。
【0048】また、本実施例では、除湿空気を管内流速
20m/minの値に設定しているが、必ずしもこれに
限定される必要はなく、管内径2〜4mmφかつ管長さ
1000mm以上の範囲においては、前記実験式によ
り、管内流速20m/min以上とすることが可能であ
り、凝集塊の分散効果は変化しないことが実験的にも判
明している。
【0049】〔実施例2〕本発明の他の実施例を図5に
基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の
便宜上、前記の実施例1の図面に示した部材と同一の機
能を有する部材については、同一の符号を示し、その説
明を省略する。
【0050】本実施例の液晶表示パネルのスペーサー散
布装置は、図5に示すように、吸着盤2が吸着盤用アー
ス11・11に接続され接地されるようになっている。
【0051】上記吸着盤2、及び透明導電性被膜3が積
層された基板1は、上部が略釣鐘形状をなし下部がロー
ト状に形成された導電性プレート製の散布箱としてのベ
ルジャー(Bell jar)12内に収容されている。このベ
ルジャー12は、上部と下部とが分離可能となってお
り、上記透明導電性被膜3が積層された基板1を吸着盤
2上に載置するときには、上部と下部とを分離させた後
に載置するようになっている。また、ベルジャー12
は、上部と下部とを接合させたときには、ベルジャー1
2内が略密閉状態になるように形成されている。さらに
ベルジャー12には、約1MΩの抵抗体13を介して、
ベルジャー用アース端子14に接続されている。
【0052】上記ベルジャー12における基板1の下面
側には、排出口15が形成されており、この排出口15
は、排出弁16、排出管17を介して排出手段としての
排出装置18に接続されている。この排出装置18は、
上記排出弁16を開けたときに、ベルジャー12内の空
気を吸引して排出することができるようになっている。
【0053】一方、ベルジャー12の上壁部中央に形成
された貫通孔5には、微小粉体7を噴出させる散布口と
しての散布ノズル19が嵌入されている。上記散布ノズ
ル19には、長手方向の中心軸部を貫通する円柱状の中
空路20が形成されている。
【0054】上記中空路20は、微小粉体7を導入する
粉体導入部21と、この粉体導入部21より下部に形成
された気体導入部22と、この気体導入部22より下部
に形成され微小粉体7を帯電させる粉体帯電部23とを
有している。
【0055】上記粉体導入部21には、一端が粉体供給
部6が接続された粉体供給管9aの他端が接続されてい
る。そして、この粉体供給管9aと上記散布ノズル19
によって、散布管9が構成されている。また、上記粉体
導入部21には、フィルタ24…が微小粉体7の流通方
向に対して3段に配されており、これら各フィルタ24
…は、ステンレス製にて80メッシュの格子からなって
いる。
【0056】上記気体導入部22には、一端が空気供給
源8に接続された気体流通管25の他端が接続されてお
り、空気供給源8から供給される除湿空気が散布ノズル
19に直接供給されるようになっている。
【0057】上記散布ノズル19の粉体帯電部23に
は、高圧静電場を与える2つの極としての放電針26・
26が設けられており、これら放電針26・26はリー
ド線27・27を介して放電電圧を操作するための高圧
発生装置28に接続されている。
【0058】上記の構成において、本実施例の液晶表示
パネルのスペーサー散布装置の動作を説明する。
【0059】まず、図5に示すように、粉体供給部6に
は、スペーサー材としての微小粉体7が供給される。こ
の微小粉体7は、前述したように、空気中の水分を吸湿
したりすること等により、各粒子が凝集して凝集塊が形
成されている。この状態で粉体供給部6から供給される
微小粉体7は、空気供給源8から供給される除湿空気に
より粉体供給管9aを通して散布ノズル19における中
空路20の粉体導入部21へ送られる。ここで、上記散
布ノズル19の気体導入部22には、空気供給源8から
の除湿空気が導入されるので、除湿空気導入による相乗
効果により上記微小粉体7は速度が増加されて粉体導入
部21に導入される。すると凝集塊が形成された微小粉
体7は、粉体導入部21に設けられたフィルタ24…を
高速で通過し、その際、フィルタ24…の格子に衝突す
るので、凝集塊が物理的に分散される。
【0060】次いで、微小粉体7は放電針26・26の
設けられた粉体帯電部23に到達する。放電針26・2
6には、高圧発生装置28により予め、例えば−50K
Vの電圧が印加されており、これら放電針26・26近
傍でコロナ放電が起こっている。したがって、微小粉体
7が、これら放電針26・26の近傍を通過する際に、
負の極性に帯電される。微小粉体7の各粒子が負の極性
に帯電すると各粒子が電気的に相互に反発するので分散
性がよくなる。その後、負の極性に帯電した微小粉体7
がベルジャー12内下方の基板1へと散布される。
【0061】一方、放電針26・26近傍が負の極性に
帯電することにより、基板1に積層された透明導電性被
膜3の上面側が静電誘導作用にて正の極性に帯電する。
このため、負の極性に帯電した微小粉体7が正の極性に
帯電した透明導電性被膜3の上面側に引き寄せられて付
着し易くなる。この結果、高圧発生装置28にて放電針
26・26に高電圧を印加して透明導電性被膜3の上面
側を正の極性に帯電させた場合には、放電針26・26
に高電圧を印加しない場合に比べて約1.5倍の付着量
が得られるようになった。このように、微小粉体7を帯
電して透明導電性被膜3に電気的に引き寄せると、スペ
ーサー材の消費量が減少できるので、製品コストの低減
が可能となる。
【0062】また、ベルジャー12における基板1の下
面側に設けられた排出弁16を開けておき、排出装置1
8にてベルジャー12内の空気を吸引することにより、
ベルジャー12内での微小粉体7を混合した除湿空気の
流れが散布ノズル19から排出弁16への層流状態とな
る。このため、透明導電性被膜3には微小粉体7が略均
一に分布した状態で付着するようになり、スペーサー材
の凝集が減少する。
【0063】ただし、上記の場合、散布ノズル19から
噴出される除湿空気の流量が排出弁16から吸引排出さ
れる除湿空気の流量よりも多い場合には、ベルジャー1
2内の気流が乱れるので、散布ノズル19から噴出され
る除湿空気の流量は、排出弁16から吸引排出される除
湿空気の流量よりも少なくする必要がある。なお、上述
した微小粉体7の散布に伴う工程を散布サイクルとい
う。
【0064】また、微小粉体7の散布後はベルジャー1
2内を清掃する。清掃においてはまず、ベルジャー12
の上部と下部とを分離させ、基板1をベルジャー12の
外部に搬出した後、再度ベルジャー12の上部と下部と
を接合する。そして、ベルジャー12内等に多少残留し
ている微小粉体7を排出するため、粉体供給管9a及び
気体流通管25に除湿空気のみを送り、排出弁を開けた
状態で数秒保つ。その後、粉体供給管9a及び気体流通
管25からの除湿空気の供給を停止し、除湿空気を排出
弁16から吸引した状態でさらに数秒保ち、最後に排出
弁16を閉める。この工程を清掃サイクルとして上記散
布サイクルと交互に行う。なお、この清掃サイクルを1
回行う際の、タクトタイムつまり所要時間は、1個の基
板1当たり1分弱である(1度に散布できる基板の枚数
は、透明導電性被膜3への付着分布を考慮して散布量を
制御するという都合により、1個の基板1のみであ
る。)。このような清掃サイクルを行うことにより、粉
体供給管9a、散布ノズル19の中空路20及びベルジ
ャー12内における各壁面での累積付着が回避されるの
で、微小粉体7の散布量が増加する傾向を防止すること
が可能となる。
【0065】また、ベルジャー12は約1MΩの抵抗体
13を介して接地されているので、ベルジャー12の帯
電量が−2KV前後に保たれる。この−2KVという数
値は、人体には殆ど影響のないレベルであるが、高圧発
生装置28にて放電針26・26の帯電圧を−60KV
以上に上昇させると、ベルジャー12の帯電量が−3K
V以上の数値となって人体への危険性を伴うために、高
圧発生装置28における電圧の設定値は−50KVにし
ている。なお、高圧発生装置28における電圧の設定値
を−30KV以下に降下させた場合には、微小粉体7へ
の帯電効果が弱まり、微小粉体7における凝集塊の分散
性が悪くなる。
【0066】このように、本実施例の液晶表示パネルの
スペーサー散布装置においては、散布ノズル19の中空
路20に、格子からなるフィルタ24…が設けられてい
るので、微小粉体7の凝集塊がこのフィルタ24…を通
過する際に、フィルタ24…の格子に衝突し、凝集塊が
分散する。
【0067】また、ベルジャー12内における基板1の
下面側から、ベルジャー12の排出口15を介して設け
られた排出装置18にてベルジャー12内の空気を吸引
するので、ベルジャー12内での微小粉体7を混合した
除湿空気の流れが散布ノズル19から排出弁16への層
流状態となる。このため、透明導電性被膜3には微小粉
体7が略均一に分布した状態で付着するようになり、ス
ペーサー材の凝集が減少する。この結果、凝集塊による
液晶表示パネルの輝点不良を無くすることが可能とな
り、これによって製造歩留りの向上及び液晶表示パネル
の品質の低下を防止をすることができる。
【0068】なお、本実施例において、格子からなるフ
ィルタ24…を散布ノズル19の中空路20内に設けて
いるが、必ずしもこれに限定される必要はなく、例え
ば、粉体供給管9a内に設けることも可能である。ま
た、フィルタ24は、3段に設けられているが、1段で
も凝集塊を分散することは可能である。
【0069】
【発明の効果】請求項1記載の発明の液晶表示パネルの
スペーサー散布装置は、以上のように、散布管は、管内
径が2〜4mmの範囲内で、かつ管長さが1,000m
m以上に形成される一方、気体供給源は、管内流速が2
0m/min以上となるようににして気体を供給する構
成である。
【0070】これにより、吸湿等して凝集したスペーサ
ー材の凝集塊が散布管の管壁面に衝突したり、あるいは
凝集したスペーサー材の粒子群同士が衝突したりする頻
度が多くなり、凝集塊の分散が促進される。このため、
基板の上面側に形成されるスペーサー材の凝集を減少す
ることができ、これによって液晶表示パネルの品質や製
造歩留りの低下を防止することができる。
【0071】また、請求項2記載の発明の液晶表示パネ
ルのスペーサー散布装置は、以上のように、散布管内に
格子からなるフィルタを設けた構成である。
【0072】これにより、吸湿等した凝集塊がこのフィ
ルタを通過する際に、上記凝集塊が格子に衝突して分散
された後散布箱内に散布される。このため、基板の上面
側に付着するスペーサー材の凝集を減少することがで
き、これによって液晶表示パネルの品質や製造歩留りの
低下を防止することができる。
【0073】また、請求項3記載の発明の液晶表示パネ
ルのスペーサー散布装置は、以上のように、散布箱にお
ける基板の下面側には上記散布口から散布されたスペー
サー材を排出させる排出口が形成され、この排出口に
は、スペーサー材が散布口から排気口への層流となるよ
うに吸引する排気手段が接続されている構成である。
【0074】これにより、基板の上方では気流の乱れが
発生せず、粉体粒子が略均一に分布されて付着する。こ
のため、基板の上面側に付着するスペーサー材の凝集を
減少することができ、これによって液晶表示パネルの品
質や製造歩留りの低下を防止することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の液晶表示パネルのスペーサ
ー散布装置を示す斜視図である。
【図2】図1のスペーサー散布装置における散布管での
粉体の凝集個数と管長さとの関係を示すグラフである。
【図3】図1のスペーサー散布装置における散布管での
粉体の凝集個数と管内径との関係を示すグラフである。
【図4】本発明における他の実施例の液晶表示パネルの
スペーサー散布装置を示す斜視図である。
【図5】本発明におけるさらに他の実施例の液晶表示パ
ネルのスペーサー散布装置を示す概略構成図である。
【図6】従来例を示すものであり、液晶表示パネルのス
ペーサー散布装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 4 散布箱 7 微小粉体(粉体) 8 空気供給源(気体供給源) 9 散布管 9a 粉体供給管 10 散布管 12 ベルジャー(散布箱) 15 排出口 18 排出装置(排出手段) 19 散布ノズル(散布口) 20 中空路 24 フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植村 茂 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ヤープ株式会社内 (72)発明者 橋本 典夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ヤープ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の上面側にスペーサーを形成するため
    に、散布管内に導入された粉体からなるスペーサー材
    が、気体供給源から供給される気体により散布管内を搬
    送され、散布管の散布口から散布される液晶表示パネル
    のスペーサー散布装置において、 上記散布管は、管内径が2〜4mmの範囲内で、かつ管
    長さが1,000mm以上に形成される一方、気体供給
    源は、管内流速が20m/min以上となるようにして
    気体を供給することを特徴とする液晶表示パネルのスペ
    ーサー散布装置。
  2. 【請求項2】基板の上面側にスペーサーを形成するため
    に、散布管内に導入された粉体からなるスペーサー材
    が、気体供給源から供給される気体により散布管内を搬
    送され、散布管の散布口から散布される液晶表示パネル
    のスペーサー散布装置において、 上記散布管内に格子からなるフィルタを設けたことを特
    徴とする液晶表示パネルのスペーサー散布装置。
  3. 【請求項3】散布箱を備え、この散布箱内に設けられた
    基板の上面側にスペーサーを形成するために、散布管内
    に導入された粉体からなるスペーサー材が、気体供給源
    から供給される気体により散布管内を搬送され、散布管
    の散布口から散布される液晶表示パネルのスペーサー散
    布装置において、 上記散布箱における基板の下面側には上記散布口から散
    布されたスペーサー材を排出させる排出口が形成され、
    この排出口には、スペーサー材が散布口から排気口への
    層流となるように吸引する排気手段が接続されているこ
    とを特徴とする液晶表示パネルのスペーサー散布装置。
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