JPH05126026A - 下流側流速を利用する小落差水力発電方法 - Google Patents

下流側流速を利用する小落差水力発電方法

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JPH05126026A
JPH05126026A JP3288249A JP28824991A JPH05126026A JP H05126026 A JPH05126026 A JP H05126026A JP 3288249 A JP3288249 A JP 3288249A JP 28824991 A JP28824991 A JP 28824991A JP H05126026 A JPH05126026 A JP H05126026A
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Japan
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water
flow velocity
pressure pipe
power generation
downstream
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JP3288249A
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Toshitaka Yasuda
利孝 安田
Shigeharu Kuroda
重治 黒田
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 河川または貯水池、湖水の灌漑用水取入れ口
のダム、治水ダム、水位調節ダム等の、水力発電に利用
できなかった小落差を利用できる水力発電方法を提供。 【構成】 小落差と越流があるダムDにおいて、取水部
2、吸出部3の圧力管1で、上流側Fの流速V、下
流側Fの流速Vとし、上流側Fの水が流速V
通過する部分の断面積を実効取水面積Sとし、圧力管
内の水が流速Vで通過して下流Fの流水中に吸い出
される部分の断面積を実効吸出面積Sとする。安定発
電条件としては流体の連続の式S×V≒S×V
である。圧力管内に反動水車4を配置し、圧力管内又は
外の適当な位置に配置した発電機5を反動水車4を連結
し、上流側の水を圧力管内に流入、下降させ、上流側水
面と吸出部3間Hの位置のエネルギを運動のエネルギに
変えて反動水車と発電機とを回転させて発電し、この水
を吸出部近傍の下流側の流水の圧力エネルギと運動のエ
ネルギにより吸出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水力発電方法に関し、
特に、河川または貯水池や湖水の灌漑用水取入れ口のダ
ム、治水ダム、水位調節ダム等における、固定ぜき又は
可動ぜきの上流側水面と下流側水面間にある小落差と下
流側流速とを利用する水力発電方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の水力発電方法では、圧力管の取水
口から放水面水位までの落差がHmで、毎秒落下する水
量がQm/secの水が有する位置のエネルギ(理論
水力)=9.8HQ(kW)を、前記落差Hで運動のエ
ネルギと圧力のエネルギとに変え、これらのエネルギで
水車を回転させ、この水車で発電機を回転させて発電し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】河川または貯水池や湖
水の灌漑用水取入れ口のダム、治水ダム又は水位調節ダ
ム等は各地に極めて多数にあり、これらの中には、水量
的には水力発電が可能なものがあるが、これらに設けら
れた固定ぜき又は可動ぜきには上流側水面と下流側水面
間の落差が小さい場合が多く、この場合には、従来の水
力発電方法では、これらの固定ぜき又は可動ぜきでの水
力発電はできないという問題点があった。
【0004】従って、これらの固定ぜき又は可動ぜきの
建設においても、用水の取入れ、治水、水位調節だけが
目的になり、水力発電を兼用させることは全く配慮され
ず、使い方によっては発電に利用できるクリーンエネル
ギが、無駄に放流されるという問題点があった。
【0005】本発明は、河川または貯水池や湖水の灌漑
用水取入れ口のダム、治水ダム又は水位調節ダム等にお
ける、固定ぜき又は可動ぜきの上流側水面と下流側水面
間にある小落差と下流側流速とを利用する水力発電方法
を提供して、上記の問題点を解決することをその課題と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の下流側流速を利
用する小落差水力発電方法は、上記の課題を解決するた
めに、上流側水面と下流側水面間に小落差があり且つ越
流又はもぐりオリフィスがある固定ぜき又は可動ぜきに
おいて、取水部を上端に、吸出部を下端に設けた圧力管
を、その取水部の開口端を前記上流側の流速Vの流水
中に上流に向け、且つ、その吸出部の開口端を前記下流
側の水面から下方の流速Vの流水中に下流に向けて配
置し、前記上流側の水が前記流速Vで其処を通過して
圧力管内に流入する前記取水部の開口端内外の或る部分
の断面積を実効取水面積Sとし、圧力管内の水が前記
流速Vで其処を通過して下流側の流水中に吸い出され
る前記吸出部の開口端内外の或る部分の断面積を実効吸
出面積Sとし、このSとSとを、前記流速V
前記流速Vとに略逆比例させて、S×V≒S×
の安定発電条件を得るようにすると共に、この圧力
管内に反動水車を配置し、この圧力管内または圧力管外
の適当な位置に配置した発電機を前記反動水車に連結
し、前記上流側の流水を、毎秒S×Vずつ、前記圧
力管内に流入・下降させ、この水の前記上流側水面と前
記吸出部間の位置のエネルギを運動のエネルギに変えて
前記反動水車を回転させ、この反動水車の回転によって
前記発電機を回転させて発電し、発電に使用した後の水
を、前記吸出部近傍の前記下流側の流速Vの流水の圧
力のエネルギと運動のエネルギとによって生じる吸出力
によって、前記吸出部から前記下流側の流速Vの流水
中に毎秒S×Vずつ混合して吸い出させることを特
徴とする。
【0007】又、圧力管とは別に設置した導水管によっ
て、上流側から水を導き、その水の位置のエネルギと流
速Vの運動のエネルギとを利用して、その水を、下流
側の流速Vよりも速い流速Vで、吸出部内に、下流
に向かって吐出させることによって、圧力管内の水と導
水管内の水とを、下流側の流速Vよりも速い流速V
OUTで、吸出部の開口端を通過させることにより、下
流側の水圧に抗して、圧力管内の水を、毎秒S×V
で圧力管から下流側の流水中に吸い出させることが好適
である。
【0008】又、圧力管の吸出部の開口端を、固定ぜき
又は可動ぜきの下流側の水底部を掘り下げた水底部に設
置すると共に、この掘り下げた水底部に、固定ぜき又は
可動ぜきの上流側の水を越流又はもぐりオリフィスによ
って導き、この水によって前記の掘り下げた水底部に下
流向きの流水を作ることが好適である。
【0009】
【作用】本願の第1発明の構成要件は、 第1系統のエネルギ:圧力管に流れ込んだ水の、上流側
水面と下流側水面間の大気中の小落差部分にある圧力管
内の水の位置のエネルギと運動のエネルギ。この運動の
エネルギには上流側の流速Vによる運動のエネルギを
含む。 第2系統のエネルギ:圧力管に流れ込んだ水の、下流側
の水面下にある部分の圧力管内の水の位置のエネルギと
運動のエネルギ。この運動のエネルギには上流側の流速
による運動のエネルギを含む。 第3系統のエネルギ:圧力管の吸出部近傍の下流側の流
速Vの流水の圧力のエネルギと運動のエネルギ。 安定発電条件 :安定発電条件S×V≒S×
は、流体の連続の式を満足させて、上記の第1、第
2、第3系統のエネルギを組み合わせて、安定して発電
に利用するための条件である。からなる。
【0010】本願の第1発明は、上流側にも下流側にも
流速があり(特に、下流側の流速が重要)、圧力管の取
水部と吸出部の構造を、安定発電条件S×V≒S
×V(流体の連続の式)を常に満足させる構造にして
いるので、前記の第1、第2、第3系統のエネルギを組
み合わせて安定発電することができる。
【0011】以下に、上記構成要件の上記作用を詳しく
説明する。
【0012】実効取水面積Sは、取水部の形状と吸出
部の形状との相関関係と水の位置のエネルギの発電への
使用率とによって決まる。例えば、取水部が筒型で開口
端が広がっていると(この場合、安定発電条件S×V
≒S×Vがあると、流れの方向に流速が上がり、
速度落差が増加し、その分、圧力落差が減少するので、
流れに無理がなく、流れが乱れず、管摩擦以外の損失落
差は小さいので、取水部の断面は、開口端に向かって適
当に広げれば良い。)、この開口端から圧力管に流入す
る水の流速は、安定発電条件S×V≒S×V
あると、開口端から奥に入るに従って速くなる。取水部
近傍の上流側の水の流速がVの場合、筒型の取水部の
或る部分でそこを流れる流速が前記流速Vになる。取
水部のこの部分の断面積を実効取水面積Sとする。こ
のSの位置が取水部の開口端に対してその内外のどの
位置になるかは、取水部の形状と吸出部の形状との相関
関係と水の位置のエネルギの発電への使用率とによって
決まる。一般に、前記使用率が高いと、水が圧力管から
流出するのに使用できるエネルギ(発電に使用されずに
残った水の位置のエネルギ)が小さくなって、圧力管へ
の流入・流出量が減少するので内に入り、前記使用率が
低いと、水が圧力管から流出するのに使用できるエネル
ギ(発電に使用されずに残った水の位置のエネルギ)が
大きくなって、圧力管への流入・流出量が増加するので
外に出る。内に入る場合の実際の現象としては、取水部
の開口端の断面積SINに前記流速Vよりも遅い流速
で流入する。外に出る場合の実効取水面積Sは、計算
上のもので、実際の現象としては、取水部の開口端の断
面積SINに前記流速Vよりも速い流速で流入する。
そして、S×Vは圧力管に毎秒流入・下降する水量
である。
【0013】実効吸出面積Sは、実効取水面積S
同様に、取水部の形状と吸出部の形状との相関関係と水
の位置のエネルギの発電への使用率とによって決まる。
例えば、吸出部が筒型で開口端が広がっていると(拡が
り角が大きいと、管内壁で、流水が剥がれて、流れが乱
れ、損失落差が急激に増加するので、拡がり角は20度
以下にする。損失が最も少ないのは10度以下であ
る。)、この開口端から流出する水の流速は、安定発電
条件S×V≒S×Vがあると、奥から開口端に
近づくに従って遅くなる。吸出部近傍の下流側の水の流
速がVの場合、筒型の吸出部の或る部分でそこを流れ
る流速が前記流速Vになる。吸出部のこの部分の断面
積を実効吸出面積Sとする。このSの位置が吸出部
の開口端に対してその内外のどの位置になるかは、取水
部の形状と吸出部の形状との相関関係と水の位置のエネ
ルギの発電への使用率とによって決まる。一般に、前記
使用率が高いと、水が圧力管から流出するために使用で
きるエネルギ(発電に使用されずに残った水の位置のエ
ネルギ)が小さくなって、圧力管への流入・流出量が減
少するので内に入り、前記使用率が低いと、水が圧力管
から流出するのに使用できるエネルギ(発電に使用され
ずに残った水の位置のエネルギ)が大きくなって、圧力
管への流入・流出量が増加するので外に出る。内に入る
場合の実際の現象としては、吸出部の開口端の断面積S
OUTから前記流速Vよりも遅い流速で流出する。外
に出る場合の実効吸出面積Sは、計算上のもので、実
際の現象としては、吸出部の開口端の断面積SOUT
ら前記流速Vよりも速い流速で流出する。そして、S
×Vは圧力管に毎秒流入・下降し、発電し、下流側
の水中に吸い出される水量である。
【0014】従って、安定発電条件S×V≒S×
は、圧力管に流入する水量と、圧力管から流出する
水量とが常に等しくなるようにする条件(流体の連続の
式)、即ち、安定して水力発電を続けることができる安
定発電条件である。そして、取水部と吸出部の形状を工
夫して、安定発電条件S×V≒S×Vの値を大
きくすれば、大容量の水力発電が可能になる。
【0015】即ち、安定発電のためには、圧力管内に流
入した毎秒S×Vの水は、水車を回転させた後で、
毎秒S×Vの水量を確保できる流速で水車から圧力
管の吸出部に流出し、毎秒S×V≒S×Vの水
量で吸出部の開口端から流出しなければならないが、こ
の水は水車を回転させるためにその位置のエネルギを失
っているので、単独では、下流側の流水の水圧に抗して
下流側の流水中に流出できない。しかし、発電に使用す
るエネルギは、前記第1系統のエネルギと第2系統のエ
ネルギの中の位置のエネルギなので、圧力管内に流入し
発電の為にプロペラ水車を回転させた水には、前記第1
系統と第2系統のエネルギの中の運動のエネルギが残っ
ており、この運動のエネルギによって、前記の水は、プ
ロペラ水車を回転させた後で、毎秒S×Vの水量を
確保できる流速で、プロペラ水車から圧力管の吸出部に
流出する。従って、圧力管の取水部と吸出部が安定発電
条件S×V≒S×Vを満足させる構造になって
いると、第3系統のエネルギ(圧力管の吸出部近傍の下
流側の流速Vの流水の圧力のエネルギと運動のエネル
ギ。)に、吸出部の実効吸出面積Sから流速Vで毎
秒S×Vの水を吸い出す作用があり(発電を行わな
い場合、上流側と下流側間に落差が無く、且つ、上流側
の流速Vが0で、下流側にだけ流速Vがあれば、上
流側の水は、圧力管を通り圧力管の吸出部の開口端か
ら、流速Vによって吸い出される。)、吸出部内の水
を、都合良く、毎秒S×V≒S×Vで、下流側
の流水中に混合して吸い出させることができる。
【0016】そして、毎秒S×V≒S×Vの水
量を大きくして、発電容量を大きくするためには、安定
発電条件S×V≒S×Vを保ちながら、前記取
水部の開口端の断面積SINと前記吸出部の開口端の断
面積SOUTとをできるだけ大きくすると共に、前記取
水部の開口端の形状とその向きを、上流側の水がこの開
口端に流入し易いようにし、且つ、前記吸出部の開口端
の形状とその向きを、下流側の水がこの開口端から、前
記吸出部内の水を吸い出し易いようにすれば良い。
【0017】本願の第2発明は、上記の本願の第1発明
の構成に、導水管を加えた構成になっており、発電容量
を大きくできる。
【0018】以下に、導水管の構造とその作用を詳しく
説明する。
【0019】導水管は、圧力管とは別に設置されて、上
流側から水を導き、その水を、前記上流側の流速V
よる運動のエネルギと、上流側水面と吸出部間の水の位
置のエネルギとを利用して、下流側の流速Vよりも速
い流速Vで、吸出部内に、下流に向かって吐出させる
ことによって、圧力管内の水と導水管内の水とを、下流
側の流速Vよりも速い流速VOUTで、吸出部の開口
端の断面積SOUTを通過させることにより、下流側の
水底部の水圧に抗して、圧力管内の水を、毎秒S×V
の水量で圧力管から下流側の流速Vの流水中に安定
して吸い出させることができる。
【0020】発電容量を大きくするには、前記の本願の
第1発明のように、圧力管の取水部と吸出部の構造を、
安定発電条件S×V≒S×Vを常に保つように
しながら、吸出部の開口端の断面積SOUTを大きくす
ると共に、吸出部の開口端の形状とその向きを、下流側
の水がこの開口端から、吸出部内の水を吸い出し易いよ
うにすれば良いが、吸出部の開口端の断面積SOUT
大きくするに従って、下流側の水が、この開口端から、
下流側の水底部の水圧に抗して、吸出部内の水を毎秒S
×Vで吸い出すのが難しくなる(開口端の周緑から
その中心部までの距離が大きくなり、下流側の水が、そ
の中心部から吸出部内の水を吸い出し難くなる。)。吸
出部の開口端の断面積SOUTが大きくなっても、導水
管を設けると、上記のように、圧力管内の水が、下流側
の水底部の水圧に抗して、毎秒S×Vで圧力管から
下流側の流水中に安定して吸い出されるようになり(水
管内に水のジェットを噴出させて周囲の水と混合して水
を運び出す構造のジェットポンプと類似している。)、
吸出部の開口端の断面積SOUTを大きくしても、安定
発電条件S×V≒S×Vを安定して維持するこ
とができる。
【0021】本願の第3発明では、上記の本願の第1発
明又は第2発明の構成に加えて、圧力管の吸出部の開口
端を、固定ぜき又は可動ぜきの下流側の水底部を掘り下
げた水底部に設置すると共に、この掘り下げた水底部
に、固定ぜき又は可動ぜきの上流側の水を流速又はもぐ
りオリフィスによって導き、この水によって前記の掘り
下げた水底部に下流向きの流水を作る構成になってお
り、発電容量を更に大きくできる。
【0022】発電容量を大きくするには、前記の第1、
第2発明のように、圧力管の取水部と吸出部の構造を、
安定発電条件S×V≒S×Vを保ちながら、吸
出部の開口端の断面積SOUTを大きくすると共に、導
水管を設ければ良いが、これら以外に、圧力管の吸出部
の開口端を設置する水底部を掘り下げて、上流側の水面
と圧力管の吸出部の開口端との落差を大きくすれば良
い。この場合、この掘り下げた水底部に、圧力管の吸出
部から水を吸い出すための流水が必要であるれが、これ
には、越流又はもぐりオリフィスによって、固定ぜき又
は可動ぜきの上流側の水を、この掘り下げた水底部に導
き、上流側の流速Vによる運動のエネルギと、上流側
水面と下流側水面間の小落差の水の位置のエネルギとを
利用して、この掘り下げた水底部に下流向きの流水を作
ることができる。
【0023】
【実施例】本発明の下流側流速を利用する小落差水力発
電方法の実施例を図1から図3に基づいて説明し、発電
容量Wを計算する。
【0024】本発明の第1の実施例方法を使用する水力
発電設備を図1に基づいて説明する。第1の実施例方法
の水力発電設備は、河川の灌漑用水取入れ口のダムに設
置したものである。この河川に計画こう水量が流れた場
合に、せき上げ背水を許容される範囲に維持できるとい
う条件で、固定ぜきと可動ぜきとの割合が決まる。渇水
時期の水がダムを越流する幅を狭い範囲に限定して、こ
の狭い範囲に前記の第1の実施例方法を使用する水力発
電設備を設置して、渇水時期にも水力発電が行えるよう
にする。
【0025】図1は、渇水時期に、上流側Fの水を越
流させるようにしたダムDの狭い範囲に設けた、本発明
の第1の実施例方法を使用する水力発電設備の側面図で
ある。
【0026】図1において、高さ2mのダムDを設け、
上流側Fの流速V(3.2m/sec)の水にダム
Dを越流させる。この水は、射流F、跳水Fを経
て、流速V(2.3m/sec)の下流側Fの常流
になる(越流だけでは、下流側Fの水底部の流速が不
足する場合には、もぐりオリフィスMを設けて下流側F
の水底部に流速Vの流水をつくる。)。上流側F
の水面と下流側Fの水面間の落差Hは1.6m、下
流側Fの水深Hは2.3mである。
【0027】開口端Sinに向かって内径が拡大し(拡
がり角は約15度)開口端Sinの内径が1.0mの取
水部2を上端に設け、開口端SOUTに向かって内径が
拡大し(拡がり角は約10度)開口端SOUTの内径が
1.2mの吸出部3を下端に設けた内径0.8mの圧力
管1を、取水部2の開口端SinをダムDの上流側F
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、吸出部3の開
口端SOUTを前記下流側Fの水底部の流速Vの流
水中に下流に向けて配置する。上流側Fの水面と吸出
部3の開口端SOUT間の落差Hは3.2m、吸出部3
の開口端SOUTの水深Hは1.6mである。
【0028】反動水車4(反動水車はフランシス水車で
も良いが、プロペラ水車が好適である。プロペラ水車
は、回転羽根に働く水の揚力で回転し、プロペラ水車の
流入側と流出側間に圧力差を必要としないので、流出側
が水圧のある水中にあり、水車の流入側と流出側の水圧
が等しい本発明に適している。)と発電機5とを、圧力
管1の中点近傍の圧力管1内に、反動水車4を下側に発
電機5を上側にして、圧力管1と同心状に設置する。反
動水車4の外径は圧力管1の内径と略等しく、発電機5
の外径は約0.5mである。
【0029】発電しない場合には、圧力管1に流入・流
出する水は、上流側にも下流側にも流速があり、圧力管
1の取水部2と吸出部3の構造が安定発電条件S×V
≒S×Vを常に満足する構造であることと、第1
系統のエネルギと第2系統のエネルギと第3系統のエネ
ルギとを総て流入・流出に使用できることとによって、
圧力管1から流出するのに使用できるエネルギが大きい
ので、前記の説明のように、上流側Fの流速V
(3.2m/sec)よりも速い流速で取水部2の開
口端Sinに流入し、下流側Fの流速V(2.3m
/sec)よりも速い流速で吸出部3の開口端SOUT
から流出する。
【0030】発電が始まると、圧力管1に流入・流出す
る水は、第1系統のエネルギと第2系統のエネルギの水
の位置のエネルギを使用して反動水車4を回転させるの
で、流入・流出に使用できるエネルギが減少する。この
場合、安定発電条件S×V≒S×Vがあるの
で、前記の位置のエネルギを使い切った場合、前記のよ
うに、第1系統と第2系統のエネルギの水の運動のエネ
ルギと第3系統のエネルギとで、圧力管1に流入・流出
する水の水量が維持されることになる。この場合、第1
系統と第2系統のエネルギの水の運動のエネルギは、圧
力管1内の水が反動水車4を回転させた後で、安定発電
条件のS×Vの水量を確保できる流速で反動水車4
から流出するのに見合ったエネルギであり、第3系統の
エネルギは、圧力管1の吸出部3内の水を、安定発電条
件のS×Vの水量を確保できる流速Vで吸出部3
から吸い出すのに見合ったエネルギである。従って、安
定発電条件S×V≒S×Vがあと、S×V
≒S×Vの水量に見合った水力発電を安定して行う
ことがきる。
【0031】結局、本発明の第1の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の開口端SOUTの水深Hの1.6mを落差として
利用できるので、発電に使用できる水の位置のエネルギ
は、第1系統のエネルギ(落差H)と第2系統のエネ
ルギ(落差H)の水の位置のエネルギで、9.8×S
×V×HkWとなり、反動水車4、発電機5の効率
及びロス率等を考慮して、発電効率を70%とすれば、
発電容量Wは、発電容量W=9.8×S×V×H×
0.7kW=9.8×0.785×3.2×3.2×
0.7kW=55.1kWである。これは、上流側F
の水面と下流側Fの水面間の落差Hの1.6mによ
って従来の水力発電方法で発電できたと仮定した場合の
水力発電容量W=9.8×S×V×H×0.7kW
=9.8×0.785×3.2×1.6×0.7kW=
27.5kWの約2倍である。
【0032】本発明の第2の実施例方法を使用する水力
発電設備を図2に基づいて説明する。
【0033】第2の実施例方法の水力発電設備は、第1
の実施例方法の水力発電設備に導水管6を追加したもの
である。
【0034】図2は、渇水時期に、上流側Fの水を越
流させるようにしたダムDの狭い範囲に設けた、本発明
の第2の実施例方法を使用する水力発電設備の側面図で
ある。
【0035】図2において、高さ2mのダムDを設け、
上流側Fの流速V(3.2m/sec)の水にダム
Dを越流させる。この水は、射流F、跳水Fを経
て、流速V(2.3m/sec)の下流側Fの常流
になる(越流だけでは、下流側Fの水底部の流速が不
足する場合には、もぐりオリフィスMを設けて下流側F
の水底部に流速Vの流水をつくる。)。上流側F
の水面と下流側Fの水面間の落差Hは1.6m、下
流側Fの水深Hは2.3mである。
【0036】開口端Sinに向かって内径が拡大し(拡
がり角は約15度)開口端Sinの内径が1.3mの取
水部2を上端に設け、開口端Soutに向かって内径が
拡大し(拡がり角は約15度)開口端Soutの内径が
1.53mの吸出部3を下端に設けた内径1.0mの圧
力管1を、取水部2の開口端SinをダムDの上流側F
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、吸出部3の
開口端Soutを前記下流側Fの水底部の流速V
流水中に下流に向けて配置する。上流側Fの水面と吸
出部3の開口端Sout間の落差Hは3.2m、吸出部
3の開口端Soutの水深Hは1.6mである。
【0037】反動水車4と発電機5とを、圧力管1の中
点近傍の圧力管1内に、反動水車4を下側に発電機5を
上側にして、圧力管1と同心状に設置する。反動水車4
の外径は圧力管1内径と略等しく、発電機5の外径は
0.6mである。
【0038】内径が0.8mの導水管6の上端の開口端
を、圧力管1の取水部2の開口端Sin近傍に、上流側
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、導水管6
の下端の開口端を、圧力管1の吸出部3に連通させて設
置し、上流側Fの流速Vの水を、圧力管1の吸出部
3内に、下流に向かって吐出させる。図2では、導水管
6の上端の開口端を、圧力管1の取水部2の開口端S
inの下に位置させているが、横に並べても良い。
【0039】本発明の第2の実施例方法は、導水管6以
外は、前記の本発明の第1の実施例方法と同様なので、
導水管6以外の説明は省略する。
【0040】導水管6に流入した水は、その水の流速V
による運動のエネルギと、上流側水面と吸出部3間の
水の位置のエネルギとによって、下流側Fの流速V
よりも速い流速Vで、吸出部3内に、下流に向かって
吐出する。このことによって、圧力管1内の水と導水管
6内の水とを、下流側Fの流速Vよりも速い流速V
OUTで、吸出部3の開口端Soutの断面積SOUT
を通過させることができ、下流側Fの水底部の水圧に
抗して、圧力管1内の水を、毎秒S×Vの水量で圧
力管1から下流側Fの流速Vの流水中に安定して吸
い出させることができる。従って、本発明の第2の実施
例方法によると、前記の本発明の第1の実施例方法より
も吸出部3の開口端Soutの断面積SOUTを大きく
しても、圧力管1内の水が、毎秒S×Vの水量で下
流側Fの流速Vの流水中に安定して吸い出されるよ
うにすることができる。
【0041】結局、本発明の第2の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の開口端Soutの水深Hの1.6mを落差として
利用できるので、発電に使用できる水の位置のエネルギ
は、第1系統のエネルギ(落差H)と第2系統のエネ
ルギ(落差H)の水の位置のエネルギで、9.8×S
×V×HkWとなり、反動水車4、発電機5の効率
が前記の本発明の第1の実施例方法の場合と同じでも、
ロス率が小さくなるので、発電効率は75%となり、発
電容量Wは、 発電容量W=9.8×S×V×H×0.75kW=
9.8×1.32×3.2×3.2×0.75kW=9
9.3kW である。これは、上流側Fの水面と下流側Fの水面
間の落差Hの1.6mによって従来の水力発電方法で
発電できたと仮定した場合の水力発電容量W=9.8×
×V×H×0.7kW=9.8×0.785×
3.2×1.6×0.7kW=27.5kWの約3.6
倍である。
【0042】第3の実施例方法の水力発電設備は、第2
の実施例方法の水力発電設備の圧力管1の吸出部3の開
口端Soutを、ダムDの下流側Fの水底部Bを掘
り下げた水底部Bに設置すると共に、この掘り下げた
水底部Bに、ダムDの上流側Fの水を越流又はもぐ
りオリフィスMによって導き、この水によって前記の掘
り下げた水底部Bに下流向きの流水を作ったものであ
る。
【0043】図3は、渇水時期に、上流側Fの水を越
流させるようにしたダムDの狭い範囲に設けた、本発明
の第3の実施例方法を使用する水力発電設備の側面図で
ある。
【0044】図3において、高さ2mのダムDを設け、
上流側Fの流速V(3.2m/sec)の水にダム
Dを越流させる。越流した水は、射流F、跳水F
経て、流速V(2.3m/sec)の下流側Fの常
流になり、上流側Fの水面と下流側Fの水面間の落
差Hは1.6m、下流側Fの水深Hは2.3mで
ある。ダムDの下流側Fの水底Bを掘り下げた水底
の掘り下げ深さHは1.6mである。
【0045】開口端Sinに向かって内径が拡大し(拡
がり角は約10度)開口端Sinの内径が1.3mの取
水部2を上端に設け、開口端Soutに向かって内径が
拡大し(拡がり角は約15度)開口端outの内径が
1.53mの吸出部3を下端に設けた内径1.0mの圧
力管1を、取水部2の開口端SinをダムDの上流側F
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、吸出部3の
開口端Soutを前記下流側Fの前記掘り下げた水底
の流水中に下流に向けて配置する。上流側Fの水
面と吸出部3の開口端Sout間の落差はHは4.9
m、吸出部3の開口端Soutの水深Hは3.2mで
ある。
【0046】反動水車4と発電機5とを、圧力管1の中
点近傍の圧力管1内に、反動水車4を下側に発電機5を
上側にして、圧力管1と同心状に設置する。反動水車4
の外径は圧力管1の内径と略等しく、発電機5の外径は
0.66mである。
【0047】内径が0.8mの導水管6の上端の開口端
を、圧力管1の取水部2の開口端Sin近傍に、上流側
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、導水管6
の下端の開口端を、圧力管1の吸出部3に連通させて設
置し、上流側Fの流速Vの水を、圧力管1の吸出部
3内に、下流に向かって吐出させる。図3では、導水管
6の上端の開口端を、圧力管1の取水部2の開口端S
inの下に位置させているが、横に並べても良い。
【0048】ダムDに、もぐりオリフィスMを設けて、
ダムDの上流側Fの水を、上流側Fの水面と下流側
の水面間の落差Hの位置のエネルギと上流側F
の流速Vの運動のエネルギとによって、掘り下げた水
底部Bに導き、この水と、上流側Fの水面と下流側
の水面間の落差Hの位置のエネルギによってダム
Dを越流した水とによって、前記の掘り下げた水底部B
に、下流側Fの流速Vに略等しい流速の流水が作
られるようにする。もぐりオリフィスMと導水管6と
は、一体にして兼用することもできる。この場合には、
もぐりオリフィスM又は導水管6の下端で、これらの中
の水が、一部は圧力管1の吸出部3の中に、他は前記の
掘り下げた水底部Bに吐出される。
【0049】本発明の第3の実施例方法は、圧力管1の
吸出部3の開口端Soutを、ダムDの下流側Fの水
底部Bを掘り下げた水底部Bに設置すると共に、こ
の掘り下げた水底部Bに、ダムDの上流側Fの水を
越流又はもぐりオリフィスMによって導き、この水によ
って前記の掘り下げた水底部Bに下流向きの流水を作
った以外は、前記の本発明の第2の実施例方法と同様な
ので、このこと以外の説明は省略する。
【0050】結局、本発明の第3の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の開口端Soutの水深Hの3.3mを落差として
利用できるので、発電に使用できる水の位置のエネルギ
は、第1系統のエネルギ(落差H)と第2系統のエネ
ルギ(落差H)の水の位置のエネルギで、9.8×S
×V×HkWとなり、反動水車4、発電機5の効率
が前記の本発明の第1の実施例方法の場合と同じでも、
ロス率が小さくなるので、発電効率は75%となり、発
電容量Wは、 発電容量W=9.8×S×V×H×0.75kW=
9.8×1.32×3.2×4.9×0.75kW=1
52.1kW である。これは、上流側Fの水面と下流側Fの水面
間の落差Hの1.6mによって従来の水力発電方法で
発電できたと仮定した場合の水力発電容量W=9.8×
×V×H×0.7kW=9.8×0.785×
3.2×1.6×0.7kW=27.5kWの約5.5
倍である。
【0051】本発明は上記の実施例に限らず種々の態様
が可能である。例えば、取水部2の開口端Sinの一部
が上流側Fの水面上に出ていても良く、又、圧力管1
の開口端Sin、導水管の開口端、もぐりオリフィスM
の開口端は水面部から水底部の間のどの位置にあっても
良い。圧力管1に反動水車4と発電機5を設置した部分
は、反動水車4の設計に合わせて圧力管1の内径を変化
させる。圧力管1に反動水車4と発電機5を設置する位
置は、反動水車4に必要な流速が得られればどの位置で
も良い。反動水車4は圧力管1の中にあるが、発電機5
は圧力管1内でなくても良い。圧力管1の吸出部3は開
口端Soutに近づくに従って偏平にして開口端S
outを偏平にしてもよい、特にもぐりオリフィスMが
ある場合には、水平に偏平にすると、吸出部3内の水が
吸い出され易くなって効率が良くなり、且つ、開口端S
outの中心を水底に近づけることができるので、開口
端Soutの水深Hが大きくなって、発電容量を増大
することができる。もぐりオリフィスMの位置と断面形
状は自由で、圧力管1、導水管6、ダムD及び掘り下げ
た水底部Bの形状と相互位置関係に合わせて設計で
き、開口端Soutの周囲にもぐりオリフィスMからの
水が流出するようにすれば良い。既存のダムDを改造し
たり、新しくダムDを造って、本発明の水力発電方法を
実施する場合に、発電容量を大きくするには、ダムD及
びもぐりオリフィスMの設計によって、本発明の水力発
電方法を実施している位置の上流・下流側に、できるだ
け水を集め、且つ、下流側Fの掘り下げた水底部B
を深くすると共に水底部Bでの流速が大きくなるよう
にすれば良い。
【0052】
【発明の効果】本発明の下流側流速を利用する小落差水
力発電方法は、圧力管1の取水部2と吸出部3を、安定
発電条件S×V≒S×Vを常に満足する構造に
することによって、従来は水力発電に使用できなかっ
た、河川または貯水池や湖水の灌漑用水取入れ口のダ
ム、治水ダム、水位調節ダム等における、固定ぜき又は
可動ぜきの上流側水面と下流側水面間にある小落差と下
流側流速とを利用して水力発電することができるという
効果を奏する。又、導水管6を設けることによって、水
力発電容量を大きくできるという効果を奏する。又、ダ
ムMの下流側Fの水底部Bを掘り下げ、この掘り下
げた水底部Bに、もぐりオリフィスM等によって、下
流向きの流水を作り、そこに圧力管1の吸出部3を設置
することによって、水力発電容量を更に大きくできると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【図2】本発明の第2の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【図3】本発明の第3の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【符号の説明】
1 圧力管 2 取水部 3 吸出部 4 反動水車 5 発電機 6 導水管 F上流側 F下流側 F射流 F跳水 S実効取水面積 S実効吸出面積 Sin取水部の開口端 Sout吸出部の開口端 SIN 取水部の開口端の断面積 SOUT吸出部の開口端の断面積 V上流側の流速 V下流側の流速 V導水管からの流速 VOUT導水管使用時の流出流速 B水底部 B掘り下げた水底部 H 上流側水面と吸出部の開口端間の落差 H下流側水深 H上流側水面と下流側水面間の落差 H下流側水面と吸出部の開口端間の落差 H掘り下げ深さ D ダム M もぐりオリフィス
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 下流側流速を利用する小落差水力発電
方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水力発電方法に関し、
特に、流水路の、頸部、完全越流、もぐり堰、水底の段
差、もぐりオリフィス、水底の勾配差、及び、これらを
組合せたものによって流水路に構成した小落差部におい
て、水の空中落差だけではなく、流水中の水中落差も使
用する水力発電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の水力発電方法では、取水面水位と
放水面水位間の空中落差を使用して水力発電しており、
空中落差がHmの場合に、水量がQm/secの水が
有する前記空中落差Hmの位置エネルギ(理論水力)=
9.8QH(kW)を、前記空中落差Hmによって、運
動エネルギと圧力エネルギとに変換し、これらのエネル
ギで水車を回転し、この水車で発電機を回転して発電し
ている。
【0003】言い換えると、取水面水位にある水と放水
面水位にある水の位置エネルギ差を運動エネルギと圧力
エネルギとに変換して発電している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来の水力発
電方法では、空中落差のエネルギ(取水面水位にある水
と放水面水位にある水の位置エネルギ差)のみを使用
し、水中落差のエネルギ(水面にある水と水底にある水
の位置エネルギ差)を使用できない。
【0005】各地に多数に存在する、河川、各種水処理
設備の水路、各種用水の取入口や水路、河川や貯水池や
湖水に設けられた水位調節ダム等の流水路には、頸部、
完全越流、もぐり堰、水底の段差、もぐりオリフィス、
水底の勾配差、及び、これらの組合せによって小落差部
を形成でき、水量的にはミニ水力発電が可能なものもあ
るが、一般に空中落差が小さいので、従来の水力発電方
法では、経済的な水力発電は不可能であるという問題点
がある。
【0006】更に、これらの各種水処理設備の水路、各
種用水の取入口や水路、各種水位調節ダム等の流水路の
建設においても、給排水、用水の取入れ、治水等だけが
目的になり、水力発電を兼用させることは全く配慮され
ず、設計によっては発電に利用できるクリーンエネルギ
が、無駄に放流されるという問題点がある。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するため
に、各地に多数に存在する、河川、各種水処理設備の水
路、各種用水の取入口や水路、河川や貯水池や湖水に設
けられた水位調節ダム等の流水路に、頸部、完全越流、
もぐり堰、水底の段差、もぐりオリフィス、水底の勾配
差、及び、これらを組合せたものを設置して、流水路に
小落差部を形成し、この小落差部における、上流側水面
と下流側水面間にある空中小落差だけではなく下流側流
水中の水中落差をも利用して発電する下流側流速を利用
する小落差水力発電方法を提供することを課題としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の下流側流速を利
用する小落差水力発電方法は、上記の課題を解決するた
めに、河川、各種水処理設備の水路、各種用水の取入口
や水路や分水工や落差工や急流工、河川や貯水池や湖水
に設けられた水位調節ダム等の流水路に、頸部、完全越
流、もぐり堰、水底の段差、もぐりオリフィス、水底の
勾配差、及び、これらを組合せたものを設置して流水路
に小落差部を形成し、この小落差部において、第1エネ
ルギ系統「流水路の小落差部の上流側水面近傍から圧力
管に流入した水の運動エネルギと位置エネルギ」の水
と、第2エネルギ系統「流水路の小落差部の下流側水底
近傍の水の運動エネルギと圧力エネルギ」の水とを組み
合わせて水力発電するために、第1エネルギ系統の水を
圧力管内に取水する取水部を流水の小落差部の上流側水
面近傍に有し、発電に使用した第1エネルギ系統の水
を、第2エネルギ系統の水が圧力管内から小落差部の下
流側水底近傍の流水中に吸い出す吸出部を、流水の小落
差部の下流側水底近傍に有する水力発電用の圧力管を前
記小落差部の流水中に設け、この圧力管内に水車を設置
して第1エネルギ系統の水の位置エネルギでこの水車を
回転し、この圧力管内又は圧力管外に発電機を設置して
前記水車によってこの発電機を回転して発電し、発電に
使用された後に吸出部内にある第1エネルギ系統の水
を、第2エネルギ系統の水の運動エネルギと圧力エネル
ギとが前記吸出部に形成する負圧によって、吸出部内か
ら下流側水底近傍の流水中に吸い出すようにして水力発
電することを特徴とする。
【0009】又、本発明の下流側流速を利用する小落差
水力発電方法は、上記の課題を解決するために、導水管
を圧力管に並設し、この導水管によって、小落差部の上
流側水面近傍から流水を導き、この流水の運動エネルギ
と位置エネルギとを利用して、この流水を、吸出部近傍
の流速よりも速い流速で、吸出部内に、その下流方向に
向かって吐出させ、ジェットポンプの原理で、吸出部内
にある第1エネルギ系統の水を、下流側水底近傍の流水
中に吐出させることが好適である。
【0010】又、本発明の下流側流速を利用する小落差
水力発電方法は、上記の課題を解決するために、圧力管
の吸出部を、下流側の水底部を掘り下げた水底部に設置
すると共に、この掘り下げた水底部に、上流側の流水を
越流又はもぐりオリフィスによって導き、この流水の運
動エネルギと位置エネルギとによって前記の掘り下げた
水底部内に下流向きの流水を形成することが好適であ
る。
【0011】
【作用】本発明の下流側流速を利用する小落差水力発電
方法は、上記の構成によって、次の作用を有する。
【0012】先ず、河川、各種水処理設備の水路、各種
用水の取入口や水路、河川や貯水池や湖水に設けられた
水位調節ダム等の流水路に、頸部や完全越流やもぐり堰
や水底の段差を設置すると、流水路のこの部分に小落差
部が形成され、その小落差部分の上流側と下流側の流速
が大きくなって、本発明の実施が可能になる。又、ダム
にもぐりオリフィスを設けるとダムの下流側の水底部の
流速が大きくなり、下流側水底部の流速を利用する本発
明の効果が向上する。又、水底の特定位置で下流側の勾
配を上流側の勾配よりも大きくすると、下流側水底部の
流速が上流側の流速よりも大きくなり、下流側水底部の
流速を利用する本発明の効果が向上する。更に、頸部や
完全越流やもぐり堰や水底の段差と、前記のもぐりオリ
フィスや勾配差とを組み合わせると、下流側水底部の流
速が大きい小落差部が形成できるので、下流側水底部の
流速を利用する本発明の効果が向上する。
【0013】次に、水力発電を行うためには、水力発電
中に、圧力管内で水車を回転する所定量の水が継続して
圧力管内に流入し圧力管から流れ出す条件を、確保しな
ければならない。
【0014】従来の水力発電方法では、上記の第1エネ
ルギ系統の水のみを使用しているので、圧力管内で水車
を回転した第1エネルギ系統の水を、放流するのにエネ
ルギを必要としない、大気圧中に、圧力管から放流する
という条件で、水車を回転する水量を確保している。
【0015】本発明の下流側流速を利用する小落差水力
発電方法では、上記の第1エネルギ系統の水と第2エネ
ルギ系統の水とを使用し、圧力管内で水車を回転して発
電した第1エネルギ系統の水を、第2エネルギ系統の水
の運動エネルギと圧力エネルギとが圧力管の吸出部に形
成する負圧を利用して、吸出部内から流水中に吸い出す
という条件で、水車を回転する水量を確保している。こ
れによって、水車は、第1エネルギ系統の水の、上流側
水面と下流側水底間の落差の水の位置エネルギを回転に
使用することができる。
【0016】詳しく説明すると、上流側水面近傍の流速
をVm/sec、下流側水底近傍の流速をVm/s
ec、取水部の取水口の断面積をS、吸出部の吸
出口の断面積をS、上流側水面と下流側水底間の
水深をHm、各種ロス率をαとすると、水車を回転す
るために確保できる水量は、第2エネルギ系統の水によ
る吸出部からの流水吸出容量(1−α)×S×V
/secが上限になる。
【0017】そして、第1エネルギ系統の水の流水流入
容量(1−α)×S×V/secが、 流水流入容量(1−α)×S×V/sec≧
流水吸出容量(1−α)×S×V/sec の条件を満たしておれば、流水吸出容量(1−α)×
×V/secが、水車を回転するために確保
できる水量になる。この流水吸出容量と水車の使用水量
とを適合させれば、水力発電中に、圧力管内で水車を回
転する所定量の水が継続して圧力管内に流入し圧力管か
ら流出するという条件を確保できる。
【0018】水車を回転するために確保できる水量(流
水吸出容量)が、落差(空中落差+水中落差)即ち、上
流側水面と下流側水底間の水深Hmだけ下降して下流側
水底近傍に移動し、この際に、位置エネルギを運動エネ
ルギと圧力エネルギとに変換し、これらのエネルギで水
車を回転して発電したとすると、水力発電容量は、 μ×(1−α)×9.8×S×V×H(kW)と
なる。 但し、μは水車と発電機との効率である。
【0019】そして、水力発電に望ましい条件が、 流水流入容量(1−α)×S×V/sec≧
流水吸出容量(1−α)×S×V/sec であるから、水力発電容量を大きくするためには、
、Vを大きくする必要がある。本発明で、流水路
に、頸部、完全越流、もぐり堰、水底の段差、もぐりオ
リフィス、水底の勾配差、及び、これらを組合せたもの
を設置して流水路に小落差部を形成するのは、この
、Vを大きくするためである。
【0020】又、本発明の下流側流速を利用する小落差
水力発電方法では、導水管は、次の作用を有する。
【0021】本発明の水力発電容量は、μ×(1−
α)×9.8×S×V×H(kW)なので、下流
側水底近傍の流速Vが、上流側水面近傍の流速V
りも小さい場合には、Sを大きくすることによって、
計算上は、流水流入容量(1−α)×S×V
/sec=流水吸出容量(1−α)×S×V
/secまで、水力発電容量を大きくすることができ
る。しかし、Sが大きくなると、第2エネルギ系統の
水の運動エネルギと圧力エネルギとが圧力管の吸出部に
形成する負圧が、Sの中央部分に作用し難くなり、α
が大きくなって、良い結果が得られない。
【0022】この対策として、公知の技術であるジェッ
トポンプ(水管内に、水管内の流速よりも大きな流速の
水を噴出させて、水管内の水と混合して、外部の圧力に
抗して、水管内の水を運び出す構造のポンプ)の原理を
利用するために、導水管を圧力管に並設し、この導水管
によって、小落差部の上流側水面近傍から流水を導き、
この流水の運動エネルギと位置エネルギとを利用して、
この流水を、吸出部近傍の流速よりも速い流速で、吸出
部内に、その下流方向に向かって吐出させ、ジェットポ
ンプの原理で、吸出部内にある第1エネルギ系統の水
を、下流側水底近傍の流水中に吐出させる。
【0023】又、本発明の下流側流速を利用する小落差
水力発電方法では、圧力管の吸出部を、下流側の水底部
を掘り下げた水底部に設置すると共に、この掘り下げた
水底部に、上流側の流水をもぐりオリフィスによって導
き、この流水の運動エネルギと位置エネルギとによって
前記の掘り下げた水底部内の下流向きの流速を増速する
ことによって、次の作用を有する。
【0024】本発明の水力発電容量は、μ×(1−
α)×9.8×S×V×H(kW)なので、圧力
管の吸出部を、下流側の水底部を掘り下げた水底部に設
置することによって、Hを大きくすることができる。し
かし、下流側の水底部を掘り下げるだけでは、この掘り
下げた水底部の流速Vが小さくなるので、V×Hを
大きくすることが出来ない。
【0025】この対策として、この掘り下げた水底部
に、上流側の流水をもぐりオリフィスによって導き、こ
の流水の運動エネルギと位置エネルギとによって前記の
掘り下げた水底部内の下流向きの流速を増速する。この
場合、上流側水面と下流側水面間に空中落差があるの
で、この空中落差によって、掘り下げた水底部の流速V
を掘り下げる以前の水底部の流速以上にすることがで
きる。このようにして得られた掘り下げた水底部の流速
は、掘り下げた水底部から外に出ると減速してしま
うが、第2エネルギ系統の水の運動エネルギと圧力エネ
ルギとが吸出部に形成する負圧は、吸出部近傍における
流速Vがあれば良いので、水力発電容量=μ×(1−
α)×9.8×S×V×H(kW)を大きくする
ことができる。
【0026】
【実施例】本発明の下流側流速を利用する小落差水力発
電方法の実施例を図1から図3に基づいて説明し、発電
容量Wを計算する。
【0027】本発明の下流側流速を利用する小落差水力
発電方法を使用する第1実施例を示す図1において、高
さ2mのダムDを設け、上流側Fの水を流速V
(3.2m/sec)でダムDを越流させる。この水
は、射流F、跳水Fを経て、流速V(2.3m/
sec)の下流側Fの常流になる。又、越流だけで
は、ダムDのすぐ下流の水底部の流速が不足するので、
もぐりオリフィスMを設けて下流側Fの水底部に流速
の流水をつくる。上流側Fの水面と下流側F
水面間の落差Hは1.6m、下流側Fの水深H
2.3mである。
【0028】圧力管1の内径は0.8m、取水部2の取
水口の直径は1.0m、吸出部3の吸出口の直径は1.
2m、上流側Fの水面と吸出部3の吸出口間の落差H
は32m、吸出部3の吸出口の水深Hは1.6mであ
る。
【0029】水力発電容量=μ×(1−α)×9.8
×S×V×H(kW)を大きくするには、水車と発
電機の効率μを大きくる必要がある。水車4には反動水
車を使用する。反動水車はフランシス水車でも良いが、
μを大きくするにはプロペラ水車が好適である。
【0030】プロペラ水車は、回転羽根に働く水の揚力
で回転し、プロペラ水車の流入側と流出側間の圧力差の
利用率が小さいので、流出側が水圧のある水中にあり、
水車4の流入側と流出側の水圧差が小さい本発明に適し
ている。この水車4と発電機5とを、圧力管1内に、水
車4を下側に発電機5を上側にして、圧力管1と同心状
に設置する。水車4は回転数が小さいので、発電機の特
性に合わせた増速機を使用する。水車4の外径は圧力管
1の内径と略等しく、発電機5の外径は約0.5mであ
る。
【0031】発電しない場合には、圧力管1に流入し圧
力管1から流出する水は、流水流入容量(1−α)×
×V/sec+流水吸出容量(1−α)×
×V/secになる。
【0032】発電が始まると、流水流入容量(1−
α)×S×V/secの第1エネルギ系統の
水の位置エネルギが発電に使用されるので、この流水流
入容量は、圧力管1への流入と圧力管1からの流出に寄
与しなくなり、流水吸出容量(1−α)×S×V
/secが、圧力管1への流入と圧力管1からの流
出に寄与するので、継続して水力発電に使用できる水量
は、流水吸出容量(1−α)×S×V/se
cになる。
【0033】結局、本発明の第1の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の吸出口の水深Hの1.6mを落差として利用でき
るので、発電に使用できる水のエネルギは、落差(H
+H)、水量{流水吸出容量(1−α)×S×V
/sec}の水の位置のエネルギになる。
【0034】従って、本実施例の発電容量Wは、 発電容量W=μ×(1−α)×9.8×S×V×
(H+H)(kW)=0.9×(1−0.3)×
9.8×1.13×2.3×(1.6+1.6)(k
W)=51.3(kW) である。
【0035】前記のように、流水流入容量(1−α
×S×V/sec≧流水吸出容量(1−α
×S×V/sec が条件で、発電容量W=μ×(1−α)×9.8×S
×V×(H+H)(kW)が確保されるので、
発電容量を大きくするには、これまでに記載したよう
に、μ、V、Vを大きくすると共に、α、α
小さくする必要がある。
【0036】α、αを小さくするには、先ず、第1
エネルギ系統の水が圧力管1に流入し水車4に入るまで
の圧力管1内の抵抗を小さくすれば良い。即ち、圧力管
1の内径を出来るだけ大きくし、水車4を設けない場合
には、圧力管1内を(V+V)m/secで水が流
れるようにする。次に、吸出部3の吸出効率を大きくす
る。即ち、水車4から出てくる水の流速Vは水底近傍
の流速Vよりも大きいので、吸出部3の断面積を、圧
力管1側から吸出口に近づくに従って次第に大きくし、
流速Vが吸出部3内で流速V以下に減速するように
する。更に、流速V、流速Vには変動があるので、
これを吸収するために、取水部2の断面積を、圧力管1
側から取水口に近づくに従って次第に大きくし、前記と
同様に、吸出部3の断面積を、圧力管1側から吸出口に
近づくに従って次第に大きくする。但し、この効果が得
られるのは、第1エネルギ系統の水が圧力管1内に流入
し圧力管1から流出する際に水車4以外の部分で受ける
抵抗を小さくするために、圧力管1の内径を充分大きく
した場合である。
【0037】本発明の下流側流速を利用する小落差水力
発電方法を使用する第2実施例を示す図2において、高
さ2mのダムDを設け、上流側Fの水を流速V
(3.2m/sec)でダムDを越流させる。この水
は、射流F、跳水Fを経て、流速V(2.3m/
sec)の下流側Fの常流になる。越流だけでは、下
流側Fの水底部の流速が不足するので、もぐりオリフ
ィスMを設けて下流側Fの水底部に流速Vの流水を
つくる。上流側Fの水面と下流側Fの水面間の落差
は1.6m、下流側Fの水深Hは2.3mであ
る。
【0038】圧力管1の内径は1.0m、取水部2の取
水口の直径は1.3m、吸出部3の吸出口の直径は1.
53m、上流側Fの水面と吸出部3の吸出口間の落差
Hは3.2m、吸出部3の吸出口の水深Hは1.6m
である。
【0039】水車4と発電機5とを、圧力管1内に、水
車4を下側に発電機5を上側にして、圧力管1と同心状
に設置する。水車4の外径は圧力管1内径と略等しく、
発電機5の外径は0.6mである。
【0040】更に、内径が0.8mの導水管6の上端の
開口端を、圧力管1の取水部2の取水口近傍に、上流側
の流速Vの流水中に上流に向け、且つ、導水管6
の下端の開口端を、圧力管1の吸出部3に連通させて設
置し、上流側Fの流速Vの水を、圧力管1の吸出部
3内に、下流に向かって吐出させる。
【0041】本発明の第2の実施例方法は、導水管6以
外は、前記の本発明の第1の実施例方法と同様なので、
導水管6以外の説明は省略する。
【0042】導水管6に流入した水は、その水の流速V
による運動のエネルギと、上流側水面と吸出部3間の
水の位置のエネルギとによって、下流側Fの流速V
よりも速い流速Vで、吸出部3内に、下流に向かって
吐出する。このことによって、圧力管1内の水と導水管
6内の水とを、下流側Fの流速Vよりも速い流速V
OUTで、吸出部3の吸出口を通過させることができ、
下流側Fの水底部の水圧に抗して、圧力管1内の水を
圧力管1から下流側Fの流速Vの流水中に安定して
吸い出させることができる。従って、本発明の第2の実
施例方法によると、前記の本発明の第1の実施例方法よ
りも吸出部3の吸出口の断面積を大きくしても、圧力管
1内の水が下流側Fの流速Vの流水中に安定して吸
い出されるようにすることができる。
【0043】結局、本発明の第2の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の吸出口の水深Hの1.6mを落差として利用でき
るので、第1の実施例方法と同様に計算して、発電容量
Wは、 発電容量W=μ×(1−α)×9.8×S×V×
(H+H)(kW)=0.9×(1−0.3)×
9.8×1.83×2.3×(1.6+1.6)(k
W)=83.2(kW) である。
【0044】本発明の下流側流速を利用する小落差水力
発電方法を使用する第3実施例を示す図3において、高
さ2mのダムDを設け、上流側Fの水を流速V
(3.2m/sec)でダムDを越流させる。越流し
た水は、射流F、跳水Fを経て、流速V(2.3
m/sec)の下流側Fの常流になり、上流側F
水面と下流側Fの水面間の落差Hは1.6m、下流
側Fの水深Hは2.3mである。ダムDの下流側F
の水底Bを掘り下げた水底Bの掘り下げ深さH
は1.6mである。
【0045】圧力管1の内径は1.0m、取水部2の取
水口の直径は1.3m、吸出部3の吸出口の直径は1.
53m、上流側Fの水面と吸出部3の吸出口間の落差
Hは4.8m、吸出部3の吸出口の水深Hは3.2m
である。
【0046】水車4と発電機5とを、圧力管1の中点近
傍の圧力管1内に、水車4を下側に発電機5を上側にし
て、圧力管1と同心状に設置する。水車4の外径は圧力
管1の内径と略等しく、発電機5の外径は0.66mで
ある。
【0047】内径が0.8mの導水管6の上端の開口端
を、圧力管1の取水部2の取水口近傍に、上流側F
流速Vの流水中に上流に向け、且つ、導水管6の下端
の開口端を、圧力管1の吸出部3に連通させて設置し、
上流側Fの流速Vの水を、圧力管1の吸出部3内
に、下流に向かって吐出させる。
【0048】ダムDに、もぐりオリフィスMを設けて、
ダムDの上流側Fの水を、上流側Fの水面と下流側
の水面間の落差Hの位置エネルギと上流側F
流速の運動エネルギとによって、掘り下げた水底部B
に導き、この水と、上流側Fの水面と下流側Fの水
面間の落差Hの位置のエネルギによってダムDを越流
した流速Vの水とによって、前記の掘り下げた水底部
に、下流側Fの流速Vに略等しい流速の流水が
作られるようにする。もぐりオリフィスMと導水管6と
は、一体にして兼用することもできる。この場合には、
もぐりオリフィスM又は導水管6の下端で、これらの中
の水が、一部は圧力管1の吸出部3の中に、他は前記の
掘り下げた水底部Bに吐出される。
【0049】本発明の第3の実施例方法は、圧力管1の
吸出部3の吸出口を、ダムDの下流側Fの水底部B
を掘り下げた水底部Bに設置すると共に、この掘り下
げた水底部Bに、ダムDの上流側Fの水を越流又は
もぐりオリフィスMによって導き、この水によって前記
の掘り下げた水底部Bに下流向きの流水を作った以外
は、前記の本発明の第2の実施例方法と同様なので、こ
のこと以外の説明は省略する。
【0050】結局、本発明の第3の実施例方法による
と、従来の水力発電方法では利用できなかった、吸出部
3の吸出口の水深Hの3.2mを落差として利用でき
るので、第1の実施例方法と同様に計算して、発電容量
Wは、 発電容量W=μ×(1−α)×9.8×S×V×
(H+H)(kW)=0.9×(1−0.3)×
9.8×1.83×2.3×(1.6+3.2)(k
W)=124.7(kW) である。
【0051】本発明は上記の実施例に限らず種々の態様
が可能である。例えば、取水部2の取水口の一部が上流
側Fの水面上に出ていても良く、又、導水管の開口
端、もぐりオリフィスMの開口端は水面部から水底部の
間のどの位置にあっても良く、圧力管1に水車4と発電
機5とを設置した部分は、水車4の設計に合わせて圧力
管1の内径を変化させる。水車4は圧力管1の中にある
が、発電機5は圧力管1内でなくても良い。
【0052】
【発明の効果】本発明の下流側流速を利用する小落差水
力発電方法は、従来の水力発電方法では発電に使用でき
なかった、各地に多数に存在する、河川、各種水処理設
備の水路、各種用水の取入口や水路、河川や貯水池や湖
水に設けられた水位調節ダム等の流水路に、頸部、完全
越流、もぐり堰、水底の段差、もぐりオリフィス、水底
の勾配差、及び、これらを組合せたものを設置して、流
水路に小落差部を形成し、この小落差部における、上流
側水面と下流側水面間にある空中小落差だけではなく下
流側流水中の水中落差をも利用して発電することができ
るので、従来は無駄に流されていた水の位置エネルギ
を、クリーンエネルギとして有効に発電に使用できると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【図2】本発明の第2の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【図3】本発明の第3の実施例方法を使用する水力発電
設備の一部断面側面図である。
【符号の説明】 1 圧力管 2 取水部 3 吸出部 4 水車 5 発電機 6 導水管 F 上流側 F 下流側 F 射流 F 跳水 S 取水口断面積 S 吸出口断面積 V 上流側の流速 V 下流側の流速 V 導水管からの流速 VOUT 導水管使用時の流出流速 B 水底部 B 掘り下げた水底部 H 上流側水面と吸出部の吸出口間の落差 H 下流側水深 H 上流側水面と下流側水面間の落差 H 下流側水面と吸出部の吸出口間の水深 H 掘り下げ深さ D ダム M もぐりオリフィス
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上流側水面と下流側水面間に小落差があ
    り且つ越流又はもぐりオリフィスがある固定ぜき又は可
    動ぜきにおいて、取水部を上端に、吸出部を下端に設け
    た圧力管を、その取水部の開口端を前記上流側の流速V
    の流水中に上流に向け、且つ、その吸出部の開口端を
    前記下流側の水面から下方の流速Vの流水中に下流に
    向けて配置し、前記上流側の水が前記流速Vで其処を
    通過して圧力管内に流入する前記取水部の開口端内外の
    或る部分の断面積を実効取水面積Sとし、圧力管内の
    水が前記流速Vで其処を通過して下流側の流水中に吸
    い出される前記吸出部の開口端内外の或る部分の断面積
    を実効吸出面積Sとし、このSとSとを、前記流
    速Vと前記流速Vとに略逆比例させて、S×V
    ≒S×Vの安定発電条件を得るようにすると共に、
    この圧力管内に反動水車を配置し、この圧力管内または
    圧力管外の適当な位置に配置した発電機を前記反動水車
    に連結し、前記上流側の流水を、毎秒S×Vずつ、
    前記圧力管内に流入・下降させ、この水の前記上流側水
    面と前記吸出部間の位置のエネルギを運動のエネルギに
    変えて前記反動水車を回転させ、この反動水車の回転に
    よって前記発電機を回転させて発電し、発電に使用した
    後の水を、前記吸出部近傍の前記下流側の流速Vの流
    水の圧力のエネルギと運動のエネルギとによって生じる
    吸出力によって、前記吸出部から前記下流側の流速V
    の流水中に毎秒S×Vずつ混合して吸い出させるこ
    とを特徴とする下流側流速を利用する小落差水力発電方
    法。
  2. 【請求項2】 圧力管とは別に設置した導水管によっ
    て、上流側から水を導き、その水の位置のエネルギと流
    速Vの運動のエネルギとを利用して、その水を、下流
    側の流速Vよりも速い流速Vで、吸出部内に、下流
    に向かって吐出させることによって、圧力管内の水と導
    水管内の水とを、下流側の流速Vよりも速い流速V
    OUTで、吸出部の開口端を通過させることにより、下
    流側の水圧に抗して、圧力管内の水を、毎秒S×V
    で圧力管から下流側の流水中に吸い出させる請求項1に
    記載の下流側流速を利用する小落差水力発電方法。
  3. 【請求項3】 圧力管の吸出部の開口端を、固定ぜき又
    は可動ぜきの下流側の水底部を掘り下げた水底部に設置
    すると共に、この掘り下げた水底部に、固定ぜき又は可
    動ぜきの上流側の水を越流又はもぐりオリフィスによっ
    て導き、この水によって前記の掘り下げた水底部に下流
    向きの流水を作る請求項1又は2に記載の下流側流速を
    利用する小落差水力発電方法。
JP3288249A 1991-08-14 1991-08-14 下流側流速を利用する小落差水力発電方法 Pending JPH05126026A (ja)

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