JPH05125217A - ハロゲン化銅(i)超微粒子が分散したポリマー複合組成物およびその製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銅(i)超微粒子が分散したポリマー複合組成物およびその製造方法

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JPH05125217A
JPH05125217A JP28766591A JP28766591A JPH05125217A JP H05125217 A JPH05125217 A JP H05125217A JP 28766591 A JP28766591 A JP 28766591A JP 28766591 A JP28766591 A JP 28766591A JP H05125217 A JPH05125217 A JP H05125217A
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JP
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copper
halide
composition
polymer
ultrafine particles
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JP28766591A
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English (en)
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Shigeru Takahara
茂 高原
Hiroshi Yao
八尾浩史
Toyoji Hayashi
豊治 林
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ハロゲン化銅(I)とポリマーが溶解した溶
液から溶媒を除去することによって作成されるハロゲン
化銅(I)超微粒子が分散したポリマー複合組成物及び
その薄膜状組成物ならびにその製造方法。 【効果】 短波長カットフィルターや非線形光学材料な
どの良好に用いられる透明性に優れ、組成が保証され
た、粒子直径の制御が可能な新規な超微粒子が分散した
ポリマー複合組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短波長シャープカット
光源フィルターや非線形光学材料等の光電子デバイスに
用いられるハロゲン化銅(I)超微粒子が分散したポリ
マー複合組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、
光波長カットフィルター、発光材料、あるいは光通信な
どに用いられる光電子デバイスとして、位相共役波発生
や光双安定現象を利用する非線形光学材料などに用いら
れるハロゲン化銅(I)超微粒子の分散したポリマー複
合組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明における超微粒子とは、粒子直径
が1〜100ナノメートル(nm)の粒子をいう。この
ような小粒子直径の超微粒子においては、通常の機械的
な粉砕などによって製造される粒子径がマイクロメート
ル以上の粉体と比べて、さまざまな光学的、電気的性質
やその化学的反応性に際だった差異が見られ、非線形光
学材料などの光電子デバイスや化学触媒として注目され
ている。ハロゲン化銅(I)を超微粒子化することによ
って、エキシトン吸収が明瞭に現れる材料が、高い非線
形性を与えることが知られている。また、同様に、シャ
ープカットフィルターなどへの応用も、このエキシトン
吸収の立ち上がりの急峻性を利用して、波長に対する鋭
い光学的遮蔽性を引き出している。
【0003】従来において、エキシトン吸収に起因する
性能を有するハロゲン化銅(I)超微粒子分散体の製造
方法として、いくつかの方法が報告されている。例え
ば、フィジカ ステータス ソリディ(Physica Status
Solidi(b)) 第145巻、567ページ (1988
年)、に示されているところによると、塩化ナトリウム
と塩化銅(I)を混合した後、これを高温溶融し、もっ
て塩化ナトリウム単結晶を生成させている。この際、熱
処理温度、時間、冷却時間などの条件を選択することに
より塩化銅(I)超微粒子の粒子直径を制御している。
【0004】また、これに類似した方法としては、塩化
ナトリウムの代わりに多成分酸化ガラスからハロゲン化
銅超微粒子を高温溶融後、析出させる方法などが知られ
ている(A. I. Ekimovら、レーザー オプティックス
オブ コンデンスト マター(Laser Optics of Conden
sed Matter) (プレナム Plenum)、1988年、1
99ページ)。
【0005】また、日本物理学会秋季分科会講演予行
集、第2分冊、216ページ (1988年)には、酸
化ケイ素と塩化銅(I)を同時蒸着することにより、塩
化銅(I)が酸化ケイ素中に分散した材料を得ている例
が示されている。これらの従来知られている方法におい
ては、高温プロセスで作成、調製が行われるため、材料
や材料を分散した薄膜を載せる基板に耐熱性が要求され
たり、温度制御に特別の工夫が払われる必要がある。
【0006】また、これらの従来の方法による材料は脆
弱なものであり、強度が劣るという難点がある。また、
調製法ならびに材料物質からくる制約があって、薄膜あ
るいはフィルム状に形成することも困難であった。した
がって、非線形光電子材料としての実際の利用において
は、薄膜導波路化された材料形態が必要であるのに対
し、実用上問題があった。さらに、産業技術としての利
用を考慮すると、製造コスト、大面積化などの点におい
ても問題点を有するものであった。一方、上記の問題を
解決する手段として、本発明者らは、薄膜あるいはフィ
ルム状に形成する点で、ポリマー媒体中に分散した組成
物をつくることを着想するに至った。
【0007】しかしながら、我々の検討によると一般
に、ハロゲン化銅(I)結晶は、例えば、水溶液中にお
いて、二価銅イオンとハロゲンイオンの共存する中、還
元性物質を用いて合成することができるが、凝集したり
沈澱したりすることのないコロイド状に生成させること
は容易ではない。また、水溶液中で合成させた場合には
ハロゲン化銅(I)コロイドが生成したとしても、水溶
液からポリマー媒体中分散体を製造することのできるポ
リマーの種類は極めて限られることになる。さらに、ハ
ロゲン化銅(I)のなかでも塩化銅(I)および臭化銅
(I)は、空気中の湿気により非常に容易に酸化されて
しまうので、吸湿性の大きい水溶性のポリマーはそのま
までは使用に耐え難いことを見出した。
【0008】このように、従来の製造方法では、薄膜あ
るいはフィルム状に形成されたポリマー媒体中に、ハロ
ゲン化銅(I)を分散した組成物をつくることは極めて
困難であることを見出した。実用上から、ハロゲン化銅
(I)超微粒子を分散した組成物の媒体であって、無機
結晶やガラスとは製造方法、材料特性が根本的に異なる
ポリマー媒体を用いたハロゲン化銅(I)超微粒子分散
体の製造技術を創製することが望ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】短波長シャープカット
フィルターや非線形光学材料などの超微粒子分散体に要
求されている主な点として、次のような課題があげられ
る。 1)透明性に優れていること。 2)組成が保証されていること。 3)粒子径が制御されていること。 本発明は、これらの点を満足した、超微粒子のポリマー
への分散体の製造方法ならびにそのポリマー複合組成物
の提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく研究を進めた結果、ハロゲン化銅(I)とポリ
マーとを溶解せしめてなる溶液より溶媒を除去すること
を特徴とするハロゲン化銅(I)超微粒子が分散したポ
リマー複合組成物の製造方法を見いだし、目的とするハ
ロゲン化銅(I)超微粒子の分散したポリマー複合組成
物の発明に至ったものである。
【0011】すなわち、本発明に従えば、ハロゲン化銅
(I)超微粒子をポリマー中に分散せしめてなるハロゲ
ン化銅(I)超微粒子が分散したポリマー複合組成物、
および、ハロゲン化銅(I)をポリマーに溶解せしめて
なる溶液より溶媒を除去することを特徴とするハロゲン
化銅(I)超微粒子が分散したポリマー複合組成物の製
造方法、が提供される。
【0012】本発明の粒子径が制御された良好な分散状
態のハロゲン化銅(I)超微粒子の分散したポリマー複
合組成物が得られるメカニズムは、必ずしも明確に確認
されてはいないが、次のように推定している。まず、ハ
ロゲン化銅(I)と媒体材料であるポリマーの溶解した
溶液中では、ハロゲン化銅(I)はイオン化した状態で
存在し、ポリマーは分子状態として溶媒和されている状
態で存在しているものと推定される。この状態から、溶
媒を除去していくとハロゲン化銅(I)は析出をはじめ
るものと考えられる。ここでポリマーが系中に存在して
いるために、溶媒分子の減少と同時に、溶液中の粘度は
急激に上昇し、ハロゲン化銅(I)のそれぞれのイオン
や、析出しはじめたクラスター状のハロゲン化銅(I)
もしくは成長中のハロゲン化銅(I)超微粒子の拡散が
急激に抑えられ、凝集過程を含む結晶成長反応が抑制さ
れて、超微粒子として固定化されるものと考えられる。
この超微粒子形成の際には、ポリマーとイオン種との相
互作用も超微粒子形成に関与しているものと推定され、
また、溶媒除去過程やその後の加熱過程において、残存
溶媒とポリマーとの相互作用も超微粒子直径を制御する
因子として関与しているものとみられる。
【0013】以下に本発明の詳細な内容について述べ
る。本発明における超微粒子とは、粒子直径が1〜10
0ナノメートル(nm)の、好ましくは1〜20ナノメ
ートルのものをいう。この場合の直径とは、一次粒子の
直径であってもよく、また、一次粒子が凝集して形成す
る二次粒子であってもかまわないが、いずれにしても可
視光線に対して透明性を発現させるには、100nmを
越える直径を有する粒子は光の散乱の上から好ましくな
い。
【0014】本発明におけるハロゲン化銅(I)超微粒
子の化合物組成は、式: Cumn で表され、Xはハロゲンを示し、m=1に対してn=1
〜1.8、好ましくはn=1〜1.5である。本発明に
おいて、ハロゲン化銅(I)超微粒子が分散しているポ
リマー複合組成物に用いられるポリマーとしては、透明
性のポリマーであり、かつ、使用する溶媒ならびにハロ
ゲン化銅(I)が溶解する有機溶媒の双方に可溶である
ものが選ばれる。
【0015】具体的に好ましいポリマーを例示すると、
ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエーテルスルホン(PES)、塩化ビニルと酢
酸ビニルの共重合ポリマー、無水マレイン酸とスチレン
の共重合ポリマー、スチレンとアクリロニトリルの共重
合ポリマーなど、およびこれらの混合物があげられる。
【0016】次に、本発明におけるハロゲン化銅(I)
超微粒子が分散したポリマー複合組成物を製造する方法
の詳細について以下に述べる。まず、ハロゲン化銅
(I)を有機溶媒(甲)に溶解させる。ハロゲン化銅
(I)が有機溶媒(甲)に溶けていればよいが、濃度の
めやすとしては1×10ー4〜1モル/リットル、扱いや
すさの点から、より好ましくは1×10ー3〜1×10 ー1
モル/リットルの範囲程度の溶液を用意すればよい。有
機溶媒(甲)としては、極性の大きな溶媒が好ましく、
より具体的な例としては、アセトン、メチルエチルケト
ンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピルニトリ
ル、ブチロニトリルなどのニトリル類、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブチルアルコールなどのアル
コール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキ
シドなど、或はこれらの混合溶媒、またはこれらを含有
する混合溶媒をあげることができる。さらに好ましく
は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリ
ルなどのニトリル化合物が用いられる。
【0017】一方、ポリマーを有機溶媒(乙)に溶解さ
せた溶液を調製する。用いるポリマーが有機溶媒(乙)
に溶けていればよいが、濃度のめやすとしては1〜10
00グラム/リットル、扱いやすさの点から、より好ま
しくは1〜500グラム/リットルの範囲の溶液を用意
ればよい。
【0018】有機溶媒(乙)としては、有機溶媒(甲)
と同じ溶媒を用いることができるが、この他にも、さら
に酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼ
ンなどのより極性の小さい溶媒も好ましく用いることが
できる。次に、調製した有機溶媒(甲)に溶解したハロ
ゲン化銅(I)溶液と、有機溶媒(乙)に溶解したポリ
マー溶液を混合する。このとき、ハロゲン化銅(I)が
有機溶媒(乙)に対して、可溶であっても難溶であって
もよく、両者を混合したときに、析出物がないような混
合条件であればよい。同様に、ポリマーも有機溶媒
(甲)に可溶であっても難溶であってもよく、混合溶液
に溶解すればよい。混合する割合は、混合した溶液中の
ポリマーとハロゲン化銅(I)の比率が、1グラムのポ
リマーに対して1×10ー6〜1×10ー2モル、より好ま
しくは1×10ー5〜1×10ー3モル程度のハロゲン化銅
(I)が含まれるように調製することが望ましい。つい
で、得られたハロゲン化銅(I)とポリマーの混合溶液
から溶媒を除去し、濃縮する。
【0019】濃縮方法としては、例えば窒素や不活性ガ
ス気流下における風乾、真空乾燥などの通常の濃縮方法
が採用されるが、溶媒除去の過程で析出してくるハロゲ
ン化銅(I)を凝集させ、超微粒子化するためには、減
圧下で加熱することが望ましい。加熱温度や加熱時間
は、用いる加熱装置、ポリマーの種類や、目的とするハ
ロゲン化銅(I)超微粒子の粒子直径によって異なって
くるが、加熱時間のめやすとして1分〜12時間、実用
上から1分から6時間程度がよく、加熱温度は減圧条件
にもよるが、ポリマーの分解温度や発生する有機溶媒ガ
スの安全性を考慮して、めやすとして室温〜150℃、
好ましくは室温〜120℃程度の範囲であることが望ま
しい。
【0020】最終的にポリマー中に分散されるハロゲン
化銅(I)超微粒子の粒子直径は、最初のハロゲン化銅
(I)の仕込量や、加熱時間、加熱温度に依存し、これ
らの条件から粒子直径の制御をすることが可能である。
また、作成したハロゲン化銅(I)超微粒子の分散した
ポリマー複合組成物を再度加熱することによって、粒子
直径を制御することが可能である。
【0021】例えば、超微粒子粒子直径の小さなハロゲ
ン化銅(I)超微粒子の分散したポリマー複合組成物を
形成するには、高い加熱温度で加熱時間を短くすればよ
い。これは、おそらくハロゲン化銅(I)超微粒子原核
濃度が、低い温度で加熱する場合に比べて多量に生成す
ることと、その成長過程と十分競争的に超微粒子の固定
化が達成されるためと推定される。また、逆に大きなハ
ロゲン化銅(I)粒子の分散したポリマー複合組成物を
形成するためには、低温で長時間加熱すればよい。ま
た、一度作成した大きなハロゲン化銅(I)粒子の分散
したポリマー複合組成物を再加熱してもよい。
【0022】また、ハロゲン化銅(I)の仕込量を増や
し、ハロゲン化銅(I)の系内濃度を相対的に高めてや
れば、粒子直径の大きな超微粒子の分散したポリマー複
合組成物を得ることができる。逆に、ハロゲン化銅
(I)の仕込量を減らし、ハロゲン化銅(I)の系内濃
度を相対的に小さくしてやれば、粒子直径の小さな超微
粒子の分散したポリマー複合組成物を得ることができ
る。これは、おそらくハロゲン化銅(I)超微粒子の成
長過程が、イオン種やハロゲン化銅(I)微粒子間の拡
散による集合過程をへるためであると考えられる。以上
の如く、所望の粒子直径の好ましい製造条件は、上記範
囲で、これらのめやすを考慮することにより、実験的に
容易に決定することができるのである。
【0023】また、調製した有機溶媒(甲)に溶解した
ハロゲン化銅(I)溶液と、有機溶媒(乙)に溶解した
ポリマー溶液の混合溶液や、濃縮した溶液を、通常の薄
膜形成方法であるキャスト法を適用することによって、
分散組成物のフィルムやプレート等の薄膜を容易に形成
することができる。当然の事ながら、一般的なポリマー
組成物からの薄膜形成方法である他の方法、例えばスピ
ンコート法や、ドクターブレードなどを使用するバーコ
ート法、ディップ法,ロールコート法などを用いて、薄
膜としたフィルム状の分散複合組成物を得ることもでき
る。
【0024】生成した超微粒子の観察及び同定手法に
は、通常知られている手法、例えば、エックス線回折に
よる分析や、超薄膜切片試料の透過電子顕微鏡観察など
を用いることができる。
【0025】また、ポリマー複合組成物の可視−紫外吸
収スペクトルから、超微粒子の粒子直径分布を容易に知
ることができる。一般に、超微粒子においては、粒子直
径が小さくなることによる電子や正孔の閉じ込め効果が
出現する。この結果、粒子直径が小さくなるにつれて超
微粒子の光吸収の波長末端は短波長側へ移動し、同時に
電子遷移に対応した吸収スペクトル帯は波長に対して鋭
いピーク形状になってくることが知られている。したが
って、可視−紫外吸収スペクトルの観察から、生成した
超微粒子の相対的な粒子直径および超微粒子が安定化さ
れているかどうかを容易に観察することができる。
【0026】ここで、添付図面について説明するに、図
1は、実施例1において得られたヨウ化銅(I)超微粒
子を分散したポリメチルメタクリレート複合フィルム状
組成物の可視−紫外吸収スペクトルを表し、図2は、実
施例4において得られた塩化銅(I)超微粒子を分散し
たポリメチルメタクリレート複合フィルム状組成物の可
視−紫外吸収スペクトルを表し、図3は、実施例6にお
いて得られた臭化銅(I)超微粒子を分散したポリメチ
ルメタクリレート複合フィルム状組成物の可視−紫外吸
収スペクトルを表し、図4は、実施例8において得られ
た臭化銅(I)超微粒子を分散したポリスチレン複合フ
ィルム状組成物の可視−紫外吸収スペクトルを表す。図
1〜図4において、何れも、横軸は観測波長(単位 n
m)を表し、縦軸は吸光度を表す。
【0027】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。 実施例1 ヨウ化銅(I)0.02gをアセトニトリル3.5ml
に溶解させ、そこにポリメチルメタアクリレート0.7
5gをアセトン3mlに溶解させた溶液を加えると、無
色透明な溶液が得られた。次に、この溶液を直径70m
mのシャーレに展開した後、24時間窒素気流下で溶媒
を除去して、フィルム状組成物が得られた。このフィル
ム状組成物を90℃において2時間の間、真空下で加熱
することによって透明性を有するフィルム状組成物が得
られた。このフィルム状組成物の可視−紫外吸収スペク
トルの測定から、鋭い吸収立ち上がりを有した吸収が得
られ、ヨウ化銅(I)の超微粒子がポリマー中に分散し
ていることが確認された。得られた吸収スペクトルを図
1に示す。
【0028】実施例2 ポリメチルメタアクリレートを溶かす溶媒として、アセ
トンの代わりに酢酸エチルを用いる以外は実施例1と同
じように実施したところ、実施例1と同様なヨウ化銅
(I)超微粒子が分散したポリマー複合組成物が得られ
た。
【0029】実施例3 臭化銅(I)0.02gをアセトニトリル4.5mlに
溶解させ、そこにポリメチルメタアクリレート0.75
gをアセトン3mlに溶解させた溶液を加えると、無色
透明な溶液が得られた。次に、この溶液を直径70mm
のシャーレに展開した後、24時間窒素気流下で溶媒を
除去して、フィルム状組成物が得られた。このフィルム
状組成物を、実施例1と同様に、90℃において2時間
の間、真空下で加熱した。フィルム状組成物は一部、淡
黄色に濁ったが、可視−紫外吸収スペクトルの測定か
ら、鋭い吸収立ち上がりを有した吸収が得られ、臭化銅
(I)の超微粒子がポリマー中に分散していることが確
認された。このフィルム状組成物の超薄膜切片をきりだ
し、透過型電子顕微鏡で臭化銅(I)の分散状態を観察
したところ、分散性がよい粒子直径80〜100nmの
比較的大きな超微粒子が観察された。平均粒子直径は8
6nmであった。
【0030】実施例4 塩化銅(I)0.02gをアセトニトリル100mlに
溶解させ、そこにポリメチルメタアクリレート0.75
gをアセトン3mlに溶解させた溶液を加えると、無色
透明な溶液が得られた。次に、この溶液を直径70mm
のシャーレに展開した後、24時間窒素気流下で溶媒を
除去して、フィルム状組成物が得られた。このフィルム
状組成物を、実施例1と同様に、90℃において2時間
の間、真空下で加熱した。フィルム状組成物は一部、緑
黄色に濁ったが、可視−紫外吸収スペクトルの測定か
ら、鋭い吸収立ち上がりを有した吸収が得られ、塩化銅
(I)の超微粒子がポリマー中に分散していることが確
認された。得られた吸収スペクトルを図2に示す。
【0031】実施例5 臭化銅(I)0.003gをアセトニトリル4mlに溶
解させ、そこにポリメチルメタアクリレート0.75g
をアセトン3mlに溶解させた溶液を加えると、無色透
明な溶液が得られた。次に、この溶液を直径70mmの
シャーレに展開した後、24時間窒素気流下で溶媒を除
去して、フィルム状組成物が得られた。このフィルム状
組成物を90℃において0.5時間の間、真空下で加熱
することによって透明性なフィルム状組成物が得られ
た。このフィルム状組成物の可視−紫外吸収スペクトル
の測定から、鋭い吸収立ち上がりを有した吸収が得ら
れ、臭化銅(I)の超微粒子がポリマー中に分散してい
ることが確認された。この鋭い立ち上がりは、実施例3
に比べて短波長側へ移動していることが観測された。ま
た、このフィルム状組成物の超薄膜切片をきりだし、透
過型電子顕微鏡で臭化銅(I)の分散状態を観察したと
ころ、分散性がよい粒子直径12〜28nmの比較的大
きな超微粒子が観察された。その平均粒子直径は15n
mであった。したがって、実施例3での臭化銅(I)超
微粒子よりも小さな粒子直径の粒子分散体を製造するこ
とができた。
【0032】すなわち、ハロゲン化銅の仕込量によっ
て、分散されるハロゲン化銅の粒子直径を制御できたこ
とがわかる。このフィルム状組成物の3次の非線形光学
特性性を表す非線形感受率χ(3)を、355nmにおい
て、縮退4波混合法により共役反射波から測定したとこ
ろ、6.0×10ー11esuの値が得られた。なお、3
55nmでのこのフィルム状組成物のαは28.3であ
った。
【0033】実施例6 臭化銅(I)0.004gをアセトニトリル3mlに溶
解させ、これにポリメチルメタアクリレート0.075
gを酢酸エチル3mlに溶解させた溶液を加えると、無
色透明な溶液が得られた。次に、この溶液を直径70m
mのシャーレに展開した後、24時間窒素気流下で溶媒
を除去して、フィルム状組成物が得られた。このフィル
ム状組成物を70℃において2時間の間、真空下で加熱
することによって透明性なフィルム状組成物が得られ
た。このフィルム状組成物の可視−紫外吸収スペクトル
の測定から、鋭い吸収立ち上がりを有したスペクトルが
得られ、臭化銅(I)の超微粒子がポリマー中に分散し
ていることが確認された。得られた吸収スペクトルを図
3に示す。また、このフィルム状組成物の超薄膜切片を
きりだし、透過型電子顕微鏡で臭化銅(I)の分散状態
を観察したところ、その平均粒子直径は35nmであっ
た。
【0034】実施例7 実施例5で得られたフィルム状組成物をさらに60to
rrの圧力下で90℃の温度で1時間再加熱した。この
臭化銅(I)超微粒子の分散体フィルム状組成物は透明
性を保ったままで、その可視−紫外吸収スペクトルを測
定したところ、鋭い立ち上がりは長波長側に移動するこ
とが観測された。また、このフィルム状組成物の超薄膜
切片をきりだし、透過型電子顕微鏡で臭化銅(I)の分
散状態を観察したところ、分散性がよい粒子直径16〜
32nmの比較的大きな超微粒子が観察された。その平
均粒子直径は21nmであった。すなわち、実施例5と
の比較によって、加熱条件により超微粒子の粒子直径を
制御できることがわかる。このフィルム状組成物の3次
の非線形光学特性性を表す非線形感受率χ(3)を、35
5nmにおいて、縮退4波混合法により共役反射波から
測定したところ、6.2×10ー11esuの値が得られ
た。なお、355nmでのこのフィルム状組成物のαは
40.9であった。
【0035】実施例8 臭化銅(I)0.005gをアセトニトリル3mlに溶
解させ、これにポリスチレン 0.7gを酢酸エチル3
mlに溶解させた溶液を加えると、無色透明な溶液が得
られた。次に、この溶液を直径70mmのシャーレに展
開した後、24時間窒素気流下で溶媒を除去して、フィ
ルム状組成物が得られた。このフィルム状組成物を70
℃において2時間の間、真空下で加熱することによって
透明性なフィルム状組成物が得られた。このフィルム状
組成物の可視−紫外吸収スペクトルの測定から、鋭い吸
収立ち上がりを有したスペクトルが得られ、臭化銅
(I)の超微粒子がポリマー中に分散していることが確
認された。得られた吸収スペクトルを図4に示す。
【0036】
【発明の効果】本発明に従えば、粒子直径が10〜10
0nmのハロゲン化銅(I)超微粒子が、良好に分散し
たポリマー複合組成物が得られる。この組成物は透明性
もよく、非線形光電子材料として好ましい性質を備えた
新規な材料、フィルム状薄膜およびその製造方法を提供
する。また、得られたハロゲン化銅(I)超微粒子が分
散したポリマー複合組成物は、ガラスや塩化ナトリウム
等の無機化合物を媒体とした分散組成物や、蒸着法によ
って作製される分散組成物に比べて、可撓性や生産コス
トに優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られたヨウ化銅(I)超微
粒子を分散したポリメチルメタクリレート複合フィルム
状組成物の可視−紫外吸収スペクトルである。図におい
て、横軸は観測波長(単位 nm)を表し、縦軸は吸光
度を表す。
【図2】実施例4において得られた塩化銅(I)超微粒
子を分散したポリメチルメタクリレート複合フィルム状
組成物の可視−紫外吸収スペクトルである。図におい
て、横軸は観測波長(単位 nm)を表し、縦軸は吸光
度を表す。
【図3】実施例6において得られた臭化銅(I)超微粒
子を分散したポリメチルメタクリレート複合フィルム状
組成物の可視−紫外吸収スペクトルである。図におい
て、横軸は観測波長(単位 nm)を表し、縦軸は吸光
度を表す。
【図4】実施例8において得られた臭化銅(I)超微粒
子を分散したポリスチレン複合フィルム状組成物の可視
−紫外吸収スペクトルである。図において、横軸は観測
波長(単位 nm)を表し、縦軸は吸光度を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/35 504 7246−2K // C09K 9/02 Z 8930−4H

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銅(I)超微粒子をポリマー
    中に分散せしめてなるハロゲン化銅(I)超微粒子が分
    散したポリマー複合組成物。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銅(I)超微粒子をポリマー
    中に分散せしめてなるハロゲン化銅(I)超微粒子が分
    散した請求項1記載の薄膜状のポリマー複合組成物。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化銅(I)をポリマーに溶解せ
    しめてなる溶液より溶媒を除去することを特徴とするハ
    ロゲン化銅(I)超微粒子が分散したポリマー複合組成
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化銅(I)をポリマーに溶解せ
    しめてなる溶液より溶媒を除去するとともに薄膜状に形
    成することを特徴とするハロゲン化銅(I)超微粒子が
    分散した薄膜状のポリマー複合組成物の製造方法。
JP28766591A 1991-11-01 1991-11-01 ハロゲン化銅(i)超微粒子が分散したポリマー複合組成物およびその製造方法 Pending JPH05125217A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013213091A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Nbc Meshtec Inc 紫外線遮蔽材
JP2014194126A (ja) * 2013-03-28 2014-10-09 Nbc Meshtec Inc 防虫網
JP2014208801A (ja) * 2013-03-25 2014-11-06 株式会社Nbcメッシュテック 紫外線遮蔽塗料

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