JPH05123078A - 生簀等の外洋用保護装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 養殖生簀を波浪の激しい広い外洋に繋留して
も、狭い湾内と同じ状態に生簀への波の抵抗を少なくす
るための保護装置を提供すること。 【構成】 前部の船首部を頂部に浮体板を持つ船首体と
し、後部を上下の管枠と任意等間隔に配した囲い管枠と
からなる枠体で、両側面にシート体を張架して全体を筒
状に形成し、枠体内に多数の生簀を収容すべくなしたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、魚貝類の養殖用生簀や
海中備蓄用の油タンク等を激しい波浪や潮流から守っ
て、外洋においても繋留できる生簀等の外洋用保護装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】外洋は内海や湾内に比べて波浪の影響が
大きく、また潮流も速いことから、養殖用の生簀やいか
だ式浮遊体等を外洋上で繋留定置して魚介類の養殖を行
うことは、波の抵抗による破損が大きく、また流出する
ことも多いことから、例え錨を大きくしたり錨の数を増
やしたとしても所定箇所に繋留定置することは困難であ
った。

【０００３】したがって、いかだ式浮遊体や生簀等の網
枠を海中に定置したり、あるいは波間に浮かせて、網枠
内の魚介類を海洋上で養殖するという養殖手段は、これ
らの生簀等を維持するための保守管理に手間がかかると
共に、費用もかなり嵩むという問題があった。そのため
にいかだ式浮遊体からなる生簀は、波浪の影響も少な
く、また潮流も比較的緩やかであることから主に内海や
湾内等の波静かな海中や波間に生簀等を設置する養殖手
段が採用されているのが現状である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、生簀や
いかだ式浮遊体等は、これらの生簀等を維持するための
保守管理に手間がかからず、費用もあまり嵩むことがな
いという反面、次のような問題を有している。すなわ
ち、内海や湾内の海中や波間は、比較的潮流が緩やかで
あることから、海水が汚染され易く、工場廃水等によっ
て赤潮発生の原因ともなり易いという問題を有してい
る。そのために、海洋上での活魚養殖の生簀は、海水が
汚染され易い内湾海中よりは、自然海流で給餌効率のよ
い広い外洋での繋留が望まれている。

【０００５】また、備蓄のため海中に貯蔵する油タンク
等は、海水汚染による問題は少ないものの、大型のもの
になる程、内湾では定置場所が制限されるので定置は難
しく、広い外洋がよいとされる。しかし、外洋に定置す
ることは、潮流もあり波浪が著しく大きいこともあって
破損や流出する恐れがあるという問題を有している。本
発明は、潮流に逆らうことなく、波浪の抵抗を著しく軽
減して複数個の生簀や大型の油タンク等を保護しながら
外洋上での浮遊定置を可能にすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために次のような手段を講じたものであ
る。紡垂形状の船首部と、この船首部から連接される頂
部に形成した浮板部とから船首体を構成し、上記船首体
の船首部と離反する後方向に延伸する左右一対の上部管
体と下部管体とから枠組本体を構成し、この枠組本体を
囲い管枠によって任意の等間隔に仕切ると共に、上記枠
組本体の両側部をシート体で被覆するようにしたもので
ある。

【０００７】

【作用】紡垂形状の船首部には索綱で錨やブイ等に繋い
で所定箇所に固定するもので、潮流に逆らうことなく、
また波浪の影響をまともに受けることなく抵抗を減少さ
せることができる。そのために枠組本体内に収容した生
簀やタンク等は、激しい波浪や潮流から保護される。そ
して、両側部にはシート体で被覆されているので、装置
全体が吹き流し状態の筒体となり、内部の生簀を潮流や
波浪から保護する。潮流や波浪の激しい外洋でも、浮子
を兼ねる波消し用の船首体が潮流や波浪の抵抗を切り除
けて柔らげると共に、両側をシート体で覆われた枠体内
の生簀に直接潮波が当たらないようになる。

【０００８】更にこのシート体は波や潮の流れを流線に
して枠体の姿勢を整え、活魚には常に新たな海水流を与
えて給餌効果を大きくする。また、左右一対の上部管体
に浮力を有するように構成しておけば、枠組本体や装置
全体の姿勢制御が浮板部と相まってより一層容易とな
る。枠組本体の底部は、開放された状態となっているの
で生簀は下側から波に押し上げられようとするため、生
簀内の魚は繰り返し浮き上げられ給餌作用が助勢され
る。

【０００９】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。図１は実施例に係る生簀等の外洋用保護装置
の一部を切除した側面図で、図２は同平面図である。

【００１０】図中、１は紡垂形状の船首部２と、この船
首部２から連接される頂部に形成した浮板部３とから構
成された船首体で、この船首体１の後方向に生簀やタン
ク等を収容可能な枠組本体４が構成されている。

【００１１】船首体１の船首部２には固定部が形成され
ており、索綱１２によって錨やブイ等に繋いで所定箇所
に固定されるようになっている。船首部２の固定手段は
強度的に数カ所に取付け部１３，１３を設けて数本の索
綱１２により固定するようにする。また、船首部２は潮
流の影響（潮力）を減少させるために流線型で紡垂形状
になっている。そして、船首部２から連接される頂部に
は浮板部３が形成されており、船首体１の姿勢制御と共
に、装置全体が海中に浮遊するように構成されている。

【００１２】枠組本体４は上記船首体１の船首部２と離
反する後方向に延伸した左右一対の上部管体５，６と下
部管体７，８とから枠組本体を構成されている。そし
て、複数の囲い管枠９，９，…によって任意の等間隔に
枠組本体４の空間部分を仕切るように構成されている。
この仕切られた空間部分には生簀やタンク等の収容物１
０，１０，…を収納するようになっており、上下の管体
５，７や囲い管枠９，９等に自在に固定できるようにな
っている。

【００１３】上記枠組本体４の両側部は、シート体１
１，１１で被覆するようになっており、合成樹脂製の軟
質シートで形成されている。また枠組本体４の底部は開
放状態となっている。そのために枠組本体４の内部空間
に収容物として生簀を収納した場合には、生簀１０は下
側から波に押し上げられようとするため、生簀内の魚は
繰り返し浮き上げられ給餌作用が助勢される。

【００１４】本装置は、船首部２の前部を索綱１２に結
んで外洋においてべ錨で繋留するもので、外洋の強い潮
流や波浪の激しい場所でも船首体１が波や潮の流れを切
り除けて抵抗を柔げ、その１０分の１位に抵抗を少なく
することができて、生簀が流出することもなく、従って
錨の大きさを従来の１０分の１に軽減することもでき、
両側のシート体が流れに逆らうことなく筒状の全体枠を
流れにまかせるので、枠体内は常におだやかで生簀内の
活魚の養殖が助けられる。従って外洋に設置しても、内
湾や島影に繋留した場合と同じ状態で、波浪や潮流の抵
抗の少ない状態での生簀養殖ができる。

【００１５】また、本願装置の枠組体には生簀の替わり
に例えば大容量の油タンクを収容することもできるか
ら、狭い湾内を避けて外洋に繋留することによって備蓄
用の油を大量に保管することもできる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は叙上のように、紡垂形状の船首
部と、この船首部から連接される頂部に形成した浮板部
とから船首体を構成し、上記船首体の船首部と離反する
後方向に延伸する左右一対の上部管体と下部管体とから
枠組本体を構成し、この枠組本体を囲い管枠によって任
意の等間隔に仕切ると共に、上記枠組本体の両側部をシ
ート体で被覆するようにしたものである。従って、強い
潮流や激しい波浪も、海面に浮上する浮体板と海中に浮
遊する枠体頭部の船首体が波浪を切り除けて、その抵抗
を従来の約１０分の１に柔げるので、荒波の外洋でも生
簀等が流出することなく湾内と同じ状態で生簀養殖や大
量の備蓄用油のタンク等の保管ができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】生簀等の外洋用保護装置の一部を切除した側面
図である。

【図２】平面図である。

【符合の説明】

１ 船首体 ２ 船首部 ３ 浮板部 ４ 枠組本体 ５ 上部管枠 ７ 下部管枠 ９ 囲い管枠 １０ 収容物 １１ シート体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 紡垂形状の船首部と、この船首部から連
   接される頂部に形成した浮板部とから船首体を構成し、
   上記船首体の船首部と離反する後方向に延伸する左右一
   対の上部管体と下部管体とから枠組本体を構成し、この
   枠組本体を囲い管枠によって任意の等間隔に仕切ると共
   に、上記枠組本体の両側部をシート体で被覆するように
   したことを特徴とする生簀等の外洋用保護装置。