JPH05117111A - 高分子電解質錯体抗菌剤及び抗菌性材料 - Google Patents

高分子電解質錯体抗菌剤及び抗菌性材料

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JPH05117111A
JPH05117111A JP30685891A JP30685891A JPH05117111A JP H05117111 A JPH05117111 A JP H05117111A JP 30685891 A JP30685891 A JP 30685891A JP 30685891 A JP30685891 A JP 30685891A JP H05117111 A JPH05117111 A JP H05117111A
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JP
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pec
anionic
polymer
polyethylene
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JP30685891A
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Koji Abe
康次 阿部
Mitsunao Tanaka
満直 田中
Satoshi Inaba
聡 稲葉
Masaharu Akimoto
雅治 秋本
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Iatron Laboratories Inc
Mitsubishi Kagaku Iatron Inc
Original Assignee
Iatron Laboratories Inc
Mitsubishi Kagaku Iatron Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子電解質錯体抗菌剤及び抗菌性材料を提
供する。 【構成】 抗菌剤は、カチオンポリマーとしてのカチオ
ン性多糖類と、アニオンポリマーとしてのアニオン性多
糖類、酸性アミノ酸ポリマー又はアクリル酸系ポリマー
とを反応させて調製する高分子電解質錯体からなる。抗
菌性材料は、この高分子電解質錯体を各種担体上に担持
させる。 【効果】 本発明の抗菌剤は、不溶性なので広範な用途
に使用可能で、抗菌活性も長期間維持され、各種の抗菌
強度を有する抗菌剤を容易に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多糖類を含む高分子電
解質錯体からなる抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】正電荷を有する有機化合物は、それが低
分子化合物であるか高分子化合物であるかを問わず、抗
菌性を示すことが知られている。この性質を利用した応
用技術は医療分野から一般衣料品にまで広く普及してい
る。例えば、塩化ベンザルコニウム等に代表される第4
級アンモニウム化合物は水溶性であるため、それ自体が
殺菌・消毒用液として用いられている。しかし、逆に、
水溶性であるために抗菌剤としての使用範囲が限られて
いる。
【0003】また、合成高分子成形品の表面にアニオン
性基を導入し、続いて第4級アンモニウム塩基で処理す
ることにより、長期間持続的に抗菌性を示す材料を得
て、エアーフィルターや透析用の濾過材として用いるこ
とも行なわれている。更に、この技術を繊維材料に応用
し、抗菌性を有する衣料品あるいは創傷保護剤として利
用されている。
【0004】例えば、高分子材料表面に第4級アンモニ
ウムを導入し、抗菌性を持続的に示す素材を得る手段と
して、特開昭54−86584号公報には、酸性基含有
モノマーを重合させて得た高分子物質を第4級アンモニ
ウム塩基の水溶液と接触させる方法が記載されている。
また、特開昭59−164342号公報には、アニオン
性基含有ビニルモノマーをグラフト重合等によって合成
高分子成形品の表面に導入し、続いて第4級アンモニウ
ム塩基で処理する方法が開示されている。
【0005】しかしながら、従来法では、抗菌性を発現
する第4級アンモニウム塩基の導入率が必ずしも十分な
ものではなく、持続性も満足できるものではなかった。
更に、その製造方法も煩雑であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、正荷電有
機化合物の抗菌性を維持したままで溶媒(特に水)不溶
性の性質を有し、しかも持続的な抗菌作用を有する材料
を得ることを目的に鋭意研究を行なったところ、特定の
アニオンポリマーと特定のカチオンポリマーとを反応さ
せて得られる高分子電解質錯体によってこれらの目的を
達成することができることを見出した。本発明はかかる
知見に基づくものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、カチ
オン性多糖類とアニオン性多糖類とを反応させることに
よって得られる高分子電解質錯体を含有することを特徴
とする抗菌剤に関する。
【0008】また、本発明はカチオン性多糖類と一般式
(I)
【0009】
【化3】
【0010】で表されるアニオンポリマー〔前記一般式
(I)において、R32は好ましくは炭素数6〜14個の
直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基であり、aは好ましく
は50〜100の数である〕、即ちアクリル酸系ポリマ
ーとを反応させることによって得られる高分子電解質錯
体を含有することを特徴とする抗菌剤にも関する。
【0011】また、本発明はカチオン性多糖類と一般式
(II)
【0012】
【化4】
【0013】で表されるアニオンポリマー〔前記一般式
(II)において、R81は、好ましくは、水素原子、メチ
ル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、
ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メチルチオ
エチル基、メルカプトメチル基、5−イミダゾリルメチ
ル基又は3−イミダゾリルメチル基である〕、即ち酸性
アミノ酸ポリマーとを反応させることによって得られる
高分子電解質錯体を含有することを特徴とする抗菌剤に
も関する。
【0014】更に本発明は、前記の各高分子電解質錯体
の少なくとも1種を担体に担持することを特徴とする抗
菌性材料にも関する。
【0015】本発明で用いることのできる高分子電解質
錯体(polyelectrolyte comple
x:以下、PECと称することがある)は、それ自体公
知の物質である。高分子電解質錯体(PEC)は、例え
ば特開昭49−8581号公報に記載されているよう
に、正荷電を有する高分子電解質であるカチオンポリマ
ーの溶液と負荷電を有する高分子電解質であるアニオン
ポリマーの溶液とを混合することにより瞬時に形成する
ことができる。こうして得られたPECは、特殊な3元
系溶媒(例えば、特定の組成からなる、水/アセトン/
低分子塩)には溶解するが、一般的な溶媒には不溶性で
ある。PEC膜は、種々の低分子化合物に対して高い透
過性を示すので、透析膜として用いることができる。P
ECは、出発ポリマー(高分子電解質)の種類、それら
の混合比、調製条件などにより、多様な性質を有する各
種の材料を提供することができるが、PECが抗菌性を
有することは従来知られていなかった。
【0016】前記の一般式(I)及び一般式(II)にお
いて、炭素数1〜3個のアルキル基は、例えば、メチル
基、エチル基、又はn−若しくはi−プロピル基であ
る。炭素数1〜4個のアルキル基は、前記炭素数1〜3
個のアルキル基の他に、例えば、n−、i−、s−、又
はt−ブチル基である。炭素数1又は2個のアルキレン
基は、例えば、メチレン基、エチレン基又はエチリデン
基である。炭素数1〜10個の直鎖又は分枝鎖のアルキ
レン基は、例えば、炭素数1〜10個の直鎖アルキレン
基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、
トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチ
レン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、あるいは炭
素数1〜3個の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基1個又
はそれ以上で置換された炭素数1〜7個のアルキレン
基、例えば、エチルエチレン基、エチルトリメチレン基
である。炭素数6〜18個の直鎖若しくは分枝鎖のアル
キル基は、例えば、炭素数6〜18個の直鎖アルキル
基、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基
1個又はそれ以上で置換された炭素数6〜15個のアル
キル基、特には、炭素数1〜3個の直鎖アルキル基1個
で置換された炭素数6〜10個のアルキル基である。ア
リーレン基は、例えば、フェニレン基又はナフチレン基
である。カルボン酸基又はスルホン酸基の塩は、例え
ば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、
又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシ
ウム)との塩である。また、スルホン酸基若しくはその
塩を含有するアリール基は、例えば、スルホフェニル基
である。
【0017】出発材料のカチオン性多糖類及びアニオン
ポリマー中に存在する対イオンは、両者の反応の結果、
PEC生成物中には存在しなくなる。従って、両者の反
応を阻害しないものならいかなるイオンであってもよ
い。好ましい対イオンはハロゲン原子イオン、特には塩
素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである。
【0018】本明細書においてアニオン性多糖類とは、
多糖類の糖骨格中にカルボキシル基、リン酸基、スルホ
ン酸基等を含むものであり、カチオン性多糖類とは多糖
類の糖骨格の側鎖に1〜3級アミノ基あるいは4級アン
モニウム基を含むものである。
【0019】(1)カチオン性多糖類とアニオン性多糖
類、(2)カチオン性多糖類と一般式(I)で表される
アニオンポリマーあるいは(3)カチオン性多糖類と一
般式(II)で表されるアニオンポリマーとの反応によっ
て得られるPECは、カチオンポリマーのN+ 部位とア
ニオン性多糖類又はアニオンポリマーのアニオン部位
(例えば、COO- 、SO3 - 、PO4 2 - )とがクー
ロン力で次々に結合した構造を有する。即ち、高分子同
士がイオン結合により橋架けされ、溶媒不溶性のゲルと
なっている。
【0020】本発明で抗菌剤として用いることのできる
PECは溶媒不溶性であればよく、その平均分子量は特
に制限されるものではないが、一般には、イオン席の数
にして10〜1000、好ましくはイオン席の数にして
20〜100である。出発材料であるアニオン性多糖
類、並びにカチオン性多糖類の平均分子量も、特に制限
されるものではないが、好ましい平均分子量範囲は、ア
ニオン性多糖類では、重合度(糖残基の結合数)にして
10〜1000であり、カチオン性多糖類では、重合度
(糖残基の結合数)にして10〜1000である。一般
式(I)及び一般式(II)で表されるアニオンポリマー
の平均分子量も特に制限されるものではないが、好まし
い平均分子量範囲は、一般的式(I)で表されるアニオ
ンポリマーではpが10〜1000であり、一般式(I
I)で表されるアニオンポリマーではqが10〜100
0である。
【0021】前記一般式(I)のアニオンポリマーの具
体例を挙げれば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、
ポリイタコン酸モノエステル、ポリマレイン酸モノエス
テル、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン
酸、これらポリマーを構成する単量体のいずれか2種以
上のコポリマー、更に、これら単量体とその単量体のカ
ルボキシル基にエステル結合によって結合した炭素数6
〜18個のアルキル基を有するカルボン酸誘導体とのコ
ポリマーである。
【0022】前記一般式(II)のアニオンポリマーの具
体例を挙げれば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン
酸又はこれらポリマーを構成する単量体のコポリマー、
更に、これら単量体とグリシン、アラニン、フェニルア
ラニン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、ヒスチ
ジン、プロリン及び/又はトリプトファンなどとのコポ
リマーである。
【0023】アニオン性多糖類の具体例を挙げれば以下
の通りである。 (1)ヒアルロン酸及びその誘導体:
【0024】
【化5】
【0025】(2)アルギン酸及びその誘導体:
【0026】
【化6】
【0027】(3)コンドロイチン硫酸A:
【0028】
【化7】
【0029】(4)コンドロイチン硫酸C:
【0030】
【化8】
【0031】(5)コンドロイチン硫酸B(デルマタン
硫酸)及びその誘導体:
【0032】
【化9】
【0033】(6)コンドロイチン硫酸D及びその誘導
体:
【0034】
【化10】
【0035】(7)コンドロイチン硫酸E及びその誘導
体:
【0036】
【化11】
【0037】(8)ヘパラン硫酸及びその誘導体:
【0038】
【化12】
【0039】(9)ヘパリン及びその誘導体:
【0040】
【化13】
【0041】(10)κ−カラゲナン及びその誘導体:
【0042】
【化14】
【0043】(11)λ−カラゲナン及びその誘導体:
【0044】
【化15】
【0045】また中性の天然多糖類であっても、カルボ
キシメチル化、硫酸化又はリン酸化などの処理を行なう
ことによりアニオン性多糖類として使用することができ
る。例えば、 (12)セルロース誘導体:
【0046】
【化16】
【0047】(13)キチン誘導体:
【0048】
【化17】
【0049】(14)カルボキシメチルスターチ及びそ
の誘導体:
【0050】
【化18】
【0051】(15)アミロース誘導体:
【0052】
【化19】
【0053】(16)アミロペクチン誘導体:
【0054】
【化20】
【0055】(17)β−1,3’−グルカン誘導体
(例えばカードラン):
【0056】
【化21】
【0057】(18)β−1,2’−グルカン誘導体:
【0058】
【化22】
【0059】(19)β−1,3’−;β−1,6’−
グルカン(例えばレンチナン、シゾフィラン、コリオラ
ン)誘導体:
【0060】
【化23】
【0061】(20)デキストラン誘導体:
【0062】
【化24】
【0063】(21)プルラン誘導体:
【0064】
【化25】
【0065】(22)アガロース誘導体:
【0066】
【化26】
【0067】(23)β−1,4’−ガラクタン誘導
体:
【0068】
【化27】
【0069】(24)マンナン誘導体:
【0070】
【化28】
【0071】(25)イヌリン誘導体:
【0072】
【化29】
【0073】カチオン性多糖類は、上記のアニオン性多
糖類と反応してPECを生成する。カチオン性多糖類の
具体例を挙げれば以下の通りである。 (1)キトサン及びその誘導体:
【0074】
【化30】
【0075】(2)中性多糖類のジエチルアミノエチル
誘導体:中性多糖類としては、デキストラン、セルロー
ス、マンナン、スターチ、アガロース、等が挙げられ
る。この時の置換度は、一個の糖残基当り0.5〜2.
0、好ましくは0.7〜1.5であり、重合度は、50
〜5000、好ましくは100〜1000である。
【0076】本発明で用いる高分子電解質錯体(PE
C)は通常の方法で調製することができる。即ち、前記
のカチオン性多糖類及びアニオン性多糖類又はアニオン
ポリマーの各水溶液(10-4モル/リットル〜10-2
ル/リットル)を、カチオン性多糖類のカチオン席とア
ニオン性多糖類又はアニオンポリマーのアニオン席との
濃度比(カチオン席/アニオン席)が0.25〜4.0
の範囲内、好ましくは0.5〜2.0の範囲内で、水溶
液中で反応させる。カチオン席とアニオン席との濃度比
(カチオン席/アニオン席)が0.25〜4.0の範囲
外になると、高分子電解質錯体(PEC)が形成され難
くなるので好ましくない。この反応は比較的活性が高い
ので、溶液のpH、イオン強度、温度などは比較的広い範
囲であることができるが、一般的にはpH3〜9、イオン
強度0〜1.0及び20〜40℃で実施する。
【0077】本発明で用いるPECの荷電バランスは、
好ましくは0以上、より好ましくは0〜+4である。こ
こで荷電バランスとは、PECの荷電状態を、その出発
材料であるカチオン性多糖類及びアニオン性多糖類又は
アニオンポリマーの、各々のカチオン席及びアニオン席
の濃度比で表現するものである。例えば、使用するカチ
オン性多糖類のカチオン席及びアニオンポリマー(又は
多糖類)のアニオン席の濃度が等しい場合は、生成する
PECの荷電バランスは±0となる。濃度比がこれより
大きければ(即ち、カチオン席の濃度の方が高ければ)
荷電バランスは正となり、小さければ(即ち、アニオン
席の濃度の方が高ければ)負となる。また、濃度比が
1.5の場合は荷電バランスは+2となり、濃度比が
0.5の場合は荷電バランスは−3.3となる。荷電バ
ランスの調整は、等濃度のカチオン性多糖類水溶液及び
アニオン性多糖類又はアニオンポリマー水溶液の混合量
を変化させることによって容易に行なうことができる。
荷電バランスの調整により、カチオン過剰又はアニオン
過剰の状態とすることができる。
【0078】高分子電解質錯体(PEC)は、反応液か
らゲル状の沈殿物として得られるので、そのゲル状沈殿
物のままで、又はそのゲル状沈殿物から直接に成形・加
工して適当な形状(例えば、繊維状、フィルム状、シー
ト状、塊状、ラテックス状又はゲル状)とし、そのまま
湿潤状態又は乾燥状態の抗菌性材料として用いることが
できる。また、PECはほとんどすべての材料に付着又
は接着させることができるので、適当な担体にコーティ
ングして、抗菌性材料を調製することができる。
【0079】有機材料からなる担体としては、例えば、
有機高分子材料、例えば、合成若しくは天然樹脂、合成
若しくは天然ゴム、合成若しくは天然繊維、生体高分子
材料、皮革、木材、パルプ、紙を挙げることができる。
【0080】合成樹脂としては、例えば、炭化水素重合
体(例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−
1、スチレン樹脂、ポリアセチレン);ハロゲン化炭化
水素重合体(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、フッ素樹脂);不飽和アルコール又はエーテル重
合体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエー
テル、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサル
ファイド、アセタール樹脂、ポリエーテル、ポリビニル
ブチラール、ポリエーテルスルホンエポキシ樹脂);不
飽和アルデヒド又はケトン重合体(例えば、フェノール
樹脂、ユリア樹脂);不飽和カルボン酸重合体(例え
ば、ポリアクリレート、アクリル樹脂);不飽和エステ
ル重合体(例えば、ポリビニルエステル、ポリアリレー
ト、全芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリブチレンジアリルフタレー
ト、不飽和ポリエステル樹脂);不飽和ニトリル重合体
(例えば、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂、AAS
樹脂、AES樹脂);不飽和アミン重合体(例えば、ポ
リビニルアミン、ポリイミド、ポリアミド、メラミン樹
脂、ポリエチレンイミン、ポリウレタン);その他、シ
リコーン樹脂、上記の共重合体、ブレンド樹脂、熱可塑
性エラストマーなどを挙げることができる。天然樹脂と
しては、例えば、繊維素誘導体樹脂を挙げることができ
る。
【0081】合成ゴムとしては、例えば、スチレン−ブ
タジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニト
リロゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−
プロピレンゴム、アクリルゴム、塩素系ポリエチレンゴ
ム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫
化ゴムを挙げることができる。
【0082】合成繊維としては、例えば、再生セルロー
ス(ビスコースレーヨン、キュプラ)アセテート、トリ
アセテート、ポリアミド、アクリル、ビニロン、ビニリ
デン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリベンゾエート、ポリクラール、ア
ラミドフェノール系繊維、ポリウレタン系繊維、フッ素
繊維、ポリビニルアルコール、炭素繊維、炭化硅素繊維
を挙げることができる。天然繊維としては、例えば、木
綿、絹、羊毛、麻、木材を挙げることができる。
【0083】担体としては無機材料、例えば、ガラス、
鉱物(例えば、石綿)、琺瑯、セメント、セラミック
ス、人造石、金属(例えば、鉄、鋼、非鉄金属、合金)
を用いることもできる。担体の形状及び形態は特に制限
されず、繊維状、フィラメント状、フィルム状、シート
状、織布、不織布、棒状、紐状、球状、粉体、粒体、多
孔質体、中空体、凝集体、発泡体、ゲル状体等、いかな
るものでもよい。
【0084】PECを担体に担持させるには、任意の公
知の方法、例えば、塗布、噴霧又は浸漬などの方法で行
なうことができる。PEC溶液を担体に単に接触させる
だけでもよい。例えば、カチオンポリマー水溶液とアニ
オンポリマー水溶液とを反応容器内で混合した後、反応
溶液を直ちに所定の容器に移し、一昼夜程度静置してP
ECを十分に析出させた後、上澄液を除去し、生理食塩
水及び蒸留水で1〜3回程度洗浄し、60〜100℃で
6〜12時間乾燥してアニーリングすると、その容器の
底面にPECを強固に付着させることができる。その容
器の内面全体をコーティングするには、一昼夜程度回転
振盪してPECを十分に析出させた後、上澄液を除去
し、前記と同様に洗浄し、アニーリングするとPECを
容器面に強固に付着させることができる。
【0085】また、繊維状、ビーズ状又は織布状等の材
料の場合には、それらの材料をPEC液に一昼夜程度浸
漬し、続いて前記と同様に処理すればよい。また、特開
昭50−63096号公報に記載されているように、P
EC合成を水可溶性有機溶媒(例えば、水とアセトンと
臭化ナトリウムとの混合物)の存在下に行ない、反応液
をそのまま塗料として用いて塗布、噴霧、又は浸漬する
こともできる。
【0086】PECを担持させる担体表面の疎水性が高
い場合(例えば、ポリカーボネート製担体)には、その
表面に親水性を付与する処理(次亜塩素酸処理、有機溶
媒処理、プラズマ処理、紫外線処理など)を予め行なう
のが好ましい。
【0087】こうして得られたPEC担持担体は抗菌性
材料としてそのまま利用するか、あるいはその抗菌性材
料を用いて各種の抗菌性製品を調製することができる。
そのまま利用することのできる抗菌性材料としては、繊
維材料(例えば、繊維、フィラメント、織布、不織布)
の表面の少なくとも1部分(好ましくは全体)にPEC
を担持させたもの、例えば、PECを担持したガーゼ、
脱脂綿、生地(医療、衛生若しくは美容用の無菌衣料製
品用)を挙げることができる。これらのPEC担持繊維
材料から、例えば、マスク、眼帯、包帯、シーツ、吸収
パッド(例えば、耳用、鼻用、口腔用若しくは月経用タ
ンポン)、ナプキンを簡単に調製することができる。
【0088】更に、各種の無菌衣類、例えば、下着(シ
ャツ、肌着、靴下類など)、ベビー用リンネル製品(例
えば、ベビー用パンツ、よだれ掛け、産着、胴着な
ど)、ハンカチ、コルセット、ガードル、ブラジャー、
海水着、手術用衣服、外科医用又は患者用エプロン、救
命具、潜水服、実験室着、保護着(手術用手袋)、マス
ク、手術用帽子を調製することもできる。
【0089】PEC担持抗菌性材料を用いて調製する抗
菌性製品としては、微生物の増殖を抑制することが好ま
しい製品であれば特に制限されるものではない。例え
ば、医療関連器具類、衛生関連器具類(例えば、病院用
ベッドカバー、シーツ、無菌衣服、包帯、おむつ、眼帯
ガーゼ、タンポン、コンタクトレンズ、コンタクトレン
ズ容器、医薬品保存容器、輸血用容器)、食品関連器具
(例えば、食品用包装材料、食品保存容器)、生活関連
器具類(例えば、食卓用具、台所用具例えば、食器棚下
敷きシート、サニタリー用品例えば、便座カバー)、理
美容器具類、スライムが発生し易い器具(例えば、透析
膜、濾過材)等を挙げることができる。
【0090】本発明のPEC担持抗菌性材料を用いて調
製する抗菌性製品として特に好ましい医療関連器具類
(好ましくは、使い捨て用医療関連器具類)について以
下に列記する。また、それらの好ましい担体材料を括弧
内に示す。
【0091】一般医療及び看護用具としては、例えば、
アダプター[又はコネクター](ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリアミド)、イルリガートル(ポリ塩化ビ
ニル)、インジケータ(和紙、紙)、エプロン(不織
布)、オムツ(ポリプロピレン繊維、不織布、紙、綿、
ポリアミド、パルプ)、ガーゼ(不織布、紙、紙綿、ポ
リアミド、アクリル、ポリエステル)、カップ[検体入
れ](ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、
紙)、カテーテル[チューブ](ポリ塩化ビニル、ゴ
ム、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アミド)。カバー(不織布、ポリエチレン)、カフ(ポ
リ塩化ビニル、ゴム)、眼帯(ガーゼ、不織布、合成繊
維)、浣腸器(合成繊維)、キャップ(不織布、紙)、
吸引器(ポリ塩化ビニル、プラスチック、ゴム)、クラ
ンプ[クリップ](スポンジ、ゴム、金属、ポリアミ
ド、ポリ塩化ビニル、アセタール樹脂)、検査衣(不織
布)、コイル[血液加温用](ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン)、酸素テント(ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ル)、三方活栓[スリーウェー](ポリアミド、ポリア
セタール、デルリン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペン
テン)、人口鼻(紙、ポリプロピレン)、ストッパー
(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン)、輸
血セット(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ゴム、ポリ塩化ビニル、金属)、タオル(不織
布)、腔鏡(ポリ塩化ビニル)、注射器(ゴム、ポリプ
ロピレン、医用シリコーン油、ポリメチルペンテン)、
注射針(ポリエチレン、ステンレススチール、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル)、聴診器(ポリ塩化ビニ
ル)、直腸鏡(ポリ塩化ビニル)、テープ[絆創膏]
(アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、綿、和紙、
ポリ塩化ビニル、ポリアミド、レーヨン)、T字帯(不
織布、紙)、手袋[グローブ](ポリエチレン、ポリ塩
化ビニル、ゴム)、点眼器(ポリエチレン、ポリプロピ
レン)、トレー(圧縮パルプ、紙)、尿器(ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ABS、ゴム)、ネームバンド(ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレン)、膿盆(紙、パルプ)、バッグ(ポリ塩化ビ
ニル、ステンレススチール、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ゴム、紙)、パット[綿](綿、ガーゼ、ポリエス
テル製ビーズ、不織布、紙)、ハリ治療針(ステンレス
スチール)、副子[シーネ](ポリイソプレン)、腹帯
(スパンデックス)、ギブス包帯(綿、ガーゼ、メリヤ
ス、不織布、石膏、ポリアミド)、マウスピース(ポリ
スチレン、紙)、マスク(ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、不織布)、マット
(ポリエチレン、アルミニウム、接着剤)、マノメータ
[圧柱](ポリスチレン)、綿球(綿)、綿棒(白樺
材)、指サック(ポリエチレン、ゴム)、留置針(ステ
ンレススチール、ポリ塩化ビニル、ABS、ゴム、金
属、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂)、連
結管(ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ゴム、金属、ポ
リプロピレン、ポリアミド)等を挙げることができる。
【0092】また、麻酔及び手術室用具としては、例え
ば、血管注射用イントラフューザー(ポリ塩化ビニル、
ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、金属、
テフロン)、エアウェー(ポリ塩化ビニル、エチレン酢
酸ビニル共重合体)、開瞼器(タンタル)、ガウン(不
織布)、カテーテル(ポリ塩化ビニル、シリコーン混合
ポリ塩化ビニル、ラテックス、ステンレススチール、テ
フロン)、靴用カバー(不織布)、カフ(ラテック
ス)、キャップ(不織布、セルロース)、吸引器(吸引
管)(ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリプロピレ
ン)、咽頭鏡(ポリ塩化ビニル)、コネクター(ポリエ
チレン)、血管注射用セット(ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアセタール、テフロン、ポリ塩化ビニル、
金属、シリコーン)、タオル(不織布)、対極板(アル
ミニウム箔、銅、ステンレススチール箔、ボース紙、ス
テンレススチール板)、テープ(不織布、フィラメン
ト)、手袋(ゴム、ポリエチレン)、ドレープ[覆い
布](ポリ塩化ビニル、ポリエチレンフィルム、不織
布)、ドレーン(ポリ塩化ビニル、ゴム、シリコーンゴ
ム)、バイオプシー針(ステンレススチール、PBS、
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、金属)、縫合糸(絹、
ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ステンレ
ススチール、カットグート)、マスク(ポリエステル、
不織布、グラスファイバー、ポリエチレン)、メス(ス
テンレススチール、ポリ塩化ビニル、ABS)等を挙げ
ることができる。
【0093】更に、検査及び検査室用具としては、例え
ば、カバーグラス(ガラス)、採血管(ガラス、アクリ
ル、ポリプロピレン、天然ゴム、合成ゴム)、採血ビン
(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン)、試
験管(ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン樹脂、
ガラス)、シャーレ(ポリスチレン、紙、ガラス)、ス
ピッツ管(ポリプロピレン、ポリスチレン、アセチルセ
ルロース、アクリル)、スポイト(ポリエチレン)、ス
ライドグラス(ガラス)、テープ(紙)、電極[心電図
用など](合成繊維、紙、リード線、ポリエチレン、ゲ
ル)、培養器(ポリエチレン、ガラス、アクリル、合成
ゴム、ポリスチレン)、ビーカー(ポリプロピレン)、
ピペット(ガラス、ポリプロピレン)、ラベル(紙)等
を挙げることができる。
【0094】また、人口臓器及び人口腎室用具として
は、例えば、カテーテル[カニューレ](テフロン、シ
リコーンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、綿)、血液回路(ゴム、ポリ塩化ビニル、ポ
リプロピレン、ポリアミド、セルロース)、コネクター
(ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ゴム、シリコーン、テ
フロン)、人口血管(シリコーン、ダクロン、テフロ
ン)、人口肺(ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポ
リアミド、ウレタンフォーム、ポリ塩化ビニル)、ダイ
アライゼー(キュプロファン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニル、不織布、和
紙)、透析膜(キュプロファン、ポリアクリロニトリ
ル)、熱交換器(シリコーンゴム、ステンレススチー
ル)、針(ポリエチレン、ステンレススチール、ポリ塩
化ビニル、ポリアミド、ゴム、テフロン)、フィルター
(ポリカーボネート、ダクロンウール、ポリプロピレ
ン)等を挙げることができる。また、無菌的雰囲気を保
つための各種設備(壁、床、備品、エアフィルター等)
や、内視鏡等、直接人体に接するものへの利用も可能で
ある。
【0095】
【作用】カチオン性多糖類のようなカチオン性高分子電
解質では、担持されている対イオンが一般に低分子量対
イオン(例えばハロゲンイオン)であるので、その対イ
オンがポリマーから脱離してポリマー中のカチオン部位
が露出することは比較的容易である。これに対して、本
発明で用いるPECでは、対イオンが相互に高分子化合
物であるので、出発カチオン性多糖類が有していた第4
級アンモニウムの性質は或る程度中和された形で存在し
ている。こうした構造を有するPECが抗菌活性を示す
ことは驚くべきことであり、その理由は現在のところ解
明されていないが、カチオン性多糖類本体内に化学的に
強固に結合して含有されている第4級アンモニウム部分
が持続的な抗菌活性を示すものと思われる。更に、一般
にPECは、親水性のミクロドメイン構造、表面の水の
構造変化、荷電バランスなどの変化によって著しく多様
な性質を示すので、本発明においてもこれらの影響も相
俟って抗菌性を発現しているものと考えられる。
【0096】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、以下の実施例に記載の平均分子量は蒸気圧
降下法で測定した数平均分子量である。実施例1:PEC(キトサン−アルギン酸)の調製 カチオン性多糖類であるキトサン(脱アセチル化度10
0%;平均分子量約2000)0.020g(カチオン
席として0.01モル)とアニオンポリマーであるアル
ギン酸(Arg)(平均分子量約4000)0.018
g(アニオン席として0.01モル)とを、それぞれ別
々に生理食塩水(pH7.4)10mlに溶解させ、こうし
て得られた2つの水溶液5mlづつをビーカー中にて一挙
に混合させ、高分子電解質錯体ゲル(キトサン−Ar
g)(荷電バランス:±0)を形成した。前記と同様に
調製したカチオン性多糖類水溶液7mlとアニオンポリマ
ー水溶液3mlとをビーカー中にて一挙に混合させ、高分
子電解質錯体ゲル(荷電バランス:+4)を形成した。
【0097】実施例2:PEC(キトサン−硫酸化セル
ロース)の調製 カチオン性多糖類であるキトサン(脱アセチル化度約7
0%;平均分子量約5000)0.102g(カチオン
席として0.05モル)とアニオンポリマーである硫酸
化セルロース(S・cel)(硫酸化度約0.8/単
糖;平均分子量約8000)0.110g(アニオン席
として0.05モル)とを、それぞれ別々に蒸留水(pH
5.0)10mlに溶解させ、こうして得られた2つの水
溶液5mlづつを室温でビーカー中にて一挙に混合させ、
高分子電解質錯体ゲル(キトサン−S・cel)(荷電
バランス:±0)を形成した。前記と同様に調製したカ
チオン性多糖類水溶液7mlとアニオンポリマー水溶液3
mlとをビーカー中にて一挙に混合させ、高分子電解質錯
体ゲル(荷電バランス:+4)を形成した。
【0098】実施例3:PEC(ジエチルアミノエチル
デキストラン−カルボキシメチルキチン)の調製 カチオン性多糖類であるジエチルアミノエチルデキスト
ラン(DEAE・Dex)(導入率60%;平均分子量
約3000)2.0mg(カチオン席として0.001モ
ル)とアニオンポリマーであるカルボキシメチルキチン
(CM・Chn)(カルボキシメチル化度約0.65/
単糖;平均分子量約5000)1.8mg(アニオン席と
して0.001モル)とを、それぞれ別々に0.5モル
/リットルの塩化ナトリウム水溶液(pH8.0)10ml
に溶解させ、こうして得られた2つの水溶液5mlづつを
室温でビーカー中にて一挙に混合させ、高分子電解質錯
体ゲル(DEAE・Dex−CM・Chn)(荷電バラ
ンス:±0)を形成した。前記と同様に調製したカチオ
ン性多糖類水溶液7mlとアニオンポリマー水溶液3mlと
をビーカー中にて一挙に混合させ、高分子電解質錯体ゲ
ル(荷電バランス:+4)を形成した。
【0099】実施例4:PEC(キトサン−ポリグルタ
ミン酸)の調製 カチオンポリマーであるキトサン(脱アセチル化度10
0%)(平均分子量約2000)0.020g(カチオ
ン席として0.01モル)とアニオンポリマーであるポ
リグルタミン酸(PGA)(平均分子量約4000)
0.013g(アニオン席として0.01モル)とを、
それぞれ別々に生理食塩水(pH7.4)10mlに溶解さ
せ、こうして得られた2つの水溶液5mlづつを室温でビ
ーカー中にて一挙に混合させ、高分子電解質錯体ゲル
(キトサン−PGA)(荷電バランス:±0)を形成し
た。前記と同様に調製したカチオンポリマー水溶液7ml
とアニオンポリマー水溶液3mlとをビーカーにて一挙に
混合させ、高分子電解質錯体ゲル(荷電バランス:+
4)を形成した。
【0100】実施例5:PEC(キトサン−CLA)の
調製 カチオンポリマーであるキトサン(脱アセチル化度70
%)(平均分子量約3000)0.021g(カチオン
席として0.01モル)とアニオンポリマーであるアク
リル酸/ウラリルアクリレートのランダム重合体(CL
A)(アクリル酸含量約80モル%)(平均分子量約4
000)0.018g(アニオン席として0.01モ
ル)とを、それぞれ別々に0.3モル/リットルの塩化
ナトリウム水溶液(pH6.5)10mlに溶解させ、こう
して得られた2つの水溶液5mlづつを室温でビーカー中
にて一挙に混合させ、高分子電解質錯体ゲル(キトサン
−CLA)(荷電バランス:±0)を形成した。前記と
同様に調製したカチオンポリマー水溶液7mlとアニオン
ポリマー水溶液3mlとをビーカーにて一挙に混合させ、
高分子電解質錯体ゲル(荷電バランス:+4)を形成し
た。
【0101】実施例6:担体(ポリエチレン製チュー
ブ)への固定 実施例1〜5で調製したPECゲルそれぞれ2mlを、ポ
リエチレン製チューブ(内径1.0cm)に分注し、ロー
ターで60rpmで8時間回転させた。ポリエチレン製
チューブの内壁にPECをコーティングした後、上澄液
を除去し、60℃で4時間乾燥し、蒸留水10mlで3回
チューブ内を洗浄し、更に80℃で4時間乾燥させ、P
EC固定化チューブを得た。
【0102】実施例7:担体(ガーゼ)への固定 実施例1〜5で調製したそれぞれのPECゲル液に、木
綿ガーゼ(10cm×10cm)を8時間浸漬した。ガーゼ
を取り出して蒸留水20mlで洗浄し、60℃で4時間乾
燥させ、更に蒸留水10mlで3回洗浄し、80℃で4時
間乾燥させ、PEC固定化ガーゼを得た。
【0103】実施例8:担体〔コンタクトレンズ材質
(ポリメチルメタクリレート)〕への固定 実施例1〜5で調製したそれぞれのPECゲル液に、コ
ンタクトレンズと同材質のポリメチルメタクリレート板
を直径8mmに打ち抜いた円形小片(以下円形小片ともい
う)を室温で10時間浸漬した。PECをコーティング
した後、上澄液を除去し、60℃で3時間乾燥し、蒸留
水10mlで2回、生理食塩水で2回洗浄し、更に、80
℃で4時間乾燥させ、PEC固定化円形小片を得た。
【0104】実施例9:抗菌性の確認 以下の微生物を用いて抗菌性を調べた。 大腸菌(Escherichia coli)ATCC25932 ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC25923 霊菌(Serratia marcescens)IFO3046 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC10145
【0105】ブレインハートインフュージョン(BH
I)培地で37℃にて16時間培養した各種の菌液を、
0.85%食塩含有M/15リン酸緩衝液(PBS、pH
6.8)で希釈し、菌濃度約1×104 個/mlの菌浮遊
液を調製した。PD培地(リン酸二カリウム7.0g、
リン酸一カリウム2.0g、硫酸マグネシウム0.1
g、硫酸アンモニウム1.0g、クエン酸ナトリウム
0.5g、ブドウ糖10.0g、及びバクトペプトン1
0.0gを精製水1000mlに溶解したもの)10mlを
前記実施例6で調製したPECコーティングポリエチレ
ン製チューブに添加し、前記の各菌浮遊液0.1mlを加
えて混合した後、30℃に保温した。各チューブを30
℃で24時間振盪培養し、その培地の濁りを目視観察し
て抗菌効果を確認した。結果を表1に示す。
【0106】実施例10:抗菌性の確認 PD培地50mlを坂口フラスコに取り、実施例7で得た
PEC固定化ガーゼ(6cm×6cm)3枚をそのフラスコ
に入れ、前記実施例9と同様の各菌浮遊液1mlを用いて
約1×104 個植菌した。同様に、空試験用フラスコ及
びPECを固定していないガーゼ(6cm×6cm)3枚を
フラスコに入れ、前記と同様に植菌したものも用意し
た。各フラスコを30℃で16時間振盪培養し、その培
地の濁りを目視観察して抗菌効果を確認した。結果を表
2に示す。
【0107】実施例11:抗菌性の確認 PD培地10mlを滅菌ポリエチレン製チューブに取り、
実施例8で得たPEC固定化円形小片2gを添加し、前
記実施例9と同様の各菌浮遊液0.1mlを加えて混合し
た後、30℃に保温した。同様に、空試験用チューブ及
びPECを固定していない円形小片2gを添加し、前記
と同様に植菌したものも用意した。各チューブを30℃
で24時間振盪培養し、その培地の濁りを目視観察して
抗菌効果を確認した。結果を表3に示す。
【0108】実施例12:抗菌効果の持続性の確認 実施例6で調製した各PEC固定化チューブに精製水1
0mlを加え、振盪器で2分間激振した後、洗浄液を捨て
た。同様の洗浄操作を更に4回(合計5回)行ない、各
チューブを60℃で2時間乾燥した。こうして前処理し
たチューブを用い、大腸菌(ATCC25932)により実施例
9と同様の操作で抗菌効果の持続性を調べた。結果を表
4に示す。
【0109】実施例13:抗菌効果の持続性の確認 実施例7で調製した各PEC固定化ガーゼを1000ml
のビーカーに入れ、精製水500mlを加え、マグネット
スターラーを用いて5分間攪拌した後、洗浄液を捨て
た。同様の洗浄操作を更に4回(合計5回)行ない、各
ガーゼを取り出し、60℃で4時間乾燥した。こうして
前処理したガーゼを用い、大腸菌(ATCC25932)により
実施例9と同様の操作で抗菌効果の持続性を調べた。結
果を表5に示す。
【0110】実施例14:抗菌効果の持続性の確認 実施例8で調製した各PEC固定化円形小片を滅菌ポリ
エチレン製チューブに入れ、精製水10mlを加え、振盪
器で2分間激振した後、洗浄液を捨てた。同様の洗浄操
作を更に4回(合計5回)行ない、円形小片を取り出
し、60℃で4時間乾燥した。こうして前処理した円形
小片を用い、大腸菌(ATCC25932)により実施例9と同
様の操作で抗菌効果の持続性を調べた。結果を表6に示
す。
【0111】実施例15:抗菌性の確認 実施例1〜5で調製したそれぞれのPECゲル液に、濾
紙(TOYO、No.5B)を8時間浸漬した。濾紙を
取り出して蒸留水20mlで洗浄し、60℃で4時間乾燥
させ、更に蒸留水10mlで3回洗浄し、80℃で4時間
乾燥させた。得られた濾紙を直径13mmの円盤状に切り
抜き、ガス滅菌処理を行い、後記の抗菌効果試験用ディ
スクとした。一方、PECゲル液に浸漬していない同様
の円盤状濾紙を同様にガス滅菌処理して対照用ディスク
とした。
【0112】実施例9に記載の4種の菌を、実施例9と
同様の方法でBHI培地で一夜振盪培養し、BHI培地
で3回遠心処理した後、同じくBHI培地で希釈し、菌
濃度約1×107 個/mlの菌浮遊液を調製した。この菌
浮遊液20μlを前記の抗菌効果試験用ディスク及び対
照用ディスクに接種し、37℃で2時間放置した後、ト
リプトソーヤ寒天平板上に、ディスク接種面と寒天平板
とを接するように置き、37℃で1時間放置してから、
各ディスクを取り除いた。更に、37℃で一昼夜培養を
行った後、平板上に出現したコロニー形成を観察した。
結果を表7に示す。
【0113】以下の表1〜表6において、記号は以下の
意味である。 +++:強い混濁、 ++:混濁、 +:やや混濁、 ±:変化しない、 −:透明。
【0114】以下の表7において、記号はコロニー形成
の程度を示すものであり、記号は以下の意味である。 +++:大 ++:中程度 +:少 ±:極めて少 −:変化しない
【0115】
【発明の効果】本発明の抗菌剤は、溶媒に一般に不溶性
であるので、広範な用途に用いることができる。また、
抗菌活性を長期間持続して維持することができる。更
に、抗菌強度の異なる種々の抗菌剤を容易に提供するこ
とができる。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
【表5】
【0121】
【表6】
【0122】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋本 雅治 東京都千代田区東神田1丁目11番4号 株 式会社ヤトロン内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン性多糖類とアニオン性多糖類と
    を反応させることによって得られる高分子電解質錯体を
    含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 【請求項2】 カチオン性多糖類と一般式(I) 【化1】 で表されるアニオンポリマーとを反応させることによっ
    て得られる高分子電解質錯体を含有することを特徴とす
    る抗菌剤。
  3. 【請求項3】 カチオン性多糖類と一般式(II) 【化2】 で表されるアニオンポリマーとを反応させることによっ
    て得られる高分子電解質錯体を含有することを特徴とす
    る抗菌剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高
    分子電解質錯体少なくとも1種を担体上に担持すること
    を特徴とする抗菌性材料。
JP30685891A 1990-11-29 1991-10-26 高分子電解質錯体抗菌剤及び抗菌性材料 Pending JPH05117111A (ja)

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EP19910920778 EP0528035B1 (en) 1990-11-29 1991-11-28 Use of a polyelectrolyte complex antibacterial agent and antibacterial material
DE69126972T DE69126972T2 (de) 1990-11-29 1991-11-28 Verwendung eines antibakteriellen wirkstoffs, der einen polyelektrolytkomplex enthält, und antibakterielles material
AU89319/91A AU655445B2 (en) 1990-11-29 1991-11-28 Polyelectrolyte complex antibacterial agent and antibacterial material
ES91920778T ES2106093T3 (es) 1990-11-29 1991-11-28 Uso de un agente antibacteriano que comprende un complejo polielectrolito y de un material antibacteriano.
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