JPH05113436A - ガスクロマトグラフ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスクロマトグラフにおいて、サンプルガス
の各成分を正確に測定できるようにする。 【構成】 キャリアガスのみをカラムに流してベースラ
イン電圧の変動値を記憶すると共に、記憶されたベース
ライン電圧の変動値を基準としてサンプルガスの各成分
を測定する。この結果、ベースライン電圧がゲイン切り
換え等によって変動してもサンプルガスの各種の成分が
正確に測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、キャリアガスによって
移送されるサンプルガスを検出しその成分を分析するガ
スクロマトグラフに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にこの種のガスクロマトグラフは、
内部に適当な固定相を充填すると共に、移動相としての
キャリアガスが常時流されているカラムに、ガス等の混
合試料の一定量を投入しその成分を分析するようにして
いる。即ち、混合試料はキャリアガスによってカラムの
出口に押し流されてくるが、この試料の各成分の移動速
度は固定相との親和性によって決定され、固定相によっ
て分離された各成分がカラムの出口に送出されるまでの
時間及びその順番と、検出器によって検出される各成分
のピーク高さ（ピーク電圧）及びピーク面積を測定する
ことにより混合試料の定性分析，定量分析が行われるも
のとなっている。

【０００３】図１はこのような測定回路の１例を示すも
のであり、カラムから移送されてくるサンプルガス（混
合試料）１の各成分をＴＣＤセンサ２により電圧信号と
して検出し、この検出された電圧信号のピーク電圧を検
出することによりサンプルガスの各成分を測定するよう
にしている。しかしながら、このようなサンプルガス１
の各成分をＴＣＤセンサ２を介して検出した場合、その
検出された電圧信号Ｖ₁ には、図４に示すようなベース
ライン電圧Ｖ_B が含まれており、このベースライン電圧
Ｖ_B を除去しなければ、正確なピーク電圧が測定できな
くなる。このため、従来は、サンプルガス１の最初の成
分（即ち、成分）が到来する前に予めベースライン電
圧Ｖ_B を測定し、この測定されたベースライン電圧Ｖ_B
を基準としてピーク電圧Ｖ_P を測定するようにしてい
る。

【０００４】また、図４に示すように、サンプルガス１
の成分によってはその電圧信号のピーク電圧Ｖ_P に高低
差が生じ、これが低い場合はＶ／Ｆコンバータ７で周波
数信号に変換できないことがある。このため、各成分の
電圧信号のピークが到来する前にゲイン切換部１２を切
換制御して入力電圧信号のゲインを変え検出可能な信号
としてＶ／Ｆコンバータ７へ与えるようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のガスクロマトグ
ラフは、キャリアガス１の各成分のピークが到来する前
にゲイン切換部１２を切換制御することにより検出され
る電圧信号のゲインを変えているので、ベースライン電
圧値が変動する。このため、キャリアガス１の最初の成
分が到来する前にベースライン電圧を測定しただけでは
以降に続く各成分を正確に検出できないという問題があ
った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、カラムに定期的にキャリアガスを
流すことによりベースライン電圧信号の値を測定する手
段と、この測定されたベースライン電圧値の平均値を算
出すると共に算出された平均値を記憶する手段と、記憶
された平均値を基準としてサンプルガスの各成分を測定
する手段とを備えたものである。

【０００７】

【作用】キャリアガスのみをカラムに流してベースライ
ン電圧の変動値を記憶すると共に、記憶されたベースラ
イン電圧の変動値を基準としてサンプルガスの各成分を
測定する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図１は本発明に係るガスクロマトグラフの一実施例
を示すブロック図である。同図において、１はガス等の
混合試料であるサンプルガス、２はサンプルガス１の濃
度に応じた温度を検出して電圧信号として出力するＴＣ
Ｄセンサ、３は定電流回路、４，６はアンプ回路、５は
加算回路、７は電圧信号を周波数信号に変換するＶ／Ｆ
コンバータ、８はカウンタ、９はＣＰＵ、１０は設定さ
れた値に応じたデュティ比のパルス信号を発生するＰＷ
Ｍ発生部、１１は低周波の信号を通過させるＬＰＦ部
（ローパスフィルタ）、１２は電圧信号のゲイン切換を
行うゲイン切換部である。

【０００９】カラムから移送されてくるサンプルガス１
の各成分がＴＣＤセンサ２により電圧信号Ｖ₁ として検
出されると、この検出された電圧信号Ｖ₁ はアンプ回路
４により増幅されて加算回路４の一方の端子へ出力され
る。この加算回路５においては、入力した電圧信号Ｖ₁
と他方の端子から入力した後述のベースライン電圧Ｖ_B
をキャンセルするための電圧信号Ｖ₂ とを加算してベー
スライン電圧Ｖ_B を除去し、電圧信号Ｖ₃ としてアンプ
回路６の一方の端子へ送出する。一方、アンプ回路６で
はこの電圧信号Ｖ₃ を他方の端子から入力したゲイン値
に応じて増幅し、増幅した電圧信号Ｖ₄ をＶ／Ｆコンバ
ータ７へ送出する。そして、Ｖ／Ｆコンバータ７は、こ
の電圧信号Ｖ₄ の値に応じた周波数信号を生成してカウ
ンタ８へ送出してカウントさせる。このカウンタ８のカ
ウント値はＣＰＵ１によりを一定周期で読み込まれ、こ
の読み込まれたカウント値が所定値以上であればＣＰＵ
１はキャリアガス１中の所定の成分が検出されたと判断
する。

【００１０】なおこの場合、サンプルガス１の成分によ
ってはその電圧信号のピーク電圧Ｖ_P に高低差が生じ、
これが低い場合はＶ／Ｆコンバータ７で周波数信号に変
換できないことがある。このため、ＣＰＵ１は各成分の
電圧信号のピーク電圧Ｖ_P を測定する直前にゲイン切換
部１２を切換制御して電圧信号を増幅し検出可能な電圧
信号Ｖ₄ としてＶ／Ｆコンバータ７へ与えるようにして
いる。

【００１１】また、ＣＰＵ１は、カラム中に一定周期で
キャリアガスのみを流すことにより発生する電圧信号に
対し、所定の分析用シーケンスでゲイン切換部１２を切
換制御することによって様々なゲイン切り換えを行った
り、またアナライザバルブの切り替えを行い、この間に
検出される電圧信号レベルをベースライン電圧値として
記憶する。そして、このベースラインの変動値を数分析
周期に亙って計測し、その平均値をとって各サンプル時
点でのベースライン変動値として記憶する。

【００１２】図２は、このようなベースライン電圧Ｖ_B
の変動状況を示す図である。即ち、区間（イ）はアナラ
イザ・バルブが開放されてカラムにキャリアガスが流入
したことによるベースライン電圧の変動状況を示し、ま
た、（ロ）、（ハ）はゲイン切換によってベースライン
電圧が変動する状況を示している。

【００１３】このように本発明は、カラム中に定期的に
キャリアガスのみを流入させ、キャリアガスのみが流れ
ているときのこうした分析周期内における一連のベース
ライン変動値を数分析周期に亙って計測すると共に、こ
の計測値の平均値を逐一ＣＰＵ１内のメモリに記憶する
ようにしたものである。この結果、図３に示すように、
ベースライン電圧の平均値を基準としてキャリアガス１
中の各成分〜のピーク電圧Ｖ_P １〜Ｖ_P ３の高さや
面積が測定されるため、ゲイン切り換え等によりベース
ライン電圧が変動してもこれに影響されない正確な測定
を行うことが可能となる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、キャリ
アガスのみをカラムに流してベースライン電圧の平均を
算出すると共に、算出された平均値を基準としてサンプ
ルガスの各成分を測定するようにしたので、ベースライ
ン電圧がゲイン切り換え等によって変動してもサンプル
ガスの各種の成分を正確に測定できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るガスクロマトグラフの一実施例を
示すブロック図である。

【図２】上記ガスクロマトグラフにおけるベースライン
電圧の変動例を示す図である。

【図３】上記ガスクロマトグラフにおいてサンプルガス
の各種成分の測定例を示す図である。

【図４】カラムにおいて検出されるサンプルガスの検出
例を示す図である。

【符号の説明】

１ サンプルガス ２ ＴＣＤセンサ ３ 定電流回路 ４，６ アンプ回路 ５ 加算回路 ７ Ｖ／Ｆコンバータ ８ カウンタ ９ ＣＰＵ １０ ＰＷＭ発生部 １１ ＬＰＦ部 １２ ゲイン切換部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリアガスによりカラム中を各成分毎
   に移送されるサンプルガスを電圧信号として検出すると
   共に、検出された電圧信号から前記キャリアガスの移送
   に基づくベースライン電圧信号を除去して前記サンプル
   ガスの各成分を測定するガスクロマトグラフにおいて、 前記カラムに定期的にキャリアガスを流すことにより前
   記ベースライン電圧信号の値を測定する手段と、この測
   定されたベースライン電圧値の平均値を算出すると共に
   算出された平均値を記憶する手段と、記憶された平均値
   を基準として前記サンプルガスの各成分を測定する手段
   とを備えたことを特徴とするガスクロマトグラフ。