JPH05112615A - アルカリ水溶性熱可塑性樹脂 - Google Patents

アルカリ水溶性熱可塑性樹脂

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JPH05112615A
JPH05112615A JP23548491A JP23548491A JPH05112615A JP H05112615 A JPH05112615 A JP H05112615A JP 23548491 A JP23548491 A JP 23548491A JP 23548491 A JP23548491 A JP 23548491A JP H05112615 A JPH05112615 A JP H05112615A
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JP
Japan
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unit
maleic anhydride
butyl acrylate
isobutylene
mol
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JP23548491A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Nobuto
芳樹 延藤
Toshimitsu Kawame
敏充 河目
Naotake Kono
尚武 港野
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イソブチレン単位及び無水マレイン酸単位を
含有するにもかかわらず、イソブチレン/無水マレイン
酸共重合体の有する欠点、即ち熱分解開始温度が低いと
いう欠点及び熱成型加工性に乏しく硬くて脆いという欠
点を解消し、しかもフィルム特性に優れ、アルカリ性水
溶液に可溶な熱可塑性樹脂を得る。 【構成】 アルカリ水溶性熱可塑性樹脂は、イソブチレ
ン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアクリレー
ト単位からなる三元共重合体であって、イソブチレン単
位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアクリレート単
位の組成モル比が1:0.8〜1.2:0.2〜5.0
であり、分子量は5000〜500000である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ性水溶液に可
溶な熱可塑性樹脂に関する。更に詳しくは、イソブチレ
ン/無水マレイン酸/n−ブチルアクリレート三元共重
合体からなるアルカリ水溶性熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水性接着剤、塗料等の素材として
アルカリ性水溶液に可溶な樹脂が用いられているが、そ
のような樹脂としてはイソブチレン/無水マレイン酸二
元共重合体が広く知られている。
【0003】ところで、イソブチレン/無水マレイン酸
二元共重合体は、非常に高度の溶融粘度を有し、しかも
比較的低い熱分解(脱炭酸)開始温度を有しているため
に実質的に熱可塑性を示さない樹脂である。従って、樹
脂の溶融性を利用する分野、例えば、ホットメルト型粘
着剤や接着剤、プラスチック材料の改質剤等の分野の素
材として使用することはできなかった。しかも、イソブ
チレン/無水マレイン酸二元共重合体は硬く脆いうえ
に、前述したように実質的に熱可塑性を示さず非常に加
工成型性が悪いため、その利用分野が非常に制限されて
いた。
【0004】これらの問題を解決するために、イソブチ
レンと無水マレイン酸とを共重合させる際に第3の共重
合体成分としてモノエチレン性不飽和モノマーを加える
こと、特にイソブチレン/無水マレイン酸共重合体の硬
くて脆い性質を改善するためにはガラス転移点の低いア
クリル酸エステルを加えることが提案されている(特公
昭40−7286号公報、同44−20993号公
報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特公昭40−7286号公報及び同44−20993号
公報にアクリル酸エステルとして具体的に例示されてい
るメチルアクリレート、エチルアクリルレート及び2−
エチルヘキシルアクリレートには以下に述べるような問
題があった。
【0006】即ち、メチルアクリレート及びエチルアク
リレートは、他のモノマーと共重合させた際に生成する
共重合体を柔軟化(内部可塑化)する性質が大きくな
く、従って、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体が
有する硬く脆いという性質を大きく改善するためには、
メチルアクリレート及びエチルアクリレートを大量に共
重合させなければならず、得られた共重合体のアルカリ
性水溶液に対する溶解性が大きく低下するという問題が
あった。
【0007】また、エチルヘキシルアクリレートには、
柔軟化成分としての性能は十分であるが、イソブチレン
及び無水マレイン酸と共重合させる際の反応性が低すぎ
るので、均一な組成の共重合体が得られ難いという問題
があった。
【0008】本発明は、以上のような従来の技術の問題
点を解決しようとするものであり、イソブチレン単位及
び無水マレイン酸単位を含有するにもかかわらず、イソ
ブチレン/無水マレイン酸共重合体の有する欠点、即ち
熱分解開始温度が低いという欠点及び熱成型加工性に乏
しく硬くて脆いという欠点を有さず、柔軟性、引っ張り
強度等のフィルム特性に優れしかもアルカリ性水溶液に
可溶な熱可塑性樹脂を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的
が、モノマーとしてイソブチレン及び無水マレイン酸に
加えてn−ブチルアクリレートを特定モル比の範囲で共
重合させることにより達成できることを見出し本発明を
完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、イソブチレン単位、無水
マレイン酸単位及びn−ブチルアクリレート単位からな
り、イソブチレン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブ
チルアクリレート単位の組成モル比が1:0.8〜1.
2:0.2〜5.0であることを特徴とするアルカリ水
溶性熱可塑性樹脂を提供する。
【0011】このように本発明は、イソブチレンと無水
マレイン酸とを共重合させる際に、それらを柔軟化させ
るとともに熱分解温度を上昇させる性質が高く、しかも
共重合反応性の比較的高いn−ブチルアクリレートを特
定モル比で共重合させることを特徴とする。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0012】本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂は、
前述したように、イソブチレン単位、無水マレイン酸単
位及びn−ブチルアクリレート単位からなる三元共重合
体であって、樹脂中のそれらの構造単位のモル比が特定
の範囲にあることを特徴とする。即ち、n−ブチルアク
リレート単位のモル比が小さすぎる場合には、熱分解開
始温度が十分に上昇せず、しかも熱可塑性及びフィルム
特性、特に柔軟性の改善が不十分となる。逆に、n−ブ
チルアクリレート単位のモル比が大きすぎる場合には、
共重合体中の無水マレイン酸単位が相対的に大きく減少
する傾向にあるので、アルカリ性水溶液に対する溶解性
が大きく低下する。従って、本発明のアルカリ水溶性熱
可塑性樹脂、即ち、イソブチレン/無水マレイン酸/n
−ブチルアクリレート三元共重合体におけるイソブチレ
ン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアクリレー
ト単位の組成モルは、1:0.8〜1.2:0.2〜
5.0、好ましくは1:0.9〜1.1:0.4〜3.
0とする。
【0013】また、本発明の熱可塑性アルカリ水溶性樹
脂の分子量は、熱成型加工性、フィルム特性等の点か
ら、好ましくは5000〜500000,より好ましく
は10000〜300000の範囲である。
【0014】なお、本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹
脂には無水マレイン酸単位が含有されているので、その
酸無水物結合部分をアンモニア水や水酸化ナトリウム水
溶液等のアルカリで加水分解すればアルカリ性水溶液に
可溶となる。また、その酸無水物結合部分の反応性を利
用して、他の化合物を反応させることにより変性するこ
とができる。例えば、アルコールでエステル化、アミン
でアミド化、多官能性化合物で架橋を形成することによ
り更に変性することができる。
【0015】本発明の熱可塑性アルカリ水溶性樹脂は、
原料モノマーとしてイソブチレン、無水マレイン酸及び
n−ブチルアクリレーを用いて常法により製造すること
ができる。例えば、これら原料のモノマーを反応容器に
仕込み、ラジカル重合開始剤とともに溶液重合法や沈殿
重合法により共重合させることにより製造できる。
【0016】ラジカル重合開始剤としては、従来から使
用されているものの中から適宜選択して使用することが
できる。例えば、ジ(ドデカノイル)パーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、キュメンヒドロパーオキサ
イド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化
物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−
2,2´−アゾビスイソブチレート、α,α´−アゾ−
α−エチルブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用する
ことができる。ラジカル重合開始剤の使用量は、一般的
にはモノマー100重量部に対して約0.05〜5.0
重量部の範囲である。
【0017】また、重合反応の際に使用する溶媒として
は、ラジカル重合を阻害しない種々の溶媒を使用するこ
とができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭
化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、
酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類、
ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロ
フラン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等
の塩素化炭化水素類等を使用することができる。これら
の溶媒は単独で或いは混合して使用してもよい。
【0018】重合温度は、使用する溶媒やラジカル重合
開始剤等により異なるが、一般には0〜200℃、好ま
しくは30〜150℃の範囲である。重合時間も、使用
する溶媒やラジカル重合開始剤、重合温度等により異な
るが、一般には1〜50時間、好ましくは2〜20時間
の範囲である。また、重合は一般には大気圧下もしくは
それ以上の圧力下で行うことができる。
【0019】重合を完了した反応液からのアルカリ水溶
性熱可塑性樹脂の分離回収は、常法により行うことがで
きる。例えば、沈殿重合法を採用した場合は沈殿ポリマ
ーを濾過脱液後に乾燥することにより回収できる。ま
た、溶液重合法を採用した場合には、溶媒を追いだした
後に乾燥することにより回収できる。
【0020】なお、本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹
脂の原料のイソブチレンモノマー、無水マレイン酸モノ
マー及びn−ブチルアクリレートモノマーは互いに反応
性が若干異なるので、それらの仕込み量のモル比がその
まま共重合体の構造単位のモル比となる訳ではないが、
これら3種の原料モノマーの仕込み量のモル比は、一般
には本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂の組成モル比
と同じ比率で、即ちイソブチレンモノマー、無水マレイ
ン酸モノマー酸及びn−ブチルアクリレートモノマーの
モル比が1:0.8〜1.2:0.2〜5.0となる比
率で仕込むことが好ましい。このように、原料モノマー
の組成比を特定範囲で変化させることができるので、軟
化点、溶融粘度、耐熱分解性、フィルム特性、アルカリ
水への溶解性等の諸性質の程度の異なる樹脂が得られ
る。
【0021】また、原料モノマーを仕込む場合には、原
料モノマーの重合反応性の相違を考慮して仕込むことに
より均一な組成の共重合体を得ることができる。例え
ば、反応性の低いn−ブチルアクリレートは、重合反応
の初期段階でその反応系中の濃度が高くなるように仕込
み、一方、無水マレイン酸は重合反応中、反応系中で一
定の濃度になるように仕込むことが好ましい
【0022】
【作用】本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂において
は、原料のイソブチレンと無水マレイン酸とを共重合さ
せる際に、それらを柔軟化させるとともに熱分解温度を
上昇させる性質が高く、しかも共重合反応性の比較的高
いn−ブチルアクリレートを特定モル比で共重合させて
いるので、樹脂の熱分解温度を上昇させることが可能と
なる。しかも、その熱成型加工性をも改善させることが
可能となる。
【0023】また、本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹
脂においては、構造単位として無水マレイン酸単位を含
有するので、その構造単位をアルカリ加水分解すればア
ルカリ水溶性とすることが可能となる。更に、その酸無
水物結合部分の反応性を利用して種々の変性を行うこと
が可能となる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0025】実施例1 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
238.8g、無水マレイン酸3.9g(0.04モ
ル)及びn−ブチルアクリレート64.1g(0.5モ
ル)を仕込み、30分間攪拌することにより混合し溶液
とした。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒素置換
し、ついでイソブテン26.9g(0.48モル)を仕
込み70℃に昇温した。
【0026】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル1.97g(0.012モル)、無
水マレイン酸35.3g(0.36モル)、n−ブチル
アクリレート38.5g(0.3モル)及びアセトン5
9.7gの混合溶液を5時間かけて連続的に仕込み、更
に3時間、70℃で重合反応を行った。
【0027】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、80℃で真空乾燥し、1
62.1gの本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂を得
た。この樹脂中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単
位及びn−ブチルアクリレート単位の組成モル比は、H
−NMRの測定結果によれば、1:1.0:1.9で
あった。
【0028】以下に、この実施例で得られた樹脂の諸物
性を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=31300 重量平均分子量=87700 2 酸価: 281mgKOH/g 3 ガラス転移点(DSC測定):14℃ 4 熱分解開始温度(TGA測定、N雰囲気):24
6℃ 5 赤外吸収スペクトル: 1390cm−1 (イソブチレン単位由来) 1370cm−1 (イソブチレン単位由来) 1850cm−1 (無水マレイン酸単位由来) 1770cm−1 (無水マレイン酸単位由来) 1730cm−1 (n−ブチルアクリレート単位由
来) 次に得られた樹脂を、150℃でヒートプレス成型する
ことにより0.5mm厚のシートを作成し、インストロ
ン(商品名、インストロンジャパン製)を用いて引っ張
り速度50mm/minという条件で引っ張り試験を行
った。その結果は以下に示すものであった。
【0029】引っ張り試験: 破断強度 42kg/cm 破断伸度 84% また、得られた樹脂10gを、水酸化ナトリウム水溶液
68.7g(NaOH1.8g含有)中で90℃に加熱
し4時間攪拌したところ、pH10.6、粘度164c
ps(30℃)の透明な水溶液となった。
【0030】このように、この実施例のアルカリ水溶性
熱可塑性樹脂は、熱成型加工性に優れ、得られたフィル
ムの特性も優れたものであった。しかも、アルカリ性水
溶液に対して優れた溶解性を示した。
【0031】実施例2 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
127.9g、無水マレイン酸14.7g(0.15モ
ル)及びn−ブチルアクリレート17.9g(0.14
モル)を仕込み、30分間攪拌することにより混合し溶
液とした。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒素置
換し、ついでイソブテン30.9g(0.55モル)を
仕込み70℃に昇温した。
【0032】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル1.15g(0.007モル)、無
水マレイン酸34.3g(0.35モル)、n−ブチル
アクリレート7.7g(0.06モル)及びアセトン6
0.0gの混合溶液を5時間かけて連続的に仕込み、更
に3時間、70℃で重合反応を行った。
【0033】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、80℃で真空乾燥し、9
8.7gの本発明のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂を得
た。この樹脂中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単
位及びn−ブチルアクリレート単位の組成モル比は、H
−NMRの測定結果によれば、1:1.0:0.39
であった。
【0034】以下にこの実施例で得られた樹脂の諸物性
を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=36100 重量平均分子量=96300 2 酸価: 549mgKOH/g 3 ガラス転移点(DSC測定): 71℃ 4 熱分解開始温度(TGA測定、N雰囲気): 2
39℃ 5 赤外吸収スペクトル: 実施例1と同様に、各構造単位の存在が確認できた。
【0035】次に得られた樹脂を、150℃でヒートプ
レス成型することにより0.5mm厚のシートを作成
し、インストロン(商品名、インストンジャパン製)を
用いて引っ張り速度50mm/minという条件で引っ
張り試験を行った。その結果は以下に示すものであっ
た。
【0036】引っ張り試験: 破断強度 76kg/cm 破断伸度 12% また、得られた樹脂10gを、水酸化ナトリウム水溶液
80g(NaOH3.5g含有)中で90℃に加熱し4
時間攪拌したところ、pH9.8、粘度280cps
(30℃)の透明な水溶液となった。
【0037】このように、この実施例のアルカリ水溶性
熱可塑性樹脂は、熱成型加工性に優れ、得られたフィル
ムの特性も優れたものであった。しかも、アルカリ性水
溶液に対して優れた溶解性を示した。
【0038】比較例1 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
131.7g、無水マレイン酸17.7g(0.18モ
ル)及びn−ブチルアクリレート5.4g(0.042
モル)を仕込み、30分間攪拌することにより混合し溶
液とした。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒素置
換し、ついでイソブテン37.0g(0.66モル)を
仕込み70℃に昇温した。
【0039】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル1.08g(0.0066モル)、
無水マレイン酸41.2g(0.42モル)、n−ブチ
ルアクリレート2.3g(0.018モル)及びアセト
ン50.0gの混合溶液を5時間かけて連続的に仕込
み、更に3時間、70℃で重合反応を行った。
【0040】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、80℃で真空乾燥し、9
7.8gの三元共重合体を得た。この重合体中のイソブ
チレン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアクリ
レート単位の組成モル比は、H−NMRの測定結果に
よれば、1:1.0:0.10であった。
【0041】以下にこの実施例で得られた三元共重合体
の諸物性を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=27300 重量平均分子量=79700 2 酸価: 670mgKOH/g 3 ガラス転移点(DSC測定): 126℃ 4 熱分解開始温度(TGA測定、N雰囲気): 1
54℃ 次に得られた三元共重合体を、実施例1と同様に、15
0℃でヒートプレス成型することを試みたが、150℃
という温度はこの重合体の熱分解温度に近く、また、ガ
ラス転移温度と大きく相違しないので十分な溶融状態と
ならず、目的とするシートを成形できなかった。また、
共重合反応終了後のアセトン溶液を流延乾燥してフィル
ムを製造したところ、得られたフィルムは硬く且つ極め
て脆いものであった。
【0042】比較例2 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
238.4g、無水マレイン酸3.9g(0.04モ
ル)及びn−ブチルアクリレート89.7g(0.7モ
ル)を仕込み、30分間攪拌することにより混合し溶液
とした。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒素置換
し、ついでイソブテン13.5g(0.24モル)を仕
込み75℃に昇温した。
【0043】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル2.30g(0.014モル)、無
水マレイン酸15.7g(0.16モル)、n−ブチル
アクリレート89.7g(0.7モル)及びアセトン1
00.0gの混合溶液を6時間かけて連続的に仕込み、
更に3時間、75℃で重合反応を行った。
【0044】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、80℃で真空乾燥し、常
温で粘着性の柔軟な三元共重合体を198.2g得た。
この重合体中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単位
及びn−ブチルアクリレート単位の組成モル比は、H
−NMRの測定結果によれば、1:1.1:6.9であ
った。
【0045】以下にこの実施例で得られた三元共重合体
の諸物性を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=19800 重量平均分子量=62600 2 酸価: 118mgKOH/g 3 ガラス転移点(DSC測定): −28℃ 4 熱分解開始温度(TGA測定、N雰囲気): 2
48℃ 次に、得られた三元共重合体は、常温で粘着性で柔軟な
重合体であったので、目的とするシートを成形できなか
った。また、この重合体10gを、水酸化ナトリウム水
溶液61.77g(NaOH0.77g含有)中で90
℃に加熱し4時間攪拌したが、不溶分が多く透明な水溶
液とはならなかった。
【0046】比較例3 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
140.0g、無水マレイン酸3.9g(0.04モ
ル)及びエチルアクリレート70.1g(0.7モル)
を仕込み、30分間攪拌することにより混合し溶液とし
た。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒素置換し、
ついでイソブテン13.5g(0.24モル)を仕込み
75℃に昇温した。
【0047】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル1.97g(0.012モル)、無
水マレイン酸15.7g(0.16モル)、エチルアク
リレート70.1g(0.7モル)及びアセトン90.
0gの混合溶液を6時間かけて連続的に仕込み、更に3
時間、75℃で重合反応を行った。
【0048】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、80℃で真空乾燥し、1
64.8gの三元共重合体を得た。この重合体中のイソ
ブチレン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアク
リレート単位の組成モル比は、H−NMRの測定結果
によれば、1:1.0:6.9であった。
【0049】以下にこの実施例で得られた三元共重合体
の諸物性を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=20700 重量平均分子量=68400 2 酸価: 144mgKOH/g 3 ガラス転移点(DSC測定): 6℃ 4 熱分解開始温度(TGA測定、N雰囲気): 2
11℃ 5 赤外吸収スペクトル: 実施例1と同様に、各構造単位の存在が確認できた。
【0050】次に得られた三元共重合体を、150℃で
ヒートプレス成型することにより0.5mm厚のシート
を作成し、インストロン(商品名、インストロンジャパ
ン製)を用いて引っ張り速度50mm/minという条
件で引っ張り試験を行った。その結果は以下に示すもの
であった。
【0051】引っ張り試験: 破断強度 38kg/cm 破断伸度 92% また、得られた三元共重合体10gを、水酸化ナトリウ
ム水溶液63.22g(NaOH0.92g含有)中で
90℃に加熱し4時間攪拌したが、不溶分が多く透明な
水溶液とはならなかった。
【0052】このように、この実施例の三元共重合体
は、熱成型加工性、及び得られたフィルムの特性も満足
できるものであったが、アルカリ性水溶液に対して十分
な溶解性を示さなかった。
【0053】比較例4 攪拌機を備えた1リットルのオートクレーブにアセトン
294.0g、無水マレイン酸9.8g(0.1モル)
及び2−エチルヘキシルアクリレート82.9g(0.
45モル)を仕込み、30分間攪拌することにより混合
し溶液とした。その後、オートクレーブ中の雰囲気を窒
素置換し、ついでイソブテン33.7g(0.6モル)
を仕込み70℃に昇温した。
【0054】続いて、別途調製した2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル1.97g(0.012モル)、無
水マレイン酸39.2g(0.4モル)、2−エチルヘ
キシルアクリレート55.3g(0.3モル)及びアセ
トン100.0gの混合溶液を5時間かけて連続的に仕
込み、更に3時間、70℃で重合反応を行った。
【0055】重合終了後、オートクレーブ中の反応液を
取り出し、一晩風乾させた後、100℃で真空乾燥し、
187.7gの三元共重合体を得たが、理論量である2
15.3gより大幅に少ないものであった。この理由
は、未反応の無水マレイン酸の量が極めて少ないことか
ら、反応性の低い2−エチルヘキシルアクリレートが未
反応であったためと考えられる。なお、この重合体中の
イソブチレン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチル
アクリレート単位の組成モル比は、H−NMRの測定
結果によれば、1:1.0:0.61であった。
【0056】以下にこの実施例で得られた三元共重合体
の諸物性を示す。 1 平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算): 数平均分子量=16300 重量平均分子量=42100 2 酸価: 296mgKOH/g 3 赤外吸収スペクトル: 各構造単位の存在が確認できた。
【0057】また、得られた三元共重合体10gを、水
酸化ナトリウム水溶液69.3g(NaOH1.9g含
有)中で90℃に加熱し4時間攪拌したが、重合体の酸
価は高いにもかかわらず、不溶分が多く透明な水溶液と
はならなかった。このことは、得られた重合体の組成が
不均一であることを示している。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、イソブチレン単位及び
無水マレイン酸単位を含有するにもかかわらず、イソブ
チレン/無水マレイン酸共重合体の有する欠点、即ち熱
分解開始温度が低いという欠点及び熱成型加工性に乏し
く硬くて脆いという欠点を有さず、柔軟性、引っ張り強
度等のフィルム特性に優れ、しかもアルカリ性水溶液に
可溶な熱可塑性樹脂が得られた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 アルカリ水溶性熱可塑性樹脂
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソブチレン単位、無水マレイン酸単位
    及びn−ブチルアクリレート単位からなり、イソブチレ
    ン単位、無水マレイン酸単位及びn−ブチルアクリレー
    ト単位の組成モル比が1:0.8〜1.2:0.2〜
    5.0であることを特徴とするアルカリ水溶性熱可塑性
    樹脂。
  2. 【請求項2】 分子量が5000〜500000である
    請求項1記載のアルカリ水溶性熱可塑性樹脂。
JP23548491A 1991-08-22 1991-08-22 アルカリ水溶性熱可塑性樹脂 Pending JPH05112615A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010526929A (ja) * 2007-05-16 2010-08-05 エルジー・ケム・リミテッド アルケン、アクリレート、および不飽和酸無水物を含む共重合体、およびその製造方法

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