JPH05108796A - コンクリート構造物劣化検査方法 - Google Patents

コンクリート構造物劣化検査方法

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JPH05108796A
JPH05108796A JP3264955A JP26495591A JPH05108796A JP H05108796 A JPH05108796 A JP H05108796A JP 3264955 A JP3264955 A JP 3264955A JP 26495591 A JP26495591 A JP 26495591A JP H05108796 A JPH05108796 A JP H05108796A
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Teruyuki Yoshida
照之 吉田
Takeshi Yamamura
武 山村
Naoyuki Nishi
直之 西
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Central Japan Railway Co
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PONII GENSHI KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄道コンクリート構造物の劣化部を赤外線セ
ンサの出力画像から検出する。 【構成】 レンズ3と、スキャナ5と、モニターテレビ
7と、ビデオテープレコーダ9と、ディスコン11と、
データ変換13と、フロッピィディスクドライブ15
と、コンピュータ本体17と、プリンタ19と、キーボ
ード21と、モニターテレビ23と、キャラクターディ
スプレイ25とを備え、壁面の熱画像を検出する。つい
で、この熱画像における健全部分に対して、壁面温度が
上昇、または低下した部分を先ず求め、この部分から劣
化部分を抽出する。この劣化部分の抽出に際して、四季
に亘る計測データを参照する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄道コンクリート橋等の
コンクリート構造物の劣化を検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンクリート構造物の劣化の検査
は、赤外線センサによって、コンクリート構造物を撮影
して、このコンクリート構造物の表面温度の分布をディ
スプレイに色調表示し、専門技術経験者が現場照合に
て、現地模写記入する方法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
コンクリート構造物劣化検査方法は、長年の経験を有す
る専門技術経験者の作業に依存しているため、広範囲の
検査を短時間に行うことができない問題があった。
【0004】本発明は、赤外線センサの出力からコンピ
ュータによるデータ処理によって、コンクリート構造物
の劣化部分を抽出し、画像表示することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題を解決する
ための手段として、本発明のコンクリート構造物の劣化
検査方法は、図1に例示するように、鉄道コンクリート
橋梁等のコンクリート構造物の表面温度分布を赤外線セ
ンサによって検出し、該コンクリート構造物の諸元及び
状況に基づいて、該コンクリート構造物の健全状態の温
度分布をシミュレーションし、該シミュレーション結果
に基づいて、上記検出したコンクリート構造物の表面温
度分布から健全状態と相違する特異温度分布を算出し、
上記コンクリート構造物に類似したコンクリート構造物
の四季に亘る温度分布測定データに基づいて、上記特異
温度分布からコンクリート構造物の劣化部分を抽出し、
該劣化部分を該コンクリート構造物の画像に対応させて
表示することを要旨とする。
【0006】
【作用】本発明のコンクリート構造物の劣化検査方法
は、先ず、赤外線センサによって撮影されたコンクリー
ト構造物の温度分布とシミュレーション結果とから健全
状態以外の温度分布である特異温度分布が算出される。
ついで、検査対象と類似するコンクリート構造物の四季
に亘る温度分布測定データに基づいて、特異温度分布か
ら劣化部分が抽出され、この劣化部分がコンクリート構
造物の画像に対応づけられて表示される。
【0007】つまり、赤外線センサの出力から劣化部分
の画像出力が得られる。
【0008】
【実施例】次に本発明のコンクリート構造物の劣化検査
方法によって鉄道コンクリート構造物の劣化を検出する
一実施例を説明する。図2は実施例のコンクリート構造
物劣化検査装置1の構成を示すブロック図である。
【0009】コンクリート構造物劣化検査装置1は、レ
ンズ3と、スキャナ5と、モニターテレビ7と、ビデオ
テープレコーダ9と、ディスコン11と、データ変換1
3と、フロッピィディスクドライブ15と、コンピュー
タ本体17と、プリンタ19と、キーボード21と、モ
ニターテレビ23と、キャラクターディスプレイ25と
を備えている。
【0010】レンズ3は、赤外線を透過するゲルマニウ
ムレンズで構成され、検査対象及び現場の条件により適
宜選択される。スキャナ5は、被写体の各点からの熱情
報を高速回転系を通して赤外線検知器へ送り込み熱画像
を形成するための電気信号を発生する。レンズ3とスキ
ャナ5とは、赤外線センサ6を構成する。
【0011】モニターテレビ7は、スキャナ5により出
力された電気信号を各画素毎に濃度情報に変換し、熱画
像として出力する。ビデオテープレコーダ9は、モニタ
ーテレビ7より出力された熱画像を記録する。ディスコ
ン11は、モニターテレビ7からのシグナルレベルを
0.7VP-P から1VP-P に変換する。
【0012】データ変換13は、ビデオテープレコーダ
9に記録した熱画像をフロッピィディスクにデータ変換
する。フロッピィディスクドライブ15はフロッピィデ
ィスクから熱画像を読み出す。コンピュータ本体17は
フロッピィディスクから入力した熱画像の画像処理を行
う。プリンタ19はモニターテレビ23に表示されてい
る映像を出力する。キーボード21は画像処理の制御を
行う。モニターテレビ23は映像を再生し、若しくは画
像処理中の映像を表示する。キャラクターディスプレイ
25はキーボード21によるコンピュータ本体17との
対話情報を表示する。
【0013】図3はコンクリート構造物劣化検査作業工
程のフローチャートである。この、コンクリート構造物
劣化検査作業工程のフローチャートに基づいて、全体の
作業の概略を説明する。コンクリート構造物劣化検査作
業工程では、先ず予備調査を行う(ステップ10、以後
ステップを単にSと記す)。予備調査は、検査対象の構
造形式、撮影地点環境、使用状況などを調査する。次い
で、撮影準備を行う(S20)。撮影準備では、予備調
査の結果に基づいて、実施事項、調査日程を決定し、撮
影対象の構造の画像データ、及び撮影対象に類似するコ
ンクリート構造物の四季に亘って計測した温度測定デー
タを用意して、機器の搬入、セッティング、調整を行な
う。
【0014】次に、撮影記録を行う(S30)。撮影記
録では、赤外線センサ6を所定の撮影規格に基づいて調
整し、撮映された熱画像をフロッピィディスクに記憶す
る処理を行う。撮影記録後、コンピュータ画像処理を行
う(S40)。コンピュータ画像処理では、フロッピィ
ディスクから熱画像を読み出し、コンピュータ本体17
によって、熱画像の歪、濃度などの補正を行う。
【0015】コンピュータの画像処理後、コンピュータ
解析を行う(S50)。コンピュータ解析では、画像処
理後の熱画像情報と健全部のシミュレーション結果とに
基づいて、劣化部を抽出する。劣化部の抽出後、劣化画
像の出力を行う(S60)。
【0016】次に、コンクリート構造物劣化検査の詳細
を説明する。図4は撮影記録のフローチャート、図5は
撮影距離の説明図、図6は撮影仰角の説明図、図7は水
平角度の説明図、図8は分割撮影方法の説明図である。
撮影記録では、図5〜図8に示す撮影規格によって撮影
対象物27を赤外線センサ6で撮影する。ここでは、次
に示す撮影規格で撮影する。
【0017】1.撮影距離 撮影対象物27と赤外線センサ6との距離は、装着レン
ズ3の焦点距離によって変化するが、撮影対象物27の
面積が6平方メートル以内になる位置関係にする。又、
撮影対象物27の全面を2〜4の撮影画面となるように
する。なお、全体のものと、分割のものとを2種類撮影
する。
【0018】2.撮影仰角及び水平角度 高い撮影対象物27や平面の大きい撮影対象物27を撮
影する場合には、仰角及び水平角度が最大で45度以内
となるようにする。 3.分割撮影方法 上述した撮影規格1、2を満たした上で、レンズ3の焦
点を合わせ、各調整を行う。次いで、モニターテレビ7
の画面を見ながら、赤外線センサ6を最上部までゆっく
り上げていき、画像上で所定の温度範囲以外であること
を示す色彩部分(モノクロームの場合は濃度部分)があ
るかを確認する。所定の温度範囲外の部分がある場合
は、赤外線センサ6のコントローラを再調整して、全面
が所定の温度範囲内になるようにする。以後、図8に示
すように、の画面範囲から順に画像を重複撮影する。
なお、昼間の撮影時には、赤外線センサ6のピクチャー
モードをインバートに設定し、夜間の場合にはノーマル
に設定する。又、コンクリート内の空隙部分及び外装の
剥離部分と推定される高温部(昼間)、低温部(夜間)
を同一色彩(濃度)の熱分布(黒部分が空隙・剥離部)
とする。
【0019】上記撮影規格1〜3を満たす撮影条件が準
備された状態で、撮影を開始する(S100)。この撮
影にともなって、写真記録を行う場合には(S11
0)、赤外線センサ6による撮影範囲を、インスタント
カメラによって写真撮影する(S120)。次いで、ビ
デオテープレコーダ9のデジタルテープにモニターテレ
ビ7上の熱画像を記録し(S130)、所定の撮影条件
を記録する(S140)。これらS100〜S140の
作業の終了後、次の撮影範囲の撮影を行う。これらによ
り、撮影対象物27の熱画像、つまり温度分布のデータ
がビデオテープレコーダ9によって記録される。この温
度分布のデータは、ディスコン11、データ変換13に
よって、フロッピィディスクに格納される。
【0020】次に、フロッピィディスクに格納されてい
る温度分布のデータから劣化部を抽出しプリントアウト
するまでの処理を説明する。図9はコンピュータ画像処
理・解析処理のフローチャートである。コンピュータ画
像処理・解析では、先ず、赤外線センサ熱画像入力を行
なう(S200)。ここでは、フロッピィディスクの内
容をフロッピィディスクドライブ15から読み込んで、
コンピュータ本体17のビデオメモリに入力し、モニタ
ーテレビ23に表示する処理を行う。次いで、画像処理
を行う(S210)。画像処理では、パッチワーク処理
と、幾何学的補正と、歪補正と、濃度補正と、画像強調
とを行う。
【0021】パッチワーク処理は、分割して読み込んだ
撮影対象物27の熱画像のデータを、図10に示すよう
にモニターテレビ23の表示画面上で1画面ずつ接合し
て、図11に示すような、調査撮影対象面像29を作成
するものである。幾何学的補正は、撮影対象物27の撮
影が図5〜図7に示すように、広い撮影範囲を有して行
われた為に実行されるものであって、大気による赤外線
の減衰によって、赤外線強度が変化することなどから撮
影距離が変更されて、撮影の画角が変化するためと、図
6や図7に示すように斜め方向から撮影した画像をパッ
チワーク処理後、別に入力した立面図などと重畳処理す
ることを予め可能にするために行われるものである。こ
の処理では、拡大、縮小などが行われる。
【0022】歪補正は、機器のノイズ及びレンズ光学的
歪を補正するものである。濃度補正は、大気の減衰・熱
反射やパッチワーク後の濃度変化などを補正するもので
ある。画像強調は、画像コントラストの強調を行うもの
である。
【0023】次いで、目視によるノイズ除去を行う(S
220)。ノイズ除去は、鉄道コンクリート構造物特有
のノイズ、たとえばコンクリート構造物の上部に線路や
バラストなどが載せられていることや、構造上の特徴等
から発生する特有のノイズ、例えば空隙や亀裂等と誤認
されるようなノイズを除去するものであって、鉄道コン
クリート構造物の各形式や形状毎に測定した四季に亘る
温度分布測定データ等を参照し、実際のコンクリート構
造物の状況に則って、モニターテレビ23の画面上で熱
画像からノイズを除去するものである。
【0024】上述した画像処理に並行して、各種パラメ
ータ入力が行われる(S300)。パラメータの入力で
は、画像データのファイル名と、外気温度と、撮影距離
と、撮影対象構造材の厚さと、コンクリート材の熱伝導
率、比熱、熱拡散率、及び赤外線放射率と、境界面熱伝
達率と、撮影仰角とを入力する。なお、この中で鉄道コ
ンクリート構造物の諸元に関するデータは、構造物の形
式毎に登録しておき、一括入力する。
【0025】パラメータの入力後、健全時の表面温度分
布シミュレーションを行なう(S310)。健全時の表
面温度分布シミュレーションは、次に例示する方法によ
って予め作成した演算プログラムによって行う。コンク
リート壁面の表面温度は、内的条件と、外的条件とによ
って、決定される。
【0026】内的条件とは、構造物側の条件であり、外
的条件とは、赤外線センサ6による撮影時間帯、季節、
天候などの気象環境を指す。表面温度は、既知の壁面を
対象とした統計的な調査と、非定常熱解析(有限要素
法)による熱解析により求められる。
【0027】壁面の表面温度分布は、壁面自体の構造や
周囲の環境によって大きく異なる。一方、物体の表面温
度分布を精密に測定することは極めて困難である。幸い
熱の挙動については精度の高い熱計算が可能であるの
で、以上のことから有限要素法を用いた熱伝導解析を行
なうことができる。
【0028】熱解析参考例 ・構成は、図12に示す内的条件を有するコンクリート
壁面とする。 外的条件は、 (1)コンクリート壁の両側の気温 (2)コンクリート壁面の地表または床からの高さ、風
速、表面の凸凹、傾斜 (3)太陽光による熱の発生 とする。
【0029】・コンクリート壁の熱伝導解析 有限要素法基礎方程式は、下記(1)式の通りである。
【0030】
【数1】
【0031】熱伝導モデル 壁面内:熱伝導 壁面と対流空気間:対流熱伝達Q Q=a(TaーT0) a:熱伝達率 Ta:コンクリート表面温度 ここでaは、(2)式が成り立つ。
【0032】U:風速 L:床面または地表からの高さ (数値計算) シミュレーションの設定 *方程式 (3)式の通り。
【0033】
【数2】
【0034】コンクリート垂直壁面の熱伝達率のaの実
験式は、(4)式を利用した。L=5m、U=4m/s
ecの場合は、aは、(5)式となり、L=1<U=0
の場合は、aは、(6)式となる。 *太陽による熱の発生は、(7)式の通りである。
【0035】*物理定数は、表1の通りである。
【0036】
【表1】
【0037】*演算条件 コンクリート壁面内側の温度 10〜30℃変化 コンクリート壁面外側の温度 10〜35℃変化 内部温度T(t)=Acos(Bt)+C 外部温度T(t)=Acos(Bt)+C 熱伝達率(外部)は、(8)式の通りであり、熱伝達率
(内部)は、(9)式の通りである。
【0038】コンクリート劣化部(空隙部)の大きさは
5mm以上とする。図13、図14に解析結果のグラフ
を示す。図13、図14に示すように、昼間(12時)
のコンクリート外面温度は健全部分で27.1℃であ
る。なお、これは理論値であり実際には、上記条件時で
+0.6℃となり、コンクリート健全部分の表面温度は
27.7℃となる。
【0039】したがって、この解析結果から12時に調
査撮影した赤外線センサ6の熱画像上の27.8℃以上
の部位がコンクリート劣化部(空隙部)と判断される。
また、コンクリート劣化部(空隙部)深さの解析は上記
表面温度(27.8℃)を基準にコンクリートの熱抵抗
を計算することにより算出できる。つまり健全部とコン
クリート劣化部との温度差2.7℃を生ずるためにはコ
ンクリートの厚さ(熱抵抗値)がどの程度の厚さとなる
かを解析する。(空隙の厚さによる温度変化の影響も無
視できないことから、その算定値は誤差を多少生ず
る。)以上に例示した方法に基づいて作成した鉄道コン
クリート構造物の形式別の演算プログラムによって、健
全時の表面温度分布のシミュレーションを行なう。
【0040】上記画像処理(S210)と、シミュレー
ション(S310)との両方の終了後、画像解析を行う
(S400)。画像解析では、熱画像差分処理と、領域
分割処理と、特徴抽出処理と、3値化処理とを行なう。
熱画像差分処理は、画像処理によってパッチワークや補
正を行った熱画像から基準温度である健全部分のシミュ
レーション値を差し引く処理を行うものである。これに
より、熱画像から特異温度分布画像(熱画像の温度値か
ら健全状態の温度値を引いた画像)を得ることができ
る。
【0041】領域分割処理は、特異温度分布画像から高
温部と低温部とを分割する処理である。これにより、基
準温度に対して高温部分の高温側画像と、低温側画像と
が得られる。特徴抽出処理は、高温側画像と、低温側画
像とに基づいて、劣化部分を抽出する処理であって、次
に示す方法で劣化部分を抽出する。
【0042】コンクリート構造物は、内部に空隙がある
場合には、図14に示す熱還流図のように、表面温度が
健全時に対して変化する。例えば、12時であれば2.
7℃上昇し、24時であればα℃低下する。つまり、健
全部と劣化部とは、例えば図13に示すように、外気温
度の変化に応じて、表面温度に偏差が生じる。
【0043】これらに示すように、昼間は、劣化部分が
健全部より高温になり、夜間は、劣化部分が健全部より
低温になる。したがって、昼間に撮影した場合には、高
温側画像が、また夜間に撮影した場合には、低温側画像
がそのまま大まかな劣化分布の画像となる。
【0044】壁面に汚れがある場合には、図15に示す
ように、汚れによって表面温度が上昇するので、上記高
温側画像及び低温側画像を補正する必要がある。つま
り、図15に示すように、内部に空隙がある剥離部は、
健全部に対して、昼間は表面温度が上昇し、夜間は低下
するが、汚れ部は、夜間になっても健全部より表面温度
が高い状態で観測される。したがって、壁面に汚れが場
合には、この部分を目視によって確認し、補正を行う
か、あるいは、夜間表面温度を検出し、汚れ部分が除か
れるようにすることで、劣化部分の検出補正が行われ
る。
【0045】又、鉄道橋梁の様なコンクリート構造物
は、建築物の外壁やダムなどの垂直壁面と相違して、撮
影対象壁面が昼夜で5℃〜10℃以上の温度較差を生じ
ず、健全部と劣化部との表面の温度差が1.0℃以上と
なることもない。つまり、例えば鉄道橋梁の床版下面な
どは太陽光が直射しないことから、劣化部と健全部との
表面の温度差は、0.1℃〜0.5℃程度と小さなもの
である。したがって、上述した高温側画像または低温側
画像から劣化部を抽出する場合には、四季に亘る温度分
布測定データに基づき、現在の環境や気温に応じてこの
温度差を推定して、劣化部分を抽出する。たとえば、劣
化部分の温度差が0.1℃を越えることが確実な場合に
は、しきい値を0.1℃に設定し、これ以上の温度差が
ある部分を全て劣化部分として抽出する。
【0046】3値化処理では、劣化部分と健全部分と不
明部分との3値化画像を生成する。画像解析後、劣化部
抽出画像出力を行う(S410)。劣化部抽出画像出力
では、3値化処理によって生成された3値化画像と、撮
影対象物27の画像とを合成して、例えば図16に示す
ような画像をモニターテレビ23に表示する。
【0047】撮影対象物27の画像は、鉄道コンクリー
ト構造物の形式毎に予め格納しておき、これを読み出し
て用いる。又、表示に際しては、3値化画像に基づい
て、剥離度と、剥離位置(平面上の位置と、深さ)と、
を算出し、図16にあるように、劣化の生じている位置
に剥離度(A)に応じた4角を表示するとともに、剥離
面積(B)と、剥離位置(u,a)とを表示する。
【0048】又、劣化か否かが不明なものは、3値化画
像におけるその部分の画像をそのまま表示する。モニタ
ーテレビ23への画像出力後、プリンタ19にその画像
を出力して、印刷する(S420)。
【0049】なお、本実施例では、空隙について述べた
が、これに限定されるものではなく、ほぼ同様の原理に
よりコンクリートの浮き、空洞、含水、亀裂等の検出が
可能である。以上、説明したように、本実施例のコンク
リート構造物劣化検査装置1は、鉄道コンクリート構造
物を赤外線センサ6によって撮影し、所定の処理を順次
実行するだけで、劣化部分が抽出され、表示、及び印刷
が行われる。したがって、熟練技術者が経験によって、
劣化部を判断し、スケッチする必要がなくなるので、所
定の教育を受けた技術者であれば誰でも劣化を検出する
ことが可能になる。つまり、熟練技術者が必要なくな
る。しかも、目視検査によらず赤外線センサを用い、ほ
とんどコンピュータによる演算処理によるので、次に示
す効果を奏する。 操作が簡単で機動性が高い。 足場が必要でなく、効率的検査ができる。 目視に比べて見落としを防止する程度が高い。 道路、河川、こ線橋などに制約されない。 現在の赤外線センサの性能では被写体距離150mま
で可能である。 判定が画一化でき、効率的である。データ保管がで
き、経年荒廃追認ができる。
【0050】そのうえ、現在の赤外線センサ6の性能や
コンピュータの性能で、四季に亘る温度分布測定データ
に基づいて、熱画像から劣化と誤認させるノイズを除去
する処理と、特徴抽出時に四季に亘る温度分布測定デー
タに基づいて、各種補正を行なう処理とを加えたので、
以下に示すように、特に鉄道コンクリート構造物の劣化
検出に適合する効果を奏する。
【0051】1.四季を通じて解析することができる。
これにより、常に保全作業が必要な鉄道の用途に適合す
る。 2.構造物の図形に変状劣化部を合成して表示すること
ができる。これにより、現場での確認を速やかに行え
る。
【0052】3.日陰部分でも亀裂変状抽出が3mm以
上で可能である。 4.コンクリート内部の空洞変状深さが100mm程度
まで検出可能である。 5.鉄道橋梁は、ほぼ形式化されているので、タイプ別
の測定データを次々に収録して、解析精度を逐次向上す
ることが可能である。
【0053】
【発明の効果】本発明のコンクリート構造物の劣化検査
方法は、赤外線センサによって撮影されたコンクリート
構造物の温度分布とシミュレーション結果とから健全状
態以外の温度分布である特異温度分布を算出し、検査対
象と類似するコンクリート構造物の四季に亘る温度分布
測定データに基づいて、特異温度分布から劣化部分を抽
出して、これをコンクリート構造物の画像に対応づけて
表示する。
【0054】したがって、熟練技術者が経験によって、
劣化部を判断し、スケッチする必要がなくなるので、所
定の教育を受けた技術者であれば誰でも劣化を検出する
ことが可能になる。つまり、熟練技術者が必要なくな
る。そのうえ、四季に亘る温度分布測定データに基づい
て、劣化部分を抽出する構成としているので、計測対象
と類似する条件を備えた温度分布測定データを準備する
ことによって、様々な季節や、時間帯、及び構造などに
対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート構造物の劣化検査方法の
基本的構成を例示するフローチャートである。
【図2】実施例のコンクリート構造物劣化検査装置の構
成図である。
【図3】コンクリート構造物劣化検査作業工程のフロー
チャートである。
【図4】撮影記録のフローチャートである。
【図5】赤外線センサ6の撮影方法の説明図である。
【図6】赤外線センサ6の撮影方法の説明図である。
【図7】赤外線センサ6の撮影方法の説明図である。
【図8】赤外線センサ6の撮影方法の説明図である。
【図9】コンピュータ画像処理、解析処理のフローチャ
ートである。
【図10】画像処理の説明図である。
【図11】画像処理の説明図である。
【図12】画像解析の説明図である。
【図13】画像解析の説明図である。
【図14】画像解析の説明図である。
【図15】画像解析の説明図である。
【図16】画像解析の説明図である。
【符号の説明】
1・・・コンクリート構造物劣化検査装置、 3・・・レンズ、 5・・・スキャナ、 6・・・赤外線センサ、 7・・・モニターテレビ、 9・・・ビデオテープレコーダ、 11・・・ディスコン、 13・・・データ変換、 15・・・フロッピィディスクドライブ、 17・・・コンピュータ本体、 19・・・プリンタ、 21・・・キーボード、 23・・・モニターテレビ、 25・・・キャラクターディスプレイ、 27・・・撮影対象物、 29・・・調査撮影対象面像、

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道コンクリート橋梁等のコンクリート
    構造物の表面温度分布を赤外線センサによって検出し、 該コンクリート構造物の諸元及び状況に基づいて、該コ
    ンクリート構造物の健全状態の温度分布をシミュレーシ
    ョンし、 該シミュレーション結果に基づいて、上記検出したコン
    クリート構造物の表面温度分布から健全状態と相違する
    特異温度分布を算出し、 上記コンクリート構造物に類似したコンクリート構造物
    の四季に亘る温度分布測定データに基づいて、上記特異
    温度分布からコンクリート構造物の劣化部分を抽出し、 該劣化部分を該コンクリート構造物の画像に対応させて
    表示するコンクリート構造物劣化検査方法。
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