JPH051082B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、チタンまたはチタン合金製の継目無
管の熱間製造方法に関する。 〔従来の技術〕 継目無金属管は、一般にロール圧延法、押出し
法、エルハルト法等の熱間製管法にて製造され、
材質上、寸法精度上、高品質の要求されるもの
は、熱間製管法にて製造された管を素材として冷
間製管法にて製造される。 ロール圧延法は、ピアサー等と呼ばれる傾斜ロ
ール圧延機にて中実ビレツトを熱間でせん孔し、
ホローシエルと呼ばれる中空素管を製造する。製
造されたホローシエルは、更にプラグミル、マン
ドレルミル、アツセルミル、デイツシヤミル等の
ロール圧延機にて熱間で縮径減肉圧延される。 押出し法は難加工材の製造に適し、コンテナと
呼ばれる円筒の中に加熱された中空ビレツトを装
入し、ビレツトにマンドレルを挿通させた状態で
マンドレルとダイスとの間に形成されるすき間よ
りピレツトをコンテナ外へ押出す。押出し法で製
造された継目無金属管はそのままで製品とされる
他、引抜法、コールドピルガー法等の冷間製管法
の素材として使用されることが多い。 エルハルト法は、綱塊からせん孔された底付コ
ツプ状の中空素管を再加熱後、内部にマンドレル
を装入してダイスにより押抜く方法で、主に大径
厚肉管の製造に用いられる。 チタンまたはチタン合金製の継目無管は、周知
のように耐食性に優れ、比強度も大きいことか
ら、航空機用、化学工業プラント、原子力プラン
ト等の高級用途に用いられることが多い。また、
チタンまたはチタン合金は本質的に熱間加工性が
悪く、その管は周方向剪断歪を生じやすいとされ
ている。このようなことから、チタンまたはチタ
ン合金製の継目無管は、従来はJIS−H4630に規
定されるように、熱間押出し法または熱間押出し
法と冷間引抜き法との組合せにより製造されてい
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ところが、熱間押出し法は他の熱間製管法に比
べて能率が低く、長尺管を造ることも難しい。ま
た、冷間引抜き法も寸法制度等を向上させるのに
は有効であるが、能率は低い。したがつて、この
ような方法で製造されるチタンまたはチタン合金
製の継目無管は、高コストとならざるを得ない。
ちなみに、低コストは継目無音の製造方法は、ロ
ール圧延法である。 本発明は、チタンまたはチタン合金製の継目無
管をロール圧延法もしくはこれに準ずる高能率な
方法で経済性よく製造する方法を提供するもので
ある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の方法は、チタンまたはチタン合金製の
ホロージエルを熱間にて縮径減肉圧延するに際
し、圧延機として内面規制工具としまたは複数段
の孔型圧延ロールスタンドとを備える管圧延機を
用い、該圧延機にて前記ホローシエルを圧延機入
側温度を600〜1150℃として延伸比６如何で縮径
減肉圧延するものである。 〔作用〕 継目無管を高能率、経済的に製造するには、冷
間法を使わずに熱間法だけで製管を行うのが有効
である。また、熱間製管法のなかでも押出し法は
能率が悪く、ロール圧延法は高能率である。後者
のロール圧延法は、前述したように、傾斜ロール
圧延機にてせん孔したホローシエルをプラグミ
ル、マンドレルミル、アツセルミル、デイツシヤ
ミル等にて縮径減肉圧延するものである。 本発明者らは、ロール圧延法のなかで特にプラ
グミル、マンドレルミルによる方法に着目した。
これらは、プラグミル、マンドレルミルによる方
法がプラグ、マンドレルといつた内面規制工具と
孔型圧延ロールスタンドとを用い、圧延中にホロ
ーシエルに加わる周方向剪断応力が小さいことか
ら、圧延後の継目無管に表面目や粒界に沿つた割
れを本質的に発生し難いと考えられるからであ
る。そして本発明者らは、この方法でチタンまた
はチタン合金製の継目無管を製造するべく更に実
験研究を繰り返した結果、ホローシエルの圧延機
入側温度と延伸比との規定が有効なことを知見し
た。 すなわち、ホローシエルの圧延において、圧延
機入側におけるホローシエル温度と延伸比とを規
定することにより、チタンまたはチタン合金製の
継目無管が熱間圧延により高能率に、しかも熱間
押出し法と同等またはそれ以上の性状および特性
で製造され、冷間引抜きを組合わせた場合と比較
してもこれに近い性状および特性が得られるので
ある。 ホローシエルについては、傾向ロール圧延機に
よつて製造される他、押出しあるいは純機械的な
せん孔加工等、どのような加工法によつて製造さ
れてもよい。 本発明の方法は、斯かる知見に基づきなされた
もので、チタンまたはチタン合金製のホローシエ
ルを内面規制工具と孔型圧延ロールスタンドとを
備える管圧延機にて熱間で高能率に至当を発生さ
せることなく縮径減肉圧延することにより、チタ
ンまたはチタン合金製の継目無管を品質よく経済
的に製造するものである。 〔実施例〕 以下、本発明の方法をホローシエルの製造、ホ
ローシエルの圧延、実施結果の順で詳述する。 Γホローシエルの製造 素材はチタンまたはチタン合金である。チタ
ンとはJIS−H4630、H4631またはこれと同等
の組成を有するいわゆる工業用純チタンであ
り、チタン合金とはTi−6Al−4Vに代表され
るチタン75wt％程度以上を含有する合金であ
る。 ホローシエルを製造するには、ビレツトにせ
ん孔加工を施す。加工法としてはピアサーと呼
ばれる傾向ロール圧延機等によるいわゆるロー
ルせん孔法でも、熱間押出し法でもよく、また
純機械的な切削によるせん孔法でもよく、種
類、条件は問わない。要は、後段の圧延機の能
力および製品寸法との関係で、必要な寸法のホ
ローシエルが確保できればよい。ホローシエル
に必要な寸法を付与するために、圧延前にシエ
ルサイザー、エロンゲーター等の寸法調整機を
通過させることを妨げない。 Γホローシエルの圧延 圧延機は、プラグ、マンドレル等の内面規制
工具と、１または複数段の孔型ロールスタンド
とで、ホローシエルに縮径減肉圧延を加えるも
のである。具体的にはプラグミル、マンドレル
ミル等である。プラグミルは孔型ロール間にプ
ラグをマンドレルにて支承した状態でホローシ
エルが孔型ロール間を通過する圧延機、または
マンドレルミルは段階的に縮径させた孔型ロー
ルをダンデムに配置したスタンド列を、ホロー
シエルがマンドレルを挿通させた状態で連続的
に通過する連続圧延機であり、いずれもホロー
シエルに縮径減肉圧延を加える。 なお、前述したシエルサイザーは内面規制工
具を持たず、またエロンゲーターは材料に拡径
減肉加工を与えるので、いずれも本発明でいう
ホローシエル圧延機には該当せず、ホローシエ
ル製造機に分類される。 圧延条件としては、圧延機入側におけるホロ
ーシエル温度と延伸比とを規定する。 チタンまたはチタン合金は温度により特性が
大きく変化し、特に圧延機入側温度が600℃未
満で縮径減肉圧延すると、変形能が低下してい
ることから、ロール焼付きによる被れ状疵、筋
疵、内面規制工具焼付きによる内面筋、中被
れ、エツジマーク、穴あき等の疵が発生し、ま
たチタン合金においてはα／β相の界面に両者
の変形能の差により変形を受けた際にボイドと
呼ばれる空隙が発生する。逆に、圧延機入側温
度が1150℃超で圧延すると、圧延後の冷却によ
り粗大な針状晶が生成する。この針状晶は変形
能が低く、製品の機械的性質を低下させる他、
圧延後に整形のための絞り加工等を加えたとき
にやはり疵を発生させる。したがつて、圧延機
入側におけるホローシエル温度は600〜1150℃
とする。 圧延終了温度は変形能の低下および変形抵抗
の増大を防ぐため400℃以上が望ましい。 延伸比は、６超では内面規制工具と孔型ロー
ルスタンドとを使用しても、また圧延機入側に
おけるホローシエル温度を適正範囲内に管理し
ても、ロール焼付疵、被れ疵、肉厚変動等の発
生を抑えることができないので、６以下とす
る。延伸被が小さいときは、製管能率が低下す
ること以外、目立つた弊害は生じないので、下
限は規定しない。なお、圧延機に機種に応じた
限界延伸比が存在するときは、これを外れて圧
延することの不可能なことは言うまでもない。 圧延後は、必要に応じてレデユーサー等の整
形機、仕上機を通過させることを妨げない。 Γ実施結果１ 汎用のマンドレルミルラインにおける実施結
果である。 先ず、第１表Ａに示す組成の工業用純チタン
（JIS−H4630−３種）からなる外径187mm、長
さ2250mmの中実ビレツトを、ガイドがデイスク
ロールである交叉型の２ロール傾斜穿孔圧延機
（ピアサー）にて圧延機入側温度990〜1290℃
で、外径192mm、肉厚20.62mm、長さ5470mmの中
空素管とし、次いで、この中空素管をシエルサ
イザーにて圧延機入側温度960〜1260℃で寸法
調整し、外径168mm、肉厚22.0mm、長さ6020mm
のホローシエルを得た。

【表】 ホローシエルが製造されると、次に、これを
７スタンドマンドレルミルにて圧延機入側材料
温度が550℃〜1200℃の範囲となるようにシエ
ルサイザー後直ちに又は一担放冷して延伸比４
（固定）で外径140mm、肉厚6.0mm、長さ24040mm
まで縮径減肉圧延した。 また、同一の中実ビレツトより製造したホロ
ーシエルに対し、７スタンドマンドレルミルに
より延伸比を５〜７の範囲で種々変更し、圧延
機入側温度900℃（固定）として縮径減肉圧延
を行い、外径140mm、肉厚4.5〜5.5mm、長さ
26190〜30500mmの継目無管を得た。 各継目無管製造工程における中実ビレツトか
ら継目無管に至るまでの寸法履歴および各圧延
機入側における材料温度を、マンドレルミルに
おける延伸比を区分単位として第２表に示す。

【表】 そして、製造された各継目無管の性状を調査
するとともに、各継目無管にJIS規格で採用さ
れている棒状の試験片を用い引張試験を施し
た。結果を第３票に１〜10で示す。また、参考
のため、熱間押出し法または熱間押出し法と冷
間引抜き法との組合せにより製造した同一グレ
ード品に対するJIS−H4630−３種の規格値を
第３表に11で示す。

【表】

【表】 ＊ 本発明範囲外
＊＊ Kgf／mm²
＊＊＊ ％
第３表から明らかなように、本発明の方法
は、マンドレルミルを採用するにもかかわら
ず、熱間押出しまたは熱間押出しと冷間引抜き
との組合せを採用した場合の規格値を全て満足
する。 Γ実施結果２ チタン合金についての実施結果である。 すなわち、第１表Ｂに示す組成のTi−6Al−
4V系合金について、穿孔圧延機入側温度1080
〜1290℃、シエルサイザー入側温度1060〜1260
℃とし、実施結果１を得たときと同じ手順で継
目無管を製造し、その性状および特性を調査し
た。結果を第４表に示す。 第４表から明らかなように、本発明の方法
は、チタン合金製の継目無管の製造に対しても
有効である。

【表】 ＊＊＊ ％
Γ実施結果３ 汎用のプラグミルラインにおける実施結果で
ある。 第１表Ａに組成を示す工業用純チタンからな
る外径173mm、長さ2040mmの中実ビレツトをピ
アサーにて圧延機入側温度990〜1290℃でせん
孔して外径178mm、肉厚40、長さ2710mmの中空
素管をつくり、これをエロンゲーターにて圧延
機入側温度880〜1200℃で外径190mm、肉厚19.5
mm、長さ4500mmのホローシエルに寸法調整し
た。 次に、得られたホローシエルをプラグミルに
て種々の圧延機入側温度で外径183mm、肉厚15
mm、長さ5940mmまで縮径減肉圧延した。このと
きのホローシエルの延伸比は1.3である。 製造された継目無管の性状および機械的特性
を第５表に示すが、本発明の方法はプラグミル
による圧延によつても効果的に実施される。

【表】 ＊＊＊ ％
〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、本発明の方法
は、チタンまたはチタン合金製のホローシエルを
内面規制工具と孔型圧延ロールスタンドとを備え
る管圧延機にて高能率に縮径減肉圧延し、なおか
つ熱間押出し法または熱間押出し法と冷間引抜き
法との組合せに対して遜色ない性状および特性を
確保するものであるから、製造コストの大巾低減
を可能ならしめ、しかも長尺管の製造を可能なら
しめるという工業上多大の効果を奏するものであ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ チタンまたはチタン合金製のホローシエルを
   熱間にて縮径減肉圧延するに際し、圧延機として
   内面規制工具と１または複数段の孔型圧延ロール
   スタンドとを備える管圧延機を用い、該圧延機に
   て前記ホローシエルを圧延機入側温度を600〜
   1150℃として延伸比６以下で縮径減肉圧延するこ
   とを特徴とするチタン継目無管の製造方法。