JPH05105788A - ポリプロピレン樹脂組成物及び該組成物を用いて得た塗装成形品の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物及び該組成物を用いて得た塗装成形品の製造方法

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JPH05105788A
JPH05105788A JP4056608A JP5660892A JPH05105788A JP H05105788 A JPH05105788 A JP H05105788A JP 4056608 A JP4056608 A JP 4056608A JP 5660892 A JP5660892 A JP 5660892A JP H05105788 A JPH05105788 A JP H05105788A
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styrene
weight
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block copolymer
polypropylene
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JP4056608A
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Eiichi Sugihara
永一 杉原
Keigo Suehiro
啓吾 末広
Katsumi Sekiguchi
克己 関口
Minoru Hoshino
実 星野
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリプロピレン100重量部、及び230℃
で荷重2.16kg/cm2 の条件下で測定したメルト
インデックスが25g/10分以上の水素添加スチレン
−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロック共重
合体エラストマー20〜100重量部からなる樹脂組成
物、並びに該樹脂組成物を成形し、その成形品の表面に
予じめ表面処理を行うことなく直接塗料を塗布すること
からなる塗装成形品の製造方法。 【効果】 通常行われているトリクロロエタン等の蒸気
によるエッチングの塗装の前処理を必要とせず、また成
形収縮率、線膨張係数が小さい成形品が得られ、その結
果、フィラー量を削減でき、軽量化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形後、トリクロロエタ
ン等の有機溶剤の蒸気によるエッチング処理や、表面を
酸化する為のプラズマ処理、火炎処理等を行う必要なし
で優れた塗料の密着性が得られるポリプロピレン樹脂組
成物及び該組成物を用いて得た塗装成形品の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のバンパー、フェンダー等の外板
材にポリプロピレン樹脂組成物が金属材料に代わり使用
される様になってきた。ポリプロピレン成形品に対する
塗装については、ポリプロピレンはそのままでは塗装性
が著しく劣るので通常、適当な前処理を施した後塗装す
る必要があった。前処理の方法としてトリクロロエタン
(1,1,1−トリクロロエタン)等の有機溶剤の蒸気
によるエッチング処理、表面を酸化する為のプラズマ処
理、火炎処理等が古くから行われている。これらの処理
方法の中でトリクロロエタンの蒸気で表面をエッチング
した後、塩素化ポリオレフィン等を含むプライマーを予
め塗布し、加熱し乾燥した後、塗料を塗布し加熱し硬化
させる方法が装置も簡単で、塗装の経費も安く自動車の
バンパー等の大型成形品には最適であった。ところが、
近年、トリクロロエタン等の揮発性が高く、化学的に安
定な塩素化合物は大気中に放出した後も分解し難く、地
球の周囲に存在するオゾン層まで拡散すると、太陽から
放射される紫外線等を吸収する働きのあるオゾン分子を
破壊し、その結果、地上に降注ぐ有害な紫外線等の量が
増え皮膚ガン等の病気が発生する頻度が高まるのではな
いかと言われている。この様な背景上、トリクロロエタ
ン等の塩素系有機溶剤の使用量を地球的規模で削減し、
将来的には全廃する必要があり、1990年6月のモン
トリオール議定書第2回締約会議において、トリクロロ
エタンは2005年の全廃が決定され、その期限までに
段階的に削減されてゆく。その為、自動車のバンパー等
の大型成形品の前処理方法としては、今後利用出来なく
なってきている。ところが、トリクロロエタンを使用し
ない他の方法、例えばプラズマ処理は、装置が大型で自
動車のバンパー等の様に大きいものを処理する設備を建
設するには多大な費用を必要としている。火炎処理を、
可燃性の樹脂の表面に行うと、細い部分等は溶融した
り、燃え出す心配があり収率は悪い。また、火炎処理の
場合、ポリプロピレンの表面を酸化する酸化炎の部分
は、あまり大きくできず、被処理物の形状が複雑である
と、炎が十分に届かない部分が生じ、塗装後の塗膜の密
着強さが異常に低い部分を生じる問題があり、利用でき
る形状は、ほぼ平たんな形状のものに限られる。
【0003】一方、スチレンと共役ジエンのブロック共
重合体またはその水素添加物は、スチレン系樹脂、ポリ
オレフィン系樹脂の衝撃改良剤として使用することが提
案されている(例えば、特開昭58−215446、特
開昭60−133039、特開昭61−014248、
特開平01−174550などが挙げられる)。しか
し、通常使用されるスチレン−ブタジエンブロック共重
合体、スチレン−イソプレン共重合体またはその水素添
加物は粘度が高く、ポリプロピレンと混合し機械的に混
練した後、射出成形すると、成形品の表層部でゴム層は
球状に近い状態でポリプロピレン層の中に存在する。そ
の為、塗料の中に含まれる溶剤が表層部分に浸透しても
ゴム層の表面積が高くないので塗装性の向上にはあまり
貢献しなかった。更に、流動性が悪く、射出成形時にフ
ローマーク、ジェッティングを生じ易く、表面光沢も低
かった。また、特開平3−277636には、ポリプロ
ピレンと水素添加されたスチレン−イソプレンブロック
共重合体、又はスチレン−ブタジエンブロック共重合体
とタルクと末端に水酸基を有するジエンポリマーの水素
添加物よりなる組成物が、トリクロロエタンによる蒸気
洗浄を行わなくとも直接塗料を塗布するのみで優れた塗
装性を有することが開示されている。更に水素添加され
たスチレン−イソプレンブロック共重合体、又はスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体のメルトインデックス
が230℃,2.16kg/cm2 で20g/10分以
下であることが塗装性と低温衝撃性の向上に有効である
と開示されている。
【0004】一方、自動車からの排ガスによる環境汚染
も欧米で問題視されてきており、その対策方法として自
動車を軽量化し燃料効率を向上させ、大気中に排出され
る排ガス量を削減する事が米国等で法制化されつつあ
り、そのため自動車の部品等に使用されるポリプロピレ
ン樹脂組成物等の比重を従来の材料に比べ数%低くする
ことが望まれている。タルク等を5〜20%程度含む自
動車のバンパー等を軽量化する方法として、樹脂に比べ
て比重が大きいフィラーを削減する方法が最も好ましい
が、フィラー量を減少させると成形収縮率、線膨張係数
が従来の材料に比べ大きくなり大型部品の成形材料とし
ては適さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のフィラーを含む成形材料に比べ、フィラー量を減少さ
せても同等の成形収縮率と線膨張係数を有する成形材料
を成形後、塗装にさいしトリクロロエタン等の有機溶剤
の蒸気によるエッチング処理、表面を酸化する為のプラ
ズマ処理、火炎処理等を行う必要がなく、成形品に対す
る塗料のすぐれた密着性がえられる、ポリプロピレン樹
脂組成物及び該組成物を用いて得た塗装成形品の製造方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、ポリプ
ロピレン100重量部、及び230℃で荷重2.16k
g/cm2 の条件で測定したメルトインデックスが25
g/10分以上の水素添加スチレン−ブタジエンまたは
スチレン−イソプレンブロック共重合体エラストマー2
0〜100重量部からなる樹脂組成物が提供される。
【0007】本発明に従って、ポリプロピレン100重
量部、及び230℃で荷重2.16kg/cm2 の条件
で測定したメルトインデックスが25g/10分以上の
水素添加スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプ
レンブロック共重合体エラストマー20〜100重量部
からなる樹脂組成物を成形し、その成形品の表面に予じ
め表面処理を行うことなく直接、またはプライマー層を
設けた後塗料を塗布することを特徴とする塗装成形品の
製造方法が提供される。
【0008】本発明ではポリプロピレンとして、たとえ
ばホモポリプロピレン、及びプロピレンとエチレン等の
オレフィンモノマーとの共重合体が利用可能であるが、
特にホモポリプロピレンは、剛性、耐熱性、表面光度に
優れて好ましい。また、エチレン−プロピレンブロック
共重合体は衝撃強さに優れるので必要に応じて使用する
ホモポリプロピレンの一部または、全部をエチレン−プ
ロピレンブロック共重合体で置き換えてもよい。更に、
ポリプロピレンの他に、衝撃強さ、成形収縮率、線膨張
係数、表面硬度、剛性等を調整する為に高密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、ポリブテン等の他の樹脂を配合してもよい。
【0009】前記水素添加スチレン−ブタジエンまたは
スチレン−イソプレンブロック共重合体エラストマーと
しては、たとえばスチレン(St)とイソプレン(I
s)またはブタジエン(Bu)のジブロック共重合体
(St−Is、St−Bu)、トリブロック共重合体
(St−Is−St、St−Bu−St)を水素添加
し、主にイソプレンブロック、ブタジエンブロックの不
飽和結合部を水素添加したエラストマーであり、同じス
チレン量であればトリブロック共重合体が剛性、耐熱性
に優れ好ましい。これらのゴムは230℃で荷重2.1
6kg/cm2 の条件で測定したメルトインデックスが
25g/10分以上であり、特に使用するポリプロピレ
ンのメルトインデックスの2倍以上になるように選択す
ることが好ましい。25g/10分以上のメルトインデ
ックスを有するものは、ポリプロピレンに配合し、射出
成形等の方法により成形物を得ると其の表層部分では、
エラストマーが流動方向に対して平行に繊維状、また
は、層状に配向し成形品の成形収縮率、線膨張係数を低
くし、その結果タルク等のフィラー量を減少させる事が
可能であり成形品の軽量化が可能である。また、表面付
近でゴムが線状、層状に配向するとプライマー、塗料、
それらに含まれる溶剤が浸透してきた際に浸透する面積
が広くなり接着強さ、塗装後の耐久性が優れ、特開平3
−2776361に開示してある様な水酸基を有するポ
リマーを更に添加する必要がない。
【0010】上記水素添加スチレン−ブタジエンまたは
スチレン−イソプレンブロック共重合体エラストマーを
構成するスチレン量は10〜40重量%であることがが
好ましく、スチレン量が10重量%未満の場合には塗料
との密着強さと耐熱性が不足し、スチレン量が40重量
%を越える場合には衝撃強さ、特に低温衝撃強さに問題
があり好ましく無い。
【0011】上記水素添加スチレン−ブタジエンまたは
スチレン−イソプレンブロック共重合体エラストマーの
配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して20〜
100重量部であり、好ましくは20〜80重量部、さ
らに好ましくは23〜60重量部であり、20重量部未
満では十分な塗料の密着強さが得られず、100重量部
を越えると樹脂組成物の耐熱性が著しく低くなり、塗料
を塗布した後、加熱し乾燥すると変形する事がある。
【0012】また、本発明における樹脂組成物では、メ
ルトインデックスが25g/10分以上の水素添加スチ
レン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロック
共重合体エラストマー以外のエラストマーを剛性、衝撃
強さ、成形収縮率、線膨張係数等の特性を調整する目的
で適量用いてもよい。例えば、ブタジエンゴム、イソプ
レンゴム、クロロプレンゴム、超低密度ポリエチレン、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ブチルゴ
ム、アクリルゴム、テトラフロロエチレン・パークロロ
メチルエーテル系エラストマー、フロロシリコンエラス
トマー、エピクロヒドリンエラストマー、加硫化エラス
トマー、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン
−ブテン共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン
ジブロック共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエ
ントリブロック共重合体エラストマー、スチレン−イソ
プレンジブロック共重合体エラストマー、スチレン−イ
ソプレントリブロック共重合体エラストマー等が挙げら
れる。
【0013】上記樹脂組成物は、必要に応じてフィラー
を配合し剛性、成形収縮率、線膨張係数等の特性を調整
できる。特に、本発明で使用するポリプロピレン樹脂組
成物は、従来のポリプロピレン樹脂組成物に比べ少ない
フィラー量で同等の成形収縮率、線膨張係数が得られ、
従って成形品の軽量化が可能である。本発明において
は、フィラーを組成物の全重量基準で2〜35重量%の
量で用いることが好ましい。
【0014】かかるフィラーとしては、例えば金属粉、
カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、シリカ、
アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化錫、酸化アンチモン、バリウムフェライ
ト、ストロンチウム、フェライト、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、クレー、マイカ、珪酸カルシウム、ガラス
繊維、チタン酸カルシウム、窒化アルミニウム、炭化珪
素、硫化カドニウム等が挙げられ、特にタルク等の板状
フィラーは、射出成形の際樹脂の流れ方向に対して縦横
の成形収縮率、線膨張係数の差が少なく、硫酸マグネシ
ウムウイスカ、チタン酸カリウム、ガラス繊維等の繊維
状フィラーは、射出成形する場合の樹脂の流れ方向に対
する成形収縮率、線膨張係数が特に低く更に、剛性もタ
ルク等にくらべ優れる。
【0015】配合するフィラーの種類と配合量はフィラ
ーの形状、比重、必要な成形収縮率、線膨張係数に合わ
せて最適に選ぶことができる。例えば、タルクを3〜4
0重量%含む従来の組成物と比較して、本発明において
タルク量の従来量の9/10〜6/10に削減しても成
形収縮率、線膨張係数は、実用上問題を生じる程変化せ
ず、従来の成形収縮率、線膨張係数を維持したまま成形
品の重量を1〜5重量%軽量化できる。また、フィラー
量を削減することにより、衝撃強さも増加し、本発明で
用いる、230℃で2.16kg/cm2 の条件下で測
定したメルトインデックスが25g/10分以上の水素
添加されたスチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソ
プレンブロック共重合体を用いても実用に耐えうる衝撃
強さが得られる。特に、フィラー量を20〜40重量%
削減し、メルトインデックスが25〜50g/10分の
水素添加スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプ
レンブロック共重合体を用いたものは、フィラー量を削
減せずにメルトインデックスが0.5〜3g/10分の
水素添加スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプ
レンブロック共重合体を同量使用したものと同等の衝撃
強さが得られ、好ましいものである。
【0016】自動車部品として用いられるバンパー等の
高耐衝撃グレードは従来法のEPMを用いる方法ではP
P/EPR/タルク=60/30/10の組成物で−3
0℃でのIzod衝撃強度5kg・cm/cm、成形収
縮率8/1000程度のものが本発明ではPP/ゴム/
タルク=64/30/6程度で製造可能であり、内装材
やフエンダー等の高剛性グレードはPP/EPR/タル
ク=70/10/20の組成物で常温Izod衝撃強度
20kg・cm/cm、成形収縮率6/1000程度の
ものが本発明ではPP/ゴム/タルク=76/10/1
4程度で製造可能になる。
【0017】上記樹脂組成物では、樹脂成分の他に必要
によって、添加剤等を添加してもよい。例えば、酸化防
止剤、分散剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染
料、結晶化促進剤、滑剤、難燃剤、可塑剤等の添加剤が
挙げられる。
【0018】ポリプロピレン樹脂組成物は、通常のポリ
プロピレン系樹脂組成物と同様にリボンブレンダー、ヘ
ンシェルミキサー等により混合した後、バンバリーミキ
サー、熱ロール、押出機、コニーダー等の装置に溶融混
練しペレット状にした後、押出機によりシート状に押出
し、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等
の方法により二次成形する方法、ブロー成形する方法、
射出成形する方法等が可能である。
【0019】本発明の方法では上記成形品を直接または
簡単に洗浄、脱脂後塗料で塗装してもよい。しかし、塗
装を含む工程で従来問題となっていたトリクロロエタン
等の有機溶剤の蒸気によるエッチング処理、表面を酸化
する為のプラズマ処理、火炎処理等を行う必要がなくて
充分な接着強度が得られる。洗浄、脱脂の方法として
は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール類、塩酸、硫酸、硝酸等の酸の水溶液、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ水溶
液、アルコール溶液、中性洗剤、弱アルカリ洗剤等の界
面活性剤の水溶液、アルコール溶液等を常温、又は、加
熱した浴槽に浸漬する、または、液を吹きつける洗浄・
脱脂した後、蒸留水、脱イオン水、通常の水、又は、ア
ルコールで洗浄・脱脂液を濯ぎ取った後、乾燥し塗装す
る。
【0020】本発明の方法では、プライマーを使用しな
くても実用に耐えうる塗料の密着強さが得られるが、耐
ガソリン性の向上等の更に優れた塗装性を必要とする場
合、塩素化ポリオレフィン等を含有するプライマーで処
理して塗料で塗装するとよい。塩素化ポリオレフィンの
プライマー層を設けると、塗膜の耐ガソリン性等の特性
が更に向上する。塩素化ポリオレフィンとしては、たと
えば塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素
化ポリブテン等が挙げられるが、特に塩素化ポリプロピ
レンが好ましい。これらの塩素化ポリオレフィンは、溶
剤に溶解または、エマルジョン化したものが好ましく、
溶解または、エマルジョン化する場合の溶剤としては、
たとえばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、
キシレン等の水素添加スチレン−ブタジエンまたは、イ
ソプレンブロック共重合体の全部または、一部を溶解、
または膨潤させる性質の溶剤を用いたものが特に好まし
い。プライマー層の厚みは、5〜50ミクロンが好まし
く、塗布後、ただちに塗料を塗り重ねてもよいが、一旦
30〜150℃の温度で5〜60分間乾燥するとプライ
マー層の厚みが均一になり安定した塗膜強度が得られ好
ましい。
【0021】塗料としては、たとえばアルキッド系、ウ
レタン系、アクリル系、ビニル系、エポキシ系等の従来
ポリプロピレン樹脂組成物の塗装に使用されていたもの
がそのまま用いられる。塗膜の厚み、予備乾燥温度、焼
付温度等の条件は、従来と同様で特に問題なく例えば、
アルキッド系、ウレタン系の塗料では、20〜50μm
の厚みに塗料を塗布し、30〜120℃で10〜30分
間予備乾燥し塗料に含まれる溶剤を除去したのち、70
〜160℃で15〜120分間焼付けることが好まし
い。
【0022】
【実施例】以下実施例により詳細に説明する。
【0023】実施例1〜3 ホモポリプロピレンとして“三井ノーブレンJH−G”
(三井東圧化学(株)製、MI4g/10分)、水素添
加スチレン−イソプレントリブロック共重合体エラスト
マーとして“セプトン2002”(クラレ(株)製、M
I30g/10分、スチレン量30重量%)を表1に示
す組成比で配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、
35mmφ2軸押出機にてペレットを得、型締圧100
トンの射出成形機にて、80mm×150mm×2mm
の板を成形し、プライマーとして“RB−115”(日
本ビーケミ(株)製、塩素化ポリプロピレン系プライマ
ー)を20〜50μになるように塗布し60℃で30分
間乾燥し、塗料として“U−040”(アルキッド系塗
料、日本ペイント(株)製)を膜厚が40〜80μにな
るように塗布し80℃で150分間加熱した。48時間
後、碁盤目剥離試験を行い塗膜の密着強さを測定し、ま
た塗膜を10mm幅で短冊状に切り取り引張試験機にて
ピール強さを測定した。更に、ガソリンとエチルアルコ
ールの90:10vol溶液に浸漬し塗膜が変形し、剥
離しだす迄の時間を測定し耐ガソリン性とした。成形収
縮率としてASTM 1号ダンベルを成形し24時間後
の長手方向の成形収縮率を測定した。線膨張係数として
厚みが3mm、幅が25.0mm、長さが125mmの
棒を成形し長手方向の線膨張係数を昇温速度2℃/mi
n、−40℃〜120℃の温度範囲で測定した。Izo
d衝撃強さは、ASTMD−523法により23℃と−
30℃で測定した。加熱変形温度はASTMD−648
法(4.16kg/cm2 の条件)で測定した。また、
プライマーを塗布しない以外は同様にして塗料を塗布し
同様に評価した。碁盤目剥離試験とピール強さの測定値
は、実用に十分耐えうるものだったが、耐ガソリン性
は、プライマーを使用したものに比べやや劣った。その
結果を表1に示す。
【0024】比較例1 実施例1で使用したホモプロピレンをそのまま、実施例
1と同様にして板を成形し、塗料を塗布し塗膜の密着強
さを評価した。碁盤目剥離試験とピール強さ耐ガソリン
性の測定値は、非常に低く実用に耐えうるものではなか
った。また、成形収縮率、線膨張係数も実施例1〜3に
比べ大きかった。その配合比と結果を表1に示す。
【0025】比較例2 水素添加スチレン−イソプレントリブロック共重合体エ
ラストマーのかわりにバナジウム系触媒を使用しエチレ
ン−プロピレンゴム(プロピレン含有量26重量%、M
I30)を重合し25重量%使用した以外は実施例1と
同様にして板を成形し、塗料を塗布し塗膜の諸特性を評
価した。その配合比と結果を表1に示す。碁盤目剥離試
験とピール強さ、耐ガソリン性の測定値は、低く実用に
耐えうるものではなかった。プライマーを使用したもの
であっても、実施例1〜3のプライマー未使用のものよ
り劣った。また、成形収縮率、線膨張係数も実施例1〜
3に比べ大きかった。更に衝撃強さ、特に低温衝撃強さ
が劣った。
【0026】実施例4〜6 実施例1と同様のホモポリプロピレンの他に、メルトイ
ンデックスが8g/10分、エチレン含有量が8重量%
のエチレン−プロピレンブロック共重合体を一部併用、
または、全部置き換えて用い、フィラーとして表面をシ
ラザン処理したタルク“CT−8”(浅田製粉製)、実
施例1と同様の水素添加スチレン−イソプレントリブロ
ックエラストマーを表2の配合比で使用し実施例1と同
様のプライマーを同様に塗布した後、80℃で30分間
乾燥し、実施例1と同様の塗料を同様に塗布し120℃
で60分間焼付けた以外は、実施例1と同様にして諸特
性を測定した。その結果を表2に示す。
【0027】実施例7 タルクの代わりに硫酸マグネシウムウィスカ“モスハイ
ジ”(宇部興産(株)製)を使用した以外は、実施例5
と同様にして諸特性を測定した。その結果を表2に示
す。
【0028】比較例3〜5 実施例4〜6で使用した水素添加スチレン−イソプレン
トリブロック共重合体エラストマーのかわりに“セプト
ン2043”(クラレ(株)製、MI 2.7g/10
分、スチレン含有13重量%)を同量%使用した以外は
実施例4〜6と同様にして諸特性を測定した。その組成
比と結果を表3に示す。塗装性は、実施例4〜6に比べ
劣り、成形収縮率、線膨張係数は、タルク量が同量のも
のに比べ大きかった。
【0029】比較例6 水素添加スチレン−イソプレンの代わりに比較例2で使
用したエチレン−プロピレンゴムを使用した以外は、実
施例5と同様に配合し、塗装の前処理としてトリクロロ
エタンの蒸気に60秒間曝し、エッチング処理をした後
塗装性を評価した以外は、実施例5と同様に諸特性を測
定した。その配合比と結果を表3に示す。塗装性は、実
施例5と同等であるが成形収縮率、線膨張係数が大きか
った。
【0030】比較例7 水素添加スチレン−イソプレントリブロック共重合体エ
ラストマーの代わりにエチレン−ブテン共重合体エラス
トマー“EBM2041P”(日本合成ゴム(株)製、
メルトインデックス30g/10分、ブテン量18%)
を使用した以外は、実施例5と同様にして諸特性を測定
した。その配合比と結果を表3に示す。実施例5に比
べ、塗装性は同等であるが−30℃の衝撃強さが劣っ
た。また、同じメルトインデックスのエラストマーを使
用したにもかかわらず成形収縮率、線膨張係数は実施例
5に比べ大きかった。
【0031】実施例8〜10 水素添加スチレン−ブタジエントリブロック共重合体エ
ラストマー“タフテックH1031”(旭化成工業製、
メルトインデックス 40g/10分、スチレン量30
%)を使用し、実施例4と同様のエチレン−プロピレン
ブロック共重合体、タルク使用し表4に示す様に配合し
た以外は、実施例4と同様に諸特性を測定した。結果を
表4に示す。
【0032】比較例8 実施例9で使用した水素添加スチレン−ブタジエントリ
ブロック共重合体エラストマーのかわりに水素添加スチ
レン−ブタジエントリブロック共重合体エラストマーと
して“クレイトンG−1652”(シェル化学(株)
製、MI 1.9g/10分、スチレン含量29重量
%)を使用した以外は実施例9と同様にして塗装性、衝
撃強さ、成形収縮率、線膨張係数を評価した。その配合
比と結果を表4に示す。衝撃強さは、実施例9と比較し
て同等以上であるが、耐ガソリン性が著しく劣り、ま
た、成形収縮率、線膨張係数が大きかった。更に、成形
物の表面にフローマーク、ジェッティングが生じ(実施
例9では生じなかった。)、表面光沢も低かった。
【0033】比較例9 実施例8で使用した水素添加スチレン−ブタジエントリ
ブロック共重合体エラストマーを60重量%、実施例4
で使用したエチレン−ブタジエンブロック共重合体を3
0重量%、タルクを10重量%使用した以外は、実施例
7と同様にして塗装性、衝撃強さ、加熱変形温度、成形
収縮率、線膨張係数を評価した。その配合比と結果を表
4に示す。衝撃強さは優れるが、加熱変形温度が低く、
塗装を塗布し焼付ける際に試験片に変形を生じた。ま
た、エラストマー量が、多い為に、耐ガソリン性が劣っ
た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】本発明においては、従来ポリプロピレン
系の樹脂組成物からなる成形物の塗装では、不可欠であ
った、トリクロロエタンなどの蒸気によるエッチング、
プラズマ処理、火炎処理を行うことなく、更に、プライ
マーを使用しなくても、塗料との間に十分実用に耐えう
る密着強さが得られる。従って、本発明の樹脂組成物を
用いれば、地球の大気の上層部のオゾン層を破壊する可
能性があるトリクロロエタンを使用しないので、その成
形品の製造方法は、環境保安上殆ど問題が無い。また、
プラズマ処理などの様に、バッチ式の塗装工程を必要と
しない方法が取れるので、塗装量を減少させたり、塗装
費用を高めることは無い。また、火炎処理の様に本来熱
可塑性樹脂が持つ成形品の形状の自由さを失う事がな
い。更に、成形収縮率、線膨張係数が小さくその結果配
合するフィラー量が削減可能であり、自動車等の軽量化
に最適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53:02 7142−4J (72)発明者 星野 実 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン100重量部、及び23
    0℃で荷重2.16kg/cm2 の条件下で測定したメ
    ルトインデックスが25g/10分以上の水素添加スチ
    レン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロック
    共重合体エラストマー20〜100重量部からなること
    を特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 組成物の全重量基準で2〜35重量%の
    フィラーを更に含有することを特徴とする請求項1記載
    の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン100重量部、及び23
    0℃で荷重2.16kg/cm2 の条件下で測定したメ
    ルトインデックスが25g/10分以上の水素添加スチ
    レン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロック
    共重合体エラストマー20〜100重量部からなる樹脂
    組成物を成形し、その成形品の表面に予じめ表面処理を
    行うことなく直接塗料を塗布することを特徴とする塗装
    成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 組成物の全重量基準で2〜35重量%の
    フィラーを更に含有する樹脂組成物を用いることを特徴
    とする請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記成形品の表面にプライマー層を設け
    た後塗料を塗布することを特徴とする請求項3又は4記
    載の塗装成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記水素添加スチレン−ブタジエン又は
    スチレン−イソプレンブロック共重合体エラストマーの
    スチレン含有量が10〜40重量%であることを特徴と
    する請求項3又は4記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記ポリプロピレンがホモポリプロピレ
    ンであることを特徴とする請求項3又は4記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記ホモポリプロピレンが1部又は全部
    エチレン−プロピレンブロック共重合体で置き換えられ
    ていることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
JP4056608A 1991-02-15 1992-02-10 ポリプロピレン樹脂組成物及び該組成物を用いて得た塗装成形品の製造方法 Pending JPH05105788A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006194318A (ja) * 2005-01-12 2006-07-27 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリプロピレン樹脂組成物製パイプ
JP2008510031A (ja) * 2004-08-13 2008-04-03 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク 高分子組成物、その使用、及びその生産方法
US8344050B2 (en) 2007-02-16 2013-01-01 Asahi Organic Chemicals Industry Co., Ltd. Piping member formed by using propylene-based resin composition
JP2017527458A (ja) * 2014-06-23 2017-09-21 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 塗装ポリオレフィン物品

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