JPH05105429A - アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法 - Google Patents

アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

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JPH05105429A
JPH05105429A JP31304991A JP31304991A JPH05105429A JP H05105429 A JPH05105429 A JP H05105429A JP 31304991 A JP31304991 A JP 31304991A JP 31304991 A JP31304991 A JP 31304991A JP H05105429 A JPH05105429 A JP H05105429A
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thin film
oxide
amorphous
composition
substrate
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JP31304991A
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Inventor
Hisataka Fujii
壽崇 藤井
Atsushi Kashima
篤 加島
Kazuhiro Fujii
一宏 藤井
Iwao Okamoto
巌 岡本
Hiroyuki Futai
裕之 二井
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、薄膜型のコンデンサー素子、強誘
電体メモリー、電気光学デバイス等に適用しうる非晶質
(アモルファス)の強誘電性材料及びその製造方法を提
供する。 【構成】 遷移金属酸化物(M23 )−酸化燐(P2
5 )−YMnO3型化合物(ABO3 )を主成分とし
た三元酸化物からなり、かつ該三元酸化物がアモルファ
ス構造を有することを特徴とする。(ただし、M23
は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Hf、Ta、W、In及
びランタン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少
なくとも一種であり、ABO3 は強誘電性を示すYMn
3 型化合物である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜型のコンデンサー
素子、強誘電体メモリー、電気光学デバイス等が構成出
来る非晶質強誘電体酸化物材料及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】従来、ペロブスカイト
誘電材料に代表される無機系強誘電体材料に於いては、
その強誘電特性が結晶対称性に於ける一定の規則に基づ
いて発現している。同じく強誘電性が発現することで知
られているYMnO3 誘電体材料においてもその強誘電
性の発現原因は結晶対称性に於ける一定の規則に起因し
ている。このために強誘電性を顕著にするためには材料
の結晶性を高めることが重要である。実際に、YMnO
3 結晶構造を有する材料では結晶性を高めるために焼成
温度の調整、あるいは焼結密度の向上など上述した事項
に関連して多くの努力がなされてきた。一方、このよう
な強誘電体を応用したコンデンサー、強誘電体メモリー
等では材料が多結晶体の場合、粒界の存在によって耐電
圧の低下が生じたり、粒界に添ってリーク電流が発生
し、コンデンサーにおいてはロスの原因となり、またメ
モリーにおいては情報の保持性が損なわれるという問題
があった。また、結晶粒界の存在によって各種デバイス
の微細化が困難となるということも、誘電特性を応用し
た種々デバイスが小型化に向かっている今日、大きな問
題となっている。また、誘電体材料を電気光学素子とし
て展開する場合にも結晶粒界の存在は光の散乱を招き、
光デバイスを機能させるうえで光信号強度の減少、ノイ
ズの増大など重大な問題を伴う。これらの問題に対し
て、強誘電体材料を薄膜で構成し、マイクロデバイス化
されたコンデンサーや強誘電体メモリー、あるいは電気
光学デバイスを構成しようとする試みがある。薄膜に於
いては、結晶粒界の発生を回避するために、単結晶誘電
体薄膜の作製やアモルファス誘電体薄膜の作製などが試
みられている。単結晶誘電体薄膜ではエピタキシャル成
長を促すために基板にサファイア、MgO、GGGなど
の単結晶基板が薄膜との格子定数の整合性を考慮し使い
分けられる。又、製膜にはスパッタリング法や液相エピ
タキシャル成長法(LPE法)等の方法が取られる。し
かしながら、何れの方法も基板に高価な単結晶基板を使
用し、エピタキシャル成長のために、種々の条件コント
ロールを厳しく制御しなければならず、また結晶の成長
する結晶軸が単結晶の方位に規制され、さらに単結晶基
板の格子定数と薄膜の格子定数の差があまり大きくなる
と単結晶薄膜の成長が困難になるなど、実際の薄膜作製
は容易なものではない。さらに、これまで述べてきたよ
うなエピタキシャル成長法では、薄膜の単結晶化に、お
よそ600℃以上の高い熱処理温度を必要とするため
に、膜の熱処理によって膜の表面性が損なわれるという
問題もあり、強誘電体材料のマイクロデバイス化を図る
場合の大きな障壁になっていた。
【0003】アモルファス薄膜は単結晶薄膜と同様に、
結晶粒界が存在しないため、前述した強誘電体多結晶材
料に於いて発生する種々問題の解決のためにその実用化
が期待されている。しかしながら、従来YMnO3 型の
誘電体を使用し、アモルファス強誘電体薄膜を作製した
という例はない。
【0004】
【発明の目的】本発明における材料はアモルファス構造
を有し、このために結晶粒界や焼結体に見られるような
ポアー等が無く、損失の小さいコンデンサーや情報保持
性の高い強誘電体メモリー、あるいは電気光学デバイス
などに応用できる材料を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、遷移金属酸
化物(M23 )−酸化リン (P25 )−YMnO3
型化合物(ABO3 )を主成分とした三元酸化物を、真
空蒸着、スパッタリング法などの非晶質膜形成手段を用
いて基板上に、基板温度を300℃以下に保持しながら
非晶質の薄膜として作製し、これに熱処理などを施すこ
となく、作製したそのままの状態で強誘電体酸化物材料
を得る方法を採用することにより、上記問題の解決を図
ったものである。即ち、本発明は、遷移金属酸化物(M
23 )−酸化リン (P25 )−YMnO3 型化合
物(ABO3 )を主成分とした三元酸化物からなり、か
つ該三元酸化物がアモルファス構造を有することを特徴
とするアモルファス強誘電体材料(ただし、M23
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、
Zr、Nb、Mo、Pd、Hf、Ta、W、Inおよび
ランタン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少な
くとも一種であり、ABO3 強誘電性を示すYMnO3
型化合物である。)を提供するものである。さらに、本
発明は、上記三元酸化物を製膜手段を用いて基板上に、
基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の薄膜と
して作製し、作製したそのままの状態で強誘電体酸化物
材料を得ることを特徴とするアモルファス強誘電体酸化
物材料の製造法を提供するものである。
【0006】本発明のアモルファス強誘電体酸化物材料
は、遷移金属酸化物(M23 )−酸化リン (P25
)−YMnO3 型化合物(ABO3 )を主成分とした
三元酸化物からなる。ここに、M23 はSc、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zr、Nb、
Mo、Pd、Hf、Ta、W、In、及びLa、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuのランタン系列元素の酸化物か
らなる群から選ばれる少なくとも一種であり、ABO3
は強誘電性を示すYMnO3型化合物である。本発明の
アモルファス強誘電体酸化物材料は、上記三元酸化物を
アモルファス構造の形態に形成してなる。前記薄膜がア
モルファス構造を取りながら、強誘電性を示す組成を図
1に示す。同組成域は図1中においてα、β、γ、δ、
ε、φで囲まれた領域である。ここに於いて、直線αβ
はaM23 −(1−a)P25 で表される直線であ
り、直線βγは0.90P25 −0.10(bM2
3 −(1−b)ABO3 )で表される直線であり、直線
γδはcP25 −(1−c)ABO3 で表される直線
であり、直線δεは0.20(dP25−(1−d)
23 )−0.80ABO3 で表される直線であり、
直線εφはeABO3 −(1−e)M23 で表される
直線であり、直線φαは0.90M23−0.10
(fABO3 −(1−f)P25 )で表される直線で
あり、夫々の組成線において0.10≦a≦0.90か
つ0.00≦b≦1.00かつ0.20≦c≦0.90
かつ0.00≦d≦1.00かつ0.20≦e≦0.9
0かつ0.00≦f≦1.00なる範囲に規定された組
成線である。同図中においてABO3 はYMnO3 型の
種々誘電材料(YMnO3 、ErMnO3 等の強誘電体
材料)を表す。図1中、並びに後出の三角組成図に於い
て、三辺の刻みは1目盛0.1(mol比)を表す。こ
の図から解かるようにYMnO3 型の誘電材料の濃度の
高い領域ではアモルファス膜は作製できていない。しか
しながら、これにM23 あるいはP25 を過剰に添
加することにより、材料がアモルファス化し、しかも強
誘電性を呈するようになる。
【0007】本発明のアモルファス強誘電体薄膜の作製
方法によれば、上記三元酸化物を製膜手段を用いて基板
上に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の
薄膜として作製することにより、作製したそのままの状
態で強誘電体酸化物材料が得られる。製膜手段として
は、真空蒸着法、スパッタリング法など一般に用いられ
ている薄膜形成プロセスが用いられる。製膜中、基板温
度をアモルファス複合酸化物の結晶化温度(500〜6
00℃)以下、好ましくは300℃以下の基板温度に於
いて酸素雰囲気中で製膜することにより、強誘電性を有
するアモルファス酸化物薄膜が得られる。本発明に於い
ては、製膜時に単結晶基板などを用いて行なうエピタキ
シャル成長や製膜後、薄膜結晶化のための熱処理を施す
ことなく簡単に強誘電特性を呈する薄膜が得られる。こ
のために強誘電性薄膜作製に掛かる手間を大幅に軽減す
ると共に、非常に表面性のよい結晶粒界のない膜が作製
できるため強誘電体材料を応用した高密度強誘電体メモ
リー、超微細コンデンサーなどのマイクロデバイス、電
気光学デバイス等への展開が期待される。
【0008】
【実施例】
実施例1 薄膜作製にはRFマグネトロンスパッタリング装置を用
い、カソード板上に直径76mm、深さ4mmのステン
レス製シャーレを置き、その中に、P25 、Fe2
3 、YMnO3 の混合粉末を充填したものをターゲット
として用いた。P25 、Fe23 、YMnO3 の各
粉末はステンレス製のシャーレに充填するに先立ち、各
酸化物材料の粉末を調合したものをエタノールを溶媒と
して30分間ペイントシェーカーにより、湿式混合を行
なった。その後、さらに、脱媒、乾燥後、ステンレス製
シャーレに充填し、スパッタリングターゲットとして使
用した。スパッタガスはAr:O2 =7:3の混合ガス
で、Ar、O2 それぞれのガスの純度は99.995%
以上のものを使用した。基板には(111)方位のSi
ウエハーを使用した。Siウエハーはn型であり、抵抗
率はおよそ1(Ωcm)の物を使用した。Siウエハー
上には予め酸化処理により、膜厚200nmのSiO2
層を設けている。この層を設けた目的は主として誘電性
の評価時における電気絶縁性の確保のためである。製膜
に先だって基板温度を200℃まで上昇させ、主に基板
表面に吸着している水分の脱離処理を行なった。さら
に、製膜前に約30分ほどプリスパッタリングを行な
い、ターゲット表面の清浄化を図り、スパッタリング製
膜時における膜質と薄膜組成の安定化を図った。スパッ
タリングガス導入前、真空度が2x10-7Torr以下
に到達していることを確認した。スパッタ製膜中、全ガ
ス圧は25mTorrと一定にした。スパッタリング中
は基板を固定している銅製のアノードを水冷し、製膜中
の基板温度を20〜25℃に維持した。高周波投入電力
は110Wとし、30〜60分のスパッタリング製膜を
行なった。このようにして得られた薄膜はターゲットの
組成によりスパッタリング速度が変動するために膜厚に
変動が見られたが、およそ夫々の薄膜において500〜
1000nmの膜厚を示した。
【0009】以上のような薄膜形成プロセスにより、P
25、Fe23 、YMnO3 を三元とするスパッタ
薄膜を作製した。図2にNo.1〜25までの番号で示
した組成について作製し、夫々について膜構造の評価な
らびに誘電特性について測定した。尚、得られた薄膜に
ついて誘導プラズマ発光分析法によりターゲット組成と
薄膜組成の対応を調べたところ、およそ3%の誤差で、
両者の組成が対応していることが解かった。従って、以
下では薄膜の組成としてターゲットの仕込み組成を用い
て説明する。誘電特性は同特性評価において一般的に使
用されるソヤ・タワー回路によって評価した。この回路
により、電束密度(D)の電界依存性を評価し自発分極
(Ps)の値を求めた。なお、誘電性の評価に於いては
図3に示したような電極構成とし、薄膜1に電界を印加
するための電極4を酸化物薄膜2側から出すことにより
等価的に2つのコンデンサーC1 、C2 を直列に接続し
たような構成とし、Si3側から金属電極を出したとき
に金属電極とSiの界面に発生するショットキー特性を
防止し、正確な誘電性評価を行なった。尚、金属電極は
薄膜表面におよそ膜厚100nm、直径4mmのAu電
極をスパッタリング法によって形成した。
【0010】上記の薄膜形成法によって作製したスパッ
タリング薄膜について作製したままの状態(As−de
posit状態)の構造、誘電特性の評価を行なった。
まず、薄膜の構造について評価した結果について述べ
る。図2の点線A上において作製された種々組成のスパ
ッタ製膜後の膜のXRD回折結果を図4に示した。同図
中に示したNo.10、No.15、No.18は図2
中の番号に相当し、薄膜試料の組成を表している。XR
Dの線源にはCuのターゲットを使用し、さらにモノク
ロメーターを装着した。図4に示したXRDの結果には
基板として用いたSiの(111)面に相当する回折線
も薄膜の回折結果に重畳して見られている。YMnO3
薄膜No.7ではAs−deposit状態において薄
膜は結晶化していたが、P25 ならびにFe23
過剰になる組成(No.10、No.15、No.1
8)では薄膜の結晶化によるX線の回折線が全く認めら
れず、薄膜がアモルファス状態であることが解かる。さ
らに、図2の点線B上において作製された種々組成のス
パッタ製膜後の膜のXRD回折結果を図5に示す。同図
中に示したNo.3、No.16、No.22は図2中
の番号に相当し、薄膜試料の組成を表している。図5か
ら明らかなように、XRDの結果にはSiの(111)
面に相当する回折線の他には明瞭な回折線もなく、これ
らの組成の薄膜は全てアモルファス構造を有しているこ
とが解かる。さらに、図2に示したNo.1〜No.2
5の全ての膜についてXRD分析を行なった結果、同図
中において黒丸で示した薄膜においては、Siの(11
1)面に相当する回折線の他には明瞭な回折線もなく、
図2に於いてα、β、γ、δ、ε、φで囲まれた領域は
薄膜を作製した状態(As−deposit状態)で薄
膜がアモルファス構造を有することが解かった。
【0011】次いで、アモルファス構造の微細組織を観
察するために、図2におけるNo.15の組成の膜につ
いて高分解能のTEM観察を行なった。TEM観察にお
いては薄膜の表面側ならびに基板側よりエッチングを行
ない、薄膜の厚さ方向に対してほぼ中点付近の組織を観
察している。これによれば、0.3nmの分解能に於い
ても、格子像を認めることが出来なかった。同薄膜試料
について、直径約200nmの領域において制限視野電
子線回折を行い、観測された回折リングは非常に幅の広
いハローパターンを示し、薄膜のアモルファス性が非常
に高いことを示している。
【0012】次に、誘電特性について説明する。まず、
図2の点線A上に於ける誘電性ヒステリシスループの変
化を図6に示す。同線上においてNo.7の膜は薄膜が
導電性となり、誘電特性を評価することが出来なかっ
た。図6のヒステリシスループの左肩に示した番号は、
図2中の組成を示す番号に対応している。この結果、な
らびに図4の構造解析の結果から明らかなように、N
o.10、No.15、No.18の薄膜ではアモルフ
ァス構造を取りながら強誘電性を示していることが解か
った。また、図2に於ける直線A上の薄膜組成をy
(0.5Fe23 −0.5P25 )−(1−y)Y
MnO3 と表したときに、yに対する薄膜の飽和電荷密
度(Ps)の依存性を表した。飽和電荷密度は図6に示
した誘電特性のヒステリシスループから電界300〜5
00kV/cmに於ける電束密度(D)の電界依存性を
E=0軸に外挿し、同軸と交わった点に於ける電束密度
を飽和電荷密度と定義し求めた。図7より広い組成範囲
に亘って、Psが存在し、薄膜が強誘電性を示している
ことが解かるが、同線上においてはYMnO3 に近い組
成領域で強誘電性が消失していることが解かる。この組
成領域において析出している相は強誘電相ではなく、常
誘電相であると考えている。また、図2、線上Bにおい
ても各組成についてヒステリシスループの組成依存性を
示した(図8)。図8のヒステリシスループの左肩に示
した番号は、図2中の組成を示す番号に対応している。
これからも明らかなように全ての組成に薄膜において強
誘電性が観測されていることが解かる。このヒステリシ
スループより先に述べた方法で、飽和電荷密度(Ps)
を求めた。直線Bの組成変化は0.80(xP25
(1−x)Fe23 )−0.20YMnO3 なる表記
で表される。xに対するPsの依存性を図9に示した。
同図からも解かるように全てのx値に対してPsが存在
し強誘電性を示していることが解かる。さらに、前出の
図2中に示した全ての薄膜の組成について誘電特性とX
線による構造の評価を行なった。これらの結果をまとめ
て同図中に示した。即ち、同図中において黒丸はアモル
ファス強誘電性を示した薄膜の組成を示し、斜線を施し
た丸はアモルファス構造を取りながら常誘電性をしめし
た組成を示している。さらに白丸は結晶質の薄膜であ
り、同薄膜は導電性を示していた。同組成図上で検討し
た種々組成の薄膜について構造と誘電特性についてまと
めた。この図から明らかなように、アモルファス構造を
有しながら強誘電性を示す薄膜材料の組成は同図中に広
く分布しており、同図に於いて、α、β、γ、δ、ε、
φにて囲まれた領域(薄墨を施した部分)をアモルファ
ス構造を取りながら、強誘電性の発現する組成領域と定
義することが出来る。また、図2に示した全ての組成に
ついて、薄膜組成と飽和電荷密度Psの対応を表1に示
す。強誘電性を示す薄膜では、およそ38(nC/cm
2 )以上の飽和電荷密度を有し、この電荷密度は最大1
06(nC/cm2 )程度まで達していることが解か
り、強誘電体として十分な実用特性を有していると考え
られる。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1において説明した製膜法により基板をガラス基
板にかえて、薄膜を作製した。ガラス基板にはコーニン
グのNo.7059を使用した。図2に示したNo.1
5ならびにNo.20の組成の薄膜を作製した。スパッ
タ製膜された薄膜の膜厚はおよそ200nmであった。
作製された薄膜は琥珀色を呈していた。何れの薄膜も近
赤外領域では、反射防止膜を施し、光透過率の測定を行
なった。透過率の光波長依存性を図10に示す。この結
果から解かるようにアモルファス強誘電体薄膜は近赤外
領域に於いて90%以上の光透過率を有し、同薄膜の電
気光学素子への応用が考えられることが解かる。
【0015】実施例3 実施例1と同様の製膜法によりErMnO3 誘電体材料
として強誘電性のYMnO3 に変え、ErMnO3 を用
いて薄膜を作製した。作製した薄膜の組成は図11の三
角組成図にNo.1ならびに、No.25〜No.48
までの番号を付記した点として表した。As−depo
sit薄膜について誘電性とX線による構造解析を行な
った。その結果をまとめて図11に示す。同図中におい
て黒丸はアモルファス強誘電性を示した薄膜の組成を示
し、斜線を施した丸はアモルファス構造を取りながら常
誘電性を示した薄膜の組成を示している。さらに白丸は
結晶質の薄膜であり、導電性を示した薄膜の組成を示し
ている。この結果より、三角組成図に於いて、α、β、
γ、δ、ε、φにて囲まれた領域(薄墨を施した部分)
薄墨を施した組成領域でアモルファスの強誘電性が発現
していることを見い出した。ここに於いて、単体では反
強誘電性を示すErMnO3 材料もFe23 またはP
25 を過剰に添加することにより、顕著な強誘電性を
示すことが解かった。また、図11上に示した各組成に
対する飽和電荷密度の一覧を表2に示す。同表による
と、P25 −Fe23 −ErMnO3 系アモルファ
ス強誘電体薄膜では、最大で145(nC/cm2 )程
度の飽和電荷密度を観測した。
【0016】
【表2】
【0017】実施例4 M23 −P25 −YMnO3 系において、表3に示
す元素を用いて、夫々の薄膜を作製した。薄膜の作製は
実施例1に説明した方法により行なった。また、薄膜の
構造評価は、X線回折法により、その条件は実施例1に
述べたとおりであった。さらに、薄膜の誘電性評価法に
ついても実施例1と同様である。ただし、スパッタリン
グ製膜においてMがZr、Mo、Pd、Hf、Ta、W
の場合には、ターゲットとしてM23 の替わりに、各
元素の金属微粉を使用した。その他のSc、Ti、V、
Cr、Mn、Co、Ni、Y、Nb、In、La、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、LuについてはM23 型の酸
化物材料をターゲットに用いた。また、Ni23 につ
いては結晶水を含むためにターゲットとして使用する前
に、200℃程度まで加熱し、結晶水をとばし、無水物
化した。全てのM元素に対応して、図12に丸点で示し
た組成の膜を作製し、As−deposit状態で膜の
構造ならびに誘電特性を評価した。同図中において黒丸
はアモルファス強誘電性を示した薄膜の組成を示し、斜
線を施した丸はアモルファス構造を取りながら常誘電性
を示した薄膜の組成を示している。さらに白丸は結晶質
の薄膜であり、導電性になった薄膜の組成を示してい
る。この結果より、三角組成図に於いて、α、β、γ、
δ、ε、φにて囲まれた領域(薄墨を施した部分)薄墨
を施した組成領域でアモルファスの強誘電性が発現して
いることを見い出した。同組成図中にNo.49と付記
した組成の膜について種々のMにおいて測定された飽和
電荷密度(Ps)を表4に示した。これからも、同表に
示した全ての薄膜に於いてPsが観測され、夫々の薄膜
において強誘電性が発現していることが解かる。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】以上の様に、M23 −P25 −AB
3 (ABO3 はYMnO3 型誘電体)系の薄膜をRF
スパッタリング法などにより低い基板温度、例えば25
℃程度の基板温度により薄膜化することにより、アモル
ファス構造を有する透光性の高い強誘電性薄膜が得ら
れ、強誘電性を応用したセンサ、メモリ、電気光学素子
に応用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を説明するための組成系図であ
る。
【図2】図2は、本発明の一実施例を説明するための組
成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図である。
【図3】図3は、本発明の誘電特性評価法を説明するた
めの薄膜の構造図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例を説明するためのX
線回折図形である。
【図5】図5は、同実施例を説明するためのX線回折図
形である。
【図6】図6は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図7】図7は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図8】図8は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図9】図9は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図10】図10は、同実施例を説明するための光透過
率の波長異存特性を示す図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
【図12】図12は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 二井 裕之 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属酸化物(M23 )−酸化リン
    (P25 )−YMnO3 型化合物(ABO3 )を主成
    分とした三元酸化物からなり、かつ該三元酸化物がアモ
    ルファス構造を有することを特徴とするアモルファス強
    誘電体酸化物材料。(ただし、M23 は、Sc、T
    i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zr、N
    b、Mo、Pd、Hf、Ta、W、In及びランタン系
    列元素の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種
    であり、ABO3は強誘電性を示すYMnO3 型化合物
    である。)
  2. 【請求項2】 三元酸化物がM23 、P25 、AB
    3 の3成分の組成図において、aM23 −(1−
    a)P25 ならびに、0.90P25 −0.10
    (bM23 −(1−b)ABO3 )ならびに、cP2
    5 −(1−c)ABO3 ならびに、0.20(dP2
    5 −(1−d)M23 )−0.80ABO3 ならび
    に、eABO3 −(1−e)M23ならびに、0.9
    0M23−0.10(fABO3 −(1−f)P25
    )で表される夫々の組成線において0.10≦a≦
    0.90かつ0.00≦b≦1.00かつ0.20≦c
    ≦0.90かつ0.00≦d≦1.00かつ0.20≦
    e≦0.90かつ0.00≦f≦1.00なる範囲に規
    定された6本の組成線で囲まれた組成を有することを特
    徴とする請求項1のアモルファス強誘電体酸化物材料。
  3. 【請求項3】 三元酸化物が、薄膜の形態に形成されて
    いることを特徴とする請求項1又は請求項2のアモルフ
    ァス強誘電体酸化物材料。
  4. 【請求項4】 三元酸化物を製膜手段を用いて基板上
    に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の薄
    膜として作製し、作製したそのままの状態で強誘電体酸
    化物材料を得ることを特徴とする請求項3のアモルファ
    ス強誘電体酸化物材料の製造方法。
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