JPH05147940A - アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法 - Google Patents

アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

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JPH05147940A
JPH05147940A JP34406191A JP34406191A JPH05147940A JP H05147940 A JPH05147940 A JP H05147940A JP 34406191 A JP34406191 A JP 34406191A JP 34406191 A JP34406191 A JP 34406191A JP H05147940 A JPH05147940 A JP H05147940A
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JP
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thin film
oxide
amorphous
composition
film
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JP34406191A
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English (en)
Inventor
Hisataka Fujii
壽崇 藤井
Atsushi Kashima
篤 加島
Kazuhiro Fujii
一宏 藤井
Iwao Okamoto
巌 岡本
Hiroyuki Futai
裕之 二井
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、薄膜型のコンデンサー素子、強誘
電体メモリー、電気光学デバイス等に適用しうる非晶質
(アモルファス)の強誘電性材料及びその製造方法を提
供する。 【構成】 遷移金属酸化物(M23 )−酸化ボロン
(B23 )−Gd2(MoO43 型化合物A2 (B
43 を主成分とした三元酸化物からなり、かつ該三
元酸化物がアモルファス構造を有することを特徴とす
る。(ただし、M23 は、Sc、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、
Hf、Ta、W、In及びランタン系列元素の酸化物か
らなる群から選ばれる少なくとも一種であり、A2 (B
43 は強誘電性、反強誘電性または常誘電性を示す
Gd2 (MoO43 型化合物である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜型のコンデンサー
素子、強誘電体メモリー、電気光学デバイス等が構成出
来る非晶質強誘電体酸化物材料及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】従来、ペロブスカイト
誘電材料に代表される無機系強誘電体材料に於いては、
その強誘電特性が結晶対称性に於ける一定の規則に基づ
いて発現している。同じく強誘電性が発現することで知
られているGd2 (MoO43 誘電体材料においても
その強誘電性の発現原因は結晶対称性に於ける一定の規
則に起因している。このために強誘電性を顕著にするた
めには材料の結晶性を高めることが重要である。実際
に、Gd2 (MoO43 結晶構造を有する材料では結
晶性を高めるために焼成温度の調整、あるいは焼結密度
の向上など上述した事項に関連して多くの努力がなされ
てきた。一方、このような強誘電体を応用したコンデン
サー、強誘電体メモリー等では材料が多結晶体の場合、
粒界の存在によって耐電圧の低下が生じたり、粒界に添
ってリーク電流が発生し、コンデンサーにおいてはロス
の原因となり、またメモリーにおいては情報の保持性が
損なわれるという問題があった。また、結晶粒界の存在
によって各種デバイスの微細化が困難となるということ
も、誘電特性を応用した種々デバイスが小型化に向かっ
ている今日、大きな問題となっている。また、誘電体材
料を電気光学素子として展開する場合にも結晶粒界の存
在は光の散乱を招き、光デバイスを機能させるうえで光
信号強度の減少、ノイズの増大など重大な問題を伴う。
これらの問題に対して、強誘電体材料を薄膜で構成し、
マイクロデバイス化されたコンデンサーや強誘電体メモ
リー、あるいは電気光学デバイスを構成しようとする試
みがある。薄膜に於いては、結晶粒界の発生を回避する
ために、単結晶誘電体薄膜の作製やアモルファス誘電体
薄膜の作製などが試みられている。単結晶誘電体薄膜で
はエピタキシャル成長を促すために基板にサファイア、
MgO、GGGなどの単結晶基板が薄膜との格子定数の
整合性を考慮し使い分けられる。又、製膜にはスパッタ
リング法や液相エピタキシャル成長法(LPE法)等の
方法が取られる。しかしながら、何れの方法も基板に高
価な単結晶基板を使用し、エピタキシャル成長のため
に、種々の条件コントロールを厳しく制御しなければな
らず、また結晶の成長する結晶軸が単結晶の方位に規制
され、さらに単結晶基板の格子定数と薄膜の格子定数の
差があまり大きくなると単結晶薄膜の成長が困難になる
など、実際の薄膜作製は容易なものではない。さらに、
これまで述べてきたようなエピタキシャル成長法では、
薄膜の単結晶化に、およそ600℃以上の高い熱処理温
度を必要とするために、膜の熱処理によって膜の表面性
が損なわれるという問題もあり、強誘電体材料のマイク
ロデバイス化を図る場合の大きな障壁になっていた。
【0003】アモルファス薄膜は単結晶薄膜と同様に、
結晶粒界が存在しないため、前述した強誘電体多結晶材
料に於いて発生する種々問題の解決のためにその実用化
が期待されている。しかしながら、従来Gd2 (MoO
43 型の誘電体を使用し、アモルファス強誘電体薄膜
を作製したという例はない。
【0004】
【発明の目的】本発明における材料はアモルファス構造
を有し、このために結晶粒界や焼結体に見られるような
ポアー等が無く、損失の小さいコンデンサーや情報保持
性の高い強誘電体メモリー、あるいは電気光学デバイス
などに応用できる材料を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、遷移金属酸
化物(M23 )−酸化ボロン(B23 )−Gd
2(MoO43 型化合物(A2 (BO43 )を主成
分とした三元酸化物を、真空蒸着、スパッタリング法な
どの非晶質膜形成手段を用いて基板上に、基板温度を3
00℃以下に保持しながら非晶質の薄膜として作製し、
これに熱処理などを施すことなく、作製したそのままの
状態で強誘電体酸化物材料を得る方法を採用することに
より、上記問題の解決を図ったものである。即ち、本発
明は、遷移金属酸化物(M23 )−酸化ボロン(B2
3 )−Gd2 (MoO43 型化合物(A2 (BO
43 )を主成分とした三元酸化物からなり、かつ該三
元酸化物がアモルファス構造を有することを特徴とする
アモルファス強誘電体材料(ただし、M23 はSc、
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zr、
Nb、Mo、Pd、Hf、Ta、W、Inおよびランタ
ン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも
一種であり、A2 (BO43 強誘電性を示すGd2
(MoO43 型化合物である。)を提供するものであ
る。さらに、本発明は、上記三元酸化物を製膜手段を用
いて基板上に、基板温度を300℃以下に保持しながら
非晶質の薄膜として作製し、作製したそのままの状態で
強誘電体酸化物材料を得ることを特徴とするアモルファ
ス強誘電体酸化物材料の製造法を提供するものである。
【0006】本発明のアモルファス強誘電体酸化物材料
は、遷移金属酸化物(M23 )−酸化ボロン(B2
3 )−Gd2 (MoO43 型化合物(A2(BO43
)を主成分とした三元酸化物からなる。ここに、M2
3 はSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Hf、Ta、W、I
n、及びLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのランタ
ン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも
一種であり、A2 (BO43 は強誘電性を示すGd2
(MoO43 型化合物である。本発明のアモルファス
強誘電体酸化物材料は、上記三元酸化物をアモルファス
構造の形態に形成してなる。前記薄膜がアモルファス構
造を取りながら、強誘電性を示す組成を図1に示す。同
組成域は図1中においてα、β、γ、δ、ε、φで囲ま
れた領域である。ここに於いて、直線αβはaM23
−(1−a)B23 で表される直線であり、直線βγ
は0.90B23 −0.10(bM23 −(1−
b)A2 (BO43 )で表される直線であり、直線γ
δはcB23 −(1−c)A2 (BO43 で表され
る直線であり、直線δεは0.20(dB23 −(1
−d)M23 )−0.80A2 (BO43 で表され
る直線であり、直線εφはeA2 (BO43 −(1−
e)M23 で表される直線であり、直線φαは0.9
0M23 −0.10(fA2 (BO43 −(1−
f)B23 )で表される直線であり、夫々の組成線に
おいて0.10≦a≦0.90かつ0.00≦b≦1.
00かつ0.20≦c≦0.90かつ0.00≦d≦
1.00かつ0.20≦e≦0.90かつ0.00≦f
≦1.00なる範囲に規定された組成線である。同図中
においてA2 (BO43 はGd2 (MoO43 型の
種々誘電材料(Gd2 (MoO43 、Tb2 (MoO
43 等の強誘電体材料)を表す。図1中、並びに後出
の三角組成図に於いて、三辺の刻みは1目盛0.1(m
ol比)を表す。この図から解かるようにGd2 (Mo
43 型の誘電材料の濃度の高い領域ではアモルファ
ス膜は作製できていない。しかしながら、これにM2
3あるいはB23 を過剰に添加することにより、材料
がアモルファス化し、しかも強誘電性を呈するようにな
る。
【0007】本発明のアモルファス強誘電体薄膜の作製
方法によれば、上記三元酸化物を製膜手段を用いて基板
上に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の
薄膜として作製することにより、作製したそのままの状
態で強誘電体酸化物材料が得られる。製膜手段として
は、真空蒸着法、スパッタリング法など一般に用いられ
ている薄膜形成プロセスが用いられる。製膜中、基板温
度をアモルファス複合酸化物の結晶化温度(500〜6
00℃)以下、好ましくは300℃以下の基板温度に於
いて酸素雰囲気中で製膜することにより、強誘電性を有
するアモルファス酸化物薄膜が得られる。本発明に於い
ては、製膜時に単結晶基板などを用いて行なうエピタキ
シャル成長や製膜後、薄膜結晶化のための熱処理を施す
ことなく簡単に強誘電特性を呈する薄膜が得られる。こ
のために強誘電性薄膜作製に掛かる手間を大幅に軽減す
ると共に、非常に表面性のよい結晶粒界のない膜が作製
できるため強誘電体材料を応用した高密度強誘電体メモ
リー、超微細コンデンサーなどのマイクロデバイス、電
気光学デバイス等への展開が期待される。
【0008】
【実施例】
実施例1 薄膜作製にはRFマグネトロンスパッタリング装置を用
い、カソード板上に直径76mm、深さ4mmのステン
レス製シャーレを置き、その中に、B23 、Fe2
3 、Gd2 (MoO43 の混合粉末を充填したものを
ターゲットとして用いた。B23 、Fe23 、Gd
2 (MoO43 の各粉末はステンレス製のシャーレに
充填するに先立ち、各酸化物材料の粉末を調合したもの
をエタノールを溶媒として30分間ペイントシェーカー
により、湿式混合を行なった。その後、さらに、脱媒、
乾燥後、ステンレス製シャーレに充填し、スパッタリン
グターゲットとして使用した。スパッタガスはAr:O
2 =7:3の混合ガスで、Ar、O2 それぞれのガスの
純度は99.995%以上のものを使用した。基板には
(111)方位のSiウエハーを使用した。Siウエハ
ーはn型であり、抵抗率はおよそ1(Ωcm)の物を使
用した。Siウエハー上には予め酸化処理により、膜厚
200nmのSiO2 層を設けている。この層を設けた
目的は主として誘電性の評価時における電気絶縁性の確
保のためである。製膜に先だって基板温度を200℃ま
で上昇させ、主に基板表面に吸着している水分の脱離処
理を行なった。さらに、製膜前に約30分ほどプリスパ
ッタリングを行ない、ターゲット表面の清浄化を図り、
スパッタリング製膜時における膜質と薄膜組成の安定化
を図った。スパッタリングガス導入前、真空度が2x1
-7Torr以下に到達していることを確認した。スパ
ッタ製膜中、全ガス圧は25mTorrと一定にした。
スパッタリング中は基板を固定している銅製のアノード
を水冷し、製膜中の基板温度を20〜25℃に維持し
た。高周波投入電力は110Wとし、30〜60分のス
パッタリング製膜を行なった。このようにして得られた
薄膜はターゲットの組成によりスパッタリング速度が変
動するために膜厚に変動が見られたが、およそ夫々の薄
膜において500〜1000nmの膜厚を示した。
【0009】以上のような薄膜形成プロセスにより、B
23、Fe23 、Gd2 (MoO43 を三元とす
るスパッタ薄膜を作製した。図2にNo.1〜25まで
の番号で示した組成について作製し、夫々について膜構
造の評価ならびに誘電特性について測定した。尚、得ら
れた薄膜について誘導プラズマ発光分析法によりターゲ
ット組成と薄膜組成の対応を調べたところ、およそ3%
の誤差で、両者の組成が対応していることが解かった。
従って、以下では薄膜の組成としてターゲットの仕込み
組成を用いて説明する。誘電特性は同特性評価において
一般的に使用されるソヤ・タワー回路によって評価し
た。この回路により、電束密度(D)の電界依存性を評
価し自発分極(Ps)の値を求めた。なお、誘電性の評
価に於いては図3に示したような電極構成とし、薄膜1
に電界を印加するための電極4を酸化物薄膜2側から出
すことにより等価的に2つのコンデンサーC1、C2
直列に接続したような構成とし、Si3側から金属電極
を出したときに金属電極とSiの界面に発生するショッ
トキー特性を防止し、正確な誘電性評価を行なった。
尚、金属電極は薄膜表面におよそ膜厚100nm、直径
4mmのAu電極をスパッタリング法によって形成し
た。
【0010】上記の薄膜形成法によって作製したスパッ
タリング薄膜について作製したままの状態(As−de
posit状態)の構造、誘電特性の評価を行なった。
まず、薄膜の構造について評価した結果について述べ
る。図2の点線A上において作製された種々組成のスパ
ッタ製膜後の膜のXRD回折結果を図4に示した。同図
中に示したNo.10、No.15、No.18は図2
中の番号に相当し、薄膜試料の組成を表している。XR
Dの線源にはCuのターゲットを使用し、さらにモノク
ロメーターを装着した。図4に示したXRDの結果には
基板として用いたSiの(111)面に相当する回折線
も薄膜の回折結果に重畳して見られている。Gd2 (M
oO43 薄膜No.7ではAs−deposit状態
において薄膜は結晶化していたが、B23 ならびにF
23 が過剰になる組成(No.10、No.15、
No.18)では薄膜の結晶化によるX線の回折線が全
く認められず、薄膜がアモルファス状態であることが解
かる。さらに、図2の点線B上において作製された種々
組成のスパッタ製膜後の膜のXRD回折結果を図5に示
す。同図中に示したNo.3、No.16、No.22
は図2中の番号に相当し、薄膜試料の組成を表してい
る。図5から明らかなように、XRDの結果にはSiの
(111)面に相当する回折線の他には明瞭な回折線も
なく、これらの組成の薄膜は全てアモルファス構造を有
していることが解かる。さらに、図2に示したNo.1
〜No.25の全ての膜についてXRD分析を行なった
結果、同図中において黒丸で示した薄膜においては、S
iの(111)面に相当する回折線の他には明瞭な回折
線もなく、図2に於いてα、β、γ、δ、ε、φで囲ま
れた領域は薄膜を作製した状態(As−deposit
状態)で薄膜がアモルファス構造を有することが解かっ
た。
【0011】次いで、アモルファス構造の微細組織を観
察するために、図2におけるNo.15の組成の膜につ
いて高分解能のTEM観察を行なった。TEM観察にお
いては薄膜の表面側ならびに基板側よりエッチングを行
ない、薄膜の厚さ方向に対してほぼ中点付近の組織を観
察している。これによれば、0.3nmの分解能に於い
ても、格子像を認めることが出来なかった。同薄膜試料
について、直径約200nmの領域において制限視野電
子線回折を行い、観測された回折リングは非常に幅の広
いハローパターンを示し、薄膜のアモルファス性が非常
に高いことを示している。
【0012】次に、誘電特性について説明する。まず、
図2の点線A上に於ける誘電性ヒステリシスループの変
化を図6に示す。同線上においてNo.7の膜は薄膜が
導電性となり、誘電特性を評価することが出来なかっ
た。図6のヒステリシスループの左肩に示した番号は、
図2中の組成を示す番号に対応している。この結果、な
らびに図4の構造解析の結果から明らかなように、N
o.10、No.15、No.18の薄膜ではアモルフ
ァス構造を取りながら強誘電性を示していることが解か
った。また、図2に於ける直線A上の薄膜組成をy
(0.5Fe23 −0.5B23 )−(1−y)G
2 (MoO43 と表したときに、yに対する薄膜の
飽和電荷密度(Ps)の依存性を表した。飽和電荷密度
は図6に示した誘電特性のヒステリシスループから電界
300〜500kV/cmに於ける電束密度(D)の電
界依存性をE=0軸に外挿し、同軸と交わった点に於け
る電束密度を飽和電荷密度と定義し求めた。図7より広
い組成範囲に亘って、Psが存在し、薄膜が強誘電性を
示していることが解かるが、同線上においてはGd2
(MoO43に近い組成領域で強誘電性が消失してい
ることが解かる。この組成領域において析出している相
は強誘電相ではなく、常誘電相であると考えている。ま
た、図2、線上Bにおいても各組成についてヒステリシ
スループの組成依存性を示した(図8)。図8のヒステ
リシスループの左肩に示した番号は、図2中の組成を示
す番号に対応している。これからも明らかなように全て
の組成に薄膜において強誘電性が観測されていることが
解かる。このヒステリシスループより先に述べた方法
で、飽和電荷密度(Ps)を求めた。直線Bの組成変化
は0.80(xB23 −(1−x)Fe23 )−
0.20Gd2 (MoO43 なる表記で表される。x
に対するPsの依存性を図9に示した。同図からも解か
るように全てのx値に対してPsが存在し強誘電性を示
していることが解かる。さらに、前出の図2中に示した
全ての薄膜の組成について誘電特性とX線による構造の
評価を行なった。これらの結果をまとめて同図中に示し
た。即ち、同図中において黒丸はアモルファス強誘電性
を示した薄膜の組成を示し、斜線を施した丸はアモルフ
ァス構造を取りながら常誘電性をしめした組成を示して
いる。さらに白丸は結晶質の薄膜であり、同薄膜は導電
性を示していた。同組成図上で検討した種々組成の薄膜
について構造と誘電特性についてまとめた。この図から
明らかなように、アモルファス構造を有しながら強誘電
性を示す薄膜材料の組成は同図中に広く分布しており、
同図に於いて、α、β、γ、δ、ε、φにて囲まれた領
域(薄墨を施した部分)をアモルファス構造を取りなが
ら、強誘電性の発現する組成領域と定義することが出来
る。また、図2に示した全ての組成について、薄膜組成
と飽和電荷密度Psの対応を表1に示す。強誘電性を示
す薄膜では、およそ25(nC/cm2 )以上の飽和電
荷密度を有し、この電荷密度は最大105(nC/cm
2 )程度まで達していることが解かり、強誘電体として
十分な実用特性を有していると考えられる。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1において説明した製膜法により基板をガラス基
板にかえて、薄膜を作製した。ガラス基板にはコーニン
グのNo.7059を使用した。図2に示したNo.1
5ならびにNo.20の組成の薄膜を作製した。スパッ
タ製膜された薄膜の膜厚はおよそ200nmであった。
作製された薄膜は琥珀色を呈していた。何れの薄膜も近
赤外領域では、反射防止膜を施し、光透過率の測定を行
なった。透過率の光波長依存性を図10に示す。この結
果から解かるようにアモルファス強誘電体薄膜は近赤外
領域に於いて90%以上の光透過率を有し、同薄膜の電
気光学素子への応用が考えられることが解かる。
【0015】実施例3 実施例1と同様の製膜法によりGd2 (MoO43
電体材料として強誘電性のGd2 (MoO43 に変
え、Tb2 (MoO43 を用いて薄膜を作製した。作
製した薄膜の組成は図11の三角組成図にNo.1なら
びに、No.25〜No.48までの番号を付記した点
として表した。As−deposit薄膜について誘電
性とX線による構造解析を行なった。その結果をまとめ
て図11に示す。同図中において黒丸はアモルファス強
誘電性を示した薄膜の組成を示し、斜線を施した丸はア
モルファス構造を取りながら常誘電性を示した薄膜の組
成を示している。さらに白丸は結晶質の薄膜であり、導
電性を示した薄膜の組成を示している。この結果より、
三角組成図に於いて、α、β、γ、δ、ε、φにて囲ま
れた領域(薄墨を施した部分)薄墨を施した組成領域で
アモルファスの強誘電性が発現していることを見い出し
た。ここに於いて、単体では反強誘電性を示すTb2
(MoO43 材料もFe23 またはB23 を過剰
に添加することにより、顕著な強誘電性を示すことが解
かった。また、図11上に示した各組成に対する飽和電
荷密度の一覧を表2に示す。同表によると、B23
Fe23 −Tb2 (MoO43 系アモルファス強誘
電体薄膜では、最大で142(nC/cm2 )程度の飽
和電荷密度を観測した。
【0016】
【表2】
【0017】実施例4 M23 −B23 −Gd2(MoO43 系におい
て、表3に示す元素を用いて、夫々の薄膜を作製した。
薄膜の作製は実施例1に説明した方法により行なった。
また、薄膜の構造評価は、X線回折法により、その条件
は実施例1に述べたとおりであった。さらに、薄膜の誘
電性評価法についても実施例1と同様である。ただし、
スパッタリング製膜においてMがZr、Mo、Pd、H
f、Ta、Wの場合には、ターゲットとしてM23
替わりに、各元素の金属微粉を使用した。その他のS
c、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Nb、I
n、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuについてはM
23 型の酸化物材料をターゲットに用いた。また、N
23 については結晶水を含むためにターゲットとし
て使用する前に、200℃程度まで加熱し、結晶水をと
ばし、無水物化した。全てのM元素に対応して、図12
に丸点で示した組成の膜を作製し、As−deposi
t状態で膜の構造ならびに誘電特性を評価した。同図中
において黒丸はアモルファス強誘電性を示した薄膜の組
成を示し、斜線を施した丸はアモルファス構造を取りな
がら常誘電性を示した薄膜の組成を示している。さらに
白丸は結晶質の薄膜であり、導電性になった薄膜の組成
を示している。この結果より、三角組成図に於いて、
α、β、γ、δ、ε、φにて囲まれた領域(薄墨を施し
た部分)薄墨を施した組成領域でアモルファスの強誘電
性が発現していることを見い出した。同組成図中にN
o.49と付記した組成の膜について種々のMにおいて
測定された飽和電荷密度(Ps)を表4に示した。これ
からも、同表に示した全ての薄膜に於いてPsが観測さ
れ、夫々の薄膜において強誘電性が発現していることが
解かる。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】以上の様に、M23 −B23 −A2
(BO43 (A2(BO43 はGd2 (MoO43
型誘電体)系の薄膜をRFスパッタリング法などによ
り低い基板温度、例えば25℃程度の基板温度により薄
膜化することにより、アモルファス構造を有する透光性
の高い強誘電性薄膜が得られ、強誘電性を応用したセン
サ、メモリ、電気光学素子に応用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を説明するための組成系図であ
る。
【図2】図2は、本発明の一実施例を説明するための組
成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図である。
【図3】図3は、本発明の誘電特性評価法を説明するた
めの薄膜の構造図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例を説明するためのX
線回折図形である。
【図5】図5は、同実施例を説明するためのX線回折図
形である。
【図6】図6は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図7】図7は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図8】図8は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図9】図9は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図10】図10は、同実施例を説明するための光透過
率の波長異存特性を示す図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
【図12】図12は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二井 裕之 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属酸化物(M23 )−酸化ボロ
    ン(B23 )−Gd2 (MoO43 型化合物(A2
    (BO43 )を主成分とした三元酸化物からなり、か
    つ該三元酸化物がアモルファス構造を有することを特徴
    とするアモルファス強誘電体酸化物材料。(ただし、M
    23 は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
    Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Hf、Ta、W、
    In及びランタン系列元素の酸化物からなる群から選ば
    れる少なくとも一種であり、A2 (BO43 は強誘電
    性を示すGd2 (MoO43 型化合物である。)
  2. 【請求項2】 三元酸化物がM23 、B23 、A2
    (BO43 の3成分の組成図において、aM23
    (1−a)B23 ならびに、0.90B23 −0.
    10(bM23 −(1−b)A2 (BO43 )なら
    びに、cB23 −(1−c)A2 (BO43 ならび
    に、0.20(dB23 −(1−d)M23 )−
    0.80A2 (BO43 ならびに、eA2 (BO4
    3 −(1−e)M23 ならびに、0.90M23
    0.10(fA2 (BO43 −(1−f)B23
    で表される夫々の組成線において0.10≦a≦0.9
    0かつ0.00≦b≦1.00かつ0.20≦c≦0.
    90かつ0.00≦d≦1.00かつ0.20≦e≦
    0.90かつ0.00≦f≦1.00なる範囲に規定さ
    れた6本の組成線で囲まれた組成を有することを特徴と
    する請求項1のアモルファス強誘電体酸化物材料。
  3. 【請求項3】 三元酸化物が、薄膜の形態に形成されて
    いることを特徴とする請求項1又は請求項2のアモルフ
    ァス強誘電体酸化物材料。
  4. 【請求項4】 三元酸化物を製膜手段を用いて基板上
    に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の薄
    膜として作製し、作製したそのままの状態で強誘電体酸
    化物材料を得ることを特徴とする請求項3のアモルファ
    ス強誘電体酸化物材料の製造方法。
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US7026370B2 (en) 1998-03-26 2006-04-11 Sun Chemical Corporation Water compatible energy curable compositions containing malemide derivatives
US6835758B2 (en) 1998-11-14 2004-12-28 Sun Chemical Corporation Water compatible energy curable compositions containing malemide derivatives
US6858656B2 (en) 2001-07-23 2005-02-22 Sun Chemical Corporation Water compatible energy curable compositions containing malemide derivatives

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