JPH05104919A - タイヤ空気圧警報装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤ空気圧警報装置の圧力センサ組立体が
装着されるディスクホイールの回転軸に対する重量のア
ンバランスが生じないようにする。 【構成】 圧力センサの出力に応じて電気的に共振周波
数が変化するトランスミッタに対向するアンテナを備
え、このアンテナに短いパルス信号を送信して応答信号
を受信し、周波数を弁別してその出力により警報を送出
するタイヤ空気圧警報装置において、圧力センサ、トラ
ンスミッタ、およびその配線の重量に対応する統一規格
のバランスウエイトをディスクホイール裏面の空気圧供
給用エアバルブの近傍に設ける。 【効果】 圧力センサ組立体の装着により生じるアンバ
ランスの調整作業をなくすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の走行中にタイ
ヤ空気圧を自動的に検出し、検出したタイヤ空気圧に異
常がある場合に運転席に警報を送出する装置として利用
する。本発明はタイヤリムに圧力センサを取付ける構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】タイヤ空気圧を検出する圧力スイッチ
と、この圧力スイッチにより変化する電磁的な共振回路
とをタイヤ側に設け、この共振回路の共振状態を車体側
に設けた装置から無線により検出するタイヤ空気圧検出
装置は実開昭６１−８１３９６号公報、実開平１−１４
７７０６号公報、実開平２−１１６３９５号公報などに
より知られている。

【０００３】これらの従来技術は、いずれも走行中のタ
イヤ空気圧を無線信号により監視して、タイヤ空気圧の
減少を早めに捉えて運転席に警報を送出することができ
るとともに、タイヤ側の装置が電源装置をいっさい必要
としない単純な構造で実現できる優れた思想である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の原理を
利用した技術は、多くの応用研究が行われたにもかかわ
らず、相当程度の高い信頼性のある装置が通常の自動車
に搭載して利用できる程度の価格で提供できるようにな
らないために、現実には市販の自動車に搭載されるよう
にはなっていない。その主な原因は、タイヤに取付ける
センサおよび電磁的な共振回路を含むトランスミッタ
が、車両の走行に伴い激しい振動を受けることから、そ
れに十分に耐える機械的な構造が得られないこと、その
構造を得るためにホイールの構造その他に変更の必要を
生じて、従来からある量産されるホイールを利用できな
くなること、小型自動車では車軸は２本でありタイヤの
数は４であるが、大型自動車では車軸の数が３本でタイ
ヤの数が１０のものもあり、これらを集中制御する合理
的な制御回路が実用車両で気軽に利用できるほど安価に
得られなかったことなどにある。

【０００５】本発明の発明者らは、この装置を搭載する
自動車の量産工程について検討した。その結果、この装
置を搭載することにより車輪に従来なかった圧力セン
サ、トランスミッタおよびその間を結ぶ配線などが新た
に取付けられることから、車輪の回転バランスが失わ
れ、これを調整するために製造工程の上で調整工数が増
大する問題があることがわかった。すなわち、従来から
自動車の量産工程では車両への車輪装着前に個々のディ
スクホイールおよびタイヤの組立体についてその回転軸
に対する重量のアンバランスを検出し、小型のバランス
ウエイトをディスクホイールに打ち込む作業が行われて
いる。上述のように新たに取付けられる部品があると、
本来的に回転軸に対する重量のアンバランスを生じさせ
ることになるから、この作業工程でこの重量のアンバラ
ンスを調整することは不可能ではないものの、作業工数
を大きく増大することになる。

【０００６】本発明はこのような問題を解決するもの
で、自動車の組立ラインで余分な作業工数を増大させる
ことがないタイヤ空気圧警報装置を提供することを目的
とする。さらに本発明はそのためのディスクホイールの
構造を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、圧力センサ
と、この圧力センサの出力に応じて共振周波数が変化す
るトランスミッタとがタイヤ側に取付けられ、このトラ
ンスミッタに対向するアンテナと、このアンテナに信号
を送受信する制御回路と、この制御回路の警報出力を表
示する表示器とが車体側に取付けられ、前記制御回路
は、前記アンテナに短いパルス信号を送信する送信回路
と、そのパルス信号の送信に応答して前記トランスミッ
タが発信する共振信号を受信する受信回路と、その共振
信号の周波数を弁別する周波数弁別回路と、この周波数
弁別回路の出力により前記警報出力を送出するプログラ
ム制御回路とを含むタイヤ空気圧警報装置において、前
記圧力センサ、前記トランスミッタおよびこの圧力セン
サとこのトランスミッタとの間の配線およびこれらの取
付ブラケットの重量にほぼ等しいバランスウエイトがそ
のディスクホイールに設けられたことを特徴とする。

【０００８】ディスクホイールには空気圧供給用のエア
バルブの他に前記圧力センサを取付けるための専用のエ
アバルブが設けられ、前記空気圧供給用のエアバルブの
位置からディスクホイール円周上ほぼ１８０度ずれた位
置に前記トランスミッタおよび配線が取付けられ、この
トランスミッタおよび配線の取付け位置から前記円周上
α度（ただし６°≦α≦１５°）ずれた位置に前記専用
のエアバルブが設けられ、前記バランスウエイトは、こ
の空気圧供給用のエアバルブの位置近傍にあらかじめ設
定された統一規格のものが１個ディスクホイールの裏面
に溶接により取付けられることが望ましい。

【０００９】

【作用】新たに取付けられる圧力センサ、トランスミッ
タおよびその間を接続する配線、さらにディスクホイー
ルに設けられる圧力センサ専用のエアバルブおよび取付
ブラケットなどの部品は、その総重量は数百グラムであ
り、それが既存の空気圧供給用のエアバルブからディス
クホイール円周上をほぼ１８０度ずれた位置に集中的に
取付けられることになる。したがって、この総重量に対
応するバランスウエイトを既存の空気圧供給用のエアバ
ルブの近傍にあらかじめ多数の製品について統一的に設
定しておく。このバランスウエイトがあらかじめディス
クホイールに設けられていることにより、自動車の量産
工程における車輪のアンバランス検出およびその調整の
ための作業工程では、従来から行われている各タイヤの
バラツキによるアンバランスの検出およびその調整を行
うだけで、これら各種部品が実装されたことによる影響
をほとんど受けなくなることがわかった。

【００１０】本発明実施例ではこのバランスウエイトと
して、１個の金属片をディスクホイールの裏面に溶接す
ることにより試験を行い良好な結果を得たが、これはま
だ金属片を溶接する工程が余分にかかることを意味する
もので、将来的には、ディスクホイールの製造工程で実
質的に所定位置の重量を部分的に増大させておく構造を
とることにより本発明を実施することができる。

【００１１】

【実施例】本発明実施例装置の基本的な構造およびその
動作原理をはじめに説明する。図１は本発明実施例装置
のブロック構成図である。タイヤにはそれぞれその空気
圧を検出する圧力センサ１が取付けられている。この圧
力センサ１はタイヤ空気圧が所定値以上であるときには
接点が閉じタイヤ空気圧が所定値を下回ると接点が開く
圧力スイッチであり、この圧力スイッチにはトランスミ
ッタ２が電気的に接続されている。このトランスミッタ
２は共振回路である。圧力センサ１の圧力スイッチによ
りこの共振回路のコンデンサの容量が変化して共振周波
数が変化する。

【００１２】車両側には各トランスミッタ２に対向して
アンテナ３が設置される。アンテナ３はタイヤ毎に設け
られ、電気配線により制御回路４に接続される。制御回
路４の出力は運転席に設けられた表示器（ランプ）５に
接続される。

【００１３】図２はこの実施例装置の動作原理を説明す
る図である。圧力センサ１は圧力スイッチであってタイ
ヤ空気圧が所定値以上であるときには接点７が閉じてい
るが、タイヤ空気圧が所定値を下回ると接点７が開く。
トランスミッタ２の中には１個のコイルＬ１とそのコイ
ルＬ１に並列に接続されたコンデンサＣ１およびＣ２が
あり、このうちコンデンサＣ１は上記圧力スイッチの接
点７を経由して接続されるようになっている。したがっ
て、タイヤ空気圧が十分高いときには二つのコンデンサ
Ｃ１およびＣ２は並列接続であるが、タイヤ空気圧が低
くなるとコンデンサＣ１は切り離されてコンデンサＣ２
のみがコイルＬ１に接続される状態になる。

【００１４】このように接点７の開閉にしたがってトラ
ンスミッタ２の共振周波数が変化する。ちなみに、接点
７が閉じ二つのコンデンサＣ１、Ｃ２が並列の状態では
この共振周波数は８７ｋＨｚであり、コンデンサＣ１が
切り離されると共振周波数は１４０ｋＨｚになる。

【００１５】図３は制御回路４の構成図である。端子１
０にはアンテナ３が接続される。発振器１１により短い
幅のパルスが発振され（この実施例ではパルス幅数μ
Ｓ、繰り返し時間数十μＳ）、増幅器１２で増幅されて
アンテナ３から電磁波として送出される。トランスミッ
タ２のコイルＬ１にこの電磁波が感応すると、コイルＬ
１およびコンデンサＣ１、Ｃ２からなる共振回路が刺激
されて共振周波数で減衰振動を持続する。この共振周波
数は電磁波となってアンテナ３に捕捉され、増幅器１３
から周波数弁別回路１４に入力する。ここで共振周波数
が検出され、プログラム制御回路１５に入力する。この
動作をプログラム制御回路１５の制御により各車輪につ
いて順次実行し、一つでもタイヤ空気圧の低下が検出さ
れれば表示端子１９に警報出力を送出し、運転席の表示
器（ランプ）５を点灯させる。

【００１６】ここで、本発明の特徴とするディスクホイ
ールの構成について説明する。

【００１７】図４は本発明実施例装置に用いられるディ
スクホイールの構成を示す平面図、図５は本発明実施例
装置に用いられるディスクホイールの図４に示すＢ−Ｂ
一部断面図、図６は本発明実施例装置に用いられるディ
スクホイールが複輪の場合の圧力センサ組立体の構成お
よび取付状態を示す図、図７は本発明実施例装置に用い
られるディスクホイールが複輪の場合の圧力センサ組立
体の結線状態を示す図である。

【００１８】本発明実施例装置に用いられるディスクホ
イール９には、図７に示す圧力センサ１およびトランス
ミッタ２と、その間の配線２４および２５と、配線２４
をブラケット２１、２２、２３に取付ける締付手段２６
とを含む圧力センサ組立体２０が図６に示すようにディ
スクホイール９に取付けられる。

【００１９】さらに、ディスクホイール９には、図４に
示す位置に設けられた空気圧供給用エアバルブ６′の他
に、圧力センサ組立体２０の圧力センサ１を取付けるた
めの専用のエアバルブ６が、空気圧供給用エアバルブ
６′からディスクホイール９の円周上ほぼ１８０度ずれ
た位置に取付けられた圧力センサ組立体２０を基点とし
てα度（ただし６°≦α≦１５°）ずれた位置に取付け
られ、このエアバルブ６に圧力センサ１が螺合される。

【００２０】このようにディスクホイール９の円周上の
片側に圧力センサ組立体２０およびエアバルブ６が配置
されるために、ディスクホイール９には回転軸に対する
アンバランスが生じる。本発明は、このようなアンバラ
ンスを解消するため、取付けられた部品の重量に相当す
るバランスウエイト３０を図４および図５に示すよう
に、ディスクホイール９に取付けられた圧力センサ組立
体２０の位置に対向してあらかじめ設けておくことを特
徴とする。

【００２１】このバランスウエイト３０はディスクホイ
ールの裏面に溶接により取付けられるが、あらかじめデ
ィスクホイール９の製造時に、所定位置の肉厚を厚くし
て所定重量が得られるように同時成形しておくことも可
能であり、この方法によればバランスウエイト３０を溶
接する作業が不用になり、製造工数をさらに削減するこ
とが可能となる。

【００２２】このように圧力センサ組立体２０、エアバ
ルブ６、およびブラケット２１、２２、２３を含む総重
量に対応するバランスウエイト３０を既存の空気圧供給
用エアバルブ６′の近傍にあらかじめ多数の製品につい
て統一的に設定しておくことにより、車輪のアンバラン
ス検出および調整の通常の作業工程に圧力センサ組立体
２０を含む各種部品が実装されたために生じる余分な負
荷がかかることはなく、従来通りの作業工数で製造する
ことができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、デ
ィスクホイールの裏面に圧力センサ組立体の重量に対応
するバランスウエイトを設けることにより、圧力センサ
組立体の装着に伴って生じるディスクホイールの回転軸
に対する重量のアンバランスをなくすことができ、車両
にタイヤ空気圧警報装置を装備したために作業工数が増
大することを防ぐことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例装置のブロック構成図。

【図２】本発明実施例装置の動作原理を説明する図。

【図３】本発明実施例における制御回路のブロック構成
図。

【図４】本発明実施例装置に用いられるディスクホイー
ルの構成を示す平面図。

【図５】本発明実施例装置に用いられるディスクホイー
ルの図４に示すＢ−Ｂ一部断面図。

【図６】本発明実施例装置に用いられるディスクホイー
ルが複輪の場合の圧力センサ組立体の構成および取付状
態を示す図。

【図７】本発明実施例装置に用いられるディスクホイー
ルが複輪の場合の圧力センサ組立体の結線状態を示す
図。

【符号の説明】

１ 圧力センサ ２ トランスミッタ ３ アンテナ ４ 制御回路 ５ 表示器（ランプ） ６ エアバルブ ６′空気圧調整用エアバルブ ７ 接点 ８ タイヤリム ９ ディスクホイール １０ 端子 １１ 発振器 １２、１３ 増幅器 １４ 周波数弁別回路 １５ プログラム制御回路 １９ 表示端子 ２０ 圧力センサ組立体 ２１、２２、２３ ブラケット ２４、２５ 配線 ２６ 締付手段 ３０ バランスウエイト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力センサと、この圧力センサの出力に
   応じて共振周波数が変化するトランスミッタとがタイヤ
   側に取付けられ、 このトランスミッタに対向するアンテナと、このアンテ
   ナに信号を送受信する制御回路と、この制御回路の警報
   出力を表示する表示器とが車体側に取付けられ、 前記制御回路は、前記アンテナに短いパルス信号を送信
   する送信回路と、そのパルス信号の送信に応答して前記
   トランスミッタが発信する共振信号を受信する受信回路
   と、その共振信号の周波数を弁別する周波数弁別回路
   と、この周波数弁別回路の出力により前記警報出力を送
   出するプログラム制御回路とを含むタイヤ空気圧警報装
   置において、 前記圧力センサ、前記トランスミッタおよびこの圧力セ
   ンサとこのトランスミッタとの間の配線および取付ブラ
   ケットの重量にほぼ相当するバランスウエイトがそのデ
   ィスクホイールに設けられたことを特徴とするタイヤ空
   気圧警報装置。
2. 【請求項２】 ディスクホイールには空気圧供給用のエ
   アバルブの他に前記圧力センサを取付けるための専用の
   エアバルブが設けられ、前記空気圧供給用のエアバルブ
   の位置からディスクホイール円周上ほぼ１８０度ずれた
   位置に前記トランスミッタおよび配線が取付けられ、こ
   のトランスミッタおよび配線の取付け位置から前記円周
   上α度（ただし６°≦α≦１５°）ずれた位置に前記専
   用のエアバルブが設けられ、 前記バランスウエイトは、この空気圧供給用のエアバル
   ブの位置近傍にあらかじめ設定された統一規格のものが
   １個ディスクホイールの裏面に溶接により取付けられた
   請求項１記載のタイヤ空気圧警報装置。
3. 【請求項３】 空気圧供給用のエアバルブの位置近傍に
   統一規格のバランスウエイトが設けられたディスクホイ
   ール。