JPH05104639A - サスペンシヨンメンバ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インサートナット12と、そのナット12を間に
挟むように積層された長繊維強化材の織物10と、その織
物10をナット12の周辺部で縫い合わせる長繊維強化材の
糸13とからなる予備成形品14を具え、その予備成形品14
を樹脂製サスペンションメンバのブラケット３にインサ
ートしてなるものである。 【効果】 織物10をナット12の周辺部で長繊維強化材の
糸13によって縫い合わせてあるので、ナット12が車輪か
らの横力でこじられても、糸13が引っ張り方向で荷重を
受け止めてそれらの織物10の層間剥離を防止し、そして
ナット12よりも広い面積を持ちかつ樹脂11への接着性も
良い予備成形品14が、ブラケット３にインサートされ
て、ナット12が受けた荷重をサスペンションメンバの他
の部分に有効に分散させるので、軽量で組立工数も嵩ま
ない樹脂製サスペンションメンバを、充分な耐久性を持
たせて形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、車両用のサスペンシ
ョンメンバの構造に関し、特には、樹脂製サスペンショ
ンメンバの耐久性を高める構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の車両用のサスペンションメンバと
しては、例えば図３に示す自動車用のサスペンションメ
ンバがあり、このサスペンションメンバは、プレス成形
された鋼板製のメンバ本体１と、そのメンバ本体１に各
々溶接された、これもプレス成形された鋼板製の車体取
付用ブラケット２およびステアリングギヤ取付用ブラケ
ット３とからなり、そのメンバ本体１の側端部はサスペ
ンションロワリンク４を枢支し、また部品締結部として
のステアリングギヤ取付用ブラケット３は、図４に示す
ように、その下面に溶接されたナット５へのボルト６の
締着により、止め具７およびインシュレータ８を介しラ
ックピニオン式のステアリングギヤ９を固定支持してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンションメンバにあっては、鋼板製であり、
しかもメンバ本体１や二つのブラケット2, 3等の複数の
部品から構成されているため、重量が重く、組立工数が
嵩むという問題があった。

【０００４】そしてこの問題の解決のためには、図５に
示すように、ガラス繊維やカーボン繊維等の長繊維強化
材の織物10を積層して強化した樹脂11で、メンバ本体
１、車体取付用ブラケット２およびステアリングギヤ取
付用ブラケット３を一体成形することにて、樹脂製サス
ペンションメンバを形成することが考えられるが、かか
る樹脂製サスペンションメンバにおいて、そのステアリ
ングギヤ取付用ブラケット部３の構造を、単にその内部
の織物10の間に締結部材としてのインサートナット12を
挟むことにてそこにインサートナット12をインサートす
るものとすると、織物10の厚さ方向の強度あるいは剛性
が充分には確保できないため、図６に示す如く、ステア
リングギヤ９が車輪から受けた横力Ｆによってインサー
トナット12がこじられた場合に、積層した織物10に矢印
Ｓで示すように層間剥離が発生してしまい、耐久性が充
分確保できないという問題があった。

【０００５】この発明は、上述の課題を有利に解決した
サスペンションメンバ構造を提供することを目的とする
ものであり、この発明のサスペンションメンバ構造は、
締結部材と、前記締結部材を間に挟むように積層された
繊維強化材の織物と、前記織物を前記締結部材の周辺部
で縫い合わせる繊維強化材とからなる予備成形品を具
え、前記予備成形品を樹脂製サスペンションメンバの部
品締結部にインサートすることを特徴とするものであ
る。

【０００６】

【作用】かかる構造にあっては、締結部材を間に挟んで
積層された繊維強化材の織物をその締結部材の周辺部で
繊維強化材によって縫い合わせてあるので、締結部材が
こじられても、織物を縫い合わせている繊維強化材が引
っ張り方向で荷重を受け止めてそれらの織物の層間剥離
を防止する。そして締結部材よりも広い面積を持ちかつ
樹脂への接着性も良い予備成形品が、部品締結部にイン
サートされて、締結部材が受けた荷重をサスペンション
メンバの他の部分に有効に分散させる。

【０００７】従ってこの発明のサスペンションメンバ構
造によれば、軽量で組立工数も嵩まない樹脂製サスペン
ションメンバを、充分な耐久性を持たせて形成すること
ができる。

【０００８】

【実施例】以下に、この発明の実施例を図面に基づき詳
細に説明する。図１は、この発明のサスペンションメン
バ構造を自動車用の樹脂製サスペンションメンバのステ
アリングギヤ取付用ブラケットに適用した一実施例を示
す断面図であり、図中図５および図６と同様の部分はそ
れと同一の符号にて示す。

【０００９】この実施例のサスペンションメンバは、ガ
ラス繊維やカーボン繊維等の長繊維強化材の織物10を積
層し、その積層体に樹脂11を含浸させて形成した、図３
に示すメンバ本体１、車体取付用ブラケット２およびス
テアリングギヤ取付用ブラケット３を一体成形してなる
ものであり、例えばハンドレイアップ成形法や、レジン
インジェクション成形法等により形成することができ
る。

【００１０】しかしてここでは上記樹脂製サスペンショ
ンメンバの、部品締結部としてのステアリングギヤ取付
用ブラケット３を形成するに際し、先ず図２に示すよう
に、締結部材としてのインサートナット12を間に挟むよ
うに長繊維強化材の織物10を数枚積層し、その織物10を
インサートナット12の周辺部で、その織物10を構成する
ものと同一材質の長繊維強化材の糸13を用いて縫い合わ
せて、予備成形品14を形成する。

【００１１】そしてその後、上記予備成形品14を、図１
に示すようにステアリングギヤ取付用ブラケット３を構
成すべき織物10の間に挟み込み、その織物10と予備成形
品14を形成する織物10とに樹脂11を含浸させてブラケッ
ト３を形成し、これによりステアリングギヤ取付用ブラ
ケット３に予備成形品14をインサートする。

【００１２】かかる構造にあっては、インサートナット
12を間に挟んで積層された長繊維強化材の織物10をその
インサートナット12の周辺部で長繊維強化材の糸13によ
って縫い合わせてあるので、インサートナット12が車輪
からの横力でこじられても、織物10を縫い合わせている
長繊維強化材の糸13が引っ張り方向で荷重を受け止めて
それらの織物10の層間剥離を防止する。そして、インサ
ートナット12よりも広い面積を持ちかつ樹脂11への接着
性も良い予備成形品14が、ステアリングギヤ取付用ブラ
ケット３にインサートされて、インサートナット12が受
けた荷重をサスペンションメンバの他の部分に有効に分
散させる。

【００１３】従ってこの実施例のサスペンションメンバ
構造によれば、軽量で組立工数も嵩まない樹脂製サスペ
ンションメンバを、充分な耐久性を持たせて形成するこ
とができる。

【００１４】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、締結部
材としてインサートナット12の代わりにインサートボル
トの頭部をインサートする場合に適用しても良く、また
上記例のステアリングギヤ取付用ブラケット３の代わり
に他のブラケット等の部品締結部に締結部材をインサー
トする場合に適用しても良い。

【００１５】

【発明の効果】かくしてこの発明のサスペンションメン
バ構造によれば、軽量で組立工数も嵩まない樹脂製サス
ペンションメンバを、充分な耐久性を持たせて形成する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のサスペンションメンバ構造の一実施
例を示す断面図である。

【図２】（ａ）は、上記実施例の構造で用いる予備成形
品を示す斜視図であり、（ｂ）はその予備成形品を示す
断面図である。

【図３】従来の自動車用サスペンションメンバを示す斜
視図である。

【図４】上記従来のサスペンションメンバを示す断面図
である。

【図５】上記サスペンションメンバを樹脂製のものとし
た場合の従来構造を示す断面図である。

【図６】上記従来構造の、図５のＡ−Ａ線に沿う断面図
である。

【符号の説明】

１ メンバ本体 ３ ステアリングギヤ取付用ブラケット 10 長繊維強化材の織物 11 樹脂 12 インサートナット 13 長繊維強化材の糸 14 予備成形品

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 締結部材（12）と、 前記締結部材を間に挟むように積層された繊維強化材の
   織物（10）と、 前記織物を前記締結部材の周辺部で縫い合わせる繊維強
   化材（13）とからなる予備成形品（14）を具え、 前記予備成形品を樹脂製サスペンションメンバの部品締
   結部（３）にインサートしてなる、サスペンションメン
   バ構造。