JPH04832B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はオフセツト印刷技術に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

オフセツト印刷機において、版胴にインキや水
を供給するインキングローラや水棒ローラを軸方
向に左右に振り動かすとゴースト（先に印刷され
る部分の版面画像が次に印刷される部分の版画画
像の上に残像のように重なつて印刷物に現われる
薄い陰影で一種の印刷不良）が解消されるという
効果が認められる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来この種の印刷ローラの軸方向への往復駆動
がカムやリンク機構によるため、装置構造が複雑
で部品点数が多く、製作・処理がコスト高で取り
扱いが不便であり、又、ゴースト解消の効果も不
十分であつた。

〔発明の目的〕

そこで本発明はカーストによる印刷不良を解消
することを第一の目的とする。

本発明の第二の目的は印刷ローラの軸方向への
往復駆動の装置構造を簡素化して取り扱い易いも
のとすることである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的にそつて鋭意研究するに、回転しイ
ンキを練りつつ版胴に供給するインキングローラ
を軸方向に往復駆動するとインキングローラ表面
が左右に撫でられてインキの塗膜斑がなくなりゴ
ースト解消の効果が生じるが、この往復駆動サイ
クルをランダムにするとインキの粘度が下がつて
練り具合がよく印刷適正のよいチクソトロピカル
な挙動を示すようになること、そして、水棒ロー
ラの往復駆動サイクルをもランダムにすると版面
の水塗膜の斑がなくなりゴースト解消の効果が更
に高まるとの知見を得て本発明を完成するに到つ
た。

〔発明の構成〕

即ち本発明は軸方向に駆動すべき印刷ローラ
を、ローラ本体の軸芯挿通孔に軸芯を挿通して軸
方向に摺動可能で軸芯の円周方向に可回転にロー
ラ本体を軸支し、その軸芯にソレノイドコイル
（電磁石の様に、電気のオン・オフにより磁界の
変化を生じるもの）を装着し、そのソレノイドコ
イルの装着位置に向き合うローラ本体の軸芯挿通
孔内部に磁性体を装着し、そのソレノイドコイル
の磁界の変化に応じてローラ本体が軸方向に駆動
されるように構成し、これをオフセツト印刷機の
インキングローラ又は水棒ローラの一本又は数本
に装着することを要旨とするものである。

ローラ本体の周面は、水棒ローラにあつてはモ
ルトン（筒状布）、クロムメツキ、ゴム、プラス
チツク等で、又、インキングローラにあつてはク
ロムメツキ、ゴム、塩化ビニル、エボナイト、ナ
イロンその他のプラスチツク等、適宜所要の材料
で構成される。

磁性体には鉄、ニツケル、コバルト等の磁性性
体のほかフエライト合金その他の永久磁石が用い
られる。

以下、図を参照しつつ実施例により本発明を説
明するに第１図はオフセツト印刷機１１の要部断
面側面を図示し、１２はインキングローラ、１３
は水棒ローラ、１４は版胴、１５はブランケツト
胴、１６は圧胴、１７は印刷用紙であり、１８は
印刷物である。

インキはインク壼１９から数次にわたるインキ
煉りローラ２０で練られ、インキングローラ１２
から版胴１４に移転される。図中の各ローラの矢
印は回転方向を示す。

版胴１４には、インキングローラ１２の手前側
で水元１２から水棒ローラ１３を介して水が塗膜
されるようになつている。

インキングローラ１２と水棒ローラ１３には第
２図に図示する本発明に係る印刷ローラが使用さ
れている。

ローラ本体３１の周面は、インキングローラ１
２では軟質塩化ビニルによつて、水棒ローラ１３
ではモルトンによつて、それぞれ被覆されてい
る。

３２は軸芯で鋼管が使われており、端末近くに
ソレノイドコイル３３が嵌合し捲装されており、
更に端末に近い位置にはインナーレース３４が嵌
合し装着されている。

ローラ本体３１は軸芯３２よりも太い鋼管でつ
くられ、嵌合する軸芯３２のソレノイドコイル３
３に向き合うローラ本体の筒内壁に円筒形のフエ
ライト永久磁石３５が挿入され装着されており、
軸芯３２のインナーレース３４に向き合うローラ
本体の筒内壁にはストロークベアリング３６が装
着されており、インナーレース３４とストローク
ベアリング３６とで軸芯３２に可回転で軸方向に
摺動可能に軸承される。

尚、ソレノイドコイル３３とフエライト永久磁
石３５の間には遊隙があり、ローラ本体３１の回
転は妨げられない。

３７はベアリング３６の飛び出しを防ぐリング
状のアダプターである。

ローラ本体３１の側端から稍々離れた軸芯３２
の端未近くにはリング状のスライドベアリング３
８が装着されており、それによつてローラ本体３
１の軸芯３２からの抜け出しが防止される。又、
ソレノイドコイル３３は軸芯内に配線された電線
３９を介してコンピユーター（図示せず）にコン
トロールされて磁界を生じる様になつている。

〔作用〕

軸芯３２はオフセツト印刷機１１本体（フレー
ム）に取次固定されており、ソレノイドコイル３
３の発生する磁界が正逆（＋−）変化にすると
き、ソレノイドコイル３３とフエライト永久磁石
３５の間に作用する引斥力によつてローラ本体３
１が左右軸方向に駆動され、その移動量及び移動
速度はローラ本体３１の側端とスライドベアリン
グ３８の距離範囲内で磁界の生じる引斥力の強弱
によつて定まる。

このためソレノイドコイル３３の発生する磁界
の強弱と正逆（＋−）変化及びその変化の周期な
いし速度をコンピユーターによりコントロールす
ることにより或は停止させ或は急速に移動させ或
はゆつくりと移動させるなどローラ本体３１の軸
方向への移動量及び移動速度を自由に変え、以て
インキングローラ及び水妨ローラの往復駆動サイ
クルをランダムにすることが出来る。

以上は磁性体３５が永久磁石の場合の印刷ロー
ラの構造を示すものであるが、磁性体３５が鉄、
ニツケル、コバルト等の残留磁化のないもの（非
永久磁石）である場合には、ソレノイドコイル３
３を軸芯３２の左右に装着し、又、それに対応し
て鉄、ニツケル、コバルト等の磁性体３５をロー
ラ本体３１の左右に装着し、左右のソレノイドコ
イル３３，３３′の磁界を交互に正逆（＋−）変
化させ、それぞれ左右のソレノイドコイル３３，
３３′と磁性体３５，３５′間に交互に作用する吸
引力によつてローラ本体３１を左右軸方向に往復
駆動するものとし、この場合にも往復駆動サイク
ルをコンピユーターによりランダムにコントロー
ルすることが出来る。

尚、コンピユーターに代え切換スイツチやリレ
ー継電器等を使用することも出来るので、ソレノ
イドコイル３３の磁界のコントロールにコンピユ
ーターを使用することは本発明の必須事項にはな
らない。

〔発明の効果〕

上記の通り本発明では版胴にインキや水を供給
する印刷ローラの左右への駆動装置を、ローラ本
体の軸芯挿通孔に軸芯を挿通して軸方向に摺動可
能で軸芯の円周方向に可回転にローラ本体を軸支
し、その軸芯にソレノイドコイルを装着し、その
ソレノイドコイルの装直位置に向き合うローラ本
体の軸芯挿通孔内部に磁性体を装着し、そのソレ
ノイドコイルの磁界の変化に応じてローラ本体が
軸方向に駆動するように印刷ローラ内部に組み込
んでおり、それがソレノイドコイル３３と磁性体
３５という構造的に極めて簡単なものであるから
コンパクトに仕上がり、その製作、処理及び取扱
の何れの面でも至便で経済的である。

又、印刷ローラの左右軸方向への往復駆動サイ
クルを随時移動量と移動速度を変えてランダムに
することが出来、それがインキングローラの場合
はインキを印刷適正のよいチクソトロピカルなも
のとし、又、それが水棒ローラの場合にはその加
湿する版面の水塗膜の斑をなくし水ゴーストを効
果的に解消する。

この様に、インキングローラ１２や水棒ローラ
１３の往復駆動サイクルをコンピユーターにより
随時変えられるので、印刷物１８の刷り上がり具
合を見ながらインキの粘度や練り具合、或は版面
への加湿具合等を気温や湿度の変化に随時迅速に
対応して適切に加減調整でき、従つて、印刷不良
をなくし印刷工程の歩留りを良くし、綺麗に効率
良く印刷することが出来、よつて本発明は極めて
至便で印刷業界に寄付するところ多大である。

尚、本発明の実施に再し磁界の漏れを無くする
ために磁性体３５にヨークを付設する等の引斥力
を強める手段が講じられるとしても、かかる手段
は本発明の技術的範囲を何ら制限し或は縮減する
ものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図はオフセツト印刷機の要部断面側面図、
第２図は本発明の実施例に係る印刷ローラの断面
正面図である。 １１……オフセツト印刷機、１２……インキン
グローラ、１３……水棒ローラ、１４……版胴、
１５……ブランケツト胴、１６……圧胴、１７…
…印刷用紙、１８……印刷物、１９……インキ
壼、２０……練りローラ、２１……水元、３１…
…ローラ本体、３２……軸芯、３３……ソレノイ
ドコイル、３４……インナーレース、３５……磁
性体（磁石）、３６……ストロークベアリング、
３７……アダプター、３８……スライドベアリン
グ、３９……電線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ローラ本体３１の軸芯挿通孔に軸芯３２を挿
   通して軸方向に摺動可能で軸芯３２の円周方向に
   可回転にローラ本体３１を軸支し、その軸芯３２
   にソレノイドコイル３３を装着し、そのソレノイ
   ドコイル３３の装着位置に向き合うローラ本体３
   １の軸芯挿通孔内部に磁性体３５を装着し、その
   ソレノイドコイル３３の磁界の変化に応じてロー
   ラ本体３１が軸方向に駆動するようにしたことを
   特徴とする印刷ローラ。