JPH04823B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 イ 発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明はプラスチツク成形装置に関する。

更に詳しくは塩化ビニル樹脂（PVC）・エチレ
ン−酢酸ビニル共重合樹脂（EVA）・エチレン樹
脂（PE）・プロピレン樹脂（PP）などの熱可塑
性樹脂シート（フイルム、板、他の材料層との積
層（複合）体も含む）を素材とし、それを真空成
形・圧空成形・真空圧空成形・プレス成形など適
宜のシートフオーミング手法で賦形処理して所要
形状の樹脂シート成形品（シートフオーミング
品）を得るプラスチツク成形装置に関する。

〔従来の技術・その問題点〕

従来のこの種の成形装置は、例えば特公昭35−
17840号公報に開示されるように、素材たる熱可
塑性樹脂シート（以下、素材シートと略記）とし
て予めカレンダ装置等のシーテイング装置で製造
しロールしてストツクしてある。常温に冷えて硬
化状態にあるものを加熱装置で熱成形可能な所要
の軟化状態に加熱処理し、その加熱軟化状態の素
材シートを真空成形装置等のシートフオーミング
装置に適用して目的のシートフオーミング品を得
るものであつた。

しかしながら、これには次のような問題点があ
つた。即ち、常温硬化状態の素材シートを成形可
能な所要の熱軟化状態にするには多くの熱エネル
ギを要する。特に肉厚の厚い素材シートや積層タ
イプの素材シートについてその加熱軟化処理を全
体に可及的均一に行うには高度な技術・熟練・加
熱設置・加熱処理時間等を要する。一般にこのよ
うな素材シートの加熱軟化状態は表面部は十分な
軟化状態であつても内部は未だ不十分な状態であ
る場合が多く、そのために全体的な成形性が悪か
つたり、シートフオーミング用成形型面に刻設し
たしぼ等の凹凸模様によるシートフオーミング品
面への凹凸模様転写度が悪かつたり、爾後シート
フオーミング品に熱が作用したりするとその転写
模様が薄れたり、消えたりする等の傾向があつ
た。

なお、可塑性材料のストリツプを連続的に形成
供給する装置と、回転盤上の成型ヘツド（ダイ
ス）とからなる成型装置が実開昭38−23088号公
報に開示されている。

しかしこの構成では、停止中の回転盤上のダイ
スに向かつて放射方向にストリツプ材料を供給停
止させ、誘導加熱されるダイスの閉鎖でストリツ
プ材料を切り出し成型し、硬化後成型組成物を取
り出し、回転盤は間欠回転して次工程に移る。ス
トリツプ材料は上記の切り出し後ダイス位置から
引戻されて停止し、その切り出し部外の不用部分
をカツトされた後前進供給されるような、複雑な
動作を行うもので実質的に連続成形とはいえない
ばかりか、該公報に例示されるＯリングのような
特殊なものの成形を対象とするものと解される。

本発明は上記に鑑みて、熱経済的に有利に、且
つ高品位のシートフオーミング品を能率的に量産
することを可能としたプラスチツク成形装置を提
供することを目的とする。

ロ 発明の構成 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、熱可塑性樹脂のゲル化コンパウンド
を所定厚さのシートに連続的に圧延する圧延ロー
ル機構２，２から未だ十分に熱エネルギを保有し
ている熱軟化状態の圧延シート４を連続的に送り
出し、そのシート面の幅方向と平行する軸上の回
転体８の周囲に複数個の成形型９₁〜９₃を略等間
隔に配置して支持させたシートフオーミング機構
６に、該圧延シート４を巻掛け、前記回転体８の
両側端部の略一周に沿わせたシート押さえ部材１
０を回転体８の外方に無端状に懸回して、該圧延
シート４の両側端部を回転体８に押さえつけると
共に、そのシート４のシートフオーミング機構６
への巻掛け始めと巻掛け終わりとを設定し、隣り
合う成形型の間でシート４を回転体８に押さえつ
ける横部材１２を、成形型の配置間隔に合わせて
両側のシート押さえ部材１０，１０間に設け、シ
ートフオーミング機構６・シート押さえ部材１０
を圧延シート４の搬送速度と略同じ周速度で回転
させて、圧延シート４が巻掛け終わりの離型位置
に至る間に成形型により賦形処理するように連続
的に成形することを特徴とするプラスチツク成形
装置である。

〔実施例〕

以下図面に示した一実施例に基づいて具体的に
説明する。

第１図に於いて、１は圧延ロール機構部であ
り、図には圧延ロール対２，２のみを示した。圧
延ロール２，２は例えばチルドロールであり、互
いにギヤで連結されていて矢示方向に連動して回
転駆動される。又蒸気導入等により所要の温度に
加熱される。ロール対２，２の回転は所望の速度
に調節自由であり、ロール２，２間の間隙も電動
式等で調節自由である。ロール２，２間の間隙調
節により圧延シートの厚さが任意に調節設定され
る。

３は圧延ロール対２，２間に投入した熱可塑性
樹脂のゲル化コンパウンド（所定配合原料のゲル
化混練物）である。そのゲル化コンパウンド３は
ロール２，２間の間隙で逐次に所定厚さのシート
４として圧延されてロール２，２間から連続的に
送出される。圧延ロール対２，２間のゲル化コン
パウンド３がある程度減少する毎にゲル化コンパ
ウンド３を補充投入して、或いは圧延ロール対
２，２に対するゲル化コンパウンド３の供給を連
続化して、圧延ロールシーテイングを連続的に実
効させる。

５は圧延ロール対２，２から連続的に送出され
る素材シートたる圧延シート４を次のシートフオ
ーミング機構６へ搬送するキヤリヤ機構としての
例えばベルトコンベアであり、圧延ロール対２，
２からの圧延シートの送出速度と略同速度で駆動
される。

本例装置に於けるシートフオーミング機構６は
回転式連続真空成形機構である。即ち軸７を中心
に矢示方向に回転駆動される回転体８の周囲に複
数個（本例は３個）の真空成形型９₁〜９₃を略等
間隔に配列保持させてあり、該回転体８をベルト
コンベア５による素材シートたる圧延シート４の
搬送速度と略同じ周速度で回転駆動させた状態に
於いてその周囲にベルトコンベア５からの圧延シ
ート４を連続的に適用して回転体周囲の個々の真
空成形型９₁〜９₃で圧延シート４を順次に連続的
に真空成形処理していくものである。個々の真空
成形型９₁〜９₃の成形面の要所要所には真空吸引
穴を形成してあり、型の肉厚には型冷却配管を埋
設してあるが図には省略した。又真空吸引系統・
冷却水導入系統も図には省略したが、真空吸引・
冷却水導入は例えば回転体８の軸を介してなされ
る。

１０は回転体８の左端側と右端側とに配設し
た、回転体８に対し圧延シート４の左右両縁部を
押さえ込む回動チエーン又はベルト等の押さえ部
材（以下回動チエーンと記す）であり、その左右
のチエーン１０は夫々回転体８の左端側外周面と
右端側外周面とに形成した円周方向環状溝１１
（第２図）に嵌合し、回転体８に対し圧延シート
４をその巻掛け始め（左側上部のスプロケツト１
４の位置）から離型位置の巻掛け終わり（回転体
真上のスプロケツト位置）までを回転体８の略一
周に沿わせるもので、そして回転体８の回転周速
と同調した速度で矢示方向に回動駆動される。１
２は上記左右の回動チエーン１０間にチエーンに
沿つて、前記成形型９₁〜９₃の配置間隔と略等間
隔毎に取付けた横方向の圧延シート押さえ込みバ
ーであり、その各横押さえ部材１２はチエーン１
０の回動に伴い移動し、回転体８の外周側へ廻り
込み移動すると、回転体外周の真空成形型と真空
成形型との間位置に回転体母線方向に形成した横
溝部１３に入り込んだ状態になる関係構成になつ
ている。１４は回動チエーン１０を回転体８の外
方に無端状に懸回張設するスプロケツトである。

而してベルトコンベア５から回転体８へ搬送さ
れる圧延シート４はその左右の両縁部が夫々上記
左右の回転チエーン１０と回転体８側の環状溝１
１との間に順次に押さえこまれる（第２図ａ）。
又回転体８の外周側へ次々と廻り込み移動する横
バー１２により回転体外周囲の真空成形型と真空
成形型との間の圧延シート部分が該バー１２と回
転体８側の横溝１３との間に押さえこまれる（第
１図）。つまりベルトコンベア５から回転体８へ
搬送される圧延シート４は次々の左右の回動チエ
ーン１０と横バー１２とにより回転体８の外周に
たるみなく、又自重による偏肉化・薄肉化を生じ
ることなく押さえ込まれてシールされた状態に保
持されて回転体８の回転と同調して移動する。そ
の移動の間に個々の真空成形型９₁〜９₃が順次に
作動して個々の型に対面している素材シートたる
圧延シート部分が真空成形処理されていく。この
場合ベルトコンベア５から回転体８の外周に順次
に適用される素材シートたる圧延シート４は未だ
十分に圧延時の熱エネルギを保有していて高温の
熱軟化状態にあるから各成形型９₁〜９₃の作動で
十分良好に成形処理される。

真空成形されたシート部分４ａは型内の冷却配
管により冷却され、又必要に応じて配設される冷
却水噴霧ノズル１５等の外部冷却手段で冷却さ
れ、回転体８をほぼ一周分移動するまでに型外し
可能な温度又は軟化状態になる。真空成形され又
冷却された圧延シート部分４ａは回転体８をほぼ
一周分移動するとチエーン１０及び横バー１２に
よる回転体８に対する押さえ込みが解除され、引
き外し用案内ロール１６により順次に回転体外周
面、即ち個々の真空成形型面から順次に引外され
てロールコンベア１７により不図示の打ち抜き機
構へ搬送されて真空成形品部分の打抜き処理がな
される。

圧延ロールによるゲル化コンパウンド３の圧延
シート化はコンパウンドが充填剤配合量の多いも
の、例えば樹脂100重量部に対して200〜300重量
部の高配合量のものでも良好にシーテイング処理
できる。そしてそのようなシートで、又厚さが
0.5〜４mm等厚いものでも圧延直後のものは未だ
十分に熱エネルギを保有していて全体に軟化状態
にあるから、従来は仲々製造が困難であつた充填
剤配合量の多い高比重のシートフオーミング品、
厚さの厚いシートフオーミング品も容易に製造す
ることが可能である。

又圧延ロールによるゲル化コンパウンド３のシ
ーテイングは、ゲル化コンパウンド３内に金属
片・木片・繊維くず等の異物が多少混入していて
も（コンパウンド３の樹脂分として再生樹脂を用
いた、或いは含ませた場合等に多い）、例えば押
出機によるシーテイングの場合と異なり、その異
物除去処理を特に行うことなしに実際上支障なく
シーテイングを連続的に実効させることができ、
樹脂のリサイクル利用が広範囲に拡大される。

図の実施例装置に於いて、シートの巻掛け始め
と巻掛け終わりとの間から回転体８の外周と導入
素材シートとの間に第１図２点鎖線示のようにフ
エルト・不織布・編布・織布・カーペツトなど成
形性のある通気性材料層１８を、必要に応じて予
め接着剤を施して又適当温度に加熱処理して連続
的に導入することにより貼合わせ同時成形処理す
るとも可能である。

またコンパウンド３と同系材質で適宜着色した
長尺シートを加熱し圧着ロールで接着させながら
シートフオーミング機構６へ送りこみ成形するこ
とも可能である。

素材シート４を回転体８の外周に押さえ込んで
シール状態にするシート押さえ部材１０、横バー
１２には素材シート４に突きささつて素材シート
と係合する針或いは爪部材を長手に沿つて設ける
とよい。

回転体８の外周囲に配列保持させた個々の成形
型９₁〜９₃の外周に夫々トリミング刃型を設け、
回転体８の回転と同調して移動して刃型に接する
刃型対向治具を設けることにより、回転体８の回
転過程で、成形され又冷却されたシート部分の有
効成形品部分４ａをトリミング刃型と対向治具と
により裁断取り出しするようにすることもでき
る。

圧延ロール機構１から送出された素材シートた
る圧延シートがキヤリヤ機構たるベルトコンベア
５でシートフオーミング機構６へ搬送される間の
冷えを防止する目的に於いて必要に応じてベルト
コンベア５に沿つて素材シート保温用の補助ヒー
タ１９を配設するようにしてもよい。

圧延ロール機構１がカレンダ装置であつてもよ
い。またシートフオーミング機構６は素材シート
４を連続的に成形処理する、圧空式・室空圧空
式・プレス式等の他の成形方式機構であつてもよ
い。

又本発明に於いて熱可塑性樹脂のゲル化コンパ
ウンド３には半加硫ゴム・ポリウレタンゴムなど
のエラストマ材料も含むものとする。

ハ 発明の効果 本発明は圧延ロール機構１から送出される未だ
混練加熱エネルギを十分に保有していて高温軟化
状態にある製造直後の素材シート４についてこれ
を引続いてシートフオーミング機構６へ導入して
連続的に成形処理するシーテイングフオーミング
連続処理方式であるから、従来のように予め製
造・ストツクされ常温に冷えて硬化状態の素材シ
ートについてこれを加熱軟化処理してシートフオ
ーミング装置にかける場合よりも熱経済的に極め
て有利に（省エネルギ）且つ素材シート４が全体
に十分に軟化状態にあるから全体的な成形シヤー
プ性は勿論、表面の凹凸模様付けの転写性もよ
く、又歪差による変形や成形収縮が少なく、高品
位のシートフオーミング品を能率的に歩留りよく
量産することが可能となる。

また、その工程に当たり、回転体８と同調回転
する無端押さえ部材１０が、圧延シート４の両側
端部を回転体８に押さえつけ、横押さえ部材１２
が隣り合う成形型９₁〜９₃の間において該シート
４の幅方向を回転体８に押さえつけるので、圧延
シートが回転体８に対しずれることなく成形加工
が高精度に行われる。さらに圧延シートの回動の
間順次に自動的にその押さえ作用を行うもので、
前記公知の特許公報に記載されるような各成形型
に設けた起倒式の押さえ枠に比べて円滑精確に動
作するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例装置を示すもので、第
１図は全体的な概略構成図、第２図ａ，ｂは環状
溝部分の拡大横断面図と、一部の拡大縦断面図で
ある。 １は圧延ロール機構、４は圧延シート、５は圧
延シートキヤリヤ機構、６はシートフオーミング
機構、１０はシート側端部押さえ部材、１２はシ
ート横方向押さえ部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性樹脂のゲル化コンパウンドを所定厚
   さのシートに連続的に圧延する圧延ロール機構か
   ら未だ十分に熱エネルギを保有している熱軟化状
   態の圧延シートを連続的に送り出し、 そのシート面の幅方向と平行する軸上の回転体
   の周囲に複数個の成形型を略等間隔に配置して支
   持させたシートフオーミング機構に、該圧延シー
   トを巻掛け、 前記回転体の両側端部の略一周に沿わせたシー
   ト押さえ部材を回転体の外方に無端状に懸回し
   て、該圧延シートの両側端部を回転体に押さえつ
   けると共に、そのシートのシートフオーミング機
   構への巻掛け始めと巻掛け終わりとを設定し、 隣り合う成形型の間でシートを回転体に押さえ
   つける横部材を、成形型の配置間隔に合わせて両
   側のシート押さえ部材間に設け、 シートフオーミング機構・シート押さえ部材を
   圧延シートの搬送速度と略同じ周速度で回転させ
   て、圧延シートが巻掛け終わりの離型位置に至る
   間に成形型により賦形処理するように連続的に成
   形することを特徴とするプラスチツク成形装置。