JPH0466937B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、交絡糸条物に関する。更に詳しくは
軽くて嵩高性を有する手芸並びに織編物並びにそ
の製品に関するものである。

従来、手芸並びに織編物材料として不織布から
なる細巾テープの使い方は単独で用いるか、又は
他の糸条物と引揃えて使用されていた。例えば特
公昭56−34660号公報、実公昭57−52134号公報、
特公昭57−55814号公報に開示されている。

しかしながら、昨今の該分野における製品の多
様化は該細巾テープの使い方も益々複合化が要求
されてきている。而るに、現状は細巾テープと他
の糸条物との交絡複合糸条物を交撚で以つて得よ
うとすると色々欠点が生じて未だ好ましい物は出
現していない。即ち、該細巾テープと紡績糸で代
表される他の糸状物とは相互になじみ合いにく
い。この為に両者を交絡させるには交撚回数を増
やす必要がある。この場合、テーブ形状が消失し
て嵩高性が低下して製品の風合が硬くなる欠点で
ある。

本発明は、不織布からなる細巾テープ状物と他
の糸条物との交絡糸条物の提供を目的とするもの
である。本発明の目的とする交絡糸条物は該細巾
テープのテープ形状を可及的に残した状態に保
ち、且つ他の糸条物との交撚を行つて意匠性と軽
さ並びに嵩高性を有するものである。

本発明者は、かかる交絡糸条物を得るために種
種検討した結果、交撚において該細巾テープを部
分的に弛緩させてテープ状の形状を有する突出部
を設けることに着目し、本発明を完成するに至つ
た。

即ち、本発明は目付50ｇ／m²以下であり、かつ
繊維同志が接着又は結合されている不織布の細巾
テープ状物と他の糸状物とが交撚されている交絡
糸条物であつて、該糸条物中に該細巾テープ状物
による突出部が該他の他の糸状物と該他の糸条物
の撚方向と逆撚り方向のもう一つの他の糸状物と
によつて固定され、しかも５〜200個／ｍの割合
で存在することを特徴とする交絡糸条物、であ
る。

本発明の上記交絡糸条物を用いて編成又は織成
してなる織編物製品に特徴を有する。

本発明で使用される不織布は、スパンボンド法
又は乾式法によつて得られる。これらの不織布は
目付50ｇ／m²以下、好ましくは10〜30ｇ／m²のも
のがソフトな製品を得るために良い。

細巾テープとして必要な強力を得るために、ナ
イロン、ポリエステル又はポリプロピレン繊維か
らなる不織布の場合は熱圧着によつて自己接着さ
れる。一方、レーヨン、麻並びに綿繊維を含む不
織布の場合は、低融点繊維又は接着剤を含有させ
て繊維同志を結合させる。使用する繊度は5.0デ
ニール以下、好ましくは0.5〜4.0デニールが用い
られる。

本発明における不織布は所要巾２〜15mm、好ま
しくは、２〜10mmにスリツトして使用される。上
記のテープ巾の範囲を外れると得られる交絡糸条
物は嵩高性が低下するかあるいは糸条としての安
定性を欠き好ましくない。

本発明における他の糸条物とは、全ての汎用繊
維からなる紡績糸、フイラメント糸、交撚糸、更
にはこれらのスラブ、ノツト、起毛等の各意匠撚
糸を包含する。

次に本発明の糸条の交絡の基本的な態様と実施
方法を図を用いて説明する。

第１図は本発明の交絡糸条物の糸条構造を例示
する。

１は不織布からなる細巾テープである。２並び
に２′は１と交撚された他の糸条物である。３は
細巾テープの弛緩によつて形成された突出部であ
る。

これは１と２の第１段階の交撚において（第１
図イ）１の送り速度を２の送り速度より速くする
ことで得られる。本発明においては２に対して１
は1.3〜3.0倍の送り速度を与えて撚糸する。この
場合の撚り数は使用する他の糸条物との組合せに
より適宜決められるが、通常50〜350回の範囲が
用いられる。

本発明における突出部３の形状は、ループ状あ
るいは折れ重なつた状態更には盛り上つた状態等
のいずれでも良い。又、突出部３の引伸ばされた
長さは数mm〜数10mm、又その数は交絡糸条長に対
し５〜200個／ｍが好ましい。突出部が比較的大
きい場合は、突出部が少なくとも編地に凹凸の変
化を与える意匠性を与えるが、５個／ｍ以下では
効果が少ない。

逆に突出部が比較的小さい場合は、突出部の個
数を増やすと、表面凹凸と嵩高性に富む織編地が
得られる。しかし、200個／ｍ以上では、突出部
間隔が狭くなり、かつ、突出部長さが小さく本発
明の目的とする嵩高性と、表面凹凸性に劣るもの
となる。実用的には、突出部30〜150個／ｍが好
ましい。更に突出部３は可及的にテープの形状を
保つことが好ましいが、しごかれた状態、ねじ
れ、あるいは数回〜数10回／ｍ撚りが加えられた
形状のものでも良い。

本発明においては２′なる他の糸状物を用いて
上記の３を形成させた交絡糸条と交撚を追加させ
る。この２′は糸条の形態安定化と更に意匠の変
化をもたらす為に使用する。

本発明の場合、２及び２′は各種番手又はデニ
ールの異る前本の各種糸条を組合せて用いる。
又、１，２，２′は各々複数本用いることも出来
る。更に必要に応じて交撚の追加も複数回行うこ
とも出来る。

かかる本発明の交絡糸条物は手芸又は丸編、横
編ラツセル編機、更には織機にかけて使用し、各
種製品を作ることが出来る。これらの製品は適宜
公知の組織を利用することが出来る。更に、本発
明の交絡糸条物は他の糸条物と引揃えて上記の方
法目的に使用することも出来る。尚、本発明の交
絡糸条物は公知の方法で先染め又は後染めが得ら
れる。又、本発明の構成糸条物に起因されるとこ
ろの起毛、収縮又は異染等の後加工も利用するこ
とが出来る。

低目付の不織布からなる細巾テープは軽さと、
嵩高性とテープ形状の意匠性を有する特徴があ
る。

本発明の交絡糸条物は該細巾テープを部分的に
弛緩させた突起物を他の糸条との交撚により形成
させた為に軽さを失うことなく、且つ充分にテー
プ状の意匠性を表現出来た。又、他の糸条物、特
に他の意匠糸条との交撚によつて従来に見られな
い複合された意匠効果の表現が可能となつた。

更に細巾テープからなる突起物の為に見掛けの
糸条巾と表面の凹凸が大となり、ソフトで極めて
嵩高い糸条となつた。

かくして得られた本発明の交絡糸条物は、不織
布からなる細巾テープと、その突起物を有する為
に弾力性、ソフト性並びに嵩高性に富み、従つて
これを織編成した時は軽さと従来の糸条では得ら
れない全く異る雅趣豊かな意匠性の商品が得ら
れ、新しいフアツシヨン分野として期待されると
ころ甚だ大である。

実施例 １ 繊度2.0デニール、日付20ｇ／m²のナイロン長
繊維ウエブを、スパンボンド法で部分熱圧着を行
ない、不織布を得た。次いで、巾５mmのスリツト
加工を行ないコーンに巻き上げ細巾テープ状物１
を得た。次にリング撚糸機（意匠撚糸機）を用い
て、ナイロン210デニール／72フイラメント２と、
該細巾テープ状物１との交絡糸条物を得た。ま
ず、細巾テープ状物の送り倍数をナイロンに対し
て2.0倍に設定し350T／ＭのＺ撚りを行ない、バ
リ板で調整し、突出部が120個／ｍの撚合せ糸を
得た。次いで、得られた撚り合せ糸とナイロン
210デニール／72フイラメント２′の押え糸とを同
一の送り速度で200T／ＭのＳ撚りを行ない、突
出部が固定化された交絡糸条物（１／4.0）を得
た。得られた交絡糸条物は、手でしごいても突出
部の移動、形態変化はみられなかつた。得られた
交絡糸条物を、３ゲージの横編機を用いて天竺編
した。得られた編地は柔軟性を有し、表面凹凸が
大きく、極めて嵩高性に富むものであつた。

比較例 １ 実施例１と同様の210デニール／72フイラメン
トと巾５mmの細巾テープ状物をリング撚糸機にか
け、350T／ＭのＺ撚りを行ない、太い糸と細い
糸とを撚合わせした交絡糸を得た。得られた交絡
糸を手でしごいてみると、細巾テープ状物が移動
し形状維持がされなかつた。

この交絡糸を横編機にて、製編したが、ガイ
ド、針でしごかれた糸の形態が安定せず加工でき
なかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図イは第１段階の交撚の糸条構造を例示
し、第１図ロ，ハは、本発明の交絡糸条物の糸条
構造を例示する。 １……不織布からなる細巾テープ、２，２′…
…１と交撚された他の糸条物、３……突出部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 目付50ｇ／m²以下であり、かつ繊維同志が接
   着又は結合されている不織布の細巾テープ状物と
   他の糸状物とが交撚されている交絡糸条物であつ
   て、該糸条物中に該細巾テープ状物による突出部
   が該他の糸状物と該他の糸状物の撚方向と逆撚方
   向のもう一つの他の糸状物とによつて固定され、
   しかも５〜200個／ｍの割合で存在することを特
   徴とする交絡糸条物。