JPH0464831B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は穴の内面を研摩する内面研摩方法に
関する。

従来の技術 従来の穴の内面研摩法では、長く突き出された
スピンドルの先端に小径のバフ板又はポリシヤ車
を取り付けて高速度で回転させ、穴を端から端ま
で研摩するため加工物又はポリシヤ車に縦送りを
かけている。

発明が解決しようとする問題 こうした従来方法では内面研摩に小径のポリシ
ヤ車を用いるので、必要な研摩速度にするために
はポリシヤ車はかなり高速回転をしなければなら
ず、また穴の奥まで研摩するためには長いスピン
ドルを用いなければならない。従つて、スピンド
ル及びポリシヤ車の設計にはかなり困難な問題を
含んでいる。

この発明は、スピンドル及びポリシヤ車を全く
排除した内面研摩方法を提供することを目的とす
る。

問題点を解決するための手段 この発明は、内面を有する加工物の内腔内に砥
粒と水又は油の如き加工液並びに鉄球を一時的に
封入した上、加工物を回転して加工物の内面をラ
ツプ仕上げする内面研摩方法であつて、鉄球に対
し該鉄球を加工物の内面に押し付ける磁場を印加
し、これにより鉄球によるラツプ圧力を高めて内
面を研摩し、従来技術によるスピンドル及びポリ
シヤ車を全く排除したものである。

以下この発明の詳細を図面に基いて説明する。

第１図において、１は円筒形内面１ａを有する
加工物、２は砥粒であつて、水と混合して加工物
の内腔内に一時的に封入する。３は複数の鉄球で
あつて、砥粒２と水の混合物内に混入する。４は
鉄心であつて、加工物１の円筒形胴面１ｂにすき
ま５を置いて対面する弓形の磁極面６を有する。
７は鉄心４を磁化するため鉄心４の回りに配置し
た電磁コイルである。

作 用 砥粒２と水並びに鉄球３を内腔内に一時的に封
入した加工物１を回転すると、回転に伴う鉄球３
によるラツプ圧力が砥粒２に加つて加工物の円筒
形内面１ａが研摩される。さらに通電して鉄心４
の磁極面６から磁束を放射し、加工物１の内壁を
通じて鉄球３に磁場を印加すると、磁場の吸引力
により鉄球３が加工物１の内面１ａに強く押し付
けられ、これによりラツプ圧力が高まつて内面研
摩が促進する。

実施例 第２図は第１図に示す方法を実施する装置であ
つて、１は比較的長尺の円筒形内面１ａを有する
両端開放の加工物、１０は砥粒と水並びに鉄球の
混合物を加工物１の内腔内に一時的に封入した
後、加工物１の両端を密閉するゴム又はプラスチ
ツク製の蓋、１１は蓋１０により両端を密閉した
加工物１を回転可能に保持するチヤツク、１２は
チヤツク１１に連結した回転主軸、１３は回転主
軸１２を支承する軸受けであつて、支持枠１４に
取付けられる。１５は回転主軸１２に取付けたプ
ーリ、１６はモータ及び減速機、１７はモータの
主力軸に取付けたプーリであつてプーリ１５とベ
ルト連結している。４は加工物１の円筒形胴面に
すきまを置いて対面する鉄心、７は電磁コイル、
２０は鉄心４に取付けた非磁性体の間隔体であつ
て、間隔体２０及び鉄心４、電磁コイル７を支持
する支持台２１に固定される。支持台２１には下
方に垂下したねじ２２が取付けられ、ねじ２２は
傘歯車２３の中央部のねじ２４に螺着しながら貫
通している。傘歯車２３は送り台３０に立設した
円筒体の支承台２５にベアリング２６を介し回転
可能に支承されている。傘歯車２３には小形の傘
歯車２７が係合しており、傘歯車２７は送り台３
０上に立設した受け部材２８に支承された軸２９
に取付けられ、３１は軸２９に取付けたハンドル
である。３２は送り台３０上に立設されかつ支持
台２１を摺動可能に貫通したガイドである。送り
台３０は左右１対の送りねじ３３及び左右１対の
送りガイド３４に支持され、送りねじ３３は送り
台３０に螺着されかつケース３５内に収納された
モータ（図示されてない）により駆動する。第２
図において、ハンドルを回転すると傘歯車２７及
び２３を介してねじ２２が上下動し、これにより
支持台２１及び鉄心４がガイド３２に沿つて上下
動する。送りねじ３３を駆動すると、送り台３０
が移動し、鉄心４及び電磁コイル７を加工物１の
長手方向に沿つて移動することができ、これによ
り加工物１の円筒形内面１ａの全域を研摩するこ
とができる。

第３図は、第２図に示す装置の変形例であつ
て、鉄心４を固定し加工物１を鉄心４に対し移動
させるようにした点を除いて第２図に示す装置と
同様であり、同一の部材には同一の符号を付して
ある。第３図において、送り台３０の代りに固定
台４１とし、鉄心４は移動することはない。軸受
け１３及び１３は摺動台４２に取付けられ、プー
リ１７及びモータ１６は摺動台４２に取付けら
れ、摺動台４２は台枠４３のすべり面４４上に支
承され、すべり面４４は加工物の方向へ伸長して
いる。摺動台４２はモータ、送りねじ等からなる
移動装置（図示されてない）によりすべり面４４
上を摺動し、これにより加工物１を鉄心４に対し
移動させ加工物の円筒形内面の全域を研摩するこ
とができる。

砥粒と水又は油からなる研摩用加工液を特公昭
59−32507号に開示されているように、コロイド
サイズの強磁性微粉末を分散媒に分散させてなる
磁性流体をキヤリアとして水の代りに該磁性流体
に砥粒を混合したものを使用すると、鉄心４によ
り加工液中の鉄球３に磁場を印加した場合、磁場
の影響は鉄球３に限らず加工液にも現われ、キヤ
リアとなる磁性流体自体がみかけ上磁石となつて
流体運動し、磁性流体中に混合した砥粒は、流体
運動する磁性流体に均一に分散して随伴し、加工
物１の円筒形内面１ａに均一に衝突して偏磨を生
ずることなく精密研摩することができる。

第１図において、鉄心４による磁場の強さを加
減することにより鉄球３によるラツプ圧力が変化
し、加工物内面に対する加工量を制御することが
できる。また鉄心４の中心線Ｏを第１図に示すよ
うに加工物１の円筒形胴面１ｂに沿つて線Ｐに移
動すると、磁場の向きが変化し、これにより鉄球
３に対する下向きの力が変化してラツプ圧力を変
化させる。

砥粒は通常砥粒又は磁性砥粒を使用し、磁性砥
粒を使用した場合は磁場に反応して加工物の内面
に衝突し、鉄球と共働してより迅速に内面研摩が
行われる。

鉄球３は加工物の内面の大きさに従い径の大き
いものが使用されるが、径の小さなもの程加工ム
ラが少なくかつ内面に対する加工量も小さくな
る。この明細書で鉄球とは、鉄球、鋼球、その他
重しのきく球状の磁性体をいう。

この発明によれば、砥粒と液体の混合からなる
加工液を加工物の内腔内に封入して、加工物の回
転に基づく加工液の移動により加工物内面を研摩
するので、加工物の内面は円筒形の内面に限らず
種々の形状の内面であつてもよい。

発明の効果 この発明は、内面を有する加工物の内腔内に砥
粒と水又は油の如き加工液並びに鉄球を一時的に
封入し、加工物を回転すると共に鉄球に対し該鉄
球を加工物の内面に押し付ける磁場を印加し、こ
れにより鉄球によるラツプ圧力を増大するので、
従来技術の如きポリシヤ車及びスピンドルを全く
排除して内面研摩を行うことができかつ内面研摩
の促進を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の方法を示す一部断面にした
概要図、第２図は第１図に示す方法を実施する装
置を一部断面で示す側面図、第３図は第２図に示
す装置の変形例を示す側面図である。 １…加工物、２…砥粒、３…鉄球、４…鉄心、
７…電磁コイル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内面を有する加工物の内腔内に砥粒と水又は
   油の如き加工液並びに鉄球を一時的に封入した
   上、加工物を回転して加工物の内面をラツプ仕上
   げする内面研摩方法であつて、加工物の胴面にす
   きまを置いて対面する鉄心と該鉄心を磁化する電
   磁コイルとを配置し、前記鉄球によるラツプ圧力
   を高めるため前記電磁コイルに通電して前記鉄心
   から加工物の内壁を通して前記鉄球に対し該鉄球
   を加工物の内面に押し付ける磁場を印加すること
   を特徴とする内面研摩方法。 ２ 前記水の代りにコロイドサイズの強磁性微粉
   末を分散媒に分散させてなる磁性流体を使用した
   特許請求の範囲第１項に記載の内面研摩方法。