JPH0464397B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はシールドトンネルの覆工方法に関
し、詳しくは覆工材料として既製のセグメントを
使用せずに、シールド機の推進に伴つてコンクリ
ートを直接打設し、それにより覆工壁を形成する
方法に関するものである。

〔従来技術〕

前記のようないわゆる現場打ちコンクリートに
よる覆工方法は、その一例をあげると具体的には
以下のような手順で実施されている。すなわち、
まずシールド機を推進させた後、そのテール部内
方に配置されたテール部の軸方向に作動する押圧
ジヤツキのロツドを縮め、この押圧ジヤツキの先
端に固定された妻枠リングと既設覆工壁部分との
間に鉄筋を配置するとともに、この鉄筋の内方に
筒状の型枠を配置する。次にテール部、既設覆工
壁部分、型枠および妻枠リングとの間に区画され
た空隙にコンクリートを打設し、テール部を含む
シールド機全体またはテール部のみを推進させな
がら押圧ジヤツキの作動によりコンクリートを押
圧して、新設覆工壁部分を形成するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

シールド機の推進後、新設覆工壁部分を形成す
るための鉄筋を配置すべく押圧ジヤツキのロツド
を縮めると、その先端に固定された妻枠リングが
ロツドに伴つて移動して、該妻枠リングは最前の
既設覆工壁部分から離隔し、その結果既設覆工壁
部分の端面は露出することとなる。既設覆工壁部
分はジヤツキにより加圧されたといえども、未硬
化の状態であり、一方この既設覆工壁部分には周
辺土圧が作用しているため、未硬化のコンクリー
トが土圧により崩壊し、ひいては地盤沈下を招く
恐れがある。このようなことから、シールド機の
推進後、妻枠リングにより所定時間だけ既設覆工
壁部分を支持してその硬化を待たなければなら
ず、したがつて新設覆工壁部分の形成作業に即座
に着手できず施工の迅速性を欠くことになる。

この発明は上記のような従来の方法のもつ問題
点を解消すべくなされたものであつて、シールド
機の推進に引き続いて新設覆工壁部分の形成作業
に即座に着手することができ、それにより施工の
迅速化を図ることができる方法を提供することを
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記のような目的を達成するためのこの発明
は、妻枠リングを従来のように押圧ジヤツキのロ
ツドに固定することなく、型枠を配置するごと
に、妻枠リングを型枠とテール部との間に配置
し、押圧ジヤツキの作動により妻枠リングを介し
て覆工材料を押圧した後、妻枠リングを新設覆工
壁部分の端面に残置することを特徴とする覆工方
法にある。

〔作用〕

型枠を配置するごとに、すなわち新設覆工壁部
分を形成するごとに設置される妻枠リングは、新
設覆工壁部分の端面にその都度残置されることか
ら、この覆工壁部分に周辺土圧が作用しても、妻
枠リングはテール部および型枠それぞれとの間の
摩擦抵抗により土圧に対抗し、したがつて押圧ジ
ヤツキのロツドを縮めても覆工壁部分に崩壊が生
じるような恐れは全くない。

〔実施例〕

第１，２図に示すように、シールド機１は互い
に接離可能となつているシールド本体２ａとテー
ル部２ｂとを備え、テール部２ｂは両者間に配置
された複数本のジヤツキ１２の作動により推進
し、シールド本体２ｂに接近するようになつてい
る。テール部２ｂ内方にはシールド本体２ａ推進
用のジヤツキ３とコンクリート押圧用のジヤツキ
４とがそれぞれ複数本設置されている。型枠５は
従来と同様に周方向に複数に分割されてテール部
２ｂの内方に配置され、推進用ジヤツキ３の作動
によりこの型枠５から反力をとつてシールド本体
２ａが推進される。テール部２ｂと型枠５との間
には両者間を閉塞する妻枠リング６が配置され、
覆工材料である打設されたコンクリートは押圧用
ジヤツキ４の作動によりこの妻枠リング６を介し
て押圧される。７は覆工壁、８は地山である。

第３Ａ〜第３Ｆ図は、この発明による覆工方法
の具体的な手順を示し、以下この図面に沿つて説
明する。

第３Ａ図はシールド機１の推進後、推進用ジヤ
ツキ３およびコンクリート押圧用ジヤツキ４の各
ロツド３ａ，４ａを縮めた状態を示し、このとき
妻枠リング６は既設覆工壁部分７ａの端面に残置
されている。引き続いて第３Ｂ図に示すように、
押圧ジヤツキ４と既設覆工部分７ａとの間に軸方
向鉄筋９ａおよびリング鉄筋９ｂを備えた鉄筋か
ご９を配置し、これを妻枠リング６に固着する。
妻枠リング６は第４図に示すように、周方向に複
数に分割され、その周方向に間隔を置いて多数の
継手管１０が貫通して設けられている。この継手
管１０は一端が閉鎖して他端が開口し、開口端部
には雌ねじ部が形成されている。鉄筋かご９はそ
の軸方向鉄筋９ａに形成した雄ねじ部が継手管１
０に螺入され、これにより鉄筋かご９が妻枠リン
グ６に固着される。

次に第３Ｃ図に示すように、鉄筋かご９の内方
に既設型枠５と連設して新たな型枠５を配置する
とともに、この型枠５とテール部２との間に新た
な妻枠リング６を配置する。

以上のようにして準備が完了したら第３Ｄ図に
示すように、テール部２ｂ、既設覆工壁部分７
ａ、妻枠リング６および型枠５によつて区画され
た空隙１１（第３Ｃ図参照）に、コンクリートを
打設する。コンクリートの打設は妻枠リング６に
設けた図示しない孔を経て、圧送ポンプにより行
なう。その際妻枠リング６にはコンクリートの供
給圧が作用するので押圧用ジヤツキ４を作動させ
てこれに対抗させる。そして第３Ｅ図に示すよう
に、テール部２ｂ推進用のジヤツキ１２（第１図
参照）の作動によりテール部２ｂを矢印方向に推
進させ、これと同時に押圧用ジヤツキ４により打
設したコンクリートを妻枠リング６を介して押圧
し、これを地山８に密着させ、新設覆工壁部分７
ａを形成する。ジヤツキ４によるコンクリートの
押圧はテール部２ｂの推進後に行つてもよい。

新設覆工壁部分７ａを形成した後、第３Ｆ図に
示すように推進用ジヤツキ３の作動によりシール
ド本体２ａを推進させ、このようにして一工程を
終了する。以下、同様な工程を繰り返して覆工壁
を形成し、妻枠リング６は新設覆工壁部分７ａを
形成するごとにその端面に残置される。妻枠リン
グ６は鋼板製とするのが望ましいが、コンクリー
トが逸出しないようなものであればよく、例えば
エキスパンドメタル等を使用することができる。

第５Ａ〜第５Ｆ図は別の実施例を示している。
この実施例では第６〜第８図に示すような型枠が
使用される。型枠２１は１対の主桁部２２および
両主桁部間に固着されたリブ２３によつて形成さ
れる型枠本体２４と、プレート２５とからなり、
型枠本体２４はプレート２５の内周面に着脱可能
に固定されている。すなわちプレート２５には周
方向に適宜間隔を置いて複数の袋ナツト２６が設
けられ、リブ２３間を経てプレート２５に設けた
孔に挿通されたボルト２７の先端が袋ナツト２６
に螺着され、ボルト２７の基端には押え金具２８
を介してナツト２９が螺着され、このような構成
により型枠本体２４がプレート２５に対し着脱可
能となつている。また、この実施例の場合、プレ
ート２５に径方向鉄筋３０が固着され、妻枠リン
グ６に軸方向鉄筋３１が固着されている（第５Ｃ
図参照）。

上記のような型枠２１を使用した覆工方法の手
順は前記した場合とほぼ同様であるが、第５Ａ〜
第５Ｆ図を参照して簡単に説明する。

第５Ａ図はシールド機１の推進後、推進用ジヤ
ツキ３およびコンクリート押圧用ジヤツキ４の各
ロツド３ａ，４ａを縮めた状態を示し、このとき
妻枠リング６は既設覆工壁部分７ａの端面に残置
されている。引き続いて第５Ｂ図に示すように、
押圧ジヤツキ４と既設覆工部分７ａとの間に軸方
向鉄筋３１を備えた妻枠リング６を配置し、さら
に第５Ｃ図に示すように妻枠リング６の内方に新
たな型枠２１を配置する。その際軸方向鉄筋３１
と径方向鉄筋３０とを交叉させるとともに、既設
および新設の型枠２１のプレート２５どうしを端
部において重ね合わせ、また主桁部２２どうしを
連結する。

以上のようにして準備が完了したら第５Ｄ図に
示すように、テール部２ｂ、既設覆工壁部分７
ａ、妻枠リング６および型枠２１によつて区画さ
れた空隙１１に、コンクリートを打設する。そし
て第５Ｅ図に示すように、テール部２ｂ推進用の
ジヤツキ１２（第１図参照）の作動によりテール
部２ｂを矢印方向に推進させ、これと同時に押圧
用ジヤツキ４により打設したコンクリートを妻枠
リング６を介して押圧し、これを地山８に密着さ
せ、新設覆工壁部分７ａを形成する。

新設覆工壁部分７ａを形成した後、第５Ｆ図に
示すように推進用ジヤツキ３の作動によりシール
ド本体２ａを推進させ、このようにして一工程を
終了する。

コンクリートの硬化後は第９図に示すようにプ
レート２５から型枠本体２４を取外し、覆工壁７
の内面には径方向鉄筋３０によつて該覆工壁に定
着されたプレート２５を残置する。このプレート
２５は周辺土圧に基づいて覆工壁７に作用する曲
げモーメントによる応力を負担する機能をもつこ
とになり、したがつて覆工壁７にはリング鉄筋を
有する鉄筋かごをいれる必要がなくなり、その加
工手間を省くことができる。

上記実施例では、シールド本体とテール部とが
別体となつていて、それらが個別に推進されるシ
ールド機に基づいて説明したが、シールド本体と
テール部とが一体となつていて、シールド機全体
が同時に推進されるものでもこの発明を適用でき
る。その場合、推進反力を型枠からとるか、打設
コンクリートからとるかは問わない。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば覆工壁部分が
残置された妻枠リングによつて支持されるので、
該覆工壁部分が崩壊するような恐れは全くなく、
したがつてシールド機の推進に引き続いて新設覆
工壁部分の形成作業に即座に着手することがで
き、施工を迅速にしかも安全に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はシード機の全体を示す縦断正面図、第
２図は同上の線−に沿つた断面図、第３Ａ〜
第３Ｆ図はこの発明方法の手順を示す要部の縦断
正面図、第４図は妻枠リングの一例を示す斜視
図、第５Ａ〜第５Ｆ図は別の実施例の手順を示す
要部の縦断正面図、第６図は同上の実施例に使用
する型枠の縦断正面図、第７図は第６図の線−
に沿つた下面図、第８図は第７図の線−に
沿つた断面図、第９図は型枠本体を取外した状態
を示す縦断正面図。 １……シールド機、２ａ……シールド本体、２
ｂ……テール部、３……推進用ジヤツキ、４……
コンクリート押圧用ジヤツキ、５……型枠、６…
…妻枠リング、７ａ……覆工壁部分、８……地
山、９……鉄筋かご。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シールドトンネルの覆工に際し、シールド機
   のテール部内方に配置されたその軸方向に作動す
   る押圧ジヤツキのロツドを縮め、この押圧ジヤツ
   キと既設覆工壁部分との間に鉄筋を配置するとと
   もに、この鉄筋の内方に筒状の型枠を配置して、
   テール部、既設覆工壁部分および型枠とによつて
   区画された空隙に覆工材料を供給し、前記押圧ジ
   ヤツキの作動により覆工材料を押圧して、新設覆
   工壁部分を形成する方法において、前記型枠を配
   置するごとにこの型枠と前記テール部との間に両
   者間を閉塞する妻枠リングを配置し、前記押圧ジ
   ヤツキの作動によりこの妻枠リングを介して覆工
   材料を押圧した後、妻枠リングを新設覆工壁部分
   の端面に残置することを特徴とするシールドトン
   ネルの覆工方法。