JPH046391Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、製品・半製品・部品あるいは材料等
（以下単に材料という）を積載する屈曲トレイ式
運搬車に関する。

（従来の技術） 従来、台車上に立設した左右一対の支柱間に、
後方両側を軸支し、スプリングを介し起伏動作を
行なうことができる多数のトレイを多段に配設し
てなる運搬車が知られている（実公昭46−25612
号公報参照）。この運搬車は、生産工場等におい
て、材料の積込み、取出し作業を繰返して行なう
場合に使用されている。そして、生産ラインで生
産される材料は、通常、同一のものが連続的に送
出されてくるので、同一のものをトレイに順次積
込んでいる。ところが、トレイに積載された材料
を使用する際、一枚のトレイに２種類の材料Ａ，
Ｂを積載することが必要な場合がある。そこで、
従来は、１種の材料Ａを、他種の材料Ｂが送出さ
れる場所に、あらかじめ積み上げておき、他種の
材料Ｂをトレイに積み込む際に、１枚のトレイに
２種類の材料Ａ，Ｂを順次積み込んでいる。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の上記運搬車では、２種類の材料Ａ，Ｂを
１枚のトレイに積載する場合、１種の材料Ａまた
はＢを前もつて所定の場所に積んでおき、他種の
材料ＢまたはＡの生産と同時に、順次材料Ａ，Ｂ
を１枚のトレイに交互に積み込むため、１種の材
料は必ず積替えなければならず、相当多くの労力
を要し、極めて作業能率が悪かつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上述のような問題点を解決すべくな
されたもので、具体的解決手段の特徴とするとこ
ろは、台車１上に立設した左右一対の支柱２間
に、後方両側を支軸７を介して軸支すると共に該
支軸７廻りに起伏可能な多数のトレイ３を多段に
配設してなる運搬車において、前記各トレイ３は
前後に２分割して手前トレイ３Ｂはその後方端を
奥側トレイ３Ａの前端に水平軸心廻りに軸支する
と共に奥側トレイ３Ａに対して起伏可能とされた
点にある。

（作用） 本考案によれば、手前トレイ３Ｂと奥側トレイ
３Ａは、奥側トレイ３Ａを操作することによつて
同時に起伏し、手前トレイ３Ｂを操作すると手前
トレイ３Ｂだけが奥側トレイ３Ａに対して起伏す
る。したがつて、奥側トレイ３Ａを起伏させるこ
となく、すべての手前トレイ３Ｂを起伏させるこ
とができるので、先にすべての奥側トレイ３Ａに
材料Ａを積み込み、後から手前トレイ３Ｂに材料
Ｂを順次積み込むことができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づき詳述す
る。

図面において、１は台車、２は台車１の上面後
方両端に立設された支柱、３はトレイである。こ
のトレイ３は、左枠４及び右枠５と、両枠４，５
の後端を接続する後枠６を備え、この後枠６に左
右両端が突出するように水平に固着された支軸７
を介して支柱２間に軸支され、支軸７廻りに上下
揺動可能とせられている。各トレイ３の左右両枠
４，５の外側面には、前方に位置して引張スプリ
ング８，９の一端がブラケツト１０，１１を介し
て掛止されている。また、スプリング８，９の他
端は、前記各支柱２の外側面に各トレイ３の支軸
７よりも約１ピツチ上側に位置して固着された係
止金物１２，１３に、スプリング強度を調整する
ターンバツクル１４，１５を介して掛止され、こ
れらのスプリング８，９により、トレイ３が起伏
動作を行ない得るように構成されている。各トレ
イ３は、各左右枠４，５の前端金物４Ａ，５Ａが
当接して積み重ね状となるよう所定のピツチで多
段に配設されており、各天板は前後２分割されて
奥側トレイ３Ａと手前トレイ３Ｂとせられてい
る。そして、手前トレイ３Ｂは、左右枠４，５と
の間にスプリング装着分だけ間隙が設けられ、そ
の他端が複数個の蝶番１６により前記支軸７と平
行な水平軸心廻りに上下揺動可能なように、奥側
トレイ３Ａの前端に取り付けられており、左右両
枠４，５には直接支持されていない。

各奥側トレイ３Ａの前部両端には、切欠き部１
７が設けられ、この切欠き部１７にスプリング取
付用のブラケツト１８，１９が固着され、このブ
ラケツト１８，１９に手前トレイ起伏用の引張ス
プリング２０，２１の後端が掛止されている。こ
のスプリング２０，２１の前端は、ブラケツト１
８，１９の掛止点よりも下方レベルに位置して、
前記手前トレイ３Ｂの両側面前方寄りに固着した
ブラケツト２２，２３に、ターンバツクル２４，
２５を介して掛止され、このターンバツクル２
４，２５により、スプリング２０，２１の弾性強
度を調整するように構成されている。

２６はストツパーで、第３図に示されているよ
うに手前トレイ３Ｂが水平位置から下方に屈曲し
ないように、両端の蝶番１６部分に設けられてい
る。

２７は手前トレイ３Ｂの先端金物で、それぞれ
下段トレイの上に当接し積み重ね状に上段トレイ
を支持するようにせられている。

２８は支柱２の上端間の連結部材、２９はトレ
イ起立上限ストツパーで、連結部材２８に固着さ
れている。

３０は手前トレイ起立上限ストツパーで、最上
段の奥側トレイ３Ａ上の前端部に設けられ、この
ストツパー３０に対応して、最上段の手前トレイ
３Ｂの上面後端部にストツパー当金３１が設けら
れている。

３２，３３は補強斜材で、台車１と支柱２とを
連結してある。３４は台車１の後端と上部の連結
部材２８とを連結する補強斜材である。

前記スプリング８，９，２０，２１は、これに
代えてエアシリンダー等を採用してもよい。

上記実施例によれば、まず材料Ａを積み込む場
合には、最上段を除くすべてのトレイ３を起上さ
せた後、最下段の奥側トレイ３Ａ上に材料Ａを積
み込み、次いで、その上の１つのトレイ３を倒伏
させる。これを繰返すことで最上段のトレイ３ま
で材料Ａを積み込む。このとき、トレイ３を起
上・倒伏させると奥側トレイ３Ａと手前トレイ３
Ｂが、同時に起伏する。したがつて、奥側トレイ
３Ａ上に順次材料Ａを積み込む。材料Ａの積み込
みが完了すれば、一時運搬車を所定の場所に移動
させる。そこで、材料Ａと同時に材料Ｂが組立て
等に使用されるときは、材料Ａを積載してある運
搬車を、材料Ｂの生産ラインに移動し、最上段か
ら手前トレイ３Ｂのみを順次起立させた後、最下
段の手前トレイ３Ｂ上に材料Ｂを積み込み、その
上の１つの手前トレイ３Ｂを倒伏させて順次材料
Ｂを積み込む。このようにして、２種類の材料
Ａ，Ｂが各段のトレイ３上に積み込まれる。

次に、材料Ａ，Ｂを取り出して同時に使用する
場合は、最上段のトレイ３上から材料Ａ，Ｂを取
り出し、次いで、空になつたトレイ３を起立させ
ると手前および奥側トレイ３Ｂ，３Ａが同時に起
立されるので、順次材料Ａ，Ｂを作業工程に対応
して取り出すことができる。

また、同一の生産ラインから材料Ａと材料Ｂと
が異なる日に生産される場合にも、先に生産され
る材料Ａを奥側トレイ３Ａに積み込み、異なる日
に材料Ｂを手前トレイ３Ｂに積み込むことで、材
料Ａの積み替えを不要とできる。

（考案の効果） 本考案にかかる運搬車は、上記のようにトレイ
３を前後２分割して、手前トレイ３Ｂを奥側トレ
イ３Ａに対して起伏可能としたので、２種類の材
料を個別に積み込み、同時に使用することがで
き、材料の積み込まれたトレイ３Ａ，３Ｂは使用
時まで起立させることがなく、したがつてトレイ
３Ａ，３Ｂ上で材料が奥側にすべつて雑然となつ
たり詰まつたりすることがないうえ、従来のよう
に、先に生産された材料の積み替え作業がなくな
り、作業能率の向上ならびに労力の軽減を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
全体概略側面図、第２図は同正面図、第３図は本
考案の要部拡大側面図、第４図はトレイの拡大平
面図である。 １……台車、２……支柱、３……トレイ、３Ａ
……奥側トレイ、３Ｂ……手前トレイ、７……支
軸、８，９，２０，２１……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車１上に立設した左右一対の支柱２間に、後
   方両側を支軸７を介して軸支すると共に該支軸７
   廻りに起伏可能な多数のトレイ３を多段に配設し
   てなる運搬車において、前記各トレイ３は前後に
   ２分割して手前トレイ３Ｂはその後方端を奥側ト
   レイ３Ａの前端に水平軸心廻りに軸支すると共に
   奥側トレイ３Ａに対して起伏可能とされたことを
   特徴とする屈曲トレイ式運搬車。