JPH0459085B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、加工液噴出部保護機構を装備させ
たワイヤ放電加工装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のワイヤ放電加工装置の加工液噴出部は、
第２図において、被加工物１２の上、下方に該被
加工物の加工部に加工液を供給する上部噴出ノズ
ル２６ａを突設させた上部加工液噴出機構２０お
よび下部噴出ノズル２６ｂを突設させた下部加工
液噴出機構２２を配設し、前記両部加工液噴出機
構内には夫々電源３８に接続させた上部および下
部給電部３４，３６から放電電力を供給されるワ
イヤ電極１０を前記被加工物の加工部に対して摺
動支持させた上部および下部電極ガイド３０，３
２を固設させている。さらに、前記下部加工液噴
出機構を図示していない機械本体に固定してなつ
ているものであるが、該下部加工液噴出機構の被
加工物１２との関係位置は、その標準加工時には
第３ａ図に示すような状態にある。しかるに、加
工終了時には、第３ｂ図に示すように、前記被加
工物から加工物１２ａが落下して下部噴出ノズル
２６ｂに当つて衝撃を加えるので、前記下部加工
液噴出機構の支持状態を変えるという不具合が生
じてワイヤ放電加工に支障を起こさせることにな
る。そのために、前記ノズルを保護する目的で、
加工の途中で加工を一時中断させて前記被加工物
と加工物を同時に固定させる加工物落下防止治具
（図示されていない）を装着してから、さらに加
工を続行させている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

したがつて、前記落下防止治具の装着は、加工
の途中において該加工物に接触することによつて
行なうから、加工精度に悪影響を与える上に、加
工終了前の作業員の前述作業は加工作業能率を低
下させるとともに完全無人運転の実現を不可能に
しており、また、前述落下防止作業を行なわない
場合には、前記加工物の落下衝撃のために下部噴
出ノズル２６ｂを損傷させ、さらには前記下部加
工液噴出機構支持状態を変えるという不具合が生
じ、また加工物落下接触状態のままで加工作業を
継続すると、該下部加工液噴出機構等機器が破損
して作業続行が不能となり、さらには前記加工物
に縦筋等状の傷が生じて加工精度が低下する上
に、最悪時には加工終了直前において該加工物を
廃棄しなければならなくなり、さらにまた被加工
物１２の固設不充分のためにその取付定盤から下
がつた場合には、高精度の加工が行えなくなると
ともに、前記被加工物と下部噴出ノズル２６ｂと
が干渉して該ノズル等に損傷を与えるなどの諸問
題点がある。

この発明は、ワイヤ放電加工作業の途中におい
て加工物落下防止治具の装着を行なわなくても、
加工液噴出ノズルの破損を防止し、加工作業能率
の低下を起こさず、被加工物の取付不良を検知し
て安定した高精度加工を実現できるワイヤ放電加
工装置を得ることにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係るワイヤ放電加工装置は、内部に
下部電極ガイドを固設し、その周囲にノズル摺動
筒を突設させた下部加工液噴出機構の該摺動筒に
下部噴出ノズルを上下に摺移動自在に嵌入させ
て、該噴出ノズルおよび前記摺動筒両底部間に挿
設したノズル破損保護ばねによつて前記噴出ノズ
ルを上方に弾圧させるとともに、前記下部加工液
噴出機構に該噴出ノズルの所望位置で作動する検
出手段を固設し、かつこの検出手段の信号により
加工を停止させる加工停止手段を設けたものであ
る。

〔作用〕

したがつて、この発明の構成によれば、ノズル
破損保護ばねの緩衝作用によつて落下加工物が下
部噴出ノズルに接触して押圧しても該噴出ノズル
を損傷させるおそれがなく、また前記噴出ノズル
の所望の上下位置を検出手段が検出すると、加工
停止手段が加工を停止させるので、前記落下加工
物が噴出ノズルを設定位置に押圧すれば、該加工
装置が停止することになつて落下加工物の接触状
態のままで加工が継続して支障を起こすことがな
くなる。

〔実施例〕

つぎに、この発明の実施例を図面によつて説明
すれば、第１図において、被加工物１２の上方に
その加工部に加工液を供給する上部噴出ノズル２
６ａを突設した上部加工液噴出機構２０を配設し
て該噴出機構内に電源３８に接続させた上部給電
部３４から放電電力を供給するワイヤ電極１０を
前記被加工物の加工部に対して摺動支持させた上
部電極ガイド３０を固設させる。また、前記被加
工物の下方にはその内部に前記電源に接続した下
部給電部３６から放電電力を供給されるワイヤ電
極１０を前記被加工物の加工部に対して摺動支持
させている下部電極ガイド３２を固設させるとと
もに、図示していない機械本体に固定させた下部
加工液噴出機構２２′を配設させ、該噴出機構の
下部電極ガイドの周囲にはノズル摺動筒５０を突
設させて該摺動筒に前記被加工物加工部に加工液
を供給する下部噴出ノズル２６b′を上下に摺動自
在に嵌入させるとともに、該噴出ノズル底部およ
び前記摺動筒外底部間にノズル破損保護ばね４６
を挿設させて前記噴出ノズルを上方に弾圧させ
る。また、前記摺動筒の周囲に下部噴出機構２
２′からノズル停止筒４４を突設して該停止筒の
頂部を前記噴出ノズルの側部に係合当接させるこ
とによつて該ノズルの脱出を防止し、さらに前記
ノズル底部から停止作動棒４２を垂設させてその
作動棒端を下部噴出機構２２′に固設してあるリ
ミツトスイツチ４０に該噴出ノズルの所望上下位
置で当触するようにする。また、このリミツトス
イツチ４０の信号により動作する例えば電磁開閉
器から成る加工停止手段６０を電源３８に接続
し、下部噴出ノズル２６b′が落下加工物等によつ
て押圧されてリミツトスイツチ４０が作動した場
合には、加工を停止させるようにする。なお、ノ
ズル摺動筒５０の噴出ノズル２６′ｂの摺動面に
Ｏリング４８を埋設させて該噴出ノズル内に噴出
する加工液が前記ノズル停止筒内に浸入しないよ
うに封密を保持させている。

したがつて、この発明に係る下部噴出ノズル２
６b′上に加工物１２ａが落下した場合に、ノズル
破損保護ばね４６によつて該加工物落下の衝撃を
緩衝し、ついで停止作動棒４２がリミツトスイツ
チ４０に当触することによつて前記加工物の落下
を検知して加工停止手段６０を作動させることに
より、電源３８を遮断し、加工を停止するととも
に図示しないNC装置により加工装置を停止さ
せ、また被加工物１２の取付けが不充分で定盤下
に固定された場合でも、前記加工物落下と同様に
該被加工物が前記噴出ノズルに接触して前記保護
ばねを圧縮し、ついで前記停止作動棒がリミツト
スイツチに当触することによつて取付不良の検出
が行なわれる。なお、前述実施例では、加工物落
下検出をリミツトスイツチによつて行なう例を示
したが、該スイツチに代えて圧電素子、近接スイ
ツチあるいは短絡検出機構等を使用しても同様な
効果を奏することができることは詳述するまでも
ない。また、前述実施例では加工停止手段６０を
電源３８に接続した電磁開閉器で構成したものを
示したが、これを例えばNC装置に含まれるソフ
トウエア等で構成しても良く、このような場合で
も前述実施例同様の作用効果を奏する。

〔発明の効果〕

上述したように、この発明は、下部噴出ノズル
をばね支承させて加工物落下衝撃を緩衝させると
ともに、該加工物の落下を検出手段によつて検知
し、この検知時に加工停止手段によつて加工作業
を停止させられるから、加工作業を一時中断して
加工物落下防止作業を行なう必要がなくなる上
に、被加工物の定盤取付不充分で定盤下に固定し
た場合でも、その取付不良を検出するので噴出ノ
ズル等の損傷を防止できるなど、無人で加工精度
の高い加工を行なえる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例を示す要部の縦断
側面図、第２図は、従来のワイヤ放電加工装置の
要部の縦断側面図、第３ａ図は、同じく標準加工
時の下部加工液噴出機構と被加工物との関係位置
を示す縦断側面図、第３ｂ図は、同じく加工物落
下時の下部加工液噴出機構と被加工物との関係位
置を示す縦断側面図である。 １０……ワイヤ電極、１２……被加工物、１２
ａ……加工物、２０……上部加工液噴出機構、２
２……従来下部加工液噴出機構、２２′……この
発明に係る下部加工液噴出機構、２６ｂ……従来
下部噴出ノズル、２６b′……この発明に係る下部
噴出ノズル、４０……リミツトスイツチ、４２…
…停止作動棒、４４……ノズル停止筒、４６……
ノズル破損保護ばね、５０……ノズル摺動筒、６
０……加工停止手段。なお、図中同一符号は同一
又は相当部を示すものとする。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内部に下部電極ガイドを固設し、その周囲に
   ノズル摺動筒を突設させた下部加工液噴出機構の
   該摺動筒に下部噴出ノズルを上下に摺移動自在に
   嵌入させて、該噴出ノズルおよび前記摺動筒両底
   部間に挿設したノズル破損保護ばねによつて前記
   噴出ノズルを上方に弾圧させるとともに、前記下
   部加工液噴出機構に該噴出ノズルの所望位置で作
   動する検出手段を固設し、かつこの検出手段の信
   号により加工を停止させる加工停止手段を設けた
   ことを特徴とするワイヤ放電加工装置。