JPH0457224B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は遠心液々分配クロマトグラフ装置に使
用する分配管カラムカートリツジに関する。

本発明の分配管カラムカートリツジを使用する
遠心液々分配クロマトグラフ装置は、医薬品、農
薬、化粧品、食品、飼料添加物として使用される
生理活性天然有機化合物の大量分画精製を目的と
する装置である。

（従来の技術） この目的に使用される物質は、微生物培養培
地、微生物菌体、動物及び植物の組織体等の生体
材料より抽出、精製されるが、精製さた目的物質
を得るめに、従来順相又は逆相の分配クロマトグ
ラフイーが多く使用されている。分配クロマトグ
ラフイーは、通常シリカゲル、アルミナゲル、セ
ライト、ケイソウ土、多孔性ポリスチレン樹脂等
を担体とし、表面に液体相を物理的に吸着被覆さ
せるか、化学的に結合した粒子を充填したカラム
を用いて行われる。しかしながら、生物材料中よ
り抽出される成分の中には、目的の生理活性物質
以外に、大量の色素、不純物が含まれているた
め、使用した担体が不可逆的に汚染され、頻繁に
交換、廃棄しなければならない。また、目的の生
理活性物質が担体表面の液体相（固定相）に強く
保持されるか、担体表面に吸着される場合、目的
物質はカラムから回収されず、これをカラムから
溶離させるような条件下では、生理活性物質が失
活、変性することがある。固体担体表面に吸着も
しくは結合した固定相は、ごく薄い分子層であ
り、試料保持容量は極めて少ない。大量の試料を
分画精製するためには、大量の担体を充填した大
口径のカラムを使用しなければならず、技術的に
も経済的にも有利な方法ではない。

相互に自由には混和せず、二相に分離する２種
類又はそれ以上の溶媒の混合液の一方の相を固定
相とし、他方の相を移動相として、二層間の物質
の分配係数の差を利用して多段分配平衡により混
合物質から各成分を分離精製する方法は向流分配
クロマトグラフイーとして知られている。向流分
配クロマトグラフイーは、分離精製媒体として固
体担体を使用しないために、試料の回収、装置の
洗浄が容易であり、温和な条件で分離が行われる
ので、試料中の各成分が安定に100％回収され、
試料保持容量が大きいために大量の分離精製に適
する等の利点がある。この目的に使用される装置
として、クレイグの向流分配装置、液滴向流分配
装置が知られているが、これらは、取扱、操作が
煩雑で、分離精製に長時間を要する等の難点があ
る。

本願発明者は、先に、向流分配クロマトグラフ
イーを短時間で精度良く行ない、かつ大量の試料
を分離精製するのに適した方法として、二相分離
液の一方を固定相として遠心力によつて保持しな
がら、他方を移動相として連続的に固定相内を通
過させて、移動相内に注入された試料を連続的に
分画採集する遠心液々分配クロマトグラフ装置を
発明し、特許出願した（特開昭57−169800号〔特
開昭59−62312号〕）。

この装置の原理を第１図に示す。遠心加速度の
方向に平行に配列され、細管２で相互に連結され
た多数の分配管１の中に、固定相液３が遠心力で
保持される。移動液相４が細管２を通つて配列さ
れた分配管の一方の端より導入され、分配管１の
中を遠心力の作用によつて生じる浮力を受けて微
細な液滴となつて通過する。移動相液４が順次配
列された分配管１の中を連続的に通過する間に、
移動相液４中に導入された試料の各成分は、移動
相液４と固定相液３の間で多段の分配が繰り返さ
れ、分配係数の差に応じて分離されて、配列され
た分配管１の他方の端より連続的に流出し、分画
採集される。図では、二層分離液のうち比重の大
きい液相を固定相、比重の小さい液相を移動相と
して使用した場合の送液方向を示す。

この装置を第２図について説明する。

第２図において、二相分離分配液の上下二相に
分離した一方の液を固定相液としてローター８の
周辺に放射状に配列されたカラムカートリツジ７
に予め充填した後、ローター８を回転させる。ロ
ーター８を回転させつつ、溶液タンク１から他方
の液を移動相液として送液し上部回転送液ジヨイ
ント５を通つて回転軸６からカラムカートリツジ
７へ送り込む。同時に試料注入器３から試料溶液
が注入される。移動液相はカラムカートリツジ７
内で固定相液と混合、遠心加速度による分離が多
数回繰り返され、その間に試料液中の分配係数が
異なる各成分が分離される。分離された各試料成
分は回転軸６の中心を通り、下部回転ジヨイント
５を通つて移動相液と共に流出する。連続的に流
出する移動相液中の試料成分は紫外線吸収モニタ
ー１４で検出され、レコーダー１５に記憶され、
同時にフラクシヨンコレクター１６で一定量づつ
分取される。分取された試料溶液の中から目的の
物質の画分を採集する。

（発明が解決しようとする問題点） 前記の特願昭57−169800号（以下先願と称す
る）の発明の装置において、極微量を分離すにた
めには、極めて細い分配管が必要であり、純度を
上げるためには、数千個の分配管を必要とし、装
置の性能を向上させるには、カラムカートリツジ
内の分配管の数を格段に増設することが重要であ
る。而して、先願発明においては、樹脂製の直方
体ブロツクに固定相液を保持する分配管、移動相
液を通路に相当する穴を交互に多数開けたカラム
カートリツジが使用する。しかしながら、このよ
うなカラムカートリツジの製作は、具体的には、
例えば、3.8cm×14.5cmの面上に、直径約１cmの
分配管の孔を２列18個開孔し、通液路として直径
0.1cm、深さ４cm、即ち直径の40倍の細孔及び連
結溝を穿つことになり、加工に高度の技術を必要
とし、実用上極めて困難で、先願の発明における
カラムカートリツジは、このような要求に対応す
ることは困難である。

本発明の目的は、上記の遠心液々分配クロマト
グラフ装置に使用される分配管カラムカートリツ
ジにおいて、従来のものに比し分配性能がより向
上し、量産的により簡単に製造可能な分配管カラ
ムカートリツジを提供することである。

（問題点を解決するための手段） 本願発明者は、鋭意研究の結果、本願発明の長
方形の板状体にその長手方向に直角に等間隔に並
列して単列又は複数列に複数個の溝状の分配管を
有し、該分配管の各々を一端と反対端とを順次に
通液路で連結して成る分配板を積層し、更に最外
層の両分配板にシール板を積層し、各分配板の各
末端の通液路は隣接する分配板の末端の通液路と
連結し、最外層の該両分配板の通液路の最末端は
シール板を貫いて該シール板の側面に同一方向に
開口して成ることを特徴とする遠心液々分配クロ
マトグラフ装置に使用する分配管カラムカートリ
ツジを発明し、更に放射状に設置された複数個の
カラムカートリツジが密接一体化して交互に連結
された多数の分配管と通液路を内包した環状のデ
イスクを形成して成ることを特徴とする分配管カ
ラムカートリツジを発明して、この目的を達成す
るに至つた。

次に、本願発明の分配管カラムカートリツジを
図面について具体的に説明する。

第３図は本発明の分配管カラムカートリツジの
一構成部材である分配板１の概要説明図で、第４
図はその平面図及び側面図である。図において、
分配板１は長方形の板状体で、その長手方向に直
角に等間隔に並列して複数個の溝状の分配管２が
形成されており、この分配管２は各々その一端部
４が隣の分配管の反対端部５と順次に通液路３に
よつて連結し、最終端の分配管２^Fは最終端の通
液路３^Fによつて分配板１を貫通してその下面に
開口している。なお、分配板１の材料は、金属、
プラスチツク又はセラミツクの何れでも良く、金
属の場合はSUSが好ましく、またプラスチツク
の場合は三フツ化エチレンが好ましい。

第５図は、分配管カラムカートリツジを構成す
るため、上記分配板の積層の態様を示す説明図で
ある。図において、第１分配板の最終端通液路３
^Ｆは、逆方向に配置された第２分配板の最初の分
配管への通液路３^Iに連通し、第２分配板の最終
端液路３^Fは、その逆方向に配置された第３分配
板の最初の分配管への通液路３^Iに連通し、順次
にこのようにして、最後の分配板の最終端通液路
３^Fが第１分配板の最初の分配管への通液路３^Iの
同じ側の端部に位置するごとく、数枚の分配板を
重ねて積層する。このようにして構成された複数
個の分配板から成る積層体は上下両面をシール板
７で挟み封印固定する。その際、第１分配板の液
路３^I及び最後の分配板の最終端通液路３^Fは、そ
れぞれ上下のシール板７を貫いて該シール板の側
面に同一方向８及び９に開口する。分配板積層体
をシール板で固定する手段としては、両シール板
及び各分配板の周辺に適当数の孔を貫通してお
き、ボルト及びナツトで締めつけてもよい。分配
板と分配板との間及びぶんはい板とシール板との
間には、通常シート６を挿入介在させるが、シー
トとしてはテフロンが好ましい。

以上、分配管が単列に配列された分配板を積層
して成る分配管カラムカートリツジについて説明
したが、分配板における分配管の配列は複数列に
することもできる。第６図及び第７図は、分配管
が２列に配列された場合の平面及び側面図及び積
層の態様を示す説明図である。複数列配列の場合
においても、第１分配板の通液路３^I及び最後の
分配板の最終端通液路３^Fは、シール板の側面に
同一方向に開口せねばならないことは明らかであ
る。

また、本発明の分配管カラムカートリツジは、
前記のごとく、ローターの周辺に放射状に配列さ
れるものであるから、この放射状に配列された複
数個の分配管カラムカートリツジを密接一体化し
て交互に連結されらた多数の分配管と通液路を内
包した環状のデイスクに形成することができる。
第８図及び第９図は、環状のデイスクに形成され
た円盤積層型カートリツジの平面概要図及び縦断
面図である。図において、樹脂、好ましくは、フ
ツ素化炭化水素樹脂）、金属（SUS）又はセラミ
ツクスの円盤に多数の扇型の堀を彫刻して分配管
１を形成し、該分配管を相互に円盤の片面に彫刻
した溝２で連結し、最上層の円盤１０の第１分配
管に接続する連結溝３はシール９を通して上部押
え板５に取り付けられた上部送液ジヨイント７に
連結し、最後の分配管に接続する連結溝４は円盤
の裏面に彫刻され、シールを通して二番目の円盤
の第１分配管に接続する連結溝に接続し、以下同
様に積層された円盤に順次連結し、最下層の円盤
１０を最後の分配管に接続する連結溝はシールを
通して下部押え板６に取り付けられた下部送液ジ
ヨイント８に接続している。第１０図は円盤積層
型の分配管カラムカートリツジをローターに組み
立てた構成を示している。図において、１１は回
転送液ジヨイント、１２は回転ジヨイント、１３
は接続チユウブ、１４は接続ジヨイント、１５は
円盤受け板、１６はベアリング、１７はプーリー
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の分配管カラムカートリツジ
を使用する遠心液々分配クロマトグラフ装置の原
理の説明図である。第２図は、該遠心液々分配ク
ロマトグラフ装置の説明図である。第３図は、本
発明の分配管カラムカートリツジの一構成部材で
ある分配板の概要説明図である。第４図は、該分
配板の平面図及び側面図である。第５図は、本発
明の分配管カラムカートリツジを構成するための
分配板の積層の態様を示す。第６図は、分配管が
２列の場合の平面図及び側面図である。第７図
は、分配管が２列の場合の積層の態様を示す図で
ある。第８図及び第９図は、円盤積層型の分配管
カラムカートリツジの平面概要図及び縦断面図で
ある。第１０図は、円盤積層型の分配管カラムカ
ートリツジをローターに組み立てた構成の概要図
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転軸の上下両端にそれぞれ回転送液ジヨイ
   ントを有し、複数個のカラムカートリツジを周辺
   に沿つて放射状に設置した円筒形のローターから
   成り、回転軸上端の回転送液ジヨイントは任意の
   一つのカラムカートリツジに連結し、該カラムカ
   ートリツジは隣接するカラムカートリツジに順次
   連結し、最後のカラムカートリツジは回転軸の下
   端の回転送液ジヨイントに連結して成る遠心液々
   分配クロマトグラフ装置において、長方形の板状
   体にその長手方向に直角に等間隔に並列して単列
   又は複数列に複数個の溝状の分配管を有し、該分
   配管の各々の一端と隣接する分配管の反対端とを
   順次に通液路で連結して成る分配板を積層し、更
   に最外層の両分配板にシール板を積層し、各分配
   板の各末端の通液路は隣接する分配板の末端の通
   液路と連結し、最外層の該両分配板の通液路の最
   末端はシール板を貫いて該シール板の側面に同一
   方向に開口して成ることを特徴とする遠心液々分
   配クロマトグラフ装置に使用する分配管カラムカ
   ートリツジ。 ２ 積層する分配板と分配板及び分配板とシール
   板との間にシートを介在させた第１項の分配管カ
   ラムカートリツジ。 ３ 該長方形の板状体は、金属、プラスチツク、
   又はセラミツクから成り、該シール板は金属から
   成る第１項の分配管カラムカートリツジ。 ４ 該分配板の複数個を放射状に配置して環状の
   デイスクを形成し、形成した環状のデイスクを複
   数個積層して成る第１項の分配管カラムカートリ
   ツジ。