JPH0457081B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は高電圧機器内部の部分放電監視装置に
関し、特に運転中の複数台の高電圧機器内部で発
生する部分放電を監視するのに適した部分放電監
視装置に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

変圧器や密閉型開閉装置等の高電圧機器は実系
統運転中機器内部において部分放電が発生すると
これが発端となつて絶縁破壊事故に至る恐れがあ
る。一度このような事故が起こると電力系統の動
揺や停止などの極めて重大な影響を及ぼす結果と
なる。このため実系統運転中の高電圧機器におい
ては、内部部分放電を検出して機器の絶縁破壊事
故を未然に防止するようにしている。

このような部分放電監視装置としては従来電気
的検出方式と音響的検出方式の２通りの方式があ
る。

変圧器を例にとつて説明すれば電気的検出方式
においては、変圧器内部に部分放電が発生した際
に電気回路に発生する電流パルスをブツシングの
PDタツプに接続した検出インピーダンスや中性
点と接地点間に接続した検出インピーダンスによ
り検出する。しかしながら実運転中の変圧器に接
続されている電力用送電線の気中部分放電や、該
送電線が拾う誘導雑音、（以下これらを気中部分
放電等という）が部分放電検出回路に侵入したと
き機器内部の部分放電として誤つて検出される恐
れがある。

他方、音響的検出方式は機器のタンク壁にマイ
クロホンを取り付け、このマイクロホンにより機
器内部に発生した部分放電音を検出するもので、
この方式によれば送電線の気中部分放電等の影響
がほとんどなく、前述の電気的検出方式より適し
ている。しかしながら屋外において雨音や異物が
タンク壁にあたつた音や、動物がタンク壁上を歩
く音、（以下これらを雨音等という）により誤動
作する恐れがある。

これら各方式の欠点を補い、より信頼性のある
検出方式として、部分放電の発生による電流パル
スを検出し、それにより同期式オシロスコープを
トリガーして遅れて入る部分放電音によるマイク
ロホン出力を監視する方式がある。この方式はオ
シロスコープに現われる電流パルス信号及びマイ
クロホン信号を監視することにより両方の信号が
所定の条件のもとで検出されることにより機器内
部の部分放電を監視し得るもので気中部分放電や
雨音等のノイズが除去できより一層検出精度が向
上する。しかしながら従来これらの部分放電監視
装置は高電圧機器１台に対して夫々各１台設置し
ていた。近年電力機器の高電圧化、大容量化に伴
い輸送制限を満たすため機器をユニツトに分割す
る場合が多くなつてきている。現在変電所用の
500kV級変圧器では３分割され、将来の1000kV
級変圧器では６〜９分割されることも予想され
る。このように多数に分割された各ユニツト毎の
機器に１台づつ部分放電監視装置を設けることは
経済的に好ましくないばかりか設置スペースを多
くとり信頼性が低下するという欠点が生ずる。

〔発明の目的〕

本発明は以上の欠点を除去し経済的で、設置ス
ペースが小さく信頼性の高い、特に複数台の機器
の部分放電を検出するのに適した部分放電監視装
置を得ることを目的とする。

〔発明概要〕

本発明は以上の目的を達成するために高電圧機
器内部に発生する部分放電を部分放電にもとずく
電気的および音響的検出信号とにより検出する部
分放電監視装置において、複数台の高電圧機器の
電気的検出信号が入力される加算器と、同じく音
響的検出信号が入力される加算器とを設けこれら
の加算器からの出力により電気的検出信号の発生
後所定の時間内に音響的検出信号が検出されるこ
とにより部分放電を検出し、且つ電気的あるいは
音響的検出信号のいずれかによりいずれの高電圧
機器に部分放電が発生したかを判別しこれらを総
合的に判断することにより複数台の高電圧機器に
対し１台の装置により部分放電を監視するように
したことを特徴とするものである。

〔発明の実施例〕

以下本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。第１図において１ａ，１ｂ，１ｃは複数台
（図では３台）の例えば変圧機等の高電圧機器で、
説明の便宜上変圧器１ａについてまず説明する。
この高電圧機器１ａの高圧ブツシング２ａは図示
しないが他の機器と必要な接続が成され送電線３
０に接続されている。高電圧機器１ａ内で部分放
電が発生すると高圧ブツシング２ａに電気的パル
スが現われ、高圧ブツシング２ａのPDタツプ３
ａに接続された図示しない検出インピーダンスに
より検出されたケーブル４ａを介して波形成形及
び増幅機能を有するコロナ検出器５ａに導かれ、
さらにケーブル６ａを介して第１の加算器７１に
導かれる。ケーブル４ａ，６ａとしてはノイズの
誘導をできるだけ避けるため高周波同軸ケーブル
が用いられる。

一方、高電圧機器１ａ内で部分放電が発生した
際に生ずる放電音は油等の伝搬媒体を伝搬してタ
ンク壁８に達し、タンク壁８に適宜間かくを置い
て取付けられた複数個の音響的検出器、例えば超
音波マイクロホン（以下単にマイクロホンとい
う）９ａ〜１２ａにより検出され各々高周波同軸
ケーブル１３ａ〜１６ａを介して第２から第５の
加算器７２〜７５に導かれる。同様に他の高電圧
機器１ｂ，１ｃにおいてもコロナ検出器５ｂ，５
ｃ、マイクロホン９ｂ〜１２ｂ、９ｃ〜１２ｃが
設けられ、それらの検出信号が高周波同軸ケーブ
ルを介して第１から第５の加算器７１〜７５に導
かれるように接続されている。前記第１の加算器
７１の出力信号は時間カウント制御部８１に入力
され、また第２から第５の加算器７２〜７５の出
力信号は第１から第４の時間カウンタ８２〜８５
に入力されるようになつている。時間カウント制
御部８１において入力信号は波形成形されカウン
トトリガーパルス１７として時間カウンタ８２〜
８５に導かれる。高電圧機器１ａ〜１ｃ内の部分
放電の発生と時間カウンタ８２〜８５によるカウ
ント開始との間には通常マイクロ秒オーダの遅れ
があるのみで、実際上両者は略々同時とみなして
もよい。

更に各時間カウンタ８２〜８５のカウント出力
は部分放電発生位置を判別する判別部１８に入力
される。一方各高電圧機器１ａ〜１ｃの同一位置
に取付けられた少くとも１つずつのマイクロホン
１２ａ〜１２ｃの音響的検出信号は機器判別部１
９に送られ、更に前記判別部１８と機器判別部１
９の出力信号は総合判断部２０へ入力される。

次に本発明の作用について説明する。高電圧機
器１ａ〜１ｃのいずれかの機器の内部において部
分放電が発生した場合、例えば高電圧機器１ａに
おいて部分放電が発生した場合第２図に示すよう
にコロナ検出器５ａおよびマイクロホン９ａ〜１
２ａには夫々パルス状の電気的検出信号および音
響的検出信号が入り、これらの信号は夫々第１か
ら第５の加算器７１〜７５に入力される。しかし
高電圧機器１ｂ，１ｃには部分放電が発生してい
ないのでいずれも検出信号が現われず第１から第
５の加算器７１〜７５には前記コロナ検出器５
ａ、マイクロホン９ａ〜１２ａからの信号のみが
入力され、これによつて出力信号が出る。時間カ
ウント制御部８１では第１の加算器７１からの信
号により時間カウンタ８２〜８５にカウントトリ
ガーパルス１７を送り夫々カウントを開始する。
一方、部分放電にもとずく放電音はマイクロホン
９ａ〜１２ａから第２〜第５の加算器を通して時
間カウンタ８２〜８５に導かれる。これらの時間
カウンタ８２〜８５は前記のごとくすでにカウン
トを開始しているがマイクロホン９ａ〜１２ａか
ら供給される検出信号の到着により夫々カウント
を停止する。カウントを停止した時点における時
間カウンタ８２〜８５の指示は部分放電発生点か
らマイクロホン９ａ〜１２ａまでの放電音の伝搬
時間t₁〜t₄に相当する。高電圧機器内で部分放電
が発生した場合の放電音の伝搬時間は伝搬媒体中
の放電音の伝搬速度、機器の大きさ、機器の内部
構成物と最も近いところにあるマイクロホンまで
の距離等によつて定まる一定の範囲内にあり、例
えば高電圧機器が油入電力用変圧器である場合通
常50μsec〜10ｍsec程度である。従つて時間カウ
ンタ８２〜８５から出力される伝搬時間を示す信
号は判別部１８に導かれ、ここで高電圧機器１ａ
〜１ｃの大きさ、マイクロホンの設置位置等を考
慮して初期設定された各々の最小伝搬時間t_nioと
最大伝搬時間t_naxとの間に入るかどうかを判別
し、全での信号が条件を満たした場合は内部部分
放電と判断し、各信号の時間差等から部分放電発
生位置の標定を行う。

一方、各高電圧機器１ａ〜１ｃのマイクロホン
１２ａ〜１２ｃの検出信号は機器判別部１９に送
られ、ここで入力される検出信号がどのマイクロ
ホンからの信号であるかを判別し部分放電の発生
した機器を判別する。そして前記判別部１８と機
器判別部１９の出力信号は総合判断部２０に送ら
れて、ここでどの機器のどの位置で部分放電が発
生したかを最終的に判断し警報等の信号を発生す
る。

同様に他の高電圧機器１ｂまたは１ｃ、あるい
は同時に複数の高電圧機器において部分放電が発
生した場合も前記と同様に夫々の検出信号により
第１から第５の加算器７１〜７５から出力信号が
発生し総合判断部２０においてどの機器のどの位
置で部分放電が発生したかを最終的に判断する。

上記実施例においては機器判別部１９への入力
信号として各高電圧機器１ａ〜１ｃのマイクロホ
ン１２ａ〜１２ｃの検出信号を用いているが、本
発明はこれに限らずコロナ検出器５ａ〜５ｃの検
出信号を入力信号としても同様の作用を行うこと
ができる。また音響的検出器として各機器に夫々
４個のマイクロホンを取り付けた場合を説明した
がこれは４個に限らず必要に応じた個数を設けれ
ばよく、例えば１個でもよい。しかし１個の場合
は部分放電発生位置の標定が行えない。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によれば高電圧機器の内部
に発生する部分放電を部分放電にもとずく電気的
検出信号と音響的検出信号とにより検出するよう
にした部分放電監視装置において、複数台の高電
圧機器から検出される電気的および音響的検出信
号を加算器に入力しこの加算器の出力信号により
部分放電を監視するようにしたので経済的で、設
置スペースが小さく、信頼性の高い特に複数台の
機器の部分放電を検出するのに適した部分放電監
視装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すブロツク図、
第２図は本発明の作用を説明するタイムチヤート
である。 １ａ〜１ｃ……高電圧機器、２ａ〜２ｃ……高
圧ブツシング、５ａ〜５ｃ……コロナ検出器、９
ａ〜１２ａ……マイクロホン、７１〜７５……加
算器、８１……時間カウント制御部、８２〜８５
……時間カウンタ、１８……判別部、１９……機
器判別部、２０……総合判断部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高電圧機器の内部に発生する部分放電を部分
   放電にもとずく電気的検出信号と音響的検出信号
   とにより検出するようにした部分放電監視装置に
   おいて、複数台の高電圧機器の電気的検出信号が
   入力される第１の加算器と、同じく複数台の高電
   圧機器の音響的検出信号が入力される第２の加算
   器と、第１の加算器からの出力信号によりカウン
   トを開始し第２の加算器の出力信号によりカウン
   トを停止する時間カウンタと、この時間カウンタ
   のカウント値が所定の範囲内にあるとき部分放電
   と判定する判別部と、前記複数台の高電圧機器の
   電気的または音響的検出信号の少くとも一方が入
   力され機器の判別を行う機器判別部と、前記判別
   部と機器判別部との出力信号によりいずれの機器
   に部分放電が発生したかを判断する総合判断部と
   から成る部分放電監視装置。