JPH0455095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は防波堤・護岸等の建設において使用さ
れ、中詰に際し、中詰砂と水とをスラリー状に
し、水搬によつて砂を充填するスラリー中詰工法
用蓋付ケーソンに関する。

（従来の技術） 従来、スラリー中詰工法に使用する蓋付ケーソ
ン（別名密閉型ケーソン）は、第４図、第５図に
示すように、周壁１、底板２及び頂板３によつて
中空箱状に成型され、その内部に複数の垂直隔壁
４，４……を一体に備えている。そして、各垂直
隔壁４には、第５図に示すように上縁部両隅部に
連通穴５，５を設けるとともに中央部分に複数の
連通穴６が開口されている。また頂板３には、ス
ラリー注入口７及び排水口８が開口されており、
スラリー注入口７より注入管９を通して水と砂と
のスラリーを送り込み、ケーソン内で砂分を沈降
させ、水分を排水口８から返送管１０を通して送
り返し、再度スラリーに使用するようにしてい
る。このときケーソン内に送り込まれるスラリー
は、各連通穴５，６を通つて隔壁にて仕切られた
各隔壁１１内に送られ、その内部で砂分が沈降す
ることにより砂が充填される。そして頂板下面へ
の砂の充填が偏つた場合にもスラリーの流れを確
保するために隔壁上縁部には、その両隅部に一対
の連通穴５，５を開口させている。

（考案が解決しようとする課題） 上述した如き従来の蓋付ケーソンは、砂の充填
が進み、頂板下面近くまで達した際における充填
が一方側に偏り、一方の連通穴５が埋まつた場合
に、もう一方の連通穴５からスラリーが流れ、こ
れにより完全な充填がなされることを企図したも
のであるが、このように両隅部に連通穴５，５が
ある場合、その一方が閉じられると流れ方向が変
化し、水路が安定せず、中詰砂の充填率が必ずし
も良くならないという問題があつた。

本考案は上述の如き従来の問題にかんがみ、最
後の充填までスラリーの水路が一定となり、充填
率の高い構造の蓋付ケーソンの提供を目的とした
ものである。

（課題を達成するための手段） 上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を
達成するための本考案の特徴は全周面が閉鎖され
た中空箱状をなし、内部が複数の垂直隔壁にて仕
切られ、その各隔壁の中央部分及び上縁部分に水
と砂とのスラリーが通過自在な連通穴が開口さ
れ、かつ頂面板に前記スラリーを送り込むスラリ
ー注入口と砂分が沈降分離した水を排出する排水
口とを備えてなるスラリー中詰工法用蓋付ケーソ
ンにおいて、前記垂直隔壁の上縁中央部に対応す
る頂面板下面位置を高く成型し、該垂直隔壁の中
央最上部に連通穴を開口させたことにある。

（作用） この蓋付ケーソンは、頂面板の下面を隔壁上縁
中央部分を高く成型し、隔壁の中央上縁に連通穴
を設けたことにより、スラリー注入による中詰砂
の充填途中で、その充填状態に偏りが生じても最
終的には隔壁上縁中央部分及びこれに対応する頂
面板下面の最も高い位置に流路ができ、流路が安
定した状態となる。

（実施例） 次に本考案の実施の一例を図面について説明す
る。

図において、２０は本考案に係る蓋付ケーソン
を示している。このケーソン２０は、全体が長方
形状をなしており、周壁板２１、底板２２及び頂
面板２３により周囲が閉鎖され、その中空内部は
垂直隔壁２４，２４によつて複数の隔室２５，２
５，２５に仕切られている。頂面板２３には、そ
の中央部分にスラリー注入口２６と排水口２７と
が設けられている。

また、頂面板２３の下面は、第２図に示すよう
に隔壁２４の上縁中央部分に対応する部分を連続
して高く成型した凹溝２８が形成されている。一
方各隔壁２４の上縁中央部分には一個の連通穴２
９が成型され、その下方の隔壁中央部分に別の連
通穴３０が開口されている。

このように構成される蓋付ケーソン２０の中詰
に際し、スラリー注入口２６よりスラリー注入管
３１を使用して砂と水とのスラリー（含砂率30％
程度）を注入すると、このスラリーは、隔壁の連
通穴２９，３０を通つて、各空室２５，２５……
に送り込まれ、その底部に砂分が沈降して堆積さ
れ、砂と分離した水は排水口２７から排出され、
返水管３２を通して送り返される。

このようにして、砂の中詰が除々に進行し、頂
面板２３近く達すると、隔壁上縁中央部分の連通
穴２９のみからスラリーが流されることとなり、
このとき、この連通穴２９に対応した頂面板下面
の凹溝２８に沿つたスラリーの流れが生じ、第３
図に示すように凹溝２８の最も高い部分が最後に
流路ａとなつて残された状態に中詰砂ｂの充填が
なされる。

なお、上述の実施例では、ケーソンの長手方向
に直交する向きにのみ隔壁を設けた場合を示して
いるが、直交する格子状配置に多数の隔壁を有す
る蓋付ケーソンに実施してもよく、また、スラリ
ーの注入口及び排水口にもその数及び配置とも上
述の実施例の他、各種のものに実施できる。

（考案の効果） 上述したように本考案の蓋付ケーソンは、垂直
隔壁の上縁中央部分に連通穴を設け、頂面板下面
をその連通穴に対応する部分を高くしたことによ
り、スラリー注入による中詰砂の最終段階におけ
る充填に際し、常に頂面板下面の隔壁上縁中央位
置に流路が形成されることとなり、流れが安定
し、きわめて高い充填率の中詰がなし得られるこ
ととなつたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施の一例を示す蓋付ケーソ
ンの縦断側面図、第２図は第１図中の−線断
面図、第３図は中詰砂の充填最終段階の状態を示
す部分断面図、第４図は従来例を示す縦断側面
図、第５図は第４図中の−線断面図である。 ２０……蓋付ケーソン、２１……周壁板、２２
……底板、２３……頂面板、２４……垂直隔壁、
２５……空室、２６……スラリー注入口、２７…
…排水口、２８……凹溝、２９，３０……連通
穴、３１……注入管、３２……返水管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全周面が閉鎖された中空箱状をなし、内部が複
   数の垂直隔壁にて仕切られ、その各隔壁の中央部
   分及び上縁部分に水と砂とのスラリーが通過自在
   な連通穴が開口され、かつ頂面板に前記スラリー
   を送り込むスラリー注入口と砂分が沈降分離した
   水を排出する排水口とを備えてなるスラリー中詰
   工法用蓋付ケーソンにおいて、前記垂直隔壁の上
   縁中央部に対応する頂面板下面位置を高く成型
   し、該垂直隔壁の中央最上部に連通穴を開口させ
   たことを特徴としてなるスラリー中詰工法用蓋付
   ケーソン。