JPH0454058B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、デーゼル機関の燃料噴射時期を最適
制御する電子制御タイマの進角度（燃料噴射時
期）を検出する装置に関するものである。

第１図に示すように、機関１から燃料噴射ポン
プ２に至る動力伝達系路に電子制御タイマ３を設
けた場合は、タイマ３の入力軸と出力軸とにそれ
ぞれパルサ４，５を取り付け、このパルサ４，５
に対向して機関回転センサ６と噴射時期センサ７
とを取り付けている。そして、燃料噴射ポンプ２
に設けた負荷センサ８から出力される負荷信号
と、機関回転センサ６から出力される回転数信号
及び上死点信号等をコントローラ９に供給し、こ
のコントローラ９で最適噴射時期を演算して電子
制御タイマ３を制御し、噴射時期センサ７の出力
をコントローラ９にフイードバツクして噴射時期
を機関運転状態に応じて最適制御している。

ところが、従来では機関回転センサ４から出力
される上死点信号と噴射時期センサ７から出力さ
れる噴射時期信号との位相差のみから電子制御タ
イマ３の進角度（噴射時期）の大きさを判断する
ようにしていたので、両センサ６，７の取付精度
が進角度の制御精度に大きな影響を及ぼすという
問題があつた。

また、例えば回転センサ６を取り付けるに際し
ては、第２図に示すように燃料噴射ポンプ２の入
力軸にパルサ４を固定し、このパルサ４の外周面
に対接する回転センサ６をブラケツト６′に取り
付けていた。ところで、このようなセンサとパル
サとの関係では、パルサ４の径が大きくなるほど
両者の位置合わせ精度を向上できるので、前記し
たような進角度の検出精度を高くするには大径の
パルサを使用して位置合せ精度を高くする必要が
あるために、装置そのものが大型化してしまう欠
点があり、逆に実用性を重視してパルサを小型化
すると位置合せ精度が低下して電子制御タイマの
信頼性、精度が低下してしまうという不具合があ
つた。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたも
のであり、特殊な治具及び高度な組付技術を必要
とすることなく、コントローラの内部処理でパル
サとセンサとの位置ズレを自動検知してこれを補
正信号として出力するようにすることにより、制
御精度を向上させつつパルサ等を小型コンパクト
化して機関への装着性を向上させることを目的と
している。

斯る目的を達成するために本発明は、機関駆動
される燃料噴射ポンプの駆動系路に介装された電
子制御タイマの入力軸の回転位相に応答した信号
を出力する機関回転センサ及び前記電子制御タイ
マの出力軸の回転位相に応答した信号を出力する
噴射時期センサを設けている。又、前記電子制御
タイマが最大遅角状態にあることを検出する手段
を設けると共に、該手段を介して電子制御タイマ
が不作動状態にあることを検出したときに前記両
センサの出力信号の位相のズレの単位時間あたり
の平均値を初期ズレとして記憶する記憶手段を設
けている。そして、前記両センサの出力信号の位
相差を前記記憶手段に記憶されている初期ズレで
補正した後に出力する手段を設けて電子制御タイ
マの進角度検出装置を構成している。

このように構成された電子制御タイマの進角度
検出装置において、例えば機関の始動スイツチか
ら始動信号が出力されたとき（電子制御タイマの
進角度が最も小さく最大遅角状態にあるとき）に
機関回転センサから出力された信号と噴射時期セ
ンサから出力された信号との位相差が所定時間に
わたつて検出される。そして、この検出結果によ
つて求めた単位時間あたりの位相差の平均値が初
期ズレとして記憶手段に記憶される。尚、この記
憶手段は例えばRAM等による従来公知の記憶手
段で構成される。

一方、機関の運転時はそのときにおける各種運
転条件に見合つた時期に燃料を噴射する必要性が
あるために、タイマの進角度も検出される。

このようなタイマの進角度の検出に際しては、
機関回転センサから出力された信号と噴射時期セ
ンサから出力された信号との位相差に基づいてタ
イマの見かけ上の進角度を検出する。そして、こ
の見かけ上の進角度に対応する信号を前記初期ズ
レに対応する信号で補正したものが実際の進角度
信号として出力される。

従つて、機関回転センサ及び噴射時期センサの
位置合わせ誤差が大きい場合であつても、この誤
差（初期ズレ）で両センサの位相差（見かけ上の
進角度）を補正して実際の進角度に応答する信号
として出力されるために、電子制御タイマの進角
度の検出精度が高くなる。

以下に本発明を図示された一実施例に基づいて
詳細に説明する。

第３図は、始動時進角のない電子制御タイマの
進角特性図であり、機関回転数Ｎが所定値N₁に
達するまでは電子制御タイマが不作動状態で最大
遅角を示し、機関回転数Ｎが所定値N₁より高く
なると、回転数の上昇にともなつて進角度が増加
することを示している。尚、実際の燃料噴射時期
は、時期回転数に応じて設定された基本噴射時期
を負荷及び機関の各種運転状態等に応じて補正制
御されることは詳述するまでもない。

また、第４図は電子制御タイマを制御するコン
トローラの内部処理を例示する概略フローチヤー
トであり、機関始動信号とともに機関回転センサ
と噴射時期センサとの出力の位相差（位相ズレ）
を検出する。そして、この位相のズレに対応する
信号を例えば１秒間にわたつて保持（検出）して
保持単位時間あたりの平均値を求め、この位相ズ
レの平均値を初期ズレとしてRAM等で構成され
た記憶手段に書き込む。

次に、機関の運転にともなつて各種センサから
出力される運転条件を読み取るが、タイマの進角
度の検出には、前記両センサから出力された信号
の位相差から算出した見かけ上の進角度を、前記
記憶手段から出力された初期ズレで補正して実際
の進角度を求める。そして、このようにして得ら
れた実際の進角度（噴射時期）をその時の機関の
運転条件に基づいてマツプ方式等で得た噴射時期
に一致させるに必要な制御信号が計算され、この
計算結果に応答する制御信号が電子制御タイマに
供給される。

即ち、従来では単に機関回転センサの出力信号
（パルス）と噴射時期センサの出力信号（パルス）
との位相を単純に比較して電子制御タイマの進角
度（噴射時期）を検出していたために、パルサと
センサとの位置合せ精度が極めて重要視されてい
たが、本発明では例えば機関始動時などのように
タイマが不作動状態である時の位相差の単位時間
あたりの平均値を初期ズレとして記憶し、その後
の位相差を上記初期ズレで補正するようにしてい
るのでセンサ及びパルサの組付精度をさほど高く
する必要がなく、しかも、電子的処理で補正を行
なうのでタイマ進角度の検知精度を極限まで高く
できる。尚、始動時に噴射時期を進角させる場合
は、この進角度と始動時に検出した位相差との差
を初期ズレとして記憶すれば良いことは詳述する
までもない。又、初期ズレ（補正信号）は、機関
を始動するたびごとに検出することが望まれる
が、これを半固定化して所定の期間ごと、あるい
は、燃料噴射ポンプ等の点検等を行なうたびごと
に初期ズレ（補正信号）を訂正するようにしても
良い。

以上説明したように本発明によれば、従来のよ
うにパルサとセンサとを高精度に位置合せするこ
となく、コントローラ等の内部処理で位置合せ誤
差（初期ズレ）を自動的に検出してこれを進角度
検出信号の補正信号として使用するようにしたも
のであるから、大型のパルサ等を必要とすること
なく電子制御タイマの進角度を高精度に検出して
燃料噴射時期の制御精度を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電子制御タイマの取付例を示す構成
図、第２図はパルサ及びセンサの具体例を示す正
面図、第３図は電子制御タイマの進角特性の一例
を示す図、第４図は本発明の一実施例を示すコン
トローラの概要フローチヤートである。 １……機関、２……燃料噴射ポンプ、３……電
子制御タイマ、４，５……パルサ、６……機関回
転センサ、７……噴射時期センサ、９……コント
ローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 機関駆動される燃料噴射ポンプの駆動系路に
   電子制御タイマを介装してなるデイーゼル機関に
   おいて、前記電子制御タイマの入力軸の回転位相
   に応答した信号を出力する機関回転センサと、前
   記電子制御タイマの出力軸の回転位相に応答した
   信号を出力する噴射時期センサと、電子制御タイ
   マが最大遅角状態にあることを検出する手段と、
   該手段を介して電子制御タイマが不作動状態にあ
   ることを検出したときに前記両センサの出力信号
   の位相のズレの単位時間あたりの平均値を初期ズ
   レとして記憶する記憶手段と、前記両センサの出
   力信号の位相差を前記記憶手段に記憶されている
   初期ズレで補正した後に出力する手段とを備えて
   なる電子制御タイマの進角度検知装置。