JPH0453907Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は各種寸法の異るベアリング（スプリン
グ環を含む）をワークに圧入するときのベアリン
グ圧入治具の段替装置に関する。

（従来の技術） 従来、デイフアレンシヤルキヤリア等のワーク
に径や長さの異るベアリングを圧入するには第３
図に示すような圧入装置１を用いて行なつてい
た。この圧入装置１は上部にワーク２の圧入ヘツ
ド３を配設し、下方に前後に並んだ治具４，５を
設け、さらにこれらの治具４，５を、治具４，５
を前後に移動させるシリンダ６のロツド７に接続
したものである。図中８，９はベアリングを支持
する受座８ａ，９ａを形成した支持台である。

この圧入装置１でベアリング１０，１１をワー
ク２に圧入する場合たとえば、径及び長さの小さ
いベアリング１０を圧入するときは、ベアリング
１０を支持台８に取付け、圧入ヘツド３を用い
て、治具４と圧入ヘツド３の間に設けたワーク２
に圧入していた。また径及び長さの大きいベアリ
ング１１を圧入する場合治具５をシリンダ６で移
動させて圧入していた。

このようにベアリング１個毎に１ケの専用治具
と１台の圧入装置１でベアリング１０の圧入を行
なつている。

また多種類少量の生産ラインで圧入装置１の段
替えが必要な場合は１台の圧入装置１の治具４，
５をシリンダ６によつて前後に動かして治具４，
５の段取替えを行なつていた。

なお、複数のワークにそれぞれ複数のベアリン
グ等の圧入部品を圧入できる装置として１台のベ
アリング受台を使用してインナーベアリング、ア
ウタベアリングを圧入するもの（実開昭57−
202637号公報）がある。

また搬送手段などの保持治具に荷重をかけずに
リング状部品を圧入できるものとして、バランス
ウエイトによつてワーク下部を支持し、ワークの
上下部に加わる力のバランスをとるもの（実開昭
57−202638号公報）がある。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、多種少量生産ラインで上記従来
の圧入装置を使用する場合、段取替えの頻度も多
くなつて工数が増えるとともに、段取替えの時間
もかかつて作業能率が低下することに問題点があ
つた。

また治具が２本あるとどちらの治具にベアリン
グを取付けるか、また製品と治具とが一致してい
るか否かを確認しなければならならず大変に煩雑
であつた。

さらに圧入装置にシリンダ等が取付けられてい
るため、スペースが広くとられ、コスト高となる
ことにも問題があつた。

また実開昭57−202637号公報の圧入装置は寸法
の異るベアリングを圧入するものではない。また
実開昭57−202638号公報の圧入装置は従来の技術
を解決しているものではない。

本考案はこの点に鑑みてなされたもので、ベア
リングを圧入する圧入面を有する受金を可動する
ことによつて寸法の異るベアリングを圧入できる
ようにしたベアリング圧入治具の段替装置を提供
することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は全体とし
て筒状をなし、内部にシリンダ３４を形成した治
具本体２１を設け、該治具本体２１の上端にベア
リング２５，２６の受座となるテーパ面を形成し
た支持台２７を設け、該支持台２７の下側に先端
にカム面３０ａを形成したピストンロツド３０を
配設し、前記カム面３０ａと前記支持台２７の下
面２７ｂとの間に半径方向に複数に分割されかつ
縮径方向に付勢されたばね３２を装着した第１の
圧入受金３１を摺動自在に設けると共に該第１の
圧入受金３１の外周に第２の圧入受金３６を設
け、前記ピストンロツド３０の基部のピストン３
３を嵌挿した前記シリンダ３４に圧力流体源を接
続した構成としたものである。

（作用） このような構成の段階装置にあつては、径及長
さの小さいベアリング２５のため圧入座面を有す
る第１の圧入受金３１がばね３１とピストンロツ
ド３０によつて拡径、縮径方向に摺動するように
なつていることから第１の圧入受金３１が縮径方
向に移動したとき第２の圧入受金３６でも径及長
さの大きいベアリング２６を圧入することができ
る。したがつてこの段階装置は径及長さの異るベ
アリング２５，２６であつても十分に対応でき
る。

すなわち径及長さの小さいベアリング２５を取
付る場合、ピストンロツド３０を伸び側に作動さ
せれば第１の圧入受金が拡径方向に移動するの
で、この第１の圧入受金３１でベアリング２５を
圧入することができる。

また径及長さの大きいベアリング２６を取付け
る場合、ピストンロツド３０を縮み側に作動させ
れば、ばね３２の付勢力によつて第１の圧入受金
３１が縮径方向に移動するので径及長さの大きい
ベアリング２６を第２の圧入受金３６で圧入する
ことができる。

（実施例） 次に本考案の一実施例を図にもとづいて説明す
る。第１図ないし第２図において２０はベアリン
グ圧入治具２２の段替装置である。段替装置２０
は上方の圧入ヘツド２３と共に段替装置２０と圧
入ヘツド２３の間に配設したデイフアレンシヤル
キヤリア等のワーク２４にベアリングすなわち径
及び長さの小さいアウタベアリング２５、そして
径及び長さの大きいアウタベアリング２６を圧入
するものである。そして、全体として筒状をなし
内部にシリンダ３４が形成された段替装置２０の
治具本体２１の上端にはアウタベアリング２５，
２６の受座２７ａとなるテーパ面を形成した支持
台２７がボルト２８によつて中心軸２９に固定さ
れている。そして支持台２７の下面２７ｂ側に
は、支持台２７の下面２７ｂと後述するピストン
ロツド３０の先端に形成したカム面３０ａとの間
に第１の圧入受金３１が摺動自在に設けられてい
る。

第１の圧入受金３１は上面３１ａがアウタベア
リング２５の圧入面で、半径方向に２つに分割さ
れており、縮径方向に付勢されたばね３２が装着
している。

第１の圧入受金３１が摺動するピストンロツド
３０の基部のピストン３３を嵌挿したシリンダ３
４にはたとえば油圧源、圧縮空気源等の圧力流体
源３５が接続されている。またピストン３３には
第１の圧入受金３１に装着されたばね３２によつ
て復源力が与えられている。

第１の圧入受金３１と治具本体２１の外周には
第１の圧入受金３１のストツパを兼ねた第２の圧
入受金３６が治具本体２１の外周と面一に設けら
れている。

これによつて、ピストンロツド３０が伸び側に
作動すれば第１の圧入座金３１は支持台２７より
外方に拡径し、上面３１ａがベアリング２５を圧
入する圧入座面となり、またばね３２の付勢力に
よつてピストンロツド３０が縮み側に作動すれ
ば、第１の圧入受金３１が支持台２７より内側に
縮径し、第２圧入受金３６の上面３６ａがベアリ
ング２６を圧入する圧入座面となる。

上記のように構成されたこの段替装置は次のよ
うに作用する。例えば径及び長さの小さいベアリ
ング２５をワーク２４に圧入する場合、第１図左
半分に示すようにピストンロツド３０が上昇し
て、第１の圧入受金３１は支持台２７の下面２７
ｂより広く拡径する。これによつて第１の圧入受
金３１の上面３１ａがベアリング２５の圧入座面
となる。したがつてこの第１の圧入受金３１で圧
入することができる。

また径及び長さの大きいベアリング２６をワー
ク２４′に圧入する場合、ピストン３３を押圧す
る圧力を減少させれば第１図右半分に示すよう
に、ばね３２の縮径力で第１の圧入受金３１は支
持台２７の下面２７ｂ内に縮径する。これによつ
て、第２の圧入受金の上面３６ａがベアリング２
６の圧入座面となる。

したがつてこの第２の圧入受金３６が圧入する
ことができる。

このようにすれば径及び長さの異るベアリング
２５，２６の圧入が可能となる。

（考案の効果） 本考案は以上説明したように構成されたベアリ
ング圧入治具の段替装置であるから段取り替えの
時間もなくなつて作業能率が大巾に向上する。ま
た複数の圧入治具が設けられていないので製品と
治具の確認作業も不要となつて煩雑さも解消し
た。さらに従来の段取替えを必要とする圧入治具
と異なり、シリンダ等の駆動装置もなくなつたの
で、設備の縮少、スペースの拡大、コストの低減
が図れるなどの効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の段替装置のピスト
ンロツドの上昇と下降を示す縦断面図、第２図は
段替装置を備えた圧入治具の正面図、第３図は従
来の圧入装置を示す正面図である。 ２０……段替装置、２１……治具本体、２５，
２６……ベアリング（アウタベアリング）、２７
……支持台、２７ａ……受座、２７ｂ……下面、
３０……ピストンロツド、３１……第１の圧入受
金、３２……ばね、３３……ピストン、３４……
シリンダ、３５……圧力流体源、３６……第２圧
入受金。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全体として筒状をなし、内部にシリンダを形成
   した治具本体を設け、該治具本体の上端にベアリ
   ングの受座となるテーパ面を形成した支持台を設
   け、該支持台の下側に先端にカム面を形成したピ
   ストンロツドを配設し、前記カム面と前記支持台
   の下面との間に半径方向に複数に分割されかつ縮
   径方向に付勢されたばねを装着した第１の圧入受
   金を摺動自在に設けると共に該第１の圧入受金の
   外周に第２の圧入受金を設け、前記ピストンロツ
   ドの基部のピストンを嵌挿した前記シリンダに圧
   力流体源を接続したことを特徴とするベアリング
   圧入治具の段替装置。