JPH0453216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、田植機の苗載台における苗マツト横
擦れ防止構造に関するものである。

(ロ) 従来の技術 従来、乗用田植機の苗載台は、本機後方におい
て前高後低の傾斜状に配設すると共に、左右に往
復摺動すべく構成して、同苗載台に載置した苗マ
ツトを植付爪の作動位置に順次移送することによ
り、所要量の苗株を切削植付するようにしてお
り、この際、苗マツトの下側面は、固定された苗
受板に当接支持されているわけであるが、苗載台
の摺動時に苗マツトの下端縁は、その自重により
苗受板に圧接されていることにより、同苗受板上
を横擦れし、また円滑に摺動することなく取り残
されて、植付爪による一定量の苗株が植付けられ
ず、時には欠株を招来するという問題があつた。

そこで、上記欠点を解消すべく実公昭48−
19063号公報等に開示されている苗載置装置が考
案された。すなわち、苗受板の代わりに無端帯を
回動自在に取付けて、苗マツト下側面を同無端帯
に当接支持させると共に、同無端帯を苗載台に連
動連設して、同苗載台の横摺動に追随して無端帯
が回動するようにしているものである。

また、苗マツト下端部が直接苗受板に当接する
のを回避すべく、台本体下端より苗マツト下端部
支持体を苗受板近接上方へ突設した苗載置装置も
考案された。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 ところが、上記のような苗載置装置の内、前者
の場合は、苗マツトの自重を受けながら無端帯が
回動するために、同無端帯の適正回動を維持すべ
く帯支持機能と回動案内機能を有する部材を必要
とするものであり、そこで、このような部材を取
付けると、こんどは同部材と無端帯との間に小石
や泥や砂が詰まつて、同無端帯の損耗度が激しく
なり、延いては無端帯がその機能を充分に果さな
いという不都合があつた。

また、後者の場合は、苗載台本体と苗マツト下
端部支持体との連設部位置に段差が生じて、苗マ
ツトの円滑な搬送り作業に支障となり、しかも、
苗載台本体と一体的に横移動する同支持体が、植
付爪と干渉しないようにするための構造が複雑に
なるという不具合があつた。

(ニ) 問題点を解決するための手段 そこで、本考案では、傾斜状の苗載台本体を横
摺動自在に構成し、同本体の下端に、苗取出口を
有した苗受板を配設し、苗載台本体に載置した苗
マツトの下端面を苗受板によつて当接支持すべく
構成した苗載台において、苗載台本体の横摺動時
のみ、強制搬送装置を介して苗マツトの下端部を
強制的に苗載台本体とともに横移動させるように
構成し、かつ、同強制搬送装置を、苗受板の左右
側側下方に連設した左右ステーと、同左右ステー
の上端に昇降自在に取付け、かつ、苗載台移動機
構等に連動連結した左右ベルト駆動軸と、両ベル
ト駆動軸間に巻回した無端状のベルトと、同ベル
トの表面に長手方向に一定間隔を開けて突設した
多数の串材とから構成し、苗載台本体の横摺動
時、苗載台移動機構等に連動してベルト駆動軸を
下降して串材で苗マツトを刺し、苗マツトを苗載
台本体とともに強制移動可能としたことを特徴と
する田植機の苗載台における苗マツト横擦れ防止
構造を提供せんとするものである。

(ホ) 作用 苗植付け作業を行う際には、苗受板の苗取出口
に位置する苗マツト下端部を、植付爪により分割
植付けし、随時苗載台本体を横摺動させることに
より同台本体上の苗マツト下端部を苗取出口に位
置させて、植付爪による分割植付け作業を連続的
に行なえばよいものである。

そして、苗マツトを苗載台本体を介して横摺動
させる際には、苗受板に当接支持されている苗マ
ツト下端部が、強制搬送装置により強制的に苗載
台本体と共に横移動されることにより、同苗マツ
ト下端部は苗受板の摩擦抵抗等を受けて横擦れ等
を起こすことなく苗載台本体に円滑に追従するこ
とになり、苗受板による苗マツト下端部の移動残
し現象が防止されて、苗ブロツクの適確な切削、
植付けが行えるものである。

(ヘ) 効果 本考案によれば、強制搬送装置により、苗マツ
ト下端部を苗マツト横摺動時に強制的に横移動さ
せることができるために、同苗マツト下端部が苗
受板から受ける摩擦抵抗により横擦れや型崩れ等
を起こすことがなく、円滑な苗マツト横摺動がな
されて、欠株等のない効率のよい植付け作業が行
なえるという効果を奏する。

また、本考案では、重量物である強制搬送装置
の重量を、全て、苗受板に持たせることができる
ので、苗載台本体に苗載機能だけもたせればよ
く、軽量化できる。従つて、苗載台本体を容易に
横移動することができる。

さらに、無端状のベルトに突設した多数の串材
によつて苗マツトを刺し、苗マツトを苗載台本体
とともに強制移動可能としたので、確実な苗マツ
トの移動が可能となり、苗マツトの横擦れを確実
に防止し、欠株等を確実に無くすことができる。

(ト) 実施例 本考案の実施例を図面にもとづき詳説すれば、
第１図に示すＡは乗用田植機であり、同田植機Ａ
は走行機体Ｂ後方に植付機体Ｃを連結している。

走行機体Ｂは、機体フレーム１上部の前後に各
原動機部２、運転部３を配し、機体フレーム１下
部の前後に各々前輪４、後輪５を配している。

植付機体Ｃは、フロート６上に植付ミツシヨン
７を配し、同ミツシヨン７の側方において、植付
アーム８を介して植付爪９を連設し、同植付爪９
により植付作業が行なえるようにしている。

植付爪９に対向する位置には前高後低の苗載台
１０を設けており、同苗載台１０は、苗載台本体
１１を矩形板状に形成するとともに、上部をやや
上方へ弯曲形成し、同台本体下端部１１−１を、
植付ミツシヨン７上方に横架した横長手方支持体
１２上面前側部に摺動自在に嵌合させ、しかも、
同台本体１１には台作動機構１３を装着して、同
台作動機構１３により苗載台本体１１を、横長手
支持体１２に沿つて左右横方向に往復摺動させる
ことができるように構成している（第３図参照）。

そして、横長手方支持体１２の上側端縁には、
断面略Ｌ字状の苗受板１４を連設し、同苗受板１
４により前高後低の苗載台１０上に載置した苗マ
ツトＮ下端面を当接支持させて、植付爪９と対向
する苗受板１４の位置により分割された苗取出口
１５より、同植付爪９により分割された苗ブロツ
クが確実に所定位置に植付けられるように構成し
ている（第２図、第３図参照）。

従つて、苗マツトＮは、台作動機構１３により
左右横方向に往復摺動される台本体１１上にあつ
て、順次下端部を苗取出口１５より植付爪９によ
り分割されると共に圃場面に植付けられていくも
のである。

また、台本体１１の左右側端部と中途部には縦
リブ１６を、苗マツトＮ幅と略同一間隔を保持し
て突設形成している。

かかる構成において、本考案の要旨は、強制的
に苗マツトＮ下端部を苗載台本体１１と共に横移
動させる強制搬送装置Ｍの構造にあり、次の通り
である。

すなわち、強制搬送装置Ｍは、第２図、第３図
に示すように、苗受板１４の左右側下方に連設し
た左右ステー１７，１７と、各ステー１７，１７
の上端に枢支した左右回動ブラケツト１８，１８
と、同ブラケツト１８，１８間に架設した苗マツ
ト強制搬送部１９とより成るものである。

そして、左右回動ブラケツト１８，１８は、各
基端を、苗取出口１５に近接する苗受板１４の左
右側端部に連設した左右ステー１７，１７上端
に、枢軸２０，２０を介して上下起倒自在に枢支
すると共に、回動付勢スプリング２１により各ブ
ラケツト１８，１８を起立方向へ付勢させてい
る。

しかも、上記ブラケツト１８，１８は、各々フ
イードバツクワイヤ２２，２２により倒伏操作が
行なえるように構成している。

さらに、上記ブラケツト１８，１８の先端側に
は左右ボス部１８ｂ，１８ｂを設け、同両ボス部
１８ｂ，１８ｂ中には正逆回転するベルト駆動軸
１８ａ，１８ａを挿通して、同駆動軸１８ａ，１
８ａ基端を台作動機構１３に、フレキシブル伝動
ワイヤ２３を介して連動連結して、同台作動機構
１３による台本体１１の横摺動作動に同調して各
駆動軸１８ａ，１８ａが駆動すべく構成してい
る。

苗マツト強制搬送部１９はベルト２４を上記駆
動軸１８ａ，１８ａ先端間に回動体２５，２５を
介して懸回し、同ベルト２４表面より一定間隔を
保持して多数の串材２６を突設して成り、ベルト
駆動軸１８ａ，１８ａの正逆回動によりベルト２
４を正逆回動させることができるうに構成してい
る。

しかも、上記ベルト２４の下側面部側より突設
した串材２６は、左右ブラケツト１８，１８が倒
伏状態となつた際に、苗マツトＮ下端部中に突き
刺さり、同状態におけるベルト２４の回動と共
に、苗マツトＮが強制搬送されるように構成して
いるものである。

この際、左右ブラケツト１８，１８の起伏作動
は、前記したフイードバツクワイヤ２２基端を台
作動機構１３に連動連結して、苗載台本体１１の
横摺動直前に倒伏作動すると共に、同台本体１１
の横摺動終了と同時に起立作動すべく構成してい
る。

なお、ベルト駆動軸１８ａ，１８ａは、一方を
正回動用軸とし、また、他方を逆回動用軸とし
て、一方が駆動軸として機能する際には、他方
が、従動軸として機能するようにしてもよいもの
である。

また、苗取出口１５上方を回動移動する串材２
６は、隣接するベルト２４より突起した串材２６
と相互に干渉することがないように構成すると共
に、同苗取出口１５より植付爪９が苗マツトＮ下
端部を分割する際にも、各串材２６は左右ブラケ
ツト１８，１８の起立作動により同植付爪９とは
干渉しないように構成している。

本考案の実施例は上記のように構成しているも
のであり、苗植付作業を行なう際には、苗載台１
０の苗載台本体１１上に載置すると共に、下端部
が苗受板１４に当接支持されるようにした苗マツ
トＮを、順次苗載台本体１１の横摺動と共に苗マ
ツトＮを横搬送して、苗取出口１５より植付爪９
によ分割植付けしてゆけばよいものであり、この
際、苗載台本体１１を横摺動させる台作動機構１
３は、同台本体１１を横摺動させる直前にフイー
ドバツクワイヤ２２，２２を介して苗マツト強制
搬送部１９を回動付勢スプリング２１の付勢力に
抗して、倒伏回動作動させて、苗マツトＮ下端部
に串材２６を突き刺すと共に、苗載台本体１１の
駆動と同時に同搬送部１９のベルト２４を駆動さ
せることにより、苗マツトＮの横搬送時には、同
苗マツトＮ下端部が同ベルト２４の回動と共に強
制的に横搬送されて、同苗マツトＮ下端部が横擦
れ等を起こすことがなくなるものである。

また、第４図は他の実施例としての強制搬送装
置M′を示しており、同装置M′は苗マツトＮ下端
部上方に配した苗マツト強制搬送部１９′を、上
下方向へ変位移動させることができるように構成
しているものである。

図中、１７′はステー、１８′は摺動縦杆、１
８′ａはベルト駆動軸、１８′ｂはボス部、２１′
は付勢スプリング、２２′はフイードバツクワイ
ヤ、２３′はフレキシブル伝動ワイヤ、２４′はベ
ルト、２５′は回動体、２６′は串材である。

そして、苗マツト強制搬送部１９′は、前記苗
マツト強制搬送部１９と同様に、苗マツトＮの横
搬送時に、同苗マツトＮ下端部を強制横移動させ
るように構成しているものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による苗マツト横擦れ防止構
造を有する田植機の側面図。第２図は、同要部の
拡大背面図。第３図は、同要部の拡大側断面図。
第４図は、他の実施例図。 Ａ……乗用田植機、Ｍ……強制搬送装置、１０
……苗載台、１１……苗載台本体、１４……苗受
板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 傾斜状の苗載台本体１１を横摺動自在に構成
   し、同本体の下端に、苗取出口１５を有した苗受
   板１４を配設し、苗載台本体１１に載置した苗マ
   ツトＮの下端面を苗受板１４によつて当接支持す
   べく構成した苗載台１０において、 苗載台本体１１の横摺動時のみ、強制搬送装置
   Ｍを介して苗マツトＮの下端部を強制的に苗載台
   本体１１とともに横移動させるように構成し、 かつ、同強制搬送装置Ｍを、苗受板１４の左右
   側側下方に連設した左右ステー１７，１７と、同
   左右ステー１７，１７の上端に昇降自在に取付
   け、かつ、苗載台移動機構等に連動連結した左右
   ベルト駆動軸１８，１８と、両ベルト駆動軸１
   ８，１８間に巻回した無端状のベルト２４と、同
   ベルト２４の表面に長手方向に一定間隔を開けて
   突設した多数の串材２６とから構成し、 苗載台本体１１の横摺動時、苗載台移動機構等
   に連動してベルト駆動軸１８，１８を下降して串
   材２６で苗マツトＮを刺し、苗マツトＮを苗載台
   本体１１とともに強制移動可能としたことを特徴
   とする田植機の苗載台における苗マツト横擦れ防
   止構造。