JPH0452433B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は液体金属冷却高速増殖炉の原子炉冷却
装置に係り、特に中間熱交換器と一次主循環ポン
プを一体化し、かつガードベツセルを削除してコ
ンパクト化した原子炉冷却装置に関する。

［発明の技術的背景］ ルーブル型液体金属冷却高速増殖炉の原子炉冷
却装置は、第１図に示すように、原子炉容器１と
中間熱交換器２との間に一次主循環ポンプ３が配
設され、これらを一次主配管４で連接している。
そして、この一次主配管４の破損時に漏洩した一
次冷却材を収納し、原子炉容器１内の液位を確保
するため原子炉容器１、中間熱交換器２および一
次主循環ポンプ３には、それぞれ原子炉容器用ガ
ードベツセル５、中間熱交換器用ガードベツセル
６および一次主循環ポンプ用ガードベツセル７が
設けられている。

中間熱交換器２は、第２図に示すようなシエル
アンドチユーブ型の熱交換器であり、主として外
胴８内に内胴９が同心的に配設され、この内胴９
の上下両端に上管板１０および下管板１１が設け
られ、これらの上下両管板１０，１１間に多数本
の伝熱管１２が設けられたものからなつている。
そして、一次冷却材は外胴８の上部側面に設けた
一次系入口ノズル１３から流入し、内胴９の上部
側面に設けた入口窓１４から内胴９内に流入す
る。流入した冷却材は内胴９の下部側面に設けた
出口窓を１５経て外胴９の下端に設けた一次系出
口ノズル１６から流出し、一次主配管４に流れ
る。

一方、二次冷却材は二次系入口ノズル１７から
流入し、下降管１８により下部プレナム１９に流
入し、そのプレナム１９で反転して下管板１１か
ら各伝熱管１２内を流れ、上管板１０から上部プ
レナム２０を経て二次系出口ノズル２１から流出
する。なお符号２２はバイパス防止板である。

［背景技術の問題点］ しかしながら、このような従来の原子炉冷却装
置では、配管破損事故に備えて原子炉容器１、中
間熱交換器２および一次主循環ポンプ３にそれぞ
れガードベツセル５，６，７を設ける一方、中間
熱交換器２の一次系出口ノズル１６は外胴８の下
方に接続されているため、ガードベツセル６内で
一次主配管４を立上げる垂直配管４ａが必要であ
る。同様にして一次主循環ポンプ３の出入り口ノ
ズルも下方に設置されているため、ガードベツセ
ル７内で一次主配管４を立上げる垂直配管４ｂ，
４ｃが必要であり、しかもこれらの機器、配管並
びにサポートの物量が大きく、その設計もまた難
しいものとなつている。

また、原子炉容器１、中間熱交換器２、および
一次主循環ポンプ３を相互に連接する一次主配管
４の引き回しが複雑となり、原子炉容器１の径を
大きくし、ひいては原子炉建物全体のコンパクト
化を阻む原因となつている。

［発明の目的］ 本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであ
り、その第１の目的は中間熱交換器２と一次主循
環ポンプ３を一体化させるとともに、中間熱交換
器２のガードベツセル６および一次主循環ポンプ
３のガードベツセル７を削除したコンパクトな原
子炉冷却装置を提供することにある。

また、第２の目的は中間熱交換器２と一次主循
環ポンプ３を一体化させると同時に中間熱交換器
２のガードベツセル６内の垂直配管４ａを削除す
ることにより、原子炉冷却装置全体の機器配管配
置をシンプル化した原子炉冷却装置を提供するこ
とにある。

さらに第３の目的は胴側熱伝達率を向上させた
コンパクトな中間熱交換器を具備する原子炉冷却
装置を提供することにある。

［発明の概要］ すなわち本発明に係る原子炉冷却装置は、液体
金属により冷却される原子炉の原子炉容器と、こ
の原子炉容器に設けられたガードベツセルと、内
胴に設けた上部および下部プレナム間に複数の下
降流の伝熱管と上昇管とを配設し前記上部プレナ
ムに一次系の入口および出口ノズルを、前記上部
および下部プレナム間の胴側面に二次系の入口お
よび出口ノズルをそれぞれ設けた中間熱交換器
と、この中間熱交換器の一次系入口ノズルと前記
原子炉容器と接続する一次主配管と、前記中間熱
交換器の上部プレナムに配設され吸込ノズルを前
記熱交換器の上昇管に接続した吐出ノズルを前記
熱交換器の一次系出口ノズルに接続させた一次主
循環ポンプとを具備し、かつ一次系の圧力を二次
系の圧力よりも低くしたことを特徴としている。

［発明の実施例］ 以下本発明の一実施例を第３図および第４図を
用いて説明する。

第３図は本発明の原子炉冷却装置の構成を示す
系統図で、第１図と同一部分は同一符号で示して
ある。

すなわち、図において原子炉容器１と中間熱交
換器２ａは一次主配管４で連接されており、中間
熱交換器２ａの上部には一次主循環ポンプ３ａが
設置されている。ここで、原子炉容器１にはガー
ドベツセル５が設けられているが、中間熱交換器
２ａにはガードベツセルは設けられていない。中
間熱交換器２ａは、例えば第４図に示したような
構造で外胴８の上部プレナムに一次主循環ポプ３
ａを設置し、管側に一次冷却材を流すシエルアン
ドチユーブ型の熱交換器である。

すなわち、第４図において中間熱交換器２ａ
は、外胴８と、この外胴８内に支持された内胴９
と、この内胴９上下両端に設けられた一対の上管
板１０および下管板１１と、この上下管板１０，
１１間を連接する多数の伝熱管１２と、外胴８の
肩部に設けられた一次系入口ノズル１３ａと、外
胴８の上側部に設けられた一次系出口ノズル１６
ａと、下部プレナム１９ａより下部管板１１およ
び上部管板１０を貫通して上方に向けて設けられ
た上昇管１８ａと、外胴８の下方側面に設けられ
た二次系入口ノズル１７ａと、内胴９の下部に設
けられた入口窓１４ａと、内胴９の上部に設けら
れた入口窓１４ａと、内胴９の上部に設けられた
出口窓１５ａと、外胴８の上方側面に設けられた
二次系出口ノズル２１ａと、外胴８と内胴９の間
に設けられ二次系入口ノズル１７ａと二次系出口
ノズル２１ａ間を区画するためのバイパス防止板
２２とから構成されている。

一方、一次主循環ポンプ３ａは、この中間熱交
換器２ａの外胴８頂部より支持され、上部プレナ
ム２０ａ内に設置され、吸込ノズル２３は中間熱
交換器の上昇管１８ａに接続され、吐出ノズル２
４は中間熱交換器の一次系出口ノズル１６ａに接
続され、中間熱交換器の外胴８頂部にはモータ台
２５が設置され、その上部には駆動モータ２６が
設置される構造となつている。

次に上記構成に係る装置の作用を説明する。

第３図において、原子炉容器１内で発生した熱
は、一次主循環ポンプ３ａにより循環される一次
冷却材によつて一次主配管４内を輸送され、中間
熱交換器２ａにおいて二次冷却材と熱交換し、中
間熱交換器２ａ上部に設置された一次主循環ポン
プ３ａおよび一次主配管４を経て再び原子炉容器
１に戻る。原子炉容器１および原子炉容器１の入
口に接続され、ガードベツセル５内の垂直配管２
７が破損した場合には、漏洩した一次冷却材は原
子炉容器用ガードベツセル５内に収納され、原子
炉容器１内の冷却材レベルは必要なレベル以上に
確保される。

一方、第４図において、原子炉容器（図示せ
ず）から輸送された高温の一次冷却材は、一次系
入口ノズル１３ａから上部プレナム２０ａに流入
し多数の伝熱管１２の中を流れながら二次冷却材
と熱交換し、低温になり下部プレナム１９ａに流
入し、そこで反転し上昇管１８ａの内を上昇し、
一次主循環ポンプ３ａに流入し、昇圧された後ポ
ンプ吐出ノズル２４を経て中間熱交換器一次系出
口ノズル１６ａから流出する。

二次冷却材は二次系入口ノズル１７ａから外胴
８内に流入し、入口窓１４ａから内胴内に流入し
多数の伝熱管１２の外側を上昇しながら一次冷却
材と熱交換し出口窓１５ａを経て二次系出口ノズ
ル２１ａから流出する。

また、この中間熱交換器２ａで一次冷却材と雰
囲気のバウンダリーとなつている部分は、たとえ
破損しても原子炉容器の冷却材確保上必要とされ
るレベル以上にある。さらにそのレベルより下で
は一次冷却材のバウンダリーはかならず二次冷却
材によつてその周囲を囲まれており、たとえその
バウンダリー部分が破損しても、二次冷却材は常
に一次冷却材より高い圧力に維持されているた
め、一次冷却材が外部に漏洩することはない。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明は、安全上システム
上の問題に何等影響を及ぼすことなく、一次主循
環ポンプ、ガードベツセルおよび中間熱交換器の
ガードベツセルを削除することができる。

また、中間熱交換器と一次主循環ポンプを連接
する配管、中間熱交換器および一次主循環ポンプ
回りに垂直の一次主配管を設ける必要もない。さ
らにそのサポート等を含めて大幅な物量の削減を
可能とするばかりでなく、原子炉冷却装置全体の
機器配管を簡素化する。そして原子炉冷却装置を
収納する原子炉格納容器の直径を縮小してコンパ
クト化し、ひいては原子力プラント全体のコンパ
クト化に繋がる等の著しい効果を生じる。

さらに本発明の原子炉冷却装置に具備される中
間熱交換器は、一次冷却材を伝熱管側に二次冷却
材を胴側に流す構成としているため、一次側の低
い許容圧損に対しても良好な流量配分が容易に得
られ、中間熱交換器の性能向上に資するだけでな
く、胴側の圧損を大きくしてもシステム設計上ク
リテイカルとならないため、胴側の熱伝達率を向
上させることが容易に可能である。また、従来の
中間熱交換器と同一の交換熱量に対して必要な伝
熱面積を約15％減少させることができ、コンパク
トな中間熱交換器を提供することができる等の著
しい効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉冷却装置を示す系統図、
第２図は従来の原子炉冷却装置に使用する中間熱
交換器交換器を示す断面図、第３図は本発明に係
る原子炉冷却装置の一実施例を示す系統図、第４
図は本発明に係る原子炉冷却装置に使用する一次
主循環ポンプ一体型の中間熱交換器を示す断面図
である。 １……原子炉容器、２，２ａ……中間熱交換
器、３，３ａ……一次主循環ポンプ、４，４ａ，
４ｂ，４ｃ……一次主配管、５……原子炉容器用
ガードベツセル、６……中間熱交換器用ガードベ
ツセル、７……一次主循環ポンプ用ガードベツセ
ル、８……外胴、９……内胴、１０，１１……上
下管板、１２……伝熱管、１３，１３ａ……一次
系入口ノズル、１４，１４ａ……入口窓、１５，
１５ａ……出口窓、１６，１６ａ……一次系出口
ノズル、１７，１７ａ……二次系入口ノズル、１
８……下降管または上昇管、１９，１９ａ……下
部プレナム、２０，２０ａ……上部プレナム、２
１，２１ａ……二次系出口ノズル、２２……バイ
パス防止板、２３……吸込ノズル、２４……吐出
ノズル、２５……モータ台、２６……駆動モー
タ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 液体金属により冷却される原子炉の原子炉容
   器と、この原子炉容器に設けられたガードベツセ
   ルと、上部および下部プレナム間に複数の下降流
   の伝熱管と上昇管とを配設し前記上部プレナムに
   一次系の入口および出口ノズルを、前記上部およ
   び下部プレナム間の胴側面に二次系の入口および
   出口ノズルとをそれぞれ設けた中間熱交換器と、
   この中間熱交換器の一次系入口ノズルと前記原子
   炉容器とを接続する一次主配管と、前記中間熱交
   換器の上部プレナムに配設された吸込ノズルを前
   記熱交換器の上昇管に接続し吐出ノズルを前記熱
   交換器の一次系出口ノズルに接続させた一次主循
   環ポンプとを具備し、かつ一次系の圧力を二次系
   の圧力よりも低くしたことを特徴とする原子炉冷
   却装置。