JPH0451851Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は中空繊維束の構造に関する。

〔従来技術〕

近年、超純水の製造、ウイルス等の除去におけ
る限外濾過法、海水の淡水化等における逆浸透
法、人工腎臓における血液透析、及びアルコール
水溶液からの水の分離等における浸透気化法など
選択透過性を有する膜による分離技術が脚光を浴
び、急速に発展を遂げている。このような分離技
術で用いられる分離膜としては、その形態におい
て平膜及び中空繊維（以下、中空系ともいう。）
の２種に大別される。該分離膜を収納して分離を
行わせる装置（以下、モジユールと呼ぶ。）とし
て、平膜においてはフイルタープレス型、スパイ
ラル型がある。また、中空系を用いたモジユール
においては、その用途において種々の構造のもの
が既に商品化され使用されており、一般的には中
空系の一端、又は両端を接着性樹脂によつて結束
し、端部を開口させ、装着容器内で中空系内部及
び外部を異なる流体が独立して流れる様な構造を
したタイプのものが採用されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

端部を接着性樹脂によつて固着した中空繊維束
は、その両端の固着部が２枚の中空繊維束固定用
管板（以下、単に管板という。）に設けられた穴
に挿入されて固定され、モジユールとして組立て
られる。しかしながら、中空繊維は、腰が弱く、
また、機械的強度が低いために切断したり、傷つ
きやすい。このため、中空繊維束の両端の固着部
を２枚の管板に設けられた穴に挿入する作業が困
難であり、また、その作業中に中空繊維が切断し
たり傷ついたりすることが多かつた。また、浸透
気化法にあつてはモジユール内部が負圧（数トー
ル）となるため、該中空繊維束の固着部の負圧側
へのずれ込みが起こる。

〔課題を解決するための手段〕

本考案者は、上記した中空繊維束が取扱い困難
であるという欠点を解消すべく検討を重ねた結
果、本考案を完成するに至つた。

即ち、本考案は、結束された多数の中空繊維の
両端が固着部で固着され、該両端の固着部の間に
剛性のスペーサーが挟持されてなり、該スペーサ
ーは両端にリング状の支持体を有し該支持体同志
が支柱によつて連結され且つリング状の支持体は
分割されて固着部に脱着可能な構造を有すること
を特徴とする中空繊維束である。

第１図は、本考案の中空繊維束の代表的な態様
を示す斜視図である。中空繊維１は多数が結束さ
れて、その両端は接着性樹脂による固着等の任意
の手段により固着部２を形成している。そして、
中空繊維１の両端の固着部２の間には、剛性のス
ペーサー３が挟持されている。剛性のスペーサー
３は、一方の固着部を押したときにその力を他方
の固着部に伝達し、一方の固着部を押した方向に
他方の固着部を動かす機能を有する。従つて、２
枚の管板に設けられた穴に中空繊維束の固着部を
挿入して固定する場合、一方の管板から他方の管
板へ中空繊維束を貫通させるように挿入すること
により容易に作業を行なうことができる。

スペーサー３は、一方の固着部を押したときに
その力を他方の固着部に伝達し、他方の固着部を
動かせる程度の剛性を有していれば良い。従つ
て、その材質も上記した程度の剛性を有するもの
から選ばれる。一般には金属又は硬質プラスチツ
クが好適に採用される。

剛性のスペーサー３は、中空繊維部分を完全に
取り囲んで密閉するものではなく、外部と連通し
ている構造であれば任意の形状が採用される。通
常は、第２図に示すように、両端にリング状の支
持体４を有し、該支持体４同士が支柱５によつて
連結されたものが好ましく採用される。支持体４
のリングの大きさは、中空繊維束の固着部の外径
と同じか又はそれよりも小さく、且つ中空繊維と
接触しないような範囲から選択されれば良く、そ
の形状は任意であつて良い。支柱５の長さは、中
空繊維束の固着部間の長さと等しいか又はそれよ
り数cm程度迄短い範囲から選択される。

またスペーサー３は、両端の支持体４が２分割
されている。このため、中空繊維束へのスペーサ
ーの取付け及び取はずしが容易に行なえる。

剛性のスペーサー３は、中空繊維束の両端の固
着部２によつて単に挟持させるだけで本考案の目
的を十分に達成することができる。しかし、中空
繊維束の取扱いをより容易にするためには、固着
部と剛性のスペーサーとを任意の手段によつて固
定することが好ましい。上記の固定の手段として
は、例えば、接着剤、接着テープによる方法や、
第３図に示したように、固着部２と剛性スペーサ
ー３の支持体４とを嵌合させる方法、が採用され
る。

〔効果〕

本考案の中空繊維束は、中空繊維の腰の弱さ、
機械的強度の低さ等の欠点が十分にカバーされた
ものである。従つて、本考案の中空繊維束は、取
扱いや管板への取付けが容易であり、しかもその
作業中に中空繊維が切断したり、傷ついたりする
こともない。また、本考案の中空繊維束は、浸透
気化法に用いても両端の固着部の負圧側へのずれ
込みを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の中空繊維束の代表的な態様
を示す斜視図であり、第２図は、剛性のスペーサ
ーの斜視図であり、第３図は本考案の中空繊維束
の他の態様を示す斜視図及び断面図である。 図中、１は中空繊維、２は固着部、３は剛性の
スペーサー、４は支持体、５は支柱を夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 結束された多数の中空繊維の両端が固着部で固
   着され、該両端の固着部の間に剛性のスペーサー
   が挟持されてなり、該スペーサーは両端にリング
   状の支持体を有し該支持体同志が支柱によつて連
   結され且つリング状の支持体は分割されて固着部
   に脱着可能な構造を有することを特徴とする中空
   繊維束。