JPH045144Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、例えば乳ガンの早期発見を目的と
して行なう検査等において乳房を撮影するのに用
いる乳房撮影装置に関するものである。

〔従来の技術〕

この種の乳房撮影装置は、検診台の天板上で横
臥位となつた被検者の乳房を圧迫板で押し付け
て、濃度差の少ない像を得ることを目的として乳
房の厚みを可及的に均一になるようにし、上方に
懸垂したＸ線管からＸ線をツーブスにより乳房以
外にＸ線が当たらないようにして照射し、天板の
下方部に設けた受像装置で撮影する構成になつて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、従来の乳房撮影装置では、ツーブス
及び圧迫板の方向が一定であるため、片側の乳房
の撮影を行なつた後に他方の乳房を撮影するに際
し、被検者に天板上において頭と足の位置が逆向
きになるように身体の向きを変えさせ、他方の乳
房を圧迫板に対向させるようにする必要がある。
この体位の変更にかなりの時間を要し、特に効率
のよい検診を要求される集団検診時において検診
効率の低下が顕著となり、大きな問題となつてい
る。また、被検者自身にも、狭い検診台上におけ
る体位の変更が負担となつている。

この考案は、このような問題点に鑑みてなされ
たもので、左右の乳房の撮影に際し、被検者に恰
も寝返りをうつように横になつた状態のまま身体
の向きを左右に変えさせるだけでよく、効率のよ
い検診を行なえる乳房撮影装置を提供することを
目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案の乳房撮影装置は、前記目的を達成す
るために、被検者の乳房を圧迫板で押圧してこの
乳房にＸ線管からツーブスを介してＸ線を照射し
撮影を行なう乳房撮影装置において、前記Ｘ線管
に前記ツーブスを回動自在に取り付けるととも
に、前記圧迫板を連結手段を介して前記ツーブス
に一体的に固定した構成を要旨とするものであ
る。

〔作用〕

上記構成としたことにより、連結手段を介して
圧迫板とツーブスとが一体に回動するので、それ
らを180°回動させることによつてツーブスおよび
圧迫板がそれぞれ逆向きとなるから、被検者はそ
のままの位置で寝返りをうつように身体の向きを
左右逆向きにするだけで左右の乳房の撮影を行な
うことができる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図はこの考案の乳房撮影装置の１実施例を
示す正面図であり、図において、支柱１に片持ち
状態で水平に支持された取付腕２の先端部にはＸ
線管３が取り付けられており、このＸ線管３から
照射されるＸ線は、第４図に示すように乳房Ｂに
対応した略半円形の断面を有する筒状のツーブス
４を介して乳房Ｂに照射される。すなわち、ツー
ブス４の弧状部分に乳房側に対向させ、かつ直線
部分を胸壁側に対向させることによつて、Ｘ線が
乳房Ｂ以外に当たらないように遮蔽している。こ
のＸ線管３とツーブス４との間にはフイルタ部５
が介設され、このフイルタ部５に対し水平腕６が
回動自在に片持ち状態に支持されており、水平腕
６の自由端部から垂下固定された鉛直杆７には、
圧迫板８を水平に片持ち状態に保持するスライド
杆９が上下動自在に取り付けられている。

Ｘ線管３の下方に対設された検診台の天板１０
の下部には、受像装置１１が設けられており、こ
の受像装置１１に固定されたマスク部１２は、ツ
ーブス４外にはみ出した散乱線が受像装置１１の
受像面に入射するのを防止するためのマスク１
２′がモータにより回転するよう設けられている。
このモータＭは、第５図に示すように、２個のマ
イクロスイツチMS１，MS２と２個のリミツト
スイツチLS１，LS２により交流電源ACの電力
供給を制御し、回転駆動が制御されるようになつ
ており、２個のマイクロスイツチMS１，MS２
は前記フイルタ部５に内蔵されており、水平腕６
の回動によるツーブス４の方向を検知して断接さ
れ、一方、２個のリミツトスイツチLS１，LS２
はマスク部１２に設けられてマスク１２′の位置
を検出する。尚、フイルタ部５には、Mo，A1の
２種類のフイルタを切り換える機構及び照射野ラ
ンプ等が内蔵されている。

次に、上記実施例の作用について説明すると、
ツーブス４及び圧迫板８を第１図の実線で示した
状態に位置させた場合、第２図に示すように被検
者Ａの右側の乳房Ｂの撮影を行なう。そして、次
に左側の乳房Ｂの撮影を行なうに際し、スライド
杆９を上動させて圧迫板８による乳房Ｂへの押圧
を解除し、かつ圧迫板８を被検者Ａに対して邪魔
にならない程度に上方に押し上げる。しかる後
に、水平腕６を手動により180°回動させて、第１
図の一点鎖線で示すように圧迫板８を被検者Ａの
反対側に移動させ、かつツーブス４の方向を逆向
きに変換する。このツーブス４の回転による方向
変換がフイルタ部５で検知されて第１のマイクロ
スイツチMS１がオン状態となり、モータＭが回
転してマスク１２′が180°回転されて第２図の状
態から第３図の状態に方向を変換され、マイク１
２′の方向変換が完了すると、このマスク１２′の
位置を検出してリミツトスイツチLS１がオフし、
モータＭの回転が停止する。すなわち、水平腕６
の手動による回動に同期してマスク１２′が電動
で回転される。このマスク１２′は前述のように
ツーブス４外にはみ出した散乱線が画像の質を悪
くするのを防ぐ目的で設けられるもので、特に受
像装置１１を用いて透視像や画像処理像を得る場
合に必要なものであり、ツーブス４の形状に対応
した形状になつているため、ツーブス４の方向に
対応させる必要がある。ツーブス４、圧迫板８及
びマスク１２′の位置が変更されたならば、第３
図に示すように被検者Ａを天板１０に寝たままの
状態で恰も寝返りをうつように身体の向きを逆に
させ、その後に圧迫板８を下動させてこれで左側
の乳房Ｂを圧迫させ、撮影を行なう。

尚、左側の乳房Ｂの撮影後に右側の乳房Ｂを撮
影する場合にも、前述と同様の操作を行なうこと
は言うまでもなく、この場合は第２のマイクロス
イツチMS１によりモータＭに電源供給され、第
２のリミツトスイツチLS２のオフによりモータ
Ｍの回転が停止される。

〔効果〕

以上詳述したように、この考案の乳房撮影装置
によると、ツーブス及び圧迫板を回動によりそれ
ぞれ方向の変更及び位置変更できる構成としたの
で、一方の乳房の撮影終了後に他方の乳房を撮影
する場合は、被検者は、従来のように起き上がつ
て身体を上下逆にさせる必要がなく、寝たままの
状態で寝返りをうつように身体の向きを左右逆向
きにさせるだけでよく、極めて迅速に乳房検診を
行なうことができ、特に乳房の集団検診時に効率
的に検診を進行できる顕著な効果を得ることがで
きる。しかも、被検者の体位変更に伴う負担を軽
減できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

各図面はこの考案の乳房撮影装置の１実施例を
示し、第１図は正面図、第２図及び第３図はそれ
ぞれ右側及び左側の乳房撮影時の概略正面図、第
４図はツーブスの下面図、第５図は電気回路図で
ある。 ３……Ｘ線管、４……ツーブス、５……フイル
タ部、６……水平腕、７……鉛直杆、８……圧迫
板、９……スライド杆、１１……受像装置、１
２′……マスク、Ｂ……乳房。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被検者の乳房を圧迫板で押圧してこの乳房にＸ
   線管からツーブスを介してＸ線を照射し撮影を行
   なう乳房撮影装置において、前記Ｘ線管に前記ツ
   ーブスを回動自在に取り付けるとともに、前記圧
   迫板を連結手段を介して前記ツーブスに一体的に
   固定したことを特徴とする乳房撮影装置。