JPH0450019Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は動物固定具用支持装置に係り、詳しく
は、実験用小動物を固定した動物固定具を、検査
機器に対して所定の姿勢に支持するための装置に
関する。

（従来の技術） 兎やモルモツト等の小動物を用いて動物実験を
行う場合、実験中に動物が暴れたり逃げ出したり
しないようその動きを拘束するために、通常、動
物固定具が用いられている。その一例を第３図に
示す。

この動物固定具ａは、先端部ｂが窄められ、後
端部ｃが開放された箱型のものである。先端部ｂ
にはその上面に動物ｒの頭部ｈを突出させるため
の開口部ｄが設けられている。この開口部ｄの後
方には、動物ｒの頚部をその背後から押圧固定す
るための固定板ｅが摺動可能に取り付けられてい
る。使用に際しては、動物ｒをこの動物固定具ａ
の後端部（開放部）ｄから頭部ｈを先にして入
れ、頭部ｈを開口部ｃから突出させたのち、固定
板ｅを先端部ｂ側に摺動させて頚部を押圧し、最
後に固定ねじｆ，ｆを締め付け、固定板ｅを固定
して完了する。

実験では、上記動物固定具ａで固定した動物ｒ
に、例えば薬品を投与しその反応を検査機器で観
察したりする。ここで、検査機器が、実験者が手
に持つて使用できる程度に小型であれば、機器を
動物の所定の部位に容易にあてがうことができ
る。しかし、検査機器が大型であると、小型の場
合のようにはいかず、動物固定具を検査機器に対
して所定の位置にセツトする必要が生じる。とこ
ろが、動物固定具をセツトする位置は、通常、検
査機器が置かれている床面よりも高いため、動物
固定具を何らかの方法で所定の高さにまで持ち上
げて支持しなければならない。

このような場合、従来は、例えば箱や板などを
使つて台を作り、その上に動物固定具を載置する
といつたことを行つていた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記した従来の技術では、台を
作る手間がかかるばかりでなく、動物や動物固定
具の大きさまた検査機器の種類が変わる都度、台
を作り直したり高さを調整したりする必要があ
り、観察のための準備が煩瑣になるといつた問題
があつた。

また、動物の体重が比較的重いと高さの調整が
非常に厄介で、検査機器に対する動物の姿勢を正
しく定めることが難しくなり、このため正確な観
察が行えないといつた問題もあつた。

さらに、例えば動物の眼球を観察する場合は、
通常、動物の頭部を傾けて眼球を検査機器の所定
箇所にあてがうべく動物固定具を傾斜させるが、
従来の技術では、動物固定具を観察に最適な角度
に正確に傾斜させることが困難であるといつた問
題もあつた。

本考案は、上記した従来技術の問題点を解消す
べく創案されたものであり、動物の体重の大小に
かかわらず、動物固定具を検査機器に対して所定
の姿勢に容易且つ確実に支持することができると
ともに、その姿勢の調整が簡単に行える動物固定
具用支持装置を提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案に係る動物固
定具用支持装置は、実験用小動物を固定した動物
固定具を、検査機器に対して所定の姿勢に支持す
る装置であつて、基盤と、この基盤上に昇降手段
を介して昇降動可能に設けられた昇降盤と、この
昇降盤に前縁部が枢着され、昇降盤との間に介装
された傾動手段により昇降盤に対して傾動可能に
設けられるとともに、動物固定具の滑落を防止す
る固定具滑落防止手段が設けられた固定具載置盤
とから構成されたものである。

（作用） 基盤は、検査機器に隣接して設置したテーブル
上に載置されるか、又は適当なステーやアーム又
は検査機器に適した挟持具などを介して検査機器
に固定される。

昇降盤は、それと基盤との間に介装された昇降
手段により昇降動され、固定具載置盤は、それと
昇降盤との間に介装された傾動手段により傾動さ
れる。これによつて、固定具載置盤の上に載置さ
れた動物固定具の姿勢、つまり高さ位置と傾斜角
度とが決められる。また、昇降手段及び傾動手段
を適宜操作することにより姿勢の微調整が行われ
る。

さらに、固定具載置盤の固定具滑落防止手段に
より、動物固定具は固定具載置盤から滑落しな
い。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を、図面を参照して説
明する。

第１図は本考案に係る動物固定具用支持装置を
示す全体斜視図、第２図は同側面図である。

この動物固定具用支持装置１は、基盤２と、こ
の基盤２上に昇降手段３を介して昇降動可能に設
けられた昇降盤４と、この昇降盤４に前縁部８１
が枢着され、昇降盤４との間に介装された傾動手
段６により昇降盤４に対して傾動可能に設けられ
るとともに、動物固定具ａの滑落を防止する固定
具滑落防止手段７が設けられた固定具載置盤８と
から構成されたものである。

基盤２は、金属板又は合成樹脂板から形成され
たものである。この基盤２の前縁部には、一対の
装着用ステー９，９が垂設されている。この装着
用ステー９，９は、検査機器Ｍに本装置１を装着
するためのもので、第２図に示すように、検査機
器Ｍの一対の検査台取付部Ｔに対応して設けられ
ている。ここで、この図に示す検査機器Ｍは、動
物の眼底検査に流用される人間用の眼底検査機で
あり、検査台取付部Ｔは、通常、人の顎と額とを
支える略鳥居形状の受具が挿着される部分であ
る。なお、検査機器が上記したような検査台取付
部とは異なる形態の取付部を有するものである場
合は、上記装着用ステー９に代えて、該取付部に
対応する形態の装着用部材を基盤２に設けるとよ
い。また、検査機器が検査台取付部をもたない場
合は、検査機器のある部分を挟持する挟持具を基
盤２に設けてもよいし、あるいは基盤２に何ら設
けることなく、検査機器に隣接して置かれたテー
ブル上に直接載置するようにしてもよい。

前記昇降手段３は、昇降盤４、及び昇降盤４を
介して固定具載置盤８を昇降動し、固定具載置盤
８の上に載置された動物固定具ａを所定の高さに
位置させるためのものである。本例では、昇降手
段３は、２台１組のジヤツキ３１，３２で構成さ
れている。これらジヤツキ３１，３２は、共にい
わゆるパンタグラフ式のジヤツキであり、それぞ
れネジ杆３３，３４によつてパンタグラフ３５，
３６が伸縮するように構成されたものである。両
ジヤツキ３１，３２は、相互のネジ杆３３，３４
が同軸線上に位置するように基盤２上に並設固定
されるとともに、ネジ杆３３，３４同士が連結杆
３７で連結されている。一方のネジ杆３３の一端
部には操作ハンドル３８が取り付けられており、
この操作ハンドル３８を手で回すことにより、両
ネジ杆３３，３４が回動し、これによつて両ジヤ
ツキ３１，３２が共に上昇又は下降する。

なお、本例では上記両ネジ杆３３，３４を手で
回すようにしているが、モータで回すようにして
もよい。また、ジヤツキ３１，３２は、本例に示
すもの以外の形態のジヤツキであつてもよい。さ
らに、昇降手段３は、ジヤツキに限らず、例えば
エアシリンダや油圧シリンダ、その他昇降動に一
般に用いられている各種器具であつてもよい。

前記昇降盤４は、基盤２と同様、金属板又は合
成樹脂板で形成されたものである。この昇降盤４
は、上記したジヤツキ３１，３２上に載置固定さ
れており、ジヤツキ３１，３２の昇降動により昇
降される。

前記固定具載置盤８は、動物固定具ａを受ける
たるのもので、基盤２や昇降盤４と同様、金属板
又は合成樹脂板で形成されている。この固定具載
置盤８の前縁部８１は、１個又は複数個のヒンジ
５により昇降盤４の前縁部４１に枢着され、該前
縁部８１を支点として上下方向に傾動可能とされ
ている。

前記固定具滑落防止手段７は、動物固定具ａが
固定具載置盤８上から滑落するのを防止するため
のものである。本例では、この手段７は、固定具
載置盤８の前縁部８１から上方に立ち上げ形成し
た鍔片で構成している。なお、固定具滑落防止手
段７は、このような鍔片に限る必要はなく、例え
ば動物固定具ａを固定具載置盤８に縛り付けるバ
ンドであつてもよい。

前記傾動手段６は、固定具載置盤８を傾動し、
固定具載置盤８上の動物固定具ａを所定の角度に
傾斜させるためのものである。本例では、傾動手
段６は、ジヤツキ６１と滑動部材６２とで構成さ
れている。

上記ジヤツキ６１は、いわゆるパンタグラフ式
のジヤツキであり、ネジ杆６３によつてパンタグ
ラフ６４が伸縮するように構成されたものであ
る。このジヤツキ６１は、そのネジ杆６３が、前
記昇降手段３を構成する２台のジヤツキ３１，３
２のネジ杆３３，３４と直交するように、且つ、
昇降盤４上の中央部に固定されている。ネジ杆６
３の一端部には操作ハンドル６５を取り付けられ
ており、この操作ハンドル６５を手で回すことに
より、ネジ杆６３が回動し、これによつてジヤツ
キ６１が上昇又は下降する。

上記滑動部材６２は、ジヤツキ６１が昇降動す
る際に、ジヤツキ６１の天板６６と固定具載置盤
８の裏面とが常に円滑に擦れ合うようにするため
のものである。本例では、この滑動部材６２にロ
ーラを採用しており、このローラ６２は、ジヤツ
キ６１の天板６６の前縁部に取り付けられてい
る。ここで、滑動部材６２は、このようなローラ
に限るものではなく、ボールであつても、また第
４図や第５図に示すようなものであつてもよい。
すなわち、第４図に示す例では、滑動部材は、例
えば摩擦係数の小さな合成樹脂片をアーチ状に湾
曲したもの６２１としている。第５図に示す例で
は、滑動部材は表面が滑らかで揺動可能な受片６
２２としている。第５図に示すものの場合、受片
６２２の表面に、上記したような合成樹脂片が添
着されていてもよい。

なお、本例ではジヤツキ６１のネジ杆６３を手
で回すようにしているが、モータで回すようにし
てもよい。また、ジヤツキ６１は、本例に示すも
の以外の形態のジヤツキであつてもよい。さら
に、傾動手段６は、ジヤツキに限らず、例えばエ
アシリンダや油圧シリンダ、その他の器具であつ
てもよい。

次に、上記した動物固定具用支持装置１の使用
方法について説明する。

まず、装着用ステー９，９を検査機器（眼底検
査機）Ｍの検査台取付部Ｔに差し込み、支持装置
１を検査機器Ｍにセツトする。

次に、固定具載置盤８上に、動物を固定した動
物固定具ａを載置する。

続いて、昇降手段３の操作ハンドル３８及び傾
動手段６の操作ハンドル６５を操作し、動物固定
具ａが検査機器Ｍに対して所定の高さ位置及び所
定の傾斜角度をとるように、昇降盤４及び固定具
載置盤８を昇降させるとともに固定具載置盤８を
傾動させる。このとき、固定具載置盤８は、昇降
手段３及び傾動手段６により、滑らかに昇降及び
傾動するため、動物の重量の大小にかかわらず動
物固定具ａの高さ位置及び傾斜角度の微妙な設定
を極めてスムーズに行うことができる。これによ
つて、検査精度が高いものとなる。

このあと、検査機器Ｍで動物の観察を行う。

なお、装置１全体の重量を軽減するため、基盤
２、昇降盤４及び固定具載置盤８のすべて又は任
意の盤に多数の孔を開けてもよい。

（考案の効果） 本考案の動物固定具用支持装置は、上記した構
成であるから、固定具載置盤が滑らかに昇降及び
傾動する。したがつて、動物の体重の大小にかか
わらず、動物固定具を検査機器に対して所定の姿
勢に容易且つ確実に支持することができるととも
に、その姿勢の微調整が簡単に行える。これによ
り、動物実験において正確なデータを常に得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る動物固定具用支持装置の
一実施例を示す全体斜視図、第２図は同側面図、
第３図は動物固定具の一例を示す断面図、第４図
及び第５図はそれぞれ傾動手段を構成する滑動部
材の他の例を示す部分拡大図である。 １……動物固定具用支持装置、２……基盤、３
……昇降手段、４……昇降盤、５……前縁部、６
……傾動手段、７……固定具滑落防止手段、８…
…固定具載置盤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 実験用小動物を固定した動物固定具を、検査機
   器に対して所定の姿勢に支持する装置であつて、 基盤と、 この基盤上に昇降手段を介して昇降動可能に設
   けられた昇降盤と、 この昇降盤に前縁部が枢着され、昇降盤との間
   に介装された傾動手段により昇降盤に対して傾動
   可能に設けられるとともに、動物固定具の滑落を
   防止する固定具滑落防止手段が設けられた固定具
   載置盤と、 から構成されたことを特徴とする動物固定具用支
   持装置。