JPH044893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は超音波断層装置に用いられるものであ
つて超音波送受信部分に液槽を備えた超音波探触
子に関するものである。

〔発明の背景〕

超音波断層装置において、例えば乳線や甲状腺
等のように被検体の体表面から浅い部分の組織で
あつて、しかもその際、探触子を当てる体表面が
曲面となる部分を対象として断層像を得たいとき
には、探触子は、その先端の超音波送受信部分
に、被検体との密着性および解像度等の向上のた
め、一般に液槽、例れば水槽を付加した状態で使
用される。この場合、特に電子走査形超音波探触
子では、探触子自体が小型であること、また操作
性を悪化させないこと等の理由から前記水槽の形
状寸法および重量に限界があり、深さは10〜50
mm、開口部は探触子の外形より多少大きい程度に
設定されていた。

しかし上記の大きさでは超音波の放射範囲から
みると十分ではなく、分解能劣化の原因となる不
要エコーおよび疑似エコーが生じた。すなわち、
探触子より放射された超音波は、主に水槽と被検
体との接触面より被検体内に入射し、伝播する
が、前記接触面近傍およびその周囲の水槽内面に
も入射する。この入射波は乱反射を生じ、特に水
槽の被検体との接触面以外の水槽内面では音響的
に空気負荷となるためほぼ全反射となり、不要エ
コーおよび疑似エコーを発生させ、Ｓ／Ｎ比を低
下させて分解能を劣化させた。

〔発明の目的〕

本発明は上記のような実情に鑑みてなされたも
ので、液槽内での不要エコーおよび疑似エコーを
低減し、Ｓ／Ｎ比を向上して高分解能化すること
ができる超音波探触子を提供することを目的とす
る。

〔発明の概要〕

本発明は、液槽付の超音波探触子において、前
記液槽を、各々形状変化自在の内槽および外槽を
備えて構成し、かつ外槽は内槽より柔軟にし、こ
れら内外槽に各々超音波媒体を充填し、外槽充填
媒体を超音波吸収率を大きくを選定したなるもの
である。

〔発明の実施例〕

以下第１図ないし第４図を参照して本発明の実
施例を説明する。第１図は本発明による超音波探
触子の一実施例を一部切断して示す図、第２図は
第１図の右側面図で、両図において、１は例えば
プラスチツクで形成された探触子ケース、２はこ
のケース１の先端側に収納された超音波送受信部
分である。この送受信部２は、圧電素子２ａと、
その正面側の整合層２ｂ、音響レンズ２ｃおよび
背面側のパツキング材２ｄ等から構成されてい
る。

３は例えば軟質のシリコンゴムあるいはプラス
チツク膜体からなる形状変化自在の内槽で、上記
送受信部２覆つた状態で前記ケース１先端側にバ
ンド４等を用いて密閉取着される。５はこの内槽
３を被い形成する外槽で、内槽３より柔軟性をも
つ膜体からなる。この外槽５へ例えばその開口端
縁を内槽３の開口側外周に粘着等により密閉取着
される。

６は内槽３内に充填された超音波媒体（内槽充
填媒体）、７は外槽５内に充填された超音波媒体
（外槽充填媒体）で、外槽充填媒体７は超音波吸
収率の大きいものが選定される。例えば外槽充填
媒体７として、粘度の低いシリコン樹脂に高比重
のタングステン粉末を混入してなるものが用いら
れるもので、これによれば、超音波吸収率が
30dB／mm、音響インピーダンスが1.54×10⁶Kg／
m²・secなる特性が得られた。なお、８は被検体
等の超音波被放射媒体である。

次に上述本発明探触子の動作について説明す
る。まず、超音波送受信部２に駆動信号が送られ
ると、この送受信部２から超音波が放射される。
放射された超音波は、内槽充填媒体６→内槽３→
外槽充填媒体７→外槽５の経路で伝播して被放射
媒体８に入射される。いま、被放射媒体８の所望
の部位に超音波を入射させる場合に、外槽５をそ
の部位に当てると、内外槽３，５はの形状変化自
在性による例えば第３図および第４図に示すよう
に被放射媒体８の所望部位の形状に沿つた形に変
形する。同時に、被放射媒体８への接触時の圧力
により外槽充填媒体７は外槽５の周辺側に押し出
され、内槽３と外槽５および外槽５と被放射媒体
８が各々密着した状態となる。すなわち外槽充填
媒体７は、内外槽３，５の接触部以外の部分で液
層が大となつて超音波を大きく吸収し、接触部に
近接するに従つて液層が小となつて超音波吸収が
小さくなり、接触部において超音波吸収が最小と
なる。すなわち送受信部２からの超音波は、被放
射媒体８の所望部位の方向へは殆んど吸収されず
に放射され、それ以外の方向へは大きく吸収され
ることになり、さらに外槽５からの反射エコーも
外槽充填媒体７で再び大きく吸収されることにな
る。従つて、反射エコーの乱反射が主因となる不
要エコーおよび疑似エコーも大きく低減されるこ
とになる。なお、内槽充填媒体６は、送受信部２
の超音波放射面である音響レンズ２ｃ面と内槽３
の間で、これら両者と音響的にマツチングをとつ
たものが選定され、内槽３内での不要エコーの発
生が低減される。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明は、液槽付の超音波探
触子において、前記液槽を、各々形状変化自在の
内槽および外槽を備えて構成し、かつ外槽を内槽
より柔軟にし、これら内外槽に各々超音波媒体を
充填し、この際、外槽充填媒体を超音波吸収率を
大きく選定してなるので、液槽内での不要エコー
および疑似エコーが大幅に低減され、Ｓ／Ｎ比が
向上し、高分解能化することができるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による超音波探触子の一実施例
を一部切断して示す図、第２図は同右側面図、第
３図は第１図に示した本発明探触子の使用状態を
示す図、第４図は同右側面図である。 ２……超音波送受信部、３……内槽、４……バ
ンド、５……外槽、６……内槽充填媒体、７……
外槽充填媒体、８……超音波被放射媒体（被検
体）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 超音波送受信部分に液槽を備えた超音波探触
   子において、前記液槽は各々形状変化自在の内槽
   および外槽からなり、かつ外槽は内槽よりも柔軟
   性をもつて形成され、これら内外槽には各々超音
   波媒体が充填され、外槽充填媒体は超音波吸収率
   が大きいものからなることを特徴とする超音波探
   触子。