JPH0448525Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本考案は高真空型のＸ線分光装置に関する。

ロ 従来技術 従来の高真空型Ｘ線分光装置はＸ線分光器全体
を大きな真空容器内に収納していた。このため装
置全体が大きくなり、Ｘ線発生部及びＸ線検出部
も真空容器によつて設置スペース上の制約を受
け、強いＸ線源を組込むのが困難であり、Ｘ線検
出部も広い設置空間を要するものは用いることが
できないと云う問題があつた。

ハ 考案が解決しようとする問題点 従来の高空型Ｘ線分光装置における大型化、Ｘ
線源、Ｘ線検出部の選択の制限を解消し、小型、
Ｘ線検出部、Ｘ線源の選択の自由度の大きい高真
空型のＸ線分光装置を得ようとするものである。

ニ 問題点解決手段 Ｘ線源に対して分光結晶を一直線に沿つて進退
させ、Ｘ線源と分光結晶とＸ線検出部をブラツグ
の条件を満足する関係で相互移動させる機構によ
つて連結し、Ｘ線源と分光結晶室との間および分
光結晶とＸ線検出部との間を夫々ベローで接続す
ると共に、分光結晶室とＸ線検出部との間を接続
するベローの途中を分光結晶室とＸ線検出部とを
結ぶ直線よに該直線に対して摺動自在に拘束し、
同ベローの分光結晶側の端を分光結晶室のＸ線検
出部に向いた側面の窓上に同側面に沿つて摺動可
能に接続して、上記各ベロー内を真空にした。

ホ 作用 Ｘ線源と分光結晶との間及び分光結晶とＸ線検
出部との間を夫々ベローで接続してあるので、上
記各部間の距離及び相互の方向関係は自由連続的
に可変で、真空にするのはベロー内部だけでよい
から大きな真空容器が不要でＸ線源、Ｘ線検出部
は夫々大気中に露出しているので設置スペース上
の制約を受けず、選択の自由度が増す。そしてＸ
線源と分光結晶を結ぶベローは分光結晶がＸ線源
に対し、一直線上を進退するだけなので、伸縮す
るだけで曲がりがなく、分光結晶とＸ線検出部を
結ぶベローは途中が分光結晶とＸ線検出部とを結
ぶ直線上にその直線に沿つて摺動可能に保持さ
れ、分光結晶側の端が分光結晶を収納した室の側
面に摺動可能に接続されているので、無理な曲が
りを受けず、ベローが曲がつてＸ線の通路の妨げ
るおそれがない。

ヘ 実施例 第１図は本考案の一実施例の平面図である。こ
の図でＳは軟Ｘ線源、Ｃは分光結晶室、ＤはＸ線
検出部である。Ｂ１はＸ線源Ｓと分光結晶室Ｃを
接続するベロー、Ｂ２は分光結晶室ＣとＸ線検出
部とを接続するベローである。Ｘ線源Ｓは固定さ
れている。Ｆはｘ方向フレームでそれ自体は固定
されており左右方向（ｘ方向）の２条のレールＲ
１を有し、Ｔは上記レールＲ１上に乗つて左右に
ｘ移動可能なｘ移動台でｙ方向の二条の平行なレ
ールＲ２を有し、このレール上にｙ移動台Ｖが乗
つており、Ｘ線検出部Ｄはこのｙ移動台ＶにＯ点
を中心に回転可能に取付けられている。そしてこ
のＯ点の位置にＸ線検出部のスリツトがある。
F′は固定フレームでｘ方向の二条のレールR′を有
し、このレール上に乗つて左右移動可能な台Ｗ上
に分光結晶室Ｃが固定されている。Ｍ１は台Ｗを
ｘ方向に駆動するパルスモータ、Ｍ２はｘ移動台
Ｔをｘ方向に駆動するパルスモータ、Ｍ３はｘ移
動台Ｔ上に固定されｙ移動台Ｖをｙ方向に駆動す
るパルスモータである。

上述構成で分光結晶室Ｃがｘ方向に或る量ｘだ
け駆動されると、その駆動量ｘの関数として、パ
ルスモータＭ２，Ｍ３が夫々或量だけ駆動されて
ｙ移動台、従つてＸ線検出部ＤのＯ点が一つの曲
線上を移動し、Ｘ線源Ｓ、分光結晶室Ｃの中心、
Ｘ線検出器ＤのＯ点が常に一つのローランド円上
に在るようにしてある。この位置関係を第２図に
示す。第２図でｒがローランド円で、一定半径の
円で図示の通り固定したものではなく分光結晶室
Ｃの移動に伴い移動する。第２図において分光結
晶Co（第１図では室Ｃ内にあつて見えていない）
はその中心に立てた法線がローランド円ｒの中心
に向つている必要がある。この方向はＸ線源Ｓ、
分光結晶Co、Ｘ線検出部ＤのＯ点を結ぶ角αの
２等分線の方向である。

第１図に戻つて、上述したように分光結晶を常
にローランド円の中心に向けておくため、移動台
Ｗの分光結晶中心位置とＸ線源のスリツト位置と
に夫々ローランド円の半径長さのリンクＬ，L′が
枢着され、これらのリンクの端同士が互にピン結
合され、上記リンクＬのＷへの枢着軸と同リンク
Ｌを互に固定し、分光結晶は分光結晶室Ｃ内で同
室の中心を貫通している上記軸に保持され、この
機構によつて分光結晶は常にローランド円の中心
に向つている。またＸ線検出部Ｄは常に分光結晶
の方を向いている必要があるが、このためＸ線検
出部ＤはＯ点で回転可能にｙ移動台Ｖに取付けら
れており、Ｘ線検出部Ｄから分光結晶の方に向つ
て延びている腕Ａの先端の案内溝ｇに、分光結晶
室における分光結晶の回転軸位置に立てたピンＰ
が嵌合させてある。

ベローＢ２は分光結晶室側の端が分光結晶室Ｃ
に固定されていると、検出部Ｄと分光結晶との位
置関係によつては無理な曲り方になつてＸ線の通
路に障碍を生ずる。これを防ぐため、ベローＢ２
は途中が腕Ａに腕の長さ方向に摺動可能に保持さ
れ、分光結晶室側の端は、分光結晶室Ｃの検出部
Ｄに向う側面の窓を気密にカバーして同側面に摺
動可能に設けられた摺動板Ｑに固定されている。
この摺動板は第２図における角αが鈍角になると
きは分光結晶室Ｃに対して第１図で右方に摺動
し、鋭角になるときは左方に摺動するのでベロー
Ｂ２の無理な曲り方が緩和される。

第１図でＵの部分にはソーラスリツトが配置さ
れて図の紙面に平行なＸ線だけが分光結晶に入射
するようにしてあり、またＵの部分が排気ポンプ
に接続されて、Ｘ線源からＸ線検出部迄の全系が
排気される。

ト 効果 本考案真空型Ｘ線分光装置は上述したような構
成で、Ｘ線の通路のみが管系によつて真空に保た
れているので、装置全体を収納する外筐が不要と
なつて装置全体として小型化され、Ｘ線源及びＸ
線検出器とも外部に出ているので取付けスペース
の制約を受けず任意の形状大きさのものを取付け
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例装置の平面図、第２
図は同実施例の機構的運動機能の説明図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｘ線源に対して分光結晶を一直線に沿つて進退
   させ、Ｘ線源と分光結晶とＸ線検出部とをブラツ
   グの条件を満足する位置関係を保つて相互移動さ
   せる機構によつて連結し、Ｘ線源と分光結晶室お
   よび分光結晶室とＸ線検出部の間を夫々ベローで
   接続すると共に、分光結晶室とＸ線検出部との間
   を接続するベローの途中を分光結晶室とＸ線検出
   部とを結ぶ直線に沿つて摺動可能に保持し、同ベ
   ローの分光結晶室側の端を同室のＸ線検出部に向
   かつた側面上に摺動可能に接続して、これら各ベ
   ローおよび分光結晶室内を排気するようにしたＸ
   線分光装置。