JPH0443322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はオフセツト輪転印刷機における版胴の
ひねり装置に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

オフセツト印刷機においては、多色刷りを行う
場合に、製版の誤差や版取付けにおいて曲りなど
があると色ずれが生じ、印刷が不鮮明になるの
で、版胴をゴム胴に対し微小量ひねつて版の対角
線方向の位置を調整するひねり装置が必要とな
る。

従来の上記ひねり装置は、第７図に示すように
なつている。すなわち、同図において１は版胴、
２はこの版胴１に対し平行に設けられるゴム胴を
示し、これらの端部の軸１Ａ，２Ａが印刷機本体
３に軸受４，４，５，５を介して回転自在に支持
されている。

版胴１の非駆動側イの軸受ハウジング６は、外
周に対し偏心量ｅ（通常3.5m／ｍ程度）をもつ内
孔６Ａを有し、この内孔６Ａに軸受４が嵌着され
ており、この軸受ハウジング６の外端部周囲には
歯車７があつて、版胴１のひねり時にこの歯車７
を通じ軸受ハウジング６を回転させることにより
版胴１の軸心をずらせるようになつている。図中
８は版胴１の軸１Ａの他端に固着され駆動力の伝
達を受ける歯車、９，９は版胴１のベアラ、１
０，１０はゴム胴２のベアラ、１１は版胴１のひ
ねりには直接関係のない印刷ウエブの幅方向見当
合せ装置である。

上記装置においては、第８図にスケルトンで示
すように、点Ｏをゴム胴中心、点Ｐを版胴中心、
点Ｎを軸受ハウジング６の偏心の中心、ｅを偏心
量とすると、元来ひねりの理想変位は円弧PQで
あり、ゴム胴２の中心Ｏを中心とする円弧である
が、上記従来装置では軸受ハウジング６がＮを中
心として回転するので版胴１の軸受中心点Ｐは円
弧PR上を変位することになる。その結果誤差QR
が発生する。

したがつて版胴１をひねると、版胴１とゴム胴
２との中心間距離が変化し、例えば版胴１の直径
が199m／ｍ、版胴１のひねり量が±0.2m／ｍと
したとすると、前記中心間距離は0.023m／ｍ変
化することになる。この変位は版胴１とゴム胴２
との各ベアラ９，１０の転接に無理な過大な転接
圧力が発生し、これに起因して版胴１とゴム胴２
の軸受の過熱や、ベアラ９、１０の破損などの事
故を招くことが多い。また図示例のように、版胴
１のひねりによつて前記中心間距離が版胴１のひ
ねりゼロの状態より大きくなるようにした場合に
は、前記転接圧の増大はない代りにベアラ９，１
０の転接圧が低くなり、印圧も低くなつて印刷シ
ヨツクマークなどの印刷欠陥を生じることにな
る。

このように版胴１のひねりはゴム胴２の軸受を
中心に版胴１の軸受中心が変位するのが理想であ
るにもかかわらず、従来技術では版胴１の非駆動
側の軸受ハウジング６の偏心で版胴１にひねりの
変位を与えていることに問題があるが、前記理想
の変位を与えることは構造上非常に困難を伴うと
して未だ解決策が立てられていない現状にある。

〔考案の目的〕

本考案は上記従来技術の問題点に着目し、これ
を改善することを目的としてなされたもので、版
胴にひねりを与えても版胴とゴム胴との中心間距
離がかわることのないオフセツト輪転印刷機にお
ける版胴のひねり装置を提供することを目的とし
てなされたものである。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するため、本考案によるひねり
装置は、オフセツト輪転印刷機において、版胴の
非駆動側の軸受を、互いに偏心した内外２重構造
の軸受ハウジングに支持し、この２重構造の軸受
ハウジングのそれぞれの偏心の位相を逆にして装
着し、これら軸受ハウジングを相対的に逆方向に
微動せることによりその合成運動で版胴とゴム胴
との軸間距離を一定に保つようにしたことを特徴
とするものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第６図によ
り、第７図および第８図と共通する部分には同一
の符合を用いて説明する。

第１図は本考案の要部を断面で示し、第２図は
その作動機構の具体的一構成例を示している。

上図において、１は版胴、２はゴム胴であり、
版胴１の非駆動側イの軸端には軸受４を支持する
軸受ハウジング１２が設けられている。

本考案における軸受ハウジング１２は、内側ハ
ウジング１３と外側ハウジング１４との２重構造
で、内側ハウジング１３は軸心に対し偏心量e₂を
有する内孔１３Ａを有し、この内孔１３Ａに前記
軸受４が嵌着されている。外側ハウジング１４は
上記内側ハウジング１３の外周に回転可能に嵌合
され、その内孔１４Ａは偏心量e₁を有している。
そしてゴム胴２の中心Ｏを中心として版胴１、ゴ
ム胴の直径の1/2の箇所に外側ハウジング１４の
外周円の中心が位置されている。

前記内側ハウジング１３と外側ハウジング１４
との接合面間に相対向する溝１５，１６が形成さ
れており、この溝１５，１６内に鋼球１７が多数
嵌合されてスラストベアリングとしての機能を持
たせてある。１８は上記鋼球１７を充填するため
の孔１９を塞ぐ栓である。

作動機構は、第２図に第１図の左側からみた図
を示しているように、リンク機構で構成されてい
る。

すなわち、前記内側ハウジング１３の外端を封
止し軸受４を押えるようボルト２０で止着された
軸受押え２１の外面にブラケツト２２がボルト２
３，２３により固着され、このブラケツト２２の
端部にはリンク２４の一端がピン２５により連結
されている。このリンク２４の他端は、印刷機本
体３側に中間部が軸２６により回動自在により取
付けられたレバー２７の一端にピン２８により連
結されている。

上記レバー２７の他端近くと前記外側ハウジン
グ１４とにリンク１９がピン３０，３１により連
結され、該レバー２７の他端にはリンク３２の端
部がピン３３により連結されている。

したがつて、図示しない駆動手段によりリンク
３２は矢印方向に動かされてレバー２７が軸２６
を中心に回動するとき、内側ハウジング１３と外
側ハウジング１４とはリンク２４，２９を介して
互いに逆方向に微動されることになる。

上記のように内側ハウジング１３、外側ハウジ
ング１４が相互に逆方向に動かされる際の合成運
動は、第４図においてゴム胴２の中心Ｏを中心と
して外側ハウジング１４を図において反時計方向
に角度θ₁だけ回転させるとすると、その偏心点Ｎ
はN′点に移動し、内側ハウジング１３を図にお
いて時計方向に角度θ₂だけ回転すると、その偏心
点ＱはQ′点に移動する。

したがつてその合成運動により版胴１の中心は
Ｐ点がQ′に移動する結果となり、合成運動によ
る軌跡は円弧Ｐ，Q′となり、ゴム胴２の中心Ｏ
を中心として円弧となつて理想変位となる。これ
により従来技術において問題となつていた0.02〜
0.0m／ｍの誤差を除去することができる。

なお、内側ハウジング１３および外側ハウジン
グ１４を互いに逆方向に微動させる作動機構の具
体的構成、および数量的な点は本実施例に限られ
るものではない。

第５図は本考案における作動機構の他の構成例
を示すもので、内外２重構造の軸受ハウジングを
微動させる作動手段をリンク機構に代えて歯車機
構によりなさしめるようにしたものである。

外側ハウジング１４の外端部外周に歯車３４が
形成され、この歯車３４には印刷機本体３に固定
のブラケツト３５に軸支されたピニオン軸３６上
のピニオン３７が噛合されている。

このピニオン軸３６上には別のピニオン３８が
あり、このピニオン３８にはアイドラ３９を介し
て歯車４０が噛合されている。この歯車４０は、
ブラケツト３５に支持された軸４１にベアリング
４２を介して回転自在に支持されている。

上記歯車４０と軸受押えグ２１との間には、前
後面に互いに直角をなすように突設された突起４
３，４４を有するオールダムカツプリング４５が
介在されており、一面側の突起４３は歯車４０の
一面の溝４６に、他面側の突起４４は軸受押え２
１の溝４７にそれぞれ摺動可能に嵌合されてい
る。したがつて歯車４０は歯車３４と同一回転中
心をもつて回転するが、前記オールダムカツプリ
ング４５の作用で回転中心のずれにかかわらず正
確に回転の伝達がなされる。

なお、第５図において第１図と共通する部材に
は同一符合を付してその説明を省略する。

第６図は上記歯車機構による軸受ハウジングの
運動を示すもので、軸受ハウジング１４を点Ｐを
中心に図において反時計方向にθ₁だけ回転する
と、軸受ハウジング１４の偏心点P₁は点Q₁に移
動する。これと同時に軸受ハウジング１３が歯車
伝導により点Q₁を中心に字において時計方向に
Q₂だけ回転するので、その偏心点O₂は点Ｑに移
動する。

したがつて、版胴１の中心点Ｐは、版ひねりに
より点Ｑに移動するが、歯車比を適性に選択する
ことによりゴム胴２の中心Ｏを中心とする円弧上
の軌跡PQを得ることができる。これにより版ひ
ねりにかかわらず中心間距離を一定に保つことが
できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、版胴に
ひねりを与えても版胴とゴム胴との中心間距離を
一定に保持することができ、これによりベアラの
転接圧が過大になつたり、過少になることが防止
され、ベアラの破損事故、軸受の過熱、印刷不良
などの従来の問題点をことごとく解消することが
でき、しかも構造的に複雑化することがなく、安
価に供し得るなどの種々の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるひねり装置の一実施例を
示す要部の断面図、第２図は同正面図、第３図は
第２図Ａ−Ａ線視断面図、第４図は作動状態の説
明図、第５図は本考案の他の実施例を示す第１図
相当図、第６図は同作動状態の説明図、第７図は
従来のひねり装置を示す断面図、第８図はその作
動状態の説明図である。 １……版胴、２……ゴム胴、３……印刷機本
体、４，５……軸受、９，１０……ベアラ、１２
……２重構造の軸受ハウジング、１３……内側ハ
ウジング、１４……外側ハウジング、１７……鋼
球、２１……軸受押え、２２……ブラケツト、２
４，２９，３２……リンク、２７……レバー、３
５，４０……歯車、３７，３８……ピニオン、４
５……オールダムカツプリング、４３，４４……
突起、４６，４７……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ オフセツト輪転印刷機において、版胴の非駆
   動側の軸受を、互いに偏心した内外２重構造の
   軸受ハウジングに支持し、この２重構造の軸受
   ハウジングのそれぞれの偏心の位相を逆にして
   装着し、これら軸受ハウジングを相対的に逆方
   向に微動せることによりその合成運動で版胴と
   ゴム胴との軸間距離を一定に保つようにしたこ
   とを特徴とするオフセツト輪転印刷機における
   版胴のひねり装置。 ２ 上記内外２重構造の軸受ハウジングを相対的
   に逆方向に微動する作動手段にリンク機構を有
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のオフ
   セツト輪転印刷機における版胴のひねり装置。 ３ 上記内外２重構造の軸受ハウジングを相対的
   に逆方向に微動する作動手段に歯車機構を有す
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のオフセ
   ツト輪転印刷機における版胴のひねり装置。