JPH044223Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、診断用スライド試験用具に関し、更
に詳しくは手軽に便の潜血を検査できる診断用ス
ライド試験用具に関する。

〔従来の技術〕 潰瘍、癌腫、結核、チフス等のような消化管の
潰瘍性機転を引き起こす疾患の診断、治療上には
糞便の潜血反応を検査することが極めて重要であ
り、その検査法には分光鏡法、触媒法、ヘミン結
晶試験法などがある。これらのうち臨床上最も実
用的なものに触媒法が挙げられ、発色などによつ
て容易に判定することができる。

従来、潜血反応の簡易検査法としては、試験紙
に便検体を塗抹し、その部分をシート等で覆つて
検体塗抹面を保護した後に試験紙の裏面からフラ
ツプを開裂して試薬を加え、発色状態を判定する
シノテストやヘマテスト等の方法が用いられてい
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらの検査方法は試験紙に検
体を塗抹した後、塗抹面が汚れ、不潔であるので
その部分を覆つて試験紙の裏面から便の潜血など
を判定せざるを得なかつた。そのため多数の検体
について検査する場合、フラツプの開裂などの操
作があり、非常に不便であるばかりでなく、試験
紙の裏面から見るため正確な判定ができなかつ
た。

本考案は、これら従来の欠点を解消せんがため
に、試験紙の検体塗抹面である表面（オモテメ
ン）から容易に判定し得るよう工夫されたもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、折曲線Ａ，Ｂ，Ｃを介して連設され
た保護片１、底面片２、該底面片２とほぼ同形大
の表面片３および、該表面片３よりも連設方向寸
法の短かい表面補助片４からなる紙製体であり、
該紙製体は底面片２に１枚または複数枚の診断用
試験紙５が所定位置に固定され、表面片３には折
曲線Ｂを折り曲げた際、診断用試験紙５に対応す
る位置に打抜孔６が設けられ、表面補助片４には
折曲線Ｃを折り曲げた際、表面片３の打抜孔６に
対応する位置に打抜孔７が設けられてなり、前記
折曲線Ａ，Ｂ，Ｃを夫々折り曲げることによつ
て、保護片１、表面補助片４、表面片３及び底面
片２の順序に重ねられてなる診断用スライド試験
用具において、検体塗抹面である表面補助片４の
打抜孔７は、表面片３の打抜孔６より寸法が小さ
く、打抜孔７は表面片３の打抜孔６の孔の内側に
あるように配置され、かつ表面補助片４には検体
塗抹後、取り除くための切取線Ｄが設けられたこ
とを特徴とする診断用スライド試験用具である。

〔作用〕

本考案の診断用スライド試験用具は、表面片３
の打抜孔６と該表面片３上に折り重なつた表面補
助片４との打抜孔７に寸法差が設けてあり、かつ
打抜孔７は打抜孔６の内側に配置されているの
で、表面片３の打抜孔６周辺を汚さずに検体を塗
抹することができる。そして、切取線Ｄに沿つて
表面補助片４を取り除くことによつて不潔感が無
くなる。次いで直接表面片３の打抜孔６から反応
試薬を加えると、試験紙５が発色などして、その
まま表面から判定することができる。

〔実施例〕

本考案は第１図の展開図に示す通り折曲線Ａ，
Ｂ，Ｃを介して連設された保護片１、底面片２、
該底面片とほぼ同形大の表面片３および、該表面
片３よりも連設寸法の短い表面補助片４よりなる
やや厚手の紙製フレームと該底面片に固定される
診断用試験紙（5a，5b）より構成される。

表面片３には、折曲線Ｂを介して底面片２上に
折り重ねた時、診断用試験紙５に対応するよう適
当な大きさの正円の打抜孔６が穿設され、また表
面補助片４には折曲線Ｃを介して表面片３上に折
り重ねた時、打抜孔６に対応し、これよりやや小
さい正円の打抜孔７が穿設されている。保護片１
の上辺には差し込み用舌片８が設けられており、
一方対応する挿入用スリツト９は表面片３にあ
り、最後に表面補助片４に折曲線Ａを介して保護
片１を折り重ねた時、折曲線Ａを介して対称的に
設けられている。更に表面補助片４には、検体塗
抹後これを取り除いて廃棄するための切取線Ｄが
設けられている。

診断用試験紙５は１枚使用の場合は一般に中等
度の鋭敏度を有するものが用いられ、含浸される
潜血反応試薬はベンジンアルコールやベンジン酢
酸などが使用される。第１図のような２枚使用の
場合は一方に反応の鋭敏なものを、他方に比較的
反応の鈍いものを用いるのが合理的である。フエ
ノールフタレインやオルトトリジンなどを含浸さ
せた反応の鋭い試験紙の場合、反応が鋭敏すぎて
微量の血液混入でも陽性を呈するが、反応が陰性
の場合には確実に潜出血陰性とみなされる。一方
例えばグアヤツクチンキを含浸させた反応の比較
的鈍い試験紙の場合は、食物や薬物等に影響され
ることがないから反応が陽性の場合には確実に病
的とみなされることになる。

診断用試験紙５の寸法は一辺の長さが表面片３
の打抜孔６の直径の２倍程度と当該打抜孔に比し
て十分大きな正方形が望ましく、そん固定位置は
連設方向の中心線を挟んで対称になるように設定
されている。

また表面片３の打抜孔６と表面補助片４の打抜
孔７の寸法差は直径で４mm前後が望ましく、表面
補助片４を折曲線Ｃを介して表面片３に折り重ね
た時、両打抜孔の関係は第２図のように同心円状
になる。

本考案診断用スライド試験用具は、診断用試験
紙５が接着剤で所定の位置に固定された底面片２
の上に折曲線Ｂを介して表面片３を折り重ね、次
いで表面補助片４を折曲線Ｃを介して表面片３の
上に折り重ね、最後に保護片１を折曲線Ａを介し
て表面補助片４上に折り重ね、保護片１上辺の差
し込み用舌片８を表面片３上の挿入用スリツトに
挿入すれば完成する。第３図はその完成図であ
り、分かり易くするために各片の間に空間を設け
た描き方をしている。尚、診断用試験紙５への接
着剤の塗布は、接着剤の影響により含浸潜血反応
試薬が変質する恐れがあるので、表面片３の打抜
孔６に対応する面部分よりも外側の部分に行う必
要がある。また底面片２と表面片３は、接着せず
そのまま折り畳んだ形での使用が可能であるが、
接着剤で固着させても構わない。

本考案診断用スライド試験用具の使用方法は、
先ず保護片１を開いて表面補助片４の打抜孔７
ａ，７ｂより、各々の透孔部に対応する診断用試
験紙５ａ，５ｂ上に便をほぼ均等に塗抹する。

次いで該表面補助片を切取線Ｄで切り離し廃棄
する。このため、表面補助片４の切取線Ｄの下に
「検体塗抹後ここから切り離し廃棄して下さい」
との説明を印刷しておくのが望ましい。次いで、
保護片１を元の状態のように表面片３上に綴じ込
み病院へ持参する。ここで保護片１は使用前には
診断用試験紙５を遮光し、断熱することにより、
試験紙の品質低下を防止すると共に、検体塗抹後
は上記作用の他その部分を完全に覆つて不潔感を
無くするものである。病院では本試験用具の保護
片１を開いて、表面片３の透孔部から診断用試験
紙５ａ，５ｂ上に過酸化水素等の反応試薬を数滴
加えてそのまま検体塗抹側である表面から判定を
行う。

〔考案の効果〕 本考案は表面片３と表面補助片４の打抜孔に寸
法差を設けることにより、表面片を汚さず検体を
塗抹することができ、表面補助片４を取り除くこ
とによつて直接表面から判定が可能になつたた
め、次のような効果が生じている。

１ 従来のものより操作が簡便である。

２ とくに複数の検体を並べ、一度に判定する場
合便利である。

尚、本考案試験用具は、これを数個連ね個々の
間に切取線を付することにより、個々に切り離し
て使用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の診断用スライド試験用具の一
実施例を示す展開図、第２図は折り畳んだ時の打
抜孔の関係を示す平面図、第３図は折り畳んだ時
の側面からの説明図である。 主な符号の説明、１……保護片、２……底面
片、３……表面片、４……表面補助片、５，５
ａ，５ｂ……診断用試験紙、６，６ａ，６ｂ……
表面片上の打抜孔、７，７ａ，７ｂ……表面補助
片上の打抜孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 折曲線Ａ，Ｂ，Ｃを介して連設された保護片
   １、底面片２、該底面片２とほぼ同形大の表面片
   ３および、該表面片３よりも連設方向寸法の短か
   い表面補助片４からなる紙製体であり、該紙製体
   は、底面片２に１枚または複数枚の診断用試験紙
   ５が所定位置に固定され、表面片３に折曲線Ｂを
   折り曲げた際に、診断用試験紙５と対応する位置
   に打抜孔６が設けられ、表面補助片４に折曲線Ｃ
   を折り曲げた際に、表面片３の打抜孔６と対応す
   る位置に打抜孔７が設けられてなり、前記折曲線
   Ａ，Ｂ，Ｃを夫々折り曲げることによつて、保護
   片１、表面補助片４、表面片３及び底面片２の順
   序に重ねられてなる診断用スライド試験用具にお
   いて、検体塗抹面である表面補助片４の打抜孔７
   は、表面片３の打抜孔６より寸法が小さく、打抜
   孔７は表面片３の打抜孔６の孔の内側にあるよう
   に配置され、かつ表面補助片４には検体塗抹後、
   取り除くための切取線Ｄが設けられたことを特徴
   とする診断用スライド試験用具。