JPH0442046Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、タンデイツシユの溶湯保持室に連通
する発熱室の構造を改良した連続鋳造用タンデイ
ツシユヒーターに関するものである。

（従来の技術） 一般にビレツトを連続鋳造する場合、溶解炉で
溶解した金属溶湯を一旦、タンデイツシユに受け
て、ここから複数のリング状水冷鋳型に同時に流
し込んで長いビレツトを連続的に鋳造することが
行われている。

しかし、近年、連続鋳造ラインの大型化に伴
い、大量の金属溶湯をタンデイツシユに溜めてお
くと、溶湯温度が低下して適正な鋳込温度が維持
できなくなるので、誘導加熱によるタンデイツシ
ユヒーターを取付けて金属溶湯を昇温することが
行われている。

このようなタンデイツシユヒーターを取付けた
従来の連続鋳造用タンデイツシユの構造は、例え
ば第４図に示すように形成されている。

タンデイツシユ１はその内側に耐火材２でるつ
ぼ型の溶湯保持室３が形成され、その側面に開口
部４が設けられている。この溶湯保持室３の底部
または下部側面には出湯ノズル５が形成されてい
る。

６はタンデイツシユヒーターで、加熱コイル７
の内側に、耐火材２で横方向のるつぼ型の発熱室
８が形成され、この発熱室８の開口部９が前記溶
湯保持室３の開口部４に連通している。

タンデイツシユ１とタンデイツシユヒーター６
とは、その接合部１０でフランジ１１ａ，１１ｂ
により一体に接合されている。

溶湯保持室３に溜められた金属溶湯１２は、発
熱室８で加熱コイル７により誘導加熱されて攪
拌、対流して溶湯全体が加熱、昇温されるように
なつている。

このように溶湯保持室３と発熱室８とは、高温
の金属溶湯１２を保持するため耐火材２で形成さ
れているが、耐火材２は一般に急激に加熱する
と、表面と内側に温度差を生じ、その熱膨張代の
違いにより表面に剥離や亀裂を生じる。

このため溶解炉や取鍋から受湯する前に、予め
耐火材２の表面を加熱することが行われている。

従来は第４図に示すようにバーナー１３をタン
デイツシユ１側の溶湯保持室３から挿入して耐火
材２の表面を加熱しているが、内部が密閉構造に
なつているので燃焼ガスが奥まで達しない。また
バーナー１３を深く挿入すると酸素不足になつて
十分に燃焼できない。特に、溶湯保持室３の側部
に横方向に連通した発熱室８には燃焼ガスが達し
にくく、耐火材２の熱伝導や少しの対流によつて
だけ加熱されるので、耐火材２の予熱に長時間か
かり操業の立上りが遅れる問題があつた。

またタンデイツシユヒーター６を長期間運転し
ていると、金属溶湯１２の攪拌により発熱室８を
形成している耐火材２が次第に消耗して薄くな
り、湯洩れ事故に至る恐れがあるため、定期的に
耐火材２の状態を点検して湯洩れ事故の発生を未
然に防止している。

この定期点検を行う場合、先ず溶湯保持室３と
発熱室８内の金属溶湯１２を全量出湯してから接
合部１０を剥離してタンデイツシユ１から分離し
ているが、接合部１０の近傍に残湯が凝固した金
属凝固層が貼り付いてしまうので、タンデイツシ
ユ１からタンデイツシユヒーター６を分離すると
きの作業が極めて面倒であつた。

更にタンデイツシユヒーター６を解体すると
き、タンデイツシユ１から分離して立てた状態で
内部の耐火材２を解体しているが、上部を開口し
たるつぼ型であるので、耐火材２の排出作業が面
倒であつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記欠点を除去し、溶湯保持室と発熱
室とを効率良く短時間で均一に加熱でき操業の立
上りを速めることができると共に、発熱室内を形
成する耐火材の点検が容易であり、しかも発熱室
の解体作業も容易に行うことができる連続鋳造用
タンデイツシユヒーターを提供することを目的と
するものである。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案は、横方向のるつぼ型に形成された耐火
材の外周に加熱コイルを巻回して発熱室を形成
し、この発熱室の横方向に沿つた一端を開口部と
し他端を閉塞部として、前記開口部をタンデイツ
シユの溶湯保持室の側壁に設けた開口部に連通し
た連続鋳造用タンデイツシユヒーターにおいて、
前記発熱室の閉塞部に発熱室と連通するプラグ取
付孔を横方向に開口し、ここに耐火材で形成され
たプラグを着脱自在に挿着したことを特徴とする
ものである。

（作用） 本考案の連続鋳造用タンデイツシユヒーターの
作用について説明すると、タンデイツシユヒータ
ーの発熱室の閉塞部側にプラグが着脱自在に取付
けられているので、受湯前にこのプラグを取外し
て閉塞部側を開口し、ここにエジエクターなどの
排気装置を接続し、溶湯保持室の上部からバーナ
ーを挿入して加熱すると燃焼ガスは溶湯保持室か
ら発熱室を通りプラグ取付孔を経て排気され、耐
火材を効率良く短時間で均一に加熱することがで
きる。

更に本考案はプラグを取外して開口したプラグ
取付孔から、発熱室内を形成する耐火材の点検が
行えると共に、このプラグ取付孔が、発熱室を解
体するときに耐火材の排出孔となるので作業も容
易である。

（実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例を参照して詳
細に説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す
もので、タンデイツシユ１はその内側に耐火材２
でるつぼ型の溶湯保持室３が形成され、その側面
に開口部４が設けられ、底部または下部側面には
出湯ノズル５が形成されている。

タンデイツシユ１の側方にはタンデイツシユヒ
ーター６が一体に接合されている。このタンデイ
ツシユヒーター６は内側に加熱コイル７が巻回さ
れ、更にこの内側に耐火材２で横方向のるつぼ型
の発熱室８が形成され、この発熱室８の開口部９
が前記溶湯保持室３の開口部４に連通している。

またタンデイツシユヒーター６は、耐火材２で
るつぼ型に形成された発熱室８の開口部９と反対
側の閉塞部１４に、内径が外側に向つて拡大する
プラグ取付孔１５が開口され、ここに焼成レンガ
で切頭円錐状に形成されたプラグ１６が着脱自在
に挿着されている。

上記構造をなす連続鋳造用タンデイツシユヒー
ターは、受湯に先立つて第２図に示すようにプラ
グ１６をプラグ取付孔１５から取外して開口し、
ここにエジエクター１７を接続する。

このエジエクター１７の取付フランジ１８には
測温センサー１９が設けられている。

先ずエジエクター１７内にエアーを供給して溶
湯保持室３と発熱室８内の空気を吸引しながら、
溶湯保持室３の上部からバーナー１３を挿入して
燃焼させる。

燃焼ガスは溶湯保持室３から発熱室８を通つて
エジエクター１７で外部に排気され、耐火材２の
表面は急速に且つ均一に加熱され、直ちに受湯を
開始することができる。

また、取付フランジ１８に挿着した測温センサ
ー１９で燃焼ガスの温度を測定し、エジエクター
１７に供給するエアー量をバルブ２０で調整する
と共に、バーナー１３の燃料供給量を調整するこ
とにより、精度良く耐火材２の加熱温度を制御す
ることができる。

またこれとは逆に開口したプラグ取付孔１５か
らバーナー１３を挿入して発熱室８側から内部を
加熱する方法でも良い。

更に発熱室８を形成する耐火材の消耗状態を点
検する場合には、タンデイツシユヒーター６をタ
ンデイツシユ１から分離しなくても、プラグ１６
を取外すだけで、開口したプラグ取付孔１５から
内部を覗いて容易に点検することができる。

またタンデイツシユヒーター６の発熱室８を解
体するときは、開口部９を上にして耐火材２を解
体し、これをプラグ取付孔１５から排出できるの
で解体作業も容易である。

第３図は本考案の他の実施例を示すもので、プ
ラグ１６に測温センサー１９を水平に貫通して取
付けたものである。

上記構造は測温センサー１９が発熱室８内に設
けられているので、溶湯温度の管理や制御を行う
ことができる。また測温センサー１９はその寿命
が比較的短いので交換する必要があるが着脱自在
のプラグ１６に一体に取付けられているので、そ
の交換も容易に行うことができる。

なお本考案は、タンデイツシユヒーターに限ら
ず溶湯保持室と発熱室を設けたポツト（溝）型保
持炉の発熱室構造にも応用することができる。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案によれば、発熱室の閉
塞部側にプラグが着脱自在に取付けられているの
で、受湯前にこのプラグを取外して閉塞部側を開
口し、ここに排気装置を接続することにより、バ
ーナーの燃焼ガスは耐火材を効率良く短時間で均
一に加熱することができ、操業の立上りを速める
ことができる。

更にプラグ取付孔を開口すれば、発熱室内を形
成する耐火材の点検作業が容易で、しかも発熱室
の解体もここが排出孔となり解体作業も容易な連
続鋳造用タンデイツシユヒーターを得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による連続鋳造用タ
ンデイツシユヒーターを示す縦断正面図、第２図
は予熱している状態を示すタンデイツシユヒータ
ーの縦断正面図、第３図は他の実施例による連続
鋳造用タンデイツシユヒーターを示す縦断正面
図、第４図は従来の連続鋳造用タンデイツシユヒ
ーターを示す縦断正面図である。 １……タンデイツシユ、２……耐火材、３……
溶湯保持室、４，９……開口部、６……タンデイ
ツシユヒーター、７……加熱コイル、８……発熱
室、１０……接合部、１２……金属溶湯、１３…
…バーナー、１４……閉塞部、１５……取付孔、
１６……プラグ、１７……エジエクター、１９…
…測温センサー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横方向のるつぼ型に形成された耐火材の外周に
   加熱コイルを巻回して発熱室を形成し、この発熱
   室の横方向に沿つた一端を開口部とし他端を閉塞
   部として、前記開口部をタンデイツシユの溶湯保
   持室の側壁に設けた開口部に連通した連続鋳造用
   タンデイツシユヒーターにおいて、前記発熱室の
   閉塞部に発熱室と連通するプラグ取付孔を横方向
   に開口し、ここに耐火材で形成されたプラグを着
   脱自在に挿着したことを特徴とする連続鋳造用タ
   ンデイツシユヒーター。