JPH0437417B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は、感光フイルムや感光紙等の感光材
やシートペーパ等いわゆるシート材を吸着して保
持する例えば複写カメラや殖板機あるいは自動製
図機等に適用することができるシート材の吸着保
持装置に関する。

＜従来技術＞ シート材の吸着保持装置は、例えば第９図に示
すような立形複写カメラにおいては、当該保持装
置１の感材保持面１ａを上向けに横たえ、その保
持面１ａにシート材２１を吸着保持させた後、支
軸２２を中心にして、矢印Ａのように回動して当
該保持面１ａを伏せてシート材２１を結像面２３
に配置し、光学系２４を介して画像を露光するの
に用いられる。

そして、この種の吸着保持装置は、第７図乃至
第８図に示すように、同心矩形の複数の吸引溝６
を有するアルミ材等を鋳造して成型した機板１１
ａと、この基板１１ａの突条７ａ，７ａ間に多数
の吸着孔４を穿設した表板３を接着し、この基板
１１ａには複数の連通用排気口１２を各吸気溝６
に対向させて設け、これら複数の連通用排気口１
２を連通手段１３を介して連通し、この連通手段
１３の接続口１４ｂに強制排気手段Ｆを連通連結
し、必要に応じて連通手段１３を矢印Ｂ方向にス
ライドさせて連通用気口１２の連通範囲を選択す
ることによりシート材２１のサイズに合わせて吸
着ゾーンを切換え選択し、表板３上にシート材２
１を吸着保持するように構成されている（以下従
来例１という）。

なお、この種の他の装置としては、いずれも本
出願人の提案に係るもので、特開昭56−117228号
公報に開示されたもの（以下従来例２という）
や、実開昭51−65002号公報に開示されたもの
（以下従来例３という）がある。

従来例２は、四辺形の側枠と多数の吸着孔を穿
設した表板と基板とで薄い箱体を形成し、表板と
基板との間に吸気溝形成部材を固着し、吸気溝形
成部材が同心矩形の複数の吸気溝（吸気通路）を
備える凹突板（波板）から成り、この吸気溝を表
板の吸気孔と直通させ、基板の中央に強制排気手
段と連通する強制排気口を設け、この強制排気口
に向かつて次第に拡幅する主通気路が形成され、
吸気溝はこの主通気路を介して強制排気口に連通
するものが開示されている。なお、この吸気溝形
成部材の吸気溝に隣接する各突条内には弾性体が
充填されており、中空ではない。

また従来例３は、上記吸気溝形成部材をハニカ
ム構造体で構成し、ハニカム構造体の隔壁に連通
孔をあけ、基板にあけた通気孔（連通用排気口）
を吸着ゾーン切替バルブ装置３を介して強制排気
手段に連通するものである。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかるに、上記従来例１に係る吸着保持装置に
おいては、基板１１ａに開口された各連通用排気
口１２が吸気溝６に直接連通するものであるた
め、空気の流れに対する流路抵抗が小さく、この
ため表板３の吸着孔４がぎつしりと塞がれていな
い場合には、そこからの空気漏れによつて対応す
る吸気溝６内の負圧が極端に減少し、連通手段１
３の連通室１３ａ内の負圧を大きく減少し、この
連通手段１３で連通用排気口１２が連通されてい
る他の吸気溝６内の負圧も減少し、その結果当該
吸着ゾーン内の吸着保持力が低下する。

ちなみに、規格サイズのシート材に対して前記
吸着ゾーンが正しく選択され、シート材を正しく
セツトした場合には何ら支障はないが、当該吸着
ゾーンに対してシート材がずれた状態でセツトさ
れたり、規格外の寸法のシート材を使用する場合
には塞がれない吸着孔からの空気漏れはさけられ
ず、第９図の仮想像にて図示するようにシート材
保持面１ａが下向きになつた場合に感材２１が表
板３から離脱して落下することとなる。

このようなシート材の落下を防止するために、
従来はシート材で塞がれない吸着孔部分を別のマ
スクフイルム等で塞がなければならず不都合を生
じていた。

また、基板１１ａの突条７ａが中実であるた
め、作業者が開閉操作をする場合に重くて操作性
が悪く、不都合であつた。

上記従来例２の吸着保持装置では、前記主通気
路が空気の流れに対する流路抵抗として作用する
場合、実際にはその路幅の設定が困難である。つ
まり、流路抵抗が少なすぎる傾向があるため、小
サイズのフイルムではエアー漏れによりフイルム
の脱落のおそれがある。また、吸気溝形成部材の
吸気溝に隣接する各突条内には弾性体が充填され
ており中空ではないため、必ずしも十分軽量化す
るには至つていない。

一方従来例２は、空気溝形成部材がハニカム溝
成体であるから、ある程度軽量化には適するもの
の十分とは言えず、しかもハニカム構成体は多数
の小室に区画されているので、その隔壁にあけた
連通孔は空気の流れに対する流路抵抗として大き
すぎる傾向がある。このため、大サイズのフイル
ムに対しては周辺部の吸着力が不足し、吸着ゾー
ン切替手段３を用いてとしても、フイルムが脱落
するおそれがある。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもの
で、シート材の吸着保持力を十分に確保するとと
もに、軽量化に適したシート材の吸着保持装置を
提供することをその目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、上記目的を達成するために以下のよ
うに構成したものである。

すなわち、四辺形の側枠と多数の吸着孔を穿設
した表板と基板とで薄い箱体を形成し、表板と基
板との間に吸気溝形成部材を固着し、吸気溝形成
部材が同心矩形の複数の吸気溝を備える凹突板か
ら成り、この吸気溝を表板の吸着孔と直通させ、
基板には各吸気溝ごとにその吸気溝と連通する複
数の連通用排気口を設け、これらの連通用排気口
を連通手段を介して強制排気手段に連通し、シー
ト材を表板上に吸着保持するように構成したシー
ト材の吸着保持装置において、 上記基板の連通用排気口を吸気溝形成部材の吸
気溝に隣接する各突条内の中空溝に対向して開口
し、この連通用排気口から遠ざけて中空溝と吸気
溝との隔壁に連通口を設けたことを特徴とするも
のである。

＜作用＞ 基板に設けた各連通用排気口は吸気溝形成部材
の突条内の中空溝に対向して開設され、この連通
用排気口から遠ざけた位置であつて、中空溝と吸
気溝との隔壁に連通口を設けたから、連通用排気
口と吸引溝との間に介在する中空溝が流路を迂回
させ、空気の流れに対する流路抵抗として作用す
る。

このため表板の吸着孔が塞がれていない吸気溝
内の負圧は極端に減少しても、かかる流路抵抗の
作用により、連通手段内の負圧が大きく減少する
ことはさけられる。従つてこの連通手段で複数の
連通用排気口が連通されているが、吸着孔がシー
ト材で塞がれている他の空気溝の負圧はそれほど
減少せず、必ずしも吸着ゾーン切換手段を要しな
い。

なお、感材に塞がれている吸着孔から漏れ入る
空気の量はわずかであるから、このような、わず
かな量の空気の流れに対しては、かかる流路抵抗
はほとんど影響しないため、流路抵抗によつて感
材吸着保持に支障を生じることはない。

また、中空溝と吸気溝との隔壁に設ける連通口
を複数にでき、むらなく確実に吸着することが可
能である。

また突条を中空にしたことによつて、その分だ
け軽量化されたこととなる。

＜実施例＞ 以下本発明に係る実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図ないし第６図は本発明に係る吸着保持装
置の一例を示し、第１図はその平面図、第２図は
第１図の−矢視断面図、第３図は第１図の
−矢視断面図、第４図は第１図の要部斜視図、
第５図は裏面図、第６図は第５図の−矢視側
面図である。

これらの図において符号２は吸着保持装置１の
四辺に沿つて配設された側枠、３は後述する吸気
溝６に沿つて多数の吸着孔４を穿設し、その上に
シート材を吸着保持する表板、５は吸気溝形成部
材、１１は基板である。

上記側枠２と表板３と基板１１とで薄い箱体が
形成され、表板３と基板１１との間に吸気溝形成
部材５が挾持接着されている。この吸気溝形成部
材５は表板３の吸着孔４と直接連通する同心矩形
の複数の吸気溝６を区画形成するもので、表板３
に接着する中空の同心矩形の突条７と、基板１１
に接着し同心矩形の吸気溝６を形成する凹条８と
を有する凹突板で構成されている。

基板１１には上記吸気溝形成部材５の吸気溝６
に隣接する各突条７内の中空溝９に対向してそれ
ぞれ一つの連通用排気口１２が左側の一方向のみ
に整列して開口され、また各突条７と各吸気溝６
との隔壁６ａには連通用排気口１２から遠ざけて
矩形状のコーナ部分近辺に連通口１０が開口され
ている。

従つて、表板３の吸着孔４から流入した空気は
第１図の波線の矢印Ｃで示すように吸気溝６、連
通口１０、中空溝９、連通用排気口１２及び後述
する連通手段１３を経て強制排気手段Ｆへ排気さ
れるが、このとき、吸気溝６と連通用排気口１２
との間に介在する中空溝９が空気の流れに対する
流路抵抗として作用する。

それぞれの中空溝９を介して同心矩形の各吸気
溝６と連通する複数の連通用排気口１２は第２図
に示すように連通手段１３によつて相互に連通さ
れ、この連通手段１３には吸着ゾーン切換操作手
段１４が連結されている。

この吸着ゾーン切換操作手段１４は連通手段１
３を矢印Ｂ方向に摺動させてシート材の大きさに
合わせて当該吸着保持装置１の吸着ゾーンを切替
操作するためのもので、第５図及び第６図に示す
ように、連通手段１３に固設され、外端部に取手
１６を設けた移動板１５と、基板１１及び移動板
１５に設けられ、各吸着ゾーンの切換位置で移動
板１５の移動をクリツプストツプさせるクリツク
ストツパ１７と、切換位置を示す目盛板１８とで
構成されている。取手１６を持つてこの吸着ゾー
ン切換操作手段１４を切換えて連通手段１３の位
置を種々変化させることにより、基板１１の中央
部寄りの円形排気口１９からのみ排気させたり、
この円形排気口１９及び選択した連通用排気口１
２までを連通して排気させる場合、あるいは全て
の排気口１９，１２……１２を連通して排気させ
る場合等、必要に応じて吸着ゾーンを適宜選択す
ることができる。このとき、連通用排気口１２は
前記のように中空溝９を介して各吸気溝６と連通
し、所要の感材サイズに対応した吸着サイズが選
択されることとなる。

なお、第３図において、符号２０はカバー、１
４ｂは接続口、１４ｃは中間接続口である。

上記実施例では、連通手段１３を吸着ゾーン切
換操作手段１４に連結したものについて開示した
が、吸気溝６と連通用排気口１２との間に中空溝
９を介在させた本発明においては必ずしもこの吸
着ゾーン切換手段１４を必要としない。

なお、本発明に係るシート材の吸着保持装置を
複写カメラに適用した場合について説明したが、
本発明はこれに限定するものではなく、シート材
を平坦に吸着保持する装置に使用することがで
き、例えば、冒述の殖板機や自動製図機等におい
ても使用することができる。

＜発明の効果＞ 本発明によれば、前記のように構成され作用す
るから次のような秀れた効果を奏する。

イ シート材の吸着ゾーンに対して感材がずれた
状態でセツトされたり、規格外の寸法のシート
材を使用する場合等のように、塞がれない吸気
孔からの空気漏れがあつても、シート材の吸着
保持力を十分に確保することができる。

ロ 吸気溝形成部材の突条を中空にして軽量化す
ることができる。

ハ 特に本発明では、基板の連通用排気口を吸気
溝形成部材の吸気溝に隣接する各突条内の中空
溝に対向して開口し、吸気溝と中空溝との隔壁
の連通用排気口から遠ざけた位置に連通口をあ
けて、連通用排気口と吸気溝との間に中空溝を
介在させたので、この中空溝や連通口が適度の
流路抵抗として作用し、小サイズのフイルムで
もフイルムの脱落のおそれはなく、大サイズの
フイルムに対しても吸着力が不足するおそれは
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本発明に係るシート材吸
着保持装置の一例を示し、第１図はその平面図、
第２図は第１図の−矢視断面図、第３図は第
１図の−矢視断面図、第４図は第１図の要部
斜視図、第５図は本装置の裏面図、第６図は第５
図の−矢視側面図、第７図は従来技術に係る
感材保持装置の平面図、第８図は第７図の−
矢視断面図、第９図は感材吸着保持装置を装備し
た複写カメラの正面図である。 ２……側枠、３……表板、４……吸着孔、５…
…吸気溝形成部材、６……吸気溝、６ａ……隔
壁、７……突条、８……凹条、９……中空溝、１
０……連通口、１１……基板、１２……連通用排
気口、１３……連通手段、１４……吸着ゾーン切
換手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 四辺形の側枠と多数の吸着孔を穿設した表板
   と基板とで薄い箱体を形成し、表板と基板との間
   に吸気溝形成部材を固着し、吸気溝形成部材が同
   心矩形の複数の吸気溝を備える凹突板から成り、
   この吸気溝を表板の吸着孔と直通させ、基板には
   各吸気溝ごとにその吸気溝と連通する複数の連通
   用排気口を設け、これらの連通用排気口を連通手
   段を介して強制排気手段に連通し、シート材を表
   板上に吸着保持するように構成したシート材の吸
   着保持装置において、 上記基板の連通用排気口を吸気溝形成部材の吸
   気溝に隣接する各突条内の中空溝に対向して開口
   し、この連通用排気口から遠ざけて中空溝と吸気
   溝との隔壁に連通口を設けたことを特徴とするシ
   ート材の吸着保持装置。 ２ 連通口を同心矩形の各突条の外側又は内側の
   隔壁であつて、当該突条の各コーナ近傍に配設し
   た特許請求の範囲第１項に記載したシート材の吸
   着保持装置。