JPH04349400A - シンクロトロン放射光アブソーバー - Google Patents

シンクロトロン放射光アブソーバー

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JPH04349400A
JPH04349400A JP12089091A JP12089091A JPH04349400A JP H04349400 A JPH04349400 A JP H04349400A JP 12089091 A JP12089091 A JP 12089091A JP 12089091 A JP12089091 A JP 12089091A JP H04349400 A JPH04349400 A JP H04349400A
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Japan
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absorber
synchrotron radiation
duct
electrode
light
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JP12089091A
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English (en)
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Toshiaki Kobari
利明 小針
Manabu Matsumoto
学 松本
Shinjiro Ueda
上田 新次郎
Takashi Ikeguchi
隆 池口
Shunji Kakiuchi
垣内 俊二
Tadashi Sonobe
正 園部
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子や陽電子等の荷電
粒子を周回させて高エネルギーの光(シンクロトロン放
射光あるいは放射光と呼ばれる)を得るシンクロトロン
放射光発生装置や素粒子物理実験のための高エネルギー
粒子を得る荷電粒子加速器等に係り、特にこれらの装置
に必要となる超高真空を得るのに障害となる光脱離ガス
の低減に関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光発生装置などの荷
電粒子加速器は、図8に示すように、真空に排気して荷
電粒子の周回軌道を形成している中空リング状のビーム
ダクト1,荷電粒子をダクト中に入射するための入射器
2,周回運動を制御するための四極あるいは六極電磁石
4や偏向電磁石3,放射光として放出されたエネルギー
を荷電粒子に補給するための加速空胴5等によって構成
されている。放射光は荷電粒子が偏向したときに軌道1
1の接線方向に放射される。ひとつの偏向部では偏向角
θの範囲に放射され、装置全体としては360度全ての
方向に放射される。これらの放射光のうち、シンクロト
ロン放射光発生装置の場合はその一部がビームライン6
を経てビームダクトの外部に取り出されユーザーに提供
されるが、残りの放射光(以下、残光と定義する)はダ
クト内で吸収される。放射光の利用を目的としない素粒
子物理実験用の加速器の場合は、発生した全ての放射光
はダクト内部で吸収される。
【0003】放射光のエネルギーや強度を高めるため、
あるいは高エネルギー素粒子実験の効率を上げるために
は、周回する荷電粒子のエネルギーやビーム電流を大き
くする必要がある。そのためには、ビームダクト内をよ
り超高真空(装置の規模や要求する光の質や荷電粒子を
安定して加速器内部に保持する時間等によって異なるが
、概ね10−9Torr以下)に排気して、荷電粒子が
ガス分子との相互作用によって減衰するのを極力少なく
する必要がある。ところが、ダクトの内壁に高エネルギ
ーの放射光が照射されることによって、光脱離現象によ
り多量のガスが放出され、荷電粒子の軌道となるダクト
内の真空度が著しく悪化する問題がある。このためシン
クロトロン放射光発生装置や荷電粒子加速器では、光脱
離による放出ガスを極力低減するよう、装置の規模に応
じてダクトの材質や内部構造及び真空排気システムに着
目した種々の対策が施されている。
【0004】図6は、一つの偏向部と直線部の荷電粒子
軌道面上における断面で、従来から利用されている低光
脱離材のビームアブソーバーを用いた放出ガス低減策の
一例を示している。偏向ビームダクト7及び直線ビーム
ダクト8内には、軌道11を周回する荷電粒子から該偏
向部の偏向角θb のうちθの範囲に放射される光や、
前段偏向部からの残光等も照射されいる。このうち、ビ
ームライン6を経て光ユーザに提供されるθc 内の光
以外は、本来ならば偏向ビームダクトや直線ビームダク
トの内壁に照射されるが、この例では、偏向電磁石3の
後部、ビームライン6の前部にビームアブソーバー10
が装着されているために、不必要な放射光がこのビーム
アブソーバーに遮蔽・吸収される。さらに、偏向角θb
 のうちのアブソーバーを照射しない角度、θb −θ
ぶんの放射光は、例えば下流の直線部ビームダクトを末
広がりにするなどして、下流に設置した別のビームアブ
ソーバーで吸収すれば、不必要な放射光がビームダクト
内壁を直接照射することは無い。ビームアブソーバーは
光脱離の少ない材料で製作されているため放出ガスが低
減するほか、放出ガス源が集約されるために排気効率が
向上する。また照射面は、放射光が熱源となって熱流束
により加熱されるため冷却する必要があるが、ビームア
ブソーバーはダクトに比べて冷却システムが構成し易い
利点がある。例えば文献“アメリカン  インスティチ
ュート  オブ  フィジックス  コンファレンスプ
ロシーディングス  ナンバー171(1988)第1
30頁から第134頁AMERICAN INSTIT
UTE OF PHYSICS CONFERENCE
 PROCEEDINGS NO.171(1988)
 P130〜P134 ”、或いは“文献”真空  第
33巻  第3号(1990)第262頁から第265
頁(真空,Vol33,No.3(1990) P26
2〜265)等も、基本的にはアブソーバーを用いた光
脱離低減思想が導入されており、その上で装置独自に工
夫をこらした低減法が施策されている。しかし、図6の
ようなアブソーバー構成では、放射光によってアブソー
バー10で発生したガスは容易にビームダクトの荷電粒
子軌道11上へ流入し、荷電粒子に対してビームの散乱
等の悪影響を及ぼすなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光脱離は、高エネルギ
ーの光がダクト内壁に吸着されているガス分子や材料中
に混入しているガス分子を刺激して脱離させる光刺激脱
離と、光照射によって放出された光電子が周囲のダクト
表面に吸着されているガス分子を叩き出す電子衝撃脱離
の相乗作用により、放出ガス量は光の強度以外に、照射
角度や被照射体の材質及び材料表面処理等によって変わ
る。従って光脱離を低減する手段には、脱離を引き起こ
している光や光電子等の脱離因子を操作する方法と、被
照射体側に低減のための施策を講ずる2通りの方法があ
る。
【0006】前述したビームアブソーバー方式は、被照
射体側の施策による脱離低減を主としている。低光脱離
材としては、熱伝導性が良いこともあって高純度無酸素
銅等が有効であるが、所望の低減効果を得るためには単
に材質だけを選択すれば良いのではなく、表面化学洗浄
,高温予備ベーキング等の複雑な真空処理を併用する必
要がある。また真空処理後は窒素ガス環境に保存するな
どの清浄維持に対する管理を徹底する必要があり、管理
が不十分な場合は、不純物付着や表面変質等の影響で低
減効果が失われる欠点がある。
【0007】なおビームアブソーバー方式には、間接的
には脱離因子の操作による脱離低減の効果も複合されて
いる。すなわちビームアブソーバーで光を遮蔽すること
により、構造を工夫すれば光を面に対して垂直に照射す
ることが可能となる。これによって脱離領域が縮小する
ために、光刺激脱離が低減する。また、垂直照射では光
が材料中の深い領域へ侵入し吸収されるため光電子発生
量が少なく、電子衝撃脱離も低減する。しかし、特に最
近は高輝度光に対する要求が強く、これに伴って照射面
の単位面積当たりに負荷される熱量も急増しており、光
を斜めに照射して熱を分散させない限り発熱を防止でき
ない。従って、上述した垂直照射による電子衝撃脱離の
低減効果は期待できなくなっている。
【0008】本発明は、シンクロトロン放射光発生装置
や荷電粒子加速器における上述した光脱離に対する課題
に対し、光照射によって放出される光電子をより積極的
に操作することによって電子衝撃脱離を有効に活用して
光脱離を低減したり、アブソーバーで発生したガスのビ
ームダクトへの流出を減少させて、ビームダクト内の真
空度を高め且つ荷電粒子ビームの寿命を長く維持して、
安定した高強度,高エネルギー荷電粒子や安定性に優れ
た高強度の光を発生し得るシンクロトロン放射光アブソ
ーバーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明では、放
射光を照射したときに放出される光電子を電界によって
操作すれば放出ガス量が変わるとの実験結果をもとに、
荷電粒子を高速で周回させるシンクロトロン放射光発生
装置や荷電粒子加速器において、周回軌道を形成してい
る荷電粒子ビームダクト内の放射光が直接照射される壁
面前部に、内部に電極,非蒸発ゲッターを有し、放射光
を内部のアブソーバーへ照射させるアブソーバー室を設
ける。該アブソーバー室は真空フランジを介してビーム
ダクトに設置されており、真空フランジにはアブソーバ
ー室の真空排気を可能とする排気ポートが取り付けられ
ている。ダクト壁面もしくはビームアブソーバーを基準
電位として、該電極に負または正の電圧が印加できる。 さらに非蒸発ゲッターも電流を流すことが可能であるば
かりでなく、ダクト壁面もしくはビームアブソーバーを
基準電位として、負の電圧を印加するようにする。
【0010】
【作用】上記した構成で電極に負の電圧を印加すること
により、電極と被照射体間には、被照射体から放出され
た光電子を阻止する電界が形成される。このため従来ダ
クトの内壁を衝撃していた光電子は、電界によって阻止
されることにより電極の内側のごく限られた壁面を衝撃
するようになる。特に照射面は強力な光に刺激されて表
面が良く洗浄されているため、電界を強めて光電子が衝
撃する範囲を照射面付近に集中させることにより、電子
衝撃脱離ガスは大幅に減少する。但し、光電子は反射光
によっても放出され、この光電子の大部分は直射面から
放出された光電子とは逆に電界により電極の外側の壁面
を衝撃するようになるが、反射光による光電子はエネル
ギが小さいため、電子衝撃脱離ガスは少ない。さらに、
アブソーバーから脱離したガスはアブソーバー室に閉じ
込められ、非蒸発ゲッターによって排気されると共に、
排気ポートを介してビームダクトの外に排気される。
【0011】さらに、粒子加速器を大気に開放した後な
どは、内壁へ吸着したガスの脱離によって荷電粒子の蓄
積が困難になる等の問題が発生し、蓄積電流を徐々に上
げていく運転が要求される。アブソーバーやその周囲に
もガスの吸着が起きるが、上記の構成で電極に正の電圧
を印加すると、放射光照射面で発生した光電子は加速さ
れて、アブソーバー内部の種々の面を衝撃し脱ガスを行
ない、アブソーバーのクリーニング作用を持つことにな
る。この結果、大気開放後の真空立ち上げを短縮化でき
ると共に、加速器が正常運転に入った後も、反射光やこ
の反射光による光電子に起因する放射光直射面以外から
のガス放出が一層少なくなる。
【0012】一方、電極と非蒸発ゲッターを内部に有す
るアブソーバー室及び排気ポートは一体となってフラン
ジに取り付けられているので、コンパクト化がはかれ、
ビームダクトの任意の場所に容易に設置が可能となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図を用いて詳しく
説明する。
【0014】図1は本発明によるアブソーバーの一実施
例の断面図を示している。偏向ビームダクト7には、軌
道11を荷電粒子が周回するための空間がある。図1で
は荷電粒子は紙面表側から裏側へ運動しているものとす
る。ビームダクト7の上流側、すなわち紙面表側には偏
向電磁石等の放射光発生源があり、偏向軌道の接線方向
に発生した放射光14も、紙面表側から裏側へ向かって
照射されている。ビームダクト7にはフランジ21が備
えてあり、該フランジ21には本発明による一体型のシ
ンクロトロン放射光アブソーバーがフランジ20を介し
て取り付けられている。フランジ20には排気ポート1
9を有し、アブソーバー13を支持するポート22や電
極16に電源V1 から電圧を印加するための電流導入
端子23やアブソーバー室12に絶縁材を介して支持さ
れている非蒸発ゲッター17に電源V2 を用いて通電
加熱を行って活性化するための電流導入端子24が取り
付けられている。活性化された非蒸発ゲッター17は真
空ポンプとして作用し、真空排気を行う。本実施例では
アブソーバー13には放射光14をビームダクト7から
外部へ取り出して利用するための必要開口面積を持った
開口15が開いている。開口15を通過した放射光はア
ブソーバー室12を出て光を利用するステーションまで
導かれる。このためにアブソーバー室12には開口15
で大きさを制限された光のサイズより開口面積の大きな
出口が設けられている。さらにアブソーバー13の内部
には、大気側に設置された給・排水口18を通して冷却
水が流されており、アブソーバー13を照射する放射光
による熱入力を外部へ取り出している。アブソーバー1
3に放射光が照射すると光刺激脱離によってガスの脱離
が発生するのでアブソーバー13には光刺激脱離の少な
い無酸素銅などの材料を用いる。ポート22には、非蒸
発ゲッターの活性化時や、アブソーバー室の排気能力の
向上に用いられる真空ポンプ(図示せず)取り付け用の
排気ポート19が設置されている。図2はビームダクト
7の上流からアブソーバー室12をみた図で、アブソー
バー室12前及び後部には開口25があり、その開口面
積は上流で発生した放射光14がアブソーバー室12の
外側及び内側を照射することなくアブソーバー室12の
内部へ入射、あるいは内部から出射するのに必要な大き
さを有している。以上の構成により、偏向電磁石等で発
生した放射光はアブソーバー以外を照射することなく光
のユーザーのステーションまで導かれる。放射光の利用
を行わないビームダクトの地点に設置される本発明のア
ブソーバー、あるいは元来放射光の利用を目的としない
粒子加速器に設置される本発明のアブソーバーでは、ビ
ームアブソーバー13での開口15やアブソーバー室1
2での放射光の出口は不要となる。
【0015】図5は本発明のアブソーバーをビームダク
トに設置した状況を示す一実施例で、ビームダクト上部
から見た断面図である。アブソーバー室12がフランジ
を介して偏向ビームダクト7の下流側に設置してある。 図6に示す広がり角θを有する放射光は、アブソーバー
室12内でアブソーバーに照射し、広がり角θcに狭め
られてビームライン6に導かれる。θ−θcの角度ぶん
の放射光は図2に示した開口25を通過し、アブソーバ
ー室12を直接照射することはない。偏向ビームダクト
7内のガイド板9は偏向ビームダクト7上下壁から対向
して設置してあり、それらの間は放射光取り出しのため
にスリットが開いている。このガイド板は荷電粒子の周
回に伴ってビームダクト壁を流れるイメージ電流をスム
ーズに流すことが目的である。
【0016】次に、本実施例による光脱離低減機能につ
いて説明する。
【0017】図3は、本発明の一実施例である図2のア
ブソーバーにおけるI−I断面図である。アブソーバー
室12には放射光が入射する入り口と、アブソーバー1
3に開けられた開口15によって狭められ、ビームライ
ンに導かれるための出口となるスリット状開口25が設
けられている。ダクト7及びダクト7と同電位となって
いるアブソーバー13と電極16との間に電圧が印加さ
れている。ダクト7及びアブソーバー13は接地されて
アース電位となっている。アブソーバー13に対向して
設置された電極16にはアース電位に対して負の電圧が
印加され、両者の間の空間には、アース電位に比べ負の
電場が形成される。アース電位のアブソーバー13の開
口15付近には、図3の下側から開口25を通過してき
た放射光が照射することになる。放射光の照射を受けた
アブソーバー13の表面からは光電子(二次電子)が放
出される。電極16に印加する電圧によって電場の強さ
は変わるが、例えば、光電子の放出方向に最大|Vma
x|(V)の負の電位を有する電場では、放射光によっ
て放出された光電子は、本来ならば周囲のアブソーバー
室内壁を叩いて電子衝撃脱離により多量のガスを放出さ
せるが、電場によって阻止されるためにエネルギーがe
|Vmax|以下の光電子はアブソーバー13の照射面
へ押し戻され、放出時と同じエネルギーレベルで同照射
面を叩くようになる。これにより、電子衝撃脱離の領域
がアブソーバー内壁から電極の外枠で規定された狭い範
囲のアブソーバー照射面へ移行し、脱離領域の縮小化と
低光脱離材の脱離低減効果によって放出ガスが大幅に減
少するようになる。
【0018】また、アブソーバー13の直射面は、高エ
ネルギ−の光に刺激されて表面のみならず内部まで良く
ガス出しが行われておりされており、この部分を光電子
が叩いても電子衝撃脱離はほとんど起こらない。従って
、放出ガスは益々減少する方向へ作用する。
【0019】本発明によるアブソーバーは上述した電場
による脱離ガス減少の効果の他にも、脱離を起こす主部
材のアブソーバー13が排気能力を有するアブソーバー
室12の内部にあるために、ビーム軌道へのガス流出抑
制効果が大きく、安定した大電流の粒子加速が可能とな
る。
【0020】上述した性能を有する本発明のシンクロト
ロン放射光アブソーバーはアブソーバー,アブソーバー
室,非蒸発ゲッターの固定支持及び水冷配管や排気ポー
トの設置を一つのフランジを用いて行えるので、装置の
コンパクト化がはかれるとともに、ビームダクト上の様
々な場所に設置することが可能となる。
【0021】図4は、本発明の効果を間接的に表す実験
結果を示している。この実験では、無酸素銅でできた接
地された被照射材に臨界光子エネルギーが4000電子
ボルトの放射光を照射し、照射面の前部に設けた電極に
負の電圧を印加した。図の横軸は印加電圧、縦軸は電圧
を印加しないときを基準とする放出ガス量の低減率を示
しているが、放出ガス量は電圧が低下するに従って減少
し、上式に示した臨界光子エネルギーから推定される電
圧(ー4000V)の約3分の1の電圧で放出ガス量も
1/3程度に減少していることが分かる。
【0022】上述した実験での放出ガス低減に対する機
能は、本発明による電極付きのアブソーバーの場合と類
似している。すなわち本発明によれば、アブソーバー室
内に設けた電極に電圧を印加して光電子を阻止すること
により、光脱離による放出ガスが大幅に低減できる。
【0023】なお、アブソーバーに入射した放射光の一
部(比較的波長が長くてエネルギーの小さな光)は反射
されてダクトの内壁に照射され、該反射光によってもダ
クト内壁から光電子が放出される。この光電子は、ダク
トと電極間によって形成された電界によって阻止され、
直射光によって放出された光電子とは逆にダクト側に押
し戻されるが、光電子のエネルギーが小さいために電子
衝撃による脱離作用は少ない。
【0024】そこで、光電子を阻止するための印加電圧
設定値が問題となる。放射光発生装置から放射される光
の最大エネルギーは、荷電粒子のエネルギーと偏向部の
曲率半径で決まる臨界光子エネルギーεc が目安とな
る。放出される光電子の最大エネルギーは、被照射体側
の材質や表面状態等によって変わるが、被照射体から放
出するため等にエネルギーは消費され、光の最大エネル
ギーより低い値である。従ってεc ボルトに近い負の
電圧を印加すれば大部分の光電子は阻止され、放射光発
生装置にはよらず、ほぼ同等の光脱離低減効果が得られ
る。
【0025】以上説明した実施例は、偏向電磁石の後部
に設けた横型のアブソーバー室にムアブソーバーと電極
を併設した場合を示したが、光の拡がり角度が比較的小
さい場合やレイアウトに制約があるときには、アブソー
バーを縦型にした方が良い場合がある。
【0026】図7は縦型アブソーバーの実施例を示して
いる。この場合では、アブソーバー形状に若干の変化は
あるが、アブソーバー13,電極16及び電圧印加電源
V1等からなる基本的な構成は同じであり、放射光の照
射によってアブソーバー照射面から放出される光電子を
、電極16によって形成される電場によって操作して放
出ガスを低減する機能も同じであり、全く同様の効果が
得られる。
【0027】一方、図7には非蒸発ゲッターに対しても
負の電圧印加を同時に行う実施例も記してある。非蒸発
ゲッター17を電源V2で通電加熱して活性化を行った
後に、V2回路を切り放し光電子存在下、電源V3によ
って設置されたアブソーバー13やビームダクト7のア
ース電位に対して負の電圧を非蒸発ゲッターへ印加する
。このバイアス電圧印加により、表面でガスを吸着排気
している非蒸発ゲッター17への光電子の入射を防ぎ、
非蒸発ゲッター17からの電子衝撃脱離を防止すること
ができる。これは、脱離ガスの減少ばかりでなく、非蒸
発ゲッターの排気効率向上という効果を得ることを可能
とする。非蒸発ゲッターへのバイアス電圧を印加する構
成は、図1の実施例でも同様に実現できる。
【0028】図1や図7の実施例では、電極16へは負
の電圧を印加して光脱離の低減をはかっているが、同じ
機器構成で電極16に正の電圧を印加すると、放射光照
射面で発生した光電子は加速されて、アブソーバー内部
の種々の面を衝撃し脱ガスを行ない、アブソーバーのク
リーニング作用を持つことになる。粒子加速器を大気に
開放した後などは、内壁へ吸着したガスの脱離によって
荷電粒子の蓄積が困難になる等の問題が発生し、蓄積電
流を徐々に上げていく運転が要求される。アブソーバー
やその周囲にもガスの吸着が起きるが、上述したとおり
電極16に正の電圧を印加すると、放射光照射面で発生
した光電子は加速されて、アブソーバー内部の種々の面
を衝撃し脱ガスを行ない、アブソーバー室12のクリー
ニングを行なうことができる。この結果、大気開放後の
粒子加速器の立ち上げ時間を短縮化できると共に、加速
器が正常運転に入った後も、反射光やこの反射光による
光電子による放射光直射面以外からのガス放出が一層少
なくなる。そこで、加速器の立ち上げ期間においては、
アブソーバー室12のクリーニングのために電極16に
正の電圧を印加し、放射光の発生を目的とする通常運転
に入ったら光脱離低減を目的として電極16に負の電圧
を印加する方法を取ればよい。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって周
回軌道を形成している荷電粒子ビームダクト内の放射光
が直接照射される壁面前部に、内部に電極,非蒸発ゲッ
ターを有し、放射光を内部のアブソーバーへ照射させる
アブソーバー室を設け、該電極に負の電圧をすれば、高
電子に基づく電子衝撃脱離が低減するために、ビームダ
クトの真空度が向上する。  さらに、シンクロトロン
放射光が照射するアブソーバー,真空排気を行う非蒸発
ゲッター、及び電極を有するアブソーバー室、並びに該
アブソーバー室を排気するための排気ポートが一体とな
って一つのフランジ上に取り付けられているので、アブ
ソーバー構成を小型化でき、ビームダクトへの設置が用
意となる光脱離低減法が実現できる。
【0030】電極に対して正の電圧を印加すれば、加速
器立ち上げ時などにアブソーバーのクリーニングを行な
えるので、加速器の通常運転時での一層の光脱離低減法
が実現できる。
【0031】また、非蒸発ゲッターも電流を流すことが
可能であるばかりでなく、ダクト壁面もしくはビームア
ブソーバーを基準電位として、負の電圧を印加すれば、
光電子の非蒸発ゲッターへの入射を防止でき、非蒸発ゲ
ッターからのガス放出が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放射光アブソーバーの構成図であ
る。
【図2】アブソーバー室の外観図である。
【図3】図2のI−I断面図である。
【図4】光脱離低減効果の説明図である。
【図5】本発明による放射光アブソーバーをビームダク
トに設置した例を示す図である。
【図6】従来のアブソーバーの設置例を示す図である。
【図7】構造を変えた本発明の他の実施例を示す図であ
る。
【図8】荷電粒子加速器の基本構成図である。
【符号の説明】
1…ビームダクト、3…偏向電磁石、6…ビームライン
、7…偏向部ビームダクト、10…ビームアブソーバー
、11…軌道、12…アブソ−バー室、13…アブソー
バー、14…放射光、15…開口、16…電極、17…
非蒸発ゲッター、18…給・排水口、23…電流導入端
子、24…電流導入端子、25…開口。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子を加速する粒子加速器において、
    内部に、シンクロトロン放射光が照射するアブソーバー
    、真空排気を行う真空ポンプ、及び電極を有するアブソ
    ーバー室を、荷電粒子の周回軌道を形成しているビーム
    ダクト内部に、大気側から設置されることを特徴とする
    シンクロトロン放射光アブソーバー。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した電極を、シンクロトロ
    ン放射光が照射するアブソーバーに対向するように設置
    し、該電極にビームダクト及びアブソーバーを基準電位
    として、負又は、正の電圧を印加するようにしたことを
    特徴とするシンクロトロン放射光アブソーバー。
  3. 【請求項3】真空ポンプとして、非蒸発ゲッターをアブ
    ソーバー室内部に設け、さらに該アブソーバー室を真空
    排気するための排気ポートを有することを特徴とする請
    求項3又は2記載のシンクロトロン放射光アブソーバー
  4. 【請求項4】請求項3に記載した非蒸発ゲッターにおい
    て、ビームダクト及びアブソーバーを基準電位として、
    負の電圧を印加できるようにしたことを特徴とするシン
    クロトロン放射光アブソーバー。
  5. 【請求項5】内部に、シンクロトロン放射光が照射する
    アブソーバー、真空排気を行う非蒸発ゲッター、及び電
    極を有するアブソーバー室、並びに該アブソーバー室を
    排気するための排気ポートが一体となって一つのフラン
    ジ上に取り付けられ、荷電粒子の周回軌道を形成してい
    るビームダクト内部に、大気側から設置されることを特
    徴とするシンクロトロン放射光アブソーバー。
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