JPH0432280Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ブランケツト胴と圧胴との間に料紙
を通して印刷する輪転機における胴洗浄装置に係
り、特に印刷後の料紙をブランケツト胴と圧胴と
の間を通して追加印刷する際に、印刷画線が圧胴
側に転写し、さらに後続料紙に再転写する、所謂
セツトオフを防止するための胴洗浄装置に関する
ものである。

従来の技術 輪転機による印刷、ことに新聞印刷において
は、墨インキによる画線を印刷した後で色刷印刷
をする際、色刷印刷部に料紙を導いて行うのが通
常であり、昨今では、単色色刷印刷以上に多色色
刷印刷（以後多色刷りと記す）による商品価値の
向上が盛んで、輪転機に所謂サテライトユニツト
といわれる多色刷りユニツトを設け、墨刷りユニ
ツトにより印刷を施した料紙を多色刷りユニツト
に導いて多色刷りすることが多く、また多色刷り
品質を良くしてより大きな効果を得るため、オフ
セツト印刷による多色刷りをしている例が多い。

オフセツト印刷用のサテライトユニツトは、通
常、中央に圧胴を設け、その四方に圧胴に圧接し
得るブランケツト胴並びにこれら各ブランケツト
胴と対をなし且つ対をなすブランケツト胴に圧接
し得る版胴を並設して成り、料紙は圧胴の周面の
回転に従つて四方のブランケツト胴に順次圧接し
多色刷りを施される。

上記のサテライトユニツトによる多色刷りで
は、多色刷りされる料紙面の裏面に既に墨刷りが
施されており、これが圧胴とブランケツト胴に挟
まれて印圧を受ける為、圧胴に墨刷り画線が転写
され、それが後続料紙に再転写される所謂セツト
オフが繰り返され後続料紙面が汚れる為、この防
止手段として、例えば実公昭56−7480号公報、実
公昭56−7481号公報及び実公昭56−9547号公報に
示されるようなブランケツト胴洗浄用の装置や、
実公昭57−30120号公報に示されるような圧胴洗
浄装置を設けたり、あるいは圧胴に圧接して連れ
回りし、または、連れ回りすると共に軸と平行方
向に振れ動き可能なゴムローラーを設け、かつ、
このゴムローラーに適宜な手段で洗浄液を供給す
る装置を設け、圧胴の１回転毎に、この圧胴周面
を洗浄することが行われている（例えば、日本新
聞協会・工務委員会編「新聞印刷 印刷編改訂
版」（昭和55.10.31）日本新聞協会p220及び
p285）。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記した実用新案公報に開示さ
れた洗浄装置は、本来印刷作業終了後に行う洗浄
を目的としている為、被洗浄胴を回転しながら洗
浄するといつても、その回転速度は寸動程度を想
定しているので高速である通常印刷回転中の圧胴
周面の洗浄には適さず、かつ、設置位置の限定も
ある為、上記したセツトオフ防止用の圧胴洗浄装
置とは事実上なり得ず、他方、圧胴に圧接するゴ
ムローラーによる洗浄では、被洗浄面とのニツプ
部でのすべりによる洗浄及び／あるいは洗浄液に
よる浸漬洗浄である為、目的とする、前記オフセ
ツトによる料紙面の汚れ防止効果を十分満足し得
る程度に得るまでは至らなかつた。

本考案は上記の事情に鑑みなされたものであつ
て、その目的とするところは、圧胴からの所謂セ
ツトオフによる印刷画線のだぶりを一掃してこれ
による損紙を無くすと共に鮮明な価値の高い印刷
面を得ることを可能にしまた履歴洗浄液の回収を
可能にして紙面及び機械周辺部の汚れを防止し、
しかも履歴洗浄液を繰り返し使用することを可能
にする胴洗浄装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段及び作用 本考案は、圧胴１の周面に圧接し、且つ任意適
宜に設定する周面速度で回転する少なくとも１個
のブラシローラー２と、圧胴１の回転におけるブ
ラシローラー２との接触位置を最下流とする適宜
の周面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、ブ
ラシローラー２と圧胴１との接触部におけるブラ
シローラー２の回転する向きの接線に対向させか
つ圧胴１及びブラシローラー２の周面に接近させ
て受領面を設けると共に、この受領面に受領され
た履歴洗浄液を集合し回収する諸部材を有する履
歴洗浄液回収手段とからなり、かつ圧胴１の周面
の印刷時に料紙が接触しない領域に相対させて配
設した構成となつており、洗浄液供給手段により
圧胴１の周面に洗浄液を供給しながら、圧胴１の
周面に圧接したブラシローラー２を回転して圧胴
１の周面をブラシ洗浄すると共に、このときブラ
シローラー２から飛散する履歴洗浄液を受領面で
直ちに受領させることによつて履歴洗浄液回収手
段にて回収するようにしたものである。

実施例 以下、本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。図面中１は圧胴であり、２は圧胴１の周面に
おける料紙Ａの巻いていない部位近傍に設けられ
たブラシローラーである。このブラシローラー２
は圧胴１の周面と圧接、離隔し得て圧胴１の面長
と略同一面長をなすものであり、またブラシロー
ラー２は、圧胴１の回転方向と逆方向でしかも圧
胴１の周面速度よりも速い周面速度となるように
回転駆動可能になされている。

ブラシローラー２の近傍には、例えば上方に、
このブラシローラー２を介して圧胴１の周面に洗
浄液を供給する洗浄液供給手段３が設けてある。

４は履歴洗浄液飛散防止ローラーである。この
履歴洗浄液飛散防止ローラー４はブラシローラー
２と略同一面長であり、ブラシローラー２の圧胴
１との圧接位置よりブラシローラー２が圧胴１の
周面をブラシ洗浄する方向下流側の圧胴１の周面
に近接させてあり、適宜な周面速度で圧胴１と同
一方向に回転駆動されるものである。

５は、履歴洗浄液飛散防止ローラー４の履歴洗
浄液受領面より下流側周面に圧接したブレードで
あり、６はブレード５により履歴洗浄液飛散防止
ローラー４から掻取つた履歴洗浄液を受集する受
皿であり、７は排出用配管である。

本考案に係る胴洗浄装置を設置し得るサテライ
トユニツトの胴配列の一例を第４図に示す。第４
図中Ｂはブランケツト胴である。

次に本考案に係る胴洗浄装置の作用を説明す
る。

ブラシローラー２は回転により、洗浄液供給手
段３より供給された洗浄液を圧胴１の周面に供給
すると共に圧胴１の表面を清掃（ブラツシング）
して洗浄する。

ブラシ洗浄により周面洗浄した履歴洗浄液は、
ブラシローラー２のブラシ毛の弾性反撥によりブ
ラシローラー２の回転方向に飛散するが、この飛
散方向に設けられた飛散防止ローラー４により受
領される。

飛散防止ローラー４は回転しており、受領され
た履歴洗浄液は、飛散防止ローラー４の履歴洗浄
液受領面より回転方向下流側に圧接したブレード
５により掻取られ受皿６に受集される。受皿６に
は必要に応じて排出用配管７を施しても良い。ま
た排出した履歴洗浄液を清浄して再使用すること
も可能である。

なお、ブラシローラー２及び／または飛散防止
ローラー４の駆動は圧胴１から受けても良く、他
の駆動源に依つても良い。

また上記した実施例ではブラシローラー２を圧
胴１と逆方向に回転させたが、第２図に示すよう
にブラシローラー２を圧胴１と同一方向に回転さ
せてもよく、当該回転では、ブラシローラー２の
回転周面速度は必ずしも圧胴１の回転周面速度よ
り速くする必要はなく、飛散防止ローラー４は圧
胴１に接触させ連れ回りさせても良い。

なお、履歴洗浄液の圧胴１への周面への供給
は、第１図二点鎖線で示す洗浄液供給手段３′の
ように圧胴１の周面へ直接供給してもよい。

また、飛散防止ローラー４に換えて複数軸間に
渡したエンドレスベルト４′（第３図参照）とし
ても良く、また履歴洗浄液を回収する手段は、図
示の如き飛散防止ローラー４、ブレード５、受皿
６に限られず例えば樋付カバー（図示省略）のよ
うな適宜な回収手段を採用しても良い。

なお、本実施例はサテライトユニツトにおける
実施例であるが、他のタイプのユニツトにおいて
も実施し得るものである。

考案の効果 以上のように本考案によれば、印刷開始から印
刷終了までの間にわたつて印刷と平行して圧胴周
面の洗浄を連続して行なうことができると共に、
ブラシローラー２のブラシ毛の弾性を利用して洗
浄が行なわれ、かつこのブラシ毛の弾性を利用し
て洗浄に使用した洗浄液が圧胴周面からはじき飛
ばし除去され、さらにこのはじき飛ばされた履歴
洗浄液が受領面で直ちに受領されて履歴洗浄液回
収手段に回収されることにより、全印刷作業中に
わたつて良好な洗浄効果が得られて、印刷画線の
ダブリによる印刷品質の低下を防止できると共
に、洗浄に使用した洗浄液による印刷面や圧胴周
辺の諸装置、諸部材の汚れを防止でき、その上使
用された洗浄液は履歴洗浄液として回収され、こ
れを浄化することにより再使用することができ、
ランニングコストを低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の構成説明図、第２
図、第３図は本考案の他の実施例の構成説明図、
第４図はサテライトユニツトの胴配列を示す正面
図である。 １は圧胴、２はブラシローラー、３，３′は洗
浄液供給手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧胴１の周面に圧接し、且つ任意適宜に設定す
   る周面速度で回転する少なくとも１個のブラシロ
   ーラー２と、圧胴１の回転におけるブラシローラ
   ー２との接触位置を最下流とする適宜の周面に洗
   浄液を供給する洗浄液供給手段と、ブラシローラ
   ー２と圧胴１との接触部におけるブラシローラー
   ２の回転する向きの接線に対向させかつ圧胴１及
   びブラシローラー２の周面に接近させて受領面を
   設けると共に、この受領面に受領された履歴洗浄
   液を集合し回収する諸部材を有する履歴洗浄液回
   収手段とからなり、かつ圧胴１の周面の印刷時に
   料紙が接触しない領域に相対させて配設したこと
   を特徴とする胴洗浄装置。