JPH0430409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ブレーキを利用してクツシヨン機能
をもたせるようにした流体圧シリンダに関するも
のであり、さらに詳しくは、クツシヨン機構によ
るクツシヨン圧力で作動するブレーキを備えた流
体圧シリンダに関するものである。

［従来の技術］ シリンダにおけるストローク端において、ピス
トンロツドに設けたクツシヨンリングをシリンダ
側に設けたクツシヨンパツキングに嵌入させ、そ
れによりシリンダの圧力室に排出流体を一時的に
封じ込めて、クツシヨン作用を発揮させるように
した流体圧シリンダは、例えば実開昭58−101006
号公報に示されているように、既に知られてい
る。

しかしながら、このようなクツシヨン機構を有
する上記公知の流体圧シリンダは、ピストンのス
トローク終端近傍においてクツシヨン機構で圧力
室に封じ込めたクツシヨン圧力が、ピストンに緩
衝力を与えるものであるため、負荷が大きくなる
等でピストンの慣性力がクツシヨン圧力による緩
衝力よりも大きくなると、ピストンを停止させる
緩衝力が不足して、ピストンがストローク終端に
おいて衝突するおそれがあつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は、クツシヨン機構で生ずるクツシヨン
圧力をピストン停止の緩衝力にすると共に、該ク
ツシヨン圧力によつてピストンロツドに制動力を
与え、それによつてピストンをストローク端で確
実に停止させて、ピストンがストローク端に衝突
するのを防止し、しかもこのような制動機構にお
けるブレーキシユーの製作、組付けを容易にする
ことを、解決すべき問題点とするものである。

［問題点を解決するための手段］ 上記問題点を解決するため、本考案の流体圧シ
リンダは、シリンダのストローク端において、ピ
ストンロツドに設けたクツシヨンリングをシリン
ダ側に設けたクツシヨンパツキングに嵌入させ、
それによりシリンダの圧力室に排出流体を一時的
に封じ込めて、クツシヨン作用を発揮させるよう
にした流体圧シリンダに、上記圧力室に封じ込め
た流体圧力により動作するブレーキピストンと、
そのブレーキピストンの動作によりピストンロツ
ドに圧接するブレーキシユーとを有するブレーキ
ユニツトを付設したものにおいて、上記ブレーキ
シユーを、ピストンロツドを囲んで配設した複数
のブレーキブロツクを弾性部材で連結したものと
して構成し、上記ブレーキブロツクに、ブレーキ
ピストンの動作により該ブレーキブロツクをピス
トンロツドに圧接させるための傾斜面を設け、こ
のブレーキシユーをピストンロツドに嵌装したこ
とを特徴としている。

［作用］ シリンダの一方の圧力室に高圧空気を供給し、
他方の圧力室の空気を排出すると、ピストンが摺
動し、ストローク終端近傍でピストンロツドに設
けたクツシヨンリングがクツシヨンパツキングに
嵌入すると、圧力室を一時的に密閉状態にするの
で、その圧力室の圧力上昇によるクツシヨン圧力
が生じ、このクツシヨン圧力によつてピストンが
緩衝力を受ける。

また、上記クツシヨン圧力によつてブレーキピ
ストンが摺動してブレーキブロツクの傾斜面を押
圧するので、ピストンロツドを囲むように配設し
たブレーキブロツクが弾性部材の付勢力に抗して
ピストンロツドに圧接され、ピストンにクツシヨ
ン圧力による緩衝力とブレーキシユーによる制動
力との両者が作用して、ストローク端に衝突する
ことなく確実に停止する。ピストンの停止によつ
てクツシヨン圧力が低下すると、弾性部材の復元
力によつてブレーキブロツクの内径が拡径して制
動力が解除される。

流体圧シリンダの製造、修理等に際しては、複
数のブレーキブロツクを弾性部材で連結して、そ
れをピストンロツドに嵌装するようにしているた
め、それをピストンロツドに嵌装することによつ
て、ブレーキシユーの製作、組付けを非常に容易
に行うことができる。

［実施例］ 第１図は本考案の実施例の要部を示し、シリン
ダ１は、シリンダチユーブ２の一端に、ブレーキ
シリンダ３及びブレーキカバー４を取付ボルト
５，５（第２図参照）で一体としたブレーキユニ
ツト６を設け、それを図示を省略しているタイロ
ツドでシリンダチユーブ２と一体に連結して構成
されている。なお、シリンダの多端は図示しない
ヘツドカバーで閉鎖され、あるいは上述したよう
な構造を有するブレーキユニツトが取付けられ
る。

上記ブレーキユニツト６には、ブレーキ室８が
形成されており、一方、シリンダチユーブ２内を
摺動するピストン９のブレーキユニツト６側に
は、ピストンロツド１０よりも大径のクツシヨン
リング１１が形成されている。

上記ブレーキシリンダ３には、その内部にシリ
ンダ部１３をピストンロツド１０の軸線方向に形
設すると共に、シリンダチユーブ２側にシリンダ
部１３より小径の貫通孔１４が開設されている。
シリンダ部１３に機密にかつ摺動自在に嵌合され
たブレーキピストン１５は、ブレーキ室８側に凹
部１６を、その反対側に、貫通孔１４に間隙１７
を存して遊嵌する筒部１８を有し、凹部１６の先
端には内向きに突出する環状の係合部１９が形成
され、外周に形成した凹溝にはガイド材２０及び
Ｏリング２１が嵌着されている。また、筒部１８
の内周面先端に周設された段部には、環状のクツ
シヨンパツキング２２が嵌着されており、このク
ツシヨンパツキング２２は、それに嵌合する上記
クツシヨンリング１１とによりシリンダ１のロツ
ド側圧力室２３におけるクツシヨン機構２４を構
成している。

一方、ブレーキカバー４の底壁には、ピストン
ロツド１０を案内するロツド孔２９が設けられて
おり、ピストンロツド１０は該ロツド孔２９を通
つてブレーキカバー４外に突出している。また、
ブレーキカバー４の内側には支持リング３０が嵌
着され、さらにその周壁にはブレーキ室８を通し
て圧力室２３に高圧空気を給排するポート３１が
開設されている。

ブレーキシユー３３は、第３図に詳細に示すよ
うに、円周方向に分割されている複数のブレーキ
ブロツク３４，……と、それらの相互間をゴムモ
ールド材その他の弾性部材３５によつて弾性的に
連結して一体としたもので、ピストンロツド１０
の周囲に若干の間隙を存してこれを囲むように嵌
装されている。各ブレーキブロツク３４は、外面
の両端をブレーキピストン１５の先端及び支持リ
ング３０に当接可能な傾斜面３６，３６とし、ブ
レーキピストン１５側の傾斜面３６の先端にブレ
ーキピストン１５の係合部１９に係合する係合突
部３７を有し、かつ中心にピストンロツド１０の
軸線と平行な空気通孔３８が貫設されている。

上記ブレーキブロツク３４は、ブレーキー材料
で作ることができるが、ピストンロツド１０との
当接部にブレーキ材をライニングするか、あるい
は該部に焼入れを施してもよく、さらには、ブレ
ーキブロツク３４，……とピストンロツド１０と
の間にブレーキブロツク３４とは別のブレーキ材
を設けてもよい。

また、ブレーキブロツク３４，……を弾性的に
一体に連結する弾性部材３５は、上述のゴムモー
ルドに限られるものでなく、各ブレーキブロツク
３４，……にそれらを相互に連綴する連綴孔また
は溝を設けて、それらの孔または溝にコイル状の
スプリングや円筒状の弾性部材等を挿通すること
により、ブレーキブロツク３４を環状に連結する
など、ブレーキブロツク３４，……相互間の距離
を弾性的に拡縮できる各種構造のものを使用する
ことができる。

さらに、上記ブレーキシリンダ３は、間〓１７
とブレーキ室８とを連通させる連通孔４０（第２
図）を有し、該連通孔には絞りによつて流量を調
整するクツシヨンバルブ３９が設けられている。

第１図中、符号４１は高圧空気源、４２はヘツ
ド側及びロツド側のポート３１に交互に高圧空気
を給排する電磁切換弁、４３，４４は切換弁４２
とヘツド側及びロツド側のポート３１，３１との
間の空気の給排管路、４５はロツド側の給排管路
４４に設けたスピードコントローラである。

次に、上記実施例の作動を説明する。

第１図は、切換弁４２によつてヘツド側の給排
管路４３を通つてヘツド側の圧力室に高圧空気を
供給し、ロツド側の圧力室２３の空気をロツド側
のブレーキ室８、ポート３１、給排管路４４及び
切換弁４２を通つて大気に開放し、ピストン９が
ヘツド側の圧力室に供給される高圧空気によつ
て、第１図で左方向へ摺動している状態を示して
いる。

ピストン９の左方向への摺動によつてクツシヨ
ンリング１１がブレーキピストン１５に設けたク
ツシヨンパツキング２２に嵌入すると、ロツド側
の圧力室２３が一時的に密封状態とされるので、
内圧が急激に上昇する。この圧力室２２の上昇し
た内圧は、クツシヨン圧力Ｐとしてピストン９に
緩衝力を作用させると共に、ブレーキシリンダ３
の貫通孔１４とブレーキピストン１５の筒部１８
の外周面との間隙１７を通つてブレーキピストン
１５の一端面側に流入し、ブレーキピストン１５
をブレーキ室８方向に摺動させるので、ブレーキ
ピストン１５先端の供給部１９がブレーキブロツ
ク３４，……の傾斜面３６を押圧する。一方、ブ
レーキブロツク３４，……の反対側の傾斜面３６
は、支持リング３０に当接支持されているので、
ブレーキシユー３３は弾性部材３５の付勢力に抗
してその内径を縮径し、ブレーキブロツク３４の
内側面がピストンロツド１０の外周面に圧接して
ピストンロツド１０に制動力ｆを加え、ピストン
９はストローク端において衝突することなく停止
する。

ブレーキピストン１５の背面に流入したクツシ
ヨン圧力Ｐによる空気は、連通孔４０、クツシヨ
ンバルブ３９を通つて徐々にロツド側のブレーキ
室８に放出されるので、クツシヨン圧力Ｐがブレ
ーキシユー３３の弾性部材３５の付勢力よりも小
さくなると、ブレーキピストン１５は弾性部材３
５の付勢力によつてもとの状態に復帰して、ブレ
ーキシユー３３による制動作用は解除される。

上述のクツシヨン機構２４によるクツシヨン圧
力Ｐ及びブレーキシユー３３による制動力ｆの大
きさは、第４図に示すように、クツシヨンバルブ
３９の絞り量を変えることによつて調整すること
ができ、クツシヨンバルブ３９の絞りの開度を小
にすると上記圧力Ｐ及び制動力ｆが増大し、絞り
の開度を大にするとそれらが減少する。

切換弁４２が第１図の状態から切換つてロツド
側の圧力室２３に高圧空気を供給し、ヘツド側の
空気を大気に開放すると、高圧空気はロツド側の
給排管路４４、ポート３１、ブレーキ室８、ブレ
ーキブロツク３４の空気通孔３８を通つてロツド
側の圧力室２３に供給され、したがつてピストン
９は右方向に摺動する。

［考案の効果］ 本考案においては、ピストンのストローク終端
近傍においてピストンがクツシヨン圧力による緩
衝力を受けると共に、該クツシヨン圧力で摺動す
るブレーキピストンがブレーキシユーを押圧し、
ブレーキブロツクの内径を縮径させてブレーキシ
ユーによる制動力をピストンロツドに加えるの
で、負荷の慣性力が大きい場合であつても、ピス
トンをストローク端で確実に停止させることがで
きる。

さらに、本考案においては、ピストンロツドを
囲むように配設した複数のブレーキブロツクを弾
性部材で連結したため、ブレーキシユーの製作が
容易であり、しかも弾性部材によつてブレーキシ
ユーの柔軟性が大きくなるので、ピストンロツド
との間隙を大きくして組み付けることが容易にな
り、それにより制動力が確実に作用するばかりで
なく、制動力の解除も確実に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はブレーキシユーを第３図のＡ−Ａ線断
面として示した本考案の実施例の縦断正面図、第
２図は同上端面図、第３図はブレーキシユーの斜
視図、第４図はクツシヨンバルブによるクツシヨ
ン圧力とブレーキシユーの制動力の増減を示す説
明図である。 １……シリンダ、６……ブレーキユニツト、１
０……ピストンロツド、１１……クツシヨンリン
グ、１５……ブレーキピストン、２２……クツシ
ヨンパツキング、２３……圧力室、３３……ブレ
ーキシユー、３４……ブレーキブロツク、３５…
…弾性部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダのストローク端において、ピストンロ
   ツドに設けたクツシヨンリングをシリンダ側に設
   けたクツシヨンパツキングに嵌入させ、それによ
   りシリンダの圧力室に排出流体を一時的に封じ込
   めて、クツシヨン作用を発揮させるようにした流
   体圧シリンダに、上記圧力室に封じ込めた流体圧
   力により動作するブレーキピストンと、そのブレ
   ーキピストンの動作によりピストンロツドに圧接
   するブレーキシユーとを有するブレーキユニツト
   を付設したものにおいて、上記ブレーキシユー
   を、ピストンロツドを囲んで配設した複数のブレ
   ーキブロツクを弾性部材で連結したものとして構
   成し、上記ブレーキブロツクに、ブレーキピスト
   ンの動作により該ブレーキブロツクをピストンロ
   ツドに圧接させるための傾斜面を設け、このブレ
   ーキシユーをピストンロツドに嵌装したことを特
   徴とする流体圧シリンダ。