JPH04303542A - マグネトロンカソード - Google Patents

マグネトロンカソード

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JPH04303542A
JPH04303542A JP9116291A JP9116291A JPH04303542A JP H04303542 A JPH04303542 A JP H04303542A JP 9116291 A JP9116291 A JP 9116291A JP 9116291 A JP9116291 A JP 9116291A JP H04303542 A JPH04303542 A JP H04303542A
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JP
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ring
target
magnetic field
thin film
magnetron cathode
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JP9116291A
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Hidefumi Asano
秀文 浅野
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、多元系薄膜の
高速スパッタリング形成に好適に用いることができるマ
グネトロンカソードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、最も一般的に用いられているマグ
ネトロンカソードは、図5(a)に示すようなプレーナ
型マグネトロンカソードである。このカソードは、平板
型のターゲット1の下部に永久磁石2を同心円状に配置
させた基本構造を持つ。この磁石により図5(b)に示
すような磁場9を発生させることができる。このカソー
ドをArガス等の不活性ガス雰囲気中(0.1Pa〜1
00Pa)に置き、直流あるいは交流の電圧を印加する
と、磁場の存在する部分に電子が閉じ込められるため磁
場の存在する部分において優先的に放電が生じる。かか
るカソードを用いた場合には、低電圧放電が可能であり
、適度な薄膜形成速度が得られる特徴があるため、各種
金属、およびその化合物の形成に用いられている。
【0003】しかしながら、かかるカソードを用いる方
式においては、ターゲットが局部的に消耗しやすく、発
生するプラズマがターゲットのエロージョン領域に集中
し、プラズマの空間的均一性が劣るという、その構造に
由来した欠点がある。
【0004】この欠点についてより詳細に述べる。すな
わち、上記カソードを用いる方式においては、図5(b
)に示すように、円板状のターゲット1の上面の、磁場
9が印加された部分でリング状にプラズマ放電8が生じ
る。プラズマ放電によりイオン化したスパッタガス原子
(例えばAr+)はターゲット表面をスパッタし、スパ
ッタされた部分から、ターゲット原子からなる粒子10
がリング状に飛び出す。この場合、低エネルギーの粒子
は上方を中心とした方向にかなりの広がりをもって飛び
出すのであるが、高エネルギーの粒子は放電面に垂直方
向に集中的に飛び出す。そして、これらの粒子が、ター
ゲットの直上に置かれた基板上に到達することになる。 このような空間分布をもった粒子が基板7に堆積される
ため、基板面内では膜厚や特性の不均一分布が生じやす
い。特に、中性あるいはイオン化した高エネルギーの粒
子が基板表面を直撃(高エネルギー粒子衝撃)するため
、薄膜が著しい損傷を受けたり、特性の劣化を招いたり
する。
【0005】そこで、面内分布を均一化し、高エネルギ
ーの粒子による衝撃を避けるために、基板位置を変えた
り、基板を自転、公転させたり等の工夫がなされるが、
かかる工夫をなすためには、装置全体を複雑なものにせ
ざるを得ないという欠点がある。また、放電電流ととも
に高エネルギーの粒子が急激に増加してしまうため、放
電電流を高くして、薄膜形成速度を高めることができな
いという欠点がある。
【0006】また、複数のターゲットを同時にスパッタ
して薄膜形成速度を高めようとしたり、組成の異なる複
数のターゲットを同時にスパッタして薄膜組成を制御し
ようとしても、各ターゲットからのスパッタ粒子の空間
分布が不均一であるというだけでなく、各ターゲットの
プラズマの中心軸を揃えられないという幾何学的制約も
あるために、基板面内において膜厚、組成、特性に著し
い分布が生じてしまい、複数ターゲットの同時スパッタ
に適用できないという欠点がある。
【0007】さて、高エネルギー粒子衝撃による薄膜特
性の著しい劣化が生ずる例として、液体窒素温度(77
K)を越える高い超伝導臨界温度(Tc)を持つ酸化物
超伝導体が挙げられる。その代表的なものは、Y1Ba
2Cu3O7−y(Tc=92K)、Bi−Sr−Ca
−Cu−O(Tc=105K)、Tl−Sr−Ca−C
u−O(Tc=120K)であり、いずれも多元素を含
む複合酸化物超伝導体である。これらの物質の薄膜は、
電子デバイスおよび配線への応用が期待されている。
【0008】しかしながら、これらの物質は、その超伝
導特性がその構造に非常に敏感であり、高エネルギー粒
子の衝撃を受けやすいという性質を持っている。従って
、これらの薄膜の形成に、プラズマの空間的不均一性が
あり、高エネルギー粒子が部分的に集中しやすいという
欠点を有する従来のプレーナ型マグネトロンカソードを
適用することは困難であった。この場合、高エネルギー
粒子が集中する領域において、基板に到達した堆積粒子
が再スパッタされ、基板上に薄膜が全く形成されないこ
とや、組成ずれが生じたり、薄膜の結晶性が著しく損な
われる等の現象が見い出されている。
【0009】プレーナ型マグネトロンカソードの欠点を
解決するための技術として、図6に示すように、リング
ターゲット1を用い、その外周部に永久磁石2を配置し
た逆同軸型マグネトロンカソードが開発されている。ま
た、その発展型として複数個のリングターゲットを用い
、その外周部に永久磁石を配置した逆同軸型マグネトロ
ンカソードが提案されている(特願平1ー127523
号)。
【0010】この技術では、リングターゲット1の内周
部において、リング状のプラズマ放電8が生じ、リング
ターゲット1の上面(あるいは下面)方向に置かれた基
板7には、リングターゲット内周部からかなりの広がり
をもって飛び出した低エネルギーの粒子10のみが到達
し、高エネルギーの粒子11は、放電面に垂直方向(す
なわちリングターゲット内周部から中心軸方向)に集中
的に飛び出すため、基板にはほとんど到達しない。従っ
て、高エネルギーの粒子による基板面衝撃がほとんどな
く、均一性の比較的高い低エネルギーの粒子による薄膜
形成ができる特徴がある。さらに、中心軸の揃った複数
個のリングターゲットを用いることにより、プラズマの
空間的中心が揃うため、それぞれのリングターゲット構
成元素を変え、放電電流を別個に制御すれば、基板面内
分布のない状態で、薄膜組成を自由に制御することも原
理的には可能である。
【0011】しかしながら、この方式では、リングター
ゲットの内周部の一部のみに磁場9が偏り、放電がこの
部分のみ生じるため、堆積速度を高めることが困難であ
り、ターゲットの利用効率が悪くなるという欠点がある
。さらに、中心軸の揃った複数個のリングターゲットを
用いて薄膜作製を行なう場合、基板までの距離が遠い側
のリングターゲットからの堆積粒子の形成速度が著しく
小さくなってしまうという欠点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のマグネトロンカソードの欠点を解決し、高品質の多元
系薄膜を高速・均一に形成することが可能なマグネトロ
ンカソードを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の要旨は、磁場の発生源としてリング状
の磁石を用い、そのリング状の磁石をリングターゲット
の上面部及び下面部に配置したことを特徴とするマグネ
トロンカソードに存在する。
【0014】本発明の第2の要旨は、磁場の発生源とし
てコイルを用い、そのコイルをリングターゲットの外周
部に配置したことを特徴とするマグネトロンカソードに
存在する。
【0015】なお、本発明においては、複数のリングタ
ーゲットを、リングターゲットの中心軸方向に配置する
ことも可能であり、また、その場合複数個のリングター
ゲットのそれぞれを電気的に絶縁することが好ましい。
【0016】
【作用】以下に本発明の作用を図面に基づいて説明する
【0017】本発明においては、リングターゲットを用
いるため、有害な高エネルギーの粒子の堆積薄膜表面衝
撃を大幅に低減できる。
【0018】また、請求項1に係る発明においては、図
1(b)に示すように、磁場の発生源としてリング状の
磁石2a,2bを用い、そのリング状の磁石をリングタ
ーゲット1の上面部及び下面部に配置しているため、磁
場の磁力線の方向が、リングターゲット1の中心軸方向
と平行であり、リングターゲット1の内周部において均
一な磁場を発生させることができ、ひいてはスパッタ粒
子の空間分布を均一化でき、均一な薄膜を形成すること
ができる。
【0019】請求項2に係る発明においては、図1(c
)に示すように、磁場の発生源としてコイル2’を用い
、そのコイルをリングターゲット1の外周部に配置して
いるため、このコイル2’に電流を流すことにより、磁
場の磁力線の方向が、リングターゲットの中心軸方向と
平行であり、リングターゲットの内周部において均一な
磁場を発生させることができ、ひいてはスパッタ粒子の
空間分布を均一化でき均一な薄膜を形成することができ
る。
【0020】いずれの場合にも、リングターゲットの内
周部全面において、プラズマ放電が生じ、リングターゲ
ットの上面(あるいは下面)方向に置かれた基板には、
リングターゲット内周部からかなりの広がりをもって飛
び出した低エネルギーの粒子のみが到達し、高エネルギ
ーの粒子は、放電面に垂直方向、すなわちリングターゲ
ット内周部から中心軸方向に、集中的に飛び出すため、
基板にはほとんど到達しない。このような、均一性の高
い低エネルギーの粒子による薄膜形成ができる点が、従
来プレーナ型マグネトロンカソードとは異なる本発明の
優れた点である。
【0021】さらに、本発明では、リングターゲット内
周部全面において均一磁場が存在するため、ここで均一
なプラズマ放電が生じる。その結果、非常に高い堆積速
度が得られ、リングターゲットの利用効率が高くなる。 この点も従来のマグネトロンカソードとは異なる本発明
の優れた点である。
【0022】さらに、請求項2に係わる発明においては
、コイルによる磁場発生方式ではコイルに流す電流を変
えることにより、任意の磁場を発生させることが可能な
ため、磁場を変化させた実験が容易に行えるのみならず
、薄膜堆積時以外の時には、磁場を0にすることができ
、磁場の存在により使用不能となる分析装置[例えば、
電子線をプローブとした分析装置(反射電子線回折(R
HEED)等)]を同一真空装置中に装備することがで
きるという利点も有する。
【0023】また、本発明ではリングの中心軸が揃った
複数個のリングターゲットの使用も可能であり、その場
合であっても、それぞれのリングターゲットにおいて、
磁場の磁力線の方向が、リングターゲットの中心軸方向
と平行であり、リングターゲットの内周部において均一
な磁場を発生させることができるため、全体としても薄
膜の形成速度を高くすることができる。
【0024】なお、複数個のリングターゲットは相互に
電気的に絶縁しておくことが好ましい。リングターゲッ
ト相互を電気的に絶縁しておけば、それぞれのリングタ
ーゲットに独立したDC電圧を印加することが可能とな
り、薄膜の組成制御を容易に行うことが可能となる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。な
お、当然のことではあるが、本発明範囲は以下の実施例
に限定されるものではない。
【0026】(実施例1)図1(b)に基づき請求項1
に係る発明の実施例を説明する。
【0027】本例のマグネトロンカソードにおいては、
磁場の発生源としてリング状の磁石2a,2bを用い、
そのリング状の磁石2aをリングターゲット1の上面部
に、また、リング状の磁石2bをリングターゲット1の
下面部にそれぞれ配置している。
【0028】なお、図1(b)において4は、リングタ
ーゲット1とリング状の磁石2a,2bとを固定するた
めの固定部であり、水により冷却を行っている。なお、
リングターゲット1、磁石2a,2bの固定は、例えば
インジウム等を用いて、固定部4に接着することにより
行えばよい。
【0029】上記構造を有するマグネトロンカソードに
つき、その各種特性試験を以下のように行った。
【0030】まず、マグネトロンカソードの磁場分布を
ガウスメータにより測定した。その際、リングターゲッ
ト1の上面部および下面部にそれぞれリング状の磁石2
a,2bを配置した逆同軸マグネトロンカソード(リン
グターゲット1外径80mmφ、内径60mmφ、高さ
30mm、リングターゲット1内周部磁場800Gau
ss)を用いた。
【0031】なお、比較のため、図6(a)に示す従来
のマグネトロンカソードについても同様の測定を行った
。すなわち、リングターゲット1外周部に磁石2を配置
した逆同軸マグネトロンカソード(リングターゲット1
外径80mmφ、内径60mmφ、高さ30mm)を用
いた。
【0032】図2にそれぞれのマグネトロンカソードの
リングターゲット内周部表面における磁場の高さ方向で
の分布を示す。従来例のマグネトロンカソードでは、タ
ーゲットの高さ方向の中心部から、上下3mmの位置の
みで400〜600Gauss程度の磁場が偏在するの
に対し、本発明の実施例カソードでは、上下14mmの
位置まで、すなわちほぼリングターゲット全面にわたっ
て、500Gaussの均一な磁場が存在することが分
かる。
【0033】次に、これらのマグネトロンカソードを用
いてZnO2薄膜を形成した場合におけるその堆積速度
を以下のように比較した。
【0034】リングターゲットの直上6cmの距離の位
置に2インチ径のシリコン基板を配置した。ここで、放
電条件は、スパッタガス:10Pa−90%Ar+10
%02、基板温度:室温と一定にし、入力する直流電流
を変化させてスパッタリングすることによりZnO2薄
膜を形成した。堆積速度は、堆積前後の基板の重量変化
と堆積時間から算出した。
【0035】図3に従来例及び本実施例の場合の堆積速
度のグラフを示す。本実施例では、同一の入力電流では
、従来方例よりも5倍程度堆積速度が速いことが分かる
。これは、上記で述べたようなマグネトロンカソードの
磁場分布に対応しており、ターゲット内周部の一部のみ
でプラズマ放電が生じる従来例とは異なり、リングター
ゲット内周部全面でプラズマ放電が生じている本発明の
特徴によるものである。
【0036】(実施例2)本例では、マグネトロンカソ
ードとして実施例1と同じ構造のものを使用し、以下に
述べる条件により基板上にNb3Al薄膜を形成した。 形成したNb3Al薄膜につき基板面内の組成分布を調
べた。なお、比較のため、従来例のマグネトロンカソー
ドについてもNb3Al薄膜を形成し、基板面内の組成
分布を調べた。
【0037】まず、従来例の平板型マグネトロンカソー
ド(リングターゲット1径80mmφ)を用い、ターゲ
ット直上4cmの距離の位置に2インチ径のサファイア
基板を配置した。放電条件は、DC電圧:150V、放
電電流:0.5A、スパッタガス:10Pa−Ar、基
板温度:850℃と一定にし、60分間薄膜をスパッタ
リング形成した。また、本実施例のリングターゲットの
外周部にコイルを配置した逆同軸マグネトロンカソード
(ターゲット外径80mmφ、内径60mmφ、ターゲ
ット内周部磁場2000Gauss)を用い同一条件で
Nb3Al薄膜を形成した。ここで、薄膜の組成はエネ
ルギー分散型X線分光法(EDX)により求めた。
【0038】従来例で形成した薄膜では、基板の中心か
ら+1.5cm及び−1.5cmの位置でNb/Al比
が5程度になり、Al原子が著しく減少していることが
分かった。一方、本実施例により形成した薄膜では、N
b/Al比は3で、基板全面にわたって一定であり、組
成の面内分布がないことが分かった。この結果は、カソ
ードで発生するプラズマ中には、有害な高エネルギーの
粒子がほとんど含まれていないことを示すものである。
【0039】(実施例3)図1(c)に請求項2の実施
例に係るマグネトロンカソードを示す。
【0040】本実施例のマグネトロンカソードは、磁場
の発生源としてコイル2’を用い、このコイル2’をリ
ングターゲット1の外周部に配置してある。他の点は実
施例1と同様である。
【0041】このマグネトロンカソードを用いてY1B
a2Cu3O7超伝導薄膜を以下に述べる条件で形成し
、その特性を比較した。なお、比較のため従来例のマグ
ネトロンカソードを用いてY1Ba2Cu3O7超伝導
薄膜を形成した。
【0042】まず、真空装置中に従来例の平板型マグネ
トロンカソード(ターゲット外径100mmφ、ターゲ
ット組成Y1Ba2Cu3O7)と本実施例、すなわち
、リングターゲットの外周部にコイルを配置した逆同軸
マグネトロンカソード(リングターゲット1外径80m
mφ、内径60mmφ、リングターゲット1内周部磁場
2000Gaussリングターゲット1ターゲット組成
Y1Ba2Cu3O7)を取り付け、リングターゲット
の直上3cmの距離の位置に2インチ角の酸化マグネシ
ウム基板を配置した。ここで、放電条件は、DC電圧:
120V、放電電流:0.7A、スパッタガス:8Pa
−80%Ar+20%O2、基板温度:650℃と一定
にし、それぞれ120分間薄膜をスパッタリング形成し
た。
【0043】薄膜の特性を、EDXによる組成分析、X
線回折による結晶性評価、及び4端子法による電気抵抗
測定から調べた。従来方式で形成した薄膜は、基板面内
で、Ba/Yの原子比が0.8〜1.6、Cu/Yの原
子比が1.5〜2.3の範囲で分布しており、全体にB
aとCuがターゲット組成から減少しており、結晶性も
弱いC軸配向性を示すことが分かった。この薄膜におい
て、電気抵抗が0になる超伝導転移温度は、20〜50
Kの範囲で面内分布があった。一方、本実施例で形成し
た薄膜は、基板面内で、Ba/Yの原子比が1.9〜2
.0、Cu/Yの原子比が2.9〜3.0の範囲にあり
ターゲット組成からのずれがほとんどなくC軸に強く配
向したエピタキシャル膜であった。この薄膜の超伝導転
移温度は、90〜93Kの範囲にあり、良好な超伝導特
性を示した。
【0044】(実施例4)本例では、実施例3と同じ構
造のマグネトロンカソードを用い、以下に述べるような
薄膜の形成を行った。
【0045】本実施例においては、リングターゲットの
外周部にコイルを配置した逆同軸型マグネトロンカソー
ド(リングターゲットの外径80mmφ、内径50mm
φ、高さ20mm、ターゲット組成Eu1Ba2Cu3
O7)を用い、リングターゲットの直上3cmの距離の
位置に2インチ角の酸化マグネシウム基板を配置した。 放電条件は、DC電圧:120V、放電電流:0.4A
、スパッタガス:8Pa〜95%Ar+5%O2、基板
温度:650℃と一定にし、120分間薄膜をスパッタ
リング形成した。薄膜の特性を、同一真空装置内に装備
した反射電子線回折による結晶性評価、および4端子法
による電気抵抗測定から調べた。
【0046】ここで、コイルに投入する電流値により、
リングターゲットの内周部の磁場(Ht)を10〜10
000Gaussの範囲で変化させ、放電特性、堆積速
度、薄膜品質への影響を調べた。Htが10〜50Ga
ussの時には、放電が不安定で、堆積速度は10〜2
0Å/minと小さく、形成した薄膜は、C軸配向性が
弱く、超伝導転移温度は、50〜80Kの範囲で十分な
特性を示さなかった。Htが50〜5000Gauss
の時には、安定した放電が得られ、堆積速度は100〜
200Å/minと大きく、形成した薄膜は、強いC軸
配向を示し、超伝導移転温度は、85〜93Kの範囲に
あり、優れた特性を有していた。Htが5000〜10
000Gaussの時には、安定した放電が得られるも
のの、堆積速度は50〜80Å/minと比較的小さく
、形成した薄膜にはc軸配向以外の配向が混在しており
、超伝導移転温度は75〜85Kの範囲にあり、わずか
に劣化した特性を有していた。
【0047】以上の結果から、本実施例のマグネトロン
カソードでは、適切な磁場強度に設定することにより高
品質な薄膜が形成できること、ならびに堆積終了後、磁
場を0にすることで、同一真空装置内に装備した反射電
子線回折による結晶性評価が可能なことが分かった。
【0048】(実施例5)次に、図4に基づき、請求項
3の発明の実施例を説明する。
【0049】すなわち、本例では、複数連のリングター
ゲットを用いた例を示す。なお、図4には、これらの内
、3連の逆同軸マグネトロンカソードの概略図を示す。 すなわち、図3に示す例では、3つのリングターゲット
1a,1b,1cを、リングターゲット1a,1b,1
cの中心軸方向に配置してある。なお、図において、2
a,2bはe永久磁石、3a,3bは絶縁基板、4は固
定板、6はアノードリング、7は基板である。
【0050】上記構造を有するマグネトロンカソードに
つき、その各種特性試験を以下のように行った。
【0051】まずリングターゲット1を2連とした場合
について述べる。
【0052】真空中に、本実施例のリングターゲット上
面部及び下面部にリングマグネットを配置した2連逆同
軸マグネトロンカソード(リングターゲットの組成と内
径とがそれぞれBi−Sr合金,120mmφ、Ca−
Cu,90mmφ)を取り付け、リングターゲットの直
上6cmの距離の位置に配置した1インチ角の酸化マグ
ネシウム基板に薄膜の堆積を行った。ここで、各リング
ターゲット間は絶縁基板により絶縁されており、それぞ
れのリングターゲットに独立にDC電圧を印加し、薄膜
組成がBi:Sr:Ca:Cu=1:1:2:3になる
ようにそれぞれの印加電圧を制御した。
【0053】その後、この薄膜に880℃の酸素雰囲気
中で熱処理を施しBiSrCa2Cu3OX薄膜の超伝
導特性を、4端子法による電気抵抗測定から調べた結果
、超伝導転移温度は、100〜110Kの範囲にあり、
基板面内で均一の超伝導特性を示すことがわかった。
【0054】さらに、ターゲットを3連とし、第1のタ
ーゲットの組成、内径をBi−Sr,120mmφ、第
2のターゲットの組成、内径をCa,90mmφ、第3
のターゲットの組成、内径をCu,60mmφとして同
様な実験を行なったが、同様な結果が得られた。
【0055】さらに、リングターゲットを4連とし、第
1のリングターゲットの組成、内径をBi,120mm
φ、第2のリングターゲットの組成、内径をBa,90
mmφ、第3のリングターゲットの組成、内径をCa,
60mmφ、第4のリングターゲットの組成、内径をC
u,30mmφとして同様な実験を行なったが、同様な
結果が得られた。
【0056】また、ここで上記のカソードを、コイルを
用いた逆同軸カソードに変えて実験を行なったが、同様
な結果が得られた。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマグネト
ロンカソードを用いれば、リングターゲット内周部に均
一なプラズマ放電が生じることから、非常に高い堆積速
度が得られ、ターゲットの利用効率が高いという利点が
ある。
【0058】また本発明では、従来のリングターゲット
では困難であった、中心軸が揃った複数個のリングター
ゲットの使用も容易となり、多元系薄膜や多層膜の作製
にも適用できる。さらに、コイルによる磁場発生方式で
は磁場の強さを制御することや、薄膜堆積時以外の時に
は、磁場を0にすることが、可能なため、広汎な応用が
期待できる。また、本発明のマグネトロンカソードは、
例えば高Tc酸化物超伝導薄膜の形成に非常に有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、リングターゲット面でのプラズマ
放電の様子を示す概念図であり、(b)、(c)は、本
発明の実施例に係わるカソードの基本構造を示す概念図
である。
【図2】  従来例及び本発明の実施例に係わるカソー
ドのリングターゲットの内周部表面における磁場の高さ
方向での分布を示すグラフである。
【図3】  従来例及び本発明の実施例に係わるマグネ
トロンカソードを用いて形成したZnO2 薄膜の堆積
速度を比較した結果を示すグラフである。
【図4】  本発明の他の実施例を示すマグネトロンカ
ソードの概念図である。
【図5】  (a)は、従来技術の一般的な平板型マグ
ネトロンカソードの基本構造を示す概念図であり、(b
)は、(a)の場合のターゲット面でのプラズマ放電の
様子を示す概念図である。
【図6】  (a)は、従来の逆同軸マグネトロンカソ
ードの基本構造を示す概念図。(b)は、(a)の場合
のターゲット面でのプラズマ放電の様子を示す概念図。
【符号の説明】 1                  ターゲット(
リングターゲット)1a,1b,1c    リングタ
ーゲット、2,2a,2b      磁石、 2’                コイル、3a,
3b          絶縁基板、4       
           固定板、5         
         水冷ボックス、6        
          アノードリング、7      
            基板、8         
         プラズマ、9          
        磁場、10,11         
   粒子。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  磁場の発生源としてリング状の磁石を
    用い、そのリング状の磁石をリングターゲットの上面部
    及び下面部に配置したことを特徴とするマグネトロンカ
    ソード。
  2. 【請求項2】  磁場の発生源としてコイルを用い、そ
    のコイルをリングターゲットの外周部に配置したことを
    特徴とするマグネトロンカソード。
  3. 【請求項3】  複数のリングターゲットを、リングタ
    ーゲットの中心軸方向に配置したことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のマグネトロンカソード。
  4. 【請求項4】  複数個のリングターゲットのそれぞれ
    が電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項3記
    載のマグネトロンカソード。
JP9116291A 1991-03-29 1991-03-29 マグネトロンカソード Pending JPH04303542A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100917463B1 (ko) * 2003-01-15 2009-09-14 삼성전자주식회사 마그네트론 캐소드 및 이를 채용하는 마그네트론 스퍼터링장치

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KR100917463B1 (ko) * 2003-01-15 2009-09-14 삼성전자주식회사 마그네트론 캐소드 및 이를 채용하는 마그네트론 스퍼터링장치

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