JPH04301051A - 形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金 - Google Patents

形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金

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JPH04301051A
JPH04301051A JP8920691A JP8920691A JPH04301051A JP H04301051 A JPH04301051 A JP H04301051A JP 8920691 A JP8920691 A JP 8920691A JP 8920691 A JP8920691 A JP 8920691A JP H04301051 A JPH04301051 A JP H04301051A
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alloy
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resistance
stress corrosion
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JP8920691A
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Yoshikuni Kadoya
好邦 角屋
Toshio Yonezawa
利夫 米澤
Naotake Ito
尚武 伊東
Yutaka Moriya
豊 森谷
Haruo Suzuki
治雄 鈴木
Katsumi Shomura
正村 克身
Takemi Yamada
山田 武海
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力分野に代表され
る高温純水(一次冷却水)中などにおいて使用可能な形
状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ特性に優れた
Fe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】形状記憶合金は、マルテンサイト変態点近
傍の所定温度において、合金に塑性変形を加え、次いで
、該合金をその母相に逆変態する温度以上の所定温度に
加熱することにより、塑性変形前の形状に回復する特性
を示す合金であって、この形状記憶合金に所定温度にお
いて塑性変形を加えることにより、前記合金の結晶構造
は、その母相からマルテンサイトに変態する。このよう
に塑性変形が加えられた合金を、その後その母相に逆変
態する温度以上の所定温度に加熱すると、マルテンサイ
トは元の母相に逆変態し、即ち、該合金は形状記憶特性
を示すもので、これにより塑性変形した前記合金は、塑
性変形を加える前の元の形状に回復する。
【0003】このような形状記憶特性を有する合金とし
て、これまで非鉄系形状記憶合金が多数知られている(
例えば、舟久保照康編「形状記憶合金」1984年産業
図書)。その中で、Ni−Ti系およびCu系の形状記
憶合金は、既に実用化されており、管継手、衣料、医療
機器およびアクチュエータ等が、これ等の非鉄系形状記
憶合金によって製造されているし、その他この形状記憶
合金を種々の用途に応用した技術の開発が、近年盛んに
行われている。
【0004】しかしながら、構造用部材への適用の観点
からNi−Ti系の形状記憶合金は、例えば、高温純水
中での使用により、水素化合物の生成が著しく、そのよ
うな環境では使用が不可である。また、Cu−Zn−A
l系の形状記憶合金では耐食性が不足している。しかも
、これら非鉄系形状記憶合金は、高価であるために、経
済性の面で制約を受ける。かかる事情から、非鉄系形状
記憶合金よりも安価な鉄基形状記憶合金が開発されつつ
あり、経済性の面で制約のある非鉄系形状記憶合金に代
わって、鉄基形状記憶合金の適用範囲の拡大が期待され
ている。
【0005】塑性変形を加えることによって、鉄基形状
記憶合金がその母相から変態するマルテンサイトをその
結晶構造の見地からfct(面心正方晶)、bct(体
心立方晶)およびhcp(稠密六方晶)に大別すること
ができる。
【0006】塑性変形を加えることによって、その母相
から最密六方晶のεマルテンサイトに変態する鉄基形状
記憶合金で、かつ耐食性に優れる合金として特開平2−
77554(以下第1従来技術という)が提案されてい
る。
【0007】特開平2−77554によるものは、Cr
:5.0〜20.0wt%、Si:2.0〜8.0wt
%、下記からなる群から選んだ少なくとも1つの元素、
Mn:0.1〜14.8wt%、Ni:0.1〜20.
0wt%、Co:0.1〜30.0wt%、Cu:0.
1〜0.3wt%、N:0.001〜0.400wt%
を含有させる系のものであって、優れた形状記憶特性お
よび耐食性を有している。
【0008】一方、耐応力腐食割れ性に優れる鉄基合金
として、例えば、B.E.WILDE:CORROSI
ON−NACE(1986),vol.42, No.
11,P678がある。この報告には、Cr:17.0
〜19.0wt%、Si:0.35〜4.79wt%、
Ni:8.83〜9.07wt%、Mn:1.30〜1
.53wt%、Cu:0.009〜0.20wt%、N
:0.011〜0.040wt%、Mo:0.019〜
0.21wt%を含有し、高温純水中において優れた耐
応力腐食割れ性を示す合金が記載されている(以下、「
第2従来技術」という)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】原子力分野に代表され
る高温純水中(一次冷却水中)等において形状記憶合金
を使用する場合、その合金の特性として形状記憶特性、
耐食性、および耐応力腐食割れ性に優れることが必要で
ある。
【0010】第1従来技術に開示された鉄基形状記憶合
金は、形状記憶特性および耐食性を向上させる目的で、
CrおよびSiの両元素を添加した鉄基合金であり、さ
らに、Mn、Ni、CoおよびNのうちの少なくとも1
つの元素を、該合金に添加するものである。しかしなが
ら、この第1従来技術は、次の問題を有している。即ち
、耐食性に優れる形状記憶合金であるが、その耐食性は
2年間の大気暴露試験で評価したものであり、前記した
高温純水中における耐食性は必ずしも充分ではない。そ
の実施例にみられるように基本合金系はFe−13Cr
−6Si系とFe−18Cr−2Si系に大別されるが
、前者の合金系はCr添加量が15.1%以下であり、
後者の合金系についてはSi添加量が2.8wt%以下
である。このため、Cr、Si添加の効果を期待する耐
食性の向上の効果が不充分である。
【0011】また第1従来技術では耐応力腐食割れ性に
関する記載はないが、実施例に記載される上述のFe−
13Cr−6Si系とFe−18Cr−2Si系の合金
系では、前者の合金系ではCr含有量が15.1wt%
以下であり、後者の合金系ではSi含有量が2.8wt
%以下である。このためCr、Siの作用によって期待
する耐応力腐食割れ性向上効果が不充分である。
【0012】さらに第1従来技術ではCoを任意元素と
して添加しているが、実施例に記載されるようにCo含
有量は1.0wt%以上である。したがって、原子力分
野の高温純水中(一次冷却水中)での使用には、放射化
の観点から不適当であり、適用範囲が限定される。
【0013】第2従来技術に開示された合金は耐応力腐
食割れ性に優れた合金であるが、Si含有量が2.9w
t%以下である合金とSi含有量が3.8wt%以上で
ある合金に大別される。前者はSi含有量が2.9wt
%以下であるため、前述したような環境下における耐食
性、耐応力腐食割れ性が不充分である。また後者はオー
ステナイト形成元素の合計含有量がフェライト形成元素
の合計含有量に対する割合が適切でないため、形状記憶
特性が不充分である。
【0014】従って、原子力分野に代表される高温純水
中(一次冷却水中)などにおいて使用可能な形状記憶特
性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れた鉄基形状記
憶合金の開発が強く望まれているが、かかる鉄基形状記
憶合金はまだ提案されていない。即ち本発明の目的は、
形状記憶特性、耐食性および耐食応力腐食割れ特性に優
れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】hcp型鉄基形状記憶合
金に、所定温度において塑性変形を加えると、前記合金
の相は、その母相、即ち、オーステナイトからεマルテ
ンサイトに変態する。その母相がこのようにεマルテン
サイトに変態した前記合金を、その後、オーステナイト
変態点(以下「Af点」という)以上で且つAf点近傍
の温度に加熱すると、εマルテンサイトは、その母相、
即ち、オーステナイトに逆変態し、そして、その結果、
塑性変形を加えられた前記合金は、塑性変形を加える前
の元の形状に回復する。
【0016】上述したhcp型鉄基形状記憶合金に優れ
た形状記憶特性を発揮させるためには、下記条件を満た
す必要がある。 (1)前記合金に所定温度において塑性変形を加える前
の、前記合金の母相は、主としてオーステナイトからな
ることが必要である。上述した所定温度とは、前記合金
にその温度において塑性変形を加えると、母相からεマ
ルテンサイトに変態することができる温度をいう。 (2)オーステナイトの積層欠陥エネルギーは、低くな
ければならない。更に、前記合金に塑性変形を加えるこ
とによって、その母相からεマルテンサイトのみに変態
することを必要とし、α´マルテンサイトに変態しては
ならない。 (3)オーステナイトの降伏強度は、高くなければなら
ない。更に、前記合金に塑性変形を加えたときに、前記
合金の結晶構造中にすべり変形が生じてはならない。
【0017】本発明は上記したような各条件を満足し、
しかも上述したような従来技術の課題を解決するように
検討を重ねて創案されたものであって、以下の如くであ
る。 (1)Cr:16.0〜21.0wt%、Si:3.0
〜7.0wt%、Ni:11.0〜21.0wt%を含
有し、しかもNi%≧{0.67(Cr+1.2Si)
−3}%で、かつ(Cr+Si)%≧20%であり、残
部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れ
たFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金。
【0018】(2)Cr:16.0〜21.0wt%、
Si:3.0〜7.0wt%、Ni:11.0〜21.
0wt%を含有すると共に、Mn:0.1〜5.0wt
%、Cu:0.1〜1.0wt%、N:0.001〜0
.100wt%、Mo:0.1〜3.0wt%、W:0
.1〜3.0wt%の何れか1種または2種以上を含有
し、しかも(Ni+0.5Mn+0.06Cu+0.0
02N)%≧{0.67(Cr+1.2Si+Mo+W
)−3}%で、かつ(Cr+Si)%≧20%であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優
れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金。
【0019】
【作用】上記したような本発明の鉄基形状記憶合金につ
いての化学成分組成を、前記範囲内に限定した理由を述
べると以下の如くである。 (1)Cr(クロム):Crには、オーステナイトの積
層欠陥エネルギーを低下させ、且つオーステナイトの降
伏強度を高める作用があり、形状記憶特性を向上させる
。更にCrには合金の耐食性および耐応力腐食割れ性を
向上させる作用がある。このCrの含有量が16.0w
t%未満では、これらの作用に所望の結果が得られない
ため、下限を16.0wt%とした。一方、Crの含有
量が21.0wt%を超えることは経済的に不利である
から、Cr含有量は16.0〜21.0wt%の範囲内
に限定すべきである。
【0020】(2)Si(ケイ素):Siには、オース
テナイトの積層欠陥エネルギーを低下させ、かつオース
テナイトの降伏強度を高める作用があるため形状記憶特
性を向上させる。更にSiは耐食性、耐応力腐食割れ性
を高める作用もある。しかしながら、Si含有量が3.
0wt%未満では、上述した作用に所望の結果が得られ
ない。一方、Si含有量が7.0wt%を超えると、合
金の延性が著しく低下し、そして、合金の熱間加工性お
よび冷間加工性が著しく悪化する。従って、Si含有量
は、3.0〜7.0wt%の範囲内に限定すべきである
【0021】(3)Ni(ニッケル):Niは、オース
テナイトを形成する強力な元素であり、このNiには、
合金に塑性変形を加える前の、合金の母相を、主として
オーステナイトにする作用がある。このようなNi含有
が11.0wt%未満では、上述した作用による所望の
効果が得られないため、下限を11.0wt%とした。 一方、Ni含有量が21.0wt%を超えると、εマル
テンサイトの変態点(以下「Ms点」という)が低温域
に著しく移行し、それによって、合金の塑性変形を加え
る温度が著しく低くなり、また、形状記憶特性を劣化さ
せるため、上限を21.0wt%とした。従って、Ni
含有量は、11.0〜21.0wt%の範囲内に限定す
べきである。
【0022】本発明においては上記したCr、Si、N
iに加えて下記する元素の少なくとも1種以上を添加す
ることができる。 (4)Mn(マンガン):Mnは、オーステナイトを形
成する強力な元素であり、このMnには、合金に塑性変
形を加える前の母相を、主としてオーステナイトにする
作用がある。しかし、このMn含有量が0.1wt%未
満では、このような作用を適切に得られず、一方、Mn
含有量が5.0wt%を超えると、耐食性を劣化させ、
またσ相の生成を著しく容易にして形状記憶特性を劣化
させるので、上限を5.0wt%とした。即ち、Mn含
有量は、0.1〜5.0wt%の範囲内に限定すること
が必要である。
【0023】(5)Cu(銅):Cuは、オーステナイ
ト形成元素であり、そして、Cuには、塑性変形を加え
る前の、合金の母相を、主としてオーステナイトにする
作用がある。また、Cuの微量添加には、合金の耐食性
を向上させる作用がある。しかしながら、このCu含有
量が0.1wt%未満では、これらの作用による所望の
効果が得られない。一方、Cu含有量が1.0wt%を
超えると、εマルテンサイトの形成が阻害され、形状記
憶特性を劣化させる。その理由は、Cuには、オーステ
ナイトの積層欠陥エネルギーを高める作用があるからで
あり、従って、Cu含有量は、0.1〜1.0wt%の
範囲内に限定すべきである。
【0024】(6)N(窒素):Nは、オーステナイト
形成元素であり、このNには合金に塑性変形を加える前
の、合金の母相を、主としてオーステナイトにする作用
がある。更に、Nの微量添加は、合金の耐食性を向上さ
せ、オーステナイトの降伏強度を高める作用がある。N
含有量が0.001wt%未満では、これらの作用を適
切に得ることができず、一方、N含有量が0.100w
t%を超えると、CrおよびSiの窒化物が形成し易く
なり、合金の形状記憶特性が悪化する。従って、N含有
量は、0.001〜0.100wt%の範囲内に限定し
た。
【0025】(7)Mo(モリブデン):Moは、耐食
性、耐応力腐食割れ性を向上させるのに有効な元素であ
り、0.1wt%未満ではこれらの効果が不十分である
ため、下限を0.1wt%とした。しかし、3.0wt
%を超える添加は形状記憶特性を劣化させる。従って、
上限を3.0wt%とする。
【0026】(8)W(タングステン):Wは、耐食性
および耐応力腐食割れ性を向上させるのに有効な元素で
あって、0.1wt%未満ではその効果が不十分であり
、一方3.0wt%を超える添加は形状記憶特性を劣化
させるので、0.1〜3.0wt%とした。
【0027】(9)不純物:不純物元素であるC、P、
Sは、それぞれC:0.1wt%以下、P:0.1wt
%以下、S:0.1wt%以下とすることが望ましい。 不純物元素であるCoは原子力分野において代表される
高温純水(1次冷却水)中などの環境を考慮し、0.1
wt%以下とすることが望ましい。
【0028】(10)オーステナイト形成元素の合計含
有量の、フェライト形成元素の合計含有量に対する割合
:本発明においては、上述したように、合金に所定温度
において塑性変形を加える前の、合金の母相は、主とし
てオーステナイトからなることが、絶対に必要である。 従って、この発明においては、その化学成分組成に対す
る上述した限定に加えて、下式を満足させる必要がある
【0029】
【数1】
【0030】即ち、上述した式を満足させることによっ
て、合金に所定温度において塑性変形を加える前の、合
金の母相を、主としてオーステナイトにすることができ
る。
【0031】(11)Cr含有量とSi含有量の合計含
有量:本発明では形状記憶特性、耐食性とともに、耐応
力腐食割れ性にも優れる合金に関するものである。この
優れた耐応力腐食割れ性を達成するためには、上述した
限定に加え、下式を満足させることが絶対に必要である
【0032】
【数2】
【0033】即ちこの式を満足させることにより、優れ
た耐応力腐食割れ性を達成することが可能となる。
【0034】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
説明すると、本発明者等は次の表1に示すような本発明
による合金鋼および本発明の範囲外の化学成分組成をも
った比較合金鋼を各々真空下の溶解炉内において融解し
、インゴットに鋳造した。このようにして得られたイン
ゴットを1100〜1200℃の範囲内の温度に加熱し
、次いで、12mmの厚さにまで熱間圧延して、この発
明の合金鋼の供試体(以下、「本発明供試体」という)
No.1〜19、および、この発明の範囲外の比較合金
鋼の供試体(以下、「比較供試体」という)No.20
〜29を調整した。
【0035】
【表1】
【0036】前記表1に示すように、この発明の範囲内
の化学成分組成を有する本発明の合金鋼、および本発明
の範囲外の化学成分組成を有する比較合金鋼を真空下の
溶解炉内において融解し、次いで、インゴットに鋳造し
た。
【0037】得られたインゴットを1100〜1200
℃の範囲内の温度に加熱し、次いで、12mmの厚さに
まで熱間圧延して、本発明供試体 No.1〜19、お
よび、この発明の範囲外の比較供試体 No.20〜2
9を調整した。
【0038】上記のようにして得られた本発明供試体 
No.1〜19、および比較供試体No.20〜29の
各々について、形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食
割れ性を以下に述べる試験によって調べた。これらの試
験の結果は表1に併せて示す如くである。
【0039】(1)形状記憶特性 本発明供試体 No.1〜19、および比較供試体 N
o.20〜29の各々から、直径6mmおよび標点間距
離30mmの丸棒状の試験片を切り出し、このように切
り出した試験片の各々に、−196℃において、4%の
引張り歪みを付加し、次いで、各試験片を、Af点以上
で且つAf点近傍の所定温度(300℃以上)に加熱し
、前記引張り歪みを付加し、そして加熱した後の各試験
片の標点間距離を測定し、標点間の測定結果に基づいて
、形状回復率を下記する計算式で算出して、各供試体の
形状記憶特性を評価する(Ms点は、厳密に言えば各供
試体ごとに若干異なるが、塑性変形を加えるのに最適な
温度は−196℃として各試験ごとに統一した)。
【0040】上述した引張りの試験の結果は前記表1の
「形状記憶特性」の欄及び本発明供試体 No.1〜9
と比較供試体 No.20〜23について図1に示した
が、形状記憶特性の評価基準は、次の通りである。 ◎:形状回復率は、70%以上 ○:形状回復率は、30〜70%未満 ×:形状回復率は、30%未満
【0041】
【数3】
【0042】図1において、横軸はSi含有量(wt%
)、縦軸はCr含有量(wt%)を示すが、この図1で
点線で囲んだ範囲は、Cr含有およびSi含有量がこの
発明の範囲内にあることを示し、また、「◎」印は形状
回復率が70%以上認められたこと、「○」印は形状回
復率が30%以上70%未満認められたことを示すもの
で、「×」印は形状回復率が30%未満であることを示
す。図1から明らかなように、11.0〜21.0wt
%の範囲内のNi含有量、16.0〜21.0wt%の
範囲内のCr含有量および3.0〜7.0wt%の範囲
内のSi含有量を有する供試体は、優れた形状回復特性
を示している。
【0043】本発明の範囲外である1.6wt%のSi
を含有する比較供試体「23」は、極めて低い形状回復
特性しか有しない。なお、図1において本発明の範囲外
である比較供試体「20」「21」「22」のものも「
◎」印を示す結果であるが、後述する耐食性または耐応
力腐食割れ特性が劣る。
【0044】(2)耐食性 本発明供試体 No.1〜19および比較供試体 No
.20〜29の各々に対し、3年間の大気暴露試験を実
施し、その耐食性を調べた。上記試験の終了後、各供試
体について目視検査により錆の発生状況を評価した。錆
の発生の評価基準は次の通りとした。◎:錆の発生が認
められない。 ○:錆の発生が多少認められる。 ×:錆の発生が顕著に認められる。
【0045】上記試験の結果を同じく表1の「耐食性」
の欄に、又本発明供試体のうち No.1〜9と比較供
試体 No.20〜23については図2にも結果を示す
。即ち表1および図2から明らかなように、本発明の限
定範囲にある供試体は優れた耐食性を示している。なお
、本発明の範囲外である比較供試体 No.23は表1
および図1に示すように、形状記憶特性に劣るため、本
発明の請求範囲外とし、また比較供試体 No.22も
表1および図5に示すように耐応力腐食割れ性に劣るた
め、本発明の請求範囲外とした。
【0046】(3)耐応力腐食割れ特性本発明供試体 
No.1〜19、および、比較供試体 No.20〜2
9の各々から、図3に示す試験片を切り出し、このよう
に切り出した試験片の各々を、図4に示す様なホルダー
3にセットしたのち、試験片1にストレインゲージ2を
貼付し、締付けボルト4を押し込んで所定の応力(降伏
応力)に相当するひずみを与える。然して、次の表2に
示す応力腐食割れ試験条件下に浸漬し、3000h経過
後の試験片表面の亀裂発生の有無を確認して、各供試体
の耐応力腐食割れ特性を評価した。
【0047】
【表2】
【0048】上述した応力腐食割れ試験結果は、同じく
表1の「耐応力腐食割れ特性」の欄及び本発明供試体 
No.1〜9および比較供試体 No.20〜23につ
いて図5に示す如くである。
【0049】上記耐応力腐食割れ試験における亀裂発生
の評価基準は、次の通りである。 ○:亀裂発生が認められない(割れなし)。 ×:亀裂発生が認められる(割れ発生)。
【0050】図5において、横軸はSi含有量(wt%
)を示し、縦軸はCr含有量(wt%)を示すが、この
図5において、点線で囲んだ範囲は、Cr含有量および
Si含有量が本発明の範囲内にあることを示す。また、
図5において、「○」印は、割れが認められなかったこ
とを示し、「×」印は、割れが認められたことを示す。
【0051】図5から明らかなように、11.0〜21
.0wt%の範囲内Ni含有量、16.0〜21.0w
t%の範囲内Cr含有量および3.0〜7.0wt%の
範囲内Si含有量を有する供試体は、何れも優れた耐応
力腐食割れ特性を示している。これに対し本発明の範囲
外である15.3wt%のCr含有量を有する比較供試
体「20」、15.1wt%のCr含有量を有する比較
供試体「21」及びCr含有量とSi含有量の合計含有
量が19.5wt%と20wt%未満である比較供試体
「22」は、耐応力腐食割れ特性が不充分である。
【0052】更に本発明者等はこの耐応力腐食割れ性に
ついて検討を進め、前述した表1の供試体1〜19、2
0〜23および25〜29を用いて板厚2mmで図6に
示すような形状をなし、両端の把持部(7)(7)間に
幅5mmの試験部(6)において標点間距離25mmの
引張試験片(5)を夫々に準備した。
【0053】前記したような各試験片に対する引張試験
条件は次の表3に示す如くであって、それらの試験によ
る破断時間を求めて評価した。
【0054】
【表3】
【0055】得られた結果について、(高温高圧水中に
おける破断時間)/(大気中における破断時間)、即ち
破断時間比は前記表1に併せて示す如くであり、又この
破断時間比を各供試体のおけるCr+Si(wt%)と
の関係において示したのが図7である。
【0056】即ち本発明によりCr+Si が20wt
% 以上となることによって前記破断時間比が0.9%
以上となり高温高圧水中においても大気中におけると同
等な破断特性を示すことが確認された。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のFe−
Cr−Ni−Si系形状記憶合金によるときは形状記憶
特性、耐食性および耐応力腐食割れ特性の何れにおいて
も優れており、従って原子力分野に代表される高温純水
(一次冷却水)中等における構造用材料として使用する
に適し、また原子力分野以外においても管継手や種々の
締付装置などにおける材料、アクチュエータ、生体用材
料などの広い分野での使用に適しており、しかもその製
造費を低減することができるなどの効果を有していて、
工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るFe−Cr−Ni−Si
系形状記憶合金におけるCr、Si含有量が形状記憶特
性に及ぼす影響を示した図表である。
【図2】同じく本発明の実施例に係るFe−Cr−Ni
−Si系形状記憶合金におけるCr、Si含有量が耐食
性に及ぼす影響を示した図表である。
【図3】本発明の実施例において用いた応力腐食割れ試
験片の形状説明図である。
【図4】本発明の実施例において用いた応力割れ試験片
の応力負荷方法の説明図である。
【図5】本発明の実施例に係るFe−Cr系形状記憶合
金におけるCr、Si含有量が耐応力腐食割れ性に及ぼ
す影響を示した図表である。
【図6】本発明の実施例および比較例による供試体から
破断時間比を求めるべく夫々準備された引張試験片につ
いての平面図である。
【図7】図6に示した各試験片について高温高圧水中お
よび高温大気中において夫々引張試験し、それらの破断
時間から得られた破断時間比とCr+Si との関係を
示した図表である。
【符号の説明】
1  試験片 2  ストレインゲージ 3  ホルダー 4  締付ボルト 5  引張試験片 6  その試験部 7  把持部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  Cr:16.0〜21.0wt%、S
    i:3.0〜7.0wt%、Ni:11.0〜21.0
    wt%を含有し、しかもNi%≧{0.67(Cr+1
    .2Si)−3}%で、かつ(Cr+Si)%≧20%
    であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなること
    を特徴とする形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割
    れ性に優れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金。
  2. 【請求項2】  Cr:16.0〜21.0wt%、S
    i:3.0〜7.0wt%、Ni:11.0〜21.0
    wt%を含有すると共に、Mn:0.1〜5.0wt%
    、Cu:0.1〜1.0wt%、N:0.001〜0.
    100wt%、Mo:0.1〜3.0wt%、W:0.
    1〜3.0wt%の何れか1種または2種以上を含有し
    、しかも(Ni+0.5Mn+0.06Cu+0.00
    2N)%≧{0.67(Cr+1.2Si+Mo+W)
    −3}%で、かつ(Cr+Si)%≧20%であり、残
    部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れ
    たFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金。
JP8920691A 1991-03-29 1991-03-29 形状記憶特性、耐食性および耐応力腐食割れ性に優れたFe−Cr−Ni−Si系形状記憶合金 Withdrawn JPH04301051A (ja)

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US07/858,553 US5244513A (en) 1991-03-29 1992-03-27 Fe-cr-ni-si shape memory alloys with excellent stress corrosion cracking resistance
DE69207935T DE69207935T2 (de) 1991-03-29 1992-03-30 Eisen-Chrom-Nickel-Silizium-Formgedächtnislegierungen mit ausgezeichneter Spannungsrisskorrosionsfestigkeit
EP92302793A EP0506488B1 (en) 1991-03-29 1992-03-30 Iron-chromium-nickel-silicon shape memory alloys with excellent stress corrosion cracking resistance

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005273015A (ja) * 2004-03-16 2005-10-06 General Electric Co <Ge> タービンエンジン部品用の耐エロージョン・耐摩耗性保護構造体

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