JPH0428484B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は数値制御される放電加工機の電極やテ
ーブル、又はワイヤカツト放電加工機に於けるワ
イヤ電極と工作物との間に相対変位を与えるため
にXYの２軸制御されるテーブル等の移動体を移
動させる駆動装置に関する。

従来、数値制御される放電加工機の電極を取付
けたヘツドを垂直に設けたコラムの摺動面に沿つ
て鉛直なＺ軸方向に移動したり、ワイヤカツト放
電加工機のように工作物を載置固定したテーブル
を水平面上で互いに直角なＸ−Ｙ方向に移動する
装置は、コラムの鉛直方向の面に沿つて設けたガ
イドレールを摺動するヘツドと、ベツトの水平面
上に設けたＸ軸方向のガイドレールに摺動するサ
ドルと、このサドルの水平面上に前記Ｘ軸方向と
直角のＹ軸方向に設けたガイドレールに摺動する
テーブルよりなつている。そのベツト、コラムを
はじめ、移動体である電極や工作物を取付けたヘ
ツド、サドル及びテーブルの多くは鋳造された素
材を切削加工して仕上げたものあるから極めて重
いものであつた。従つて、それ等ヘツドやテーブ
ルを移動するためには剛性が大きい精密ねじ、例
えばボールねじ軸とそれに螺合するナツトとの組
合わせたものを用い、そのボールねじ軸を直流も
しくは交流サーボモータ又はパルスモータ等によ
り回動するデジタル的なサーボ送り機械が用いら
れていた。この従来より用いられている直流サー
ボモータ又はパルスモータと組合わせて回動する
ボールねじ軸とそれに螺合するナツトとの間に
は、機械の移動精度の誤差や、その機械で作られ
る製品の寸法誤差の原因となるバツクラツシユが
あつて、そのバツクラツシユを零にすることは、
スクリユとナツトとがボールを介して転合してい
る関係上不可能なことである。それは、このバツ
クラツシユが小さくなるように厳しく調整する
と、ボールねじを使用した軽荷重で動かすことが
できると言う利点がなくなり動きが制限されて応
答性が悪くなるからである。そして、そのバツク
ラツシユが加工精度の低下につながるものであつ
た。又、室温の変化等によるボールねじ軸の伸縮
やベツト、コラム等の変形は工作物の加工精度を
悪くする原因になつている。

本発明は、放電加工機、ワイヤカツト放電加工
機、電鋳装置及び電解研削盤等の電気加工機が、
旋盤やフライス盤のように強力な切削抵抗が生じ
ることがないことに鑑み、ベツト、コラム、ヘツ
ド、サドル及びテーブル等を高価でしかも重量の
ある鋳造製にしないで、厚さが10mm以下の鉄板を
用いて、力学的に又熱的に釣り合いのとれた構造
にした。それによつて、機械全体、特に移動部分
の重量が軽くなり、更に鉄板によつて作つた機械
の外周を二重にして、ジヤケツトの構造として、
その中に所定の温度に制御した流体を流すことに
よつて機械全体の熱的平衡を保つたり、空気を強
制的に流通して熱的平衡を保つようすることもで
きるようにした。このように軽量構造にした放電
加工機、ワイヤカツト放電加工機等の加工精度を
向上させるために、熱変形が少なくて、しかも電
気絶縁性の良好な石材で作つた定盤をベツト上に
水平に設置し、その定盤の上に２本の丸棒をＸ軸
方向に平行に設置するようにした。この丸棒にス
ライドボールベアリングを装着したサドルを係合
して、Ｘ軸方向に移動自在に支持する。そのサド
ルの水平面上には先に設置したＸ軸方向の丸棒と
直角なＹ軸方向に平行に２本の丸棒を設置して、
これにスライドボールベアリングを装着したテー
ブルを係合して、軽く移動することができるよう
に支持する。このようにして軽量構造としたヘツ
ドやテーブル等の送り機構には従来のスクリユ装
置を用いないで、コラムやベツトの上部に設けた
丸棒等のガイドレールに接動するスライドボール
ベアリング等を内装しているスライダに固定した
ヘツドやテーブル等の移動体に、ベルト、ワイヤ
ロープ等の索条を連結し、ガイドレールに平行に
張設した索条の両端を一対のプーリに夫々巻付け
て、そのプーリをブレーキ装置を介し或いはブレ
ーキ付きのサーボモータで回動する構成にした。
そして移動体には、その移動体の位置、又は移動
量を読み取る検出器を設け、この検出器と対向す
るところに移動体の位置又は移動量を計測するた
めの膨張係数の小さい材料で作られたスケールを
設置した。そして、移動体の移動は索条を巻付け
たプーリを回転させることによつて行なわれる
が、この際、一対のプーリの内の一方のプーリに
よる巻取り速度、即ち単位時間当りの巻取り長さ
よりも、他方のプーリによる送出し速度、即ち単
位時間当りの送出し長さの方が所定の速度だけ小
さくなるように各モータを駆動制御することによ
つて、一対のプーリ間の索条に常に所定の張力が
付与された状態で移動体の移動が行なわれる。こ
のように、鉄板或いは合成樹脂によつて作られて
軽量化した移動体を移動するのにねじや歯車を用
いないでねじや歯車を用いたときに生じるバツク
ラツシユや熱による伸縮等の誤差を発生させない
ようにして、移動体に正確な位置、又は送り量を
得ることができる本発明を例示した図に基づいて
説明する。

第１図は本発明の実施例である放電加工機を側
面からみて、その要部を断面したところの図であ
り、第２図は第１図のＡ−Ａ断面矢視図である。
厚さ10mm以下の鉄板で箱形に構成したベツト１の
上には膨張係数が小さく、しかも電気絶縁性のよ
い石材によつて作られた定盤２が設置され、その
定盤２に配置したブラケツト３に２本の丸棒から
なるガイドレール４をＸ軸方向に互いに平行にな
るように支持する。５はガイドレール４の撓みを
防止する中間の支持部材である。ガイドレール４
に嵌合するスライドボールベアリング６を嵌装し
たスライダ７に厚さ10mm以下の鉄板又は合成樹脂
で作り、必要に応じてリブを設けた構成のサドル
８を固定する。サドル８の重心の位置に固定金具
９を固定し、その固定金具９にワイヤロープ、又
はベルトからなる一対の索条１０，１１を連結す
る。この索条１０，１１の端部を巻付けたプーリ
１２，１３を図示していないブレーキ装置を介
し、ベツト１に固定したサーボモータ１４，１５
で回動して、索条１０，１１の巻取り或いは送り
出しを行ないサドル８を移動する。ガイドレール
４に沿つて移動するサドル８には位置読み取りヘ
ツド等の検出器１６が取付けられる。その検出器
１６の移動路に沿つて、長さ計測用のスケール１
７が設けられている。サドル８の上面に配置した
ブラケツト１８に、２本の丸棒からなるガイドレ
ール１９を、Ｘ軸方向のガイドレール４と直交す
るＹ軸方向に互いに平行に支持する。２０はガイ
ドレール１９の撓みを防止する中間の支持部材で
ある。ガイドレール１９に嵌合するスライドボー
ルベアリング２１を嵌装したスライダ２２に絶縁
部材２３を介して、サドル８と同様の構成で作ら
れた加工テーブル２４を固定する。この加工テー
ブル２４の重心位置に固定金具２５を固定し、こ
の固定金具２５に一対の索条２６，２７を連結す
る。この索条２６，２７を巻付けたプーリ２８，
２９を図示していないブレーキ装置を介し、サド
ル８に固定したサーボモータ３０，３１で回動し
て索条２６，２７の巻取り、或いは送り出しを行
ないテーブル２４をガイドレール１９に沿つて移
動する。このテーブル２４には位置読み取りヘツ
ド等の検出器３２が取付けられ、この検出器３２
の移動路に沿つて長さ計測用のスケール３３が設
けられることは、サドル８の場合と同じである。
このテーブル２４は工作物３４が置かれるのであ
るが、このテーブル２４は加工槽３５の底部に位
置する形態になつているから、テーブル２４の上
の工作物３４は加工槽３５内に加工液３６を注入
した場合には、その加工液３６に浸されるように
なつている。工作物３４に対向して配設される加
工電極３７はヘツド３８の先端に取付けられ、ヘ
ツド３８の上下動と共に移動して工作物３４を加
工する。ベツト１の側端に立設したコラム３９の
下部室４０と上部室４１との間に４本の丸棒から
なるガイドレール４２が鉛直方向に互いに平行に
なるように支持され、ガイドレール４２に嵌合す
るスライドボールベアリング４３を篏装したスラ
イダ５８に加工電極ヘツド３８が固定される。ヘ
ツド３８の重心位置に固定金具４４，４５を固定
し、この固定金具４４，４５に一対の索条４６，
４７を連結する。この索条４６，４７の端部を巻
付けたプーリ４８，４９を図示していないブレー
キ装置を介し下部室４０と上部室４１とに夫々設
けたサーボモータ５０，５１で回動して索条４
６，４７の巻取り、或いは送り出しを行ない、ヘ
ツド３８を鉛直方向に移動する。５２はトルクモ
ータ５３によつて回動するプーリで、このプーリ
５２に巻付けた索条５４でヘツド３８を釣り、ト
ルクモータ５３の回動力をヘツド３８の重量と釣
り合せることによつて、僅かの外力で、ヘツド３
８が鉛直方向に移動できるように調整されてい
る。ヘツド３８には位置読み取りヘツド等の検出
器５５が取付けられ、この検出器５５と対向する
コラム３９に検出器５５の移動路に沿つて、長さ
計測用のスケール５６が設けられていることは、
サドル８とテーブル２４の場合と同じである。こ
の検出器１６，３２，５５とスケール１７，３
３，５６の取付け位置は例示したところにこだわ
るものではなく、相対的に変位して、移動体の位
置、或いは移動量を検出することができるなら
ば、加工液３６、潤滑油及び熱的に影響の無いと
ころを選定して設置するとよい。又、ガイドレー
ル４，１９，４２は丸棒に限らず市販されている
直線運動軸受の中から最も適しているものを選択
して用いることができる。そしてプーリ１２，１
３，２８，２９，４８，４９は何れもブレーキ装
置を介して回動されるのであるが、このブレーキ
装置はブレーキ付きのサーボモータ或いはパルス
モータを使用したときには用いなくてもよい。制
御装置５７は既に知られているものを用いるの
で、その詳細を図示していないが、サーボモータ
１４，１５，３０，３１，５０，５１の駆動制御
装置と、検出器１６，３２，５５からの信号によ
つてサドル、テーブル及びヘツドの位置を検知す
る位置検知装置と、数値制御装置と言われる指令
プログラム装置とからなつている。その中でサー
ボモータ１４，１５，３０，３１，５０，５１の
駆動制御装置は一定の周波数で発振を続ける発振
器と、この発振器のパルスをカウントし、一対の
プーリの内の一方のプーリにより巻取り速度より
も他方のプーリによる送出し速度の方が所定の速
度だけ小さくなるようにパルス数に所定の差を設
けてサーボモータに供給するカウンタとからなつ
ている。

又、各サーボモータ１４，１５，３０，５０，
５１に回転角度位置を検出するロータリイエンコ
ーダと、指速発電機等の回転速度検出器とを設
け、サーボモータ１４，３０，５０と、サーボモ
ータ１５，３１，５１の各組のものに於て、巻取
り側のプーリの角速度よりも送出し側のプーリの
角速度の方が所定の速度だけ小さくなるように各
モータを駆動制御することにより、索条１０，１
１，２６，２７，４６，４７に常に所望一定割合
の伸びによる一定の張力を付与した状態とするこ
とができる。この場合、各一対のプーリ１２と１
３，２８と２９，４８と４９は同径のプーリで構
成されている。

そして、索条に未だ張力が付与されていない状
態で、巻取り速度よりも送出し速度の方が所定の
速度だけ小さくなるように一対のプーリを回転さ
せると、一対のプーリ間の索条に伸びが生じ始め
るが、単位時間当りの伸び量は等比的に減少し
て、伸び量の総和は所定値に収束し、所定の収束
値まで伸びが形成された後は、その伸び状態が維
持されて、即ち、所定の張力が付与された状態で
移動体の順送り或いは逆送りの移動が行なわれ
る。

このように、本発明は、巻取り速度よりも送出
し速度の方が所定の速度だけ小さくなるように速
度差を持たせることにより、索条に常時所定の張
力を付与した状態で移動体の移動を行なわせるよ
うにしたものであるが、上述した実施例のように
同径の一対のプーリを用いるときは、送出し側の
プーリの角速度を巻取り側のプーリの角速度より
も所定値小さく制御するようにしても良いが、プ
ーリの配置空間の条件等により一対のプーリを同
径に構成できない場合は、径の相違を考慮して巻
取り速度よりも送出し速度の方が所定の速度だけ
小さくなるように各プーリを回転させれば良く、
必ずしも一対のプーリは同径でなくても良い。

以上の構成による本発明の作用を述べるのであ
るが、サドル８、テーブル２４及びヘツド３８の
何れも同じであるから、ここではヘツド３８の駆
動について述べることにする。ヘツド３８の重量
はヘツド３８を索条５４で釣り上げるトルクモー
タ５３のトルクと釣り合つているから、ヘツド３
８に加える僅かな力で、鉛直方向に移動するよう
になつている。そこで図示していないテープの指
令でヘツド３８の位置が指示されると、その指示
された数値と、検出器５５がスケール５６を検知
した現在位置との差によつて、ヘツド３８の送り
長さに応ずるパルス数を設定すると共に、ヘツド
３８を移動する方向によつてサーボモータ５０，
５１の中何れか一方を巻取り用に設定して、巻取
り用のパルスをカウンタより発振する。そして、
他方の送り出し用のサーボモータに対しては、巻
取り用のサーボモータに送るパルスを分周して、
減じたパルス数をカウンタから発振することによ
つて、送り出し用のサーボモータの回転角速度を
巻取り用のサーボモータの回転角速度より減じ、
索条４６，４７に所定の張力を付与する。そのよ
うにして索条４６，４７に張力を付与した状態で
ヘツド３８を移動し、その移動量を検出器５５
は、パルス信号として制御装置５７に入力する。
制御装置５７では、この入力信号を前記テープに
よつて指定されたパルス信号との差を求める演算
を行ない、両者の差が零となつたところで駆動装
置に作動停止信号を出力してサーボモータ５０，
５１を停止させ、図示していないブレーキ装置を
作動して索条４６，４７に張力を付与した状態で
ヘツド３８を停止する。

以上述べた通り、本発明によれば、常に所定の
張力の付与されている索条によつて移動体の移動
が行なわれ、又、移動中も索条の張力が所定値に
保持されるから、索条の弛みや伸び（張力の変
化）による誤差や、従来のねじ送り機構を用いた
場合のバツクラツシユによる誤差がなく、安定し
た精度の良い移動を円滑に行なうことができる。
又、本発明によれば、索条に所望の張力を付与す
る制御や張力を所望の一定値に保持する制御を巻
取り速度と送出し速度の速度差を設定するだけで
容易に行なうことができる。又、本発明の移動体
は、移動方向の両側から一対の索条により常に一
定の張力をもつて保持されているから、停止状態
に於ても、移動体の移動方向にねじ送り機構では
不可避の僅かの遊びもなく、停止状態の移動体を
所定の位置にガタツキなく安定した状態で精度良
く保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の装置の要部を断面したところ
の側面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面矢視図で
ある。 １……ベツト、４……ガイドレール、７……ス
ライダ、８……サドル、１０，１１……索条、１
２，１３……プーリ、１４，１５……サーボモー
タ、１６……検出器、１７……スケール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電気加工機に於ける移動体を一軸方向に移動
   させる駆動装置であつて、直線状のガイドレール
   と、該ガイドレールに接動するスライダと、該ス
   ライダに固定される移動体と、該移動体に連結さ
   れて前記ガイドレールと平行に且つ互いに逆向き
   に張設される一対の索条と、該一対の各索条の端
   部が巻付られる一対のプーリと、該一対のプーリ
   を夫々個別に回転させる一対のモータと、前記一
   対のプーリの内の一方のプーリによる巻取り速度
   よりも他方のプーリによる送出し速度が所定の速
   度だけ小さくなるように前記一対のモータを制御
   する駆動制御装置とからなることを特徴とする電
   気加工機に於ける移動体の駆動装置。 ２ 移動体が加工テーブルである特許請求の範囲
   第１項記載の電気加工機に於ける移動体の駆動装
   置。 ３ 移動体が加工電極ヘツドである特許請求の範
   囲第１項記載の電気加工機に於ける移動体の駆動
   装置。